そこはまさに彼らの為の彼らだけの場所、何ぴとにも犯されない聖なる領域。
そしてその聖域に静かに現れる12のモノリス。
01と表示されるモノリスが沈黙を破る。
「いよいよ始まる、我々の崇高なる計画が。」
「しかし、あの男の元に全てを預けるのは危険では・・・」
06と表示されるモノリスが01に発言する。
「だが、あの男以外にこの計画を遂行出来る者がいない。」
03と表示されるモノリスが06の発言に釘をさす。
「それにあの男の息子は初戦でアレとのシンクロ率が90%近くでたという話だ。」
02と表示されたモノリスが03のあとを押す。
「何にせよ、今はシナリオ通りに事を進めるしかない。」
再び01が発言しその場を締めくくる。
全てのモノリスが消える。
そしてその場に静寂が戻る。
否、静寂に溶け込むように闇の中に異物が存在する。
「くっくっくっ、シナリオ通りか、せいぜい楽しませてくれよ・・・ニンゲン達。」
そして、本当に静寂が闇を支配する。
−同日今朝−
(あれ?ここはどこ?)
(・・・でも、知ってるような気がする。)
アスカは今、夢の中にいる。
その場面はいままさに、『あの』天使が堕ちる瞬間であった。
(なにこれ?)
(剣を持ってる天使・・・泣いてるの?)
(あ!もう一人の天使が消えてく・・・)
そして天使は堕ちていく・・・
光の一切届かない無限の闇へ。
世界が揺らいでいく。
「夢・・・だよね・・・」
目が覚めたアスカはベッドから起きず天井を見つめている。
「それにしてもあの消えていった天使、他のどの天使よりも奇麗だったな。」
アスカは光り輝く12枚の翼を持つ天使の姿を思い出していた。
「あれ?なんでアタシ泣いてるんだろ・・・」
アスカは瞳から零れ落ちる涙を拭った。
「なんか・・・とっても大切な事のような気がする・・・」
コンコン
アスカは部屋の扉をたたく音に気が付いた。
「は〜い。(まっ朝からしんみりするのはアタシの性分じゃないし。)」
「アスカ、起きたか?」
「加持さん?」
「ああ、飯でもどうかなっと思ったんだが。」
「一緒に行きま〜す、ちょっと待ってて下さいね。」
急いで着替えるアスカ、しかしアスカも14歳の女の子である。
やはりどうしても時間がかかってしまう。
バシュウ
アスカが扉を開けて飛び出してきた。
「ごめんなさ〜い、加持さん待ちました?」
「まぁ、女性の着替えは時間がかかるってのは今も昔も変わらないからな。」
「ありがとう加持さん、じゃ行きましょう♪」
そう言うとアスカは加持の腕にしがみつき引っ張るように進んでいく。
「おいおいアスカ、そんなに引っ張らなくても朝食は無くならないぞ。」
−食堂−
アスカと加持は食堂で少し遅れた朝食を取っていた。
「今日、ネルフの本部から弐号機とアスカの受け取り人が来るらしい。」
「むぐっ、誰が来るの?」
「まっ、俺達と面識がある奴だとすれば葛城だろう。」
「ミサトかぁ、ひさしぶりだなぁ。」
ミサトはネルフ本部に来る前まではアスカ達のいるドイツ支部にいたからである。
「あと、噂のサードチルドレンも来るらしい。」
「なんで?」
ガタッ
おもわず身を乗り出すアスカ。
「さぁ?(まぁ保険みたいなもんだろう、運んでる物が物だけに・・・な。)」
「むぅ〜。」
頬を膨らすアスカはいかにも14歳の女の子といったカンジだ。
「おいおいそれぐらいでむくれるなよ。」
「むくれてなんかないもん!」
「わかった、わかった、だから早く朝食を済ませちまおう。」
「え〜、せっかくの加持さんと一緒に食事してるのに〜」
「昼前には着くらしいからアスカも準備しとけよ。」
「は〜い。」
−フライトデッキ−
バババババババババ
ヘリ特有の重い音がフライトデッキに響き渡り、風が巻き起こる。
ヘリがもうすぐ着艦しようとしている。
彼女のワンピースが風にたなびく。
「やっとサードチルドレンのお出ましってわけね。」
ゆっくりとヘリが着艦する。
ヘリの起こした風も次第に収まっていく。
遠巻きに船の兵士たちが様子を静観している。
静かにそしてゆっくりとヘリのドアが開く。
「ふ〜、やっと着いたわね、ヘリの移動って結構疲れるわね。」
ミサトがヘリから降りて開口一番愚痴を漏らす。
「・・・年だからじゃないですか。」
シンジはさっきの事をまだ根に持っていたらしくミサトに突っ込む。
「なんですって〜!」
「Hello!ミサト!」
ミサトがシンジに向き合い食って掛かろうとした時に金色の髪をなびかせ
少女がミサトに呼びかける。
ミサトは気勢をそがれたのか声を掛けられた方に振り向く。
つられてシンジも声の主に視線を向ける。
−碇シンジという少年の場合−
・・・そんな・・・嘘だろ!
なんで彼女がこんな所に・・・まさか彼女が・・・セカンドチルドレン?
もし・・・運命という物があるなら・・・それは余りにも残酷だ。
彼女には昔の事を思い出して欲しくない・・・
それは彼女を苦しませるだけだから・・・だから・・・だから僕は彼女を
絶対に護ってみせる!
例えこの身が砕けようとも。
−惣流アスカラングレーという少女の場合−
誰だろう?あの子、あれがサードチルドレン?
どかで逢ったような気がする・・・でも一度も会ったことない。
これって既視感ってやつ?
それになんだか胸の奥が切ない・・・それにとっても哀しい。
・・・でも嬉しい気持ちもある・・・
やだ・・・アタシおかしいのかな、涙が出そうになる・・・
誰?・・・アナタハイッタイダレナノ・・・
どうしてアタシはこんな気持ちになるの?
ミサトがアスカの異変にいち早く気が付く。
「ちょっ、どうしたのアスカ?」
アスカは知らず知らずのうちに頬にひと雫涙を流していた。
「え?え?え?」
アスカには自分が泣いているのにも気づかず混乱している。
そんな慌てるアスカの目の前に何時の間にかシンジが立っている。
「ごめんね。」
シンジはそういうと優しく微笑んでアスカの頬を伝う涙を拭った。
「あっあっあんた、なにすんのよ!」
バシッ
アスカはシンジに平手打ちを食らわせると艦内に走り去ってしまった。
「(なんで?なんであいつに触れられただけで心が落ち着くの?)」
「(・・・もう訳解んない!・・・でもあいつの笑顔奇麗だった・・・)」
アスカは慌てて頭を振る、今思っていたことを振り払うように。
「何考えてるのよ、アタシは惣流・アスカ・ラングレーよ!」
シンジは真っ赤な紅葉の跡をさすりながらアスカの後ろ姿を見つめていた。
「やれやれ。(性格までそっくりとはね。)」
「やるじゃな〜い、シンちゃん。」
何時の間にかシンジの背後に立っていたミサトが隣のお姉さん的ノリでシンジに絡む。
「へ?いや、あ、あの、その、なんていうか無意識の内にやっていたというか・・・」
途端にうろたえまくるシンジがしどろもどろに弁解する。
「へえ〜、無意識ねぇ、シンちゃんって意外と女泣かせかもねぇ。」
此処ぞとばかりにさっきの仕返しをするミサト、彼女も根に持つタイプのようだ。
そんな二人の様子を遠くから見つめる人物がいる。
「う〜ん、ライバル現るってやつだな。」
そう言うと男は吸いかけの煙草を海に投げ捨てた。
言わずと知れたネルフの誇る女ったらし加持である。
−ブリッジ−
そこにはさっきから不機嫌極まりない顔をしている艦長とおぼしき人物と、
その後ろに無表情で立っている副艦長とおぼしき人物がミサト達と対している。
ミサトが自分の身分証明書を艦長に見せると、さらに艦長の顔が渋くなる。
それもそのはずである、いま国連の予算の大部分はネルフに吸い上げられているから
国連の軍人としては不快なのである。
「これはこれは、てっきりその子供達の引率者かと思ったよ。」
艦長がシンジとアスカに一瞥をくれると精一杯の皮肉を放つ。
ミサトはそんな皮肉に青筋を立てながらも必死に堪える。
「ご理解いただけて幸いですわ。」
「いやいや、わたしの方こそ久しぶりに子供のお守りができて幸せだよ。」
あくまでも皮肉で返す艦長。
「今回はエヴァ弐号機の輸送援助にご協力いただきまして誠にありがとうございます。
これが私どもが運んできた非常用電源ソケットの仕様書です。お納めください。」
それを無視して話を進めるミサト。
「はんっ、だいたいこの海の上であの人形を動かす要請など聞いちゃおらん」
「万一の事態に対する備え、とご理解していただけますか」
「その万一の事態に備えて我々太平洋艦隊が護衛しておる。
いつから国連軍は宅配屋に転職したのかな?」
「はっ、某組織が結成されてからだと記憶しております。」
今まで何も喋らなかった副艦長が即座に答える。
「まったく人形一つ運ぶのに結構な護衛だよ。太平洋艦隊が勢揃いだからな。」
まだ皮肉を言い足りないらしく艦長はさらにきつい言葉を吐く。
さすがにその言葉にはカチンときたらしくミサトが語気を荒げて弁解する。
「エヴァの重要度を考えれば足りないぐらいですわ・・・ではこの引き渡し書にサインを。」
ミサトは書類を艦長に差し出す。
「まだだ。エヴァ弐号機および同操縦者は当艦隊がドイツ第三支部より預かっている。
君等の勝手にはさせん。」
ミサトの口が引きつり額の青筋が二、三本増えたのはのは言うまでもない。
「ではいつ引き渡しを?」
「新横須賀に陸揚げしてからになります。」
抑揚のない声で副艦長がこたえる。
「海の上は我々の管轄だ。黙ってしたがってもらおう。」
艦長の言葉にミサトがプッツンしそうだったがシンジがなんとか抑えブリッジから退出する。
−食堂−
「き〜〜、昔の軍人ってなんであんなに石頭なのかしら!」
今までの鬱憤を晴らすかのようにミサトが絶叫する。
「まあまあ、落ち着いて下さいよミサトさん。」
「ちょっとアンタ!エヴァをあそこまで貶されてされても平気なの?」
今まで沈黙を保っていたアスカまでシンジに絡んでくる。
「はぁ〜、とにかくこんなとこで怒っていても仕方ないじゃないですか。」
手が付けられないといった感じで二人を宥めるシンジ。
「女性のご機嫌を取るのは容易じゃないぞ碇シンジ君。」
ミサトを後ろから抱きしめながらシンジに話し掛ける加持。
「ちょっ、ちょっと、誰よ?やめてっ!」
慌ててミサトが後ろを振り向く。
「か、加持ぃ!?」
「加持さん♪」
ミサトは迷惑そうに、アスカは嬉しそうに加持の名を呼ぶ。
「よ、葛城、久しぶりだな。」
「やっぱりあんたこの船にいたのね。」
リツコの言葉で何となく観念していたミサト。
「も〜加持さん今までどこに居たの〜」
アスカが甘えた口調で加持に質問する。
「ん?ちょっとな、所で君が碇シンジ君かい?」
アスカの質問を軽く受け流し改めてシンジの方を見る加持。
「え?なんで僕の名前を?」
「希代のプレイボーイと噂されているからね。」
「は?」
シンジは?マークを三つほど頭に浮かべる、ミサトは横で声を殺して笑っている。
「まぁ冗談だよ、なんにしろ君はこの世界じゃ有名だからね。」
加持はお得意の男臭い笑みを浮かべる。
「何の訓練も無しにエヴァを実戦で動かしたサードチルドレンってね。
しかもすでに三体もの使徒を倒している。」
「僕は・・・やれる事をやっただけです・・・」
シンジは俯くとそうつぶやいた。
「なにアンタ、使徒を倒したのに嬉しくないの?」
アスカはその言葉が面白くないらしくシンジに突っ込む。
「・・・!」
アスカの言葉にますますシンジは辛そうな表情をする。
「ちょっ、ちょっとまるでアタシが苛めてるみたいじゃない・・・」
「ところでシンジ君、君は葛城と同居してるんだって?」
「ええ…そうですけど。」
その場の空気を察した加持がすかさず新たな話題を振る。
その気遣いを察したシンジがすかさずその話題に乗ってくる。
「こいつ、寝相悪いだろう?」
その言葉に三人共驚く。
加持の発言に皆ビックリしてるのはその言外の意味を悟ったからだろう。
「ええ、毎朝起こしに行くんですけど、そりゃもうとても結婚前の女性とは思えないほど。」
そこからいち早く立ち直ったシンジが加持に答える。
それはまるでさっきのアスカの言葉を忘れようとするかのように。
「な、な、何言ってんのよ!子供達の前で・・・」
ミサトの顔が羞恥の為に赤くなる。
「今更恥かしがるような歳でも無いでしょう?ミサトさん。」
目の前のトレイにある食べ物を食べながらシンジはミサトに突っ込む。
「もう!シンジ君まで何言うのよ!」
まだ頬の紅潮が取れないのかそれとも怒りの為かいささか声を荒げてミサトが
シンジに反撃を試みる。
その頃アスカはというと、衝撃の告白を目の当たりにしてミサトを睨み付けている。
「もう加持のぶわぁかぁ!」
恥かしさと苛立ちを加持にぶつけるミサト。
「ははは、じゃそういうことで・・・シンジ君、アスカまた後でな。」
そういって加持はその場からさっさと逃げてしまった。
「ミサトと加持さんってそういう関係だったのね。」
アスカはそう冷たく言い放つとミサトを睨み付ける。
「あ〜らアスカ、焼きもちかしら?いっちょ前に。」
ご機嫌斜めのミサトは正面きってアスカに対抗する。
「ふん!加持さんにアンタみたいな行き後れじゃ勿体無いって言ったのよ!」
「あらあら、加持はロリコンじゃないからあんたなんか眼中にないの。」
何時の間にか加持との関係を認めているのにミサトは気づかない。
「(やれやれ、自分の半分も生きてない娘に嫉妬してどうするんですかミサトさん。)」
「(アスカもハシカみたいなものだって事にいつか気づくよ。)」
未だ黙々と昼食を取っているシンジが冷静にその場を見つめていた。
そして不意に何かを感じて振り向く、壁の向こうにいるモノにたいして。
その時船内に軽い衝撃波が走る。
「な、なに?今の衝撃波。」
アスカと壮絶な舌戦を繰り広げていたミサトが肩で息をしながら呟く。
「か、甲板にでてみましょ。」
アスカも肩で息をしながら二人を促す。
「そうだね。(こんな所にまで君達は来るのかい。)」
−甲板−
外に出てみると事態は一瞬で把握できた。
オーバー・ザ・レインボウの護衛艦が次々とガギエルによって沈めらている。
「たくっ、しつこい男は女に嫌われるわよ。」
苛立ち紛れに皮肉を言い放つミサト。
「チャ〜ンス」
ネルフ特有の半角笑いを浮かべたアスカはよからぬ事を考えついたようだ。
SL:なんだぁ?三話構成になっとるではないか!?
秀真:テキストの量がどんどん増えていったナリよ。
SL:そういえばそんなこと言うとったな・・・
秀真:でも書きたいことの半分も書けなかったナリ・・・
SL:つーことは何か?四話構成になるとゆーのか?
秀真:いや、そうじゃなくてね、何となく今回は書いててしっくりこなかったナリ。
SL:前から書きたかった話だけにってやつか?
秀真:そうかもしんない・・・
SL:まあよい。で、次は戦闘シーンから始まるわけだが?
秀真:連続三話はちと辛いのぅ。(遠くを見る)
SL:さて、と俺は俺でSSでも書くかな?
秀真:農協の事でも書くの?
SL:いんや。レイちゃん覚醒編でも書こうかと・・・
秀真:どおいう事ナリ?
SL:うむ。覚醒に至るまでをレイの側から書いてみたくなってな・・・
秀真:そう、よかったわね・・・(某少女のマネ)
SL:くっ・・・、ま、まあよいわ。はよ続きかけ!
秀真:だったら学校の鬼のような課題を何とかしてくれナリ。
SL:出来るもんならとっくにやっとるわ・・・
秀真:学校で革命を起こすとか?
SL:おまえなぁ・・・大富豪じゃあるまいしそんな簡単に起こせるか。
秀真:学校のサーバーをダウンさせるとか・・・
SL:クビになってもいいのね?
秀真:でも、ダウンしたらオイラ、ネットができなくなるかな?
SL:だろうな。手前で手前の首絞めるようなもんだ
秀真:あっそういえば(棒読み)個人宛てのメルアドができたんだよね?
SL:ソウソウ、デキタデキタ。
秀真:なんでカタカナナリ?
SL:いや、なんとなく。まあいいや、今日はここまで。
秀真:なんか理不尽さを感じるナリ、まぁ個人に返事を書いてもらいたい
秀真:場合は個人を、二人に返事を書いてもらいたい場合はいつもの奴で
秀真:よろしくお願いします。
SL:・・・とまあ、そういう事です。はい。
秀真:面倒くさがりナリね・・・
SL:それでは皆さんさよ〜なら〜(^^)/~~
秀真:皆さん遅れて申し訳ないナリ、次回は・・・前向きに善処しますナリ。
秀真:それではさようナリ〜