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いや、ほんとに見てもいいって人だけにしてよね。まじで。

 

 

 

洞木ヒカリの葬式に彼女の遺体は存在しなかった。

そして、彼女が恋焦がれていた鈴原トウジ、彼の姿もなかった。

「碇くん、鈴原くんはこないの?。」

シンジはクラスの女子数名にそれぞれ言葉は違えど似たような質問をうけた。

「来ないみたいだね。」

シンジはその全てに同じその言葉を答えた。

だが、誰一人としてそれ以上はなにも言わなかった。

 

「アスカ、気をおとさないでね。」

アスカはクラスの男女を問わず異口同音にそう励まされた。

「別に、大丈夫よ。」

そうアスカは一字一句違えることなく答えた。

回りの人間はそれ以上なにもいわない。

 

回りの人間も言葉は交わせど、それ以上になにかあるわけではなかった。

一重にみな悲しそうに顔を見合わせ、そして家族に、親しかった者たちに声を

かける。

だが、それだけであった。

 

 

 

一月後。

 

シンジの元に、久しく姿を見せなかったトウジが顔をみせた。

その姿はやつれ顔色も悪かった。

「トウジ、その格好でここまできたのかい?。」

シンジは冷淡な声でトウジに聞いた。

「ああ、そうや。」

「よく人に咎められなかったね。」

シンジの言う通り、かれの姿は普通ではなかった。

すでに、いつの頃から着替えていないのか黒いジャージのそこかしこにほころびは

目立ち、生えはじめた無精ひげは顔をうっすらと覆っていた。

「そんなん、どおでもええ。」

そう言って、シンジの目の前に一通の封筒を差し出した。

「なんだよ?、これは。」

馬鹿にしたようにトウジに言う。

無論、シンジにはおおよその見当は着いている。

「いいんちょうが、死ぬ時にわしに宛てて書いた手紙や。」

突き出されたそれをシンジは半眼で、侮蔑するように見る。

「詳しくは書いてあらへんが、お前がなにしたかは全て判っとる。」

「詳しくも書いてないのによくわかったね。」

さらにあざけるような声でシンジは言う。

「なんで、詳しく書いて無い物で判ったか判るかいトウジ?。」

さげすむようにトウジに言う。

「なんやて?。」

トウジはそれ以上言葉が続かなかった。

(詳しく書いてないもので何故わかったのか?。)

トウジはその疑問を振り払うようにシンジの襟首をつかんでいた。

「そんなことはどうでもええ!、なんであないな事をしたんや!。」

「トウジ、つまらない事をきかないでよ。

そういうトウジこそなんでそうなるようなことしたんだよ?。」

シンジは嘲笑を顔に浮かべて怒鳴るトウジに言った。

トウジはもう二の句が継げなかった。

「傷付きたくなかっただけでしょう?、トウジ。」

シンジは、座り来んだトウジを見下ろしながらそういいのけた。

トウジは意味のない雄叫びをあげると、シンジにつかみかかった。

だが、シンジは体を躱すとトウジの義足のひざに体重をかけるように横から体を

預けた。

見様によっては、シンジが転びかけたトウジを支える様にみえなくもない。

それと、同時に義足のひざが耳障りな音を立ててひしゃげていった。

「トウジ、気をつけなくちゃ駄目だよ。」

シンジは顔にふてぶてしい笑いを浮かべてトウジに言う。

「シンジ、貴様…。」

トウジがなにか言おうとした時、

「あら、気をつけなさいね。

優しい友達でよかったわね。」

通りすがりの人、多分買物帰りの主婦であろうか、がそう声をかけると自分の家へと

道を急いでいった。

「トウジ、まだわからない?。」

シンジは、そう言うと同時にトウジからはなれた。

かれもまた、自分の家へと向かって歩いて行った。

 

夕日の中に取り残されたトウジは今しがたの出来事を心の中で繰り返していた。

 

 

 

以前と違い、漆黒の空間の中ではなく明るい空間に姿をあらわす様になったゼーレの

面々ではあるが、相変わらずホログラム映像で会話をしていた。

「冬月、この所の騒ぎいかに処置するつもりなのだ。」

キールは、現ネルフ総司令の冬月に向かい苦々しげに話す。

「さよう、人類補完計画を終えた今彼等二人のパイロットにあのような行動に

出られては意味がない。」

「早急に対処してくれたまえ。」

そして、彼等は姿をけした。

「碇、面倒はみな押し付けていったな。」

冬月は、疲れたようにつぶやく。

 

 

 

マヤは、ネルフの廊下をロッカールームに向かい歩いていた。

この所のマヤの神経をさいなむのはアスカとシンジの事であった。

さらに、それが自分達大人の行動による物であると感じているマヤにとって

体の疲れと、それに加えての精神的なストレスで一日が終わる頃には自分が夢の中を

歩いているような感覚に囚われていた。

だが、夢ならばこれは悪夢だろう。

なぜなら、あの二人が昔とはぜんぜん別人のようにすさんでしまったのだ。

回りの人間は、皆明るく友好的に感じる分そのギャップがマヤの疲れを倍増させていた。

ふと、顔をあげたマヤの目に今は最も見たく無い物が映ってきた。

アスカが多分、今年入ってきたで在ろう若い職員に例の蟲惑的微笑をうかべて誘っている

所であった。

「アスカ!、いい加減にして。」

マヤは思わず怒鳴っていた。

その声にびくっと体を震わせて、若い職員は逃げるようにこの場から消えていった。

アスカは、動じる事もなくマヤの方に顔をむけた。

「なんで?、なんでなのアスカ。」

マヤはアスカの顔を正面から見据えて話し掛ける。

「なんでって、なにがなんでなの?。」

見据えるマヤをさらに見据えるように目を覗き込んで聞き返す。

「貴方が誰と付き合い、何をしようと私たちは止めない。

でも、それが私たちへのあてつけなら止めてちょうだい、アスカ。」

マヤは、ともすれば泣きそうになる自分を抑えアスカに話つづけた。

「貴方達2人に全てを押し付けてなにもかも終わらせた私たちを憎む気持ちは

わかるわ、でも、でも、もうやめて、お願い。」

少し、涙声になって言うマヤ。

「まだ、終わっていないのよ。」

「え?。」

アスカのその一言に気づき問い返す。

「終わっていないってなにが?。」

「復讐よ。」

マヤに向かい、その言葉を吐くアスカ。

だが、一瞬昔のような笑顔を見た気がマヤはした。

「なんなのよ、復讐って、いい加減にして!。」

そのためにマヤは少し取り乱してしまった。

「マヤ、今の世界はどう?。」

「なによ、使徒もこないしよくなったんじゃないの?。」

その答えに急にがっかりしたような顔をするアスカ。

「アタシにかかわるのはなぜ?。」

「気になるのよ、私たちの所為で…。」

「ふーん、それだけで、自分が苦しむの?。」

「そうよ、そうするわ!。」

アスカは、微笑むとマヤの顔に右手を当て

「怒れるかしら?。」

そう語り掛けてから、その場を去っていった。

 

 

 

珍しく、と言うよりも奇跡的にマンションの自室で二人は食事をとっていた。

まるで、砂を噛むような顔をしてアスカもシンジも黙って目の前の食物を口へ運んでいた。

だが以前と違い、レトルトの食事である。

シンジが調理することは絶えて久しい。

その静寂をやぶるように、玄関のチャイムがなった。

だが、どちらもでようとはしない。

来客なぞ、お構いないしと言う顔で食事をしている。

食事といえるようなありさまではないかもしれないが。

 

しばらく鳴り続けていたチャイムは、諦めたようにとまった。

 

 

玄関の前で、トウジは出てこない住人にさらなる苛立ちを覚えていた。

損傷し、まともに動かない義足を引きずってここまできた。

部屋の明かりも見える。

絶対に居るはずだという確信を持っていた。

彼は、おもむろに手に持っていたバールを玄関の戸の隙間に入れてこじ開けようとした。

だが、玄関のドアは思いのほか簡単に開いた。

ここの住人はもはやドアに鍵をかけることすらしていなかった。

勢いあまったバールは手を離れてはるか下の方に落ちていった。

わずかな間の後、アスファルトと金属の固まりが接触する音がほとんど住む者のいない

マンションの中に響いた。

 

 

部屋の中に入ったトウジは、明かりが着いている部屋に向かった。

彼等が食事をしているリビングに向かって。

 

 

「いかり。」

トウジの暗く淀んだ声にもシンジは振り向くことはなかった。

「こっちむかんかい、いかり。」

そういいながら、シンジの肩をつかみ強引にたたせながら自らの方に向かわせるトウジ。

そんな状態でもシンジは面倒臭そうにゆっくりと立ち上がり体を向けた。

「なにかよう?。」

そう言ったシンジに対して、トウジは持っていたナイフをシンジの胸に深く突き刺した。

胸骨をつきぬけるゴリゴリとした音がシンジの体からもれてでた。

ナイフはちょうど胸の中心、心臓の部分。

エヴァや人型の使徒のコアがある所と同じ場所にささっていた。

「トウジ、これは復讐かい?。」

相変わらず、落ち着いた声でシンジは聞いた。

「そうや。」

トウジは熱く淀んだ声で答えた。

「自分の為?、それとも洞木さんのため?。」

「両方や、多分。」

「それなら、いいや。」

そう言って笑ったシンジの口から大量の血が溢れでた。

トウジはそのナイフを抜くと、大量の返り血を浴びながらアスカに向かった。

床に倒れたシンジの体を越えてトウジはアスカに向かって歩きナイフを構えた。

アスカは、やはり今迄どおり落ち着いた様子でトウジを見ていた。

トウジはアスカの髪をつかみ立たせるとシンジと同じ様にその胸の中央にそのナイフを

突き刺した。

やはり、心臓の部分、胸の中央に。

「鈴原、憎んでいる?。」

アスカもまた、いつものように何事もないかのような声で聞いた。

「死ぬほど憎んどるわ!。」

トウジは、張り裂けそうな声で叫んでいた。

「憎悪ね、いいじゃない。」

そう言うとアスカも又微笑みながら倒れていった。

 

 

 

胸騒ぎを覚えて、彼等の住むマンションにやって来たマヤは入り口で金属の固まりが落ち

て来るのを見た。

慌てて、彼等の部屋に向かい中に入ったマヤが見たものはナイフを片手に放心状態で座る

トウジ。

そして、二人から流れ出た大量の血の中に倒れているシンジとアスカの姿であった。

 

 

 

消失

刃U

 


ver.-1.00 1998+03/17公開

ご意見・ご感想、復活のじゅ文などは

暗黒物質収集所まで!!


あの最低中年どこに消えた!!。

アスカ落ち着いてよ。

うう、シンジッ、あんたはこんなのゆるしておけるの!。

いや、そんなことないけど。

一度ならず二度までもーーー!もう堪忍袋の尾がきれたわ

よ!!。

あ、きれやすい最近の中学生…

がすこんっ

なに訳わかんないこといってんのよ!、なにこれは。

いや、なにっていわれてもねー、今回なんか中途半端な感じでおわったわな。

どうしようか。

どうしようかじゃないわよ、こんなのばっか作って気でもふ

れたんじゃないの!。

いや、そんなことはないんですけど。

いいから、なんとかしなさい!。

じゃ、こうしましょい。

もうこんなのやだーって人はあっちへんでもってもう少し痛く

てもいいよって人はこっちへ

てのはどうかな?。

うー、まあいいわ、いい事こっち

なんかに行くんじゃないわよ

でもアスカ、一応あっちへ行く前

こっちなんかも

見といてもいいんじゃない?。

だめよ、そんなことは!。

しばし黙考。

そうだね。

てなわけで世界が闇に閉ざされたくそう!

光よおっ!

なにそれ?。

 





 SOUさんの『消失』公開です。



 アスカとシンジのあとがきにある2つのジャンプ先〜


 訪問者の皆さんはどちらへ飛ぶのかな?


 明るい方は、
 救われるかもしれないよ(^^)


 暗いサイドは−−

 あなたの”耐性””防御力”の程が試されちゃう?!


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