朝食編
しかし、寝ていようにも襖から漏れる声が気になって寝れない。
悲しいかな日本の住宅事情・・・・。
冷蔵庫の側に立ったまま、エビチュの力を借りて、ミサトが朝食の催促をした。
「シンちゃん。御飯ちょうだい。」
「はっ、はい。今します。」
この時、ミサトの青筋をシンジは見ていない。
シンジの目には何せアスカしか映っていないのだから・・・・。
シンジは、ミサトの朝食を用意しようと席を立つ。しかし、それをアスカがシャツの袖を持ち妨げた。
「シンジィ。」
「なに、アスカ?」
シンジにしか出さない甘い声で、アスカはシンジを呼び止める。
しかし、アスカの口元はニヤリと歪んでいる。
明らかにミサトへの当て付けだ。
その、アスカの顔を見たミサトがさらに額の青筋を追加する。
「シンジぃ。ご褒美。」
その、甘い声にシンジはミサトの頼みを南極に放り投げてしまう。
「なっ、何。ご褒美って・・・・。」
シンジがアスカに向き直り、顔を真っ赤にしながらおずおずと尋ねる。
シンちゃん、もう分かっているくせに!!
「アーン!!」
アスカがそのかわいい口を開けて、まるで親鳥の帰りを待つ雛鳥のようだ。
その様子を見て、青筋を2個追加する葛城ミサト。
エビチュ一本では、この
ラブラブな二人に対抗できないのか!!
「しょうがないな。アスカは・・・・。」
そう言うシンちゃん、頬さらに緩みまくり・・・・。
「はい、アスカ。ご褒美。」
シンジが差し出した箸に、アスカが飛びつく。
パクッ!!
「アスカ、おいしい?」
アスカの顔を覗き込みながら、尋ねるシンジ。
二人の距離は今にもキスを交わすような距離だ。
「うん!!」
こちらも、満面の笑みを浮かべて答えるアスカちゃん。
ミサトはその光景を見て、さらに青筋を3個加える。現在、計7個。
右手に持った空になったエビチュの缶を、床に叩き付ける様に投げ捨てる。
ベコッ!!!
投げ捨てられたエビチュの缶は、
そのミサトの怒りを示すかのようにプレスされる。
信じられない力だ・・・・・。
ミサトはさらに冷蔵庫からエビチュ
を取り出す。
先ほどから、冷蔵庫を離れないのはその為だ。
そして、プルトップを引げ、500mlを先ほどの半分の時間で飲み干す。
全神経接続完了。 シンクロ率、ハーモニクスともに正常!!
いくわよ!! ミサト!! 〈-あんたのセリフじゃ・・・・。
「あのう、シンちゃん? 朝御飯用意してくれると、お姉さん非常に嬉しいんですけど...?」
ミサトは大人のスマイルを無理に浮かべながら、シンジに催促した。
「あっ、御免なさい。ミサトさん。」
先ほどの今にもキスしそうな体勢から体を離し、席を立とうとする。
しかし、シンジ君の顔には反省の色はない。なぜなら、ミサトの言葉は南極に行っているから・・・・。
「あっ、だめ。 シンジぃ。」
今度は、シンジのシャツの腰の部分を引っ張り、シンジが立つのを阻止する。
なんか、誤解されるような、甘ったるい声だ。
「なに、アスカ?」
その、アスカの声に今度はシンちゃん、ミサトの言葉を今度は月軌道に放り投げる。
「お礼してあげる・・・・・。」
もじもじ、顔を赤くして上目づかいにシンジを見つめるアスカ。
「こっ、今度は何?」
そのアスカの様子に、顔をさらに赤くするシンジ。
もう、シンちゃん判ってるんでしょ!!
チュッ!!
「オ・レ・イ。」
シンちゃん、一時活動停止・・・・。
ミサトも一時活動停止・・・・・。
「シンジ。嫌だった?」
「ううん。そんな事無いよ。」
「良かった・・・・。シンジの唇、お味噌汁の味がした・・・・。」
「アスカだって・・・・。」
初々しく、微笑みあう二人・・・・。
その様子を見て、ミサトがサルベージされる。
この色ガキども!! あたしも加持と!! 〈- それちょっと違うような・・・・。
右手に持った、エビチュの缶が一瞬にしてプレスされる・・・・・。
エビチュ2本ではまだ足りない。
またもや、ミサトはエビチュを取り出し、今度は3秒開けず飲み干す。
はたして、エビチュ3本の効き目はいかに!!
「シンちゃん、朝御飯。」
美女の仮面を付けた、夜叉がシンジに迫る.
「はっ、はい。いっ、今作ります。」
そのオーラに当てられ、シンジ君少し吃りぎみに答える。
しかも、シンジが一瞬にして席を立ち上がる。
アスカでさえ、その迫力に声も出ない。
さすがに、現役軍人だけはある。
シンジがキッチンに着こうとする。
ミサトの願いは成就されるのか!!
が、その時。
ピンポーン!!
「「シンジ−」」
「アスカー」
玄関に2バカといいんちょの声がする。
「あっ!! シンジ時間よ!!」
「御免なさい。ミサトさん、もう学校行かないと。」
シンジがミサトに本当にすまなさそうな顔を向ける。
ミサト沈黙・・・・・・・。
冷蔵庫の脇にへたり込むミサト。
「ミサトさん。近くのコンビニでなんか買って食べてください。」
へたり込むミサトに向かって、両手を合わせてシンジが本当にすまなさそうに謝る。
しかし、エビチュの切れたミサトはピクリとも動かない・・・・。
もちろん、シンジの言葉も聞こえていない・・・・・。
「シンジ、早く!! ミサトなんかほっておいて!!」
自分の部屋から鞄をとってきて、玄関を出て行くアスカ。
「あっ、待ってよ。アスカ!!」
シンジも、自分の荷物を持って玄関に向かう。
「あれ、シンジ。ミサトさんは?」
ケンスケが、シンジに聞く。
「最近、仕事で疲れているみたいだから。」
「そうよ。だいたい、ビールばっかり飲みすぎよ!!」
なかなか、とぼけた事を言うシンちゃんとアスカちゃん、二人にはまわりが見えていないのか?
「「ミサト(さん)いってきまーす!!」」
朝から、ユニゾンでミサトに挨拶する二人。
マンションには燃え尽きた当主が一人・・・・。
いや、もう一匹。
すでに、二人に抵抗することの空しさを知っているペンペンが自分の部屋から出て、冷蔵庫から自分の朝食を取り出し食べている。
「クェッ!!」
ペンペンは、自分の分のサンマをミサトに差し出した。
いと哀れなり。葛城ミサト・・・・・・。ペットに同情されるとは・・・・。
30まであと、xxx日。
ミサトの幸せはどこに・・・・。
最近はやっている(笑)、ミサト落ちに挑戦しました。
僕自身は、ミサトというキャラクターが非常に好きです。
ホントは「人として〜」の方に出したかったのですが、あからさまにミサトのお墓が映画版の最後のシーンに出ていたので、復活させるための根拠が無くなりました。
その割には、少し可哀相な目に有っていますが、最後には幸せにしたいなとは思っています。
では、もうすぐヒットする10000HITまで付き合ってもらった、読者に感謝したいと思います。
それでは、ミサトが幸せを掴むまで・・・・。
伊勢さんの『葛城ミサトのとある一日』朝食編 、公開です。
流行っているのか?
マジに流行っているのか??
どうやらそのようで(^^;
ここまでまとめて読むと、
ミサトさんがどんどん可哀想になってくる(^^;
保護者は辛いのかぁ
働いて、
疲れて、
稼いで、
安らぎの場所のはず、自分のマンション−−
可哀想っす
めげるなミサト、
三十路は遠い。そう思い込め(笑)
さあ、訪問者の皆さん。
感想を伊勢さんにGO!
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