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「ここは?」

 

―――シンジ―――

 

「母さん?」

 

―――そうよ、シンジ、大きくなったのね―――

 

「初号機に食われたんじゃ?」

 

―――いいえ、私は初号機の中にいます―――

 

「なんで?帰って来てよ。」

 

―――それはできないの―――

 

「なんで?」

 

―――シンジ、あなたが初号機に乗れるのは何故か知ってる?―――

 

「さぁ。」

 

―――私が初号機の中にいるからよ―――

―――私がここから出ると、あなたが乗れなくなる―――

 

「EVAになんか乗れなくってもいい!!帰って来てよ。母さん。」

 

―――あなたが初号機に乗れなくなると、使徒を倒す者がいなくなる―――

―――サードインパクトが起こってしまう―――

―――人類が滅びる―――

 

「じゃあ、何故母さんなのさ?」

 

―――私が作ったから―――

 

「じゃあ、使徒を全部倒したら………。」

 

―――その時は、私はシンジの元に戻れる―――

 

「全部倒せばいいんだね。」

 

―――でも、そのためにはATフィールドが必要―――

 

「僕は使えない。」

 

―――使い方を知らないだけ―――

―――教えてあげる―――

―――ATフィールド―――

―――EVA―――

―――使徒―――

―――死海文書―――

―――裏死海文書―――

―――SEELE―――

―――私の知っていること―――

 

「母さん、綾波レイの事を教えて。」

 

―――好きになったの?―――

 

「わからない。でもほっとけない。妹みたいな気がする。」

 

―――そうよ、綾波レイはあなたの妹―――

 

「でも………。」

 

―――私の娘―――

―――可愛がってあげてね。シンジ―――

―――あの娘はEVAに乗るために―――

―――遺伝子をいじくられた―――

―――感情を殺された―――

―――可哀相な娘―――

―――感情をあげて―――

―――おねがい―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目が覚めましたか?」

「うーん。ここは?」

「病院です。」

病院のベッドに横たわっているシンジ。

側に立っているレイ。

「そうか、僕はあの時、使徒に撃たれて………。使徒はどうなった。」

「ドリルで穴を掘ってます。本部に直接攻撃をしかけるつもりだそうです。」

「あの使徒を倒す作戦はできたの?」

「ヤシマ作戦。陽電子砲でのATフィールド一点突破です。」

「……大胆な作戦だね。」

「葛城一尉の立案です。明日午前0時よりの作戦開始です。」

「分かった。」

「ところで、碇さん、お腹すいていませんか?」

「ああ、そういえば、少し。」

「食事もってきます。」

「レイは食べたの?」

「私は………。」

「まだなら一緒に食べようか?」

「……はい。」

病室のほのぼのとした雰囲気が広がる。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、シンちゃん、レイ、作戦を確認します。」

「確認って………陽電子砲を使うって事しか聞いてないんですけど……。」

「うるさいわね。」

「第一こんな野戦向きじゃない兵器、役に立つんですか?」

「仕方ないわよ。間に合わせなんだから。」

「大丈夫ですか?」

「理論上わね。」

「理論上、はれるものをまだ誰もはった事がないって実例もありますけどね。」

「…………………………。」

「えっと、本作戦における各担当を伝達します。シンジ君、」

「話を変えましたね。」

「初号機で砲手を担当。」

「いいですけどね。」

「レイは、零号機で防御を担当。」

「分かりました。」

「これはシンジ君と初号機とのシンクロ率の方が高いからよ。今回の作戦ではより精度の高いオペレーションが必要なの。陽電子は地球の自転、磁場、重力の影響を受け、直進しません。その誤差を修正するの、忘れないで。正確にコア一点を貫いてね。」

「それはいいですけど。もし外れて、敵が打ち返してきたらどうするんですか?」

「そのためにレイに防御をさせているわ。SSTOの底部を利用して作った物なんだけど、あの砲撃に17秒はもつわ。」

「さっきみたいな、計算違いは止めてくださいね。」

「あの使徒がさっきの攻撃で手加減をしてなければ大丈夫よ。」

「大丈夫、碇さん。私が必ず守ります。」

「………レイちゃんの事を心配してるんだけど。」

「私は………大丈夫です。」

 

 

 

EVAの塔乗タラップで待機している二人。

「レイちゃんは何故これに乗るの?」

「絆だから。」

「絆?」

「そう。指令との、碇さんとの、みんなとの。」

「……そうか。」

「私には、他に何もないもの。」

「何もないって…。」

「時間よ。いきましょう。」

 

 

 

『作戦、開始します。』

『シンちゃん、日本中の電気、あなたに預けるわ。がんばってね。』

「はい。」

『第一次接続開始。』

『第1から第803区まで送電開始。』

『電圧上昇、圧力限界へ。』

『全冷却システム、出力最大へ。』

『陽電子流入、順調なり。』

接続作業が次々に進んでいく。

『第2次接続。』

『加速器、運転開始。』

『第3次接続、完了。』

『全電力、ポジトロンライフルへ。』

『最終安全装置、解除。』

『撃鉄、起こせ。』

ライフルの安全装置が「安」から「火」に変わり、撃鉄が上がる。

プラグ内のシンジの目の前で、マークが次々にそろっていく。

『地球自転誤差修正、プラス0.0009。』

『電圧、発射点へ上昇中。あと15秒。』

『13、12、11、10、9、8、7、6、………』

『目標に高エネルギー反応!!』

『なんですって!』

その時、シンジの目の前で全てのマークが揃った。

『発射っ!』

ミサトの声が響く。

シンジがトリガーを引く。

8本のプラズマが送電プラグを伝って、ライフルに集まる。

使徒とEVA、同時に発射した。

すれ違いざまに相互に干渉しあう。

結果、干渉点のすぐ側に2本の火柱が立つ。

『ミスった!』

『敵シールド、ジオフロントへ侵入!』

『再装填、急いで!』

『再充電開始。あと19秒。』

『目標に再び高エネルギー反応!』

『まずいっ!』

発射する使徒。

『シンちゃん!』

使徒の発射したエネルギーが初号機を襲おうとする。

しかし、その射線に立ちふさがるものがあった。

零号機、綾波レイである。

与えられた盾で、与えられた命令を実行する。

しかし、その盾が見る見るうちに解けていく。

そしてその盾がなくなった。

シンジですらまだ成功してないATフィールドの展開をレイができるはずもなく、零号機に荷粒子砲が襲い掛かる。

『い…碇さんは…守ってみせる。たとえ、私が……』

レイの呟きが初号機のシンジのものに届く。

 

 

 

「レイー」

 

 

 

シンジが叫んだ。

自分の持ち場を捨てて零号機の、レイの元に駆け寄る。

いや、零号機を突き飛ばす。

その結果、荷粒子砲がシンジを襲………わずにその前に現れた赤い壁に阻まれる。

『ATフィールド!?やっぱり展開できるのね。』

『これなら………あっ、レイ、シンちゃんのかわりにライフルを!』

レイはミサトの指示に従い、ライフルの元へと駆け寄る。

レイが撃てる体勢になったのと同時に、ライフルの再射の準備も整う。

『いい?レイ。数秒後に使徒の荷粒子砲が止むわ。その時に撃ちなさい。シンジ君はそれまで何とか持たせて。』

『…了解。』

「…は…はい。」

 

 

 

その数秒後、リツコの言った通り、使徒の攻撃が止んだ。

トリガーを引くレイ。

ライフルから光の渦が一直線(?直進してないはずだが肉眼ではそう見える?)に使徒に襲い掛かる。

次の瞬間、シールドの回転が止み、使徒の活動が停止した。

しかし、それと同時にライフルが破裂する。

倒れこむ零号機。

駆け寄る初号機。

シンジは零号機のエントリープラグを引き抜く。

自分も急いで、外に出て、零号機のエントリープラグに駆け寄る。

非常ハッチに駆け寄るが、変形していてあかない。

「母さんが言っていた通りなら………。」

次の瞬間、エントリープラグが切断される。

「………また、普通じゃなくなっちゃったな。」

つぶやきつつ、切断したところをこじあける。

「レイっ!」

「…碇さん。」

「大丈夫だったんだね。よかった。」

シンジは一瞬安堵した。

「レイ。自分には何もないなんていっちゃ駄目だ。そんな事言っちゃ駄目だよ。」

「………はい。」

シンジの目には涙があった。

「何で、泣いてるんですか?」

「うれしいからだよ。レイが、無事で。」

「泣くのは悲しい時じゃ……?」

「うれしい時にも泣くんだよ。」

「じゃあ、私も碇さんにまた会えてうれしいから泣かないと…。」

「笑ってよ、レイ。こんな時はそっちの方が良いよ。」

「………はい。」

そういって、レイはにっこりと笑った。

まだ少しぎこちなかったが。

 

 

 

 

 

 

 


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ver.-1.01 2000/03/18
ver.-1.00 1998+10/22公開
ご意見・ご感想などは m-kaz@helen.ocn.ne.jp まで!!
 

 

<後書き(?)>

ふー。やっと、シンジにATフィールドを使わせる事に成功しました。アスカとレイはどうやって覚えさせようかな?次はJAか。AEやジオニックが核融合に成功してるのに原子炉か。日本の技術も遅れてるな。いっそのことJAに核融合炉を搭載させるかな。でも、JAってRX−78やMS−06よりも弱そうだもんな。ましてやRX−79GとかEz−8とかもってきたら、JA負けるの確実だもんな。それにしても、わたしのとこ(あとがき)は恐い人たち(アスカ、レイ、等)が来ないから気が楽だな。でも、ばれたら乱入されそうで、恐い。まあ、ここはATフィールドで防御してるから、あの二人が使えるようになるまでは安心してられるか。………というわけで、次回からは後書きの形式を変更する予定です。とりあえず次回のお客さんの予定はシンジ君です。


 Kazさんの『His Past Record.』第六話、公開です。
 
 

 ふっふっふ

 ガンダムネタが来るたんびに
 「ワカラン。分からない」を連発していた日々。

 その屈辱がついに終焉を迎えた−−−。
 

 RX−78  それは ”ガンダム”だぁ
 MS−06  それは ”ザク”だっ
 

 ふっぁはっはぁ
 

 !?

 RX−79G
 Ez−8

 ??

 ワカラン。わからない。
 
 

 あっけない春だった・・・・ (;;)
 
 
 
 

 ラミエルも無事撃破!

 流れも変わってきていますね。
 

 JAどんや
 時田はんは

 どうなっていくのかな。
 
 
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 感じたことをメールに書いて送りましょう! Kazさんへ!


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