好き?好き?大好き?
【 開始 】
「夢見てちゃダメ、夢になりなさい」 「………何よ、それ?」 「ん………………夢で、見たんだ」 「夢って、どんな夢よ?」 「何か、悪趣味な映画観てる感じで……… 頭のおかしい科学者と、人造人間と、 とにかく怪しい連中が出てきて 映画と観客が一緒になってばか騒ぎしてる感じで ………ホント、変な感じだった まあとにかく、そんな変な夢だったんだけど その中で、妙に頭に引っかかった言葉があって………」 「『夢見てちゃダメ、夢になりなさい』ってわけ………ふぅん」 「………よく分かんないんだけどね」 「そんな怪しい夢、理解しろって方が無茶だってば ………でも、まあ、言葉自体は……… 現実の境目を踏まえてってあたりから考えると……… なるほど………そういうわけね」 「なるほど、って何か分かったの?」 「言ってみただけよ そんな怪しい夢ネタなんて、わっかるわけないじゃん」 「………あ、そう」 「………あたしもね、昔の映画の夢を見た事あるわ 細かいとこは覚えてないけどね」 「どんな夢、っていうか映画なの?」 「ありがちなストーリーよ 主人公の男と女が 紆余曲折色々あった末に ラストシーンで手に手をとって逃げてくの」 「そうなんだ………よく聞くような映画だよね」 「ところで、さ その二人が それからどこへ行ったか あんた、わかる?」 「「きっと地獄なんだわ(ね)」」 「………底意地、悪いね」 「………あんたもね」 |
「あ、そういえば」 「何?」 「思い出した………誕生日、おめでと」 「そういえばそうだったっけ?………まあ、うん ありがとう でも、いきなりどうしたの?」 「見たのよ あんたの誕生日をお祝いしてるって夢を」 「そうなんだ………僕は見なかったな ………どんな感じだった?」 「べっつにぃ、普通って感じよ……… どういうわけか素直じゃないあたしが悪戦苦闘して やきもち妬いてラブコメぶちかましちゃって 何だかんだと、まあとにかく、色々あって オチはお約束の『あたしをプレゼント』でお決まりで ま、結局はめでたくお祝いって感じかしら」 「ふぅん………何というか………まあ、どうもありがとう ホントに嬉しいよ」 「別にいいわよ 夢の話だし、ずっと忘れてたんだし ………………ところでさ」 「何?」 「あんた、何歳になるの?」 「14か15でいいよ」 「あいかわらず曖昧なお子様ってわけね」 「自分だって13か14って曖昧な事言ってるくせに」 「うるっさいわねぇ、バカのくせに生意気よ 天才美少女は永遠に不滅、ってぇのがお約束なの!」 「ねぇ」 「何?」 「一応、今はあんたの方が年上って事なのよね」 「まあ………半年だけどね」 「………………………」 「………どうしたの?」 「………甘えたげよっか?」 「………………何それ」 「………………………そういうの、嫌い?」 「………………………………嫌いじゃ、ない」 「んじゃぁ、そういう事で決まりよね」 「どこらへんがそういう事なの? ………って………んぎゅっ」 「………ごちゃごちゃ言わないの、こういう時は」 「………………ま、いいけどさ」 「………………………ふふっ」 |
『恋も人も、月も海も、 全部全部全部全部、 ………ね、消えるでしょ? だから、あたしも 早く消えるの』 |
「………ねぇ」 「何?」 「………………お兄ちゃんと、 お兄様と、アニキと、どれがいい?」 「………………何それ?」 「どうせ甘えついでって事で、さ ………………………そういうの、嫌い?」 「………………………………嫌いじゃ、ない ………けど、何だかねぇ」 「………あたしじゃ、ダメなの?」 「………………ずるいよ、それ」 「で、どうなの?」 「………え、と………1番め………かな?」 「ふ〜ん、あっそう………聞いてみただけなんだけどね ………そうですかぁ、お兄ちゃんですかぁ そういう趣味ですかぁ、なるほどぉ」 「………………………ひどいや」 「ふふっ、赤くなっちゃってぇ どうしちゃったんですかぁ?お兄ちゃ………んぎゅっ?!」 「………………………」 「………………………ん」 「………………………」 「ん………ふふっ………………ばぁか」 |
「ね」 「今度は何?」 「あの二人だけど」 「………え?」 「さっきの話の二人よ 映画の続きは、地獄行きって事にしたじゃない」 「ん………あぁ、その話ね で、その二人がどうかした?」 「その二人が それからどうなったか あんた、わかる?」 「「………………………」」 「………やっぱり、底意地悪いね」 「………あんたもかなり、ね」 「だけどさ」 「ん?」 「二人、なんだよね」 「うん」 「「………………………」」 「もう一度………確認しても、いい?」 「いいけど………そっちも、ね」 「うん」 |
「誓ってくれる?けっして置きざりにしないって」
蒼い瞳に
問いかける
何がコワイ?
「あ………寝てた?」 「………寝てた ………………夢、見てた」 「楽しかった?」 「………最近ぱっとしない」 「………やっぱりね あたしもそんな感じ」 「「………………………」」 「夢見てるだけじゃダメ、って事?」 「つまり『夢になりなさい』ってぇ? すぐにつまんないもんの影響受けるのね、あんた」 「やっぱり、お約束すぎる?」 「見え見えでベタベタな展開ってやつよ」 「じゃ、やめとく」 「その方がいいわ」 |
『この世は全て つくりものなの だから、ね しかたないのよ』 |
「あんた………また寝てたわね」 「………そうみたいだねぇ」 「目、覚めた?」 「………たぶん………………んっ」 「………ん………目、覚めた?」 「………うん」 「よろしい」 「でも………覚めてない気もする」 「………やっぱり、そう?」 「やっぱり、って………分かるの?」 「あたしも………そうだから」 「………そうなんだ」 「………ねぇ」 「何?」 「………時々、思うのよ 現実にこうして二人だけでゆったり静かに過ごしてるのと 夢で大勢で色々ごちゃごちゃばたばた騒いでるのと どっちがホントはホントなんだろう どっちをホントは望んでるんだろうって」 「………………………」 「あ、そういう意味じゃなくて ………そういう意味じゃないのよ、ホントに」 「………うん」 「今の時間、とっても気に入ってるんだから やっと静かになったって感じで、安心できるし あんたは、何も気に病む必要なんてないんだからね あたしが自分で決めて、ここにいるんだから ホントに、ホントにホントなんだから」 「………うん………ありがとう」 「それで、さ………えっと もう、何言いたかったか忘れちゃったじゃないの ………ま、いっけどさ どうでもいい事だし………んぎゅっ?!」 「「………………………」」 「………………………ありがとう」 |
『………………………』
「………ホントは、 とっくに夢から覚めてるかもしれないのよね」 「………そうかもしれないね」 「でも、覚めたくないってどこかで思ってるのよね」 「そういうものだよね」 「………コワイのかしらね」 「どうなんだろうね」 「夢から覚めちゃうのが?」 「夢が冷めちゃうのが?」 「………覚めたらどうなるの?」 「………消えちゃうだけじゃない?」 「「………………………」」 |
「夢から覚めて 夢が冷めたら ぱっと消えちゃうってのも それはそれで、悪くないかも」 「うん………それもいいかも」 |
「………嘘ばっかり」
「………そう?」
【 停止 】
ほんとうに 好き?好き?大好き?