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  腕の匂いをかいでみると、もうLCLの血のにおいは落ちていた。最初におかれていた石鹸は、それこそひどいものだったけれど、ミサトさんのひとことで、それなりに匂いのいいものに換えられていた。
  タオルで乱暴に髪の水分をふき取ると、手早く服を着る。腕時計をはめながら文字盤を見ると、もう夜中の十時を回っていた。
  MAGIを掌握して、ネルフ本部を爆破させようとした存在……《使徒》ではないらしい……を赤木博士とセカンドチルドレンが撃退してから、もう一時間以上過ぎている。
「きょうの晩御飯は簡単なものにしておこう」
  そう独り言をつぶやいて、シャワー室から出る。
  ミサトさんから待合室で待っているようにいわれていたので、そちらに足を向ける。
  そこにはセカンドチルドレンがいた。壁にもたれながら缶ジュースを飲んでいた。
  昼間に公園で見たのは違う服装だったけれど、赤い髪飾りは同じものだった。
  しかも、いまさらにして気づいたけれど、髪飾りじゃなくて、エヴァの操縦に用いるヘッドセットだった。ふと、ペンダントを握りしめ、そして、唐突に思った。これと同じなのだろうか?
  トウジが拾ったサングラスの代わりの品はないみたいで、蒼い瞳が虚空をさまよっている。この瞳の色にもやはり見覚えがあった。あのときのように、人を灼きつくすような輝きはないけれど……。
  ふと加持さんの言葉を思い出した。
『俺もアスカも臨海公園になんて行ってないよ』
  着ているものさえ無視すれば、あの公園で見かけたあの少女と同一人物としか思えない。
  ならば、どういうことなんだろう。
  双子がいるのか、とか考えたけれど、加持さんまで双子なんてことはないだろう。
  そこで考えるのをやめた。
  他人のことなんてどうでもいい。
  セカンドチルドレンを相手にする気もなかったので、ベンチに腰を下ろしてミサトさんを待つことにした。
  彼女の方も、なにもいわずに静かに壁にもたれていた。
  ただ、静けさだけがそこにあった。
  心地よい、誰も感じない、静けさ……。
「シンちゃーん」
  ミサトさんが廊下を歩いてきた。その背後から静かに歩いてくるのは綾波だった。
「おっ待たせ。さ、帰るわよ」
「あ、はい……」
「ほら、アスカも」
  立ち上がってから気づいた。
「綾波もミサトさんが送っていくんですか?」
「そうよ」
  そういって、例の猫みたいな笑みを浮かべた。そのミサトさんの笑いの意味を、このとき理解していなかった。


NEON GENESIS EVANGELION ANOTHER STORY
砂の果実
EPISODE:5
ACQUAINTANCES

  翌日は疲れていたことにして学校を欠席することにしたけれど、夕方になって、近くの商店街の安売りの食料品の買い出しに出かけた。
  その帰り、マンションの近くで見慣れた後ろ姿を見つけた。
「あれ? トウジとケンスケじゃないか」
「うわおっ」
  奇声を上げてトウジが振り向いた。
「それに委員長まで。なに? どうしたの?」
「どうしたの、ってなあ。シンジ。お前がきょう休んだから、わしとケンスケで見舞いに来たっちゅうわけや。ま、プリントを届けるって用事もあったんやけどな」
「そう。わざわざありがとう」
「そう思ったら茶の一杯でも出せや」
「ん……わかった」
  頷いて三人の横に並ぶ。
「それで、委員長はなにしに来たの」
「んーとね、友だちのところに遊びに行くところ」
「へえ……」
「そういや、碇の家に遊びに行くのもはじめてだな」
「いつも散らかってるからね」
  ミサトさんが散らかしてるんだけど。
  そのミサトさんは、たぶん昨日の残務処理のためだろう、きょうは朝から出勤だった。最後まで部下に雑務を任せるわけにはいかなかったってことだろう。
「なんや、主婦みたいなことをいうのう」
  そこでトウジは買い物袋をのぞき込んだ。
「買っとるものまで主婦くさいで、ほんま」
  その言葉に、ケンスケと洞木さんまでビニール袋をのぞき込んだ。
「……碇、お前、なにしてるんだ?」
「いや、ミサトさん、帰りが遅いから……」
  早く帰ってきたとしても、料理なんてさせないけれど。
「ミサトさんって?」
  洞木さんが小首を傾げる仕草をした。
「保護者だよ」
  両親が保護者じゃないというところに気づいて、洞木さんは少し気まずそうな顔になった。ある意味勘違いなんだけど、それを訂正する気にもなれなかった。
「それで、碇が買い物に出かけるってことは、作るのも?」
  ケンスケが洞木さんをフォローするように話題を変えた。
「まあ、ね。大したものは作れないけど」
「そうか? 袋の中身から見ると、結構こったものを作ってる感じだけど」
「そうよね……。でも、ずいぶん多めね」
「そうかな……?」
  そんなことはないと思うけれど。
  洞木さんがなにかいおうとしたところで、ちょうどコンフォート17にたどり着いた。
「ここだよ」
「へえ……。結構いいとこに住んどるんやな」
  まあ、ミサトさんはあれでも佐官だし、給料もそれなりにはいいはずだ。
「碇君、ここに住んでるの」
  洞木さんはそういいながらついてくる。聞けば、友だちというのもコンフォート17に住んでいるそうだ。
  ミサトさん以外をここで見かけたことはないけれど……。
  エレベーターにはいると11のボタンを押す。洞木さんはそのあとに12のボタンを押した。
  軽い浮遊感がしばらく続いたあと、エレベーターは静止した。そこで降りる。
「じゃあな、いいんちょ」
「鈴原も碇君に迷惑かけるんじゃないわよ」
「なにいうとるんや!」
  エレベーターの扉が閉じて、そばかすの浮いた頬が消えた。
  歩きながらカードを取り出して、もういい加減に入り慣れたドアの前に立つ。
  入り慣れたドア、入り慣れたドア……。
「……あ」
「どないしたんや、シンジ」
「部屋の場所、間違えた……」
「はあっ!?」
「いや、昨日引っ越したんだよ。この上の階なんだけど」
「碇……」


  『葛城』というプレートのあるドアのカードスリットにカードを通してなかにはいる。
  部屋のなかからは女同士の騒がしい声が聞こえてきた。
「なんや、えらく騒がしいのう」
「誰だろう」
  まったく状況が把握できなくて思わずつぶやきをもらすと、ケンスケがあきれたように、
「なんだよ、それは……」
  リビングでは金髪の少女がげらげらとけたたましい声で笑っていた。
  その向かいに座っていたのは、洞木さんだった。
「なんでいいんちょがここにおるんや」
  トウジは困惑したように声をかけ、それでセカンドチルドレンは馬鹿笑いをやめて振り向いた。
  青い瞳がトウジとケンスケの上を撫でていく。
「誰よ、あんた」
「げ」
「お、お前は」
  当然のように恐怖にかられたふたりは後ずさる。とくに、《殺す》といわれていたケンスケの方は、トウジのジャージの後ろで小さくなっている。
「なによ」
  セカンドチルドレンはむっとした顔を浮かべた。
  ケンスケとトウジの耳元でささやいて教える。
「あのときのとは別人だよ」
  本当にそうなのかはさておき、会った記憶がない以上、簡単に説明するにはこれが適当だろう。
  明日にでも、もう少し説明しておけばいい。
「ははは……。よく似た知り合いに思いっきりいやなやつがいてね」
  ケンスケが取り繕った。
  この辺りの反応の早さはまねできない。
  トウジもケンスケの台詞に慌てたように笑顔を浮かべて、
「そうなんや」
  ごまかした。こちらはどうにもぎこちない。
「ふーん」
  どうでもいいというように彼女は曖昧に答えた。
「惣流・アスカ・ラングレーよ」
「鈴原トウジや。よろしゅう」
「相田ケンスケ。よろしくな」
  その挨拶に彼女は鷹揚に頷いた。
「それでやな、シンジ」
「なに?」
「なんでお前ら同じ家におるんや?」
  思わずトウジとケンスケの顔を見る。
  トウジは妙にまじめな顔をしている。
  ケンスケの方は口元にかすかな笑みをたたえていた。なんとなく加持さんを連想させる。
「なぜって……」
  言葉に詰まる。けれど、セカンドチルドレンの方はしごくあっさりと答えた。
「一緒に住んでる……住むからだけど」
  突然洞木さんが狂ったように悲鳴を上げた。
「いやーっ! 不潔よ、不潔だわ!」
  そういって口元に手を当ててぶるんぶるんと首を振った。
  ケンスケとトウジもわけの分からないポージングで固まっている。
「あの……。どうしたの、三人とも?」
  一番最初に復活したのはケンスケだった。
「碇と惣流って、姉弟かなにかなのか?」
  セカンドチルドレンは鼻を鳴らした。
「馬鹿なこといわないで。こんな冴えないやつ、真っ赤っかの他人よ」
  当たり前だろ。
  いや、まんなかの部分はさておいて。
「じゃあ、やっぱり同棲……」
  洞木さんはさらに妄想の泥沼に沈んでいく。
「なんでそうなるのよ!」
  彼女は洞木さんの頭をつかんで振り回した。
「あたしは年下趣味なんてないわよ!」
「年下?」
  トウジが怪訝そうに、
「どういうことや」
「あんたたち十三でしょ?」
  脳味噌をカクテルのようにシェイクされて、洞木さんは頭を抱えている。
「俺は十四……」
  ケンスケが枝葉に属するつぶやきをもらすが、誰も聞いちゃいない。
「あたしは十五よ。一月後には十六になるわ」
  勝手な思いこみだったけど、同い年だとばかり思っていた。
  どういうわけか、トウジも同じ勘違いをしていたらしい。
  なんでだろ?
  そのとき、昨夜セカンドチルドレンが出てきたふすまが開かれた。


「ドイツから届けられたEVAの武器とそのパーツはこれで全部かしら」
  上司の言葉に、手にしたボードの上の書類をめくってマコトは確認した。
「そのようですね」
  そういってつけ加えた。
「《使徒》が輸送船を二隻沈めましたからね。半分しか届きませんでしたから」
「そうね……。エヴァと一緒に輸送すれば《使徒》に狙われる可能性だってあったのに、UNの連中は何を考えてるのかしら」
  ミサトは愚痴る。
「我々に、あまり協力したくないんじゃないですか? だから、太平洋艦隊ひとつ程度を護衛にした……」
  エヴァの重要性を考慮するなら、太平洋艦隊ひとつなど、護衛としては不足だった。
「それはともかくとして、いままでに比べればずいぶん楽になりますよ」
  マコトはめがねの位置を指先で正して、よい面を指摘した。
「プログナイフ一本で戦わせるようなことはなくなりますからね」
「そうね」
  ミサトは厳しい顔の間まではあったが、部下の指摘に頷いた。
「シンジ君たちを苦しめなくてすむなら、それに越したことはないわね」
「葛城さん」
  マヤがマコトの手にしているようなプラスチック製のボードを手にして近寄ってきた。その上の紙には、データがプリントアウトされている。電子上のファイルだけ移動させればすむはずなのに、人類は浪費という悪癖を未だに改められないでいた。
「先輩からのレポートです」
  ミサトは書類を受け取ってざっと視線を走らせた。
「F型装備は使用不可……。結構厳しいわね」
「海の底じゃ回収もできませんしね。ドイツ支部には再度輸送するようにと要請はしてありますが……」
  マヤは悲観的な表情を浮かべた。
  言葉を濁したマヤのあとを継いで、マコトがいった。
「本部、支部には嫌われていますからね」
  だから、弐号機以降のプロダクションタイプの建造状況さえ作戦部長であるミサトでさえほとんど知らされていない。マヤやリツコのような、技術部のスタッフも同様らしい。
「戦争って、敵と味方をどれだけ効率よく殺すかってことだけど、味方の損害の許容範囲がわからないってのはつらいわね……」
「……葛城三佐っ!」
  マヤが非難がましい目でミサトをにらみつけた。
「マヤのいいたいことはわかるわ」
  ミサトはその視線を真っ向から受けた。
「わたしだって、シンジ君やレイ、アスカに死んでほしくないし、傷ついてほしくもないわ」
  そこでミサトは言葉を切った。
「けれど戦争ってそういうもんよ」
  その瞳からマヤは視線をそらした。
  ネルフにいることが正しいのか、わからなくなってくる……。


「いやーっ! 不潔よ、不潔だわ!」
  ふたたび洞木さんが絶叫した。
  ついで、ケンスケとトウジがそろって、
「いやーんな感じ」
  完璧な呼吸でそう叫ぶと、さっきと同じ、わけの分からないポーズで固まっている。
  そんなことをいわれても、困る。
「あんたねえっ!」
  セカンドチルドレンまでもが感情の抑制を欠いた。
「そんな格好で出て来るんじゃないわよ」
  それを無視して、
「誰?」
「……クラスメートの、鈴原と相田、それに洞木さん……なんだけど」
「クラスメート……2−Aの……? そう」
  場の状況にまるで影響されずにキッチンに姿を消した。
  水道をひねる音がした。水でも飲んでいるんだろう。
「……シンジ。これはいったいどういうことなんだ」
「そうや。わいはお前を見損なったで」
「……不潔……不潔……」
  ひとりどこかに旅立ってしまっているが、気にすることは、ない。
「いや……。昨日、ビールを飲んだから、じゃないかな……」
  とりあえずとぼけてみる。
「お酒飲むと、のどが乾くんだよ」
「そんなことは聞いとらんわい」
  トウジは冷たくも、数度の実地経験に基づく(ここにも問題がないわけではない)ありがたい言葉を却下した。
  そして、青筋まで立てて怒鳴った。
「わしらの知りたいのは、なんで綾波がここにあんな格好で出てくるのかっちゅうことや!」


「なんでといわれても」
  昨夜、ネルフからミサトさんの運転する車で帰ってきたあと、なんの説明もなしに綾波とセカンドチルドレンごとここまでミサトさんは来たのだ。
  そして、そのあと家に上がってから四人で住むことになったといった。
  あの、猫みたいなにんまりとした笑い顔で。
  そこにいたって、ようやく帰り際のミサトさんの笑いの意味が分かった。
  からかいたい放題からからかわれたけれど、それでもミサトさんには感謝している。綾波を、あの、非人間的な環境から連れ出すことができたのだから。
  綾波がキッチンから戻ってきた。
「ファースト! 部屋に戻って、せめてスカートかズボンくらいはいてきなさい!」
  綾波の格好は、上にパジャマを着ているだけというものだった。結構裾の長いものだからいいけれど、どう考えても人前に出る格好じゃない。
「そうした方がいいと思うよ……」
「そう」
  綾波はそのままふすまの奥に消えた。この奥にある二部屋が、綾波とセカンドチルドレンの部屋だ。下の階だと、ここが壁のために一緒に住めず、それが引っ越しの理由になったのだとミサトさんがいっていた。
「……不潔……不潔……」
「いい加減に戻ってきなさい!」
  セカンドチルドレンは洞木さんの首をつかんで振り回した。人の頭をシェイクするのが好きらしい。
「これはどういうことや、シンジ。きっちりと説明してもらおうか」
  トウジの目が怖い。
  ケンスケの目も怖い。
  洞木さんの目も怖い。
「説明といっても、綾波の保護者に、ミサトさん……さっきいったぼくの保護者がなったって、それだけなんだけど」
「そうなの、アスカ?」
  洞木さんが友人に確認した。
「そうよ」
「じゃあ、アスカの保護者も?」
「うーんと、あたしの……パパ……か、いちおう……はドイツにいて、ね。こっちで独りで住むわけにはいかないってことで、職場の同僚になるミサトに頼んだの」
「職場ってなんや?」
  トウジがセカンドチルドレンの説明に訝しんだ。
  ケンスケの注意もそちらに移った。
「この街に、国連直属の組織、ネルフっていうのがあるでしょ? あたし、そこで働くのよ」
  ケンスケの顔が緊張した。
「どういう、意味?」
  ちらりとこちらを見る。
「彼女、博士号持ってるんだよ」
「は……博士号!?」
「情報工学の博士号をね」
「博士号……アスカ……」
  ケンスケは眉間にしわをよせて、なにやら考えていた。そして、不意に叫んだ。
「そうか!」
「どうしたの?」
「惣流・アスカ・ラングレー! そうだろ?」
「そうよ」
  素っ気ない答えに、ケンスケの目つきがなにやら感動に満ちあふれている。
  その感動に、トウジが無遠慮に水を差した。
「誰や、それ」
  ケンスケはその友人の態度に怒りを覚えたのか、とうとうとセカンドチルドレンについて語りだした。


「ただいまあ」
  やけにのんきな大声は、もちろんミサトさんだった。
  その、明らかに若い女性とわかる声に、ケンスケとトウジが目を輝かせた。そして、期待を込めて玄関へ続く扉を注視する。
  ふたりの期待に応えるように、ミサトさんは制服の上着を脱ぎながらなかに入ってきた。そんなに暑い制服を採用することはないと思うのだけれど、ミサトさんいわく、《日本人は昔から制服にはセンスがない》のだそうだ。ケンスケあたりが反対しそうな意見だけれど、見栄えと着心地は違うということだろう。
「おおーっ!」
  ケンスケとトウジがそろって感激の声を上げると、ミサトさんはふたりに微笑みかけた。
「シンジ君の友だち?」
「あ、はい。俺……ぼくは、相田ケンスケといいます!」
  気合いの入った自己紹介をすると、ケンスケは立ち上がってお辞儀をした。
「わいは鈴原トウジいいます」
  こちらも妙に気合いが入っている。
  そのトウジのジャージの背中をすごい目でにらみつけたあと、洞木さんも立ち上がって挨拶をする。
「洞木ヒカリといいます。碇君のクラスメートで……」
「あたしの友だちってわけ」
  セカンドチルドレンは洞木さんの言葉の途中に割り込んだ。
「アスカの?」
  ミサトさんはいかにも怪訝そうな表情になった。
「ドイツ時代の、よ」
「ドイツ時代の……?」
  ミサトさんは一瞬驚いたように目を見張り、それから今度はぎこちなく微笑んだ。
「そう、よろしくね」
  そういって着替えのために自室に戻る。
「碇」
「ん?」
  ケンスケは身を乗り出して、
「いまのは……」
「ミサトさん。さっきいっただろ? ぼくの保護者だよ」
「聞いてへんで、あんな若い美人なんて」
  いった覚えもないからね。
「なんで碇ばっかり……」
  ミサトさんのふだんの生活態度を見せてやりたい。
  あのずぼらさを見れば、そんな馬鹿なこともいわなくなるはずだ。
「ミサトのどこがいいの?」
  深刻そうにセカンドチルドレンが訊ねた。
「そりゃ、美人のお姉さんというところが。そうだな……あんな人の手料理を食べてみたい!」
「あんたバカ?」
  侮蔑のこもった視線で、彼女はケンスケをなで切りにした。
「それとも自殺志願者?」
  まったく無知とは恐ろしい。
  そこへミサトさんが着替えて出てきた。
「碇……俺はお前がうらやましいぞ……」
 普段通りの、ラフな格好で出てきたミサトさんに歓声を上げたあと、ケンスケが耳元でささやいた。
「なにが?」
「こんな美人といままで一緒に住んでたことがに決まってるだろ」
  そこでぐっと拳を握った。
「しかも、綾波に、あの惣流・アスカ・ラングレーだ。これをハーレムと呼ばずしてなんと呼ぶ」
  地獄に仏。


NEXT
ver.-1.00 1998+09/13 公開
感想・質問・誤字情報などは こちらまで!
あとがき

  SNOWです。
  また、間があいてしまいましたね。そのくせ短い……。次こそはという言葉も虚しいです。

  さて。

  使徒の出てこない話は、これがはじめてですね。
  出てきてもらっても、話の進展上困るんですが……。

  EPISODE:4 の C-part としてもよかったような気もしますが、話としては違うと思ったので分割しました。

  今回、もっとも迷ったのは、タイトルです。
  あとがきを書いていますが、まだ副題(日本語タイトル)の方が決まっていません(苦笑)
  各章のタイトルは(たいていパクリなので)おおむね決まっているんですが、やはりサブタイトルは仮決定が多いです。良い案があったらRXY05111@nifty.ne.jpまでどうぞ……って、話がわからなきゃ決めようもないって!

  それではできる限り近いうちにお会いしましょう。

  ではまた。




 SNOWさんの『砂の果実』EPISODE:5、公開です。





 実体はどうであれ、
 実際はどうであれ、

 やっぱり傍目にこれは羨ましい状況なのでしょう。。


 動と静の女の子と
 ダイナマイツなお姉さん。

 そりゃ、イヤーンすよ(^^;


 同い年
 ちょっと上
 いい具合に上

 トウジやケンスケ年代から見たら、そりゃぁ、、ね(^^)






 さあ、訪問者の皆さん。
 SNOWさんに感想とタイトル案を送りましょう!





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