サイレンが第3新東京市に鳴り響き、その後アナウンスが流れる。
『緊急警報をお知らせします。
ただいま、東海地方を中心とした関東中部全域に特別非常事態宣言が発令されました。
住民の方々は速やかに指定のシェルターに避難してください。繰り返します…』
−ネルフ本部−
『目標を光学で補足!領海内に進入しました!』
当たり前だが既に発令所にはミサトとリツコの姿がある。
「総員第一種戦闘用意!」
ミサトの号令と同時に第3新東京市は戦闘形態に移行していく。
『兵装ビル、現在対空迎撃システム稼働率48%!』
その報告を聞き、ミサトはシンジの様子を伺う。
「シンジ君、用意はいい?」
既にシンジは初号機に乗り込み、思考を戦闘状態に移行させようと瞑想していた。
「シンジ君!?」
2回目のミサトの呼びかけで、シンジは閉じていた目を開いて呼びかけに答える。
『ちゃんと聞こえてますよ、ちょっと精神統一してただけです。』
ミサトは家でのシンジとはまったくと言って良いほど違う雰囲気に面食らって、少し驚いた様子だ。
「そ、そう。ならいいんだけど…」
(もしかして、二重人格者じゃないわよねェ…)
まったく見当違いの事を考えるミサトを見て、?マークを浮かべるリツコ。
「……それにしても、碇司令の留守中に第4の使徒襲来か…。思ったより早かったわね。」
「前は15年のブランク、今回はたったの3週間ですからね。」
ミサトの発言に答えたのは日向マコト。オペレーター3人集の一人であり、ミサトの部下である。
「こっちの都合はお構いなしってとこね。女性に嫌われるタイプだわ。」
そうこうしてるうちにシャムシエルは、第3新東京市上空に到達していた。
シュパパパパ…
対空迎撃システムが一斉に火を吹く。
「税金の無駄遣いだな。」
冬月の言葉は的を得ていた。
シャムシエルにはかすり傷一つすら与えられない。
「葛城一尉!委員会からエヴァンゲリオンの出動要請が来ています!」
これは青葉シゲル。彼もオペレーター3人集の一人である。
「うるさい奴等ね、言われなくても出撃させるわよ。」
「いい?シンジ君。敵ATフィールドを中和しつつパレットの一斉射、練習どうり大丈夫ね?」
リツコが大まかな作戦をシンジに与える。
「はい、でも多分効果無いですよ。」
「どういうこと?」
ミサトがシンジに尋ねる。
「恐らく今回の使徒は先の使徒より強力なATフィールドを持っていると思われます。
パレットガンは威嚇程度にはなるでしょうが、直接打撃にはならないでしょうね。」
ミサトとリツコは驚きを隠せない。
((なんなの?この子は?))
ミサトは声を絞り出すようにして、シンジに指示を与える。
「そ、そう…でも、威嚇になるなら十分よ。兎に角、上に上がったらパレットの一斉射。 それから後は任せるわ。」
「はい、解りました。」
「エヴァ初号機!発進!!」
ミサトの声の後、初号機は地上に向かってすっ飛んでいった。
−地上−
町中を悠然と飛行するシャムシエル。
もうすぐ初号機が出てくるのが解っているかのように、戦闘形態へと変形していく。
ゴゴゴゴゴ…ガシャン!
パシュゥゥゥ…
シャムシエルの前方にあるビルが開き初号機が姿をあらわす。
拘束具が外されるのと同時にシャムシエルに向けてパレットガンを撃つシンジ。
(サキエルもそうだったけど、僕の記憶にある君の姿とはまったく違うね。
転生に失敗して、天使にも、人にも、まして悪魔にすらなれず、操られる苦しみが…
そんな姿にしてしまったのか…)
パレットガンも一通り撃ち終え、プログナイフを持って構える。
(そう言えば、君は鞭が得意だったよね…)
パレットガンによる弾着の煙の中から光る鞭のような物が飛び出してくる。
シンジは冷静にプログナイフで鞭の一本を切りとばすが、
もう一本はATフィールドの刃をすり抜けて初号機の左足に巻き付く。
「な…にぃ!?」
そのまま放物線を描いて投げ飛ばされる初号機。
近くの山に向かって落ちていく。
『シンジ君、投げ飛ばされた時にケーブルが切れたわ!後4分57秒で動けなくなるわ!』
ミサトの焦りが声を伝ってシンジに届く。
「くっ…さすがにやるね。」
起き上がろうとしてふと初号機の左手を見るシンジ。
「なんで…なんで此処に居るんだ?」
初号機の人差し指と中指の間には、涙を流してこちらを見ているトウジとケンスケの姿があった。
−15分前、第334地下避難所−
「ちっ、まただ。」
デジカメをTVモードにして、見ていたケンスケがぼやく。
「何がや?」
トウジはケンスケに尋ねる。
「見ろよ、これ。」
面度臭そうに画面を覗き込む。
「ま〜た文字ばっかしだよ。俺達民間人には何にも見せちゃくれないんだ。」
「そりゃそうやろ、一応軍事機密やしな。」
そう言ってケンスケにカメラを返そうと差し出すが、
ケンスケは唸りながら拳を握り締めて、明後日の方を向いている。
「一度でいいから見てみたいよな〜、今度はいつ敵が来るのか解らないんだし。」
ケンスケの姿を見て、カメラを差し出したままあきれるトウジ。
「トウジ。」
小声でトウジに話しかけるケンスケ。
何か良からぬ事を思い付いたようだ。
そんなケンスケに対してますますあきれるトウジ。
(またしょ〜も無い事思い付きよったな…)
「…何や?」
「内緒で外に出ようぜ。」
とんでもない事を言い出すケンスケ。
「あほかぁ!外出たら死んでまうやないか!!ムグッ…」
慌ててトウジの口を押さえるケンスケ。
「シッ!声が大きい。此処に居たって解りゃしないさ。それに…」
ケンスケの手を剥がすトウジ。
「それに…、何や?」
「トウジも知りたくないか?シンジとネルフの関わり。」
トウジもそれは疑問に思っていた事なので知りたくない訳が無い。
「ま、まぁ…確かそやけどなぁ…」
「俺が思うには、この間の化け物の話にシンジが一枚噛んでるぜ。」
「何でそう思うんや?」
「この時期に転校してくる奴だぜ?それくらいしか考えられないじゃないか。」
「……それもそうやな。」
トウジは一つため息をついて立ち上がる。
トウジに続いて立ち上がるケンスケ。
「…お前って奴はホンマ自分の欲望に素直なやっちゃなぁ。」
「とかなんとか言っちゃって、お前も知りたいんだろ?」
「………まあな。」
「あ、委員長。俺達ちょっとトイレね。」
ヒカリはケンスケの言葉に露骨に嫌な顔をしながら『さっさと行ってこい』というジェスチャーをする。
「じゃ、行ってくるわ。」
トウジとケンスケは、こうして避難所を後にしていた。
−現時刻、地上−
初号機に迫るシャムシエル。
光の鞭は一本となってもやはりそれは脅威である。
(プログナイフはなげられた拍子に落として手持ちの武器は無い…か。
そうなると、今のこの状況を何とか打開する策は……あれしか…ないな。)
シンジが策を練る間にシャムシエルの鞭が初号機に飛ぶ。
「クッ!」
鞭を左手で握る初号機。
「そこの二人!そのままじっとしてろよ!!」
シンジがそう言った後に、ATフィールドが二人の周りに現れる。
それは肉眼でも確認できるほど強力な代物だった。
『な、なんだこれ!?』
『なんやこれはぁ!?』
二人にもはっきりと見えているようだ。
(おかしい…これほど強力にはしなかったはずだが…)
(…まさか、学校で感じた綾波以外の近い波動はあの二人のどちらかという事なのか?)
シンジが考えているうちにも、光の鞭が初号機の手を焼いていく。
当然それはシンジのダメージをも意味する。
(まあ、それは後で確かめればいい。今は彼を苦しみから解き放ってやるのが先だ。)
シンジは空いている右手にATフィールドを槍状にして集中させ、
それをシャムシエルのコアに突き刺した。
(ここで爆発させる訳にはいかない…)
シンジはそのまま槍を押し込む。
シャムシエルのコアが割れ、そしてその反対側も割れていく。
ATフィールドの槍がシャムシエルを貫いたのだ。
そしてそのままシャムシエルはもう動かなくなった。
−ケイジ−
「ふぅ…。後1分ほどで電源が切れる所でしたよ。」
「お疲れさま。鈴原君と相田君はこちらで保護しておいたわ。」
「そうですか。後で会いに行きますから、居場所を教えてもらえますか?」
トウジとケンスケの無事を聞いて、ほっとするシンジ。
それに対して、頭に沢山の?マークを浮かべているミサトとリツコ。
「シンジ君。少し聞きたい事があるんだけど、いいかしら?」
「あ、はい。何ですか?リツコさん。」
「使徒を倒したのはこの間のようにATフィールドを武器にしたのは解ったわ。
でも、あの二人の周りにもATフィールドが観測されたのだけど、 もしかしてあれもあなたがやったの?」
「はい。ATフィールドを一部切り離して、遠隔操作したんです。」
シンジのこの発言に驚愕するミサトとリツコ。
2人はシンジがネルフに来てから驚きの連続である。
「そんなこともできるの?」
「ええ。まあ、これは武器形成の応用ですけどね。」
((はぁ…、これじゃ神経が持たないわ。))
「…どうしたんですか?二人とも??」
「「あ、いえ、何でもないのよ。」」
変な所でユニゾンする2人である。
「あ、ミサトさん。トウジとケンスケの居場所、解りますか?」
ミサトは腕時計を見て、
「ん〜。もうちょっと時間かかるわね。多分、1時間後くらいには正面ゲートで会えるわよ。」
「そうですか、じゃあシャワーでも浴びてきますよ。」
「そうね、そうしなさい。」
「あ、ミサトさん。今日の晩御飯はどうするんですか?」
「ん〜、ちょっち遅れるわ。先食べといて。」
「はい、解りました。じゃあ、お先に失礼します。」
シンジはそういった後、更衣室の方へ消えていった。
秀真:オイラも終わったナリよ短編。
SL:それはご苦労。
秀真:休み中になんかあった?
SL:バイクがやっっっっっと来たぞ。
秀真:事故らないの前みたく?
SL:さて、と俺も短編でも書こうかな?
秀真:オイラには振ってくれないナリか?
SL:ちっ、しょーがねーな・・・なんかあったのか?
秀真:祭りに出損ねた・・・あと某ギタリストが亡くなってしまってショックだった。
SL:あー、ネタが浮かばん!
秀真:オイラは本編書かなきゃ。
SL:まあ、なるようになるな。うん。
秀真:まぁね、でも本編の続きを書くのが難しいナリ。
SL:のーみそをかき分けて考えるよーに。
秀真:かき分けたらネタが浮かばんような気がするナリ・・・
SL:そんなん知らん。
秀真:なんか不毛な会話ナリね。
SL:それでは今回はこの辺で。
秀真:どうせこんな後書きなんか有っても無くても・・・(自暴自棄)
SL:さよーならー。(^^)/~
秀真:読者の反応は見たいし、続きは書かなきゃいけないし短編も書きたいし・・・
SL:いつまでぶつぶつ言っとるんだ!
秀真:ふっ、問題ない・・・ナリ。
SL:・・・そのまま、死ね!
秀真:後追いはいけないナリよ。
SL:しょうがないな・・・おい、殺れ!
ぶしゅっ!!
秀真:ロックはいい・・・ナリ・・・よ。
SL:やっと沈黙したな、これで本当に後書きを終われる。
SL:今度こそほんとにさよーならー。(^^)/~