「シンジ君、お疲れ様。」
「今日は早かったですね。終わるのが。」
「この間の第四使徒のデータ分析でいそがしいの。だから、最低限の訓練にしといたのよ。」
「へぇー。使徒のデータですか。」
「見てみる?」
「いいんですか?」
そういう戸、リツコはキーボードの上に手を走らせた。
モニタに使徒のデータが現れる。
「この間の戦いでコア以外が無傷という、理想的なサンプルが得られたせいでね。ほら、これが使徒独自の固有波形パターン。」
「………見せてもらって悪いんですけど、ちんぷんかんぷんですね。」
「ふふふ、そうかもね。」
「それで、結局何が分かったんですか?」
「使徒のものと人間のものとの一致率が99.89%ってことぐらいよ。」
「99.89%って何処かで聞いた数字ですね。」
「EVAについての説明をきちんと聞いていたようね。まえにEVAについて説明した時にいったわ。『EVAと人との一致率は99.89%』ってね。」
「それじゃ、EVAって……」
「考えるのは自由だけど、私には聞かないでね。守秘義務があるから。ところでセカンドインパクトって知ってる?」
「一般にいわれている大質量隕石の落下っていうのが、本当は違うらしいという事ぐらいしか。」
「その真実が使徒なのよ。南極に現れた使徒を被害を最小限に押さえるために卵に戻した。その時の爆発がセカンドインパクト。そして私たちの目的はサードインパクトを防ぐ事。EVAのパイロットだったら知っていても良い事だわ。」
「ちょっと、待ってください。じゃあ、サードインパクトが起きたら……」
「その被害はセカンドインパクトとは比べ物にならないわ。地球には住めなくなる。いえ、地球上の人は全滅するでしょうね。」
「だから、アナハイムとジオニックがあんなに懸命になっているんですか。」
「そうよ、宇宙に移民すればそれが避けられる。もう一つの選択肢よ。でも、よくアナハイムの事を知ってたわね。」
「COSMOSの洗脳から覚めた時にいた場所がアナハイムの研究所だったんですよ。当然、研究所襲撃半の一人として捕まりまして。でも、不思議と待遇はよかったですよ。」
「アナハイムの設立者知ってる?」
「いいえ。」
「4人の女性よ。資金を出したのがティア・フラット・アーカム、技術面、政治面では惣流・キョウコ・ツェッペリンと私の母、赤城ナオコ、そして、あなたのお母さん、碇ユイよ。」
「………そうだったんですか。」
「最も、今生きているのはティア・フラットさんだけだけどね。うちに、最も友好的な企業じゃないかしら。」
――――学校
シンジ達男子が校庭にいる。
「なぁ、シンジ、お前好きな娘っているのか?」
「えっ、いないけど。そういうジャンは?」
「俺もいまんとこ、いねぇな。」
「優は?」
「俺も……だな。」
「シンジ、信じるんじゃねぇぞ。」
「どういう意味だ?ジャン。」
「笹原初穂、笹原香穂、山菱理恵、誰が本命なんだ?」
「なんで、その三人が出てくるんだよ。」
「へぇ、優って三股掛けてたんだ。」
「だから、違うって言ってんだろ!!」
学校はとても平和であった。
――――ミサトのマンション
今日の夕食には、リツコとレイが参加していた。
シンジが各自の皿の御飯にカレーを掛ける。
「ミサトさんは?」
「ああ、これにかけて。ドバーとね。」
「「「………。」」」
「………相変らずね。」
「はぁ。」
そういって、ミサトはカップラーメンを差し出す。
「何よこれ。相変らずインスタントな食事ね。」
「お呼ばれされといて、文句言うんじゃないわよ。」
「シンジ君、今からでも遅くはないわ。うちにこない?レイも喜ぶと思うわよ。ねぇ、レイ.。」
「碇さんと一緒………うれしい。何故だか分からないけど………。」
「ははは、もう慣れましたから。」
「そうよ、リツコ。人間の環境適応能力を甘く見ちゃ駄目よ。」
「「「それ、意味が違います。(う。)(うわよ。)」」」
3人が同時に突っ込む。
「そう、まあいいじゃない。それよりも食べましょ。」
その声に促されて三人はカレーを口へと運ぶ。
「「「うっ。」」」
三人はカレーをすぐに吐き出した。
「これ、ミサトが作ったのね。」
「いえ、僕が作ったんですけど………さっき味見した時はどうもなかったのに。」
「ミサト、何かしなかった。」
「隠し味をちょっち加えたけど………それがどうかした?」
「………それが原因ね。」
「はぁ。せっかく作ったのに。」
「碇さんのせいじゃないのね。」
「それじゃ、優、ジャン、あとでね。」
「「おう。」」
そういってシンジは学校を後にした。
家に寄らずにNERVへと向かった。
「あれ?あそこにいるの………レイちゃんじゃないかな?」
シンジはレイが歩いているのを見つけて駆け寄った。
「やあ、レイちゃん、NERVにいくんだろ。一緒にいこうか。」
「はい。」
「今日零号機の再起動の実験だよね。」
「はい。」
「レイちゃんは恐くないの?もう一度零号機に乗るのが。」
「どうしてですか?」
「どうしてって……」
「碇さんは指令の子供なんでしょ.」
「一応ね。」
「自分のお父さんの仕事が信じられないんですか?」
「仕事の信頼性と血縁とは無関係だよ。それに、現にレイちゃんは一回大けがをしたんだろ。」
「はい。」
「又けがをしたら……とか考えないの?」
「信じていますから。」
「そうか。成功を祈ってるよ。きっとうまくいくよ。」
「はい。」
「綾波レイ。11歳。マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の被験者。ファースト・チルドレン。プロトエヴァンゲリオン零号機、専属操縦者。両親は共に不在。過去の経緯は白紙。抹消済。そんなところね、シンジ君。」
「僕が来る前に起きた実験の事故の原因はどうなってるんですか?」
「未だ不明よ。但し推定では、操縦者の精神的不安定が第一原因と考えられるわ。」
「精神的不安定ですか。解決策は見つかったんですか?」
「それが、普段のレイからは考えられない事だったから………平常心でさえいれば大丈夫だとは思うけど……。」
「原因不明………ですか。」
その日のレイの再起動実験は結局成功した。
最もシンジのレベルには及ぶはずもなく、何とか成功という感じであった。
しかし、事故が起こった。
それは実験の成功した直後だった。
第五の使徒の来襲が告げられたのだった。
「ここに来るまでに要する時間は?」
「敵との距離100km敵の現在の時速50km/h、このままですと30分といったところです。」
「指令、零号機はどうしますか?」
「まだ、零号機は実戦は無理だ。初号機を使え。シンジは?」
「赤城博士の元にいます。」
「リツコさん。」
「どうしたの?シンジ君。」
「前の使徒って2体とも外見で攻撃方法が予測できしたよね。」
「ええ、………そういえば今度の使徒は………。ちょっと、調べてみましょうかね。」
シンジは初号機へ、リツコはシンジの元へと向かった。
「ミサト。敵の攻撃方法が分からないわ。調査を提案するわ。」
「そうね、今回は戦自は出てないの?」
「発見が遅れたため、出ていません。」
「そっか、自腹を切るしかないか。独12式自走臼砲は使える?」
「攻撃させてみますか?」
「おねがい。」
列車にでっかい大砲をくっつけたという外観のものがモニタに現れる。
それが使徒に向かって攻撃をする。
使徒はそれをフィールドでふさぎ、荷粒子砲を撃つ。
蒸発する独12式自走臼砲。
「危なかったわね。ミサト。」
「ええ、リツコの指摘がなかったら知らずにシンちゃんを出すところだったわ。ありがと。」
「あら、気付いたのはシンジ君よ。でも、作戦部長さんは何か良いアイデアあるの?」
「技術部からなんか良い提案ないかしら?」
「シンジ君がATフィールドを展開できれば考え様もあるんだけどね。」
「どういう事?」
「シンジ君をそのまま出したら、リフトの拘束をはずしている間に撃たれる。」
「ダミーを出して、時間を稼げば良いじゃない。」
「でも、使徒のATフィールドに遮られて接近できない。そこを撃たれてOUT。もしよけたとしても攻撃できないんじゃいつかは撃たれる。」
「どうしようもないじゃない。」
「それを打開する作戦を立てるのがミサトの仕事でしょ。」
「そのための道具を提供するのがリツコの仕事でしょ。」
『あのー、作戦決まりましたか?』
口論する二人の間にプラグの中のシンジからの通信が入る。
「それがね、いいアイデアが浮かばないのよ。」
「ちょっと、まってミサト。今、使徒の荷粒子砲の分析結果が出たわ。思ったより、威力はないわ。EVAなら一発ぐらいはたえられるわ。」
「でも、こっちからの攻撃は依然不可能…か。」
「そうね、今シンジ君を出しても勝てる可能性は0に限りなく近いわ。」
「0じゃないの?」
「撃たれた時に防衛本能が働いてATフィールドを使えるようになるか、使徒がATフィールドをはりそこなうかすれば倒せるわ。」
「どっちも、非現実的ね。」
「そう言えば第三使徒の時、シンジ君、ATフィールドをよけて使徒に攻撃したわね。」
「ダミーに攻撃させてそのすきに別の方向から攻撃。これでいくしかないわね。」
「そうね。」
「シンちゃん、こっちから援護するから敵の隙を突いてね。」
『分かりました。』
「出る時は兵装ビルが盾になるように出すわ。計算ではもつはずだから安心して。」
リツコとミサトの長い問答もやっと終わり、初号機が昇降機によって地上へと運ばれていく。
「敵内部にエネルギーの収束を確認。」
「予想どうりね。」
「さっきのものより高いエネルギー値を示しています。」
「何ですって。」
「まさか………。」
「シンちゃん!よけて。」
しかし、使徒の荷粒子砲は盾となった兵装ビルを消滅させ、初号機へと襲い掛かった。
初号機なら、シンジなら、よけられるはずだった。
しかし、昇降機の拘束がそれを邪魔した。
このとき、リツコは独12式自走臼砲に対する攻撃がセーブされていたものであった事に初めて気付いた。
「もどしてっ。」
初号機はそのまま地下へと戻っていった。
シンジの意識はまだ戻っていない。
NEXT
ver.-2.01 2000/03/18
ver.-1.02 1999_03/03公開
ver.-1.01 1998+10/22公開
ver.-1.00 1998+10/14公開
ご意見・ご感想などは m-kaz@helen.ocn.ne.jp
まで!!
<いいわけ………ですね。その1>
すいません。私はロボットアニメ、特にリアル系、要はガンダムがとても好きです。英語の授業のスピーチでミノフスキー粒子について書いたぐらい。(発表はまだ。)思わず出しちゃいましたアナハイムとジオニック。この二つの会社、ガンダムファンにはおなじみのものですが、この話の中での設定はといいますと、………文中でほとんどいってますね。補足としましてはここでのアナハイムにはアーカムがプラスされています。ちなみに技術レベルは0079〜0083のあたりだと思ってください。MSの役目も宇宙開発がメインです。地上では融合炉は使われていませんが、一部ではEVAのように電池内臓orコンセント付きで使用されるケースもあります。しかし、軍などには米軍以外はつかっていません。(両者の最重要機密のため一般には出回ってない。アメリカはジオニックのスポンサーのため)あとティア・フラットを無理矢理出しました。(今のとこ名前だけ)折りを見て、来日させてみるつもりですが、アナハイムの経営が忙しいでしょうから難しいと思います。それにしてもスプリガンがらみで女生徒を3人(+1はあとで)出したのは良いですが、役付けが難しいですね。そこで、これを呼んで下さった人にお尋ねします。
<いいわけ………その2>
レイの設定を変えていたことを忘れて「14歳」などと書いてしまいました。すいません。SAIさんご指摘ありがとうございます。修正が遅くなってすいません。
Kazさんの『His Past Record.』第五話、公開です。
トントントーンっと一気に進みましたね(^^)
一気に謎を知ったシンジ。
というか、既にかなり知っていたみたい。
一気にやってきた使徒。
ミサトさんがダメダメになっちゃっている。
一気に出撃して。
でもヤバゲ。
スピードスピードの一気に進みましたね。わお!
さあ、訪問者の皆さん。
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