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[03;プリーチャー]の部屋
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第零話 「さようなら、君に会えて嬉しかったよ」
その日、碇新司はご機嫌だった。
どのくらいご機嫌かとゆうと
「ふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
とひたすら笑い続けているほどご機嫌だった。
はっきり言って不気味だ。
そのうちに古風な柱時計が鳴る。
その八点鐘を聞いてこのままトリップしていては遅刻することに気づき、少年は
ようやく笑いをおさめた。
「おじいさん、おばあさん、行って来ます!」
そう言って出かけていった孫を、老夫婦は嬉しそうに見送った。
「新司は随分元気になりましたねえ」
「よっぽど唯からの電話が嬉しかったんかいのお」
「ほんに、あの子ったら電話一つよこさんでねえ」
この二人は唯の両親である。厳道とは絶縁状態にあったのだが、ある日、死んだ
はずの娘が突然やって来たのである。
そして、まるで自閉症のような孫を預けていった。
自分と同じように消えた新司の友人を助けなくてはならない、と言って。
正直言って何を言っているのか、良くわからなかった。
だがそれが娘であるのは間違いなかった。
「世の中には不思議なこともあるものだ」
と納得するしかなかった。
新司も大人しい良い子だった。
ただ、まるで心が壊れてしまっているように、笑うことも怒ることもなかった。
時々顔を腫らしていたり弁当箱を割られていたりしていて、学校でもうまくやっ
ていけている様子ではなかった。
そう、昨日唯から電話がかかってくるまでは。
「電話一本で治るのなら、もっと豆に電話すりゃあええもんを」
そう言うことではなかろう、と思いながら老婆はゆっくりとお茶を飲んだ。
彼らは幸福だった。
「よもや、初号機が失われるとは」
「それも、リリスまでも道連れに消滅するなど・・・・・」
「碇め、この責任は重大だぞ」
「何を言う、そもそも第拾七使徒を送り込むのは君の発案ではなかったかね」
「今碇を処分することはできん、人類補完計画続行の望みがある限りはな」
「だが一体どうやって、零号機さえ残ってはいないというのに」
「まだリリスは残っている。ファーストチルドレンとダミープラグがな」
「・・・果たしてそんな事が可能なのですかな」
「そんな弱気なことでどうする。今更手をひく事などできんのだぞ」
「さあ、それはどうですかな・・・・・・」
「・・・明日香・・・・起きてよぉ・・・・明日香・・・・明日香・・・」
今にも縋り付かんばかりに助けを求める新司。
そのポケットの中で携帯電話が震える。
ビクッと一瞬身を強張らせ、新司は、まるでそれが毒虫であるかのように、指先
だけで取り出す。
そして、浮かない顔で流れ出る声に耳を傾け・・・次の瞬間喫驚の声をあげる。
「母さん?」
「どういうつもりなんです?」
唯の瞳から放たれる怒りを込めた視線が、射抜く様に厳道に向けられた。
その瞳はまるで色素を失った様に紅く紅く、血の色に染まっていた。
光波、電磁波、粒子を遮断し、その強力さ故「結界」といわしめた絶対領域。
それゆえその時、その中で、いかなる事態が進行していたのか知る者はいない。
ただ、全てが終わった時、そこには住人を無くした巨大な十字架が、水深30M
の膨大なLCLから虚しく突き出ているだけだった。
ただちに設置されたセンサーの全てを動員した捜索が行われた。
だがその結果は、LCLに浮かぶ男女各一名と沈んでいるエヴァンゲリオン弐号
機、そして初号機の拘束具が発見されたのに過ぎなかった。
初号機と、そしてアダムと呼ばれていたリリスは消滅していた。
文字通りあとかたも無く・・・
けれど彼は
彼女の想いに
応えてはくれなかった。
「う、わあああああああああああああああああああああああああああああ、あああ
あああああああああああああああああああああああ、あああああああああああああ
あああああああああああああ!」
少年は絶叫していた。
まるで、そうする事で目の前の現実が消えるのだ、という様に叫んでいた。
やがて、初号機もまた全身を震わせ、咆吼し始めた。
その肩の拘束具がはじけ飛び、光の羽根が展開されてゆく。
それとシンクロしている様かのに、リリスにも異変が起き始めた。
エヴァをも上回るサイズの、水死体の様に白い巨体が発光し始め、表面から発生
した光の粒子が蛍の様に周囲を飛びまわる。
「うっぐ・・・ぎ、げええええ・・・」
がくがくと痙攣していた麗の体が、不意に支えを失った様に落下した。
LCLの湖に水柱が立つ。
「ぐうぇ、あ・・・・う・・・はう!」
麗は異常なほどの火照りと激痛とにあえいでいた。
その痛みは落下の衝撃による物ではなかった。
彼女の体は変形、否、成長していた。
全身の骨が歪み、きしむ。
筋肉は脳の制御を離れ痙攣を繰り返す。
心臓は破裂しそうに激しく脈打つ。
(・・ほ、骨が・・伸びる・・)
引き千切られる様に痛む筋肉と皮膚も、急激に成長して行く。
細胞の一個一個が暴走し、燃え上がっていく様に熱い。
けれど、本当に痛むのは心だった。
燃えあがり、消えてゆくのは記憶だった。
「ああ・・・い、いや・・・あっ・・・」
自分の体が、魂が得体の知れないモノに乗っ取られて行く。
その恐怖と絶望に、麗はいつのまにか涙を流していた。
(いや、死にたくない!)
声にならない声でそう叫ぶ麗。
だが、その恐怖自体、麗が「零」でなくなっている証だった。
そして、最後に残った麗の想いが、「二人目」から受け継いだ記憶が断末魔の叫
びをあげた。
(・・・たすけて・・・いかり・・・・・・・・くん・・・)
「さようなら、君に会えて嬉しかったよ」
始めまして、プリーチャー(説教屋)です。
インターネットを始め、エヴァSSを読むようになって以来の念願だっためぞんエ
ヴァへの入居を果たし、感激に打ち震えています。
管理人様、お客様方、どうぞよろしくお願いします。 敬具 03;プリーチャー
118人目の新住人です(^^)
03;プリーチャーさん、ウェルカムですです♪
今回の募集、4人目ですね。
考えていた以上のハイペースで応募があり、
焦りまくっています(^^;
「最近下火になってきた」なんて言われているEVAですが、
そんなことはないのか!?
3月は投稿が大幅に減っていたので
募集に踏み切ったのも有るんですが・・・
減っていたのは年度末が影響していたのでしょうか、
この何日かそれなりに来ています。
寝る時間が無くなる恐れが・・ (;;)
03;プリーチャーさんの第1作『シ者 再来』第零話、公開です!
疎開先(?)の学校で、
再会(?)を果たした新司と麗。
「シンジ」と「レイ」に当てられた漢字が
これまで割と使われてきた物と異なりますね。
この辺りにも何か含みがあるのかな。
ひかりも冬児も。
明日香はそのまま?
特に意味はないのかな??
さあ、訪問者の皆さん。
感想メールを歓迎として送りましょう!
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