碇シンジの初めての使徒との戦闘。
NERVの多くは負けを、もしくは苦戦を予測していた。
ミサトは祈った。
シンジが死なない事を。
しかしシンジはけが一つ負わなかった。
過度の興奮により意識を失っただけであった。
リツコは求めなかった。
シンジがエヴァの高度な操縦をする事を。
ただ、歩く事だけを望んだ。
人々は喜んだ。
エヴァが動くのを始めて目の当たりにした事を。
しかし、その喜びを打ち砕くかのように、使徒は初号機を襲った。
初号機が反応する時間すら与えずに、接近。
そして、右腕で初号機の頭をつかむと、生物(?)であるにもかかわらず、槍状のエネルギー体をつかんだまま初号機の頭に打ち込む。
「@$%&!!」
シンジは初号機に与えられたその攻撃の痛みをもろに受けて、声にならない叫びをしていた。
「シンジ君、自分の頭じゃないのよ。」
「無理よ、ミサト。神経をつないでいるから痛覚は自分の者と変らないわ。」
「それじゃあ、神経接続のカットを!」
「できないわ。これが腕とかならいざ知らず、頭だから。」
使徒は、初号機に、2発、3発と槍を打ち込んだ。
そして、初号機は最後の一発に耐え切れずに飛ばされた。
NERV本部では初号機をモニタしているメータが赤くなった。
「どうしたのっ!?」
「パイロットの脳波が乱れています。」
「シンクロ率は?」
「85.7%±0.5%といったとこです。」
「安定はしてるわけね。」
「パイロットの脳波、安定。けど………」
マヤがそう言った次の瞬間、初号機が起き上がった。
「まだやれそうね、シンジ君。ねぇリツコ。」
「脳波も安定、シンクロ率も問題なし。やれるわ。」
マヤがシンジの脳波に感じた不安は、初号機が立ち上がった事により、無視された。
しかし、マヤの不安をよそに初号機は今までが嘘のような俊敏な動きを見せた。
使徒に急接近。
それを遮ろうとするかのように赤い八角形の物が空間に現れる。
「ATフィールドね。」
「理論上は初号機も展開できるはずだけど。」
「展開したって、攻撃できないのは変らないじゃない。」
「中和できるのよ。理論上……だけどね。」
しかし、初号機は使徒のATフィールドを横によけて、使徒に急接近する。
この行動に使徒は対応できないでいる。
「よけるって手があったのね。」
「よほどすばやくやらないと使徒が張りなおすわよ。」
初号機は、使徒の半透明の球体、コアにパンチを一撃入れる。
「使徒内部のエネルギー反応増大。爆発が予測されます。」
次の瞬間、使徒が爆発した。
モニタが赤く染まる。
しばらく時間が経過すると、モニタが回復してくる。
「シンジ君は?」
「メータは正常よ。無事よ。」
そのリツコの言葉を肯定するかのように、モニタの初号機が現れる。
NERV付属の病院の一室。
ベッドにはシンジが寝ている。
いや、今、目を覚ました。
思考がはっきりしていないのか、ぼんやりとした表情で天井を見つめる。
「知らない天井だ………。」
NERV特殊車両の車内。
ガラス越しに荷台の使徒のサンプルが見える。
防護服を脱ぐ、ミサト。
「やっぱ、クーラーは人類の至宝。まさに科学の勝利ね。」
車内電話を置くリツコ。
「シンジ君が気付いたそうよ。」
「で、容体は?」
「外傷は無し。なんか少し落ち込んでるみたいだそうだけど。」
「まさか、精神汚染じゃ………。」
「その心配はないそうよ。」
リツコはそう言って使徒のサンプルのデータ作業に戻った。
「そうよね。いきなりに、だったものね。」
「脳神経にかなりの負荷がかかったものね。無理ないわよ。」
「心、の間違いじゃないの?」
NERV本部。
「一人で、ですか?」
「はい。彼の個室は、この先の第六ブロックになります。」
「総司令、お父さんと一緒じゃなくていいの?シンジ君。」
「そのほうが、いいんです。」
落ち込んでいるかのように言うシンジを見つめるミサト。
いきなり電話を掛け始めた。
その相手は………リツコ。
「なんですって。」
「だ・か・ら、シンジ君は、あたしのとこで引き取る事にしたから。司令の許可も取ったし。………心配しなくても、子供に手を出したりしないわよ。」
そういうと、受話器を耳から話す。
話していても聞こえるほどの声で、リツコの小言が響く。
「相変わらず、ジョークの通じないやつ。」
結局シンジはミサトと一緒に住む事になった。
ミサトの車で、家へと向かう。
「ちょっち、寄り道するわよ。」
「どこへですか?」
「な・い・しょ。ついてからのお楽しみ。」
ミサトはシンジを高台へと連れてきた。
「何にもない町ですね。」
「そろそろね。」
すると、サイレンが鳴り出した。
「すごい。ビルが、はえてる。」
そう、地下に収容されていたビルが地上に戻っているのだ。
「これが、使徒迎撃要塞都市、第三新東京市。私たちの街よ。そして、あなたが守った街。」
ミサトの住むマンションにつく二人。
外灯は点いているがマンションはどの部屋も明かりが点いてない。
このマンション、NERVの高級官僚用なのだが何故か入居辞退者が相次いで、住んでいるのはミサト一人である。
「シンジ君の荷物はもう届いていると思うわ。実はあたしも、先日引っ越してきたばっかりでね。」
その言葉どうり、ドアの前にはダンボールが3箱ばかり置いてあった。
「ま、ちょっち、散らかってるけど気にしないで。」
そう言いつつ、鍵を開けるミサト。
ドアが開き、明かりが点くと、荒れ放題の部屋が視界の中に飛び込んできた。
唖然となるシンジ。
「これが、ちょっちですか?」
「まぁいいじゃない。(汗ジト)はいって。」
「あの、おじゃまします。」
「シンジ君。君の『家』なのよ。」
「はぁ、……た、ただいま。」
「おかえり。」
買ってきた物を冷蔵庫につめるシンジ。
もう一つ冷蔵庫があるのに気付いて、
「あの、こっちのは?」
「あ、そっちはいいの。まだ寝てると思うし。」
「寝てる?」
チーン。
テーブルにはインスタント食品がいくつも並ぶ。
ミサトは、すでにエビチュを煽っている。
完璧にくつろいでいる。
それに引き換え、落ち着かない感じのシンジ。
「どうしたの?」
「いえ、あの、こういう食事、慣れてないので。」
「だっめよっ、好きキライしちゃあ!」
「いえ、そうじゃなくて………。」
「たのしいでしょ。」
「えっ?」
「他の人といっしょの食事。」
「あ………はぁ。」
「汗かいたでしょ。先に風呂、入んなさい。」
「はい。」
風呂場に向かうシンジ。
洗濯場に干しっぱなしの下着。
「はぁ、こういうひとなんだ。」
つぶやきつつ、風呂場のドアを開けると、そこに黒い固まりが。
「うわぁっ!」
その黒い固まりが慌てて風呂場から飛び出す。
「ミサトさんっ!あ、あれ!?」
「ああ、彼、新種の温泉ペンギンよ。名前はペンペン。もう一人の同居人。」
「温泉ペンギンって?」
「ある研究所で作られたんだけど、可哀相だから引き取ったのよ。」
「研究所で作られた………ですか。」
ミサトのその言葉を聞いて、とたんに暗くなるシンジ。
そのまままた、風呂場へと向かう。
湯船に浸かってぽつりと、
「これから、どうなるんだろう……。今日もやっちゃったし……。」
第二話です。テレビの2話に対応しています(つもりです)。シンジの過去を留学にするか、もう一つの案にするかで悩んでいたんですけど、こないだ見た映画(スプリガン)にもろ影響くらいまして、そっちにすることにしました。そこで今悩んでいるのが、トウジ、ケンスケ、ヒカリ等3人のクラスメートなんですけど、出した方が良いですかねぇ。他のキャラ(御神苗優、ジャン・ジャックモンド他)にしようかとなやんでいるんですよね。
ふむふむ、
そうだったよね(^^)
こんな話だった、
TVの第二話って。
こんな展開で、
こんなセリフがあって、
こんな感じだった・・・
ダイジェストで振り返った感じだね。
懐かしかったよん♪
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