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夢の続き・・・ A-Version
ガバッ!!
アタシは布団を吹っ飛ばすような勢いで眼を醒ました。
胸がドキドキしてる。
何か嬉しいような,楽しいような夢を見ていたような気がしたが,どんな夢だった
のか思い出せない・・・。
ま,いいか。
時計を見ると,まだ7時5分前。いつも起きる時間より30分近く早い。
でも,今日はもう一度寝ようなんて気には,何故かならない。
仕方なく, 部屋のドアを開けて,台所へと向かった。
台所では,シンジが今日のお昼のお弁当の準備をしている。朝御飯の準備は,アタ
シがシャワーを浴びている間にやってしまうから。よく考えるとたいしたものだ。
そんなことを考えながらシンジの背中をボゥッと見ていたら,こっちに気が付いた。
『あ,アスカ,おはよう。』
『お,おはよう,バカシンジ。』
ちょっと,返事がどもってしまった。
あの無邪気な笑顔はくせ者よね・・・。ホントに心の底から微笑んでるって気がす
る。普段はあんなひねくれた根暗な性格のくせに・・・。
あっ,これは言い過ぎか。ゴメンね,シンジ。
『今日は早いんだね,どうしたの?』
シンジは,アタシが考えていることなんか何も知らずに,そんなことを言う。
『べっつに,何となく目が覚めたから。ところで,今日のお弁当のメニューはな
に?』
シンジの手元を覗き込むようにして聞く。
『きょ,今日はアスカの好きな唐揚げだよ。最近,作ってなかったからね。』
シンジのほっぺたが赤い?
ちょ、ちょっと,近寄り過ぎたかしら・・・。
そういえば,まだシャワー浴びてなかったわ。
『ア,アタシ,シャワー浴びてくるわ。』
『えっ,う,うん。あっ,と・・,じゃあ,朝御飯の時間,少し早くした方がいい?』
『そうね・・・シャワーの時間,延ばすから・・・,10分くらいね。』
『わかったよ。』
なんか,はたで聞いていたら夫婦のような会話よね,立場が逆だけど・・・。
さっきの会話を思い出しながら,ふとそんなことを考えて,自分で自分が恥ずかし
くなって,真っ赤になってしまった。
な,なんでアタシとシンジが夫婦になんなくちゃいけないのよっ!
自分で自分に突っ込んでしまう。・・・・なんか,悔しい。
ああっ!!
そ,そういえば・・・・,良く考えてみると,ブラシも入れてなかったし,起き抜
けのままだったじゃないっ!。い,いくらなんでもこれは・・・。
恥ずかしい・・・。シンジにこんな格好,見られるなんて・・・。
そんなことを考えながら,シャワールームへ向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
シャワーから上がってくると,すでにミサトがテーブルについて今日2本目のエビ
チュを飲んでいた。珍しくミサトも自分で目を覚ましたようだ。
『あらぁ,アスカ,今日はどうしたのぉ?こんなに早く起きてるなんて。』
『別になんでもないわ。たまたま眼が覚めちゃっただけ。』
ミサトがちょっと絡んでくるが,別にアタシ自身も不思議に思ってるので,あまり
相手にしない。
『ほんと,いつもこうやって,二人とも自分で起きてくれるとありがたいんですけ
ど・・・。』
シンジが何か言ったようだが,アタシは聞こえないふりをしていた。
『さぁて,今日の朝御飯は,な・に・か・し・ら(はぁと)』
今日の朝御飯は,カリカリのベーコンエッグにレタス中心の生野菜サラダだった。
もちろん,この葛城家の朝はご飯とお味噌汁が中心だ。多数決でそうなったのだ。
べつに,いいけど。ま,アタシも和食は嫌いじゃないし。おいしいから・・・シン
ジの作るのだったら。
そんなこんなで,アタシ達はいつもより10分早くマンションを出た。少し時間に
余裕があるので,アタシもシンジもちょっとのんびりと歩く。
『ねぇ,シンジ。今日もいい天気ね。朝日が気持ちいいわ。』
『そうだね。』
時間に余裕があるせいか,心もちょっと落ち着いた気分になって,会話なんかも,
ちょっとだけなごんだ雰囲気になってる。
あっ,なんか,こんなのも気持ちいいな。
『なんか・・・,こんなのもいいね。』
『えっ?』
シンジの突然の言葉に,びっくりして大袈裟に反応してしまった。
だって,シンジったらアタシの考えてたことと同じこと言うんだもん。
『ゴ,ゴメン。』
んもうっ,なにあやまってんのよっ!
思わず心の中で思ったことが口に出てしまう。
『べ、別に,変なこと言ってないでしょっ!なに,いちいちあやまってんのよ、も
う。』
『う,うん。』
もう,せっかくいい雰囲気だったのに・・・って,シンジといい雰囲気になってど
うすんのよ,アタシは!!
ちょっと顔が赤くなったかもしれない・・・。
シンジ,気付いてないわよね・・・。
チラッとシンジの方を見ると,シンジはまったく違う方向を向いていた。思わずア
タシもシンジの視線の先にあるものを探す。
!!!
ファースト?!
そう,シンジの視線の先には,ファーストがこっちには気付かず歩いている。いや,
気付いたのかも知れないが,こちらを気にもせずにどんどん歩いていく。
何故か,くやしくなって,思わず叫んでしまった。
『バカシンジっ!!なに,ファーストのことボッと見てんのよ!今は,ア・タ・シ
と一緒にいるのよっ!バカにすんじゃないわよ!』
そのまま横にあった公園の中に駆け込んでいく。
なんで,こんな思いしなきゃなんないの?
せっかくいい雰囲気で歩いてたのに・・・。
目元がちょっとゆるんでくる。でも,絶対に泣かない。
泣いたら負けを認めたことになる。
誰に?何に?
良くわかんなかったけど,そう思った。
と,急に右手首を掴まれた。
シンジっ?!
そんな・・・・,こんな簡単に追いつかれるなんて?
いつもと違って,すぐにアタシを追いかけてきたシンジにちょっとビックリして振
り返った。
『アスカ,待ってよ。何,急に怒ってるんだよ。』
『べ,別に怒ってなんかないわよ!』
『僕は,綾波がいたからちょっと見ただけじゃないか。別に,アスカのこと無視し
てたわけじゃないよ。』
『別にファーストなんか関係ないわよっ!』
シンジの手を振りほどこうとして右手を振り回す。
アッ?!
バランスを崩したアタシ達は,絡み合いながら,そばにあった大きな木にぶつかっ
た。
えっ?ちょ,ちょっと,何よこの体勢は?!
アタシは木を背中にしょって,シンジと木との間に挟まっている。
おまけにシンジの両手は,アタシの両側を挟むようにして,木についている。まる
でアタシを口説こうとしているかのように・・・。
『アッ,アスカ・・・』
偶然とはいえ,こんな体勢になったことに,シンジもびびっているようだ。
どうしよう?
あたしが,そう考えたとき・・・・
ちょ,ちょっとバカシンジ!!
いったい,何しようとしてるのよっ!!
シンジは,目を閉じて顔をアタシの顔に近付けてくる。
こ,これって?!
キスしようとしてるの?
バカシンジが?
キャーーーーッ,ちょ,ちょっと・・・どうしよう?!
(この間,約0.4秒)
パンッ!!
無意識のうちに手が出ていた。
『エッチ!痴漢!!変態!!!何考えてんよっ,バカシンジッ!!』
あたしは,思わず,シンジに平手打ちを食らわせていた・・・・・。
ガバッ!!
アタシは布団を吹っ飛ばすような勢いで眼を醒ました。
胸がドキドキしてる。
い,今のは・・・・夢?
ひょっとして,今までの全部?
周りをゆっくりと見渡す。
そう,ここはアタシの部屋。さっきのはやっぱり夢だったんだ・・・。
ホッとしたような,残念なような気持ちになった。
でも・・・。
『シンジがいきなりキスしようとしてくるなんて・・・・。』
思わず言葉にしてしまったことに気付いて,ハッと周りを見回す。
誰も聞いてなかったわよね・・・。
ほぅっと溜息をつく。
やだ・・・,胸がまだドキドキしてる・・・。
『おかしいと思ったのよね・・・。』
あたしはひとりごちた。ふぅ,っと軽く息を吐く。
『思わず,ビンタなんかしちゃったけど・・・・,惜しかったかな。』
って,な,何を言ってんのよっ,アタシはっ!!
浮かんだ妄想を振り払うように,頭をブルブルと振る。
やだっ,まだ胸がドキドキしてる。
気を落ち着かせようと,アタシは時計を見てみる。7時5分前。
『ちぇっ,さっきの夢と同じ時間じゃない。』
もう一度,寝直す気にもなれず,あたしはそのままベッドから起き出し,ダイニン
グキッチンに向かった。
そこにはこれまた夢の通り、というか、それがいつものことなだけなのだが、シン
ジがお昼のお弁当の準備をしていた。
シンジ・・・、あんた、さっきアタシにキスしようとしたのよ、このスケベ!
(夢の中だけど・・・)
背中を向けているシンジをジト目で睨んで,心の中でそっとつぶやく。言いがかり
なのは分かってるけど・・・,そうでも言わないとやってらんないわ。
でも,頬が熱くなってるのはどうしようもなかった。
その時、シンジがくるっとこちらに振り向いた。
突然の動きに、思わず息が止まる。
『あ、アスカ、おはよう。』
夢の中と全く同じ微笑み。
悔しいけど,思わず胸がドキッとしてしまう。それを必死に隠して、さりげなく振
る舞うアタシ。
『お,おはよう,バカシンジ・・・』
あっ,さっきの夢とおんなじ台詞になっちゃった・・・。
シンジの次の言葉は確か・・・。
『今日は早いんだね,どうしたの?』
そうそう・・・。
って,ちがーーーうっ。
うなづいてる場合じゃなくって!
『べ,べっつに,なんでもないわよ!偶然よ,ただの,ぐ・う・ぜ・ん!別に変な
夢,見たからじゃないわよっ!!』
し,しまった・・・。思わず余計なこと言っちゃった?!
『夢?アスカ,なんか変な夢でも見たの?』
なんで,こうゆうときにかぎってそういう鋭い突っ込みをするのよっ,この鈍感,
スケベ男はっ!!
一瞬のうちに,頭にカーッと血が昇るのが分かった。多分,アタシの顔は真っ赤に
なってるだろう。
『べっつに,何も,変な夢なんか,アタシはこれっぽっちも見てないわよ!』
ううっ,なんかいかにも誤魔化してるような言い方だなぁ・・・。
『そ,そんなことはいいから,今日のお弁当のおかずはなんなのよ?』
何とか話題を変えようと,あたしはさりげなく話題を振ったつもりだった。
『きょ,今日はアスカの好きな唐揚げだよ。最近,作ってなかったからね。』
なんでーーーーーっ?!これも夢とおんなじ?!
思わずシンジを見る。
あっ,シンジの顔がちょっと赤い。
あああっっ!!!し,しまった!
シンジの脇からお弁当のおかずを覗き込んだんだけど,アタシの方からシンジに身
を擦り寄せるような体勢になっている。しかも,夢とおんなじで,ブラシも入れて
ない髪に,起き抜けのままの顔・・・。シンジにこんな格好見られるなんて,恥ず
かしいったら・・・。
『ア,アタシ,シャワー浴びてくるわっ。』
慌ててその場から逃げようとするアタシに,シンジが声をかけてくる。
『えっ,う,うん。あっ,と・・,じゃあ,朝御飯の時間,少し早くした方がいい?』
『えっ,じゅ,十分くらいねっ。』
夢の中と同じシンジの問いかけ。
あせっているアタシは,無意識に夢と同じ答えを返してしまう。
『わかったよ。』
シンジの答えも同じだった。
シャワワワーーーーーッ・・・
アタシは,熱いシャワーを頭から浴びながら,ぼんやりと考えていた。
さっきのシンジとのやりとり・・・,台詞がちょっと違ってるけど,基本的には今
朝の夢とほとんど同じ展開だわ。
まさか,この先も・・・?
さっきの夢の最後のシーンを思い出す。
目を閉じたシンジの顔がゆっくりと迫ってくる。
どうしよう・・・,アタシ,どうしよう。
さっきの夢の中では,思わずビンタをしてしまったが,もし,ほんとにそんなこと
になったら・・・。
そこまで考えて,アタシは思考を止めた。
『バカみたい・・・。そんなことあるわけないじゃん。』
ちょっと自嘲気味につぶやく。
心に浮かんだ気持ちは,安堵の思いか苦い思いだったのか,自分でも分からなかっ
た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
シャワーから上がってくると,すでにミサトがテーブルについてエビチュを飲んで
いた。
ぐっ・・・,ミ,ミサトが自分で起きてくるとこまで・・・。
『あらぁ,アスカ,今日はどうしたの?こんなに早く起きてるなんて。』
『ミサトには関係ないでしょ!!アンタこそ今日はなんでもう起きてんのよ!』
思わず,ミサトにきつくあたってしまう。
『んんーーーーっ,なーーんか,目が覚めちゃったのよねぇー。』
アタシの態度をちょっと訝しげに見ながらも,ミサトは大人の余裕で軽くかわす。
『ほんと,いつもこうやって,二人とも自分で起きてくれるとありがたいんですけ
ど・・・。』
シンジの台詞は言う前から予想がついていた。
聞こえないふり,聞こえないふり。
『シンジっ!今日の朝御飯はなに?!』
かわりにアタシは,シンジに向かって,大きな声で今朝のメニューを聞く。
でも,返事なんか待たずに,アタシはテーブルの上を覗き込む。
と,そこには・・・。
たりたりたり・・・・。
背中を一筋の汗が流れ落ちていく・・・。
今日の朝御飯は,カリカリのベーコンエッグにレタス中心の生野菜サラダ・・・。
こ,ここまでくるかぁ・・・。
アタシは暫し,呆然とテーブルに並んだ朝御飯を眺めていた。
してアタシとシンジは,やっぱりいつもより十分早くマンションを出た。
なんでアタシは夢で見たのと同じ行動を取っているんだろう。
このままいったらシンジと・・・・,ってそんなことあるわけないわ。
でも,もしかしたら心の片隅でアタシは期待してるのかもしれない・・・。
『ね,ねぇ,シンジ。今日もいい天気ね・・・。』
ああっ,やっぱりだめ・・・。
夢の中とおんなじ台詞を言おうと思ったけど,下手な役者が台詞を棒読みしてるみた
い。おまけに,台詞が途中で途切れてしまった。
『そ,そうだね。』
シンジの返事もなんか変。アタシも自分の思考に沈み込んでいたから気が付かなか
ったけど,アタシと同じように棒読みの台詞みたい。おまけに,様子もなんだかぎ
こちない。
どうしたんだろう,シンジ・・・。
妙に意識してしまって,会話が途切れた。
これじゃ,夢の中と同じには行かないわね・・・。
心の中を複雑な想いが走り抜ける。
もうやめよう。こんなことして,なんの意味があるの?
シナリオ通りに進めようとするのは,ここでおしまい。
『ね,ねぇ,シンジ。今朝,アタシね,変な夢を・・・』
アタシはこの状態を打ち切ろうと,やや大袈裟に話しかけながらシンジの方を見た。
シンジは前の方を見ている。
まさか・・・。
シンジの視線の先には,やっぱりファーストがいた。
頭にカーッと血が昇る。
(なんでアイツの方を見てるの?!)
夢の中では確かシンジに向かって叫んでいたはずだ。
でも今は頭の中が真っ白になって,声が出てこない。
そのまま身を翻すと,無言でシンジの傍らから走り去る。
そう,シンジはファーストのことが好きなんだ。
今まで,夢の通りにきてたから,ひょっとしたらって期待してた。
でもそれは,シンジとキスすることに対する期待じゃなく,シンジがアタシの方を
見ててくれることに期待してたんだ・・・,夢の中と同じように。
バカみたい,そんなことあるわけないのに・・・。
走りながら,視界がぼやけてくるのを感じた。
頬を何かが滑り落ちていく。でも,アタシの心は,それが何かを理解するのを拒絶
する。
と,次の瞬間,右手首を掴まれていた。
『アスカッ!!待ってよ!』
シンジの声?!なんで?
このタイミングで追いつくには,アタシが身を翻してからすぐに追ってこないと無
理なはずだ。まるでアタシがそうするのを予想してたかのような素早さで,シンジ
はアタシのことを追ってきたことになる。
『な,なんでっ!?』
アタシはそれしか声が出なかった。感情が高ぶって言葉が出ない。
なんでこんなとこまで夢と同じなのっ!?シナリオはまだ続いてるのっ!?
一瞬,呆然としていたアタシだったけど,すぐにシンジに掴まれた右手を振りほど
くように身体をひねる。その反動で,目元から透明な滴が周囲に飛び散った。
『なんでなのよっ!!』
『アスカっ!落ち着いて!別に綾波はなんでもないよっ!!たまたま,歩いてると
ころが目に入っただけだよっ!』
なんで,何も言ってないのに,ファーストのことだって分かるの?
『なっ,なんでファーストがでてくんのよっ!!!』
『だって,アスカ,僕が綾波の方を見てて,アスカの話しを聞いてなかったと思っ
たから,怒ったんだろ?それは違うよ!』
『何が違うのよっ!!』
アタシ達はもつれ合いながら,近くの大きな木にぶつかった。
アタシは木を背中にしょって,シンジと木との間に挟まっている。
シンジの両手は,アタシの両側を挟むようにして,木についている。
ちょ,ちょっとぉ・・・こ,この体勢は・・・・,夢と・・おんなじ・・・。
ハッと思わず息を呑む。シンジもおんなじなのが何故か分かった。
急激に鼓動が高まる。
ちょ,ちょっと待ってよ!ど,どうしよう?
今までの荒れていた感情がおさまり,何かに対する期待感が取って変わりはじめる。
なんで?
アタシは何を期待してるの?!
『アスカ・・・』
シンジがアタシの名前を呼ぶ。それは,初めて聞く,切ないようなシンジの声。
思わず,シンジを見つめた。シンジもアタシを見つめている。
涙で濡れているアタシの蒼い瞳と何かを決意したかのようなシンジの黒い瞳とが
向かい合う。
シンジが目を閉じた。
ゆっくりとその顔が近づいてくる。
アタシの右手は動かない・・・・。
シナリオの最後を決めるのは,アタシの気持ち次第。
アタシはそのまま,ゆっくりと目を閉じた・・・。
『アスカ・・・』
その声に目を開けると,そこには,ちょっとすまなそうなシンジの顔。
・・・。なに,そんな顔してんのよっ!!
このアタシとキスしたのよっ!!もっと嬉しそうな顔しなさいよっ!!
心の中ではそう叫んでいるが,言葉には出さない。
代わりにアタシはシンジに向かってニッコリ微笑んだ。
『ほらぁ,バカシンジっ!!早くしないと学校に遅れるわよっ!!』
そう言って,アタシはパッと身を翻すと,シンジの腕をすり抜けて公園の出口に向
かって走り出した。
『ちょっ・・,ま,待ってよ,アスカぁ!』
シンジがちょっと情けない声を出して追いかけてくる。
まっ,今日のところはここまでね。
口の中でひとりごちる。
シナリオはラストシーンを書き換えられて,ハッピーエンドで終わった。
ここまではシナリオに振り回されちゃったけど・・・,もうそんなのはない。
『さぁっ,こっからはアドリブよっ!』
青い空の下,朝のさわやかな空気に包まれた公園の中に,アタシの声が響きわたっ
た。
終
あとがき
最近,私も含めてますます多くの人達がSSを書くようになってきていて,いろいろ読んで廻っているうちにどれだどれだったか分からなくなって,頭がパニくってる様な状況です。それとともに,作品を書く時もなるべく人とは違った面を持たせようと思ううちに,変に技巧に走ったり,話しが妙な方向に向かってって,当初の純粋さが失われているような気がします。
今回も,なんか,中途半端だなぁ。反省,反省。
次は,少し初心に返って,純粋にLASな作品を書いてみたいなぁ,なんて思う今日この頃でした。
ぜんさんの『夢の続き・・・』A-Version、公開です。
夢で見たキスシーン。
起きてから、
その夢と同じように流れる現実・・・
驚きながらも、
戸惑いながらも、
同じ結末−シンジとのキスシーン−に
いこうとするアスカちゃん・・・
ドキドキですね(^^)
アスカちゃん本人もドキドキ、
一緒にいるシンジくんもドキドキ、
それを見ている私もドキドキ(^^;
そう、シンジくんもドキドキしていましたよね。
同じ夢を見ていたのかな?
S-Version も読まなくっちゃ(^^)
さあ、訪問者の皆さん。
ぜんさんに感想メールを送りましょう!
今でなくても、S-Versionを読んでからでもいいよ〜ん(^^)
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