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Declination below adolescence!

第肆話 One day of graduation


桜の蕾が膨らみ、もうそろそろ花びらを開こうとする頃、第三新東京市立第一中学校でも
卒業式が執り行われようとしていた。大半の卒業生は隣接する第一高等学校へ進学するこ
とになっている。市立であるのにそういう状態になっているのは実験校である、というの
が主な原因である。
卒業生の中で、首席となった少女は卒業生代表として答辞を述べなければならないことに
不満をぶちまけていた。

「何だって、このアタシが面倒なことをやらなきゃいけないのよっ。カオル、アンタがや
りなさいよ。」

少女は斜め後ろに座る少年に食って掛かる。少年の方は肩をすくませつつ、

「僕は次席だから、その役目はできないね。」

と、読みかけの雑誌に再び目を通しはじめる。彼が目を通している雑誌はバイクのレース
を扱った内容のものである。

「まあまあ、成績優秀だった証明なんだから。」

お下げの髪の少女がなだめるようにして言うが、その隣に立っているジャージを着た少年
が、

「しかし、授業中寝てばかりの惣流が首席なんて信じられんわ。」

と言った瞬間、少年の顔を少女の手の甲が襲う。

「うっさいわね。」

少女は裏拳で少年をノックアウトした。
惣流と呼ばれた少女は、惣流=アスカ=ラングレー。カオルと呼ばれた少年は渚カオル。
お下げの髪の少女は洞木ヒカリ。裏拳で倒れたジャージの少年は鈴原トウジといった。卒
業式を控えた教室での一幕である。卒業式はあと2時間ほどで行われるが、それまでの待
機時間、卒業生は暇を持て余していた。
不意に教室のドアが開き、一人の少年が入ってくる。黒髪の線の細い少年である。彼の後
ろには空色の髪の少女がついてきていた。

「おっそーいっ。シンジ、何やってたのよ?レイもどうしたのよ。」
「うん、この後の準備をしてきたんだ。家でパーティーをするだろ?」
「そう、ごくろうごくろう。」

アスカはそう言うと、席に座ったシンジの頭を撫でる。レイはヒカリと雑談を始めている。

アスカが第三新東京市、碇家にやってきてから一年弱が経とうとしていた。夏休み、文化
祭、冬休み、アスカの誕生日、クリスマス、お正月、バレンタインデーと数々のイベント
を経て、アスカは完全に第三新東京市に馴染んでいた。カオルはもともと馴染みやすい特
性を持っていたのか、アスカよりも早く打ち解けていた。もっとも、二人の性格、行動は、
見たところ何ら変化が無いのだが。印象が変わった、といえばレイであろう。アスカとカ
オルの存在がレイにいい影響を与え、学校の中でも、どこでも明るい性格になった。今で
はアスカに次ぐ人気を誇っている、学校のアイドル的存在である。
シンジはあまり変わったという印象が無い。一緒に暮らしているアスカとレイにとっては、
随分と変わった、らしいのだが。友人であるトウジやケンスケから見ればなんら変わりが
無い、ということである。ヒカリだけは、シンジが「優しくなった。」と感想を述べてい
る。結局、男に取っては精神的に変化したことは分かりづらいものなのかもしれない。
アスカの印象は、初めて学校に来たときより随分と変化している。授業中は居眠りや雑談
などで過ごし、気に入らないことがあるとすぐに怒りだす。喜怒哀楽の感情表現の起伏が
激しく、すぐに行動に出る、という直情的な面が表に出るためである。それでも、その容
姿とスタイルが学校中の男共の目を惹きつけるのだ。ケンスケはアスカの写真を売って、
儲けようとしていたが、アスカに見つかって、ボコボコにされた、というエピソードもあ
る。

ひとしきりシンジの頭を撫でると、満足したのかアスカは答辞で述べる文面を眺めながら、

「答辞の文章ってどうしてこんな面倒なのかしら。卒業式って格式張る必要ないはずなの
にさぁ。」

と言い、溜め息をつく。

「アスカはドイツの学校の卒業式に出てるんだよね。日本だけなのかな、こういうのって。」

シンジは答えながら、考え込む。こういうところはシンジのクセであり、変わってはいな
いようだ。

「そういえば、カオル君。伊吹マヤさんって人から伝言入ってたよ。参号機の修復終わっ
たって。3日徹夜とかぼやいてたわよ。」
「そんなものだろうね。でも、僕にでなく、レイちゃんに伝言が行くとは思わなかったね。」
「カオル君が家に帰ってないからじゃないの?昨日だって家に泊まっていったじゃない。」

カオルはちょくちょく碇家に泊まっていく。理由は特に無いのだが、ネルフのテストドラ
イバーという立場上、精神的なストレスを解消する目的で訪れているようだ。
もっとも、週末に必ず泊まっていくところを考えると、習慣化してしまっているようだが。

「そうそう、伝えることがあったんだ。シンジ君、アスカ、ちょっといいかな?」
「何?」
「どうかしたの、カオル君。」
「ネルフ・ワークスに遊びにこないか?って加持さんが言ってたんだ。どうかな?」
「春休みにならいいかもね。」
「加持さんかぁ、ミサトとあぁなるとは思わなかったわ。」

加持リョウジ、ネルフの社員の一人であり、ネルフ・ワークスというレースチームの一員
である。彼はレースの中での情報戦を担当する、エキスパートの一人である。彼はアスカ
達の担任である、葛城ミサトと大学で同期であり、過去には付き合っているほか、同棲し
ていたという経歴があった。更に今に至っては、よりを戻しているので結婚も間近と言わ
れている。現在27歳、ネルフで期待されている、らしい。

「僕たちだけなの?」
「いや、君たちは特に、ということで他の人もOKだそうだよ。」
「どうする、アスカ?」
「いいんじゃない、行きましょうよ。レイもヒカリも誘ってさ。」

アスカはレイとヒカリの所に行くと、そのことを話しはじめる。カオルはその様子を見て、
ニヤッと笑みを浮かべる。その笑みを見たシンジは不安そうに、

「カオル君、何か企んでるの?」

と聞くと、カオルは柔和そうな笑みを浮かべて、

「何も企んで無いよ、僕はね。」

と答え、雑誌の1ページを見せる。

「この人は冬月コウゾウという人でね。ネルフの重鎮さ。彼は碇ゲンドウ、君のお父さん
の古くからの友人だそうだ。もともと彼は大学の教授で、ゲンドウ氏は彼のゼミにいたそ
うだよ。その時、ゲンドウ氏は六分儀姓だったけどね。そこで彼は碇ユイ、君とレイちゃ
んのお母さんに出会い、卒業後二人は結婚したそうだ。1年後シンジ君とレイちゃんが生
まれた。その半年後、ユイさんのお姉さんである惣流=キョウコ=ツェペリンさんに一人
娘であるアスカが生まれた。僕が調べたのはここまでさ。冬月氏はもっと深く知っている
ようだから、逢った時に聞いてみるといい。ついでに言うのなら、「エヴァンゲリオン」
はゲンドウ氏の手によるものだ。」
「父さんの作ったバイクなんだ。あれ?父さんはネルフの関係者なの?」
「僕の権限では知ることはできなかったよ。」
「そうなんだ・・・。」

シンジは深く考え込み、自分の席へ戻っていく。アスカはその様子を見てカオルに、

「シンジに何を話したのよ、カオル。」

と食って掛かる。カオルは平然とシンジに告げた内容をアスカに教える。アスカはその内
容を聞き、戸惑った表情ながら、

「エヴァがおじさまの作ったものだったんだ。アタシの方がおじさまに近かったのね。」

と呟き彼女もまた自分の席に戻っていく。
その時、不意にカオルの携帯電話が鳴りだし、カオルは呼び出しに応じる。

「もしもし、カオルです。おや?加持さん。どうしたんです?はぁ?僕のレコードを破っ
た人がいる。正体は不明ですか?で、その人は今日、待っていると。分かりました。二人
を連れて行きますよ。」

カオルは携帯電話を切ると、シンジとアスカも所に歩いていき、

「二人とも、卒業式は出るのかい?出る気が無かったら一緒に来て欲しいんだけれど。」

と言う。アスカとシンジは戸惑いの表情を浮かべながら、何も答えることができない。

「シンジ君のお母さんが現われたそうだ。エヴァで僕のコースレコードを破れる可能性が
あるのは、僕自身とアスカとシンジ君、あとはユイさんだけだからね。」
「母さんが?」
「おばさまが現われたの?」
「そうみたいだ。加持さんがあんなに慌てているのも久しぶりだからね。で行くかい?」
「もちろんよ。シンジも行くでしょ?」
「卒業式はどうするんだよ。」
「どうだっていいじゃない。レイっ、行くわよ。」
「どうしたのよ、アスカ。」
「いいからっ。ヒカリ、あとは任せたからね。」

アスカはシンジとレイの手を引っ張ると教室から出ていく。カオルは平然とその後ろにつ
いていくが、取り残されたヒカリ、トウジ、ケンスケは唖然としたままである。

「いいのか、いいんちょ。答辞を述べる惣流がいなくなってしもうたで。」
「え、あ、どうしようかしら。渚君もいなくなっちゃったし。」
「次に成績いいのって、レイだろ?その次は委員長だぜ。」

ケンスケはそう言うと、端末にデータを表示させる。

「ほな、いいんちょが言うしかあらへんな。」
「そんなぁ。」

ヒカリの声は虚しく響いていた。

一方、教室を出て、玄関に向かおうとしていた4人は担任のミサトに呼び止められていた。

「ちょっと、アンタ達。卒業式はもうすぐよ。」
「ミサト、用事が出来たから。じゃあね。」
「詳しいことは加持さんに聞いてください。」

アスカとカオルはそれだけ言うと、そのまま2台エヴァ、弐号機と肆号機を始動させる。
カオルの参号機はカオルが他の開発部門とのテストレースで勝利を収めたものの、暴走さ
せたあげく、大破させてしまったのであった。その後、代わりのバイクとしてテストベッ
ドだった肆号機が回されてきたのであった。肆号機はテストベッドとして利用されていた
ため、さまざまな改造が施されており、外見上は変わらないものの、性能は全く異なるら
しい。

「さて、行くわよ。ネルフのコースでいいのよね?」
「そうだよ。レイ、ヘッドギア。」
「うん。」

カオルはレイに白を基調とし、青のアクセントが入ったヘッドギアを渡す。カオルのヘッ
ドギアは黒を基調とし、赤のアクセントが入っていた。一方、アスカのヘッドギアは真紅
のみであり、他の色は含まれていない。シンジのヘッドギアは青を基調とし、紫のライン
が入ったものでる。
アスカの後ろにシンジが乗り、カオルの後ろにレイが乗る、というスタイルは夏休みを過
ぎた頃に確立されたものだった。

「しっかりつかまってなさいよ。」
「うん。」

アスカはフルスロットルで発進させる。瞬時、タイヤが空回りし、路面にタイヤの跡が残
る。その衝撃にシンジは目をつぶる。
それに続き、カオルが発進させる。こちらは静かなスタートである。エネルギーの使用効
率に無駄の無い走り方である。レイも安心してカオルの運転に任せている。
中学校よりネルフのテストコースまでの所要時間は通常、乗用車で30分程度である。そ
こを2台の「エヴァ」は15分で到達した。
そのまま、コースの中に進入する2台は、ピットに横付けし、停車する。

「加持さん、誰です?僕のレコードを破ったのは。」

カオルの呼び掛けにピットの奥から加持が出てきて、

「今、コースから戻ってくるよ。カオル君のレコードからマイナス3コンマ2秒だ。」

と答える。カオルは顔をしかめると、

「リツコさんにヘッドセットの準備を、と伝えてくれますか?3人分。」

と告げる。その言葉に加持は表情を厳しくしながらも頷き、インターホンで連絡を取る。
その後,加持は開発室に向かったようだ。
そうしているうちにコースを走っていたバイクはピットに入ってきて、カオル達の目の前
でバイクから降りる。その姿は真っ白のライダースーツであり、ヘッドギアでさえ真っ白
である。髪はショートカットのようで、茶色がかった髪がヘッドギアから見え隠れする程
度である。その人物の乗るバイクはこれまた真っ白でアスカとカオルの乗る「エヴァ」に
よく似ていた。

「さて、ユイさん。いや、会長、どうしたんですか?」

カオルの言葉にその人物はビクッと肩を揺らす。

「やっぱりカオル君にはバレちゃうわね。シンジ、レイ、3年ぶりね。アスカちゃんは
2年ぶりになるのかしら?」
「母さんっ!」
「お母さん。」
「ユイおばさまっ。」

3人は駆け寄り、ユイは3人を抱きしめる。シンジとレイは自然に涙を流しているようで
あり、アスカも涙ぐんでいるようだ。

「さて、説明しなくちゃね。」

ユイはそう言うと、ピットの奥のスタッフルームに入っていく。アスカ達はそれに続くが、
カオルだけはインターホンで何事かを話したあとについてくる。

「まず、私が何をしてたか、ってことだけど・・・」

ユイは今までの経緯を話しはじめる。

「まず、私はネルフの会長であり、CEOよ。つまり、ネルフの全権を握っているという
ことになるわね。それで、世界各国の支社の経営指揮のために各国を回らなくちゃいけな
くなったのよ。ちょうどそれが3年前ね。それから各国を回って、やっと見通しが付いた
からここに戻ってきたのよ。」
「でも、ユイおばさま。ゲンドウおじさまはどうしたんですか?」
「ああ、あの人はね。どこにいるのか私も知らないわ。こっちのネルフには零号機から肆
号機までを送り、私には伍号機を送ってきたきりね。自分で熱中することがあれば、それ
を優先する人だから、しょうがないわよ。」

ユイはそう答え、自分の目の前に座る4人に笑いかける。

「今回は逢うつもりがなかったんだけどね。カオル君がいたのをすっかり忘れてたわ。そ
ういえば、零号機と初号機はまだ出してないのね。」
「これから、なんですよ。あの時の計画は。」
「そうだったの。でも、レイには難しいわね。シンジとアスカちゃんで、というところか
しら?」
「そうですね。もっとも、初号機はブラックボックスなんで、いまいち予想つかないんで
すよ。」

ユイとカオルが意味不明な会話をし、アスカ達が戸惑っていると、加持がスタッフルーム
に入ってくる。

「カオル君、ヘッドセットの使用許可はでなかったよ。」
「そうですか。やっぱり初号機の封印を解かない限り、ということですね。」

カオルは納得したのか、あきらめたのか分からないがとりあえず、承知したようであった。

「さて、シンジ、レイ、アスカちゃん。一緒にお食事でもどうかしら?」

ユイはそう言うと、ライダースーツを脱ぎはじめる。

「はい、よろこんで。」
「うん・・・でも、アスカ。」
「何よ、シンジ。」
「パーティーはどうするの?」

アスカはその言葉で悩みはじめる。レイも考え込んでしまう。シンジも同様である。その
様子を見たカオルはクスッと笑うと、

「会長にもパーティーに出てもらうといいよ。そのくらいの暇は現在あるだろうしね。」
「あら。パーティーって何かあったの?」
「ええ、卒業式が。すっぽかしましたけど。」

カオルの答えにユイは顔をしかめるが、アスカ達の様子を見ると表情が柔らかくなり、

「そうね、そういうのもいいかもね。そういうことでいいかしら?」
「はい、おばさま。」
「アスカちゃんにおばさまって言われると違和感あるわね。キョウコにそっくり、という
のもあるかもしれないわ。」
「じゃあ、早く家に帰らないと。あと2時間でパーティー開始よ。」

レイの言葉にアスカはヘッドギアをつかむと、

「シンジ、行くわよ。アンタ、下準備だけで作ってないでしょ?」
「そうだった。」
「カオル、あとは頼んだわよ。」
「OK。」

アスカとシンジは急いで弐号機を始動させ、家へと戻っていった。
残されたカオル、レイ、ユイは、

「さて、追いますか。」
「そうね。」
「じゃあ、私も行くわ。」

と、カオルとレイは復帰のなった参号機、ユイは伍号機に乗ると、ゆっくりと走らせてい
く。ヘッドギアの通信機能でユイとレイは会話をかわす。カオルには聞こえないように秘
話モードで、である。

「レイ、あれは治った?」
「うん。アスカとカオル君のおかげで。」
「そう、よかったわね。

ユイは一時的に通信機能を切ると、

「もう、私の手はかからないみたい。アスカちゃんがいれば大丈夫ね。」

と呟き、通信機能を回復させる。

「アスカちゃんとはうまくやってる?」
「うん。アスカとお兄ちゃん、両想いなのにどっちも気が付かないみたいなんだ。アスカ
はお兄ちゃんが好きなのを自覚してるんだけど、お兄ちゃんは自分の気持ちも自覚してな
いみたいなの。」
「そうかしら。レイも同じだと思うわよ。自分の気持ちほど分からないものはないもの。」
「・・・そうかもしれない。」
「自分の気持ちをちゃんと確かめることね。」

程なくバイクは碇家にたどり着く。バイクは空きっぱなしの駐車場に止められ、3人は家
の中へ入っていく。

「お兄ちゃん、どう?うまくいってる?」
「うん。レイはコップとか出しててよ。」
「あら、上手ね。私も手伝っていいかしら?」
「おばさま、おばさまはゲストなんですから、ゆっくり待ってて下さい。」

ユイは台所に入ろうとするものの、アスカに追い返されてしまい、手持ちぶさたでソファ
に座る。先にソファに座っていたカオルはその様子を見て、

「すでに家の主は交代したようですね。」

と言うと、ユイはあきらめたような表情で、

「もうこの家はシンジとアスカちゃんにあげるわよ。もう夫婦みたいなものじゃない。」

と答える。コップを出していたレイはその言葉を聞いて、

「アスカぁ、良かったわね。結婚してもいいってさ。」

と台所に向かっていう。

「もう、おばさまったら。」

アスカはそう言いつつも、顔を赤くして、料理の盛り付けをしている。その様子を見なが
らユイは安心していた。

「キョウコと約束してたことが本当になったわね。シンジとアスカちゃんを結婚させよう
というのがね。そういう意味ではキョウコの遺言はかなったのかしら。」
「そのようですね。まだ15歳、ですから結婚は当分先ですけどね。」

ピンポーンッ

呼び鈴が鳴り、レイがドアを開けに行く。

「いらっしゃい。あら?ヒカリ、どうしたのよ。そんなに怒って。」
「どうしたのじゃないでしょ、卒業式大変だったんだから。」

ヒカリはプンプンに怒っているようで、顔を真っ赤にしている。その後ろでトウジが、腕
でバツ印を描いているのを見て、レイは、

「ゴメン。お母さんが3年ぶりに来たものだから。」

と謝ると、ヒカリは拍子抜けして、

「お母さんが来てたんだ。しょうがないわね。」

と怒るのを止めてしまった。碇家の家庭の事情をいくらか知っているからなのか、家族に
関る問題にはヒカリはとことん弱かった。

「ごめんなさいね、私が来たから大変だったみたいで。」

ユイが玄関に出てきて、謝ると、かえってヒカリは恐縮してしまったのか、

「いえ、別に構わないです。」

と答える。

「とりあえず、入って。トウジもケンスケも。これで全員よね。あ、ミサト先生は?」
「ああ、一人連れてくる人がいるから遅れる、ってさ。」
「加持君ね。遅くなるだろうから、始めちゃったらどう?」
「そうね。アスカ、お兄ちゃん。準備いい?」

レイが台所に向かって聞くと、奥から、

「いいわよ、いつでもOK。ほら、シンジ、早くしなさいよ。」
「分かってるよ、もう口煩いんだから。」
「何ですってぇっ。」

と口喧嘩が聞こえてくる。それを聞いて、ユイは吹き出し、ヒカリとレイはクスクス笑い、
トウジとケンスケは大笑いしている。それを聞いてアスカとシンジは真っ赤になる。
そして卒業パーティーは始まった。

It continues to the next time







NEXT
ver.-1.00 1998+02/17 公開
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あとがき

BGM:THANATOS-IF CAN'T BE YOURS-

いきなり1年ほど飛ばしてます(^^;
書きたい内容が変化してるのがあります。
生活環境が変化したというのもあります。
それよりも重大なのは、DEATH(TRUE)&REBIRTHを見た事ですね。
あれで一気に醒めてしまいました。
原作に見切りを付けた、って感じですね。

今回は間延びしちゃったかもしれません。
書きたい内容があるんだけど、自分の腕不足で書けない、
というジレンマがあるのかもしれません。

次回からは、高校での話になる、はずです(^^;
飛ばした時期の逸話そのほかについては外伝にしようと思ってます。

あと、「Wedding reception」というSS書こうと思ってます。
内容はタイトル通りです。ベタベタな内容になること請け合いですね(笑)

では、次回で。



 風奈さんの『Declination below adolescence!』第肆話、公開です。



 一気に飛びましたね(^^;



 一年あまりの間に沢山のことがあって、
 みんなの気持ちや関係も色々変遷をえて・・・

 いつの間にやらいい感じ(^^)


 碇家の主婦が帰ってきましたが、
 すでに”主婦”の座はアスカちゃんの物♪



 さあ、訪問者の皆さん。
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