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NEW TYPE EVANGELION
第弐拾参話
初めて。
早すぎたのか、それとも遅すぎたのか。
「ん・・・・・・・・・・あん・・・・・・・・・・」
唇を合わせる二人。
だがその行為そのものが普段とは異質であることは一目瞭然。
「・・・ふぅ・・・・・・・」
この先に待っているのは・・・・・・・・・・
破滅か、それとも・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・ん・・・・・・・・・・・・・」
衝動的な愛欲か。
「ねぇシンジ、アタシ達って・・・知り合って何年・・・だっけ?」
「えっと・・・・僕が4歳の頃からだから・・・11年目かな」
今のシンジの年齢は15歳。
闘いの中、彼は一つ年を重ねていた。
「そう・・・・もう11年か・・・・・早いのかな?遅いのかな?」
「そうだね・・・・僕は・・・・早いと思うよ。時間を気にしなかったから」
「時間を気にしない?それどういう事?」
「・・・・アスカと居る時は・・時間を感じないって・・・・事」
シンジはそう言ってアスカの方とは正反対の方を向く。
照れなのか、彼の頬には赤味が差しているように見える。
「・・・・・・・・」
かく言うアスカもシンジと同じ状況になっている。
頬に赤味を帯び、完全にうつむいていた。
コゥ・・・・コゥ・・・・コゥ・・・・・
辺りには機械的な呼吸音のみ聞こえる。
ドクン・・・・ドクン・・・・・
後、聞こえるのは、自身の鼓動だけ。
ドクン・・・・ドクン・・・・・
唯一宇宙空間を肉眼で見ることが出来るNERVのカフェテラス。
二人しかこの空間には居ない。
宇宙空間の煌き、星々の刻(じかん)の成す業、
全て二人の空間と一体化していた。
『これより本艦は亜光速推進に入ります。各員は所定の位置にお戻りください』
艦内にマヤの声が木霊した。
「あ、もうそんな時間なんだ・・・・アスカ、戻ろう」
「・・・・うん・・・・」
下をうつむき、シンジに顔を見せまいとするアスカ。
先ほどのことで顔が高揚しているだけなのか、それとも他に何か有る為なのだろうか。
NERVは現在、亜光速の中。
つまり、ワームホール中を航行している。
目的地、惑星ゼーレまでは数光年ある。
これを何とかする為、亜光速航行が可能な縮退炉を作成。
現在の航行に至る。
そして、亜光速航行中では無用のトラブルを避ける為、
乗員は航行に必要な者を除いて、全員自室待機となる。
当然、シンジとアスカも自室待機をしていた。
コンコン・・・
自室待機をしているシンジの部屋。
突然のノック音にシンジは飛び起きた。
「だ・・・だれ・・・・?」
「・・・・アタシ・・・・」
「アスカ・・・・今開けるね・・・」
プシューッ
亜光速航行中でも生きているエアロックを開けるシンジ。
その顔には焦り・・・・もしくは驚愕の色がうかがえる。
無理も無い。
現在のこのような状況の中で、来客があるわけはないのだから。
「アスカ・・・なんで・・・・?」
シンジはアスカをベッドに座らせ、自身もまた、アスカの横に座る。
シンジがアスカの顔を覗き込もうとすると、シンジからはアスカの瞳が映らなかった。
「・・・・」
来客したアスカに至っては黙して語らず。
ただ俯き、シンジのそばに居るだけである。
「・・・アスカ・・・・どうしたの?・・・・」
「・・・・」
やはり何も語らない。
いつしかシンジの方も、語りをなくしてしまった。
「・・・・」
「・・・・」
二人は終始、無言となる。
何かきっかけを待っているのだろうか、シンジもアスカも互いにそれぞれを見合う時がある。
だが、互いに目が合ってしまうと、二人とも俯いてしまう。
このような状況がしばらく続いた。
「・・・・」
「・・・・」
まだ互いに無言の状態。
しかし、シンジはこの状況の打開の為、自身から口を開くことを決意した。
「ア・・・・アスカ?何か言いたいことがあって・・・来たんじゃないの?」
「・・・・」
今まで無言であった、アスカが口を開く。
「・・・かったのよ・・・」
「えっ?!」
か細い声であったが、シンジはそのすべてを聞き取ることが出来た。
「そうなんだ・・・・うん。良いよ。そばに居てあげる・・・・・」
「ありがと・・・・・」
再びしばらくの時が過ぎる。
彼らにはもう、言葉が必要でないことは分かりきっていた。
人間の本能をさらけ出し、人間の本能のまま、行動する。
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言葉はもはや、意味を成さない。
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「ごめん、シンジ。結局泊まっちゃって・・・」
「そのくらい良いよ。気にしないで」
「でも・・・・これって規律違反でしょう?」
NERVは軍隊ではない。
だが、集団での生活を円滑にする為、いくつかの規律が設けられていた。
男女が同室で一夜を明かし、朝方に自室に戻る行為も、”一応”規律の範疇であった。
もっとも守るものはほとんど居ないが。
「規律違反でも良いよ。僕はそれでも・・・・」
「そぅ・・・シンジがそう言うなら・・・」
「うん」
「でもシンジ、何か咎められるようなら遠慮無く私にも言ってね。全部話しても良いわ」
「それって・・・いや、分かったよ、アスカ」
「うん。それじゃあ私は部屋に戻るわ。ありがと・・・シンジ」
エアロックの外に出、シンジの唇をついばむようにキスをした後、
シンジの目の前が無機質に覆われた。
エアロックが閉じ、シンジの目からアスカの姿が消えたのだった。
一瞬、喪失感を見せるシンジ。
だがすぐに気持ちを切り替え、昨夜の後片付けに入った。
シンジが片づけているものの中には、”証”が記されていた。
NERVがワームホールを抜け出し、NERV内の時間で朝となっている時、
シンジの部屋からアスカが出てきた。
二人はこの状況を見ている人は居ないと感じている。
だが、それは浅はかであった。
そう、見ていたのである。
レイが。
シンジは部屋の片づけを終えた後、一息いれる為にネルフ内の公園に来ていた。
あまりにも巨大な戦艦であるNERVにはこういうものが完備されている。
「ふぅ〜〜」
公園の隅になってしまったが、開いているベンチを見つけ、腰掛けるシンジ。
「・・・・・」
昨夜の出来事が頭の中に浮かぶのは、至極当然の結果である。
その出来事を思い起こし、顔を赤らめているのもシンジに至っては分かりきっていた。
ディジタルではあるが、公園にすずしげな風が吹く。
公園の木々が人工太陽の照りを適度に遮る。
昨夜の疲れも手伝ってか、シンジは軽い睡眠を欲するようになる。
気づいた時には、シンジは軽い眠りに入っていた。
彼女がそれを見ているとも知らず。
シンジが気づくと、辺りが夕闇に覆われていることに気づいた。
そして左手に何かぬくもりも感じる。
何気ない動作でその行方を見ると、レイが今まで見たことの無いような視線でシンジを見ていた。
「・・・・レイ・・・」
自身への後悔の念か。
一瞬ではあるが、アスカの顔が脳裏に浮かび、すまなそうにシンジは口を開いた。
「・・・・レイ・・・」
再び言葉を口にすると、レイはその言葉に答えるべく、
自身の口を開く。
「シンちゃ・・・いえ、シンジ君・・・・・」
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”人間”故か。
シンジとレイの行為そのものを責め立てるものなど、居るわけはなかった。
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チチチ・・・・・チチチチチ・・・・・・・・
男・・・いや、少年が一人。
すべてを手に入れたのに、すべてを失ったかの表情をしている少年が一人。
彼の運命は既に彼女らに握られているのか。
それともまだ自身で運命を変える術を持っているのか。
色々考えた。
だが、結論に至るわけが無かった。
シンジはしばらくこの考えを止めることに決心する。
既にしてしまったことを後悔することを。
そして、自身の未来を、彼女らの未来を考えることにしようと決心する。
それがどんなに意味を成さないことでも、彼にとっては一番だと考えられるから。
「もう逃げることは出来ないんだ。なら、前を見て歩くしかないんだ・・・」
これを一皮むけたというのだろう。
時折見せる表情は、子供の顔ではなく、少年、いや青年の表情にも見える。
シンジは今、確実に前進した。
次回予告
戦いが激しくなる一方、心の安らぎも得られる。
結婚式。
これが人の心に安らぎを与える・・・・・・
次回、
NEW TYPE EVANGELION 第弐拾四話 結婚
次回はラヴラヴ
あとがき
まず、短さに目をみはるでしょう。
それもそのはず。
これ、じつは「公開版」です。
つまり、公開できない「完全版」があります。
一応めぞんEVAでは投稿規程で完全版は公開できません。
ということで、「公開版」を別に作りました。
とりあえずメールで「完全版」のありかをお知らせしますが、
ここでリンクできるのならそっちに切り替えます。
とりあえずこれに関して言い訳を・・・・(^^;
まず、「やる必要あるんか?」に関しては「ない」が答えです(笑)
なんでやるかというと・・・シナリオ通りなんです。
NEW TYPE EVANGELIONを執筆するに当たり、プロットを創成しました。
それに準じていくと、これがある・・・ということです。
まぁプロットを作った時期は大学生で煩悩大爆発だったから・・・・ねぇ(爆)
シナリオを変えるのも面倒なんで、書いちゃいました(^^;
まぁ・・・いぢめないでください。(笑)
次回はこんな風にはなりません(本当)
期待していて・・・・良いと思います(笑)
では今回はこの辺にて・・・・・・・
Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第弐拾参話、公開です。
はずれたね。
ついに外れたね。
シンジ君のストッパー(笑)
一回こうなると、
もう、
大変〜
かな。
シンジだから大丈夫?
かな。
でも、アスカの方が(爆)。とか。
かな。
意外に、レイが。だったりして(爆爆)
かな。
かなかな☆
さあ、訪問者の皆さん。
完全版をいただきましょう!
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