シンジが先に家を出る。
アタシは身支度を整えて待ち合わせの場所へ行く。
それは公園だったり、喫茶店だったり。
やっぱりデートの時は待ち合わせをしてからじゃないと。
服を見繕って、軽く化粧をして準備完了。
アタシはわざと時間より遅れて待ち合わせの場所へ行く。
アタシが遅れて姿を現したときの、シンジのホッとした表情が好きだから。
今日は公園の噴水の前。
ボーっと立っているシンジの背中に飛びついて、アタシは笑顔を送る。
シンジも微笑み返してくれる。
アタシが彼の腕につかまり歩き始める。
シンジはアタシの歩調に合わせて歩む速度を調節してくれる。
2人で出かけるときのいつもの手順。
買い物につきあわせたり、映画へ行ったり。
遊園地に行ったり、水族館へ行ったり。
晴れの日には、公園で寄り添ってひなたぼっこするときもある。
その時々によって行く先は変わる。
2人が行きたいところへ行く、のではなくアタシが行きたいところがほとんどだ。
でもシンジは、文句一つ言わず付き合ってきてくれる。
今日はどこへ行こうかな。
腕を組むのは好き。
でも手をつなぐのはもっと好き。
お互いの感触が指先から伝わって、存在を確かめられるから。
でもシンジは手をつなぐのをいやがる。
理由は恥ずかしいからだって。
確かに彼の顔が普段より赤くなっている。
だからアタシも腕を組むようにしている。
何を今更という気もあるけど、無理強いはしない。
町中には肩を組んでるカップルもいる。
男だけならともかく、お互いでやると応援団みたい。
あまり好きじゃない。
男が女の腰に手を回しているカップルもいる。
シンジにはできないだろうな。
でも、やっぱり手をつなぐのが好き。
シンジ解ってるのかな。
今日は映画を観る。
観る時によって内容は違うが、今日は恋愛ものを観る。
暗い劇場でふざけて彼にキスをする。
表情は見えないがきっと困った顔をしているんだろう。
その間手はつなぎっぱなし。
映画観ている間は会話ができないから、せめて手ぐらいつないでと決めたのだ。
重なり合っている部分から彼の感情が伝わってくる。
泣けるシーンだと震えてくるし、恐いシーンだと痛いくらい握ってくる。
あたしが不覚にも泣いてしまうと、優しく握ってくれる。
アタシは握り返す。
暗がりの中で手をつなぐと、いつもより気持ちが通じ合っているように思う。
映画が終わって照明が点くと、シンジはアタシを立ち上がらせてから手を離してしまう。
再び腕を組んで外に出る。
時間は夕飯時。
アタシがどこかで食べていこうと言うと、シンジは家に帰ってから自分が作るという。
デートの時ぐらい外食にしなさいって。
結局アタシが押し切るようにして、食べていくことになる。
いつものこと。
今日は何にしようか。
気取ってフランス料理。
シンジの格好からあきらめる。
イタリア料理。
は、この前の時に食べた。
ドイツ料理。
アタシが作るのよりおいしい店が、この町にあるとは思えない。
和食はシンジに作ってもらった方がいいし。
ロシア料理は以前酷い目にあったし。
結局イタリア料理に決定。
この前の店、凄い美味しかったからね。
まだ時間が早かったのか、並ばずに店に入れる。
シンジが椅子を引いて、アタシを座らせてくれる。
よしよし、ちゃんとマナーを覚えているわね。
パスタにカルボナーラ。
サラダとコンソメスープも。
メインにはラムの小さめのステーキ。
デザートにオレンジシャーベット。
あと赤ワインも飲もうかしら。
ボーっと聞いていないでアンタが頼むのよ。
こういうのは男の役目なんだから。
シンジはマカロニに、サラダなし、スープもなし、メインにアバッキオのTボーンステーキ200g。
デザートなし。
馬鹿ね、今日は割り勘にするのに。
いつもたからないわよ。
1人でワイン飲ませる気かしら。
シンジも付き合いなさい。
高校生だから飲んじゃいけないって、そう硬いこと言わないの。
ドイツじゃ水と一緒よ、小学生だって飲んでいるわ。
はい、乾杯。
すぐ赤くなっちゃって、本当弱いんだから。
やっぱり美味しい。
このコンソメは絶品ね。
シンジにも飲ませる。
遠慮しないの、口開けなさいって。
家だと嫌がらないのに、すぐ人目を気にするんだから。
無理矢理押し込める。
ほらおいしかったでしょ。
サラダも片づけると、メインディッシュがやってくる。
タイミングがいいのよねこの店。
がーん、ラムはたいしたことない。
悔しいからシンジのステーキを一切れかすめ取る。
むーっ、美味しい、こっちにすれば良かった。
いいわよ交換しなくても。
すぐ人の顔色うかがうのよしなさいって言ったでしょ。
このソースは美味しいのに、今日はハズレだったのかな。
今度シンジに食べさせて様子を見よう。
デザートを食べ終わって、お会計。
ほら、アンタがボーイを呼ぶのよ。
ふーん、ワインまで開けたのに今日は結構安かったわね。
はい、割り勘だからね、アタシの分よ。
シンジの財政状態は把握してるんだから、いつも奢らせられないわよ。
外に出るとすっかり暗くなっている。
ちょっと冷えてきたかな。
ワインを飲んだせいか、身体の内側がぽかぽかしててちょうど良く感じる。
アタシが手をつなごうとすると、シンジはやっぱり嫌がる。
理由を言ってみなさいよ。
別に今更恥ずかしがることないでしょ。
はあ、アンタ馬鹿ぁ。
人目が気になるって?
アタシと自分が釣り合わないって?
自分に才能がないって?
アタシとシンジは付き合ってるの、恋人同士なの。
他の人間が何を言おうと、それは一番確かなこと。
シンジが格好悪くても、アタシにとって格好良ければそれで良いの。
アタシと釣り合う釣り合わないじゃないの。
シンジも他の男連中みたいにアタシの外見だけを見ているの?
違うでしょう。
全部ひっくるめたアタシに惚れているんでしょう。
アタシだって同じだもの。
全部ひっくるめたシンジが好きなんだもの。
自分に才能がないって?
愛に才能なんかないわよ。
あるのはお互いを思いやる気持ちだけ。
愛情の伝え方が下手でも、気持ちが通じていれば伝わるものよ。
それが恋人ってものよ。
だから恥ずかしがることないの。
ほら泣かないの。
顔拭いて、はい、ハンカチ。
すっきりした?
酔っている勢いでも良いから、言いたいことは言っちゃいなさい。
え?
何よ、いきなり積極的になったじゃない。
相変わらず顔は照れた様子だけどね。
まあ、合格点ね。
アタシはシンジをそっと抱きしめる。
シンジもアタシを抱きしめる。
他の人が見ているわよ。
お願いだから、あまり自虐的にならないでね。
アタシのためだからといって、別れようと考えないでね。
アタシにはシンジしかいないんだから。
ずっと、ずっとそうなんだから。
さっきの返事?
・・・アタシも愛しているわよ。
だからアタシがきついこと言っても、嫌いにならないでね。
ずっとこうしていてね。
ぎゅっとアタシを抱きしめていてね。
お願い。
アタシ達は、しばらくそのまま抱き合っていた。
普段人前では絶対にキスをしないシンジが、唇を合わせてくれる。
名残惜しげにあたしは身を放す。
そろそろ帰りましょうか。
お店の前でずっとこんなコトやっていたら、二度と入れてくれないわよ。
あら、いいの?
知らないわよ。
ずっとこのままなんだから。
絶対この手を離さないんだから。
アタシ達は、自分達の家に帰るまで手を離すことはなかった。
これが掲載されてから20000HIT達成すると思われますが、
諸事情のために先に出しました。
僕はMacUSERなんですが、このたびHDがクラッシュしてしまいまして、
現在自宅でPCが使用できなくなりました。
CD−ROMからでないと立ち上がらなく、漢字TALKの再インストールもドライバ側に書き込めないとかで、
もはや手におえません。
というわけでインターネットも出来るわけなく、現在職場で細々とやっている次第です。
ノートン先生もお手上げの僕のMac。
どなたか良い復旧方法を知っている方いらしたら、教えて下さいませ。
現在メールは転送かけて読んでるので、お願いします。
僕は女と歩く時は手をつなぐ派ですが、皆様はいかがでしょうか。
腕を組まれるのも良いですけど、やっぱり行き着くところは手つなぎだと思います。
というわけで、次の掲載大幅に遅れます。
どなたか僕に愛の手を〜!!
それでわ。
ズルルルルルゥッ、
ズルルルルルルルルルルルルルゥッ、
「あんの2人どこへ行ってるのよぉ。私だって美味しいもの食べたいぃぃぃ!」
ガチャッ、
「「ただいまー」」
「おかえり、シンちゃんなんか作ってぇ」
「アスカ」
ギュッ、
「シンジ」
ギュギュッ、
「アスカ」
ギュウゥッ、
「シンジ」
ギュウウウゥッ、
「あのぉ〜」
「寝るまで離さないからね」
「アタシは寝ても離さないから」
「じゃあ僕は学校まで離さないから」
「アタシなんか授業中も離さないからね」
「お〜い」
「でも着替える時と、お風呂は離さなきゃね」
「一秒でも離したくないのに、神様ってなんて残酷なの」
「アスカ」
ギュッ、
「シンジ」
ギュッギュッ、
「こんの色ガキどもぉぉぉぉぉぉ!!」
「あ、ミサトさんいたんですか」
「今日も夜勤じゃなかったの。全く、気ぃきかせたっていいのに」
ぷっち〜ん、
ミサト昇天。