『西方漫遊記演舞』
第3劇
Written
NASA
昔々、まだ神族,魔族,人族の領域が別れていなかった頃のお話です。
さて、東方の山奥より毎日欠かさない叫び声が聞こえてきます。
「コラ〜! 早くここからアタシを出せ〜!
返事をしろ〜! 何とか言え〜!
返事をしろ〜! 何とか言え〜!
返事をしろ〜! 何とか言え〜!・・・・・・」(;;)
まだ、許されないアスカ様の1日でした。
さて、前回の続きです。
今回より人族の名前が減るのでシンジ・イカリは、シンジと略します。
聖者シンジは、馬からは落とされ、影武者君たちは全員倒され、ガイコツ剣士とサキエルくんに囲まれて絶体絶命のピンチです。
そんな、脅えて震えるシンジに対してサキエルくんは、余裕で言いました。
「邪魔な影武者君は始末しました。
さあ、どうします聖者?
おとなしく私のディナーになりますか?」
シンジは、恐怖のあまり意識を無くしました。
プッン!(暴走!!)
シンジは、おもむろにサキエルくんに向っていきました。
『うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』
しかし、どんなに暴走してもエバに乗っていない登場したてのシンジでは、サキエルくんの『心の壁』を破ることはできません。
『がぁーーーーーーん』
シンジは、周りのガイコツ剣士には無視してサキエルくんの『心の壁』を乱打しました。
『明日の為のその1、打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!』
『明日の為のその2、打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!』
『明日の為のその3、打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!打つべし!』
このシンジの行動にサキエルくんはおろか周りのガイコツ剣士まで呆れて何もできませんでした。
拳が潰れかけた頃、なんとサキエルくんの『心の壁』にヒビが入り
『パリーーーーーーン』
サキエルくんの顔に微かな傷を与えました。
さて、これから反撃となるところでシンジの暴走は力尽きてガックリと崩れ落ちました。
『うぉーーーーーー! とどめ
.......』「ふっ! 悪あがきを!」
サキエルくんは、シンジの潜在能力に冷や汗ものでしたが、悪い芽を摘むとばかりに止めを差す寸前に
「お待ちなさい!!(はあ)(はあ)(はあ)」
サキエルくんが声の方向を見上げるとそこには息を枯らして立っているレイの姿がありました。
「これは、マドモワゼール・レイ、ずいぶん遅れましたね。」
「慌てて出てきて場所を聞くの忘れたの。(はあ)(はあ)」
レイは、顔を赤らめて答えました。(
*・・*);;「で、レイ、この状態で何をするつもりですか?
あなたの体力では、とてもサキエルには勝てませんよ。
彼の命乞いですか?」
「違うわ、取り引きをしに来たのよ。」
「取り引き?」(◎◎)
レイは、サキエルくんが話にのってきたのでサキエルくんのプライドを傷つける様に煽りました。
「あなたから見れば人族なんて虫けらみたいなものね。
だけど、その虫けらがあなたの自慢の心の壁を壊して奇麗な顔に傷を付けたんでしょ。
もし、ここで虫けらの様な聖者を殺せば、
その虫けらはあなたに一太刀浴びせた英雄として祭られるわ。
そして、あなたプライドは傷付いたままね。」
「なんですと、私がこの虫けら(聖者)を恐れているとでも言いたいのですかな。」
「そうよ、その証拠が顔の傷だわ。
その傷と心の傷を癒すには、成長した聖者ともう一度戦い完膚なきまでに倒すことね。」
サキエルくんは、ここまで言われてなんとか気品を失わずに答えました。
「よ、よかろう。その取り引きに乗ってやろう。
しかし、取り引きと言うからには、この聖者の命と見合うものとは何かな。」
レイは、口からでまかせで何も考えていませんでした。
「そ、それは、その
....」(−−);;
千里眼で覗いていたレイ・イカリは、レイと聖者の窮地に助けの手を差し伸べました。
『サキエルくん,そして他のシト達よ聞きなさい。
取り引きの材料として聖者の旅に神界からの手助けは行なわないではだめでしょうか。
さもないと
....今すぐここから最終戦争が始まりますよ。』天空より聞こえるユイ・イカリの言葉にサキエルくんは風の様に去っていきました。
もちろん、強がりも忘れずに残していきました。
「では今回はユイ・イカリ様の顔に免じて聖者を見逃してあげましょう。
しかし、聖者の殺傷の権利はサキエルくんにある事を忘れずに。
では、私は雷猿山で待っていると聖者に伝えて下さい。マドモワゼール・レイ」
危険が去ってレイは、一安心して腰が抜けたかの様に座り込みました。
一刻後、レイはシンジを木陰まで運んで介抱していました。
しかし、どんなにたっても一向に起きる気配がありません。
業を煮やすレイは、シンジに『御目覚めのピンタ』を食らわせました。
『ピンタ』『ピンタ』『ピンタ』『ピンタ』『ピンタ』『ピンタ』
『あうっ』『あうっ』『あうっ』『あうっ』『あうっ』『あうっ』
シンジは、くらくらしながら目が覚め、介抱している人に尋ねる様に呟きました。
「ボクは、エセ紳士とガイコツ剣士に捕まり
....」そして、レイの方を向きますと運が悪い事に逆光でショートヘアの頭がガイコツに見えてしまい、飛び起きると
「また、出たなガイコツ剣士! 成敗してくれる!」
と、レイに向かい掛かって行きますと、レイは慌てずに
「八門開打!!」(P+P)
と、冷静にカウンタで倒してしまいました。
もう一度介抱したのち、ニッコリと微笑んで(ここは、第1印象のガイコツ剣士を訂正させる様に優しく)
「大丈夫、イカリ君、怪我しているわ」(^^メ)
;;と、今できたばかりの傷の手当てを初めました。
そして、傷の手当てが済んでから気を失ってからの顛末を教えました。それをまだまだ弱い主人公聞いたシンジは、
「わかった、ありがとうレイ、ボクは街に戻るよ。」(−−)
;;と、逃げ帰ろうとしました。
それを見たレイは、TV版第5話を彷彿させる一閃のピンタを食らわせました。
「この軟弱ものぉーーーーーーーー!」
パチーーーーーーーーーーン
「
....それでもあの人の息子なの?」『御目覚めのピンタ』と違い腰の入ったピンタがアゴに決まり、シンジは座り込みました。
「この経典の旅は、あなた一人だけの旅じゃないのよ。
今のままでは人界は、魔界の食われてそのまま神界も食われてしまうわ。」
「じゃあ、きみがその経典を持ってきてくれれば解決するじゃないか。」
シンジは、レイの説得に反抗しました。
「それが、聖なる経典は信仰が厚い聖者した授かる事ができないの。」
「だからって、これから1人で15人のシトを倒すなんてできないよ。」
シンジは、説得にはまだまだ応じません。
レイは、奥の手を使う事にしました。
「イカリ君、あなたは1人じゃないわ。
あなたには、先に待っている3人の従者がいるわ。
3人は1人1人が一騎当千のツワモノで特に1人は、中国一の美人よ。」
(イカリ君あなた1人がアスカの生け贄で済むのなら安いものだわ)
シンジは、援軍と中国一の美人(アスカ)とゆうエサに心を動かされました。
「よぉ〜〜し、父さんの期待だけじゃなく世界の命運が掛かっているのか。
待ってろよ、中国一の美人よ。」\(^^)/
「イカリ君、頑張ってね! 霊山で待っているわ。」
シンジは、意気揚々と再出発しました。それをレイは、ゴマスリ&ヨイショで見送りました。
レイは、シンジが見えなくなってから次にシンジが挫折しても戻ってこれない様に念入りに街までの道の破壊工作を開始しました。
「
....任務、シトより街を守こと。つまり聖者が戻れない様にすること」(−−)神族レイが破壊した後には、街への道は広い広い河と高い高い山になっていました。
「レイ、任務完了! キトウします!」
シンジは、レイがそんな破壊工作をしているとは知らないままに歩いて行きました。
そして、国境まできて感無量に街に別れを告げる為、振り返りますと、いつの間にか中国名所『泰山』と『揚子江』ができていました。
シンジが途方に暮れて見上げる空には、空を飛んで帰るレイの姿が移りました。
「レイーーーーーーーーーーーッ!!」(×;)
まる一晩途方に暮れていたシンジは、もう戻れない事を悟るとトボトボと霊山への道歩き初めました。
さて、場所は、代わってユイ・イカリの霊山
ユイ・イカリは、帰ってきたレイに労いの言葉をかけました。
「ユイ様、任務完了ただいま戻りました。」
「ご苦労様、レイ。
でも、今回の任務ではシト殲滅ができませんでしたね。
おまけにもう聖者に手助けすることもできません。」(−−メ)
やっぱり、ユイ・イカリは、御立腹の様です。
「
....ベストを尽くしたのですが」「言い訳はいりません。
そこであなたに極秘任務を申し付けます。
これからは影ながら聖者シンジを守る様にしなさい。
但し、シトとの条約があるのであなたが戦うことはいけませんよ。」
「
....はい、分かりましたユイ様。イカリ君は、私が守ります。」
こうして、レイは罰として聖者シンジの影の護衛をやらされる様になりました。
そして、1週間も歩きますと目の前には、山が聳えていました。遠目で見てもその山は険しく山頂には雷雲が掛かっていました。山の麓の村で山の事をききますと、
「この山は、数年前までは村人に恵みを齎す名も無い山じゃったんだが、
或る時山頂に星が落ちてきて以来、
山には雷と猿の泣き声が1日たりとも途絶えたことがないんじゃ、
それで誰ともなくこの山を雷猿山と呼ぶ様になったんじゃ、
霊山への道?
それならこの雷猿山を越えて行かねばならんが、とてもとても無理じゃ無理じゃ
御若いのに命を粗末にするのわよしなされ。」
と、村の老人の忠告でしたが、霊山への道が他に無いのでシンジは脅えながら登り初めました。
山の中腹まで登るといつのまにか前回御なじみのガイコツ剣士がシンジの後ろからついてきます。
それを見たシンジは、慌てふためいて逃げ出しました。
「また、でたーーーーーーッ!!」
山の何処かより響くサキエルくんの声は、
『よく来たな聖者よ、さぁわが下僕よ、聖者を決闘の場に誘いなさい。』
シンジは、サキエルくんの期待?を裏切って逃げて逃げ逃げまくりました。
そして、道を踏み外し或る洞窟の前に転げ落ちました。
シンジは、ガイコツから一時逃れるために洞窟に逃げ込みました。
洞窟に入ってみると中から怒鳴り声が聞こえました。
「アンタ、誰?
断りも無にアタシんち入るんじゃないわよ!!
アタシんちに入れるのは、ユイ・イカリの息子だけよ!!」
シンジは、その怒鳴り声に竦み上がりました。
そして、開口一番、「ごめん!」と、シンジ18番下手に出しました。
シンジは、恐る恐る尋ねました。
「君、誰?」
無作法な言葉にアスカは怒り出しました。そして、お決まりの胸をはり腰に手を当てるポーズで自己紹介をしました。
「まったく、失礼ね!
アタシは神界一の女神アスカよ!
アンタも名乗りなさい。」
「ボク、聖者シンジ・イカリ
....」アスカは、イカリの名前を聞くと慌てて尋問しました。
「ア、アンタの母親の名前は?」
「ユイ・イカリ様です。」
「ど、どうしてここにいるの?」
「聖なる経典を授かりに行く途中でシトに追い立てられてここに逃げ込みました。」
ここまで聞いてアスカは、目を輝かせ「ちゃ〜〜んす」と呟きました。
それもそのはず、待っていた聖者がカモネギ状態で逃げ込んできたのですから。
そして、今までと態度を180度変えて、優しくシンジに囁きました。
「そう、あなたが聖者シンジ・イカリでしたか、
あなたが来る日を1日千秋の思いで待ってました。」(
*・・*)と、両手をシンジを顔に添えながらこのセリフをいいました。
「
....」(−−);;シンジは、突然アスカが般若から女神に変わったのに対応できませんでした。
シンジが考え込むんでいますと後ろから聞こえてくるガイコツ剣士の足音に目を覚ましました。
(がしゃん)(がしゃん)(がしゃん)(がしゃん)
「ガ、ガイコツ剣士!!」
シンジが脅える様を見てアスカは、一瞬口を歪めて笑い、脇から一枚の紙をシンジに渡して囁きました。
「さあ、聖者シンジ・イカリ、
これは、私があなたの守護神としてあなたを守る契約書です。
この契約書にサインしなさい。」
シンジは、その契約書の条項を読み、油汗を流しました。(タラ〜リ)(タラ〜リ)
この契約書こそ、女神アスカが年月を掛けて作成した『下僕の26箇条』の契約書でした。
内容抜粋
1.アタシの食事を作る事
2.アタシの洗濯物を洗う事
3.アタシが疲れたらマッサージをする事
4.アタシが疲れたらおぶる事
5.アタシに着物を買う事
6.いつもアタシから離れない事
7.いつもアタシを見ている事
8.アタシが寝るまで横にいる事
9.宿ではいいベットを譲る事
10.三歩下がって歩く事
:
(アタシに尽くすのよ!!)
:
26.この契約はアタシからしか終わらす事ができない
シンジは、魔族に襲われて殺されるか、アスカの下僕とし飼い殺されるの究極の選択を迫られました。
『逃げなきゃだめだ!!』 『外にはガイコツ剣士だ!!』
『気の強い女神の下僕だぞ!!』 『女神にお使いできるんだ!!』
シンジが、悩んでいるのでアスカが背中から(胸で)アト押ししました。
「さぁ、シンちゃん、ここにサインしなさい。(ハアト)」
この一言にシンジは、アスカに誘われる様にサインしました。
サインの『シンジ・イカリ』の『リ』を書いた途端、シンジが洞窟に迷い込んだ時のアスカに戻りました。
「さあ〜〜、今からアタシがアンタのご主人様よ! ポチ!」\
(^^)/
アスカとシンジが契約を結んでいる間にガイコツ剣士が洞窟の入り口まで迫ってきています。
(がしゃん)(がしゃん)(がしゃん)(がしゃん)
シンジは、泣きそうにアスカに縋りつきました。
「ア、アスカ〜〜〜」(;;)
アスカは、1つ目の目標(シンジの下僕契約)が達成して大満足でシンジを庇い、
「任せなさい!!」(^^)
「旋風牙」(K+G)
と、一撃で群がるガイコツ剣士を一蹴しました。
その勇姿を見たシンジは、いっそうアスカが女神様に見えました。
【続劇】
後書きのようなもの
なんか、段々キャラクタが壊れてきています。
無口のレイは何処にいったの。
強い主人公のシンちゃんは何処〜。
でもやっぱり、あんまりシンちゃんが強すぎるとアスカ様が目立たなくなるので
....ここまで来ますと後2人のサブキャラを登場させてかってに活躍させるしかないです。
この頃、LASのSSを書いていますとキャラが勝手に歩きまわっています。
タームさんのHP『
The Epistles』に短編を投稿しました。ぜひ一読して下さい。