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 EVANGELION SHORT STORY

  『見てはいけない物』

       Presented&Written by Rintarou 1997/12/12 -Version1.00-


<朝・シンジの部屋>
「起きろ!!バーカシンジー!」
朝・・・いつも正確な目覚まし時計(笑)シンジの幼馴染みのアスカの罵声で目を覚ますシンジ ・・・・・しかし、今日のシンジの目覚め方がいつもの彼と少々違った・・・ すんなり起きたのである。
「・・・あっ!おはよう・・・アスカ」
「あらっ?・・・珍しい・・・シンジがすんなり起きるなんて・・・」
「あのね〜」
いつもと違って、すんなり起きたシンジに意地の悪い視線と共に失礼な事を言うアスカ。シンジは 思わず苦笑してしまう。そんなシンジの態度を他所に、さらに失礼な事を言おうとするアスカ
「こ・これは・・・もしかして」
「『今日は雪が降る』とか言うなよ・・・偶々、昨日早く寝たからだよ」
「うっ・・・・そう」
言おうとしていた事を先にシンジに言われて、言葉を詰まらせるアスカ、 そんなアスカに申し訳無さそうにシンジが口を開く。
「ねえ、アスカ?・・・・・・着替えるから・・・・・・その〜」
「・・・へっ?ああ!そうね・・・じゃあ、リビングで待ってるから」
「うん」
アスカが部屋を出たので、シンジは学校へ行く準備を始めた・・・

<それから6分後の碇家・リビング>

部屋で制服に着替えたシンジがリビングに入ると、アスカはもう既に準備万端の様でリビングにある ソファーに座っていた。父親であるゲンドウはまだ寝ているのか、リビングには居なかったが、 変わりに、朝食の準備を終え椅子に座っていた、母親のユイにシンジは声を掛けた
「おはよう、母さん」
「おはよう、シンジ・・・今日は直ぐに起きれたみたいね」
「・・・何で?」
シンジは早速、自分の前に並んである朝食に箸を付けながらユイに尋ねる
「いつもは、アスカちゃんが起こすのにも、最低3分はかかるのに・・・今日は1分もかかんない 内に、シンジの部屋から出てきたから、それに・・・・・・いつもの大声・・・聞こえなかったし」
後半はアスカに聞こえない様に小声で言うユイ
「う・うん」
これまた小声で返事をするシンジ
「でも・・・珍しいわね・・・これは」
「・・・母さんも『今日は雪が降るわね』なんて言わないでよ」
器用にもシンジは、ご飯を食べながらもユイに突っ込む。
「うっ・・・何で・・・それを」
「アスカも言おうとしたんだよ・・・さっき」
「えっ?・・・アスカちゃんも?」
驚いてアスカを見るユイ、会話が聞こえたのか?アスカも目を向けた為、二人の視線が交わる・・・ 思わず二人の口から笑みが漏れる
「ふふふ・・・そうなの?」
「ええ・・・・そしたらシンジに・・・・」
「・・・・良かった」
「「へっ?」」
「だって・・・ほら嫁と姑って価値観の違いが上手く行かない第一の原因なんだって、だから・ね」
にっこり笑って言うユイ・・・に、半ば呆れ顔の二人
「「はっ?」」
「まあ、良いわ・・・それより・・・」
と言って、ユイは視線を時計に向ける。吊られて見た二人の目に『8:07』の表示が写った
「「やばい!・・・遅刻だ」」
そう言うが早いか・・・凄いスピードで家をでるシンジとアスカ。 シンジの朝食は・・・奇麗に食べられていた。
「仲良いのも・・・ね・・・困ったものだわ」
と愚痴は言ってても、ユイの顔は・・・笑っていた。

<中学校・教室>

「「どうにか・・・間に合った」」
家から走ってきた二人は、始業3分前に教室についた。 早速、二人の友達が声を掛ける。
「おはようさん・・・シンジ、惣流」
「「おはよう・・・トウジ、ケンスケ」」
「おはよう、アスカ」
「おはよう、ヒカリって・・・何見てるの?」
アスカはヒカリの見ている本を覗き込みながら聞いた。
「ん〜ん・・・これ」
と言って、ヒカリは自分の見ていたページを指差す。
<貴方の運勢・・・星占い編>
見出しにはそう書いてあった
「星占い・・・か」
「うん・・・」
「面白そうね・・・どれどれ・・・私は射手座だから・・・・あっ、ここね。 何々・・・『見られたくない物をみられる』?・・・何?これ・・・」
「さあ?・・・・・・アスカ、何か隠し物でもあるの?」
「私に?・・・・・・・無いと思うけど・・・・あれ?・・・有ったかなぁ? 見られたくない物なんて・・・」
余りに占いの内容を気にするアスカに、少し可笑しくなったヒカリ
「まあまあ、只の占いだし・・・気にする事ないわよ、アスカ」
「そうね・・・・・・・・・・ねえ・・・ヒカリ」
「うん?」
「その占いって・・・何時の事」
「ああ・・・あれ?・・・もしかして・・・本気で気にしてるの?」
「なっ!・・・いいでしょ・・・で?」
「ええっと・・・今日1日だって」
「そう・・・今日、1日」
「そうそう・・・って、あれ?・・・碇君1」
ヒカリはアスカの隣の席でトウジと話しをしてたシンジを呼ぶ
「・・・何?」
「碇君って・・・双子座よね?」
「うん・・・6月6日生まれだから・・・ってそれが、何?」
「うん・・・碇君も注意してね」
「はっ?」
「碇君にも似たような占いなのよ」
「「どういう事?」」
「ここ・・・ここ読んで」
アスカも気になったのか?二人一緒にヒカリの指差した場所を覗き込む
『双子座の男性は、今日は見てはいけない物を見てしまう、注意しましょう』
そう本には書いてあった。
「・・・・見てはいけない物?」
「何か・・・嫌ね、この占い。私が『見てはいけない物』を『見られる』でシンジが『見る』なんて ・・・まるで、私の『見てはいけない物』をシンジに見られる・・・って事みたいじゃない」
「案外・・・そうかも」
「ちょ・ちょっと、ヒカリ!私、シンジに見られてマズイ物なんて無いわよ」
「本当に?」
「えっ?・・・ええっ・・・おそらく・・・・・うん・・・・・・・・多分」
段々、勢いが無くなるアスカ
「まあ・・・単なる占いだし、信じても信じなくてもいいけど・・・一応ね」
「この占いコーナーの内容って・・・当たるの?」
そうアスカがヒカリに聞いた時、ちょうど1時限目の先生が教室に入ってきた
【ガラッ】
「えっ・・・ああ、結構当たるって噂よ・・・あっ!先生だ、ほら、アスカ。席について」
「う・・うん」
それから授業中もアスカは考え込んでいた。『見られたくない物』・・・・・
この『物』とは何なのか?
全然解らないアスカは、気になって仕様が無かった。
(何だろう・・・私の見られたく無い物って・・・・・それに、見られるって、誰にだろう・・・)
「・・・カ・・・ア・・カ・・・・アス・・・・アスカ・・・・アスカ!」
「えっ?・・・あっ、何?シンジ」
「『何?』って、授業中なのにボーっとしてるから・・・あっ!もしかしてあの事気にしてるの?」
「あの事って?」
「占いの事」
図星を突かれたアスカは、授業中なので、顔を真っ赤にして、小声で怒鳴った
「な!・・・悪い・・・」
アスカの予想以上の反応に・・・からかったシンジは、素直に謝る
「そういう訳じゃ・・・無いんだけど・・・ごめん」
「・・・・・・・・・・・・まあ・・・いいわよ」
アスカはそう言うと、視線を自分のコンピュータの画面に移す
その日1日アスカは内心何を誰に見られちゃうのかビクビクしながら過ごした しかし、それほど大きな出来事も起こらないまま、放課後を迎えた。
<放課後>
アスカは週番だったので、皆が帰った教室で1人ポツンと日誌を書いていた。 因に週番のもう1人はゴミ捨てに行っていた。
「『・・・・・った』っと、日誌終わりっと」
後は、これを職員室に出せば、週番の仕事は終わりである。 アスカはそのまま帰ろうと思って、鞄に荷物を詰めて、日誌と一緒に持って職員室に向かった。
「・・・失礼しました、さようなら!」
元気に挨拶をして職員室を出るアスカ、全ての仕事を終えたという達成感がアスカに力を与えた。 そのまま、スキップをしながら昇降口に向かうアスカ
「う〜ん・・・夕日が奇麗」
校舎を出たアスカを待っていたのは、自分の髪の色に似た奇麗なオレンジ色を放つ夕日だった
「さて・・・帰るか」
そう言って、歩き出すアスカ・・・・・っが、何気なく校庭の方に目をやって足が止まる・・・・・ シンジを見つけたからだ・・・しかも、見知らぬ女の子と一緒に歩いていたのだ。
「何・・・してるんだろう」
足が勝手に動く・・・シンジ達の方に・・・・・・
アスカは、シンジ達に気付かれない様に気をつけながら、二人の声が聞こえる距離まで近づいた ・・・瞬間、女性の声が聞こえてきた。
「碇先輩・・・私と・・・私と付き合ってもらえませんか?」
「は?」
「好きなんです・・・碇先輩の事」
アスカは、自分の予想通りの告白シーンに驚きはしなかったが、シンジが彼女にどう答えるのか ・・・鼓動が早くなるアスカ
「・・・・・・・・・・」
しかし、シンジの声が聞こえてこない。相手の女性も、焦ってシンジに答えを催促する
「今・・・好きな人・・・居るんですか?」
(!!!!!!)
その言葉に、アスカの心臓が飛び跳ねる。無意識の内に、アスカはその質問に対するシンジの答えが 自分の望み通りにと願った・・・しかし、シンジは、アスカの希望する答えと全く反対の答えを言う
「い・・居ない・・・けど」
「・・・そうですか・・・じゃあ、考えといてもらえますか?私の事・・・」
「えっ・・・・・・・うん」
(えっ?)
シンジの言葉に驚くアスカ・・・ 半分『OK』と思われても仕方の無い返事に・・・
「それじゃあ、今日はこれで・・・失礼します、先輩!」
相手もそう感じたのか・・・明るい返事と共にその場を離れる
「うん・・・じゃあね」
そう・・・離れていく彼女の背中に言うシンジ
アスカはそんなシンジの後ろ姿を見ながら、声を掛けていいのかと悩んでいた ・・・でも、シンジの気持ちを、本心を知りたい気持ちが強くてシンジに声を掛ける事にした。
「モテモテね・・・シンジ!」
何事も無かったかの様にシンジに声を掛けるアスカ
「えっ?・・・ア・・アスカ?」
いきなり後ろから聞き慣れた声を聞いて、驚いて振り返るシンジ
「ごめんね・・・別に覗こうって思ったんじゃ無いんだけど、偶然ね・・・」
「そう・・・」
「で・・・なんで『OK』してあげなかったの?」
と、アスカはさり気なくシンジに聞く
「なんでって・・・」
「あの娘・・・凄い勇気が必要だったと思うよ・・・なのに・・・」
「それは・・・」
「それに・・・好きな子・・・いないんでしょ・・・なら」
「解らないんだ・・・」
「えっ?」
「僕・・・生まれて初めて告白されて・・・正直、嬉しかった・・・・・でも、解んないんだけど ・・・告白された時・・・アスカの顔が浮かんだんだ・・・それで、寂しいって思って・・・・・ 何でなのか、全然解んないんだけ・・・でも、もし・・・もしこの子と付き合う事になった時・・・ アスカとの・・・アスカとの距離がって・・・そしたら、もう・・・・・もうアスカと話せないかも 遊べないかもって・・・そしたら、返事できなくって・・・怖くなって・・・それで・・・」
「・・・・・・・・・・・・・そう」
小さくそう言うと、アスカは涙を流した。知らず知らずのうちに・・・ シンジはアスカの涙に気付いて、思わず声をあげる。
「涙?・・・泣いてるの?・・・アスカ、泣いてるの?・・・どうして?」
シンジの言葉で、初めて自分が涙を流している事に気付くアスカ
「嘘・・・・・あれ、なんで?・・・・・嫌!・・・見ないで・・・見ないで、お願い・・・」
そう言うと、アスカは両手で顔を覆った。
「・・・ねえ・・・どうしたの?」
そんなアスカの態度に心配したシンジが声を掛ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・シンジ・・・・・・ごめんなさい」
「・・・・???・・・・・・・どうして・・・謝るの?」
「私・・・・・今、解ったの・・・自分の気持ち・・・こんな事で・・・解ったの・・・だから」
「アスカの・・・気持ち?」
「私・・・私ね、構って欲しかったの・・・シンジと・・・シンジと話したり、遊んだり、泣いたり 笑ったり・・・一杯・・・シンジと一緒に居たかったの・・・だから・・・いつも、意地悪ばかり してたんだって・・・いつも・・・いつもシンジの前で・・・優しく出来無かったんだって・・・」
そう言うと、アスカは顔を覆っていた両手を降ろす・・・ まだ、涙が止まっていない・・・真っ赤な目で、しっかりとシンジの目を見つめたままで 自分の気持ちを・・・言う
「シンジが・・・シンジが好きだから」
その言葉に・・・・・先程の女の子からの告白は・・・完全にシンジの脳から消去された
「・・・・・・・・・・・・・・」
「こんな事で気付くなんて・・・・・・・私・・・・私・・・・」
「・・・・・・・・・・・アスカ」
っと・・・いきなり、アスカがシンジに抱きついた
「アッアスカ!」
「今だけ・・・・・お願い」
「・・・・・・・・・・・・」
「ごめんね・・・・・・・・・・」
そんな言葉に、シンジは優しくアスカの頭を撫でると、ゆっくりと話し出す
「いいよ・・・・それで、アスカが喜ぶんなら・・・・それに・・・今、僕も気が付いた」
「・・・・・・・・・何を?」
「・・・・僕・・・僕もアスカが好きだ」
「えっ?」
思わず顔を上げるアスカ・・・その顔には・・・・・嬉しさ一杯でなく悲しい表情をしていた。
「シンジ・・・・・・・・・・・・・・・・嘘・・・言わないでよ、シンジ」
「えっ?」
「・・・・・・・・同情なんか・・・望んでない・・・私・・・」
「同情って・・・そんなんじゃ無い!違う!」
強い口調で否定するシンジ。しかし、アスカは納得しない
「違くない!・・・・・・嫌よ・・・嘘なんて・・・同情なんて・・・・・・あっ、でも・・・ でも、この状況を見たら・・・同情する気になっちゃうわね・・・まさに『同情してくれ』って」
「同情じゃ無いよ!・・・信じてよ、アスカ」
しかし・・・アスカはシンジの言う事なんか聞く耳を持たない様に話す・・・
「・・・・・・・涙なんか流して・・・シンジに抱きついて・・・・・・・」
「アスカ・・・」
「・・・・・ごめん・・・忘れて」
「えっ?」
「こんなの・・・こんなの私じゃない!・・・こんな・・・だから、忘れて」
そう言って、勢い良くシンジから離れようとするアスカの手をシンジが掴む
「!!・・・・・・・どうして・・・」
「忘れてって・・・忘れられないよ・・・アスカの言葉、何より・・・アスカの涙なんて・・・」
「シンジ・・・」
アスカがシンジの顔を見る・・・・シンジの目には強い光りが輝いている様に見えた・・・・・ 強い、強い意思を秘めている様な・・・そんな目でアスカの顔を見つめながら、シンジは口を開く
「アスカは・・・アスカは・・・いつも・・・泣かなかった」
「・・・・・・・・・」
「涙を見せない・・・・・・強い・・・強い人だった」
「・・・・・・・・・」
「でも・・・でも、違った。アスカだって、女の子・・・弱い女の子なんだ」
「シンジ・・・」
「良いんだ・・・良いんだよ、アスカ・・・泣いても・・・弱くても・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「僕は・・・僕はアスカが好きだ・・・この気持ちに・・・嘘はない!! 」
「・・・・・・・・・・・・」
「弱くても・・・泣いてても・・・良いんだよ、アスカ・・・僕が守るから・・・守る・・・いや」
「・・・・・・・・・・・・」
「僕は・・・碇 シンジは・・・そんなアスカ、惣流 アスカ ラングレーを守っていきたい」
「・・・・・・・シンジ・・・・・・シンジィ〜」
そう言うと、アスカは再び涙を流し始めた。 そんなアスカを優しく・・・・・包み込む様にシンジは抱く

「大好きだよ・・・アスカ」

「・・・・・わたし・・も・・・大好き」



見てはいけない物・・・・・・・・それは、アスカの涙
見てはいけなかった物・・・・・・・・それは、アスカの涙

何故なら・・・

それの持つ魅力に・・・囚われてしまうから・・・



そして、シンジは



捕まった・・・



Fin


ver.-1.10 1997-12/21レイアウト改正
ver.-1.00 1997-12/13公開
ご意見・ご感想は rintarou452@yyy.or.jpまで!!

<後書き>

はじめまして・・・こんにちは、Rintarouと申します。 今回、5名の募集を聞き、自分も投稿してみました
如何でしたか? 始めに言いますが・・・僕は、純LAS人ですので、僕の作品は全てLAS ものですので・・・綾波ファンの方は・・・・・すみません
とにかく、これからも・・・Rintarouを宜しくお願いします ではでは・・・

 新規入居限定募集にさっそくのレスポンス!

 めぞん通算96人目となる御入居者、
 Rintarouさんです(^^)
 

 第1作『見てはいけない物』、公開です。
 

 本人にそのつもりが無くても、
 いや、無いからこそ余計に、

 女の子の涙は強力な武器なのです(^^)
 

 それも
 アスカちゃんの様なかっわいい娘の物だと
 パワーUP!

 さらに
 相手を意識している男の子相手だと
 リミットブレイク!!
 

 

 がっちり捕まったシンジくん。

 相手がアスカちゃんなのですから
 何ら不満はないでしょう(^^)
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 素早いご入居を果たしたRintarouさんに感想メールを送りましょう!


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