「ただいまー。」
「お帰りなさい、ミサトさん。御飯できてますよ。」
「うーん、おいしそうねぇ。いただきまーす。」
そういうと、ミサトはテーブルについた。
手にはきちんとビールを握っている。
「あれ、このから揚げ、ちょっち小さくない?」
「ああ、それは軟骨のピリカラ揚げです。ビールによく合うってテレビでやってたんですよ。」
「ふぉんとー、ふぉいしー。」
「口の中に物を入れたまましゃべらないで下さいよ。」
「ところで、シンちゃん、明日暇?」
「明日は、塔乗訓練も休みですから、朧先生のとこで鍛練をするつもりですけど。」
「その予定、キャンセル掛けてくれない?」
「いいですけど。何かあるんですか?」
「セカンドチルドレンがドイツから、来るのよ。そのお出迎え。」
「そのあいだに使徒が来たら?」
「レイが残るわ。」
「レイに押し付けて、遊びにいくってのは・・・。」
「遊びに行くんじゃないのよ、これは。」
「でも…。」
「もしも、使徒が現れても、ヘリで戻れば間に合うって。レイを信用しなさい。」
「そうですね、信用してあげなくちゃ駄目ですね。」
「そうそう、優君とジャン君も誘うといいわ。」
「………やっぱり、いいのかな。」
翌日、シンジ達4人は太平洋上空を飛ぶ、ヘリの中にいた。
「そういや、シンちゃん達って、ヘリの操縦できるの?」
「僕は、出来ますよ。COSMOSでやらされましたから。」
「俺も、シンジと同じだ。」
「俺は、できない。」
「ミサトさんは?」
「一応訓練は受けたわよ。」
そんな雑談を交わしている内に、艦隊が眼下に現れてきた。
「古い。」
「オンボロ。」
「よく浮いてますね。」
「まぁまぁ、そういわないの。お金が無いんだからしょうがないじゃない。」
4人とも、UN軍の艦隊を言いたい放題である。
船の上では、二人の少女がそれが下りてくるのを見上げていた。
二人の目の前に、ヘリコプターが着艦した。
中から、人が降りてくる。
「Hello Misato!元気にしてた?」
「やっほー。優ちゃん、元気ぃ?」
「まあね、アスカも芳乃も元気みたいね。」
「何で、お前がこんなとこにいるんだよ。」
「あら、アスカの護衛の私が、アスカと一緒に来こするのは当然じゃないの?」
「………そうだった。」
「ところで、ミサト、サードってのはこの子?」
アスカはそういって、シンジの前に立つ。
まぁ、芳乃が優を名前で呼んだら、残るのはジャンとシンジ、片方は日本人じゃないから推測は簡単だったのだろう。
「そうよ。」
「ふーん、まぁまぁね。」
「彼女が、セカンドチルドレン、ですか?」
「そうよ、シンちゃん。」
「しっかし、スプリガン二人が護衛とは、サードはよほど重要人物なのね。」
ミサトは笑うだけで、否定はしなかった
頭の中では先日の事が思い出されていた。
―――数日前―――
「ミサト、なにしてるの?」
「あ、リツコ。保護者として、シンちゃんの状態を把握…」
「又、シンジ君の訓練を覗き見してたのね。」
「ところで、リツコ。シンちゃんのボディーガード、そろそろ必要ないと思わない?」
「必要よ。」
「なんで?うちの保安部のものよりもシンちゃんの方が強いわよ。」
「それを知ってるのは、訓練やってる当事者達と、私とミサト、それに指令と副司令ぐらいのものよ。
外部の、チルドレンをねらう組織にはシンジ君の能力が知られない方がいいわ。」
「なーる、カモフラージュのためね。」
「(こんなとこで、いったら何処からもれるかわかんないし)世界に三人しかいないチルドレンよ。全員重要人物よ。」
「あーら、私にはスプリガンになれなかったの一人しか付けてくんなかったくせに。」
「芳乃さんの所属はNERVよ。スプリガンはAEのS級特殊工作員のことよ。所属が違うだけよ。」
「まぁ、確かに芳乃は実力的にはスプリガンになれるぐらいの力はあるが、無理だろうな。」
「なんでよ、優ちゃん。」
「お前、金に弱いだろ。だからだよ。」
和やか(?)な雰囲気のまま、彼らは場所を移した。
―――空母の艦橋。
「おやおや、ボーイスカウトのお姉さんかと思っていたが、どうやら違ったようだ。」
いやみたっぷりに言う艦長。
「ご理解いただけて、幸いですわ。」
ところがミサトはその程度のいやみには慣れっこのようだ。
「いやいや、子供たちのお守りなんてめったにする機会が無いからね。珍しい体験ができて幸せだよ。」
この皮肉も完璧に無視するミサト。
「このたびはEVA弐号機の輸送援助、ありがとうございます。」
「いつから我々は宅配業を始めたのかね?」
「某組織ができてから、だったと記憶していますが。」
「おもちゃ一つ運ぶのに、たいそうな護衛だよ。太平洋艦隊勢揃いだからな。」
「EVAの重要度を考えると、こんなインパクト前の遺物では役者不足ですが。では、この書類にサインを。」
「まだだ。エヴァンゲリオン弐号機、および同操縦者はドイツのNERV第三支部より、本艦隊が預かっている。君らの勝手は許さん。」
「では、引き渡しはいつになりますか?」
「新横須賀に陸揚げしてからになります。」
「海の上は我々の管轄だ。黙って従ってもらおう。」
「分かりました。ただし有事の際は、我々NERVの指揮権が最優先である事をお忘れなく。」
珍しく凛々しい、ミサト。
「あんな凛々しいミサトさん、珍しい。」
「そうか?NERVにいる時のミサトさんって結構凛々しいぞ。」
「シンジの前だと、ミサトさんも肩を張らずに済むって事さ。家族として認められてるんだよ。」
「よ、相変らず凛々しいな。」
入り口から顔を出した男が言う。
「「加持さんっ。」」
「ゲッ。」
嬉しそうな芳乃とアスカ、対照的に驚いているミサト。
「加地君、君をブリッジに招待した覚えはないぞ。」
「それは失礼。」
「では、新横須賀港までの輸送をよろしく。」
7人は部屋を出ていった。
「クソ、子供が世界を救うというのか。あんな子供が。」
「時代が変ったんですよ。議会もあのロボットに期待していると聞いてます。」
「あんなオモチャにか?そういう事は我々軍人に任せておけばいいのだ。」
―――空母内、士官食堂。
「なんであんたがここにいるのよ!」
「アスカの随伴でね。ドイツから出張さ。」
「………うかつだったわ………十分考えられる事態だったのに。」
「ところで、今、付き合ってるやついる?」
「それがあなたに何の関係あるわけ?」
「あれ?つれないなぁ。ところで、シンジ君。君は葛城と同居してるんだって?」
「ええ、そうですけど。」
「彼女の寝相の悪さ、直ってる?」
おもいっきし衝撃を受けるアスカと芳乃。
平然としているシンジ等3人。
慌てるミサト。
「な、な、何を言ってるのよ!?」
「さぁ、ミサトさんの部屋ってあまりにも凄くて入る気にもなりませんから。」
「……あいかわらずか。」
「昔からだったんですか。」
「ところで、さっき君達は驚かなかったけど?」
「噂を聞いてましたから。ミサトさんにはナイトがいるって。」
「……リツコね、帰ったら覚えてなさい。」
「はっはっは、そうだったのか。俺も有名になったもんだ。シンジ君、俺も、君の噂を聞いているよ。」
「どういう噂です?」
「EVA初号機を何の訓練も無しに実戦で動かした事とか数々の武勇伝とかをね。」
「「!!!」」
アスカは驚愕した。
自分が散々努力した結果やっと乗れた物を何の訓練も無しに乗ったという事を聞いて。
芳乃もアスカの事を知っていただけに驚いた。
しかし、シンジはその部分でなく言葉の後半に気がついた。
『数々の武勇伝』という言葉に。
この言葉から加持が自分のスプリガンと同等の能力を知っている事を知った。
「望んで手に入れた能力(ちから)じゃないですよ。普通の人からどんどん離れていく自分が恐く感じています。今はこの能力が役に立っているからいいですけど、必要なくなった時、周囲の人々が自分をどう見るか、考えるのが恐いです。」
「そうだな、人は強すぎる力を恐れ、排除しようとするからな。でも、その時は俺達が全力で守るから、心配するな。」
「どうだった?碇シンジ君は?」
「なかなか面白そうなこね。でも、暗いわね。」
「しょうがないさ。彼のこれまでの経験を考えたらな。」
「これまでのって、何があったの?」
「ごめんな、アスカ。守秘義務でアスカに教えられないんだ。」
「ならしょうがないわね。(今度直接聞いてやればいいわ。)」
「噂どうりの人だったな、加地さんって。」
「そうだな、シンジ。」
「ところで、優は何処いったのか知らない?ジャン。」
「ほっとけ。どうせ、芳乃とじゃれてるんだろ。」
「あら、芳乃とあの御神苗優っての、そんな関係だったの?」
いきなりアスカが出てきた。
「いきなりでてくんなよ。驚いただろうが。」
ジャンが食って掛かる。
「あんたに用はないの。私が用があるのはあんたよ。ちょっと来て。」
そういって、アスカがシンジを引っ張っていった。
「どうせ、俺はこんな役目さ。」
残ったのはいじけているジャンだけであった。
―――EVA弐号機輸送用改造タンカー。
格納庫の中に人影が二つ現れた。
「へー、弐号機って赤いんだ。」
「違うのはカラーリングだけじゃないわ。あなたたちの零号機や初号機と違ってこれは最初から実戦用として作られたのよ。」
「ところで、惣流さんって何でEVAに乗れるの?」
「えっ、なんでって。」
その時、激しい爆発音がし、船がゆれた。
バランスを崩したアスカはシンジの胸に倒れ込んだ。
「何?爆発?」
「あの、惣流さん?この格好……。」
シンジのその声で自分が今どんな状態かやっと気付いたアスカ。
「は、放しなさいよ。ったく…。」
顔を真っ赤にしながらシンジから離れるアスカ。
「使徒だな。」
「何の証拠があるって言うのよ。」
「NERVに攻撃を加えるだけの力と度胸のある組織は何処にも無い。」
少し前に自分にちょっかいを出してきた奴らがいたことは忘れたようである。
そう言いつつ、二人は窓から外の様子を見る。
「とりあえず、ミサトさんと連絡を取らないと。」
「チャーンス!」
―――艦橋。
「撃てっ、ありったけの魚雷をぶち込め。」
「無駄な事を。」
「この程度じゃATフィールドは破れないか。」
「でも、なんで使徒がここに?弐号機かしら?まぁいいわ。ところで艦長、対使徒用の知識要らない?」
「まだそうと決まったわけではない!」
「ねぇ、何やってるの?」
「あんたバカぁ?プラグスーツを着てるのに決まってるじゃない。あんたも着なさいよ。」
「え、なんで?」
「あんたも来るの。特等席から私の華麗な操縦を見せてあげるわ。」
「でも、僕のプラグスーツは……。」
「しょうがないわね。これ着なさい。」
アスカはそういってシンジに自分の予備のプラグスーツをなげた。
しょうがなくそれを着るシンジ。
「指令、使徒が現れるなんて聞いていませんよ。」
『そのための弐号機だ問題ない。』
「予想していたってわけですか。」
『いざとなったら君だけでも脱出するんだ。』
「わかりました。いざとなったら私だけでも体一つで脱出します。」
『訂正する。いざとなったら荷物だけでも脱出させろ。』
「了解。」
―――弐号機、エントリープラグ。
「LCL注水。」
その中にいるのはアスカとシンジ。
エントリープラグにLCLが注ぎ込まれていく。
「LCL満水。機動スタート。神経接続開始。圧着ロック解除。シンクロスタート。」
モニターが点灯する。
「バグだ。どうしたの?」
「思考ノイズ!あんた日本語で考えてるでしょ。ドイツ語で考えてよ。」
「分かったよ。ドイツ語でいいんだね。」
「そ、それでいいのよ。EVA弐号機、起動。」
「オセローより入電。エヴァンゲリオン弐号機、起動中。」
「何だと!!」
「ナイス!アスカ!」
タンカーの天井が破られ、赤い巨人が姿をあらわす。
「いかん!起動中止だ。元に戻せ。」
「やっちゃっていいわよ、アスカ。」
「なんだと。あれは我々の管轄下だ。勝手は許さん。」
「それに、弐号機はB型装備のままです。」
『うるさいわねぇ、どうでもいいから。アンビリカル・ケーブルの準備しといてよ。』
「OK!この艦の甲板にあるわよ。かってに持ってちゃっていいから。」
『あのー、ミサトさん。武器は何がありますか?』
「シンちゃんも乗ってるの?」
『アスカに無理矢理乗せられたんですよ。』
「まぁいいわ。武器はプログレッシブナイフだけよ。」
『分かりました。それと、MAGIに敵のコアの位置を算出させてください。』
「リツコにデータを送るわ。」
弐号機はシンジとミサトのそんな会話の最中に、いわゆる「八艘飛び」によってミサト達のいる空母へと近付いてくる。
空母に着艦した弐号機はケーブルの接続をすばやくする。
そして、使徒と戦うために手ごろな艦に着艦しようとする。
しかし、着艦する寸前その間に使徒の攻撃により海の中に沈んでいく。
「や、やば。」
「しょうがない。」
足場の無い弐号機は海におっこちると思われたが海面より下に沈む事はなかった。
「な、なんで?」
「僕がATフィールドをはった。」
『シンちゃん。コアの位置が分かったわ。沈んでいく船の通信映像の中にあったわ。使徒の口の中よ。』
「分かりました。」
「口の中ね。サンキュ、ミサト。」
次の瞬間、使徒が弐号機を食おうと口を開けて近付いてきた。
「ナイスタイミング!」
弐号機は使徒の口の中へと飛び込んだ。
「あれね、コアは。」
弐号機が使徒のコアにナイフで切りかかる。
しかし、ナイフはコアまで届かない。
手前の空間に赤い壁が現れて弐号機の邪魔をする。
「こ、これが………。」
「そう、ATフィールド。僕が展開して中和するからその間に攻撃して。」
「わかったわ。」
シンジが集中するにつれて、弐号機の前方にある赤い壁が薄くなってきた。
アスカの後ろから覆い被さるようにして手を重ねるシンジ。
アスカの顔が少し赤くなっている。
「惣流さん、ATフィールドの展開を感覚的につかんで。次からは自分の力ではれるように。」
うなずくアスカ。
そして、使徒のATフィールドが消えた。
弐号機のナイフがコアにひびを作る。
コアの色が急に変った。
「やばいっ。」
シンジが手に力を込める。
次の瞬間、使徒が爆発した。
「爆発した?弐号機は?シンちゃんは?アスカは?」
「センサーが爆発の影響でまだ働きません。」
『ミサト、生きてるわよ。でも、シンジが。』
「急いで浮上しなさい。さっきの爆発でケーブルが切断されたわ。一応予備のケーブルを海中に投下するわ。それを捕まえて。」
『わかったわ。』
アスカはセンサーを便りに予備のケーブルを見つけ、弐号機につなげた。
その後、ミサトがケーブルを巻き取って弐号機を回収した。
シンジは爆発の時にATフィールドをはるのに力を使いすぎて気を失っているだけだった。
―――NERV、司令室。
「いやはや、波乱に満ちた船旅でしたよ。やはりこれのせいですか?」
そういって、トランクの中の物を取り出す加持。
「ここまで復元されてます。硬化ベークライトで固めてありますが生きています。間違いなく。人類補完計画の要ですね。」
「そうだ、最初の使徒アダムだよ。」
―――学校。
「芳乃が今日転校してくるんだって、優。」
「らしいな。」
「あの、アスカって子はどうするんだろう?」
「大学を出てるそうだからNERVの技術部にでも所属するんじゃないのか?」
そんな会話を交わしていると、ドアが開いて先生が入ってきた。
二人の少女と一緒に。
黒板に書かれた、転入生の名前。
『惣流・アスカ・ラングレー』
『染井芳乃』
「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく。」
「染井芳乃です。よろしく。」
注:斜体の文字はドイツ語と理解してください。
Asuka(以下A):やっと書き終わったわね。アホ作者。
Kaz(以下K):「アホ」って、アスカちゃんの使うのは「馬鹿」じゃ?
A:それはシンジ用なの。
K:はぁ、まぁ、いいですけど。
A:それよりも。あんた。この駄作の続きがいつになるのかわからないそうじゃない。
K:はい。今度バイトを始めたから書く時間が無くなるかもしれないんです。
A:会員制に投稿はしたくせに。
K:メールでうっかり「書くつもりです」って言っちゃったんですよ。90万HIT用ですからまだUPされてないみたいですけど(11/3現在)。
A:どうでもいいけど、頑張って続きを書きなさいよ。
K:はい。とりあえず今の目標は「P−31」さんを抜く事です。
A:次はユニゾンなんだから。
K:普通にいったら面白くないから一捻り入れるかもしれません。
A:そういえば、シンジには能力が付加されているのに、私にはないの?
K:かんがえたんですよ、それも。「風神・雷神」を使えるようにしようかとも思ったんですけど。
A:もとねた何?それ。
K:これ以上、他のアニメを持ってこないって宣言しちゃったもんで…。
A:あんたいっつもそればっかりね。口を滑らせて後で後悔するってパターン。
K:………LASにするつもりだったけどLRSにしようかな。
A:命が惜しくないからそんなことを言うのよね。
K:…やば。あのボタンを。
Kazがボタンを押すと床に穴が空いた。
そして、人影がその中に落ちていった。
A:ちっ、逃げたか、まぁいいわ。では次回をお楽しみに(しているやつなんていないに決まってるわね)。
Kazさんの『His Past Record.』第八話、公開です。
ふと気がついたんだけど・・・
嘘。
前から気がついていたんだけど。
めぞんで今連載更新中の”本編再構築系”は、
『アスカ襲来』あたりが多いですよね。
3つ、4つ、・・・5つくらいあるかしらん?
あ、Kazさんも気がついていたんだね(^^;
Kazさんバージョンは
「スプリガンキャラが出ているの」
ってかんじで覚えていますです(^^)
いや、じつは、スプリガンはあんまり知らないんですが(^^;
増刊サンデー(こんな雑誌名だったっけ?自信なし)で
連載されていた初めのころは読んでいたんですが・・
細かいところまでは覚えていないのさ・・ (;;)
芳乃もそこからなのかな?
キッチリ倒せて良かったよね。
戦艦2隻も無事だし♪
さあ、訪問者の皆さん。
P−31さんと競争する(爆)Kazさんに感想メールを送りましょう!