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NEW TYPE EVANGELION

第弐拾弐話
ケンスケの活躍


「〜〜〜〜♪〜〜」

前回の使徒戦の傷が癒えぬまま、宇宙戦艦NERVは航行する。

「〜〜♪〜〜♪♪〜〜」

だが、そんな現状を知らない者もまた、いる。

「〜〜♪♪・・・・できましたぁ・・・・今日はケンスケ様、食べていただけるかしらぁ?」

ケンスケの(自称)彼女、桐野マイコ、その人である。









プシューッ!

「ケンスケ様ぁ?居ますかぁ?」

片手に自分の作った料理を持ち、もう片方の手でケンスケの部屋の扉を開くマイコ。

「ケンスケ様??・・・・・・」

いつもの端末の所に居ないケンスケを見て変だと思うマイコ。

「ほぇ?」

とりあえず端末の所まで行ってみようとすると、ふと足元に何かがぶつかった。
ま・・・予想通り(笑)

「け・・・・けけけけ・・・・・ケンスケ様ぁ?!」

ま、案の定・・・というか、思った通り・・・というか、ケンスケはマイコの足元に転がっていた。
もっとも、風貌は通常より違っていたが。

一応記述しておくと、髪の毛は当然、整えられていない。
トレードマークの眼鏡にはフケ、手垢、などかなり汚れている。
髪にはちらほら白いものも見当たる。
頬はやせこけ、目の下にはどす黒い隈がある。
体臭はマイコでなければ気絶寸前。
目は据わっている・・・というより、焦点が合っていない。
ちなみにケンスケの左手にはフォークが握られている。
その先には昨日の夜、マイコが差し入れに来た夕食(手付かず)がある。

簡単に言うと、汚かった(笑)

「ケンスケ様っ!ケンスケ様ぁ!」

マイコはというと、おろおろするばかり。
目からは滝のような涙が零れていたが。









「・・・・・過労よ」
「・・・・・はい?」

泣き喚くマイコの声を聞き、偶然近くを通りすがった赤木博士。
とりあえずケンスケを『赤木印の強制人間洗濯機』にほおりこんで、垢を取り除いた後、
自室へと連れて行き、そこで診察をした。

「だからただの過労。2,3日ぐっすりと療養すればすぐによくなるわ」

一通り診断が終わったリツコは、聴診器を耳からはずす。
当然、聴診器自体は首から下げることを忘れない(笑)

「でもぉ・・・・・」
「入院とかの必要も無し。しっかり看病するのよ。桐野さん」
「は・・・はいぃ!」

マイコは精一杯の笑顔をリツコに見せ、「何故こんな力が?」というような力で
ケンスケを片手で持ち上げ、リツコの部屋を出ていった。

シュボッ・・・

「フゥ・・・・・・・」

リツコは誰も居なくなった部屋で、一人たばこを吹かす。
リツコの吐いた煙は、誰に誘われるでもなく天井の換気扇へと運ばれた。

「フゥー・・・・・・」

今度は少し長めに煙を吐く。
するとこの煙も天井の換気扇へと吸い込まれていった。

「・・・若さ・・・・か」

少しかなしげな目をするリツコ。

「私には・・・・・・・」

言葉を言い終えぬうちに、部屋は暗転していった。









「よいしょ、よいしょ」

マイコがケンスケの部屋に来て一番にしたことは、汚れている部屋の掃除。
昨日掃除したはずなのに、すでにもう汚れている。
汚れがこびりついているということはないのだが、それにもまして部屋が乱雑になっている。
よく見るとケンスケの部屋の中には本が大部分を占めていた。

「ケンスケ様、こういうの読むんですかぁ・・・」

マイコが掃除中に手に取ったのは一冊の本。
題名を「アニメーションにおけるロボット工学とその実践法」といふ(笑)

「どれどれぇ?」

ぱらぱらとめくってみると・・・・

「まじんがーぜっと?・・・・・げったーどらごん?・・・・・あーるえっくすななじゅーきゅう?・・・・・
 えるがいむ?・・・・だんばいん?・・・・・ごーしょーぐん?・・・・こんばとらーぶい?・・・だいたーんさん?
 がんばすたー?・・・・・・だんくーが?・・・・・いでおん?・・・・・えむえすぜっとぜろぜろろく?・・・
 ぜっとぜっとがんだむ?・・・・・えふきゅーいち?・・・・・じーぴーぜろさん?・・・・ごっどがんだむ?
 さいばすたー?・・・・う゛ぁるしおーねりたーん?・・・・ぐらんぞん?・・・・・・
 あ、これはしってますぅ。エヴァですぅ」

何故か最後のページにはエヴァが載っていた。

当然、閑話休題。




「ふぅふぅ・・・・」

一生懸命本を整頓しているマイコ。
その傍らで、ケンスケは未だにぐったりとしていた。

「ごめんなさいねぇ・・・はい、ベッドですぅ」

ようやくベッドメーキングまで済ませたマイコが、ケンスケを片手でベッドへと放り込む。

「ケンスケ様?早く良くなって下さいねぇ・・・」

そういってケンスケの手を取るマイコ。
彼女にはすでに笑顔が戻っていた。
ケンスケの方も彼女の手の温もりを感じつつあった。










「ん・・・・う・・・ん・・・・・・・・ここ・・・・は?」
「あ・・・・・け、ケンスケ様ぁ!」

微かに目を開けたケンスケ。
マイコがケンスケを発見してからすでに3時間経過していた。
その間、ずっとケンスケの手をマイコは握っていた。

「ん・・・・桐野か?・・・」
「はいぃ・・・」
「俺・・・どうしたんだ?」
「ケンスケ様、床に倒れていたんですぅ」
「倒れていた?・・・・そうか、腹が減ったんで食事に手を着けようとして・・・」
「フォークを握ったまま倒れていましたぁ」
「途中で力つきてしまったということか・・・・」
「そうですぅ」
「はぁ・・・・・んっ・・・と」

ケンスケは起きようとする。
当然、マイコはそれを阻止しようとする。

「駄目ですぅ。まだ寝ていたくださいぃ」
「・・・・俺にはやらなきゃいけないことがあるんだが・・・」
「駄目ですぅ。寝ていてくださいぃ」
「だけど・・・」
「赤木博士が言っていましたぁ。過労だって。だから寝ていてくださいぃ」
「過労?俺が?」
「はいですぅ」
「過労・・・・過労か・・・・過労ね・・・」
「2,3日寝ればすっきりするはずですぅ」
「そうか・・・仕方ないな・・・分かったよ。寝ていれば良いんだろ?」
「そうですぅ。あ、ケンスケ様?」
「何?」
「お腹、すいてません?」

ぐぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜

ちょうどよくケンスケの腹の音が鳴る。
ま、お約束。

「そういえばそうだな。えっと・・・・・2日前から何も食べてないや」

と、言いつつ頬をぽりぽりとかく。
どうも照れているようだ。

「分かりましたぁ。それじゃあ今から食事、作って来ますねぇ」
「頼むよ」

なんだかんだ言いつつ、ケンスケはマイコを受け入れていた。
いや、受け入れさせられたと言うべきだろうか?

「じゃ、いってきますぅ」

ぷしゅ〜〜

「・・・・・・・」

ケンスケはマイコの姿がエアロックから消えるとふと考えた。

「はぁ・・・・彼女・・・だよなぁ・・・彼女がいるって・・・こんなに疲れる物なのかなぁ・・・」

結構贅沢な悩みである。

「ま、それより・・・今のうちにメールだけでもしておかなきゃ。えっと・・・シロウさんのアドレスは・・・・」

ベッドから起きあがり、スリープ状態になっていた端末を起こすと、
ケンスケはメールを作成する。
宛先は技術部開発課。
そこの課長で、元日本重化学工業共同体であるロボットの開発責任者をやっていた
時田シロウ、その人である。




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Subject:J-Plan Start
To:"ShirouTOKITA"<ja@magi.nerv.to>
From:"Kensuke AIDA"<k-aida@magi.nerv.to>
CC:"Ritsuko AKAGI"<cat@magi.nerv.to>
  "Maya IBUKI"<cat-cat@magi.nerv.to>
  "Kito YAMAZAKI"<n-eva@magi.nerv.to>
  "Shinji IKARI"<s-a-r@magi.nerv.to>
  "Asuka SOURYU"<l-shinji@magi.nerv.to>
  "Rei AYANAMI"<ll-shinji@magi.nerv.to>
  "Touji SUZUHARA"<otoko@magi.nerv.to>
  "Hikari HORAKI"<cooking@magi.nerv.to>
  "Kaworu NAGISA"<shinji-kun@magi.nerv.to>
  "Misato KATSURAGI"<beer@magi.nerv.to>
  "Ryouji KAJI"<suika@magi.nerv.to>
  "Makoto HYUGA"<l-k@magi.nerv.to>
  "Shigeru AOBA"<guiter@magi.nerv.to>
  "Gendou IKARI"<shirei@magi.nerv.to>
  "Kouzou FUYUTSUKI"<fukushirei@magi.nerv.to>
  "Yui IKARI"<yui-chan@magi.nerv.to>

ケンスケです。

シロウさん、J−プラン、実行に移します。
メインプログラムは98%デバッグ完了です。
設計図は後で暗号化して送付します。
開発費、材料の調達、よろしくお願いします。
後、赤木さんへの報告も。

以上

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はっきり言って、怪しいことこの上ない。

注:メールアドレスに関しては、完全なる作者(Y-MICK)のお遊びです(笑)
  詳しいことは、メールで答えます(爆)









「突如NERVの進行軌道上に現われました。メインモニターにまわします」

ヴァン・・・

メインスクリーンに表示されたのは、前回と同じく黒色の物体・・・・ではなく、
単に星型をした歪な小惑星に過ぎない。
それに、突如現われたといっても監視が不十分だったかもしれない。
この場合、突如という表現は不適切であった。

「単なる小惑星じゃない」
「ですが・・・」
「何か問題でもあるの?」
「進行軌道上に有りますから、進路変更をするか、小惑星自体を破壊しないと
 艦が小惑星に衝突します」
「そっか・・・」
「進路変更して、迂回をすると約1日分の時間のロストが有ります」
「小惑星の破壊の場合は?」
「エヴァ使用で約4時間のロスト、NERVの陽電子砲使用で約10時間のロストです」
「そうなるとエヴァを使用しての小惑星の破壊がベスト・・・」
「どうします?葛城准佐」
「そうねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・」

エヴァ使用ということで、チルドレン達の顔を思い浮かべるミサト。

「(シンジ君は・・・先のことが有るから駄目ね。アスカ、レイは・・・・候補。
  鈴原君は・・・これも候補ね。)」

そして。
「(山崎博士・・・・駄目か。一番手っ取り早いけど、肝心の博士自体がまだリハビリ中)」

ミサトは作戦部長としての脳を存分に働かせた後、一人のチルドレンに決定を下す。

「鈴原君を呼び出して。更衣室で着替えをした後、ケイジに来るように」
「了解」

ミサトはトウジを呼び出す。
チルドレンの中で一番練度が低いであろう、トウジを。








「鈴原君?」
「はい」
「指令よ。NERVの進行軌道上にある小惑星は見たわね?」
「あの”こんぺいとう”みたいなやつでっしゃろ?」
「”こんぺいとう”・・・ま、いいわ。その小惑星を破壊することが今回の指令よ」
「はぁ・・・でもなんでわしだけなんでっか?」
「ま、今回は敵生体ということはないし、シンジ君は当然出せない。
 そうなると一番連度が低いあなたに訓練がてら出てもらおうって訳」
「はぁ、つまり・・・・」
「つまり?」
「『下手だから練習しろ』ってことでっしゃろ?」

トウジはそう言ってわずかに頬を赤らめる。
ま、不気味は不気味だが、一種の照れと見ればまぁ見れないことも無い。

「・・・・ま、そーいうことよ」
「わかったで。ほんならさっそく・・・」

そう言ってトウジはキャットウォークを駆けて行く。
アンビリカルブリッジに入ろうとする時、ミサトが制止をかけた。

「待って、鈴原君。今回はあなたはエントリーするだけよ」
「・・・は?」

間抜けな声を出すトウジ。

「あなたの訓練が目的といったわよね?」
「はぁ・・・そうですが・・」
「あなたのエヴァの特徴、言える?」
「特徴・・・でっか?・・・・」

トウジはない頭を振り絞って考えている。
一応、考えてはいるようだ。

「シンジんは・・・S2機関・・・惣流と綾波のは・・・BH機関付きのニュー・エヴァ・・・」
「で、鈴原君のは?」
「わいのは・・・・・黒いこと・・・」
「・・・・・・・・違うわよ、ぜんぜん」

ミサトの額に青筋が浮かんだ。

「あなたのエヴァの特徴は『E−BIT』でしょ?」
「そう言えば・・・すっかり忘れてましたわ。ここんとこ使ってなかったんで」
「まぁいいわ。鈴原君は宇宙にきてからE−BIT、使ってないでしょ?だから今回はその訓練」

理由は二つある。
一つは、トウジ自身のシンクロ率がまだまだ低いこと。
もう一つは、宇宙慣れしきっていないこと。
他の三人に関してはシンクロ率の高さも手伝って、簡単に宇宙に慣れていった。
だがトウジだけに関してはそうも行かなかったのである。
結果、シンクロ率の低さが災いしてシンジ達より数歩遅れていた。








「エヴァンゲリオン参号機、システムスタンバイ完了」
「了解。エントリープラグ挿入」
「エントリープラグ挿入を確認、ハッチ、閉まります」

シュー・・・ガゴン

エントリープラグが挿入され、そこにハッチが閉じる。

「エントリー開始」
「はい、エントリースタート。・・・・・シンクロ率、56%。以前より2%下がっています」
「そう・・・・いいわ、E−BITの準備はどう?」
「既にカタパルトに出してあります。後は参号機との接続だけです」
「了解。参号機とE−BITのシンクロ開始」
「はい、接続を開始します。・・・・シンクロを確認。E−BIT、参号機の制御下に入りました」

参号機とE−BITがシステム的に接続され、E−BITの瞳に火が入る。

「軸線をチェック・・・・グリーン」
「参号機、E−BIT共に異常無し」
「E−BITのアンビリカルケーブル、接続を確認」
「E−BITの内部電力、102%」
「システムチェック・・・・オールグリーン、いつでも行けます」

発進準備を発令所で目をつむり、聞いていたミサト。
オールグリーンの報を受け、閉じていた瞳を開いた。

「これより参号機パイロットの訓練を始めます。E−BIT、射出」

シャー・・・・ガンッ!

スムーズなカタパルトの射出後、E−BITは目標の小惑星までブースターを走らせる。
トウジ自身が行っているものではなく、これはMAGIのサポートの一つである。
これから始まるであろう、パイロットの大きな負担を軽くする為のシステムの一つである。

「E−BIT、目標との距離約1000」
「E−BIT停止。戦闘形態へ移行」
「戦闘形態への移行を確認」

準備が整ったのを確認すると、ミサトはトウジに指示を出す。

「鈴原君、いい?準備は整ったわ。これより訓練を開始します」

『分かりました・・・・で、どないするんでっか?』

「目標に向かってE−BITの静止状態でパレットライフルの射撃、良い?」

『分かりました、ほな・・・・』

ズガガガガガ・・・・

E−BITは戦闘形態に移行し、パレットライフルを構えてそのまま撃つ。
トウジの方はただトリガーを引くように思うだけなので、さしたる負担も、失敗も無い。

「良好ね、次はX軸方向移動を加えてのパレットライフルの射撃よ」

『・・・んっ・・・・・』

簡単に言えば横移動を加えてパレットライフルの正射である。
やはりE−BIT自体の移動という負荷が加わった為か、幾分か負担が増えている。

「シンクロ率が0.2%低下しています」

そこにマヤの報告が入る。

「やはり地上とは勝手が違うわね」

冷静なリツコの分析も入ってきた。

「ま、それはそうでしょうけど・・・・」
「ゆっくり慣らすことが先決ね。彼にとっては」
「無理も無いか・・・・エヴァに乗っての搭乗時間が格段に低いもんね・・・鈴原君」

実際、乗り物に乗る人間としては『慣れ』が一番重要なファクターをしめてくる。
機体への愛着度、信頼度、なども織り交ざって『慣れ』というものが増大していく。
現にシンジ達に至っては、使徒襲来からずっと慣れ親しんでいることも有り、
膨大な搭乗時間を有している。
逆に地上での後半からの闘いから参加しているトウジは、搭乗時間だけでなく、
愛着度も低いのだが。

『ミサトさん、次は?』

「あ、えっと・・・・ポジトロンライフルを射出するから受け取って」

『了解』

リツコたちとの会話に気をやっているミサトに対して、真剣に訓練に取り組んでいるトウジ。
その姿はシンジたちに一歩でも近づこうという意志の現われなのか。
それとも『守るべきもの』が有るためなのか。




『(・・・・・・・・腹、減ったなぁ・・・・ヒカリのくいもん、食べたいなぁ・・・・)』

・・・どうも違っていたらしい(笑)









そしてその10分後

「シロウさんっ!できたってほんとですかっ?!」
「あぁ、完成した。色々と工面が大変だったがね」
「それじゃあ・・・・」
「さっそく試運転してみようと思う。乗って・・・くれるね?」
「もちろんですっ!シロウさんっ!」

時田とケンスケの背後には何やら巨大な物体が光に照らされている。
見るからに・・・・・・・・・・・・・ロボット。

「ケンスケ君。君の考えた案は全て採用してある。さぁ、乗ってみてくれ」
「はいっ!」









「・・・・葛城准佐、何か変です」
「?・・・どうしたの?」
「いえ、先ほどから『パターン青』が発生しているらしいんですが・・・微小ですけど」
「!!なんでそれを早く言わないのっ!」
「す、すみません。先ほどから感知し始めたので・・・」
「いいわ、すぐにシンジ君たちを招集して」
「り、了解っ!」

ケンスケたちの会話が始まってからすぐのこと、訓練中の出来事である。

「で、検出地点は?」
「はい。E−BITの演習目標でもある・・・・小惑星です」
「そう、なら都合が良いわ。鈴原君、このままE−BITで牽制しつづけて、良いわね?」

『はい』

トウジは再び念じ始める。
E−BITをより早く、より効果的に作動させる為に。

『・・・っ・・・・てやっ・・・・』

ズキューン、ズキューン

E−BITは、動いてはポジトロンライフルを放ち、さらに移動をする。
相手は何もしては来なかったが、何もしてこないという保証はない。
至極当然の戦闘法である。

ズキューン、ズキューン

ポジトロンライフルのビームにより、だんだんと姿を変えていく小惑星。
”コンペイトウ”と称された角は既になくなっていた。
今は・・・ただの球・・・とも言うべきなのだろうか。

ズキューン、ズキューン

あらかた角が取れてきた頃だろうか・・・・・・・




「パターン青を感知っ!ATフィールドですっ!」

ズキューン・・・・・・・・・キィィィン

パターン青が発生したと同時に展開されるATフィールド。
それは小惑星の中心部から発生していた。

ズキューン・・・キィィィン・・・・・ズギューン・・・・・・キィィィィン・・・・・・・

E−BITが放つポジトロンライフルは、まったく効果が無い。

『ミサトはんっ!あきまへんっ!』

「分かったわ、E−BITを一旦戻し・・・・・・・・・」




既にその行動は・・・・・・・・・・・・




遅かった












ガァァァァァァァァァァッッッッ!!!




「小惑星からのパターン・・・・消失しました・・・・変わりに・・・」
「変わりに?」
「E−BITからの・・・・パターン青を検出・・・・」
「まさか・・・・・『また』?!」

地上でのエヴァ四号機の乗っ取り。
これと同じ事が再び発生した。

そう、今回はE−BITが乗っ取られたのである。
そしてただ乗っ取られただけでなく・・・・・・・・




グォォォォォォォォォォォッッ!!!




「なっ・・・・・き、巨大化・・・・した?」

E−BITは使徒に乗っ取られ、その姿を巨大なものへと変貌させる。

「・・・・・・・ハイパー化・・・・・・」

と、誰かが言ったか言わないか・・・









「また乗っ取られたみたいだね・・・・」
「使徒って乗っ取るのが好きなのかしら?」
「そうよねぇ。使徒ってへんよねぇ」

シンジ達は気楽に考えていた。
エヴァではあるが、本来は廃棄予定の不完全なエヴァ。
自分達の力だけで勝てると過信していたのである。

そういう風に過信していると・・・・こうなる。

ババババババババババババババ

「う、うわぁぁっっ!!」
「きゃぁぁ!!!」
「やぁぁぁ!!!」

使徒と化したE−BITは、ATフィールドを展開後、それを全天座標に向け、発射した。
簡単に言えば、拡散ビームを発射したと同じである。

「くぅ・・・・か、回避しきれない・・・・」

シンジは思わずATフィールドでの防御をする。

「うっ・・・くぅぅぅっっ!!」

強力とは言えないが、無数のATフィールドの粒子弾を防御するのに、
苦痛の表情を浮かべるシンジ。

その苦痛が自身のATフィールドのイメージを狂わせる。
そしてそこにATフィールドの穴が出来る。
その穴に粒子弾が舞い込み、機体にダメージを与える。
ダメージはそのままフィードバックし、シンジのダメージへと変わる。

今はそのような状況だった。

無論、アスカやレイも同様の状態であることは言うまでもない。








「準備完了です。いつでも行けますっ!」
「よし、発射するぞ」
「はいっ!相田ケンスケ、JAK、いきま〜〜すっ!!」

極秘裏に作成されたカタパルトによって、原案ケンスケ、
制作時田シロウによる通称JAKが射出された。









ぎゅおぉぉぉぉぉぉんっっっ!!!

無意味な轟音を響かして、JAKは使徒へと近づいていく。
もちろん、(何故か)粒子弾はかわしている。

「よしっ!この辺りで良いだろう・・・・・変形っ!」

ケンスケの無意味な掛け声と同時に、JAKは変形を始める。
ただの鉄の固まりに過ぎなかったものに頭と手がはえ始めた。

きゃしぃぃぃぃぃぃんっっっ(無意味)

「ジェット・アローン・ケンスケ仕様、ただいま参上っ!!」

どっかぁぁぁぁぁぁんっっっ!!(無意味)

「碇、惣流、綾波、俺が来たからには平気だ。跡は俺に任せろっ!」

「「「そう、じゃ、後任せた」」」

「・・・・ホントに行くか?普通・・・・」

シンジ達は、当然のごとく、戦線を離脱してしまった。
ま、そういうものだろう。




「仕方ない・・・俺だけでこいつを片づけるっ!行くぞっ!!」

JAKは懐からハンマーを取り出した。

「てやぁぁっっっっ!!JAハンマーっっ!!」




ぴゅーん・・・・・・・かきん




「むぅ・・・・流石に効かないか・・・・」

JAハンマーと名づけられたものは、見事に使徒のATフィールドにはばまれる。
当然といえば当然だが・・・・

「ならばこれでどうだ。JAフラッシャーっっっ!!」

JAKの背中から5つの砲身が出てきて、ビーム砲を発射する。




どきゅーーーん・・・・・すかっ




なにぶん、砲身が5つ全て別の方向に向いている為、
当たるわけが無い。

「ちっ・・・・いくぞっ!ブレストJAファイヤーッ!」

JAKの胸から(何故か)紅い光線が発射される。




ぎゅぅぅぅん・・・・・・・・・きん




当然、ATフィールドにはばまれる。

「くそっ!JAビームッッ!!」

JAKの額から(何故か)ビームが発射される。




びぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・・・・かこん




「何故だっ!・・・・すぅぱぁ、JAぇ・・・・きぃぃぃぃぃっくっっっっっ!!」

JAKは使徒に蹴りを食らわそうとする。




「しまった・・・・JAKには”足”が無い」

そう、JAKはいわゆる『ジオング』なのである。

「・・・・いっけぇぇっ!すーぱーJA斬りだぁっ!」

何処からか”剣”を取り出して斬りかかるJAK。




ずしゃ・・・・・・・・・・・・・・・すかっ




やっぱり当たらなかった。

「むぅ・・・・・ならば仕方ない・・・・ブラック・ホール・キャノンだっ!」




『待てぇぇぇぇぇぇぇ、使うなぁぁぁぁぁぁっっっ』

NERVから男の大声が上がる。
涙の交じった・・・それでいて血のにじむような・・・




どきゅぅぅぅぅぅぅぅぅん・・・・・・・・・・・しゅぅ




「ふっ・・・・使徒殲滅完了・・・・ん?」

ばちばち・・・・ばちばち・・・

使徒はブラック・ホール・キャノンで消え去った。
だが正規の使用者でないJAKがブラック・ホール・キャノンを使ったので・・・

「ま・・・・まさか・・・・」

『ケンスケ君、その機体は限界だ、機体を捨てて脱出したまえっ!』

「り、了解っ!コアブロックシステム稼動っ!コアファイター、発進っ!」

ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ・・・・・どっかーん

哀れ、JAKは跡形も無く吹き飛んだ。
だが・・・・

「ふぅ・・・間一髪だったな・・・・」

やはりこいつは無事だった。









「ぶぇぇぇぇ・・・・・ケンスケ様ぁぁっっ!!」

ケンスケがコアファイターから降りたと同時に、マイコがケンスケに駆け寄った。

「どわっ!」
「ぶぇぇぇぇ・・・無事ですか?怪我有りませんか?お腹空きませんか?私もらってくれますか?
 ケンスケ様もらってくれますよ?・・・・ぶえぇぇぇぇぇ・・・」

何か意味不明な言葉も混じっているような気もするが・・・まぁ心配していたのだろう。

「桐野・・・・すまなかったな・・・・」

ケンスケは自分の胸にあるマイコの頭を優しくなでる。
言葉は意識して出たものではないだろう。
得てしてこういう場合は、自分自身の本当の言葉が出てしまうものかもしれない。

「ケンスケ様?もうしないでくださいぃぃ・・・」
「・・・・そうだな。JAKが壊れてしまった今・・・・もう俺には・・・・」

コアファイターを見るケンスケの瞳には、薄らと涙が有ったのかもしれない。
半分遊びでは有ったものの、真剣に取り組んだ結果がこれだからだ。

「さて・・・・桐野、飯、食わせてくれる・・・かな?」
「ケンスケ様・・・・・・はいっ!」

精一杯の笑顔を見せ、マイコは支度へと走っていった。

「ま・・・・こんなところ・・かな」

そして苦笑いを浮かべるケンスケがそこには居た。








「わい・・・一体どうなったん?」
「僕たちは・・・どうなったの?」
「そうよっ!なんなのよっ!この扱いはっ!」
「・・・・そう・・・・・・貴方、・・・・**されたいのね・・・・」




・・・・・この話、以上っ!(逃げ)



NEXT
ver.-1.00 
ご意見・ご感想は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!
次回予告

シンジとアスカとレイが・・・・・・・・・・・。

次回、
NEW TYPE EVANGELION 第弐拾参話 初めて。

次回は・・・・ぐふふふ(爆)

あとがき

予想以上に遊びが過ぎてしまった為、結構・・・(他では小さいかもしれないけど)
な量になってしまいました(笑)
20KB以上が目安のこれ、28KBになると大きく感じてしまうんですわ。
ま・・・・その方が良いのかな・・・たまには。

で、中身に関して・・・元ネタは大部分の人は分かるでしょう。
有名だからねぇ・・・
分からなければメールで答えます(さりげない催促(笑))

さて・・・・次回・・・・・・・・・・・・
この小説を書く当初から”何故か”プロットに有ったものがようやくできます(笑)
どうなるかは出来てからのお楽しみ(爆)

#もちろん、この部屋から追い出されはしません。
#もっとも、”別のカタチ”でやることはするかもしれませんが(爆)

とにかく・・・・ま、待っていてくださいとしか良い様が有りませんな。
ではまた次回に。

#しかし如何せん、描写が上手く出来ない。
#最近心理描写の方が楽なような感じがする(笑)






 Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第弐拾弐話、公開です。





 昔の博士達、
 1人で巨大ロボットを作ってしまう博士達。

 凄いなぁと思ってみていたんですが・・・


 ここにも居ましたっ

 時田シロウが!



 1宇宙船の中で(!)、
 リツコさん達の目を盗んで(!!)、

 あんたは凄いぜ!!



 活躍度が”それなり”なのも好感触〜


  かも(^^;



 ケンスケ、目立ったジャン!





 さあ訪問者の皆さん。
 Y-MICK さんに元ネタを教えてもらいましょう!




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