「チャ〜ンス」
アスカがよからぬ事?を考えている間にもガギエルがまた一隻の船を沈める。
「ガギエルか・・・(このフィールドは君の力が存分に発揮出来る場所だね。)」
「(逆に彼女にしてみればやりにくい事この上ないけど・・・)」
「さて・・・どうするか?」
シンジはのんびりとそんな事を考えていた。
−ある船室−
床にアタッシュケースをおいてブラインドから外を眺めている男がいる。
その男、加持は電話をしていた。
「こんな所で使徒襲来とは聞いてませんよ、碇司令。」
「心配ない、シンジがいるからな。」
「お子さんの御自慢ですか?」
「そ、そうではない、だが巻き添えを食うわけにもいかん君だけでも・・・」
「解りました、貴方の自慢の息子さんの勇姿は次回という事で。」
そこで加持は相手の返事も聞かずに電話を切った。
「着いたらなにか言われるかな?」
そんな愚痴を漏らせる余裕を持ってここから飛び立つ為の準備をする。
−甲板−
シンジはまだ考えていた。
横から元気な声がシンジにかかる。
「ちょっ、ちょっとアンタ。」
心なしか頬が赤い。
「なに?」
心ここに在らずといった感じのシンジがアスカの方を向く。
「今から使徒を倒しにいくわよ!」
「もしかして僕も?」
「そ、そうよ!なんか文句あんの?」
「いや、いいよ。(その方がフォローしやすいか・・・)」
「じゃあ、プラグスーツに着替えてから格納庫に行くわよ。」
「わかったよ。」
アスカは自室に着替えに行くために走っていった。
シンジも万が一の為とゲンドウに持っていけと言われた自分のプラグスーツに
着替えるために荷物のおいてある場所に走る。
−エントリープラグ内−
「B型装備でどうやって戦うの?」
「やってみなくちゃわかんないでしょ?」
「それはそうだけど・・・」
プラグスーツを着て弐号機にエントリーして弐号機を起動した二人は
どうやって使徒を倒すか考えていた。
「ここで考えていたってしょうがないわ、とりあえず外部電源に切り替えなくっちゃ。」
「そうだね、ミサトさんに頼まないとね。」
「エヴァンゲリオン弐号機、起動!」
アスカの掛け声と共にゆっくりと起き上がる弐号機。
その頃ブリッジでは・・・
−ブリッジ−
「いったい何がどうなっているんだ?」
「被害状況はどうなっている!」
焦る艦長を尻目に黙々と命令を飛ばす副官、しかし聞こえてくるのは状況を悪くするものばかりだ。
そんな男の戦場に女性の声が響く。
「ちわ〜、ネルフですけど見えない敵の情報と、的確な対処はいかがっすか〜。」
「戦闘中だ、見学者の立ち入りは許可できない。」
「これは私見ですがどうみても使徒の攻撃ですねぇ。」
ミサトの言葉に一瞥もくれない艦長を好機の目でみるミサト。
どうでるか楽しみのようだ。
「全艦任意に迎撃!」
「無駄ね・・・」
やっぱりといった感じのミサト。
「何故だ?何故沈まん?」
「エヴァじゃなきゃ無理ね・・・」
艦長の焦りの言葉にボソリとミサトが呟く。
ブリッジに何をしても無駄という雰囲気が走る。
そんなわずかな静寂を破る通信が入る。
『オゼローより入電、エヴァー弐号機起動中。』
「ナ〜イス、アスカ!」
我が意をえたりとミサトが表情を崩す。
「いかん、起動を中止だ元にもどせ!」
軍人のプライドが許さないのか艦長が反対する。
ミサトが艦長のマイクを横取りする。
「構わないはアスカ発進して!」
「なんだと、エヴァおよびパイロットは我々の管轄下だ!勝手な真似は許さん。」
「何言ってるのよこんな時に、段取りなんかどうでもいいでしょ!」
「しかし、弐号機はB装備のままですが。」
二人の取っ組み合いを余所に双眼鏡を覗き冷静に報告する副艦長。
『海に落ちたらまずいんじゃない?』
『落ちなきゃいいのよ』
スピーカーから二人の会話が聞こえてくる。
「シンジ君も乗ってるのね?」
『はい!』
「子供が二人!?」
「試せる・・・か」
驚きを隠せない艦長を尻目に独り思案するミサト。
「構わないわアスカ、出して!」
ガギエルがエヴァのいる船に向かって真っ直ぐに進んでくる。
−エントリープラグ内−
「来たよ。」
「分かってる、ミサト外部電源の準備しといて。」
『まかせといて。』
「いくわよ。」
アスカの掛け声と共に軽やかに船から飛び上がるエヴァ。
すれ違いざまにその船に体当たりして船を破壊するガギエル。
そのまま海の上に浮かぶ戦艦を踏み台にして旗艦を目指す。
「エヴァンゲエリオン弐号機、着艦しま〜す。」
事も無げにアスカが言い放ち旗艦オーバー・ザ・レインボウに着地する。
その際、フライトデッキにある戦闘機などが海に落ちたのはいうまでもない。
「主電源から外部電源に切り替え。」
その言葉とともに起動時間の表示が変わる。
「装備は?」
「プログナイフ一本あれば十分よ。」
「左舷から来る!」
シンジの言葉を聞きガギエルの来る方向に向きを変える。
そして、エヴァに向かって馬鹿の一つ覚えよろしくガギエルが体当たりを食らわせようとする。
「なにこれ〜。」
「魚みたいだね・・・」
戦闘中にすっ呆けた会話を交わす二人。
だがガギエルはそんな事もお構い無しにエヴァに迫る。
ガシィ
なんとかガギエルを受け止めるエヴァ。
『ナイスよアスカ!』
ブリッジからはそんな声が聞こえる。
「くっ、これじゃ攻撃する事さえできないじゃない。」
そんな愚痴をこぼしながらエヴァを使ってガギエルを捕まえるアスカ。 モニターを通してガギエルと対峙するシンジの目に映るのは、
醜く変わり果てたかつての同胞。
シンジはふと先ほどの会話を思い出す。
『なにアンタ、使徒を倒したのに嬉しくないの?』
「(同族殺し・・・それだけで堕天に値する、僕達のもっとも忌むべき事。)」
「(できればそんな事を君達には味わわさせたくなかった・・・)」
シンジがそんな事を考えている間にも状況はたいして変わっていない。
その間にもガギエルは身をよじらしてエヴァから逃れようと必死にもがいている。
アスカはそんなガギエルを放すまいと必死になって掴んでいるが、如何せんスタミナの差が
ジリジリと顕れている。
このままガギエルに対して有効な手段がとれなければやがて逃げられるのは時間の問題である。
「く、ミサトなんとかしなさいよ!」
『ごめんアスカ・・・せめてNN兵器があれば・・・』
焦りからでたアスカの声にミサトは自分の力の無さを伝える事しかできない。
さっきからずっとエヴァはガギエルを掴んでいるが、足場が不安定なので今にも体制を
崩してガギエル共々海に落ちそうである。
船が右に左に傾くのでブリッジに居る人間は船酔いしているかもしれない。
そして今度は激しく船が揺れる。
ブリッジからはミサトの苦悶の声が聞こえたかどうかは謎である。
そして・・・遂にその時が来た・・・エヴァがこけたのである、盛大な水飛沫を上げて。
バシャン
海に沈んでいくエヴァ、まさに水を得た魚の如く動くガギエル。
海底には15年前には地上に在ったであろう人工物が静かにそのなれの果てを晒している。
そんな前時代のの人工物と新時代の人工物であるエヴァの組み合わせがひどくアンバランスな
雰囲気を漂わせている。
「海に落ちちゃった・・・」
「落ちたねぇ・・・」
まるで受験にでも落ちたような言いようである。
「なんでアンタはそんなに冷静なのよ!」
「老成してるからね・・・」
「何?ロウセイって?」
「老けてるってことだよ、あんまり良い言葉じゃないと思うよ14歳には。」
「ふ〜ん、アンタって大人なんだ・・・羨ましいな。」
「なんで?」
「アタシは大人ぶってるだけ、所詮は子供だもの・・・」
自分に言い聞かせるようにアスカは呟く。
「いいんじゃない子供で。」
それに対してシンジがボソリと答える。
「子供でいる時しか子供でいられないんだよ、だから目一杯周りの大人に甘えればいいのさ。」
「そう・・・かな?」
「そうだよ・・・っと、お喋りは終わりだよ。」
一転して真剣な表情をすると前方からくるゼルエルを見据える。
「でも動かないわよコレ・・・」
アスカはガチャガチャとレバーを動かし、さも当然のように言う。
「じゃあどうしろと?」
「根性で何とかしなさい。」
「根性ねぇ。(確かに此処ならミサトサさんに直接見られてないから力は使いやすいけど・・・)」
「(問題は彼女がそれに触発されて力が暴発しないかが心配だ・・・)」
そんな事を言っているうちにゼルエルがもう目の前に迫る。
そののっぺらな顔からサメのような歯を見せエヴァに喰らいつこうとする。
「ちょっと何よアレ?」
「口じゃない?使徒といっても生き物みたいなもんだからねぇ。」
「もしかして食べられるって事?」
「そうかも・・・」
グシャ
海の中を自在に動くガギエルが身動きできないエヴァに食らいつく。
その口の中にはエヴァの上半身がすっぽりと収まっていた。
巨大な人工物が巨大な生物に噛み砕かれようとしている様はなかなか滑稽なものに見える。
「大丈夫?ってアレ?」
今まで使徒に噛み砕かれた人間など誰一人としておらず、ましてやそのダメージが14歳の
少女の身体に降りかかるであるのである。
いくらエヴァに乗るための訓練を受けたアスかとはいえその痛みには耐えられなかった。
「気絶・・・しちゃったのか、その方がやりやすいかな。」
そう言うとシンジは静かに目を閉じ、力を頭の中で構成する。
シンジの周りに光が包み始める。
その光が眩いばかりの輝きを増すとシンジはゆっくりと目を開ける。
シンジの瞳に力が宿りかすかに黄金の輝きを放つ。
「まずは奴を止めなくては・・・」
だがシンジはガギエルに集中していてアスかの異変に気がつかない。
アスカがほのかに紅い光を放っていることを・・・
そしてシンジは力を解き放つ。
彼を止める為に、その呪われた呪縛から解き放つために・・・
シンジの身体から放っていた光が幾分か弱まる。
それが合図となりガギエルの周りが一瞬、強烈な光を放つ。
その光は海面すらも輝くぐらい眩しい。
その光が徐々に収まるとガギエルは光の鎖で戒められていた。
ガギエルが網に捕らわれた魚のようにジタバタと暴れる。
その間にもアスカを包む紅き光りは輝きを増していく。
力の制御とその試行に一息ついたシンジがふとアスカに目を留める。
そしてその異変にようやく気づく、だがその時すでに光はアスカを包み込んでいた。
「しまった!僕の力に触発されたか!?」
シンジの危惧していた事が目の前で起ころうとしている。
ゆっくりと起き上がるアスカ、ゆっくりと開かれたその瞳はシンジと同じ黄金の瞳。
その瞳は力ある者のアカシ、その色は御使いのシルシ、その力が司るはホノオ。
右手を静かにモニターに映るガギエルに伸ばす。
その手は紅くどこまでも透き通った輝きが包んでいる。
浄化の焔・・・そんな形容がしっくりとくる光。
ジュワッ
そしてそれは実際に起こる。
周りの海水を一瞬で蒸発させるほどの熱量を持った焔がガギエルを覆う。
それはまさに一瞬の出来事だった、シンジはアスカの挙動に目を向けていて
何が起こったのか理解するのに少し時間がかかったほどだった。
−そのころ上では−
「なにが起こってるの!?」
シンジ達とは通信が繋がらず、目の前では弐号機が沈んだ辺りに渦ができている。
誰でもいいからこの状況を説明してもらいたくなるミサトの気持ちもよく判る。
「こ、これは……そんな馬鹿な……。」
「何か判ったの!?」
「周りの海水の温度から……し、使徒周辺の海水もろとも……蒸発した模様です。」
「そのデータは正確なの!?」
「計器類は全て正常に作動しています。」
その報告を聞いた者全てが背筋に冷たいものを感じた。
「弐号機の回収、急いで。」
(使徒を一瞬で蒸発せしめる熱量なんてそんな事ある訳…いや、あの子ならあるかもね……)
使徒は殲滅したものの、ミサトの胸中は穏やかではなかった。
「ミサトさんにまた疑われちゃったかな?」
シンジは溜息にも似たセリフを呟くとオーバー・ザ・レインボウがあるであろう方向を見上げた。
SL:………ほんとだな。
秀真:なんかね…余裕がね…パソコンも変わったし…
SL:長かったなぁ……
秀真:いき抜きに軽めのものを書こうかなぁ…
SL:イヤ…それはいいんだけどね、読者の皆さんにお詫びがないなぁって思ってさ…。
秀真:本当にすびまぜんm(_ _)m
SL:さて、次は俺の番だな?
秀真:今回はすぺしゃるげすとの御登場が…
SL:へぇ〜、珍しいな。誰が来るんだ?
アスカ:アタシよ!!!
秀真:……
SL:…なんだ、お前か。
アスカ:今のアンタの発言は一億五千万人のアタシの下僕を敵に回したわね。
秀真:カミソリメ〜ルはSL宛にどうぞ…
SL:…で、何しに来たんだ?
アスカ:そうよ!!!ちょっと秀真!なによあんなのアタシじゃないわよ!!!
秀真:いや…あれは初顔見せということで…あんな風になったわけで…
SL:これはこれでい〜んじゃないの?いや、むしろこっちのほうがシンジにうけるかも…
アスカ:それはそれで嬉しいかな…(*^^*)
秀真:まあ次回からはいつものアスカちゃん…かな?
SL:それはそうと秀真、お前今回は素で書いてないか?
秀真:はっ、しまったナリ。
アスカ:間抜けねぇ〜
SL:さて、そろそろ締めるか……
アスカ:アンタも短編早く書きなさいよ。(ニヤリ)
秀真:なんナリか、その「ニヤリ」は…
SL:(俺知〜らねっと。)
アスカ:いいからアンタは黙って書けばいいのよ!!!
秀真:判りましたナリ、勿論LASなやつを…ナリね。
SL:(死んだな…)
アスカ:それじゃあ、こんな奴らでも見捨てないで付き合ってね。(はぁと)
秀真:久しぶりの…さようナリ〜
SL:ぢゃ、そゆことで。
SL:お前な〜、「こんな奴ら」は無いだろうが!
アスカ:ギロッ!
SL:へいへい…そういう事にしときましょう。
レイ:………。