TOP 】 / 【 めぞん 】 / [さんご]の部屋に戻る /NEXT


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Another 'NEON GENESIS EVANGELION' EPISODE from One More FINALE
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     第25話
 

  

 
 
 
べき多くの世界              

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
殺意。決して無かったと言えば嘘になる。


初めて自分が心を開けると確信して身を委ねた存在、渚カヲル。
だが最後の使者として彼は裏切った。だから殺した。この右手で。

今もその感覚がはっきりと残っている。人を、いや使徒を握り潰した苦い感覚。

ぐちゃっ、ぐちゃっ、ぐちゃっ...

血が飛び散り、LCLに落ちる首。



 

そうだ。僕が殺したのは使徒、使徒、使徒、使徒、そうだ、使徒だったんだ。
トウジの時とは違う、相手は使徒だ。人間じゃない。

でも「好きだ」って言ってくれた。あの使徒が......カヲル君が.....

好きで殺したわけじゃない。そもそも戦うのは向いてない。
命令だから、そう、命令だからやったんだ。悪いのは僕じゃない。

僕じゃない、僕じゃない、僕じゃない、僕じゃないんだっ!

「なぜ、殺したの?」

違う!殺したのは、僕じゃない、僕じゃない、僕じゃない...

悪いのは誰だ......

ミサトさん?そう、直接命令するのはあの人だ。僕は悪くない。

父さん?そうだ、あの人が乗れっていうから乗ったんだ。僕は悪くない。

そうだ、僕は悪くないんだよ。いけないのは、そう、あいつらなんだよっ!


でも憎んだ所で何もできない。する勇気が無い。そんな自分がイヤになる。

このまま、何もせずゆっくりと死ねたら、どんなに楽だろうか....


もう、どうでもよくなってきた。そして、ふと何もすることがなくなると、おかしなものだ。
現在の状況とは正反対の感情表現が浮かんでくる。

「く、くくっ、ふっ、はははははははははははははははははははははははははははは」

恐ろしく感情の無い笑い声。自分以外誰もいないマンションの一室に響き渡る。

そして再び始まる自分の中での葛藤、いや、今回は模索というべきか。
一番自分の快楽原則に則った行動の選択、本能に忠実な選択。

復讐、けど僕には力が無い。反抗するだけの力が欲しい。

...エヴァ初号機があるじゃないか。でもそれで何をすればいいというんだ?

答えは解っていたはずだった。




最愛の友をこの手で殺させたすべての人間の抹殺。


 

もう何がどうなってもかまわない。世界の平和?血塗れの手にしたのは誰だ。
どうせ汚れてしまった右手だ。かまうもんか。

しかし、そんな妄想も実行に移す勇気が果たして自分にあるだろうか?

僕は....弱虫で、臆病で、卑屈で、卑怯だ。




丁度その時、ミサトが後始末を終えて帰宅してきた。それがシンジの思考を中断させる。

ベッドに寝転がる虚ろな表情のシンジを見て何か感じるところがあったのか、声をかけようとするミサト。保護者としての役割を少しでも果たそうとした結果なのか。
しかし先に声を出したのはシンジであった。

「........死ぬ、って、どんな感じなんでしょうね。きっと....痛いんでしょうね」

「シンジ君....」

「カヲル君だけ死んで、僕はこうして生きている....」

「シンジ君は悪くないわ。ああするしかなかったのよ。でなければ今頃....」

ふと、ミサトの頭にサードインパクトの光景が過る。
人の住めない世界、なにもない、荒涼とした世界。

そんな世界に生き残っても、それは絶望しか生み出さないだろう。

「....」

「....」

少年は、ふぅっと息を大きく吐き出し、ぽつりと呟く。

「カヲル君だけ死ぬのは、なんだか不公平な気がしますね、ミサトさん、今ここで僕を殺してもらえませんか?いや、ミサトさんでなくてもういいんです。諜報部の人達でも...」

「っ!...な、何をバカなコトいってんのよ、シンジく......」

先程まで虚ろだった表情が自嘲気味の薄笑いに変わっている。

自分が犯した罪によって自我崩壊寸前であることを悟ったミサト。何とかして彼の暴走を食い止めなければ。

彼は自分で自分に決着をつけることだってありうる。

「無理です、よね。人を殺すなんてそうそうできるもんじゃないですよね。....でも、僕は殺したんだ。この右手で。今でもはっきりと覚えてるんですよ。ふ、はは、はははははははは、くくく....おかしいですよね、ミサトさん...くくくく」

その時、ミサトは戦慄した。シンジの右手には、おそらくミサトの部屋から勝手に引っ張りだしてきたのであろう短銃が握り締められていたのだ。いつのまに!?
おそらく自決も考えたのだろう。迂闊であった。

「僕はね、もうイヤなんですよ、何もかも」

拒絶の言葉。

その瞬間、シンジの右手は、自分でもなぜかはわからなかったが−何かに操られているかのように−ゆっくりとミサトに銃口を向け、そしてそのトリガーを引いた。
すべてが嘘のようだった。すべてがゆっくりと進行していた。崩れ落ちるミサト。床に広がる真っ赤な染み。くぐもった嗚吶。硝煙の匂い。

「くっ...ううっ....かはっ....」

それをシンジはただぼうっっと眺めるだけだった。他人事のように。無関心に。

彼が一度は家族と認め、心の拠り所とした人間、上司、お姉さん.....しかしもう起き上がり、話すことは二度と無い。彼はその右手でまた一つ罪を犯した。

その時、彼のなかで止められない何かが動きだした。銃のトリガーが、そのまま狂気へのトリガーとなったのだ。

「ねぇミサトさん、起きてくださいよ....」

「こんな所で寝ちゃ風邪引いちゃいますよ、ねぇ....」

「いつもそうなんだから、まったく、だらしがないんだから....」

彼の手にべっとりとこびりつく真っ赤な血。それは死を司る色。

「はは、まただ....」

「また、人を殺したんだ、僕が、この右手で......ふ、あはははは..はは...」

彼はすでに完全に狂っていた。すべての感情を心の奥におしやり、ただ自分の快楽原則に忠実に従う本能の機械。それが今の碇シンジ。

すべてをこわさなくちゃ、すべてをころさなくちゃ、ころさなくちゃ、こわさなくちゃ、こわさなくちゃ、こわさなくちゃ、こわさなくちゃ、こわさなくちゃ...

彼はミサトの部屋にあったノートパソコンで全ての秘密を知った。
そして復讐する相手が父親だけでなく、ゼーレの面々であるということも。

彼は最後まで優秀な操り人形を演じたのだ。その事実が彼の怒りをかきたてる。

彼は微笑を浮かべつつ初号機が待つジオフロントへ向かった。もう後戻りは出来ない。

ネルフ本部をうろつくシンジを不審に思ったのか、偶然通りかかった日向マコトが声を掛けた。

「こんな時間に、どうしたんだ?シンジ君」

「あぁ、日向さん、いえ........忘れ物をしちゃったんで、取りに来たんですよ」

「なるほど。葛城三佐も心配するから、早く帰った方がいい。それじゃ。」

「....今、ケイジに入れますか?」

「?あぁ、確か洗浄もそろそろ終わることだし、今なら入れるよ」

洗浄、という言葉を聞いて一瞬顔をしかめたシンジだが、普段の自分を演じることでうまくカバーする。そして日向が遠ざかって行くのを見て、再び微笑を浮かべるのであった。




















 

時を同じくして、もう一つの破壊の使者が訪れる。


夜だというのに第3新東京市の跡地の湖のほとりの森を疾走する人影。それは日本政府、いや、ゼーレがネルフに送り込んだ最後通牒。再び訪れたシ者。

「時間だ、始めよう」

崩壊の扉が開く。そしてネルフ本部は人と人とが醜く争う戦場と化した。

「いやだっ、た、助けて...ぐっ!」

「いやぁぁっ....」

「嫌だ、嫌だ、死にたくない、嫌だ、嫌だ、嫌だ...げぼっ」

あちこちで銃声が響き、悲鳴、怒声、叫び声、断末魔が交錯する。それはさながら黙示録の光景。あるいは地獄と言うべきか。戦力は圧倒的であった。

発令所に響く副指令の声、オペレーターの悲鳴に近い状況説明。そして爆音。

「まずい!このままだとエヴァを占拠される!」

「弐号機パイロットの投薬を中断!弐号機に搭乗!射出後地底湖水深70に固定!」

「初号機は!?」

「すでにエントリー完了!...起動しました!....!?シ、シンジ君?なにを!?」

混乱する発令所。

待機中であり、この状況下での最後の希望だったはずの初号機が突然動きだし、拘束具を破壊してセントラルドグマへと向かい始めたからだ。無論、乗っているのはシンジである。まだ微笑を浮かべながら。

その意味を把握した冬月が汗を額に浮かべつつ命令を送る。

「いかん、セントラルドグマまでに残存する隔壁を緊急閉鎖!初号機へ停止信号を!」

「ダメですっ!制御システムはエントリープラグ内部でロックされています!」

「初号機は第13マルボルジェを通過!隔壁はATフィールドによって破壊されていきます!第24マルボルジェを通過!」

「何をする気なんだ、シンジ君!」

しかし初号機との通信は戦自の破壊工作によって音声のみが可能であった。
嘲笑うかのようなシンジの声が発令所に響く。

「何を?決まってるじゃないですか、壊してやるんですよ、全てを。僕に人殺しをさせた父さんを。あの男には誰かが罰を下さなきゃいけない。そうでしょう?はははっ....」

その言葉で、発令所に戦慄が走る。その言葉の意味は、あまりにも重い。

そしてシンジは通信回線をカットする。しかし邪魔が入らないようにオペレーター用通信回線は開きっぱなしにしておく。不穏な動きを見せはじめたら....


その時は、サードインパクトでも起こしてやろうか。






 

その頃、形勢を完全に不利と見たゲンドウはレイを従え、セントラルドグマに向かっていた。無論補完計画の遂行のためである。

その後を発狂した自分の息子が初号機で隔壁を破壊しつつ降下していることも知らず。

殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる....

憎悪の塊、殺意の塊、本能のままに、欲求のままに。彼は血に飢えていた。

セントラルドグマまでに設けられた隔壁も、ATフィールドによってアメのようにしなり、そして次々と破壊されて行く。その行程が最後のシ者を自らの手で殺すに至った過程と重なってますます狂喜の色が濃くなって行く。

ゲンドウはレイと共に白い巨人の前に居た。これから全てが終わり、全てが始まるのだ。

「始めるぞ、レイ」

ゲンドウの手がレイの下腹部に伸びる。

その瞬間、先の戦いで破壊された核自爆ユニットの穴から轟音と共に初号機が現れた。

顎部ジョイントは千切れ、まるで暴走しているかのような初号機の表情。
それは理性ある者によって創られたとは思えない異形の怪物であった。

シンジは補完計画の内容も、意義も、遂行の方法もすべて先程知った。例えそれが人類を救う意味があろうと、その過程でたくさんの人が傷ついた、命を落とした。

よく考えてみれば不条理な話だったんだ。なぜ突然呼び出されて恐い思いをしなきゃならなかったのか?戦わなきゃいけなかったのか?親友を傷つけなきゃいけなかったのか?愛すべき人をこの手で殺さなきゃならなかったのか?

その疑問との葛藤も今日で終わりだ。この手で、全部終わらせてみせる。

綾波を殺し、そしてこのリリスとかいうモノも壊す。そしてその後この男は...潰す。
それがこの男にできる最大の復讐だ。

「まずは....こいつからだ」

ゆっくりとリリスに歩み寄る初号機。素早く首の部分を掴む。

「ぅああああああああああああああっ!!!!」

首の部分を掴みつつ頭部を猛烈な勢いで引っ張る。首をへし折るのではなくもぎ取る。

LCLに落下するゼーレの仮面。しかし、その顔に目は生まれていない。
もう目は必要無いのだ。なぜなら、これで全てが終わるから。

そして、音もなく千切れるリリスの首。
その切り口はきれいではなく、無理矢理ひきちぎったように。























NEON
GENESIS 
EVANGELION                       

EPISODE 25' 
  

  Worlds to Kill
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その頃、第3芦ノ湖の上空2000mから投下された一筋の光によって、今まさに22層の装甲すべてがえぐられ、ジオフロントが日の光に晒されようとしていた。
蒸発する湖、吹き飛んで行く第3新東京市の瓦礫、人類の最後の砦であったはずのネルフ本部は今、陥落の危機に迫られていた。


「....次は....お前たちだ....」

リリスの首を右手に持ち、肩で息をしているかのような初号機。
だがそれもほんの束の間、リリスの首は側壁に叩きつけられた。
もう十字架という名の拘束は必要ない。

派手な飛沫を上げてリリスの首がLCLの海に落ちる。

なんの表情も浮かべず、ただ初号機を見上げるだけのゲンドウとレイ。
だが、一歩レイが前に出ると一瞬空気が揺らいだ。ATフィールドを張ったのだ。

「もうやめて、碇君。」

「そこを......どいてくれよ、綾波」

「それは....できないわ」

「綾波、もう遅いんだよ。僕はね、彼を、カヲル君を殺した....そして、ミサトさんも殺してしまったんだ。もうダメだ。ダメなんだよ。許せないんだ。僕にそうさせた何もかも。例え、相手が母さんのクローン....だろうとね」

「クローン」と言ったあたりからシンジの表情が一変した。微量ながら戻ってきていた理性も失ってしまった。心底嬉しそうに、恍惚の表情を浮かべながら笑った。

「くっ、はははははっ!そうだ、そうだよ、お前はクローンなんだよ、ただの父さんの人形さ。だから壊してやるよ。父さんの目の前でね」

「.....本当にそれでいいのね。」

初号機もATフィールドを展開する。相手が誰であろうとおかまいなしだ。
レイは必死になってフィールドを展開しつつゲンドウを守る。

「くっ」

しかし力の差は歴然としていた。徐々に中和、侵食されて行くレイのATフィールド。
心の壁を壊して行く。それは犯すのと同義だ。

「やめ・・・・・・いか・・・・く・・ん・・・・くっ」

「レイっ!」

やがてレイの前で輝いていた八角形の光が消えて行く。それは自分のカタチを失うのと同義。完全に光が消えた瞬間、綾波の体がボロボロと崩れ、そして後にはオレンジ色の液体だけが残った。

それを見た瞬間、シンジの体に言い様の無い快感が走る。
−ヒトヲコワスコトガ、コンナニタノシカッタナンテ−

「ふはっ、あはははははははははははっ!どうだ、見ただろう、父さん、これで補完計画も終わりだよ。でも大丈夫、すぐに父さんも殺してあげるよ、ゆっくりとね」

シンジの顔が嫌悪、憤怒、憎悪が入り交じったような表情に一変する。

初号機の腕がぐっと伸びる。そして守る者もいなくなったゲンドウを掴みあげる。
先程の神の御前(みまえ)での儀式のくり返しだ。

「レイの心を犯し....なおかつ父親である私を殺す....ギリシャ悲劇というわけか」

「....何か言うべき事があるだろう?」

口元の端だけが歪むシンジの表情。

「私は弱い人間だった。人に好かれる事もなく、その資格もない。ただそれだけだ。」

「っ!!それだけかっ!」

初号機の右手がゲンドウを握ったまま高々と掲げられる。
それはあたかも神に捧げられる哀れな羊の如く。

「これまでか.....すまなかったな、シンジ」

父の口から初めて発せられた譲歩、和解、謝罪の言葉。ひたすら聞きたいと心の奥で懇願していた言葉がようやく紡ぎだされたのだ。しかし時は戻らない。

すでにその瞬間、シンジの神経は右手に命令を送ってしまっていた。



ぐちゃっ





初号機の頭部に降り注ぐ血の雨。右手に伝わる柔らかな感触。














 



「う、うぁ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

自分を見失って叫ぶシンジ。

果たして、彼の心はどこへ向かうのか。

































 



水の音。胎内のような感覚。

ここはどこだろう。LCLの血の匂い。

エヴァ、エヴァの中。でも何故?私は乗れなくなったはずなのに。

もう、存在する理由もないというのに。

誰も必要としてくれないのに。

生きる理由もないというのに。

でも再び、エヴァに、私の弐号機に乗ってる。乗せられてる。何故?

その静寂を打ち破る影があった。次から次へと水飛沫を上げて投げ込まれる。
その中の一つが偶然、弐号機の胴体に当たる。炸裂する爆雷。

その衝撃がATフィールドを張っていない弐号機に容赦なく叩きこまれる。

そして、その中の少女にも。

「!!っ......くぅっ!ぐっ、あぁぁぁっ!!」

次々と降ってくる死の宣告者。そして次々と訪れる死の予感。

「あぁっ、くぅっ、うっ、ううっ」


イヤ....

死ぬのは....

イヤ....

死ぬのは、イヤ....

死ぬのは、イヤ....


死ぬのは、イヤ.... 死ぬのは、イヤ....

死ぬのは、イヤ.... 死ぬのは、イヤ....



死ぬのは、イヤ.... 死ぬのは、イヤ.... 死ぬのは、イヤ....

死ぬのは、イヤ.... 死ぬのは、イヤ.... 死ぬのは、イヤ....


















 








死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ   殲滅   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   Nein   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ  模索   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   Nein
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ  シンジ   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   Tod    死ぬのはイヤ
 
 ママ    死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ  自我崩壊  死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   ママ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   苦痛   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ  イタイ   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
 苦痛    死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   Nein   死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ   死    死ぬのはイヤ   Tod   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   Nein
 
 絶望    死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ   狂乱   死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 
死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ 死ぬのはイヤ
 













 

死ぬのはイヤ.................................................






「死ぬのは、イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」






少女は、絶望と狂乱の中で夢を見ていた。誰かを感じる。すぐ近くに。

誰?この感じ、懐かしい....

ママ、そう、まるでママのような....この光は....




暖かい...




「.......................ここにいたのね、ママ」

差し伸べられる手、それをしっかりと握る幼いアスカの手。
もう不可能だとおもっていた母親との和解、そして母親の呪縛からの決別。





 

私の、存在意義。
 




絶望と狂気が、希望と戦意に変わって行く。
そして、弐号機の目に光が宿る。




湖畔を完全に包囲していた戦略自衛隊の面々。その顔には勝利を確信したのか笑みすら浮かべている。

「まだ破壊できんのか」

「なにせ1万2000枚の特殊装甲らしいですからな。まぁ、それも時間の問題でしょう」

しかし、その次の瞬間、かれらの表情は驚愕に変わる。

湖の底から膨れあがる光。そして天を突かんばかりに伸びる光の十字架。

 

 数多の太陽の 飛び交い馳せ行くごとく いざ走れ 友よ
 勝利に赴く英雄のごと いざ走れ 友よ
 歓喜よ 神の火 天津乙女よ 迎えよ 我等を 光の殿へ
 




その真っ赤な機体が戦艦を持ち上げつつ立ち上がった瞬間、彼らには悪魔に見えた事だろう。

「い、いかんっ、各自砲撃開始っ!全力で破壊せよっ!」

慌てて攻撃を開始するも、対応が遅すぎた。主力兵器が固まっている辺りに戦艦を投げ付ける弐号機。

「でぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

大音響とともに着弾、大爆発を起こす湖畔の一部。その付近の部隊はほぼ全滅であろうことは、無線からの大量の耳障りなノイズから察する事が出来る。

次々と付近のVTOLを叩き落として行く弐号機。唖然とする隊員たちは慌てて上空で待機する航空部隊に攻撃命令を出す。

ピーーーという警告音。周りには特に向かってくる兵器はない。すると....

「上っ!?」

何十というミサイルが一点に向かって起動を収束しつつある。
刹那、弐号機は飛翔した。空気を歪めながら。

「無駄よっ!アタシの弐号機は、世界一なんだからっ!ママが生きてるってのに、負けるわけにはいかないのよっ!!!!」

ATフィールドを展開しつつ舞い上がる弐号機。次々と炸裂するミサイル群。しかし弐号機にはキズ一つつかない。戦略自衛隊の完全な敗北に見えた....が。

「ケーブルだ!ヤツの電源ケーブルを狙え!そこだけに集中すればいい!!」

攻撃を弐号機後方に集中させる。本来ケーブルの耐久力は過酷な状況でも切れないようにとかなり強化されてはいたが、レールガンや機関砲の前には無力そのものであった。バチバチと火花を上げつつのたうちまわるケーブル。

その瞬間、電源表示時計の表示が「EXTERNAL」から「INTERNAL」に素早く変わり、時計の表示も「8:88:88」から「5:00:00」となる。

死へのカウントダウンが始まった。

「ちいっ!」

思わず舌打ちしてしまうアスカ。状況は相変わらず最悪だ。
生き残る可能性はただ一つ、........全てを破壊するのみ。

弐号機の周りの空気がふっと歪み、そして猛烈な風のようなものが周囲に炸裂する。ATフィールドを全方位に向かって放射したのだ。

あっというまに周囲200m程度に残存するVTOL機が粉々に砕け散る。

電源ケーブルを切ったはずなのにこちらの被害は倍増する一方。
だんだんと恐怖の顔が色濃くなって行く面々。

そこに突然飛び込んでくる通信。その内容は驚愕と言う他なかった。















 



高度6000m。重なるようにして飛翔する9機の黒いステルス機。

そしてその下面に小判鮫のように白い物体がへばりついている。その顔、いや、顔とは言えないその口は、まるで笑っているかのようだった。

そして、9機の輸送機から投下される9体の白い悪魔。























 



アスカは奮戦していた。だが何かが違う。先程と違って攻撃はすっかり止み、撤退する部隊の姿すら見える。おかしい。何かが....

そして、背中に寒気が走る。

止みそうにない。何だ!?

嫌な気配を感じて上を見上げる。太陽の光がまぶしくてよく見えないが...

天使のような羽根

真っ白な機体

....まさか!








 

「エヴァ量産機!.....完成していたの.....」

ただ、量産機の羽根が風を切る音だけが辺りに響いていた。






























 


つづく
 















予告:

 飛来する量産機、奮戦する弐号機。だが現実は過酷だった。
惨状を目の当たりにするシンジ。咆哮する初号機。
そして戦自は、ゼーレへの復讐は、そして世界は.......?

次回、最終話 「しのびやかな夜明け」



















 
 
 
 

Version-1.00 1997-12/??公開
感想・叱咤・激励・「マジっすか!?(意味不明)」等は こちらへ

あとがき

この作品は、夏のエヴァ劇場版を見終ったあと、「映像作品としてのエヴァ」に対する自分なりの一つのピリオドとして書いたものです。

自分のHPにひっそりと掲載していたのですが、生産活動的な「小説を書く」という行為のきっかけを作ってくれた「めぞんEVA」への入居を記念して、大幅な加筆修正を行うことにしました。

そしてこの「もう一つの」25、26話を、「めぞんEVA」に捧げます。

投稿規定により、自分のHPに掲載されていた同作品は削除されています。
(ま、古いのを今読むとかなりへっぽこな日本語だし。もう消すしかねーって (^^;)

万が一HPに掲載されていた古いバージョンをお持ちの方は、速攻で削除するか、今回のと見比べて笑ってやってください。

#...あぁ、それにしても「発狂」というものを表現するのは難しい....
#それとこれ、少し残酷な表現入ってますけど、大丈夫でしょうか (^^;;;

それでは、後日公開の26話をお楽しみに。


 うっ・・・既発表作品ですか(^^;

 めぞんの投稿規定では
  #C:作者自身のページを含む他ページでの発表がなされている物。#
 は、受け取れないことになっています。
  #【めぞんEVA】発表後−−他ページで公開する際は予め当ページから削除願います。#
 でして、既発表場所で削除したからといって”めぞんに転載可”ではないんです。
 

 

 

 1:前に発表されていた場所はさんごさん自身のページで
   後のトラブルの心配はない。

 2:大幅な加筆修正がなされている。

 3:部屋のHIT記念というめでたい物
 

 ”例外”と言うことで受け取らせていただきますm(__)m

 他の投稿者の皆さん
 「私も」は勘弁して下さいm(__)m
 

 

 

 さんごさんの『もう1つの終局』前編、公開です。
 

 ハードだった夏映画をさらに重くした話ですね。
 

 動かなかったシンジが動いて・・・

 しかし、決して良い方向にはでなく・・
 

 心に痛い話なのですが、
 引き込まれて読んでしまいました。

 引き込まれた分ダメージもでかい(^^;
 

 後編ではきっとアスカちゃんが−−−

 もっともっと痛くなりそうで怖いです (;;)
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 部屋1万HITを刻んださんごさんに感想メールを送りましょう!


めぞんに戻る/ TopPageに戻る/ [さんご]の部屋に戻る