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「にゃあ」

 その鳴き声はコンフォートマンション近くの、ゴミ捨て場の近くで聞こえてきた。
 買い物帰りだったシンジは、ふと足を止め、鳴き声の聞こえてきたゴミ捨て場の方に目を向ける。
 ……巨大なダンボールが一つ転がっており、その中から、鳴き声は発せられたようだ。

「にゃあ」

 また、鳴き声があがる。
「捨て猫か……」
 無視すべきなのは解っている。
 下手に構うと情が移る。シンジのマンションは特にペットを禁じていないものの、ペンペンがいる以上、猫を飼うわけにはいかない。
 責任が取れない以上、情を掛けるのは、シンジにとっても猫にとっても良いことにはならない。
 が、そこまで解っていながら、無視することが出来ないのが、良くも悪くも碇シンジという少年なのだ。
 シンジはポテポテと、ダンボールに近づくと、中を覗き込んだ。

 瞬間、シンジが硬直する。

「にゃあ」

 ダンボールの中には巨大な猫が一匹居た。
 金髪で、何故か白衣を着た不思議な猫だ。

「……何やってんです、リツコさん?」

「にゃあ」

(やっぱり無視すれば良かった……)


 後悔とは先に立たぬモノなのだ。




『にゃあ』





「ただいま……」
 元気のない声で、シンジはマンションの扉を開ける。
「おっそ〜い!! バカシンジィ!!!」
 リビングからアスカが飛び出してきた。
「あ、アスカ……」
「アタシを放ったらかしといて、何やってたのよ! 買い物ぐらいチャッチャと終わらせなさいよね!」
 間違っても寂しかったなどとは云わない。
「う、うん、ごめん……」
「また、アンタは謝ればすむと思って……、あれ、誰か居るの?」
 ようやくアスカは扉の陰に誰かが居るらしい事に気が付く。
「あ、うん……実は猫拾っちゃって……」
「猫ぉ? アンタ、バカァ? 何考えてんのよ、ウチで猫なんか飼えるワケないでしょ。ペンペンが居るんだから!」
「う、うん、でも……」
「でももへちまもない!! とっとと捨てて来い!!」
「い、いや、何て云うか……」
「何よ! 文句でもあるの?」
「い、いや、そうじゃないんだけど、いちおう、猫を見て欲しいんだけど……」
「ハン! 猫見せられたからって、アタシが情を掛けるとでも…………」
 アスカの台詞が途中で止まったのは、シンジの云う『猫』が扉の陰から現れたからだ。
 アスカやシンジよりも大きなその猫は金髪で何故か白衣を着ていた。

「……何やってんのよ、リツコ?」
「にゃあ」
「……シンジ?」
「……解んないんだ……さっきから『にゃあ』としか云わないし」
「齢のせいでボケたのかしら?」
「にゃあ」
 アスカは気付かなかったようだが、シンジは金髪猫のこめかみに青筋が浮いたのを見ていた。



 とにかく、放り投げる訳にもいかないので、金髪猫をリビングに入れてやるシンジとアスカ。
「と、取りあえず、食事作るね。……リツコさんも食べて行きますよね?」
「にゃあ」
「…………とにかく、用意しますね」

 キッチンに消えるシンジを眼の端で追いながら、今度はアスカが金髪猫に詰問する。
「……何考えてんの、リツコ?」
「にゃあ?」
 ヒクッ。
 青筋を浮かべ、リビングの隅で丸くなっている金髪猫を睨み付けるアスカ。
「……だから、何を考えて猫の真似なんかしてるのかなぁ? ア・カ・ギ・ハ・カ・セ」
 体を丸め『にゃあ』などとほざく30女に憤りを募らせながら、アスカは(アスカにしては)鉄の忍耐力でもって、問いかける。
「にゃあ」
「こぉんの、腐れ年増ァ!! バカにしてんのぉ!!!」
 あっさり溶けさる鉄の忍耐力。
 可愛い顔を怒りで歪めて、金髪猫に飛びかかるや、いきなり首を締め上げる。
「ふにゃ!! ふにゃ!!」
「まだ云うか!! このお!!!」
「な、何やってんだよ、アスカ!!」
 騒ぎを聞きつけたシンジが慌てて止めに入る。
「だ、駄目だよ、死んじゃうよ、アスカ!!」
「離して、シンジ!! コイツ、殺す、殺す、殺すぅ〜〜!!!」
「ふぎゃ、ふぎゃ、ふぎゃあああ!!!」
「うわああ!! ア、アスカ落ち着いてぇ!!!!」
「ウッキィ〜〜〜〜!!!!」
 止まらないアスカ。
 こうなってしまうと、アスカを止める方法は一つしかない。シンジになら出来る、シンジにしか出来ない方法だ。
 シンジはいきなりアスカを抱きすくめるや、アスカの唇を吸った。

「!!」

 アスカの手が猫の首から外れる。
「ふひゃあ、ふひゃあ」
 酸素を求めて喘ぐ金髪猫。
 その間も、アスカとシンジの接吻は続いている。
「ん……んふ……」
「……にゅ……はぁ」
 いつしか舌まで絡めだしていた。



 たっぷり、10分以上は経ってから、ようやくシンジはアスカから唇を離す。
「……落ち着いた、アスカ?」
「……うん」
 名残惜しそうに、瞳を潤ませながら、甘い声で答えるアスカ。
「……駄目だよ、あんなことしちゃ……リツコさんが死んじゃうよ」
「うん……ごめんね、シンジ。アタシ、怒ると見境がなくなっちゃうから……またシンジに迷惑掛けちゃったね」
 シンジの胸に顔を埋める。
「……迷惑だなんて思ってないよ、アスカ」
「本当? こんな癇癪持ちの我が儘女、シンジは嫌いじゃない?」
「嫌いじゃないよ。だってアスカだもん。僕はアスカの全てが好きなんだから……」
「本当?」
「……僕の言葉が信じられない?」
「ううん。でも、時々不安になるの。もしかして、シンジは優しいから、アタシに構ってくれてるだけなんじゃないかって……」
「そんなことないよ……、僕が優しくなれるのは、アスカが居るからだよ。アスカの為に僕は優しくなれるんだ」
「シンジぃ……」
「アスカ……好きだよ」
「アタシも……好き……シンジぃ」
 再び、舌を絡めだした二人を、金髪で白衣を着た猫が、額とこめかみに青筋を5つばかり浮かべながら眺めていた。



 ようやく、夕食の準備が出来、食事が始まったのは、あれから、更に1時間も経った後であった。

「あれ、食べないんですか、リツコさん?」
 夕食に手を付けようとしない金髪猫を、シンジが見咎めた。
 今、彼等は、リビングに低いテーブルを出し、そこで床に座り込んで食事を摂っていた。
 金髪猫も、シンジの隣にちょこんと座り込んでいるのだが、一向に目の前に出された食事に手をつけようとしない。
「リツコさん、嫌いなモノあったっけ?」
「さあ、でも、食べないんならアタシが……」
「ふぎゃ!!」
 食事を取り上げようとしたアスカに、突然威嚇を始める金髪猫。
「何よ、食べないんじゃないの?」
「あ……、もしかして、猫舌だから、冷めるの待ってるとか……」
「にゃあ!」
 ニッコリ笑って頷く金髪猫。妙に人間くさい。
「……じゃあ、もう、冷めてんじゃない?」
「みゅう」
 アスカの言葉を受けて、金髪猫は、食事におずおずと舌先を当てる。どうやら、大丈夫らしいと思ったのか、そのまま、食事にかぶりつく。
「ああああ、何て食い方してんのよ! この女は!」
「ア、アスカ、落ち着いて!! リ。リツコさん! もしかして、箸の使い方忘れちゃったんですか?」
「にゃあ?」
「箸ですよ、箸。コレです」
 金髪猫に箸を差し出すシンジ。だが、金髪猫は不思議そうに、それを見つめ、手の先でツンツンするだけだ。
 シンジは深い溜息をつくと、金髪猫によそった茶碗から、ご飯を箸で取り、そっと金髪猫に差し出す。
 それに、金髪猫が嬉しそうにパクリと食いつく。
「ああああっ!! シンジ! アンタ、なにやってんのよ!」
 当然アスカは面白くない。
「……仕方ないだろ? リツコさん、ご飯の食べ方も忘れちゃったみたいだし」
「でも、アンタがここまでするコトないじゃない!」
「じゃ、アスカ、やる?」
「嫌よ!」
「なら、僕がやるしかないじゃないか。仕方ないよ、リツコさんにご飯食べさせない訳にもいかないし……」
「むぅ……、アタシだってまだして貰ったことないのにぃ」
 まだ納得いかない様子のアスカを後目に、金髪猫は大喜びで、シンジから食事をさせて貰っていた。



「ただいまぁ〜〜」
 扉が開く音と共に、気の抜けたような声でミサトが帰宅する。
「あ〜〜、疲れたぁ。シンちゃん、ご飯あるぅ〜〜?」
 肩と首をゴキゴキ鳴らしながらリビングにやってくるミサト。
 そのミサトが、リビングに入るや、いきなり目を剥いた。
「リ、リツコ! アンタ、仕事サボって、こんな所で何やってんのよ!!」
 リビングでは食事を終えたシンジ達がくつろいでいるところだった。
 シンジが壁に寄りかかり、座っており、それにアスカがピッタリと寄り添っている。が、アスカの表情を見る限り、それはシンジに甘えているというよりも、シンジの膝で丸くなっている齢30の金髪猫に対抗してのことらしい。

「あ、おかえりなさい、ミサトさん」
「ミサト! こいつ何とかしてよ!」
「にゃあ?」
 三者三様の挨拶を返されるミサト。
「にゃあ?」
 ミサトが怪訝な顔で問い返す。
「……変なんですよ、リツコさんが」
「リツコ?」
 もう一度、睨み付ける。
「にゃあ」
 頭を抱えるミサト。
「だあ!! いったい、何やってんのよ、リツコ!!! だいたいアンタ、今日何だってネルフに来なかったのよ! アンタが来なかったせいで私達は……」
「にゃあ」
「……リツコ?」
「にゃあ」
「……これが最後よ。ふざけてないで、ちゃんと答えなさい。ね、リツコ?」
「にゃあ」
「まだ云うか!!! この腐れパッ金マッド中年の白衣マニアぁ〜!!!!」
「ふにゃあああ!!!」
「わああああっ!!!! や、やめて下さい、ミサトさん!!」
 激昂するミサト。慌ててシンジが止めに入る。
「離して!!! シンちゃん、邪魔よォ!!!!!」
「じゃ、邪魔!?」
 突然シンジが硬直する。
「あ……やば」
 焦るミサト。
「シンジ!」
 慌てるアスカ。
「にゃあ?」
 何だか良く解らない金髪猫。
「邪魔……邪魔……僕は邪魔?」
 頭を抱えて座り込むシンジ。
「そうだ……邪魔なんだ……僕なんかいらないんだ……僕は必要じゃないんだ……僕なんか居ない方がいいんだ……」
 自閉モードに突入するシンジ。体育座りになり、顔を膝に埋めている。
「あああ、ち、違うのよ、シンちゃん!!」
「あああ、ミサトのバカぁ!!」
「にゃあ」

 こうなってしまうと、シンジをサルベージする方法は一つしかない。アスカになら出来る、アスカにしか出来ない方法だ。ちなみに、以前ミサトが試みて失敗している。
「シンジ!!」
 アスカは突然シンジを抱え込み、シンジの頭を、14歳平均よりは豊かだが、ミサトに比べれば、まだまだお子ちゃまな胸に抱きしめる。
「……大丈夫よ、シンジ」
 普段からは考えられない優しい声。
「……アスカ……」
「誰も、アンタをいらないなんて云わないわ……。例え、世界中の人がアンタをいらないと云っても、アタシだけはアンタが必要よ……」
「アスカ……、僕はここに居てもいいの?」
「居て。ここに居て。アタシのために、アタシのそばに、ずっとずっと居て……」
「アスカぁ……」
「シンジ……」
 アスカの胸に顔を埋めて泣き崩れるシンジ。それを聖母の表情で抱きしめるアスカ。感動的な光景である。
 だが、それを見つめる、30間近の独身女と金髪猫の髪の毛の下には、マスクメロンのように青筋が走りまくっていた。



「それにしても、リツコ、どうしちゃったのかしら?」
 アスカはリビングの隅で丸くなって眠っている金髪猫を、そっと窺う。
「……解らないわ。何があったのかしら?」
 ミサトはグビリと缶ビールをあおる。 「リツコの事だから、変な実験でもして失敗したんじゃない?」
「それで、猫になっちゃったって? そんな……」
 そこで、口を噤んでしまう、ミサト、アスカ、シンジ。
 何か、いかにもありそうな事だったからだ。

「……元に戻れるかな、リツコさん?」
「……さあ……、でも、こうなっちゃうと可哀想ね、リツコも」
「うん……、せめて、元に戻れるまで面倒見てあげましょうよ、ミサトさん、アスカ」
「そうね……、このまま放り出すワケにもいかないし……」
「ま、仕方ないわね」
 どうも、3人の頭の中では、リツコが怪しい実験に失敗して、猫化してしまったと、勝手に結論付けられてしまったらしい。



 眠っている金髪猫に毛布を掛けてやり、シンジ達はリビングを後にし、自分の部屋へ向かう。
「リツコさん、あのままで大丈夫かな?」
「いいんじゃない。猫なんだし」
 心配性のシンジに対し、アスカは何処までも楽観的で無責任だ。
「もう眠っちゃてんだし、仕方ないじゃない。変な心配しても始まらないわよ」
「うん………まあ、そうなんだろうけど……」
「ま、とにかく、もう寝ましょ。明日になれば、ミサトがネルフに連れてくって云ってたから、何とかなるでしょ」
「うん…………そうだね。おやすみ、アスカ」
「……おやすみ、シンジ」



 葛城家の灯が落ちて2時間も経った頃だろうか?
 リビングで毛布に包まれた塊がムクリと身を起こした。
 ゴキ、ゴキと不気味な音を立てて肩を回す。
「ふぅ〜、やっぱり、猫のふりをするのは疲れるわね」
 突如、人語を語り出す金髪猫。
「……でも、作戦は成功ね。シンジ君達は完全に私の事を猫だと思いこんでいるようね」
 口元に、押さえきれない笑みを浮かべながら、金髪猫は歩き出す。
「それにしても参ったわね。シンジ君とアスカがあんなになってるなんて……毎日あんなもの見せつけられちゃ、ミサトが家に帰りたがらないワケだわ……」
 金髪猫が向かうのはシンジの部屋のようだ。
「ふっふっふ。これで、私の願いが叶う……待ってなさい、シンジ君……」

 そっと、襖を開ける。
 窓のない、クソ狭い部屋の大半を占めるベッドにシンジが眠っている。
「シンジ君……今、お姉さんが、あなたを大人に……もしかして、もう大人になってるかしら? とにかく、可愛がってあげる………ククク」
 襖を閉め、唇の端を歪める金髪猫。
「ククク……やっぱり、若い子よねぇ〜。あんな爺の髭眼鏡より数億倍いいわ。さあ、シンジ君をモノにして、あの髭親父を私の方から棄ててやるのよ! あ〜、あの変態髭達磨の悔しがる顔が目に浮かぶぅ〜」

 シンジ、大ピンチ!



 シンジの部屋にこっそり仕掛けられたスパイカメラの映像を見ていた綾波レイの周りの気温が、突如下降した。
「赤木博士……ズルい」



 シンジの部屋に極秘裏に仕掛けられた監視カメラの映像を見ていた伊吹マヤは、目に涙を溜めて絶叫した。
「先輩! 不潔ですぅ!!」



 シンジの部屋に内緒で仕掛けられた隠しカメラの映像を見ていた霧島マナは、怒りと驚愕に我を忘れた。
「誰よ!? あの、おばさんヤンキー!!」



「ふっふっふ、今宵あなたは私のモノ……あなたに本当の快楽と云うモノを教えてあげる……」
 服を脱いで、シンジに覆い被さって行く金髪猫。
 今や、シンジの貞操は風前の灯火であった。

 その時!

「ねぇシンジぃ、アタシね、今日なんか……って、何やってんのよ、リツコ!!」
 アスカが襖を開けて入ってきた。当然の如く金髪猫に噛みつく。
(ち、しまった。アスカめ、夜這いとは大胆じゃない。でも、こんな時のために私は猫の真似までしたのよ! 猫よ、私は猫になるのよ!)
「にゃあ」
 体を丸め、シンジにくっつく金髪猫。
「誤魔化されるかぁ! この年増ァ!! シンジも寝てないで起きろぉ!!」
 激情にまかせ布団を引き剥がす。
「ふにゃあ!!」
「ふあ、な、何だぁ……アスカぁ、どうしたの………って、リツコさん、何やってんですかぁ!!!」
 ちなみに金髪猫は服を脱いだままだ。
「リツコぉ! シンジから離れろぉ!!」
「にゃあ!」
 アスカの殺意の波動に恐れ、シンジの背中に隠れる金髪猫。
 金髪猫のアスカより数倍豊かな裸の胸が、シンジの背に押しつけられる。自然と伸びる鼻の下。
「ああああ。アスカ! 落ち着いて! リ、リツコさんは猫なんだから!」
「ウルサイ! なら何で服脱いでんのよ!!」
「あ、暑かったんじゃないかな……」
「にゃあ」
 何で自分が弁解しなきゃならないんだろうと思いながらも、必死でアスカを宥めるシンジ。
「ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ! 何よ、鼻の下伸ばしちゃって! この浮気者、浮気者、浮気者ぉ!」
「ア、アスカ……?」
「アタシの事、好きって云ったくせに! アタシにキスしたくせに!!」
「アスカ!!!」
 シンジは金髪猫を振り解き、再び暴走を始めたアスカをしっかりと抱きしめる。
「アスカ、僕を信じて……」
 アスカの唇を塞ぐ。

「ん………あ……」
「………………」
「………………」
「…………はあ」
 そっと唇を離す。
「……落ち着いた?」
「うん……、ごめんね、また……」
「いいんだ……、でも、リツコさんを怒っちゃ駄目だよ。リツコさんは今、猫なんだから……」
「そうね……アタシが悪かったわ……」
「でも、ベッド取られちゃったな……どうしよう?」
「ね……、シンジ、なら、アタシの部屋で一緒に……寝る?」
「え、いいの?」
「シ、シンジなら、アタシは全然……」
「じゃ、じゃあ、そうしようかな……」
「シンジ……」
「アスカ……」
 見つめ合うシンジとアスカ。
 それを、金髪猫と騒ぎを聞きつけて起きてきたミサト、そしてカメラと受信機越しに3人の女性が全身に青筋を浮かべながら眺めていた。





「く……失敗か……やっぱりアスカが最大の障害ね……でも、私は諦めないわ! 待ってなさい、シンジ君!」
「……何か云った、リツコ?」
「……にゃあ」










 金髪で白衣を着た巨大な猫は、今も葛城家に居るらしい。





























「「「にゃあ」」」

 その鳴き声はコンフォートマンション近くの、ゴミ捨て場の近くで聞こえてきた。
 買い物帰りだったシンジは、ふと足を止め、鳴き声の聞こえてきたゴミ捨て場の方に目を向ける。
 ……巨大なダンボールが3つ転がっており、その中から、鳴き声は発せられたようだ。

 ……シンジはダンボールの中に、それぞれ蒼いショートヘアと黒いショートヘアと茶色のショートヘアを見たような気がした。

「「「にゃあ」」」

 シンジは無視した。










おしまい








NEXT
ver.-1.00 1998+05/31 公開
感想・苦情・カミソリなどは こちらまで!
 どうも、ザクレロです。
 なんか、また妙なモノ出来ちゃったな・・・
 せっかく、念願のリツコさん主演SSだったのに・・・
 リツコさんは、エヴァではアスカに次ぐお気に入りなんですが・・・

 猫はいいねえ。
 家にも猫が2匹ばかりいます。一番多いときは5匹いたんですが、車に轢かれたりして死んじゃいました(;;)。
 2匹とも全身真っ黒で、初めて家に来た人なんかは、一様に不気味がってくれます。家の人間にしか見分けつかないみたいですね。
 ボーっとしてると、膝の上に上がってきて丸くなったり、肩まで這い上がって頬ずりしてきたり、夜、寝てると布団の中に潜り込んできたりします。そのうち、尻尾が割れて、可愛い女の子に化けるのを、密かに期待してるんですが(バカ)。

 あと、初めてめぞん以外のHPに投稿しました。
 いや、めぞん一本で行くつもりだったんですが、めぞんで公開出来ない類のSS書いちゃって・・・
 投稿先は『Holy Beast』さんです。良かったら読んでやって下さい。
 ・・・こういう事、ここで言っていいのかな?

 それでは。






 ザクレロさんの『にゃあ』、公開です。





 シンジの部屋の隠しカメラ数、
 尋常じゃないよね(^^;


 レイちゃん物
 マナちゃんの
 マヤさん謹製・・


 うーん、
 ミサトさんも仕掛けていそうだし、
 当然リツコさんも。でしょ?




 付けるのに苦労したでしょうが、
 そろそろカメラ位置を移動させないといけなくなるかも。


 どこにっつーたら、やっぱり、ねえ、アスカちゃんの部屋に・・・


 一回覚えたら止まらなくなるだろーし、
 もう今の部屋のは返ってこなくなる  うけけ(^^;




 取り付け済みだったりして   こわひ





 さあ、訪問者の皆さん。
 面白い短編を連発するザクレロさんに感想メールを送りましょう!




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