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シンジはパソコンの電源を落とし、ベッドに潜り込む。

そして、ベッドから窓の外を眺めてみる。

そこには星の瞬く夜空が広がっていた。








「おやすみ・・・・」













It’s a Beautiful World
第3話「隙間」
(A−part)














・・・・・・・・ゴポッ・・・・・・・・・

シンジは今、LCLに満たされたエントリープラグの中にいる。

『何回やっても慣れないな・・・・このLCLって・・・・』

「おはよう、シンジ君。調子はどう?」

リツコの声が聞こえる。

「悪くはないです」

「エヴァの出現位置、非常用電源、兵装ビルの配置。すべて頭に入ってるわね?」

「ええ」

「念の為もう一度おさらいするわ・・・・通常、エヴァは有線からの電力供給で稼動しています。でも非常時に内部電源に切り替えると、蓄電容量の関係でフルで1分、ゲインを利用してもせいぜい5分しか稼動できないの・・・・これが私達の科学の限界ってワケ。おわかりね?}

「はい」

「では昨日の続き、インダクションモードの練習、始めるわよ」

それと共にシンジの視界の片隅にある活動限界表示が内部電源に切り替わる。

そして、街中に立つ初号機の目の前に使徒が現れる。

「ハッ!」

シンジは気合を一つ入れると、滑らかに初号機を操る。

初号機は、だらりとした姿勢から瞬き一つでパレットガンを構えると3発づつ点射していき、確実に使徒にヒットさせる。

それを見て、横にいたミサトが、

「シンジ君?なんでブァーっと連射しないの?」

「ミサトさん・・・・僕はこれを連射して目標に全弾当てる自信はありませんよ」

「そう・・・・あなたがそう思うならいいわ・・・・・リツコ、ちょっといい?」

ミサトはリツコを実験管制室の後ろ   シンジに聞こえないところ   に引っ張り込む。

「なによ、ミサト?」

「格闘技に通じてるのはいいとしても、なんで銃器の扱いまで長けてるのよ?」

「あら、なんで?」

「パレットガンに点射モードなんてあった?」

「あら・・・・そういえばそうね・・・・でも、それがどうしたの?」

「軍隊が歩兵に教える事の一つにフルオートの銃を点射する方法があるわ・・・・ま、基本中の基本だけどね」

「私に解るわけないでしょう・・・・でも・・・・考えられる可能性としては・・・・」

「・・・・”死神”・・・・」

「解ってるなら聞かないでよ・・・・」

リツコは話の腰を折られたのでちょっと不機嫌だ。

「確認したかったのよ・・・・・・・・しっかし、野分一佐はどんな教育したのかしら・・・・?」

「さあ?・・・・シンジ君に聞いてみれば?」

リツコは少し冗談めかして言う。

「いずれはね・・・・今はそんな時じゃなわ・・・・」

《リツコさん?》

スピーカーからシンジの声が聞こえる。

リツコはコンソールの前まで戻る。

「なに?シンジ君?」

《このライフルで使徒のなんとかフィールドは破れるんですか?》

「・・・・シンジ君、エヴァが建造されてから実際に使徒とやりあったのはこの前が初めてなの」

《・・・・つまり、使った事が無いから解らない、と?》

「その通り。A・T・フィールドに関しては未知の部分がほとんどなのよ」

《それじゃ、近接用の武器は?》

「肩部の専用収納部にプログレッシブ・ナイフがあるわ」

《それだけですか?》

「・・・・今はね。開発中の物にスマッシュ・ホークとソニック・グレイブがあるわ」

《なんです?それ》

「要するに斧と槍よ」

《刀は?》

「うーん・・・・アクティブ・ソードも開発してるんだけど・・・・刀身の強度を均一に出来ないのよ・・・・実戦投入はしばらく先ね」

《わかりました》

そしてパレットガンを構え直し、使徒を片付けていく初号機。

もちろんここは街中などではない。

使徒もあれから来襲していない。

ネルフ本部のエヴァ訓練施設。そこでエントリープラグのディスプレイにだけ映し出される街並みの中でシンジは戦っている。

一昔前の流行りの言葉でいえば、V・R(仮想現実)というやつだ。

訓練や演習は、それが現実に近ければ近いほど効果が上がる。

野外での実動演習があらゆる意味で不可能な第三新東京市ではこれがもっとも実戦的な訓練だ。

「しかし、よく乗る気になってくれましたね、シンジ君」

コンソールを操作していた女性オペレーターがリツコに囁く。

ネームプレートには『伊吹マヤ』とある。

「さあ?・・・・なにか考えているんでしょうけど・・・・」

「なんで解るの?」ミサトが尋ねる。

「見てればわかるでしょ?・・・・あの子、バリバリの現実主義者よ。言われたからやる、そんな感じゃないでしょ?」

ミサトは顎に手を当てると、

「ふん・・・・確かにね・・・・・・・・14歳にして既に冷徹なリアリスト?・・・・本来なら笑い話ね」

そんな会話を交わす三人の目の前では、初号機が機敏な動きでパレットガンを取り回していた・・・・・・・・・・





















「ミサトさーん!朝ですよー!」

シンジの声が朝の葛城家に響き渡る。

そしてシンジがミサトの部屋のふすまを開ける。

『うわあ・・・・・こりゃスゴイ・・・・・・』

率直な感想であろう。

それほどミサトの部屋は荒れていた。

暴れ馬が部屋の中を通り過ぎてもこうはなるまい、というほどである。

「さっきまで仕事だったのよぉ・・・・今日は夕方までに出頭すればいいの・・・・だから寝かせてぇ・・・・」

暗がりの部屋からいかにも眠そうな声がする。

「わかりました」

といって、シンジはふすまを閉めようとする。

「今日、木曜だったっけ・・・・燃えるゴミ、お願いねえ」

シンジは溜め息をつく。

「はいはい・・・・」

「はい、は1回・・・・・・・・学校、慣れた?」

「ええ、それなりには・・・・いってきます」

「いってらっしゃい」











PILLLLLLLLL!

シンジのいなくなった葛城家に電話の呼出音がとどろく。

ミサトは布団から顔も上げずに受話器を引っ掴む。

「はい・・・・もしもし・・・・なんだ、リツコか・・・・」

《なんだとはご挨拶ねえ・・・・で、彼とはうまくいってる?》

「彼?・・・・ああ、シンジ君ね。相変わらずあの調子よ・・・・でも・・・・」

《でも?》

「まだ、誰からも電話、かかってこないのよね・・・・」

《電話?》

「必須アイテムだから、随分前にケータイ、渡したんだけどね・・・・自分で使ったり、誰かからかかってきた様子、無いのよね。あんな性格だし、友達がいないわけはないと思うんだけど」

《そうかしら?・・・・ミサトの言う”あんな性格”が私達の前だからだとしたら?》

「?・・・・どーゆーコト?」

《並外れた知性と、それに裏打ちされた現実主義・・・・・・・・同年代の子供達からは浮くでしょうね》

「あ・・・・ってゆーコトは・・・・」

《そう。彼の場合その知性が同世代の子達と付き合うのに逆にアダになってるんじゃないかしら?》

「なるほどね・・・・」

《つまりは、それが彼の心の隙間ね》

「隙間?」

《そう。誰もが持ってる心の隙間よ。彼はその隙間がこんな形になってしまったのね》

「誰もがねえ・・・・じゃあ、アンタも持ってるってワケ?」

ミサトはからかうようにリツコに聞く。

《当たり前でしょ?・・・・ミサト、あなただって自分の内に、他人に絶対明かさない、明かせない部分があるでしょう?》

「んー・・・・まあ、そりゃそうねえ・・・・」

《それに多分だけど、彼は自分でその事に気付いてるでしょうね》

「え?なんで?」

《ミサト・・・・彼が何の博士号持ってるか、忘れたとは言わせないわよ・・・・》

「あ・・・・そーいえばそうね・・・・」

《まったく・・・・》

「でも、リツコもなかなかのモンね。セラピストになれるわよ?」

《よしてよ、そんなガラじゃないわ》

「惜しいわねえ・・・・いい人材だと思うんだけど」

ミサトはここぞとばかりにからかう。が、表情を険しくすると、

「そういえばシンジ君の事、あれから何かわかった?」

《シンジ君に関しては収穫ナシね・・・・でも、別の事なら色々面白い情報があるわよ》

「じゃあ、その”色々”を聞かせて貰いましょうか?」

《まず一つ目は・・・・野分一佐だけど、彼、統幕会議直属になったわ》

「統合幕僚会議に?どーゆーコト?あそこは戦略指導が仕事でしょ?」

《事実は勿論わからないけど・・・・推測ならできるわ》

「聞かせて」

《簡単よ、彼がそれほどの人材ってことじゃない?》

「ふん・・・・まあ、そうね・・・・・」

《二つ目は、陸海空自衛隊が国連軍から戻ってきたわ》

「!?なんで?・・・・新国連憲章に反するじゃない!?・・・・それに戦自は?」

《使徒来襲があって、それに現有兵力で対抗するため。これが表向きの理由よ・・・・・それに戦自だけど、3自衛隊の替わりに国連軍所属になったわ》

「・・・・裏で何か動いてるわね・・・・」

《それは間違いないわね・・・・それと三つ目、これがラストよ》

「うん」

《米国が妙な動きをしてるわ》

「アメリカ?・・・・ネルフの第2、第4支部がってコト?」

《いえ、連邦政府、つまりあのポトマック河畔の”白い家”よ》

「詳しいところは?」

《まったく不明・・・・もう少し情報が集まらないと・・・・》

「・・・・わかったわ・・・・他には?」

《今のところはそれだけ。ミサト、気をつけてね、私達の知らない所で何かが始まってるわよ》

「了解・・・・夕方にはそっちに顔を出すわ」

《ん、わかったわ。じゃあ・・・・》

そう言って電話は役目を終える。







『ネルフ・・・・自衛隊・・・・それにアメリカ・・・・なにが始まったっていうのよ!・・・・』




















RINGON・・・・RINGON・・・・

授業開始5分前の予鈴が鳴る。

ここはシンジが通うようになった市立第壱中学校だ。

大学を卒業し、博士号を持っているとはいっても、義務教育が免除されるわけではない。

シンジは極力その事を隠していたし、甲府にいたときも普通の中学校に通っていた。

2−Aの教室は授業前のおしゃべりなどで、かなりうるさい。

だが、シンジはその喧燥の中に加わらず、ウォークマンを聞きながら本を読んでいた。

リツコの予想は的中したようだ。

シンジは人と接するのが苦手という訳ではないが、独りになるのを好む傾向があった。

シンジ自身もそれに気付いており、直そうとは思っているのだが、なかなかうまくいかない。

ただこれは、個人の性格に関わることであるから、一概に良い悪いとは言えないのだが。

そんな訳で、シンジは自分がクラスから浮いていると考えていた。

しかし、周囲は(特に女子生徒は)そう考えてはいないようだ。

「碇君って、カッコイイよね!」

「うん、それでいてクールだし」

「これで、あの噂がホントだったらパーフェクトねえ」

「知ってる?3年の先輩の間でファンクラブが出来たって」

「え?1年の連中も作ったって話よ」

「・・・・これは、うかうかしてらんないわね・・・・アタシ達も作るわよ・・・・」

「そうね、こっちは碇君と同じ学年なんだから、遥かに有利よ」

「じゃあ、キマリね。次の休み時間にでも他のクラスに行って人を集めるわよ」

などという会話が、シンジからさほど離れていないところで交わされていた。

シンジはウォークマンを聞いていたため、幸いにも(?)この会話は耳に入らなかった。

そしてシンジは、時折視線を窓側に座っている包帯だらけの少女に向けている。

その少女は顔を窓の外に向けて、周囲の状況には無関心のようだ。

『綾波レイ・・・・か・・・・一体どんな子なんだ?・・・・心の病でもなさそうだけど・・・・』

シンジがそんな事を考えている間も喧燥は続く。

あと5分で授業が始まるというのに、右手にプラモデル、左手にビデオカメラを持って遊ぶ少年もいる。

と、その時。

ガラッ・・・・

教室の扉が開き、ジャージ姿のちょっと体格のいい少年が入ってきた。

「よっ・・・・久しぶり。トウジ」プラモとカメラの少年が声をかける。

ジャージの少年   鈴原トウジ    は、教室を見渡すと、

「なんや・・・・随分減ったのお・・・・どないなっとんや?ケンスケ?」

カメラの少年   相田ケンスケ    は、ちょっと肩をすくめて、

「疎開だよ、疎開。みんな転校しちゃったよ。街中であれだけ派手に戦闘やられちゃあね」

「よろこんどんのはオマエだけやろな。ナマのドンパチ見れるよってに」

「まあね・・・・トウジはどうしてたの?こんなに休んじゃってさ。」

トウジはちょうど戦闘のあった日から今まで休んでいた。

「こないだの騒ぎで、巻き添えでも食ったの?」

トウジはそこで顔を歪ませる。

「妹のやつがな・・・・」

「!?]

「妹のやつが瓦礫の下敷きになってもうて・・・・命は助かったけど、ずっと入院してんねん。ウチんとこ、おとんもおじんも研究所勤めやろ。今、職場を抜ける訳にはいかんらしいんや・・・・俺がおらへんと、あいつ、病院で一人になってまうからな・・・・」

「ふーん、そうか」

「妹が避難してたシェルターに、例のロボットが飛んできたそうや・・・・あの、変な化け物に吹き飛ばされてな・・・・その衝撃でシェルターの天井が崩れて下敷きに・・・・そんなとこらしいわ・・・・」

「ふーん」

「しっかし、あのロボットのパイロットはヘボやのう!・・・・もうちょい上手くたたこうとったら、妹のやつも・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「見つけたら、ワシがパチキかましたる!」

「その事なんだけど・・・・聞いた?転校生の噂・・・・」

「転校生?」

ケンスケはウォークマンを聞いているシンジを指し示し、

「ほら、アイツだよ。トウジが休んでる間に転入してきた奴なんだけど・・・・妙だと思わない?こんな時期に」

トウジがそれに対して何かを答える前に教室の扉が開き、教師が姿を見せる。

ちょっとそばかすのあるおさげの女の子が号令をかける。

「起立!」








この時間は数学だが、教師はそれから100光年ほど離れた話をしている。

小さい声の合間に「巨大隕石」、「セカンド・インパクト」などの単語が出てくる。

シンジは、その話を半分は聞き流していた。

ユウジから教えられた『自分の目以外は信用するな』という言葉のせいもある。

だが、最大の原因は、冷徹な現実主義者は同時に懐疑主義者でもある、ということだ。

なにも、全てに疑ってかかるという訳ではない。

自分にとって重要な事柄に対し、常に冷静な分析が出来るという意味だ。

そんな理由でぼぉっとしていたシンジは、自分の端末にメッセージが入っているのに気付き、それを画面に出す。



《:碇君があのロボットのパイロットとゆーのはホント? Y/N》

シンジはちょっと戸惑い、あたりを見渡すと、後ろの席で女の子二人が手を振っている。そして、一人はキーボードを叩く。

《:ホントなんでしょ? Y/N》

『・・・・別に、秘密にしていろとは言われなかったよね?・・・・』

シンジはキーボードを叩く・・・・

《:YES》

その途端に、教室全体がどよめき、シンジの周りに人が殺到する。

「ちょっとみんな!授業中よ!!」

先程号令をかけたおさげの子が、皆を叱り飛ばすが、あまり効果は無い。

「いいじゃないのヒカリぃ、カタいこと言わないでよ」

「ねえ、操縦席ってどこにあるの?」

「怖くなかった?」

「どんな風に操縦してるの?」

シンジは一通り質問が出るのを待つと、うわべだけの愛想笑い−−−彼がこんな表情をするのも大変珍しいのだが−−−を浮かべ、

「ごめん、そうゆうことは全部秘密になってるんだ。逆に話したらみんなに迷惑がかかるよ」

そして、シンジ自身も意識しない心の奥底では、

『みんなは、”エヴァのパイロット”の僕に興味があるんだな・・・・悪いけど、友達にはなれても親友にはなれそうにないな・・・・』

と、冷め切った感覚で考えていた。

そして、一番後ろの席のトウジは、そんなシンジを睨み付けていた・・・・・





















ドガッ!

強烈なパンチがシンジの顔面に飛ぶ。

シンジはそれを避けようともしない。そして食らった後も微動だにしない。

「すまんのう、転校生・・・・ワシはお前を殴らないかん。殴らな気がすまんのや」

拳の骨をぽきぽき鳴らしながら言うトウジ。

「悪いね。コイツこの前の騒ぎで妹が怪我したんだよ」ケンスケが訳を話す。

シンジは少し考えていたが、口を開くと、

「で、気は済んだかい?」

去りかけていたトウジはキッと振り向くと、シンジの胸ぐらを掴もうとする。が、

「うぉ!?」

逆にシンジに胸ぐらを掴まれた。

「僕を殴って、君の気が晴れたかい?」

「こんのヤロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」

トウジはシンジの目を見た。

そして、”背筋が凍る”というのを初めて体験した。

まるで全てを見通すかのような、

深く、冷たい瞳・・・・

トウジはそれを見て、自分の全てが見透かされているのでは、という思いにとらわれた。

そして、言葉が出てこなくなった。

「妹さんを傷つけた事は謝るよ・・・・・・」シンジは低く呟く。

「だけどね、僕は正義の味方じゃないんだ。どちらかといえば、傲慢な人間なんだ」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「だから、僕にとって最も大切な物を守るためなら、なんでもやるよ。たとえこの街を壊滅させてもね・・・・」

シンジは淡々と話す。

「それに君だって、大切な人を守り切れなかったから、そんなに感情的になっているんでしょ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「でも、僕が妹さんに怪我を負わせたのは事実だから、いくらでも殴っていいし、軽蔑してもいい・・・・・けどね」

シンジは顔を上げ、少し微笑むと、

「自分を責めるのはやめた方がいいよ・・・・」

「な!!・・・・・・」

シンジは掴んでいた胸ぐらを離す。

トウジは混乱していた。

シンジを殴ったのは勢いだったが、シンジに指摘された事もまた真実だった。

自分が側にいれば、妹は怪我をしなかったのではないか?・・・・ずっとその考えが頭にあった。

シンジはそれを理解した上で、やめろと言う。

「なんで、そないなコトゆうんや?」トウジの口からはそんな言葉しか出てこない。

「思い悩んでいても、妹さんの怪我は良くはならない。だったら、元気な顔を見せた方がいいんじゃないかな?」

トウジは少しの間考えた。

そして、顔を上げて口を開こうとした時に、

WOOOOOOOOW・・・・・・・・WOOOOOOOOW・・・・・・・・

学校中、いや、街中でサイレンの大音響が鳴り響いている。

そして、シンジがふと傍らを見ると、いつのまに来たのかレイが立っていた。

「非常召集。準備して。行くわ」

レイは唐突に言い放つとシンジを見つめたまま動かない。どうやら待っているらしい。

「わ、わかった、綾波。ごめん、二人とも。続きはまた今度!・・・・・・・・綾波、行こう!」

シンジはトウジ達にあやまり、レイに声をかけると走り出す。

呆然とそれを見つめるトウジとケンスケ。

そして、シンジを追いかけるように走るレイ。

彼らの耳にはサイレンに続いて、非常放送が聞こえていた。








《ただいま、東海地方を中心とした関東、中部全域に特別非常事態宣言が発令されました。住民のみなさんは速やかに指定のシェルターへ避難してください。繰り返しお伝えします・・・・・・・・・・・》






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ver.1.10- 1998+06/14修正
ver.1.00- 1998+06/12公開
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あ・と・が・き

みなさんこんにちは。

P−31です。

第3話Aパート(修正版)をお届けします。

何を修正したかというと・・・・

いや、とんでもないポカをやってしまいました。

シンジの年齢は14歳と言ってあるのに、学校の場面で「1−A」と表記してしまいました。

さらにその後の女子生徒の会話でも1年生ということを確実なモノにしてしまいました(大馬鹿者)


この場を借りてお詫びいたします。


指摘して頂いた櫻木さん。
ありがとうございました。





 P−31さんの『It's a Beautiful World』第3話Aパ−ト、公開です。




 主人公の性格がここまで違うと、
 色々と不思議な感じ−−−−


 変わってきているよね、
 なんとなく。



 こういう風なのもありなのかな。



 何でも出来ちゃって、
 強格好良い風





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