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[伊勢 カズアキ]の部屋
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どこと無く、ざわめく中学校。そして、教室。
学校と言うのはどこと無く異質な空間である。
大人とも子どもとも言えない少年少女が3年間過ごす場所。
そんな閉鎖的な世界に飛び込んで来るのが転校生。
転校生がその世界に馴染むかは、その転校生、性格と容姿にかかっている。
よくよく考えてみると、少し残酷なことかも知れない。
「伊勢マナです。」
揺れる茶色のショートカット。クリッとした瞳。
ハキハキした喋り方。ざわめく、教室。
彼女は、特に男子から、及第点が得られたようだ。
そんな、ざわめきを壁の向こうで教室で
ボンヤリと聞いているトウジとケンスケがいた。
「何か、騒がしいのう。お隣さんは。」
「ああ、霧島マナが来たんだよ。」
「なんや、きりしまぁ〜。 ケンスケ、何でしっとんねん?」
「だって、トウジ。あのとき、俺のこと信用してくれなかったじゃないか。」
「そんなこと言われたかて、見てへんもんは見てへんのやし…。」
「それにほらよ。」
ケンスケがキーボードを叩くと、トウジのディスプレイにマナの個人情報が映し出された。
「なに、伊勢マナ? なんや、別人とちがうんか?」
「良く見ろよ、トウジ。そんな、そっくりさんいるか?」
「まあ、言われてみればそやな?」
「多分、名前変えたんだよ。きっと。う〜ん。裏切った組織から逃れるために、
名前まで変えて。ロマンだねぇ。」
「そんで、霧島の写真いつあがるんや。」
目がいっているケンスケをトウジはそんな物では腹は膨れないと言う口調で
尋ねた。
やがて、ざわめきが終り、一時間目の授業が始まった。
「起立、礼。」
ヒカリの声で号令が掛けられる。
そして、授業に入る直前にヒカリの声が飛んだ。
「今日、碇君は?」
「NERVに用事だそうです。」
人として生きる事
第一部 第拾弐話
原罪
思春期、とくに中盤の少年少女たちとのは不安定なものだ。
気持ちは大人。自分の責任を果たそうとするし、恋愛だってする。
しかし、行動は子どもなのである。そんな、少年がここにいた。
「すみません。NERVの用事で、学校に行けません。 はい、失礼します。」
受話器を置き、シンジは目を擦る。シンジは、学校に行く気になれなかった。
シンジは、規則正しい生活を放り投げて2度目のベットに潜った。
シンジは寝られなかったのある。アスカへの接し方が判らなくなったのである。
やがて、自分を心配してくれる、トウジやケンスケの言葉さえも憂っとうしい
物となっていた。神経症気味だったのかも知れない。また、気楽に思えていた、
一人暮らしも段々重荷になっていた。一人で暮らして行くにはまだシンジは子ども
であった。
ようやく目を閉じると、次に開けたときは日が高々とあがっていた。
シンジはベットのなかで布団にくるみながら、ボーっと天井を見た。
「今日…、何しよう…。」
この間までは、シンジは女性と少女の同居生活に流されていた。
掃除をし、洗濯をし、女性の世話をし、少女に引っ張り回される。
気が付くと一日が終っている。この町にくる前の生活も、自我を抑圧
された環境に身を置かされていた。突然、束縛されるものが無くなり
身一つで自由な環境に放り出された処で、何をやればいいのか判らなくなってし
まった。これまでの生活のよりどころであったアスカの身の回りの世話に
行きづらくなり、習慣と言う鎖が無くなる。
シンジのマンションには生活に必要な最低限度の物しかない。
そのあまりにも生活臭のしない中で、唯一の娯楽のための物と言っていい、
ウォークマンを聞きながらシンジは眠りの中に落ちて言った。
シンジがその浅い眠りから醒めたのは、正午を少し回った時であった。
シンジはベットの中からもぞもぞと這い出て、着替えをし外に出ると
太陽が高く昇っていた。それは、シンジに海の上の太陽を思い起こさせた。
あの、永遠の夏。シンジのなかの想い出で海の太陽は唯一レインボーブリッジ
から見上げた太陽であった。
シンジはジオフロントを離れて、海の方角に向かう列車に乗っていた。
ジオフロントから太平洋側に抜ける鉄道にのると居きつく先は新横須賀である。
第三新東京市の建設のために新横須賀港から大量の物資が鉄道により運ばれ、
また、2つの軍事都市を結ぶ重要な交通機関となったのだ。
シンジ自身、第3新東京市と以前預けられていた処以外の土地を目にしたことがない。
親類にはシンジを行楽地につれて行こうと言う思いやりはなく、また、
第3新東京市に来てからはEVAのパイロットということで第3新東京市からでることは
厳しく制限されていた。
セカンドインパクト以降、新しく引かれた路線は全てリニアである。
いわゆる、高速鉄道としてのリニアではない。感覚的には、モノレールに
近いだろうか? レールからはあの特有のリズムは聞こえて来ずに、モータ音
が聞こえる。シンジは、窓に肘を立て、腕に頬を寄せていた。ぼんやりと外を
眺める。目にはただ流れる風景だけが写っていた。草の緑、実りの色。
そして、未だ癒えない戦いの傷跡。やがて、オレンジと青が斑になった異様な
海が見える。
軍隊と言う組織は、当然の如く規律に厳しい。
発令所では、時間と言うものに縛られた職員達が黙々と仕事をこなしている。
その職員たちを縛っている側の現ネルフの幹部達は定例の会議を行っていた。
組織において情報の流れは、人間の身体の血の流れに似ている。
流れが止まるとその組織は死に陥る。ネルフにとって血を送る心臓あたる会議が
行われていた。
「インド・パキスタン間の調停は、来月1日午前5時をもって発行します。」
マコトは席から立ちながら報告書を読み、
その内容が3次元ディスプレイに表示されていく。
定例の統合部局会議。目的は、NERVの運営方針決定。部局間伝達。
「その後、イギリス、カナダ、NERVの3軍混成部隊が現地入りします。なお、混成比率は、5:3:2となります。」
マコトは、手に持っている報告書を読み流している。
円卓を囲んでいる幹部達の手元には、モニターがありマコトの手元にある報告書
と同じものが写っている。
「以上で、作戦部からの報告は終ります。」
マコトは報告を終えると席に着いた。
「何か質問事項はありませんか?」
伊勢は、周りを見渡す。特に質問は無いようだ。それを確かめた後、伊勢は
冬月に目で合図を送った。
「では、これからは統括室付の特別報告を行う。まず、適格者について。
伊吹君から。」
「ハイ。」
マヤは、澄んだ声で返事をし席を立った。
「では、始めさせて頂きます。まず、1ページ目。セカンドチルドレン、
惣流アスカ・ラングレーの項から。」
マヤは、手元のキーボードを操作した。
「現在、セカンドチルドレンは技術部部長エミ・レキシントンが作成した
リハビリプログラムに従い、順調に回復しております。現在、第2段階の最終段階
にあり、まもなく移動方法を車椅子から松葉杖に移します。前回セカンドチルドレン
に対して行った体格および体力測定結果での比較では36.478%の回復となっています。
まず、エヴァンゲリオンは体調などの表層の要因ではシンクロ率等の重要要素は
影響されませんが、現在までの戦闘データでは実戦においては別となります。
では、次のページへ。このページは、現在の状態でセカンドチルドレンがEVA弐号機
に搭乗したとした場合のシュミレーション結果です。
シュミレーションは、作戦部戦術運用課と技術部第1課で行いました。
仮想敵性体は通常一個大隊を想定し行いました。」
現在、NERVの手元にある適格者は4名。セカンドチルドレン、惣流アスカ・ラングレー、
サードチルドレン、碇シンジ、 フォースチルドレン、鈴原トウジ、 そして、
フィフスチルドレン、渚カヲルである。が、実際問題として、EVAを操縦できるのは、
アスカとカヲルの2名である。シンジとトウジにはコアの問題が壁となる。
「結果の数値から、実戦は十分可能と言うことになります。」
病人や怪我人を、戦闘に駆り出すのか?
それは、立場によって違うだろう。冬月、伊勢やミカエルの立場ならYESである。
感情がNOといっても、軍人や組織全体の立場からYESである。
マヤ、エミの立場ならNOである。
『私も汚れてしまったわ。』
どこか、ずれた感覚である。が、アスカに対する態度と裏でアスカを物として見ている
感覚に寒さを感じた。
マヤは一息ついて、報告を再開した。
「では、次に今後の予定です。まず、まもなくリハビリプログラムは第3段階に
入ります。達成目標は、日常生活への復帰であります。で、退院の後、
プログラムは最終段階に入ります。退院の後の予定はまだ検討中であります。
以上で報告を終ります。では、冬月司令。」
マヤは、冬月に譲った。
「うむ。では、今回の第一の議題だが、前にも上がったセカンドチルドレンの保護者
問題だ。」
それを冬月が言い終えた途端、議場の半数以上が伊勢とミカエルの顔を見た。
当然であろう、この議論で初回の顔合わせが壊れてしまったのだから…。
が、周りの人間が見たところ、ミカエルの目はギラついていたが、伊勢の態度は
かえって落ち着いてるように見えた。
「聞いての通り、リハビリプログラムの最終段階において重要な事項である。
詳細な説明は技術部部長から。」
エミは無言で立ち上がる。
「では、私の方から。精神医学の見地から見まして、アスカは自己愛性人格障害と
診断されています。平たく言いますと、『特別な人間と言う自負があるにも
かかわらず常に羨望されたいという欲望に苛まれている。』いう矛盾に端を発する
障害です。
この両輪がうまくまわっている時には、それほど問題ではありませんが、この両輪は
サードチルドレン、碇シンジの存在により壊されています。
現在、アスカに必要なのは自分自身への肯定であります。
セカンドチルドレンとしての存在を否定されたと
アスカ自身が思い込んでいる以上、別の存在価値を認識させることが必要でありま
す。本来、自分自身の存在価値を他人に認めさせると言う行為は、幼年期から青年期
までの特有の行為であります。
つまり、社会への巣立ち、社会への順応の訓練の始まりです。
この行為は、自分の無条件の存在肯定、生きる意志が家族、友人から存在肯定、
特に両親の愛情を基盤があってこそ、その訓練意義があります。なぜなら、その行為を
失敗したとしても自分の存在が肯定できるからであります。が、アスカの場合、
その環境のためにこの基盤がありません。
プログラムの最終段階においては、肉体的なリハビリ
が重要でなく、精神的なリハビリと訓練が最重要課題になります。そして、
エヴァの起動に必要な心の開放が可能とするため訓練も兼ねることになります。」
そこで、エミは一息ついてテーブルにあった、紙コップのコーヒーを口に含んだ。
そして、髪をかき揚げた。
「で、そのような訓練を兼ねるため、まず、社会への順応のために、学校へ登校を
行います。これは、アスカの希望によるかもしれませんが、できれば、高等学校への
入学で、社会への順応訓練を行ってもらいます。生活環境としては、家族生活に
できるだけ近い環境を選びます。まあ、私や副司令、作戦部部長の所と言うような、
警備上も問題もクリアーされる所になるでしょうが。」
そのタイミングを測って、ミカエルが発言した。
「もちろん、私の所だろう。両親が居て、兄弟がいて、理想の環境ではないか。」
自分の所に居るのが当然だというような口調でミカエルは言った。
「確かに副司令の所は、最善の選択の一つです。が、人の心に関してはBestは
ありません。Betterの内どれかを選択しなければいけません。さらにいえば、
Ifもないのです。先程挙げた3つの場所はどれも同列ですし、アスカを回復も
まわりの努力次第でしょう。」
エミは、ミカエルの突出を意識したように発言した。
「だったら、アスカ君に選択の機会を与えたら良い。」
突然、伊勢が一人ごとのように発言し出した。
「アスカ君の希望を聞きそれに沿うのが精神上一番良い。一人で住みたいのなら
それが良いし、副司令と住みたいのならそれがよい。シンジ君と二人きりと言うのは、
少しまずいかも知れないが、その際は誰かが保護者になれば良い。その際は、副司令
が保護者になりたいのならなれば良い。まあ、ここでも前提条件はアスカ君と
シンジ君の希望があるが…。」
伊勢は物静かに語るように言った。
それにミカエルはフンと鼻息を出すと腕を組み、席にふんぞり返り黙ってしまった。
どうやら、伊勢の口調に毒気を抜かれたらしい。
「私もそれに同意しますわ。」
ハンナが伊勢の意見に同意した。
自分の妻の言動に、ミカエルは目を丸くして見つめた。
「アスカの自立しようとする際に生まれる意見を妨げるような事は、すべきでは
ありませんわ。」
ハンナは周りの幹部達に言い聞かす様に発言した。
「お前は、アスカの母親ではないか!? その義務を放棄するきか?」
ミカエルは自分の妻の反乱と判断したのかもしれない。
そんなものは、男尊女卑の考えだが…。
ミカエルはそんなことも頭に浮かびもせず、激しい口調で非難した。
が、それをハンナは冷静に返した。
「その答えは前に言った通りですわ。それに、自分の娘の成長を妨げる親なんて
居るのかしら? いずれ、子供は大人になり親から離れて行きますわ。それは、
何億年と変わらない人間、引いては生物の行為なんですよ。」
当り前のことを言う、ハンナ。が、それは人の説得には一番効果的な方法だ。
ミカエルは押し黙った。それを観て、冬月は「アスカの意志を尊重する」と統一させ
会議をお開きにした。幹部達はそれぞれ自分の執務室に戻って行く。
廊下で、伊勢とミカエルが肩を並べた。
ミカエルが意識して伊勢の横に並んだのだ。
「伊勢一佐、じつは君に報告しなければ行けないことがあってな。」
くすんだ金髪をかきあげ、ミカエルは横に並んだ伊勢に声を掛けた。
二人とも目を会わさず、正面を向いている。
「何ですか? 副司令?」
「サードチルドレンが登校していないそうだ。部下の報告では。」
それを聞き終えると、一瞬半後、上司に方に顔を向けた。
「で、私に?」
「いや、保護者の耳にと思ってな。」
「それで、その後は?」
「ロストした。」
「は?」
「ロストしたと行って言っている。
最終確認は新横須賀行きの電車に乗った所までだ。」
「保安部の能力を疑うな…。」
伊勢がすこし厭味混じりにその言葉を吐くと、ミカエルは殊更無視する。
伊勢は当然の様に、しかもミカエルが居ない様に作戦部部長室と札が下げられている
部屋に入った。
「はぁ、やっぱり子どもは目を離すととんでもないことをするなぁ。」
そう、口にしてつぶやくと、まず、コーヒーを入れ始める。
そろそろ、シンジ君を家に入れるべきか…。
それにしても、なんで……。
ドリップされる液体を眺めながら、愚痴まじりに考えた。
伊勢は今までのことを思いだし、シンジのケアを蔑ろにしている気がし、
後悔した。
そして、どこかふらついているであろう、自分の息子に電話をかけた。
「もしもし? タカシか?」
「どうしたの、アスカ?」
「何でもないわよ。」
マヤの問いかけに、アスカはどこか不機嫌を滲ませながら答えた。
いや、不機嫌でもない、なんとなく虫の居所が悪いというところか。
それに、マヤは微笑みながらアスカを見つめた。
感情を露わにできる。子供でもない大人でもないそんな時代の特権だ。
子供は感情を制御できない、大人は感情を押えてしまう。
だから、マヤは少し羨ましく感じる。
「そうかしら?」
マヤは、すこしからかい気味にたずねる。
「もう、しっつこいわね!!」
お遊びが過ぎた。お姫様はつむじを曲げられたようだ。
「ごめんなさい。ごめんなさいね。」
マヤはアスカに真剣に謝り始めた。
アスカに真擘な態度で謝るところがマヤのマヤたる由縁であろう。
が、アスカはそっぽ向いたまま、
「そんなに真剣に謝るなら、そんなこと言わないでよね。」
と、すねた表情でいった。
そんな、態度を取るアスカが可愛いと思うマヤはやはり大人なのであろう。
「そうだ、アスカ。退院したらどうするの?」
アスカはその問に少しびっくりした。しかし、マヤに悪気は無い。
今回の会議で決まったことで、そのために探りを入れただけだ。
が、アスカに取っては今の落ち着かない心情の原因である。
「どうしようかな。どうすれば良いと思う、マヤは?」
「どうすればって。そうだなぁ、ワタシの所にでも来る?」
アスカはそれを聞いて、悩んでいる様な表情を浮かべた。
それを見てマヤは、未だ決め兼ねている、と判断した。
まあ、それほど急いで決めなければ行けないことではない。
そんなやり取りをしているうちにリハビリルームに着いた。
まあ、会話がある内は関係が良好であろう。
「支えなくても大丈夫?」
心配そうな顔でマヤはアスカを見た。マヤは、喜怒哀楽をはっきりと顔に出す。
NERVの幹部クラスの人間としては珍しい。しかし、それは十分に幸せを与えられて
子供時代を過ごして来た証拠である。セカンドインパクトで苦渋を嘗めて育って来た、
同世代の日向や青葉とは少し違う存在となる。まあ、だからレイコにあったその日に
「お嬢様なのね。」と揶揄されるのである。では、アスカはどうなのか?
同世代の少女達よりも、自信に満ち溢れ、自分の意見をはっきりと言う。
それは、美しい容姿と大学卒業という豊かな知性の証明に基づいている。
しかし、それは喜怒哀楽の表現と言うよりは感情の爆発に近いものであり、
自分を無条件に肯定してくれる人が居ないゆえの叫びである。
「もう、大丈夫よ。マヤ。」
そう言いきり、アスカは車椅子から両腕に力を込め立ち上がった。
そして、今後は両足に力を入れて前の手摺にぶら下がる。
「うっ…。」
「大丈夫?」
「大丈夫よ。ホラ。」
歪んでいた顔から賢明に笑顔に戻し、アスカはマヤに向かった。
マヤは、その様子を観察する。そして、回復の度合を測る。
その間も、アスカは賢明に手摺にすがりながら前に進んでいた。
「キャッ!」
アスカが何かのはずみで、尻餅をついた。
驚いた顔したマヤが、アスカに駆け寄ってくる。
そんな、マヤの表情を見て、アスカの頭に真剣な表情で駆け寄ってくるシンジの
顔がよぎった。
振り返ってみると、目が醒めてからシンジがそばにいた。
アスカはそんなシンジを当り前の様に受け入れていた。
キョウコ、加持、に続く拠り所として認め始めていた。
そして、シンジが居て当り前という感覚が身に染みていた自分に額然した。
明日になったら『ゴメン』の一言をともなって、シンジが現れると思っていた、
シンジに甘えた自分が居た。
いつも、一人で何でもしようとして来た少女にとってそれは恐怖に近いものであった
かも知れない。自分と同列の存在が現れ始めたのだ。
『なによのバカ。いつものようにゴメンっていえば…。』
どこか、自分とシンジのルールが変わり始めている。
そんな、シンジのいないリハビリにどことなく違和感を感じるアスカであった。
放課後、トウジとケンスケは学校の屋上に来ていた。
もちろん、マナの隠し取り写真を売り裁くためにである
チャリーン。
「まいどありー。」
トウジが写真を買って行った生徒にお礼をいう。
関西弁と言うものは、商売のかけ声にしっくりと当てはまる。
四季が戻って来た事もあり、年中行事の水泳がなくなっている。
そのため、水着の写真はないが、それでもきっちりと体操着姿や
その他、きわどい写真はそれなりにそろえられている。
「なあ、ケンスケ。」
「なんや、トウジ。」
「お前のおかん、なんでおらんようになったんか?」
「何だよ、トウジ。変なこときくなぁ。」
ケンスケはデジタルカメラで写した画像の内容を吟味しながら答えた。
「ワシのおかんな、まだ、生きとるかもしれへん…。」
「は? どういう意味だよ、それ。」
「いや、生きとるちゅう〜んとはちゃうかもしれへんのやけどな…。」
ケンスケは、いかにも分からないと言うような表情でトウジを観た。
「いやな、ケンスケ。EVAのなかに…。」
「EVAのなかに?」
「EVAの人柱に使われたとしたなら…。」
「そんな、馬鹿なことあるかよ。それにそんなことどこで知ったんだよ!」
ケンスケは自分の父親の資料を常に盗み観ていた。
感覚は少年がアニメのロボットに憧れる感覚となんら変わりはない。
その中の資料には純粋に兵器としてのEVAの設計仕様であり、そんなE計画の核心部分
は全く触れられていない。それだけで、EVAが動くかの様に書いてある。
だから、こそケンスケはトウジのいっていることが判らない。
トウジは上を向いた。何時もと変わらず、高い空に白い雲が流れている。
「それは、教えることはできん。」
「なんでだよ。そこまでいったなら…。」
「ケンスケまで巻き込みたくない。」
このことを教えた側は、そんな事を全然思っておらず、更には噂として広まって
もらいたいと思っている。
「わしは、変なことで友達を疑いとうない。けどやな…。」
トウジは、下唇を噛む。
「けどや、もし、このことがほんとなら、自分のおとん、シンジのおとん、
それにNERVが許されへんかもしれへん。」
「トウジ…。」
物事は、それほど単純でないことをケンスケはトウジより物事を知っているぶん
判っている。
だいたい、クラスメイトは父親からは事故で死んだ、とか行方不明とか
聞かされている。
ケンスケは小首を傾げた。よくよく考えてみるとおかしな事に突き当たる。
セカンドインパクト直後に生まれた世代なので、片親で育っているまたは、両親
が居ないと言うのも珍しくない。が、自分のクラスは偶然が重なりすぎているの
では無いだろうか? 全員が母親を無くしており、かつ父親はNERV関係者。
ケンスケの心の中でも、真実味を帯びて来る。
「シンジや惣流は知ってるのか?」
「わからん。」
二人はそこで押し黙った。2人には、それ以上知る術を持たなかった。
所詮、子供である無力さを痛感した。
それでも、やはり雲は変わらず空を流れていく。
シンジは、新横須賀港にいた。
ふらついていたと言った方が、正確な表現であろう。
海には巨大なネイビーグレーの物体が浮かんでいる。
軍施設内は入れないが、第6使徒戦以降、空母としての機能を
失っていたレインボーブリッジが停泊していた。
『そういや、あのときのアスカは元気だったな。』
とつぜん、アスカのスカートが風で捲くれ上がる所を思いだし、シンジはクスクスと
思いだし笑いをした。
あの時、弐号機から帰って来てからアスカとの関係が変わって来ている。
良い方向に向かっているかどうかは判らない。判るのは今まで経験した事の無い人との
関係に向かっていると言う事だけだ。前にもアスカと喧嘩することは幾らでもあった。
喧嘩と言うのも違うかも知れない。アスカが一方的にシンジに言葉を浴びせ、シンジが
在る程度意地をはったら、「ゴメン」と謝る。共同生活でのルールだったのかも知れ
ない。しかし、いま何故かアスカはシンジの主張を聞くような雰囲気であるし、シンジ
はアスカを受け損ねると言うことが無くなって来ていた。
しかし、それもつかの間、アスカを受け損ね気持ちがすれ違った。
でも今回、シンジには謝るという選択肢は思い浮かばなかった。
自分が間違っているとは思えなかった。第3者から見ると、
自立した自我の目覚めとも言える態度である。
シンジは、駅に向かって歩きはじめた。
途中、歓楽街を通る。軍施設の近くには着き物である。
が、客入りが少ないのかどこか寂しい雰囲気であった。
過激な風俗店の看板が否応無しにシンジの目に飛び込む。
興味が無いといったら嘘となる。どこか意識しながらその看板から目を
外す。
シンジの前から、3人ほどの少年の集団が歩いて来た。
しかし、シンジはその看板に目を惑わされて前から来た集団に気が回らなかった。
鼻にピアスをし、髪の毛を染めている。薬もやっているのか危ない目付きをしている。
あまり、かかわりたくない人種である。
その中の一人の肩とシンジの肩が擦れるぐらいに当たった。
「ごめんなさい。」
シンジは、反射的に男達に謝った。が、何の気まぐれか男達はシンジを
取り囲み始めた。こんな男達の行動などMAGIでも予測できまい。
死体に群がるハイエナのような感じの光景に見えるのは男達の人間のレベルを
表しているようだ。
「なにみてんだよ?」
見るもの何も、そんな恰好で徘徊されたら嫌でも目に入るだろう。
「フクロにしちまおうぜ。」
ますます持って、そんな言葉が出て来る根拠が判らない。
シンジは、身を硬くし目を硬く閉じた。
リーダー格の男が拳をふり上げる。
「やめろよ。」
そのとき、その男の背後から青年がふり上げた拳を掴んだ。
「なんだよ! お前は。関係ねぇじゃねぇか。」
傍らに居た、男がその青年に殴りかかった。
それを見た青年は、掴んでいたリーダー格の男の腕を引き降ろし、男を倒した。
合気道の基本的の投げ方の一つだ。
そして、殴りかかって来た男に前蹴りを溝落ちに食らわせた。
カウンターで蹴りが入り、腹部を押え呻きながら崩れ落ちる。
そして、青年は倒れていた男の右肘部分を踏み潰した。
少し行きすぎかもしれない。が、多対一の格闘で一人ずつ確実に潰して行くのは
基本である。
その強さに圧倒されたのか、一人残された男は呆然としている。
「さっ、いこうか。碇シンジ君。」
「えっ?!」
シンジは驚いた顔をしたまま、その青年に手を引かれ行った。
シンジは手を引かれたまま、青年に尋ねた。
「あなた、誰なんです?」
当然の反応だろう、突然見知らぬ人間が自分を助け、しかも自分をどこかに
連れていこうとしているのだ。
「俺か? 親父に君を連れ戻してくれと頼まれてな。」
「お父さん?」
「そ、伊勢カズアキ。」
「伊勢さん? けど…。」
「あ、親父、俺のこと言ってないな。」
シンジは無言でうなずいた。
「俺の名前は陸奥タカシ。一応、親父は養父や。本当の父親じゃない。」
「そうなんですか。」
そう言えば、色黒で伊勢の色白とは似ても似つかず、さらに目ははっきりと二重だ。
南方の人間を思い起こさせる。
タカシは腕時計を見た。もうすぐ、7時に成ろうとしている。
「こんな時間じゃないか。どう、シンジ君、一緒にご飯でも?」
「えっ、でも…。」
連れてかれた先にはバイクが置いてあった。
その、パイプで組み上げられた様なフォルムはmade in japan以外の匂いがしている。
「ラーメン食いにいこ。」
タカシは無造作にいった。
「いや、僕もう帰ります…。」
シンジは、タカシに目を会わせようとせずその場を離れようとした。
それにタカシは、再びシンジの手首を掴んだ。
「ま、そんなに遠慮せんでもいい。うまいラーメン屋近くにあるんや。」
タカシは、赤い車体に掛けられたいたヘルメットをシンジに手渡した。
シンジは愛想笑いを浮かべながら流されるようにヘルメットをかぶる。
タカシに渡されたヘルメットからは、化粧特有の香料の香りがした。
リアシートに乗り、10分もしないうちにタカシの言っていた
ラーメン屋に着いた。二人がバイクのシートから降りる。
「陸奥さん?」
「タカシで良いよ。」
「タカシさん。ヘルメット…。」
「あ、あぁ…。」
タカシは、はに噛んだような苦笑いを漏らした。
「さっきまでね…。」
「彼女…さん…ですか?」
「1/4日だけのね。」
そう言われると、タカシの身体からは石鹸の匂いが発散している様な気がする。
意味するところはシンジにも十分想像できた。
タカシはガラガラとラーメン屋の戸を開けた。
「いらっしゃい。」
オヤジの威勢の良い声が飛んで来る。
「シンジ君何にする?」
カウンター席しかないその狭い店には、カンスイのきいた麺の茹でる香りと、
トンコツスープの特有の匂いが混ざり充満していた。
二人はカウンタ席の丸いすに座り、テーブルに肘を掛けた。
日常生活が戻って来た証なのか、背広を着たサラリーマン風の中年親父達が
夕刊を広げ、丼が来るのを待っているようだ。
シンジは壁に張られているメニューを載った紙をみた。
ずいぶん前から張られているのだろうか。紙は色あせ始めている。
タカシは、店に入る前から決めていたのか、カウンターの向こうの親父の作業を
じっと見つめている。
「なんにしましょ?」
店の親父は愛想良く聞いて来た。
しかし、シンジはまだ決まっていないようで、メニューを見ていた。
それに、親父が苛ついて来たようなので、
「チャーシュー2つ。」
とシンジの希望を無視して注文した。
シンジが、タカシの方を向く。
「なんか、変わった生き物を見ているような目だね。」
そりゃそうだろう、いままで出会って来た人達とは全く違う雰囲気を持ってる。
更に言えば、シンジとは違う方向の倫理感の持ち主らしい。
すると、シンジのその非難がましい目に言い訳するように、
「俺のこんな生活ももうすぐおしまい。春からは、学校に通うんや。」
「どこに行くんです。」
「自衛隊の大学校。」
タカシはさらりと言ってのけた。
会話が途切れて、しばしの間店の雑然とした音の中に身を委ねる。
そして、目の前にコトンと丼鉢が置かれた。
二人は割箸をパチンと割り、ラーメンをずるずるとすすり始めた。
「シンジ君。今日は何してたの?」
タカシは学校に行かなかったのか?と聞かなかった。
自分もそう聞かれたら何も言えないだろう。大人には分からない子供の気持がある。
「べつに、なにも…。」
「これから、暇やったら俺を呼んでくれ。ナンパで何でもつき合うから…。」
シンジは関心が無いように、麺をすすっている。
と、思いきや突然口を開いた。
「別に、そんなこと…。」
「興味無い?」
タカシは、『そんなことは無いだろう』と言わんばかりに、からかいながら顔を
のぞき込み聞いた。シンジは誤魔化すようにラーメンを再びすすり始めた。
ふと、さっきまで風俗店の看板を気にしていた自分を思いだした。
「やっぱり、どこかで区切りを付けんと、俺もそのために士官学校行くんやから。
それが、大人と違うんじゃないかな。」
区切り、けじめ。シンジにとって今まで縁遠い言葉が急に現実味を帯びて来た。
「それに、ナンパだって、一夜の関係だって、何時でもそのときは本気なんだから。
ウジウジしたら、ナンパの成功率は下る。」
「やっぱり、そう見えます?」
「見えるよ。」
やっぱり、ウジウジしているように見えるのか…。
他人から改めて指摘されると、変な表現だが段々実感が湧いて来る。
『いつまで、ウジウジしてんのよ! バカシンジ!』
なぜか、腰に手をあて指を突き付けながら、自分向かってにそういってくるアスカの
姿が頭によぎり、シンジは苦笑した。
その姿見て、今度はタカシが変なものを見るような表情をした。
ハッ! フン!
シンジはそのような唸り声で目を覚ました。時計を見ると5時。
ミサトのマンションでいつも起きていたのは6時前後だから1時間近く早い事になる。
早起きの理由はもちろん同居人2人のためのお弁当のためである。
結局、昨日は伊勢の家に泊まってしまった。
温泉旅館を買い取って住んでいるために、空いている部屋は幾らでもある。
「何だろう?」
唸り声の他に何か物を撃つ音がする。
一度起きると寝ることができず起きる事にした。ベットからごそごそと這い出る。
今日は着替えも無く下着とTシャツで寝ていた。
その姿からとりあえず、昨日来ていた
音の源は庭からだった。テラスから覗くと、そこには伊勢とタカシが睨みあっていた。
伊勢は長身で180ぐらいあるが、タカシはまだ175そこそこだ。
タカシはジャージを着ていたがそのジャージは結構汚れている。
代わって、伊勢のジャージは何も汚れていない。
タカシは、伊勢に向かって右足で伊勢の左脇腹を蹴り上げるような
ミドルキックを放つ。
しかし、伊勢はそれに向かってスッといった感じで前に出て、
左手をタカシの右足付け根を押さえて受ける。
そして、右足を抱えながら右手でタカシの首を掴む。喉輪だ。
顎を上げられ、タカシの顔が歪む。それを見たまま伊勢はグイッと体全体を押し出した。
たまらず、タカシは背中から倒れた。
「たまらず、蹴りが出るのはまだまだ未熟な証拠やな。」
「何だよ親父。剥きになりやがって。」
タカシは地面に仰向けになりながら悪態を吐いた。
「まだ、文句が言えるようやな。それやったら、四把垂もう一セットやな。」
「ちぇー。」
そういって、タカシは立ち上がりジャージについた枯れ芝を払うと、
何か空手の型みたいなものをし始めた。
「あっ。シンジ起きてたんだ。」
背後から声を掛けられ、思わずそちらを向く。
マナのクリっとした瞳がシンジに向けられた。
手にはお盆があり、麦茶が載せられていた。
「あっ、おはよう、マナ。」
透明感のある笑顔がマナに向けられた。
「うん。おはよう、シンジ。」
シンジは、縁側に座った。秋は近付き、やはり朝は肌寒い。
「シンジ、飲む?」
「ううん。いい。」
シンジは、さすがに冷たい物を口に含む気にはならなかった。
しかし、近付いて来た人物はそうでは無いようだ。
「よっ、シンジ君起きたんか?」
「おはようございます。伊勢さん。」
伊勢は、縁側に近付くとお盆に載っていた麦茶を一気に飲み干した。
飲み終えると、伊勢はシンジの隣に腰かけた。
「昨日は、どうしたんや?」
伊勢がシンジに優しい目で声を掛けた。
シンジは責められた感じがして、黙ったまま俯いた。
その姿を、マナが心配そうな顔で見つめた。
その空間を静寂が覆った。それに耐え兼ねた伊勢がその静寂を追い払った。
「ま、ええわ。聞かれた無いこともあるしな。マナ、すまんがもう一杯。」
それを聞きマナが、奥の台所に入っていた。
シンジはその姿を自然に目で追っていた。マナが奥に入った時点で、伊勢がシンジに
問を投げた。
「シンジ君、前聞いた話なんやけど…。」
「えっ、何です?」
「シンジ君、もう一丁聞くんやけど、この家に住まへんか?」
「でも…。」
「老婆心かもしれへんけど、危なっかしい。」
「……。」
「まあ、学校にいかんでもいい。学校いって、答えを教えてくれるわけでもないし。
けど、自分がどんな位置にあるかわからんような子供じゃないやろ。」
シンジは自覚しているだけに反論できなかった。
さらに小さくなっているシンジに、さらに言い聞かせる様に命令口調ぎみに伊勢は
言った。
「シンジ君、今日から学校終ったら、鈴原君と一緒に本部に来てくれ。」
「どうしてですか?」
「セルフディフェンスの訓練をする。射撃訓練、簡単な格闘訓練や。
ま、講師は俺か、日向君、青葉君やろけど…。」
前を向くと、今だタカシが拳をふり、激しい踏み込みを行っていた。
シンジは今日も学校をサボった。しかし、サボった理由は昨日より遥かにましな理由かも知れない。それは、大人達に取っては下らない事であっても、少年に取ってはとても重要な事であった。
「アスカに謝ろう。」
シンジは、そう思いNERV中央病院に向かった。
結局、シンジが謝りに行く。そんな、図式は変わらなかった。
シンジは、NERV中央病院の待合室を通りかかった。
「先のサードインパクトと呼ばれる一連の大災害の続報です。」
シンジは病院の待合室に流れるテレビの音声に耳に入った。
その”サードインパクト”という単語に気が引かれテレビの方を向いた。
テレビには、男性のアナウンサーが原稿を手にして話しを続けている。
「委員会の正式報告書によれば、死者・行方不明者は全人類の約3分の1、約10億人に昇り、内訳を見ると先進国が高い比重を占めています。」
シンジは呆然とテレビを見続けた。
「それに伴う、孤児の数は約2億人なります。」
罪をシンジの心に染み込ませるかの様にアナウンサーのコメントは続く。
「いやね、国連は最小被害で収まったと歌い上げてますけどね。これね、セカンドインパクト並みのカスタトロフィーですよこれ。」
「まったくそうですよ。セカンドインパクト以降、サードインパクトは予想されていたんでしょ。この対策に莫大な予算が流れていた訳ですよ。まだ真相は完全に明らかにされていませんが、明らかに成り次第、責任を追及すべきですよ。」
この何気ないアナウンサーとコメンテーターの会話がシンジが誤魔化しつづけていた罪の意識を引き上げ始めた。15歳には、重たすぎる十字架をシンジは背中に感じ始めた。
意識を感じれば感じるほど十字架は重くなっていく。
僕は誤魔化していたんだ・・・・。
マヤさんや伊勢さん、みんなに優しくされて・・・・。
優しくされて、思い上がっていただけだ。
アスカを助けたと思って・・・・。
アスカを立ち直らせたからといって、罪を償った事にならない。
そんなのアスカに自分を映して自分を騙しているだけだ。
僕は本当に罪を償っていない。
本当の罰を受けていない。
僕が殺した人への償いを・・・。
本当の贖罪を・・・・。
やがて、シンジの背負った十字架がシンジを押しつぶす。
待合室の床にシンジは倒れた。
「シンジ君。それは君だけの罪じゃない…。リリンの原罪だよ。」
シンジは、倒れていく時、銀髪と紅の眼に自分の罪の象徴を見た。
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ver.-1.00 1999_03/08公開
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こんにちは、だんだん連載スピードが鈍っていく、伊勢です。
前に次回は「葛城ミサト〜」と宣言したにもかかわらず、とてもギャグを書く
気分にならずこれになってしました。
今年は、学校を修了する気は無かったのですが、なぜか新年度から就職の運びに
成りました。
で、予定なら今ごろ第一部は終っているつもりだったのに、終らないまま社会人に
成ってしまう…。
さらに、スピードは落ちそうですが見捨てないで応援お願いします。
ではでは(^^)/
伊勢さんの『人として生きる事』第拾弐話、公開です。
あっと、
シンジ君にクリティカル〜
ちっと
いい感じになりかけていたところに直撃系。
むぐぐぐ
うみみみ
これは痛い。
かも。
ことになりそう。
かも。
もう少しで、
シンジ君だけでなくって、
アスカちゃんにとっても良い動きになりそうだったのにぃ
重いケアすとーりーに入るのかな?
さあ、訪問者の皆さん。
伊勢さんに暖かい応援と感想メールを送りましょう!
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