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[影技]の部屋
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この作品のお召し上がりかた。
基本的に学園エヴァだと思って頂いてけっこうです
ただし、シンジとアスカには、仕事人をして貰っています
時代劇の必殺シリーズの現代版と思って頂いて結構です。
さらに、レイは壊れています(^^;
リツコはマッドで世紀末覇者で、キテレツ大百科です(^^;
そして最後に……この作品の基本コンセプトは……
LASです(^^)
アスカが斬る
第一話 都市伝説1
キーンと張り詰めた空気があたりを支配する。
碇 シンジは、深く息をすると、ゆっくりとした動作で居合いの構えに入った。
目標に神経を集中し、気合とともに抜刀!
キンッ、
乾いた音を立てて、ビールビンの口が地面に落ちた。
返す刀で、今度は二本同時に切り飛ばす!
『おおーっ』
固唾を飲んで見守っていたギャラリーから歓声が上がる。
シンジは、そんなギャラリーを完全に無視して、次々とビールビンの栓を飛ばしていく。
見た目以上に集中力のいる作業なのだ。
「よっ!人間栓抜き!」
ビールを配る綾波 レイが合いの手をかける。
「あのね……そろそろ、いいかな?」
十本ほど斬ったところで、シンジは納刀して、苦笑しつつレイに聞いた。
「そうね……ビール、全員にわたったかな?んじゃあ、そろそろ始めるわよ」
レイは咳払いをしつつ、ビールケースで作られた急拵えの壇上に立った。
後ろには、垂れ幕が
「輝け!第35回新聞部部内打ち上げパーティー」
とデカデカと書かれて下がっている。
「……なにが輝けなの?」
「そんなの知らないよ……」
「誰が書いたわけ?」
「綾波に決まってるだろ?」
アスカの問いに、シンジが疲れた様子で答える。
「あー、あー、静粛に、せいしゅくにぃ」
ざわついていた室内が少しづつ静寂を取り戻しはじめる。
新聞編集用にと借り切っている職員会議室でそのまま行っているため、狭い部室とは違い、部員全員が席につくことが出来ていた。
「あ、みんな、そのままでいいから。えー、今回、めでたく我が第三東京高校新聞部は、我が校の野球部甲子園出場記念、特別増刊号を発行することが出来ました。取材を始めて一ヶ月、これもひとえに関係各位の……」
『なげーぞー』『はよおわれー』
一斉に始まる、部員一同のブーイング。
「えー、編集長の話はまた後程ということで……みんな、グラス持った?んじゃ、お疲れ様ってことで、かんぱーい!」
すばやくレイからマイクを奪ったアスカの音頭で、部員の紙コップが高々と掲げられる。
『いゃーあ、終わりだ終わり!』
『もう二度と、新聞なんてつくらねーぞ!』
『へんしゅーちょーはサドだぁぁぁぁ』
口々にわめきつつ、好き勝手に盛り上がる部員たち。
こうして、第三高校名物、新聞部打ち上げパーティー(2割増)が始められた。
「ぷはぁー!おいしぃー。なーんか人生、この時のために生きてるってかんじよねぇ」
……ろくな人生じゃないわね
アスカはビールをうまそうに飲み干す、顧問の葛城 ミサトをみて呟く。
「あーんもぉ、それはあたしのだってばぁ!あ、アスカ、楽しんでるぅ?」
すでに出来上がったレイが、紙コップ片手に現れる。
「やっぱ仕事の後のビールは最高だよねぇ(^^)」
「……あんたねぇ……」
「ケンスケも……トウジも……飲みたかったろうになぁ……」
シンジが紙コップを見つめつつ、ぽつりと言う。
「にゅーいんなんかするからよ。だいたい、男のくせに、こんじょーが足りんの!」
すでにキャラが違うレイ。
「あのねぇ……50時間ぶっとおしで編集続けてたら、誰でも倒れるわよ」
アスカは昨日までの日々を思い出して、頭を軽く振った。
「なんで!? あーたーしは、平気だったよ!?」
「綾波は特別なの!でも……いいのかなぁ……学校、しかも職員室で、堂々とお酒なんか飲んで……」
「いいのいいのぉ。どうせミサトセンセーも飲んでんだしぃー、いちれんたくしょーヨ!だいたい、甲子園に出れたのよ!こんなこまかいこと、誰も気にしないって!ああ!それあたしのから揚げぇ!」
阿鼻叫喚地獄と化した宴会の中に突入するレイ。
「うちの学校って……結構アバウトだね……」
「なにしろ……ミサトが教師やれるんだもん……」
「はは……いえてる。でも……この分だと、また徹夜だね」
シンジの予想は見事に的中し、この半狂乱な宴会は深夜にまで及んだ。
飛び交うビールビン、暴れる部員、カーネルサンダース人形がダンスを踊り、食い倒れ人形のストリップが始まる。
もはや手がつけられないと思われたこの宴会であったが、意外なところからその牙城にひびが入った。
参加部員のほとんどが、疲れと寝不足のため、アルコールの回りが早く、睡魔に負けだしたのだ。
一人、また一人と仮眠室に戻りはじめ、結局残ったのは数人だけだった。
「結局僕達でかたづけるのか……」
シンジはため息を吐きつつ、コップに残っているビールを飲もうとして、自分がまだ刀を持ったままだということに気がついた。
「まさか……菊一文字もビールの栓抜きに使われるとは思いもしなかっただろうな……」
そんなことを呟きつつ、抜刀してみる。
名刀独特の波紋が、蛍光燈の光を反射して輝く。
「きれいねぇ」
近くのテーブルをかたづけていたアスカが刀身の反射に気がついて近づいてきた。
もう、かなり飲んでいるのか、目がとろんとしてきている。
「そうかな?」
「菊一文字。鎌倉初期に後鳥羽上皇が一文字則宗以下の御番鍛冶を召して鍛えさせ、自らも焼刃したと伝えられる刀剣。太刀姿細く、品格の高いその輝きは……西洋のナイフじゃ出せない輝きよねぇ……」
「あ、アスカって、刃モノマニアなの?」
うっとりとして刀身を見つめるアスカに、思わず引くシンジ。
「失礼ね。あたしはむこうで育ったから、こういった『ジャパーニーズ・ワ・サビ』が好きなのよ」
「……それを言うなら、『わび・さび』だろ」
「……最近の日本では、そうともいうわね」
平然と言うアスカだが、顔が真っ赤になっているあたり、まだまだ修行が足りない。
「んしにても、菊一文字でビールの栓抜くなんて、世界中探してもあんただけでしょうね」
アスカのジト目を一身に浴びつつ、ケースに刀をしまうシンジ。
「いいんだ。どうせ刀なんて、使うものなんだし。それに、僕の師匠だって、いつも愛刀の虎鉄で荷物の梱包開けてたもん」
「あんたとこの師弟って……」
文化遺産をなんだと思ってんのかしら?
アスカは軽いめまいを覚えつつ、近くのテーブルのサンドイッチに手を伸ばした。
「そういえば、アスカのお父さん、たしか日本に帰ってきてたよね?」
シンジもサンドウィッチに手を伸ばし、ハムサンドをゲットする。
「うん……でも、すぐにまたどっかに行くみたい。今度は、SASの訓練って言ってたから……多分イギリスね」
タマゴサンドを頬張りつつ、今度はカツサンドに手を伸ばすアスカ。
「……たしかこの前はGSG9の教官だったよね……世界中のカウンターテロ部隊を総なめだね……」
シンジも負けじと、今度はローストビーフサンドをパくつく。
「そうね……スペツナズ以外はほとんどの部隊に知り合いがいるかな……」
「物騒だね……」
「そう?」
カツサンドを飲み込みつつ、しばらく考えるようなそぶりを見せるアスカ。
「あたしがいっしょに訓練受けたぶんには、結構いい人が多かったけど?」
「いっしょにって……カウンターテロの訓練?」
「まぁ……軍事訓練といっしょにね。多分、USAマリーンの一個小隊くらいなら、一人で相手する自信があるわよ」
「……冗談だよね?」
アスカは否定せずに、ニッと笑って見せる。
「……アスカには逆らわないでおくよ……」
「……もともと、尻に引かれてるじゃない」
アスカの言葉に、シンジは大きくため息を吐いた。
つづく
NEXT
ver.-1.01 1998+04/18 公開
ver.-1.00 1998+04/16 公開
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ども(^^)はじめまして、影技です(^^)
えー、ついにめぞんどエヴァに入居させて頂きましたぁぁぁ(T^T)
うう……はじめてSSを読んでからはや半年……ついに夢が……(T^T)
大家さん、ありがとうございます(^^)
えー、作品についてですが……今まで不運にも(?)私の作品を読まれたことがある方は、?と思われているかもしれません
……そう、ギャグがほとんど入っていないのです(^^;
……なんでだろ?今回は、レイも暴れなかったし……うーん……
と、とりあえず、これからもよろしくお願いいたします(^^)
本日最後の御入居者、
めぞん通算122人目となる 影技 さん、
おはようございま〜す(^^)
第1作『アスカが斬る』第一話、公開です。
菊一文字、虎鉄と言えば・・・
・・・・むかーし「ざ・さむらい」って漫画があったよね(^^)
現代の学校で真剣を振り回すシンジ・・・
マリーン小隊を相手に出来るアスカ・・・
さぞかし派手な痴話喧嘩が見れそうで、怖いっす
シンジは手を挙げるなんて事はないから、
その辺りは安心かな(^^)
教師と一緒に酒盛りする新聞部自体が無敵かも(爆)
さあ、訪問者の皆さん。
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