センセ、また来週な・・・・・
碇、またな・・・・・
シンちゃん、悪いけど出張で帰りは、明後日なの。ゴメンネ・・・・・
みんな、ボクの事なんてどうでもいいんだ・・・・・
シンジィ〜〜、ただいまぁ〜〜
お帰り、アスカ。遅かったね、晩御飯できてるよ。
あっ、ごめーーん。ヒカリの処で夕食ご馳走になっちゃたんだ。連絡しないでゴメンね。なんか疲れたからもう寝るね。
あ、アスカ・・・・・
アスカまで、みんなと同じなんだね。
明日は、ボクの15歳の誕生日なのに・・・・・
シンジくんは寂しそうにリビングの明かりを落とし膝を抱えてテレビを眺めています。
『ピッ、ピッ、ピッ、ポーーン』
深夜番組では、日付が6月6日(日曜日)に変わった事を告げました。
やっぱり、3歳の頃から変わらない誕生日....
誰か教えてよ。ボクは要らない子なの。
ねぇ、教えてよ。父さん、母さん、綾波、ミサトさん、トウジ、ケンスケ、アスカ・・・・・
シンジくんは、目から涙を1つ流してから、ぽつりと「アスカ」と漏らして、重い体を引きずる様に部屋に戻りました。
碇シンジくん生誕記念日
策士アスカの告白
Written
NASA
そんなシンジくんを襖の奥から覗いている目がありました。
『寝たわね。シンジ・・・・・
シンジ、寂しい思いをさせてゴメンネ。
皆をシンジから遠ざけたのは、アタシなの。
だって、今日だけは、誰にも邪魔されずに2人だけのバースディパーティをしたかったの。』
***********************************************
前日の学校にて
お調子者のケンスケくんからシンジくんの誕生会を開く事を提案されました。
「なぁ、惣流。
明後日、碇ん家で碇の誕生会をしないか。
もちろん、料理は各自の持ち寄りでさ。
な、トウジどうだい。
委員長もどうだい。」
ケンスケくんは、アスカちゃんの返事を待たず話しを進めて行こうとしました。
アスカちゃんは、ケンスケくんの提案に焦りました。
『どうしよう。日曜日は、アタシとシンジの2人だけのバースディパーティの予定なのに....』
もちろん、この事を1週間前から相談されていた委員長こと洞木ヒカリさんは、親友アスカの為に助け船を出しました。
「相田くん、ちょっと待って。悪いんだけど日曜日は、家の用事があって都合が悪いんだ。
そ、そうだ、アスカ。たしかアスカと碇くんは、日曜日に葛城さん用事があるんでしょ。」
アスカちゃんは、ヒカリさんの気配りに心の中で礼を言いながら、
「そ、そうだったわ。日曜日にミサトの用事があるの忘れていたわ。
ごめん、相田。アタシもシンジも日曜日都合が悪いの。だから、来週にしなさい。
もちろん、誕生会の事はシンジには絶対秘密よ。わかったわね。」
と、ケンスケくんに命令しました。
「わかったよ、惣流。トウジもいいよな。」
「わしは、かまわん。」
こうして、アスカちゃんの「2人だけのバースディパーティ」の為、シンジくんの誕生会は内密に先伸ばしになりました。
アスカちゃんは、もう1つの障害である「ミサト」を排除するため、ネルフの「赤木リツコ研究室」を訪れました。
「あら、アスカ。今日は、1人なの珍しいわね。何か用なの。」
部屋の主である赤木リツコ博士は、メガネを「キラン」と光らせてアスカに聞きました。
アスカちゃんは、もじもじとしながら用件を話しました。
「実は、折り入って頼みがあるの。....
リツコの力でミサトを3日間出張させてほしいんだけど。...」
リツコは、悪戯を見つけた親の様にアスカを尋ねました。
「アスカ、一体何を企んでいるの。私は、何も知らない親友のミサトを騙すなんてできないわ。」(−−)
アスカは、手土産をリツコに渡してから白状しました。
「お願い、リツコ。シンジと2人だけのバースディパーティがしたいの。協力して。お願い!!」
リツコさんは、アスカちゃんからの手土産を見て(にやり)と微笑んで言いました。
「アスカ、任せなさい。私が、その気になれば、ミサトの1人や2人南極でも送れるわ。」V(^^)
リツコさんの手の中には、「マイセンの猫の置物」がありました。
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アスカちゃんは、シンジくんが寝静まったの確認すると、
サル吉がプリントしたエプロンを着け『アスカいくわよ』と心の中で言ってから台所に立ちました。
(みんな、『アスカの朝食』のアスカと違ってアタシは、ヒカリの家で1週間特訓したんだからね。)
悪戦苦闘の末、明け方頃には、和食の朝食が完成しました。
「ふっ、ふっ、ふっ、シンジがこの朝食を見たら....」
「アスカァ〜〜〜、僕はアスカのこと誤解してたよ。なんて料理が上手なんだ。」
「えへっ。アタシが料理を作ってあげるのは、シンジだけよ。」
「(ガバッ)アスカァ〜〜〜」
「....と、シンジが抱き着くのよね。」
「クエッ?」
「クエッ?」
「クエッ?」
「クエッ?」
「クエッ?」
「クエッ?」
「へっ?ペンペン」
アスカちゃんが、クッションを抱いて妄想していると、朝食をねだるペンペンがアスカちゃんの横で鳴いていました。
「ペンペン、いまゴハンあげるね。」(−−)
「クエ〜〜〜ッ」(^◇^)
:
アスカちゃんは、ペンペンがこの後、邪魔をしないように2食分の餌を与えて冷蔵庫に押し込みました。
「(ゲップ)クエッ」
「さあ、ペンペン。お部屋に戻ってね。」(^^)
アスカちゃんは、最後の邪魔者を葬り去ると、今日の計画の第2段階を発動しました。
アスカちゃんは、愛しのシンジくんの部屋に「そぉ〜〜と」進入しました。
『しめしめ、よく寝ているわ。』
アスカちゃんは、ベットで寝ているシンジくんの寝顔を確認すると、寝顔にははっきりと涙の後がありました。
『シンジィ〜〜、シンジィ〜〜、ゴメンね。アタシのせいで寂しい思いさせて。』(・;)
アスカちゃんは、心の中でシンジくんに詫びると、静かにシンジくんのベットに入り、添い寝を始めました。
シンジくんの何時も起床時間6時
シンジくんは、横に違和感を感じながら目を覚ますと、目の前にはアスカちゃんの顔のアップがありました。
「うああああ、なんでアスカがここにいるの。」
シンジくんは、驚いてベットからずり落ちそうになりながらアスカちゃんに尋ねました。
アスカちゃんは、シンジくんに抱き着いて囁きました。
「ハッピーバースディ♪シンジ
ゴメンね。昨日は、寂しい思いさせて。
はい、目覚めのキッスよ。」
アスカちゃんは、言葉とは裏腹に(ディーープ)なキッスをしました。
『シンジィ〜〜、ゴメンね。お詫びのしるしよ。』
『あ、あ、アスカ.....』
(1分、5分、10分・・・・・・)
アスカちゃんはゆっくりと唇を離し、頬を赤く染めて満足な顔でシンジくんに言いました。
「さぁ、シンジィ〜〜〜。朝食ができてるわよ。」(*^^*)
あまりの刺激に別世界へ旅していたシンジくんは、アスカちゃんに呼び戻されました。
「あ、アスカ。わかったよ。」(*・・*)
シンジくんがアスカちゃんに促されてリビングを見ると(冷めた)朝食が並べられていました。
アスカちゃんは、自分の料理が冷めてしまってカッカリしてしまいました。
でも、シンジくんは、アスカちゃんが初めて作ってくれた食事に感無量になりました。
「アスカァ〜〜〜、僕はアスカのこと誤解してたよ。なんて料理が上手なんだ。」
シンジくんに妄想通りのセリフを言われてもアスカちゃんは、料理が冷めてしまったので喜べません。
「おせいじは、いいのよ、シンジ。
料理は冷めたら美味しくないでしょ。....」
シンジくんには、この料理に込められているアスカちゃんの想いに答えました。
「だって、アスカ。
この料理は、素人のアスカが1日や2日で覚えられる物じゃないよ。
アスカは、この料理の為に相当練習したんだろ。
アスカの真心の篭った料理は、例え冷めたってアスカの真心は冷めないはずだろ。」
アスカちゃんは、涙をポロリと流しながら、シンジくんの気づかいに答えました。
「うん、ありがとう。シンジ。
でも、アタシの真心が篭った料理を作ってあげるのは、シンジだけよ。」(・;)
「じゃあ、アスカ。真心の篭った朝食をたべようか。」(*^^*)
「うん。」(*^^*)
「「いただきま〜〜す。」」
シンジくんは、美味しそうに朝食を食べ始めましたが、アスカちゃんは、心配そうに「じぃーーーっ」とシンジくんを眺めています。
おかずを1口づつ食べたところで、アスカちゃんの視線に気がつきました。
アスカちゃんは、採点を待つ生徒の様に心配そうにシンジくんの顔を眺めています。
「じぃーーーっ」(・・)『シンジ、味はどうなの?』
シンジくんは、取って置きの笑顔で答えました。
「アスカ、美味しいよ。アスカも食べたら。」
アスカちゃんは、シンジくんのお褒めの言葉をもらっても食べません。
「じぃーーーっ」(・・)
「あ、アスカ。とうしたの。」
アスカちゃんは、顔を真っ赤にして言いました。
「シンジ、ご褒美頂戴。」
「ご褒美?」
アスカちゃんは、ご褒美を態度で要求しました。
「そう、ご褒美。あ〜〜〜〜ん」(*^◇^*)
シンジくんは、恥ずかしそうに真っ赤になりながら固まりました。
アスカちゃんは、ジト目でシンジを睨み、ねだりました。
「シンジィ〜〜〜、ご・ほ・う・び。」(*^◇^*)
シンジくんは、恥ずかしさよりアスカちゃんの可愛さが勝り、アスカにご飯を食べさせ始めました。
「はい、アスカ。あ、あ〜〜〜〜ん。」
(パクッ)(もぐ)(もぐ)(*^◇^*)
「はい、アスカ。あ〜〜〜〜ん。」
(パクッ)(もぐ)(もぐ)(*^◇^*)
「ねえ、シンジ。この卵焼き甘いかな。」
「う、うん。アスカの甘さだね。」
「違うわ。シンジの甘さよ。」
「はい、アスカ。あ〜〜〜〜ん。」
(パクッ)(もぐ)(もぐ)(*^◇^*)
「はい、アスカ。あ〜〜〜〜ん。」
(パクッ)(もぐ)(もぐ)(*^◇^*)
「ねえ、シンジ。このご飯甘いかな。」
「う、うん。やっぱり、アスカの甘さだね。」
「もう、違うわ。シンジの甘さよ。」
:
:
2人は、あま〜〜〜い朝食を1時間かけて食べました。
アスカちゃんは、満足な朝食を終えると、今日の計画の最終段階を発動しました。
アスカちゃんは、心の中でお題目の『アスカ、いくわよ』を唱えてから、シンジの顔を正面から見て話し始めました。
「シンジ、アタシの誕生日プレゼントを受け取って欲しいの。
シンジ、アタシ前から・・・」
シンジくんは、アスカちゃんの態度に気づき、アスカちゃんの口を口付けで塞ぎますと、そっと囁きました。
「ゴメンね、アスカ。待たせちゃって。
でもね、アスカ。そういう事は、男の僕から言うものだよ。」
アスカちゃんは、嬉し涙を流しながらシンジくんの顔を眺めています。
「シンジィ〜〜〜」
シンジくんは、深呼吸を数度してから
「アスカ、僕は、君のことが好きです。付き合って下さい。」
と告白しました。
シンジくんの優しさに触れて、また今回の計画でシンジくんを苦しめたことを思い出し、泣き出しました。
「シンジィ〜〜〜、シンジィ〜〜〜
ごめんなさい。アタシは我が侭な娘なの。
シンジは、皆に祝って欲しい誕生日なのに、アタシ達は用事があるってウソをついたの。
アタシは、シンジの誕生日だからシンジと2人で居たかったの。
でも今朝のシンジの寝顔を見て心が痛かったの。
アタシのせいでシンジは泣く程寂しかったんだって。
でもアタシ、何時もシンジにはアタシだけを見て欲しいの。
可笑しいでしょ。こんな我が侭な娘なのよ。
シンジ、こんな我が侭なアタシでも本当に好きなの?」(・;)
シンジくんは、アスカちゃんを抱きしめ、アスカちゃんが安心できる様に微笑みながら囁きました。
「アスカ、アスカの言う通り僕は、昨日は本当に寂しかったよ。」
アスカちゃんは、シンジくんの腕の中で「ビクッ」と反応しました。
けれどシンジくんは、アスカちゃんが逃げない様にしっかりと抱きながら続けました。
「でもそれは、アスカが僕を祝うためにしたことだろ。
今まで、僕のことをそこまで考えてくれる人なんて誰も居なかったんだ。
僕のことをそこまで考えてくれるアスカが好きだよ。
アスカが、何時も僕だけを見てくれるなら、
僕もアスカだけを見ているよ。
」
アスカちゃんは、シンジくんの思いやり、真心に触れて嬉し涙を流し出しました。
「シンジィ〜〜〜、シンジィ〜〜〜」(・;)
シンジくんは、アスカちゃんをあやす様に背中をさすり、落ち着いてから囁きました。
「アスカ、返事がまだだよ。」
もちろん、アスカちゃんの返事は、
「はい、アタシもシンジのことが好きです。」
でした。
こうして2人は、午前中抱き着いたまま過ごしました。
アスカちゃんが落ち着いたのでシンジくんは、家事を始めようとするとアスカちゃんは拗ねました。
「だ〜〜〜め、シンジ。
アタシだけを見ている約束でしょ。」(^◇^)
「でも、家事しないと...」
「お願い、シンジ。
今日だけは、アタシを見ていて。
約束したでしょ、何時もアタシだけを見ているって
だってシンジが告白してくれた大切な日なんだから。」(*・・*)
アスカちゃんは、真っ赤になりながらもじもじ状態になりました。
シンジくんは、軽くため息を着くとアスカちゃんに
「わかったよ。今日だけだよ。
僕にとってもアスカが告白してくれた大切な日だからね。」(*^^*)
「ば、ばか」(*・・*)
こうして、シンジくんの15歳の誕生日は、あま〜〜〜く長い日々の始まりになりました。
FIN
後書き
ま、また、やってもうた。
煩悩の赴くままに書きました。
『西方漫遊記演舞』の続きを書かないで....m(_ _)m
ちなみに宣伝ですが、某HPに「おませなちびアス」を投稿しています。
お叱りのメール待ってます。