「プラグ固定終了、第一次接続開始。エントリープラグ、注水」
かつて何度も反復した一連の動作も、恐らく最後となるであろうという感慨。
一般職員やマヤにとってはそうであっても、それと同時に、平和になったこのご時世では最早こんな事もせずに済ましたいという安易な平和論。
だがそれも又、平和の証。
そして、アスカにとってのそれは、より一層感慨の深い物となっているであろう。
最初で最後、この起動実験は自らの自己顕示ではなく、ただ「逢いたい」という夢見る乙女のような理由から発祥した物だとして、誰も不謹慎とも思わずに済むのだ。
そして当のアスカはと言えば、LCLを注入されてからは借り受けた猫のように大人しく、物思いに浸る。
まあ、あえて笑い話を一つすると言うならば、もうこんな苦い液体を口にする事もなくなるのかしら、そんな気楽な考え方も、アスカの頭の隅にあったと言えば嘘ではない。
「主電源接続、全回路、動力伝達」
「了解!」
仕事の一切をリツコに譲り受けたマヤなどは、多少肩に力が入り過ぎなのではないか、と言える程の立ち振る舞いを見せる。
「第二次コンタクト、入ります」
しかも、ここから先が問題の域だ。アスカとは違い、マヤはこの起動実験の成功に半信半疑で掛かっている。ましてその為にリツコが持ち出した対応策がまた綱渡りな代物。それでも承諾はしたのだから、マヤ自身も一体自分の何が納得して何が否定の意志を持ち出すのか疑問視している。
反して、頭から成功すると信じて掛かっているアスカは、肝心の部分に入っても極めて落ち着いた物。
ハラハラしながらアスカを見ていられたのは、実はレイだけなのかも知れない。
「A10神経接続……異常、見られません!」
つまり、関門の一部は通った事になる。報告の一つ一つに生きた心地がしないレイが、溜息をついた。
「思考形態は、ドイツ語を基礎原則としてフィックス!
初期コンタクトには異常が見られません。行けます!」
ここでようやく事態を楽観視始めたのがマヤ。後は手慣れた物だ。
取り合えず、ここでシンクロ率が極度に低い数値を叩き出す事さえなければ、アスカの神経と心身に無理強いをさせる手段を取らずに済ませられる。
「双方向回線開きます。
先輩、これで例の方法は使わずに済みそうです」
嬉々として後ろを振り返ったマヤが、
「まだ油断出来ないわ!
ハーモニクス値とシンクロ率のグラフから目を逸らさないで!
弐号機側の妨害干渉も有り得るのよ!」
「はっ、はい!」
自らの仕事を手元で黙々とこなしつつのリツコに一喝されてしまい、慌ててコンソールに向き直る。
「シンクロ率、26,377%で固定。暴走はありません。
……流石に最高時の数値までは上昇しないわ……」
言わん事ではない、実際に導き出された数値は、『戦闘で使うには少々不安の残る』程度の数値。
起動に成功したとは言えなくはないが、アスカが本調子を取り戻した、とも言い難い。
しかし、この程度の数値ならば、起動しませんでした、で済まされる事はなくなった。
「……どう、マヤ?」
それでも落ち着いた様子で訪ねてきたのは、アスカだ。
「難しい所ね、全盛期の数値が60%強だった事を考えれば、決して高いとは言えないわ」
こんな言葉は、かつてのアスカの前では到底言えはしなかった。
「状況は正確に逐一知らせる事」。リツコが前もってアスカと取り決めていた事をマヤが忠実に施行出来たのも、彼女もまたアスカの成長ぶりを知る人間だからこその事だ。
「……そう」
初めて、アスカの顔色に翳りが見え始めた。
使徒襲来の緊急事態ならばともかく、今更戦闘に駆り出す訳でもない。だが、これが今の自分の自信の現れと説くには確かに不安であろう。
―――だが、ここで終わる訳には行かない!
アスカが目一杯操縦桿を握りしめる。
理論的に言えば、そんな行為に及んだ所で数値に顕著な変化が現れる筈もない。
だが、その思いの強さに応える者がいた。
「!? 弐号機のコアから膨大なエネルギー負荷が発生しています!」
日向の悲鳴、もとい報告が、一瞬発令所の空気を凍らせた。
「え……!?」
事態が飲み込めない、といった顔をしたアスカの画像が乱れ、直後モニターが死んだ。
「映像モニター、働きません!」
一方、マヤは驚愕の状態を手前に見た。
「パイロットのシンクロ率を、機体側が強制的に跳ね上げています!!
58……77……98……145……269……止まりません!!」
マヤが素早く手前のコンソールを操作しだすが、弐号機側の異変に変化はない。
「全信号、拒絶されています! このままでは!?」
パイロットの生命維持に著しい支障をきたす、そうマヤが判断するや否や、
「実験中止! パイロットの生命保護を最優先に!」
自分に委任された全権限を以て、アスカの救出に乗り出した。
「アスカッ!!」
レイの堅く握りしめる手と、悲愴な叫びが、傍らのカヲルには痛覚以上の痛みをもたらす。
「惣流さん……!」
「その必要はありません! 今の伊吹二尉の命令は私の権限で撤回します!」
見れば、いつの間にかユイがマヤの後ろに控えていた。
報告を受けるまでもない、ユイは半ば渋い表情を見せながらも、起動実験の最重要要項の成功を知った。
「伊吹さん、こうなったら、こちらから指令を出す事はないわ。
危険はないから、大人しく見守りましょう」
ユイが宥めるも、事情を知らない者にとっての狼狽を宥めきる事が、そんな簡単に出来る筈がない。
「しかし!?」
エントリープラグ内の映像が見あたらないのが、また不安を掻き立てるのだ。
せめてアスカが無事かどうかさえ分かれば……と。
だが、その儚い期待をあっさりと裏切ってくれたのは、そんなマヤの隣に座る日向だった。
「エントリープラグ内のLCL濃度が異様に上昇中!
シンクロ率は、407,56%まで上昇、後安定しています!
……このままじゃあ、アスカちゃんがLCLに溶けてしまうぞ……」
日向がふと呟いたその一言こそ、リツコとユイの算段だ。
「大丈夫、キョウコが動いてくれたのよ」
ユイが、一人呟いた。
………………。
四肢に力が入らない。……そうか、またアタシは夢の中なんだ。
アスカは別段驚く様子も見せず、緩やかな奔流とも言うべき亜空間の光の流れに、静かに意識を横たえていた。
(……ここで待っていれば、ママに会えるかな……)
只静かに流れる、無限とも刹那とも取れる時間、いや最早この世界にその概念が有り得るのかさえアスカには手に掴めない、そこは正に絶対的な「涅槃」の寝床。
だが、敢えて常識を通用させようとすれば、アスカにはまだ時間の余裕が持てるという事だった。
その間、もう一度だけアスカは考える。
自分にとって、母親とは何だったのか。母親は自分を本当に躊躇無く「捨てた」のだろうか。自分に対する慈愛はもう微塵も持ち合わせていないのだろうか。母親は、もしかしたら自分より遥かに辛い生を黙認しつつ生きなければならない哀しい人だったのだろうか……と。
そして、そんなアスカの黙想さえも払拭する程の衝撃が、いとも簡単に彼女の眼前に具現化した。
アスカは、目の前の現実と、自分の幼き頃の淡い思い出を手梳きつつ照らし合わせながら、その女性を理解し、そしてゆっくりとその言葉を、桜色の唇が紡いだ。
「ママ……」
彼女はゆっくりとアスカの胸元へと擦り寄りつつ、徐々にその姿を明確な物へと変化させて行く。
やがて、その容姿が明確に自分の母親だとアスカが認識した時、彼女の両腕がアスカの頸元に忍び寄る。
「マ、ママ……!?」
彼女にとっての「悪夢」が今再びその首を擡げ始めたのだ。
「アスカちゃん、
……私と一緒に死んで頂戴」
その光の腕は、女性のか細い力ではなく、万力かと思わせる程の圧迫でアスカの頸をキリキリと締め付ける。
「ママ……ッ!!」
徐々に薄れていく意識、そしてその肝心の意識は同時に、忌まわしい追憶の呪縛を再起させつつあった。
「止めてェ! いや、イヤァッ、ママっ!!!」
「死んで。私と一緒に死んで、アスカちゃん。
あの人は私を捨てた。でもあなたは私を捨てないわよね。
アスカちゃんは優しい女の子ですものね、ママの言う事何でも聴いてくれるわよね。
だから、私と一緒に死んで……!」
アスカの肩が恐怖のあまりガタガタと震えていた。……違う、震えているのはキョウコの腕なのだ。
そして、その震えがもし、殺意から来るそれではないとしたら―――。
(ママ……どうして?)
それは、アスカの意識が微かにとは言え、この呪縛に対峙しようとする強靱さにへとベクトルが向いていなければ、永遠に勘付けなかった事だろう。
なら自分にその逆境での強さを与えてくれたのは何だろう? この切羽詰まった状況の中で、アスカは只それだけを考えた。
―――ユイさん、レイ、カヲル、ミサト、碇司令、リツコ……。
そして、もう一人のレイ……ファースト。
そうだ、みんな、みんなでアタシを護っていてくれたから。
アタシはもう、独りじゃないから、だから強くなれた。
だから、今度はアタシがママを救う事が出来れば―――
アスカにとって、その手を無理矢理はね除けようとすれば出来たのかも知れない。
でももしそうすれば、この人は永遠に一人になってしまうのだ。
ずっと自分の負い目だと信じていた。自分の進歩の妨げだと信じていた。
でも違う。この人は、本当は只の寂しがりやさん。
いえ、この人の境遇を改めて考えれば、むしろそれで当然なのかも知れない……そう思えた。
だからこそ、アスカにはその手をはね除ける事は出来なかった。
だが、自分の生を断ち切ろうとするその思いを受け入れる事も出来なかった。
自分が受け入れたいのは死じゃない、あなた自身なのだという事をこの人にも教えてあげたいと思ったから。
アスカが、震える手を精一杯の思いで差し向け、キョウコの魔の手にゆっくりと自分の手を添えた。
「ママ……ママがアタシを必要とするのならば、
アタシが側に居ればママが悲しまずに済むのならば、アタシはずっとママの側にいるよ。
でもね。死んだら何にもならないの。
死んだって、誰も自分に縛り付ける事なんか出来ないのよ。
それこそママは、本当に今度こそ独りぼっちになっちゃうもの。
そんな事出来ないよ。……だって、アタシの掛け替えのない、たった一人の本当のママだもの」
伝わるだろうか、自分の温もりが。
感じてくれるだろうか、自分の優しさを。
受け入れてくれるだろうか、自分の思いを。
思い出してくれるだろうか、生きる事の喜びを。
アスカが、自らの知る限りの幸せを、その優しさに満ちあふれた言葉でそっと語りだした。
「ママ……全てを捨てようとしないで。
生きていれば、必ず幸せがあるから。
自分から世界の全てを否定しない限り、ママを優しく見守ってくれる人が必ず居る。
一人で生きる事が寂しかったら、その人に縋ってもいいから。
少なくともアタシなら、ママの弱さ、受け入れてあげられる。
だから、世界を捨てないで。絶望しないで。
この世界は、ママが思っている程哀しい物じゃないの。
アタシだって、ついこの間まで気付かなかった。
自分だけは自分の味方だからって、自分の殻の中だけで生きようとして、
無理な呼吸ばかりしてた、爪を立てて自分の周囲を引っ掻いてばかりだった。
でもね、アタシが思っているより、ずっとずっとみんな優しかった。
例えばユイさん―――ママも知っているでしょう?
アタシに女性としての「慈愛」を教えてくれた人。
レイ―――そのユイさんの娘さんよ。
アタシに朗らかな笑みと、無邪気さを取り戻してくれた人。
碇司令―――そのユイさんの旦那さん。
不器用な思慕で、弱いアタシ達を陰から支えてくれている人。
ミサト―――厄介なアタシの、保護者役を買って出てくれた人。
まるで本当の姉妹のように、色んな辛さを共有してくれた人。
カヲル―――いつもレイの側に居る、いえ居てくれる人。
人が想い、想われる事の幸せさを、アタシに優しく当てつけてくれた人。
そして、ファースト―――もう一人のレイ。
アタシに、本当に大事な人を想う事を思い出させてくれた人。
もっといるよ、ママに教えてあげたい、優しい人達。
小さい頃ママと別れてから、ずっと辛かったけど、
今ではここに居て良かったと思わせてくれる人達。
ママだって、一つ望めばその輪に入られるんだから。
みんな、きっと優しく受け入れてくれるよ。
もう、心の壁に怯える必要はなくなったの。
優しさと強さがあれば、きっと生きていける、幸せになれる。
その優しさと強さを、みんなと共有して育てていける世界がここにあるの。
だから、心を棄てないで。自分を見捨てないで。
ママまで、シンジのようにならないで……。
優しさは、自分の心を壊す為にあるんじゃないの。
みんなで分け合ってこそ、大事な人達と分かち合ってこそ、幸せになれるんだから。
ね、ママ。」
伝わっただろうか、自分が今、とても幸せな事を。
温もりに抱かれて生きる事の喜びの、一断片でも伝われば。
それが、皆にとっての幸せだから―――。
いつの間にか、万力に揶揄されていたその腕は、アスカを胸元に引き寄せ、今度は「人相応の力」でアスカの全てを一心不乱に抱きしめようと。
「……アスカ……良かった……殺さずに済んだわ……」
「ママ……!? ……嘘よ、本当は殺すつもりなんかなかったくせに……」
よくよく見れば、キョウコの身体も腕も実体ではない、幻体だ。
ならばあの圧迫感は、自分の心の傷そのものが生み出した錯覚だったのだと知る。
ママはそれを知ってあえてアタシを苦しめていたのだ、アタシが昔のままだったら、きっと発狂するだけで、立ち向かう事なんか思いも付かなかった事を分かっていたから……と悟り知る。
「……ママの意地悪。アタシを試したわね……」
緊張の糸が切れたアスカが、半泣きになってキョウコの胸に崩れ落ちる。
そしてキョウコもまた、そんなアスカを抱き締めたまま涙した。
自分が捨てた娘は、自分の後を追わずに済んだ。
誰よりも優しい、強い心を持つ事が出来ていたのだからこそ。
「ママはね、ずっとそれだけが心残りだったの。
自分が受けた心の傷を、アスカにまで引き継がせてしまって、
その為にあなたが私以上に不幸になったら―――
この身動きままならないエヴァの中で、そればかり心配していた。
そう、ユイに会えたのね。あの人の優しさに触れたのね。
私なんかより、ずっとずっと母親向きな人だったから、
あの人にならあなたの事、委ねる事も出来るわ」
「ママ!?」
キョウコがゆっくりとアスカから離れた。途端に淡い温もりの全てが吹き飛ぶ。
その温もりを離したくない! 今度はアスカがキョウコにしがみついた。
「ママ!」
「まだあなたに母親が必要なのは分かるわ。
でもね、私はここから身動きできない身。
良くてあなたを陰から見守る事、それだけしか出来ないの。
本来は、こうやって私達がもう一度出会えた事自体僥倖なのよ。
それに、ユイの方が余程母親向きな優しい人なの。
自分にかまけて、娘を捨てるような事は絶対にしない人よ」
「違うよママ、ユイさんの優しさはアタシも分かってる。
でもそれじゃあママは、只自分の優しさを見限っているだけよ。
自分の可能性を棄てないで。
ユイさんだって、ママの事、とってもいい人だったって言っていたもの」
キョウコは無性に嬉しくなった。
この娘が自分の娘だと言う事に強い誇りさえ感じる。
そして、そのままずっと自分の娘で居て欲しかったと思いつつも、もうこの娘も一人立ちするべきだと割り切らなければ、この娘の感受性はここで頭打ちになる。
この娘がここに来た目的を、自分を諭す為だけに終わらせるつもりなどない。
アスカの本当の目的は、ここにはないのだから―――。
「ありがとう、アスカ。
でもね、私はユイと決定的に違うのは、性格の事を言っているのではないの。
私はユイと違って、人の技術で生き返る事が不可能な身体になってしまっている事、
まず、その事をあなたが享受出来なければならないのだから」
「ママ……」
「私が一度、不完全なサルベージを受けた事は知っているわね。
その時、不完全な技術は、同時に私の魂も裂いたのよ。
例えばユイはエヴァを介し、純粋な意志を以て、
レイという希望の象徴たる娘を生み出した。いえ生み出せた。
それは彼女にとって、エヴァが「手段」だったから。
自分の大事な人達を守る「守護者」であったから。
ユイは禁忌の兵器「エヴァンゲリオン」を、
極力正しい方向に使うべく研究をしていたの。
でも私にとってはエヴァは、体の良い「心の殻」。
「逃げ場」から無理矢理引きずり出されまいと藻掻いた私のせいで、
結局自滅してしまったのが私。
だから、私は人の力では、永遠に元に戻れなくなってしまったの。
そのエヴァが、今度は自分の娘が乗る事になったと決まった時、私はもう一度逃げた。
今度はあなたを道連れにしようとして。
私にとっては、ユイ程にはエヴァを信用出来ていなかったから。
だからあなただけはあの兵器に近寄らせたくなかったのに。
アスカ。エヴァに乗るのは、これで最後になさい。
守護者としてのエヴァとは言え、私達人類にとっては元々諸刃の兵器。
エヴァに頼らない世界を作る、その為のエヴァ。
ユイも私も、そのジレンマに常に悩んだ物だったわ。
だからあなたは、この世界で何としても生きなさい。
エヴァではなく、あなたの心の強さと優しさを以て、生きなさい。
それが、私があなたに願う、たった一つの真心だから……」
手漉きの良いアスカの髪をゆっくりと撫でながら、キョウコは自分に出来る唯一最後の「母親の勤め」を果たさねばならないと自覚していた。
もし自分が願えば、エヴァという殻の中で永遠に、それこそずっと一緒にこの娘と二人きりでいられる。
(でも、そんな事をさせる為に、そんな結末をこの娘に与える為に、あの少年は全てを棄てたのではないわ)
「アスカ。よく聴きなさい」
アスカの、涙でかすかに滲む瞳を正面に見据え、キョウコはゆっくりと語りだした。
「はい」
「そんな風に荒みきった私達の為に、一人の少年が自分の全てを棄てて、私達を救ってくれた。
だからアスカは、その少年を連れ戻す為にこうして私に会いに来たのよね」
「違うわママ、私はママも……!」
「ううん、誤解はしてないわ。私の事も大事に思ってくれている事だって、
ママはちゃんと分かってるから。
そうじゃないの。アスカの覚悟を問いたいのよ。
アスカの中で、あの少年が神格化されていないか、それだけが心配なの。
アスカにとっては彼は、『優しい世界』をもたらしてくれた恩人かも知れない。
でもね、彼は決して聖人ではないのよ。
あなたに対する後ろめたさで、あなたを救っただけかも知れないの。
彼は人間なの。闇も汚れも持ち合わせている歴とした『人間』なの。
あなたに対する年相応の劣情だって持っていた。
彼だって自分の殻に籠もる事が自衛の最善手だと信じていた子。
そして彼は、亜空間を殻にして、自分の終焉を果たしてしまったの。
もしアスカが彼を連れ戻す為にそこへ行こうとする事は不可能じゃないけど、相当の危険を伴うわ。
そして、それだけの危険を冒しても、成功するかどうかは全く保証は出来ないの。
勿論、失敗すれば助からないわ。
次元の狭間に挟まれて、永遠に抜け出る事の出来ない末路だって十分有り得るの。
そこまでして彼を助ける意味が自分にあるのか、もう一度だけじっくり考えなさい。
助けられた事への後ろめたさではなく、彼とあなたの双方の事を十二分に考えて、
そして結論を出しなさい。
私としては、ここでユイ達の元に戻る事も、一つの選択肢である事も勧め……」
―――アスカが、静かに首を横に振った。
だって、そんな答えは自分の中の何処にもないのだから。
そして、心の何処がでその答えに落胆しつつ、アスカが必ずその答えを選ぶ事も、キョウコには手に取るように分かっていた。
否、やはり心の何処かで親離れを認めたくなかっただけなのかも知れない。
ならば、と最後の母親の我が儘を飲み込んで、キョウコは娘の未来を開く礎となる事を黙って決心した。
そうでなければ、レイとカヲル同様、娘の記憶を彼の夢却から保護した意味はないのだから。
(初めっから、分かっていた事だったわね)
ふふっ、と微笑むキョウコの笑顔に心を解したアスカが、もう一度母に打ち明けた。
「ママ。
それはファーストにも言われた事そのままよ。
シンジはね、そんな殊勝な奴なんかじゃないって事、
ファーストに口を酸っぱくして聴かされたのよ。
でもあの娘はね、シンジの事本当に好きだったの。
だから、誰よりシンジの事を理解していた。
そのファーストが教えてくれたの。
アタシを救ってくれたのが、シンジの本当の優しさだった事。
それはシンジがあの娘じゃなくて、アタシを選んでくれたからだ、って。
そして、そんなシンジを救えるのも、アタシだけだという事も。
でも、それをアタシに語ってくれる傍らで、レイの心は泣いてた。
何故なら、あの娘自身のシンジへの想いを断ち切らなければ、
アタシには到底言えなかった事だろうから。
多分、それでもシンジの事、助けてあけたかったのね。
でも、そのお陰でアタシは気付く事が出来たの。
シンジが身を擲った事が無意味じゃなかった事、
だからこそシンジをこのまま放ってはおけないの。
アタシは、シンジの目指す方向を変えてあげたい。
罪から逃げる事じゃなくて、罪に立ち向かって生きる事で皆の支えになってほしい、
それは今のシンジにはきっと、とても辛い事なんだろうけど、
アタシが全てを赦してあげれば、もう一度二人で歩み出す事も出来ると信じているから。
シンジにも、もう独りじゃない事を知ってほしいから。
……だって、独りぼっちはとてもとても寂しいんだもの……。
だからシンジは、きっと今、誰よりも辛い目に遭っているはず。
シンジが、アタシを傷付けていた事をとても後悔してて、
そのせいで、シンジが自分自身の事を凄く憎んでいたって聞いて、
アタシ、たまらなく悲しくなったけど、同時にそれって、
シンジがとてもとても優しい人だったからじゃないかって……そう思えはじめたの。
シンジがアタシの事をそれだけ強く想っていてくれた事が嬉しくて、
そして、その想いに応えてあげたくなったアタシがいるから、
……だからアタシは、その事を伝えたいから、シンジに逢いたい」
アスカの純粋さが、いたわりが、思いやりが、この世界の産んだ恩寵であるならば、彼が願ったこの世界はまさに、彼女を深く愛するがゆえに、私の娘をここまで育ててくれたのだ―――それがキョウコの確信。
アスカに、かつての深い心の傷を超克するきっかけを与えてくれたのは、彼。
そう、その「心の傷」でしかなかったのだと、自らを無限に苛んでいた彼自身。
だが、彼の想いが、アスカをここまでいたわり続けてくれたというのならば、母親として願わずにはいられない思いもまた、存在するのだから―――。
「……アスカ。そこまであなたが物分かりが良くなれたのならば、
私はもうあなたに言う事は何もないわ。
私が精一杯サポートするから、あなたも全力で彼の業に立ち向かいなさい。
彼を自虐に陥らせたのが、彼自身の限りない優しさである事を忘れずに。
……頑張りなさい。シンジ君の為にも、あなた自身の為にも。
そして、あなたを包んでくれる優しい世界の為にも―――」
「分かったわ、ママ」
アスカが、彼の全てを受け止める決心をしたというのならば、親離れの頃合いなのだと割り切った。
名残など数限りなくある。
もっとこの娘を抱きしめていてあげたかった。
そして、この娘と語り合い、触れ合い、求め合い、愛し合い―――。
でも、それを私以上に望みながらも、叶わなかった少年の想いを今、叶える為に。
キョウコの手に、再び光が宿る。
ふと気付くと、ユイの白衣の裾をクイ、クイと引っ張る力を感じる。
振り向いたその先にいたのはやはりレイであった。
「お母さん、アスカは……」
不安を隠せないのは分かるが、安心して構わないのだという事を教えるべく。
「レイ、大丈夫よ。
これはね、アスカのお母さんが、アスカを受け入れてくれた証拠なの。
昔、決別した仲だった筈の親子が再会して、理解しあってくれた証拠なのよ。
キョウコがアスカの願いを叶える為の準備が行われているだけ。
アスカなら大丈夫、だからレイは見守ってあげていて」
両肩に手を添えてゆっくりと諭していくと、レイもやっと理解したのか、それでも震えを隠せない身体を護るように、カヲルと握り合った手に一層の力を加える。
そして、それは誰の呟いた言葉であっただろうか。
「さよなら、キョウコ母さん……」
だが、ユイが密かに享受しなくてはならない事も存在した。
弐号機は不完全なコアを暴走させて、エネルギーを生成している。
今はコアの中にいるキョウコが奮闘してくれているだろうが、もしこれが成功したとして、弐号機のコアは再生不能になるだろう。
それはキョウコの魂と肉体が今度こそ再生不能なまでに朽ち果てる事を示唆している。
まさに、彼女は命懸けで娘の為に身を削りエネルギーを生成してくれているのだ。
「これが……エヴァなのよ」
ユイも、噛み締める歯に自然と力が入る。
アスカの申し出を受けた時点で、覚悟していた事。なのに……。
「またあなたに、辛い役を強いてしまったわね……」
「アスカ。もしもう一度ユイに出会ったら、謝ってあげてね」
「ママ!?」
心なしか、キョウコの身体が透け始めている錯覚がする。
「もし、これを成功させたとしたら、弐号機のコアは二度とその機能を果たさなくなるわ。
エヴァとしての運用は当然として、私の魂も死滅するでしょうから」
「ママ!!」
アスカが一も二もなく寄りかかってくるのを、今度は手ではね除けるキョウコ。
「狼狽えないの!
……辛いのはあなただけじゃないのよ。
私だって二度と逢えなくなるとなると思うと辛いし、
その事を知っていて決断したユイだってもっと辛いの。
勿論、ユイに逆恨みするなんてもっての他よ。
さっきも言ったけど、本当は私達がこうして逢えた事自体奇跡みたいな物なの。
あなたと私は、二度と分かり合えない関係だと思っていたけど、
シンジ君はそれもまた、補ってくれようとはしたわ。
彼の力でなら、私は生き返る事も出来たのだから。
でも、もしそれを受け入れていたら、
あなたはシンジ君を永遠に忘れ去っていた事にもなるわ。
つまりは、簡単な二択だったのよ。
アスカが私を選ぶか、シンジ君を選ぶか。
私やあなたにしてみれば究極の選択だとしても、彼にとっては答えは一つだった。
でも、今は彼の好意を受け入れずに済んで良かったとさえ思っているの。
これでようやく、私も母親としての努めを果たす事が出来るのだから―――」
キョウコの面影が、霞と掻き消えだした。
慌ててすがり寄ろうとするアスカ、だがすんでの所で踏み止まった。
「ママ……アタシ……!」
「それでいいのよ、アスカ。
さあ、頃合いよアスカ、もうお行きなさい。
彼への憎しみも思慕も何もかも忘れて、幸せになる為に生きるか。
彼への憎しみも思慕も全てを受け入れて、幸せになる為に生きるか。
それがあなたにとっての分岐点だった。
でも、今のあなたにとって後者が望みだというのならば、迷わずその道を進みなさい。
そして、その胸に抱いている想いを常に強く、強く願う事。
優しく、優しく彼を受け入れてあげる事。決して、忘れないように。
彼と共に、末永く幸せに生きなさい、アスカ……」
最早キョウコのシルエットは殆ど確認できない。自分を包むようにせせらぐ光の粒子と同化し、彼女は元の場所へと還っていったのだ。
身体を優しく包んでいた温もりをそっと手放すようにして、アスカは呟いた。
「さよなら、ママ……」
アスカの為に、自らの魂を投げうつ事にはもう躊躇いはない。
たった一つの心残りがあるとすれば、もしかすればそれは、もう一人の愛子に対する想い。
直接お腹を痛めて産んだ子供ではないにしろ、アスカに対する愛情との違いに遜色はない。
(でも、あの子も自分の幸せを得たのだから、
ユイが見守ってくれているのだから、不安なんかないわ。
だから、あなたもその愛しい人を、決して離しては駄目よ。
―――カヲル。)
「!?」
「コア内部に凄まじいエネルギーの奔流が生成されています!
このままもしエネルギーの暴走が始まれば、ネルフ本部の一つ位簡単に吹き飛びますよ!」
日向が血相を変えるが、あくまでユイとリツコは動じない。
「成る程。やっぱりそういう事なのね、キョウコ」
顎に手を添えてやや熟考するユイ。そして、おもむろに口を開く。
「ディラックの海……だったかしら、伊吹さん」
突然話の矛先を向けられたマヤ。
「は、はい! 虚数空間の事ですよね?」
「『こじ開ける』のには、あれだけのエネルギーがあれば足りるのかしら」
「えっ!?」
「早速調べて」
「はっ、はい!!」
言われるがまま、マヤは手持ちの作業とその指揮権を日向に一旦譲渡すると、エネルギー値の精密な測定を開始した。
「45923704341381710098473241569304……これは……!」
ユイは、凄まじい文字の羅列が映るモニターに目を釘付けにしながらも、頭脳では精確な算出計算に余念がない。
「ユイさん……大博打、当たったみたいですね」
自分の担当に一旦目途を付けたリツコが嘆息を吐いた。まさか、とまでは彼女も一瞬考えたのだが、起動実験のプランニングで最初それを聞いた時は、流石のリツコも発想の飛躍に驚きを隠せなかった物だった。
「アスカを直接虚数空間に放り込むなんて、大胆な発想ですわね。
しかも、エントリープラグがそのまま『ワープカプセル』という訳ですか」
「彼女一人を転送する程度のエネルギーでも、膨大に必要ですから。
昔葛城さんが発想したという、日本中からの電力徴発でさえも補いきれないほどの、ね。
しかも、そのエネルギーは「転送」だけではなく「保護」の為でもありますし。
結果としてこれしか方法はなかったんです」
辛い結果が待っている事は分かってはいたが、「子供達の未来の為に尽くす事」これが私達の努めなのだと昔誓った事をもし彼女が忘れていなければ―――。
それがユイの願い。
「……!? 映像が回復しました!」
日向の声に飛び跳ねたかのように反応し、モニターにかじり付いたのはレイ。そしてそれを隣から見守るカヲル。
「アスカ!? アスカ!」
「大丈夫、通じているわよ、レイ」
液晶モニターの中のアスカに、起動実験前と特段変わった点はないように見える。
しいて言えば、妙に落ち着きがある、といった所か。
悟りきった、とも取れる高尚な表情だ。
「ユイママ。しばらく留守にするけど、いいですか?」
「ええ。行ってらっしゃい」
ユイがニコリと微笑んで手を振る。
「えっ、ええ!?」
困惑しているのはレイ。
「レイ。少しばかり留守にするけど、必ず戻ってくるから、心配しないで」
「し、心配って言われても……」
当然だろう、エントリープラグの中から一体何処に出かけると言うのか。
困惑のマークを数枚顔に張り付けたレイに、リツコが説明を始めた。
「私が簡単に掻い摘んで説明するわ。
弐号機のエントリープラグをこれから『ワープカプセル』として機能させるの。
と言っても、もう殆どここからは弐号機の仕事。私達は帰還を待つ事しか出来ないわ」
「ワープって……行き先は?」
「さあ。神と弐号機のみぞ知るって所かしら」
リツコもユイも知らないのは本当だ。
元々、アスカやキョウコに対する信頼が厚くなければ出来ない事だったのだから、そんな部分の見通しは付けるに付けられないのだ。
「アスカ!」
「心配性ねぇ、レイは。
大丈夫、行き先は大体分かっているの。
尤もそれもママとレイの……ファーストのお陰だけどね。
すぐあいつを連れて帰ってくるから、大丈夫よ」
シンジが戻ってくる事を、アタシと同じだけ強く願う少女の為にも。
それがアスカの恩返し。
突如、発令所の扉を開く音。
「遅いわよミサト、リョウちゃん」
真っ先に窘めに入るリツコ。見れば、ミサトが加持を連れてようやく現れたのだ。
「わるいわるい」
加持の方も本当に悪いと思っているのやら。
「それで首尾は、リツコ?」
「首尾も何も」
くいっ、とモニターを親指で指す。
「少しの間お別れなんだから、挨拶くらいしときなさい、ミサト」
「お別れ!?」
ミサトが素っ頓狂な声を出したのに、アスカが笑った。
「ミサトまで、何慌ててんのよ」
一方加持はと言えば、ミサトの与り知らぬ間に、ユイから事情を簡単に訪ねていた。
「……成る程、そういう事ですか。しかし随分と冒険した話ですなぁ」
「綱渡りな話だって事は、分かってますけどね」
ミサトはと言えば、相変わらずアスカとモニターを挟んで何を話し合っているのやら、の状態であった。 それでも、説明を聞けば落ち着いて納得してくれたようである。
勿論、心配の種は尽きないが、あれだけ強く決心しての事ならば、私達が止める事も出来ないのだから、とミサトなりに腹を括ったのであろう。
「……そろそろね。
もうモニターも切るわ、ママの準備が出来たみたいだから」
アスカがモニタースイッチに手を伸ばしかけた所で、皆が彼女に声を掛ける。
「行ってらっしゃい、アスカ」
「行って来ます、ユイさん」
「行ってらっしゃい、アスカ」
「それじゃ行って来るわ、ミサト」
「頑張れよ、アスカ」
「頑張ります、加持さん」
「気を付けてね、アスカ」
「大丈夫よ、リツコ」
「頑張ってね、気を付けてね、必ず戻ってきてね、アスカ」
「ふふっ、心配症なんだから本当にもう。……行って来るわ、レイ」
「気を付けて、惣流さん」
「うん、それじゃあね。カヲル兄さん」
「「「「「!?」」」」」
一同の驚愕した顔が、アスカには面白いくらい印象的であった。
「なんだ……気付いていたのかい、アスカ」
カヲルがはにかんだような苦笑を見せる。もはや隠し事がばれた時の癖として、定着してしまったようだ。
「今さっき知ったのよ。
ユイさんには義理の兄になるとか言われて茶化されたけど、
本当はユイさんだけは知っていたのよね、ね、ユイママ」
今度は私が苦笑して見せなくてはならないのかしら。ユイが笑いながら誤魔化した。
「お母さん……本当なの?」
成る程、一番気になるのは確かにレイだろう。
「ええ。本当よ、レイ。
厳密には半分だけあなたのお兄さんなのだけどね、アスカ。
キョウコが卵子を提供……半強制徴収されたのよ。私の時より更に前の話。
私は皮肉にも、その前例のお陰ですんでで以てレイを守る事が出来たけどね。
そして生まれたのがカヲル。……その様子だと、カヲル本人は知っていたみたいね」
「僕も、つい最近知ったんですよ。思い出したと言った方が正しいのかな?」
カヲルの、どうしようもないな、と言わんばかりの苦笑いを見ながら、ここにも自分を静かに見守ってくれていた家族が居た事を心の中で感謝するアスカ。
勿論、いずれ戻ってきたら言葉に表して感謝するつもりだ。
(借りが二つも出来ちゃったわね、カヲルには。
ママがあなたの事をとても心配していた事、帰ってきたら教えてあげるわ……)
「……それじゃ、本当に行って来ます。
みんな、本当に有り難う。
ユイさん、ここに居ないおじさまにも伝えてください。
アスカが目一杯感謝していた、って」
とても綺麗に光り輝く、ユイはアスカの瞳だけをひたすら見つめていた。
(あの瞳、あの笑顔、あの志。
今あの娘に出来ない事なんて何もないわ。
彼女が願えば、どんな未来でも切り開けるという確信。
私達もそれがあるからこそ、こうしてあなたを見届ける事が出来る……)
「分かったわ。必ず『二人で』戻ってくるのよ、アスカ。
今のあなたなら出来るって、信じてるから」
(男の子ならシンジ。「信じる」のシンジ。私達が子供にそう名付けようとした名前。
その私達の思いを全て受け止めてくれる娘だからこそ、私達の大事なもう一人の娘。
キョウコ、あなたの思いを受け継げる事、誇りに思うわ、私)
ユイの背負ったのは宿命ではない。
そうでなければ、アスカを送り出すのにこれだけの笑顔が出来るものか。
「行って来ます!」
数瞬後、アスカの反応がエントリープラグ内から一切消失した。
だが、それを危惧する者はもう誰もいない。
彼女なら戻ってくる。必ず、帰ってくる。
私達が強く信じれば、その願いはより一層確実に。
だから、皆でその思いを一斉に。
14章後半、公開させていただいています。
これで事前のお約束通り、第二部終了です。
第二部が終了したところで、既発表文に加筆修正を掛けさせていただき、再公開をしたいと思います。
大体の章は誤字脱字修正ですが、5,6,13章については構成の変化があると思います。
もし拙作をダウンロードしていただいている方、宜しければ再度お願いいたします。
第二部、総じてアスカの成長を描いたつもりです。「成長」だと認めていただけると良いのですが(^^;
アスカが願う強い想いの為に、周りの皆もそれに感化されて成長していければ、それが一番なんですけどね……。
しかしアップ寸前になって、自分でも余計だな、と思うプロット組み込んでしまいました(^^;
カヲル・アスカ兄妹説。根拠が強い訳じゃないんですが、そういう前提のSSを読んで納得した事もあったのが起源で、これだと自分の中で辻褄の合う構成が作れそうだった物で。つまり、後々の複線になるかも知れないという事です(笑)
加筆修正と平行して、本編の方は第三部に突入します。「悔恨と思慕の狭間で」最長部になります。
某所の私を知っている一部の方は展開の大筋をご存じかも知れません。
予定通り、そういう風に話は進みます。
15章の予告としては……許してください!としか言えないです(^^;
それでわ!
「魔装機神」アニメ化決定……私ゃ生まれて来てからこんなに嬉しい事はない(笑)