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『EVANGELION SIN』

1.SIN



 

第三新東京市ジオフロント内NERV本部

『タン!タ、タタタタっ』
廊下にサブマシンガンの銃声が響く。目標は銃弾に当ることなく、曲がり角の向こうに消える。
「はい、了解しました。」
SMGを発砲した兵士が、通信を終えた仲間に話し掛ける。
「下は何て言ってる?」
「進入者を捕縛しろだと」
「………まさか進入を許すとは、下の連中も思ってなかったみたいだな」
「ああ…いくぞ」
「了解」
二人は目標を追跡しはじめる。

「失敗か…。ガードを甘く見ていたな」
少年はそう呟きながら、廊下を走る。
「いたぞ!」
前方から兵士たちの声が響く。
少年は一瞬のうちに右に進路を変える。兵士たちはその素早い行動に反応できず、少年を取り逃がす。
「なっ!追うぞ」
兵士たちは少年を追い、左へと角を曲がる。
『ドオオオン!』
兵士たちの足元でスタングレネードが爆発する。その音と光で兵士たちは昏倒した。
少年はそれを確認することなく、走り去る。
「こちらSIN、任務失敗。撤退する」
少年は左腕の超小型端末(腕時計サイズ)を使い仲間と連絡をとる。
『了解、ダミーを流すが相手はMAGIだ。数秒も持たない』
端末からはマシンボイスが流れる。暗号通信による音声変換のためか?
「十分だ」
少年は簡潔に連絡を終える。この間、少年は走り続けていた。  

特務機関NERV司令塔

「状況は」
赤木リツコ博士は傍らの作戦部長葛城ミサトに声をかける。
「遅かったじゃない」
ミサトはリツコの顔を見る。ちょっと機嫌が悪そうだ。
「マヤ」
その言葉を無視し、オペレータの伊吹マヤに話し掛ける。
「はい、進入者はMAGI管理下のデータベースにハッキングをかけ、情報を引き出そうとしましたが、ガードプログラムによりそれを阻止され、現在は逃走中です」
マヤは振り向くことなく説明する。モニタには逐次情報が表示されている。
「何だってまた、こんなとこまできてDBにハックしようとしたのかしら?」
ミサトは何気なく口に出す。リツコはミサトの顔を覗き込む。……その顔は本当に疑問に思っているようだ。
「ミサト。そのDBは外部からのアクセスは理論的に無理なのよ」
リツコは頭を軽く左右に振りながらミサトに説明する。
「へ?」
きょとんとした顔でリツコの方へ顔を向けるミサト。
「前にも説明したはずよ。外部からアクセスをしようとするならMAGIを通さずにはできないわ。それにMAGIにハッキングするにはMAGIクラスのコンピュータが必要よ」
ジト目でミサトをみるリツコ。
「あらそうだったの。そーいえばそーいうこと説明されたような気が………」
右手の人差し指をこめかみに当て考え込むミサト。
「クスクス」
マヤはその様子をみて小さく笑う。
「まったく」
呆れ返っているリツコ。
「あははははは」
乾いた笑いを見せるミサト。
「あっ!」
そのちょっとした油断でダミープログラムがマギを支配する。しかしものの数秒でDPを排除するMAGI。
「進入者をLOSTしました」
マヤは口惜しそうに状況を報告する。
「あちゃあ」
大袈裟に嘆いて見せるミサト。
「ミサト。誰のせいだとおもっているの?」
「私のせいだというのリツコ?」
「そうよ」
その簡単な一言でミサトを封じ込めるリツコ。この二人はいつもこうだ。
 

T−32通路出口付近

少年は外部からの援護もあってか追手を振り切り,後はこの奥の出口へと進むだけだった。
「ん?」
少年は通路前方に人影を発見する。
人影は少女だ。髪は青みがかかってショートのシャギー。肌の色は透き通るほど白い。目の色は赤。吸い込まれそうなぐらいの神秘的な目をしている。しかしその表情は無機質でなにも表していない。
「あなたは誰?」
少年と少女は出会った。
 

NERV指令塔

「そうだ。マヤ。レイを探してくんない」
「はい」
マヤはコンソールを操作しはじめる。
「あらどうしたの?」
「ん、ちょっちね。いっしょに帰ろうって約束してたのよねえ。はああ」
ため息をつくミサト。
「そうね.今日はあなた帰れそうにないわね」
「でしょ、先に帰ってもらおうと思って。あっそうそう、マヤ。あの娘に料理を教えてくれてるんですって」
「はい。葛城さんと同居するなら料理ぐらいできたほうがいいかと」
「賢明な判断よ。マヤ」
「ちょっと、どういう意味よ」
「あら知りたい?」
リツコは意地悪そうな笑いを浮かべ、ミサトに聞き返す。
「ちっ」
ミサトは舌打ちで答える。
「見つかりました。レイはT−32通路出口付近にいます」
「何だってそんなところに?」
ミサトは首を傾げる。
「そこは緊急時用の出口ね。普段は使われていないはずよ」
「あれ、レイといっしょに誰かいます」
ミサトとリツコは顔を見合わせるとユニゾンしてマヤに命令を出す。
「「その場所の映像と音声を」」
「はい!」
『あなたは誰?』
ちょうど少年と少女のであった場面であった。
「マヤ、保安部に連絡。進入者を発見。ただちに綾波レイを保護、進入者の拘束をよ…」
「いまやってます」
ミサトは二人の行動が目に入っていないようだ。ミサトの目はモニタの少年に向けられていた。
「あの子、SIN…」
 

Tー32通路出口付近

「あなたは誰?」
少女綾波レイは少年にたずねる。少年は何も答えない。答えられない。少年の知っている、もう少年のそばにいない人の声とその人のはじめて聞いた言葉と同じであったからだ。
「マナ……」
少年はレイに呼びかける。
「違うわ。私は綾波レイ」
少年の間違った呼びかけを否定するレイ。
「ごめん」
少年は素直に謝る。ここにきて少年の少年らしい一面を見せる。
「………………」
「………………」
沈黙が続く。
『この人は誰? 知らない。でも知っているような気がする』
レイは少年見る。無表情で無愛想。この言葉が一番似合う。その瞳から強い意志を感じる。誰にも媚びず、自らの意志ですべてを決める意志の強さが。
『無表情。それは私も同じ。でも違う。私は知らない。この人は知っている。でも隠している』
レイは少年を見つめる。
「いたぞ!」
少年の背後から声が聞こえる保安部の兵士が駆けつけてきたのだ。少年はレイの横をすり抜けて走り去ろうとする。
「よせ!ファーストチルドレンに当る!」
制止の声もむなしく、焦った兵士が銃を撃ってしまう。
少年は見えてしまった。弾道は自分ではなく、そばにいる少女綾波レイに向かっていることを。次の瞬間弾道上に自分の左腕を出していた。
「ドスッ!」
弾丸は上腕部に当たりそこで止まった。貫通はしなかった。レイに当たることはなかった。
「血」
レイは少年の弾痕から流れ出る血に反応する。ポケットからハンカチを取り出し傷口に巻く。ハンカチはあっという間に赤く血に染まる。兵士たちは遠巻きに見ている。
「止まらない」
レイはハンカチぐらいでは止まらないことを悟るとスカートのすそを破ろうとする。
「ありがとう」
少年はレイを制しハンカチの礼を述べると出口へ走り去る。兵士たちは呆然と見ている。
それに気づき後を追おうとすると、
『深追いはいいわ。それよりもレイを保護して』
ミサトが兵士たちを引き止める。
「あなたは誰?」
レイは少年の走り去った方へつぶやく。
 

明後日 一中、2年A組

明後日レイは学校に来ていた。あの少年の行方は分からないと同居人の葛城ミサトは教えてくれる。
『なぜ気になるの? わからない……』
担任の老教師が教室に入ってくる。
「起立、礼、着席」
委員長の号令のもと教師への礼が行われる。
「えーー、今日は転入生を紹介します。入ってきなさい」
レイはそのことに興味がないのか窓の外を見ている。クラスメイトはざわつき始めているが。
「じゃあ自己紹介をしてください」
「碇シンジです」
『えっ』
レイはその声に聞き覚えがあった。あの少年の声だ。レイは転入生の方へ顔を向ける。

少年と少女は再びであった。  

 

第一話『SIN』終り
 

第二話『REI』続く

 

 


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ver.-1.00 1997-10/28公開
ご意見・ご感想は takasan@mail.interq.or.jpまで!!

後書き
疲れた。これを書いている時刻は午前4:35。明日も仕事だっていうのに……。
あっ、はじめましてタカといいます。
はじめての投稿がこのお話です。
しかし結構、話が強引かな。
文才がないのが口惜しい。
これが現時点のタカの実力です。
読んでみてさい。
批判してください。
どんなものでもいいですからメールをまってます。

E−Mail; takasan@mail.interq.or.jp


 めぞん通算84人目、
 真新しい四号館2人目の御入居者です(^^)

 ある意味参号館よりも縁起の悪い四号館も順調に埋まっていきます(^^)/
 

 タカさん、
 ようこそめぞんへ(^^)/

 

 

 

 NERVに進入し、
 レイと出会った少年・・。

 SINと名乗り、
 リツコとマヤの手から逃れた・・。
 

 これがシンジなんですね。

 

 いや本当に、
 リツコxマヤxMAGIのチームから逃げるとはやりますね!

 

 

 学校で再び出会ったシンジとレイ。
 どうなるんでしょうか?(^^)

 

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 タカさんにメールを送りましょうね!


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