TOP 】 / 【 めぞん 】 / [Y-MICK]の部屋に戻る/ NEXT
NEW TYPE EVANGELION

第拾九話
ネルフの大三角形





「ねぇ・・・・」




「何?」




「アタシ達って・・・」




「・・・・・」




「恋人同士・・・・なのかな・・・・」


















5日前・・・・・・・・・・・・・・・




「きゃぁっ!」
「わぁっ!」
「うおっ!」

彼らは敵生体「サキエル」の攻撃を受けていた。
無論、地球上の出来事ではない。

現在彼らは・・・宇宙にいるのだ。










30分後・・・・・・・・・・・・・・・・




「ちょっと、シンジ。今のどういうこと?」

顔面を蒼白、そして紅顔と繰り返している少女が言い放った。

「どうもこうもないよ。今言ったとおりのことさ」
「そんな・・・シンジはそう思っているって言うの?」
「そうだよ。僕には今言ったこと以上のことはないんだ」
「そう・・・・・・・・・・・」

アスカはそう言い、うつむく。
彼女に気という物が感じられなくなると、

「良いわ・・・・・・・・・・」

と、一言言い、自室へと向かっていった。

一方、取り残されたシンジはそのアスカを見送った後、
自分自身も自室へと引き上げていった。

結果、冷たい空気のみが残ることとなっていても。










2時間後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「ねぇ、シンちゃん。私じゃ・・・駄目なの?」
「きっと・・・・誰でも駄目なんだと思う。誰でも・・・・・・・・」
「でも・・・・何とかしたいよ・・・シンちゃんのそう言う顔、見たくないもの・・・・」
「・・・・・」

心配そうな顔をしているレイに対し、素っ気ない返事しかできないシンジ。
先程のことがよほど尾を引いているらしい。
何とかしたいレイも、どうにもならないくらい。

「シンちゃん・・・・」

レイは意を決し、自分の顔をシンジに近づけていく。

「・・・・ん・・・・・・・・・・・・・・・」

自分の行為により、男を奮い立たせようと考えた結果である。
自身の願望が込められていないと言うわけではない。
自分自身もこうしたいからした・・・ただそれだけだったのかもしれない。

「・・・・・・・・・・・・・」

だが、その行為も空しく終わる。
シンジの心を自分の唇が埋めることは出来なかった。
それを確認してしまったレイは瞳に水を浮かべ、走り去ってしまう。

「・・・・・・・くっ・・・・・・・・・・」

シューッ・・・・シュゥゥ・・・・・・

走り去ったレイの後には、無機質な扉の開閉音と、
拳を握りしめた自分だけが残っている。

「最低だな・・・僕って・・・・・・・・・・」

結果、後悔する。

「アスカもレイも・・・僕には何も出来ないと言うのに・・・」

さらに悔やむ。

「僕は・・・・・・宇宙まで来て何をやっているんだろう・・・・」

後悔という物は簡単には消えない。
特に先程まで心に張り付いていたことに関しては。










1日前、鈴原トウジの自室。




「そらあかんわ。シンジ、はっきりさせんと」
「そう・・・・なのかな?」

シンジは一人の女性と上手くやっているトウジの所に来ていた。
もちろん、相談に来たのである。

「ま、おまえさんの女難は今に始まったことやないやろ、惣流と幼なじみっつーところからやからな」
「・・・・うん・・・・・・・・・・・」
「気苦労はおおいやろ。でもその反面、良いところもあるやろ」
「そうなのかな?」
「せや、あれだけしたわれとるっちゅーことはある意味、幸福と違うか?」
「う〜ん・・・・」
「だがな」

ここでトウジは一瞬、顔を濁す。

「お前が自覚をしていなけりゃその幸福も半減するで」
「え・・?」
「幸福っちゅーもんはな、二人で築くもんや。ま、シンジの場合はそれが三人になっとるけどな」









3日後・・・・・・・・・・・




「心配しないで・・・僕はアスカとレイを守るから・・・」

だが、所詮言葉で放っただけの事。









2時間後、アスカの自室。




コンコン・・・・・

不意にノックの音がするのをアスカは聞いた。

「アスカ・・・・いる?」

ノックの正体は彼女の一番の友人、ヒカリであった。

「・・・・良いわよ・・・・」

アスカはその問いかけに気のない返事をする。
もっとも気のないのは7時間前からずっとなのだが。


シューッ、シュー・・・・・


そして無機質なドアの開閉の音が聞こえる。

「アスカ・・・・・」

ヒカリはアスカの姿を見た直後、激しい動揺におそわれた。
アスカは自分のベッドの上で膝を抱えてうずくまっていた。
部屋に光はない。
完全な闇の中でうずくまっていたのだ。

「アスカ・・・・・・・・・大丈夫なの・・・・」

この言葉がヒカリがかけられた精一杯の言葉。
もはやこれ以上の言葉をかける勇気は持ち合わせていなかった。

「アタシ・・・・ダメ・・・・・ダメなの・・・・」
「アスカ・・・・・」

アスカの顔をじっくりと見てみると、普段では見ることの出来ない物をヒカリは見つけた。
彼女の・・・アスカの涙の跡である。
ヒカリはアスカが泣いたことなど見たこと無かった。
いや、アスカ自身が見せようとしなかったのかもしれない。
そのアスカが泣いている。
ヒカリはその原因を問いただす決心だけは付けたようだ。

「アスカ・・・どうしたの?・・・何が原因なの?私には・・・・言えないの?・・・」
「ヒカリ・・・・ごめんね・・・・これだけは・・・・こればっかりはヒカリに頼れない・・・・」
「ううん・・・いいの。でもアスカは何でも自分で解決しようとするよね。
 たまにはさ・・・・頼ってよ・・・・・アスカみたく上手く出来ないけど力になることは出来るから・・・
 私だって・・・・アスカの泣いているのみたくないわ。だから・・・・たまには頼って・・・・」
「ヒカリ・・・有り難う・・・・でもこれはアタシの・・・アタシとシンジのことだから・・・・ヒカリには頼れない。
 ごめんね。・・・こればっかりは譲れないから・・・・」
「・・・分かったわ・・・・元気出して。アスカには笑顔が・・・・笑っている姿が一番良いんだから」
「・・・・」
「・・・私・・・行くね」
「・・・・・ごめんね・・・・・・・・・」

結局只の会話だったのかもしれない。
だが、それでもアスカにとっては心に残るであろう会話であった。
親友からの会話だからと言う訳じゃない。
自分以外の人からの会話・・・・・なのだろうか・・・









3時間後、宇宙戦艦NERVシミュレーションルーム




NERVのシミュレーションルーム。
そう名付けられているように、ここはエヴァ起動のシミュレーションを行う場所である。
チルドレンは定期、不定期に関わらずここで度重なるエヴァの起動実験を行う。
無論、宇宙上でも同様であった。

第156回起動実験、被験者碇シンジ。
シミュレーションプラグナンバー01。

「LCL注水、A10神経接続・・・思考回路は日本語をベーシックに・・・」

何度も聞いた起動初期段階の言葉。

「エヴァ初号機改とシミュレーションプラグとの接続、完了。双方向回線、開きます」
「起動実験、開始」
「シンクロ率、出ます・・・・・シンクロ率・・・・・・・・・・・・・・%・・・・・・・」

第178回起動実験、被験者綾波レイ。
シミュレーションプラグナンバー00。

「起動、開始」
「シンクロ率83.7%。前回の実験との誤差、−0.1%」

第95回起動実験、被験者惣流アスカ。
シミュレーションプラグナンバー02。

「起動実験開始、ニュー・エヴァ弐号機との接続、開始」
「シンクロ率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・です」

第30回起動実験、被験者鈴原トウジ。
シミュレーションプラグナンバー03。

「シンクロ率53.2%。前回の起動実験との誤差、+2.1%」









4時間後、宇宙戦艦NERV内レクリエーションプレイス。




NERVには長距離用宇宙戦艦として、人間の心を落ち着かせるための
レクリエーション施設がある。
その顕著の物として、NERV内の一角に第三新東京市のワンブロックがそのまま格納されている。
もちろん、そのブロックには元からあった店舗や、新たに追加された店がある。
そのワンブロックだけみると、地球上の第三新東京市と何ら変わりはない。

そのワンブロックの一つに、小さいが公園がある。
その公園のベンチにNERVの作戦部長、葛城ミサト准佐がいた。

「よ、ミサト」
「・・・・リョウジ、あなたこの艦にいたの?」
「おいおい・・・それは酷いな・・・・」
「あなたの立場というか、役割は全部山崎博士が持って行っちゃったじゃない」
「そりゃそうだが・・・ま、そんな作者上のことはおいといて、どうしたんだ?ミサト」
「・・・シンジ君とアスカのシンクロ率よ」
「あぁ、そういやリッちゃんが嘆いていたな」
「そうよ。その八つ当たりが私にも来たって事よ」
「そうなのか・・・で、彼らのシンクロ率、何%だったんだ?」
「シンジ君が13%。アスカが11%、起動指数ぎりぎりよ」
「・・・・・彼らの最大シンクロ率は?」
「シンジ君が400%。アスカが93%よ」
「・・・・酷いな、それは」
「そうよ。原因は分からないけどね」
「怪我でもしたとか?」
「それはないわね。エヴァのシンクロ率は表層的な身体の異常に左右されないもの」
「となると・・・・心か?」
「そうね。それもとびっきり落ち込んでいるか・・・傷ついているわね。二人の心は」
「・・・子供に戦わせているからな・・・」
「そうね・・・」

ミサトはくらい顔をした後、ベンチから立ち上がって呟いた。

「・・・何とかしなくちゃね・・・」
「そうだな・・・・・・・そういやミサト、話は変わるが聞いたか?このブロックにチャペルが出来るって事」
「聞いたわよ。全く・・・何考えているのかしらね・・・」
「どうだ?俺達も」
「・・・・・考えておくわ・・・・・・・じゃ」

そう言うが否や、ミサトは駆け出した。
後に残った加持は手に持っていた缶コーヒーを一口のみ、
体にたまっていた気だるさを外に吐き出した。

「さて・・・・俺も・・・・やらないとな・・・・・」

ただ、人工的な光がその場を照らし続けていた。









事件解決後




「アンタ達・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「だって・・・・・・だって・・・・・・」
「だってもへったくれもないわっ!一体なんなのよっ!」
「そう言われても・・・・ミサトさん・・・・」
「・・・はぁ・・・・・」

あきれる顔をするミサト。
無理もない。理由が理由だから。

「あきれるわ・・・・そんなことが理由だったなんて・・・・」
「アタシにとってはそんなことですまされる問題じゃないのよっ!」
「はいはい・・・・で、リツコ、二人の起動実験なんだけど・・・」

額に青筋を立てている大人二人の愚痴が仕事によって閉ざされた。

「やり直しに決まっているでしょ?」
「そうね・・・・はぁ、最低だわ・・・・」

そんな二人の大人をよそに、シンジとアスカはまだ口げんかをしていた。

「良いじゃないのっ!そのくらいできないの?約束も忘れたの?!」
「約束って何だよ。僕は知らないぞ、そんな約束をしたの」
「ひっどーい!アタシとの約束を忘れるなんてっ!」
「だから言っているだろ!僕はそんな約束をした覚えはないんだよっ!」
「最低最低ほんっっっっとに最低っ!」

「・・・・平和やのぉ・・・」
「そうね、鈴原・・・・」
「・・・(もぐもぐ)・・・これ、美味いやんか」
「そう?また作るね」

「ケンスケ様ぁ、はい、あーん」
「しょうがないな・・・・あ・・・ん・・・・」
「おいしいですか?おいしいですよね?やっぱりケンスケ様ですぅ」
「おいおい・・・なんだよ・・それ・・・」

「シンちゃん・・・・(TT)」









事件、勃発時。




「シンジ、いつもの・・・・」
「待ってよ・・・・こんな状況で出来る分けないだろ・・・」
「良いじゃない。入るわよ」
「ちょっと・・・待ってよアスカ・・・・・・・わぁっ!!!」

状況を説明すると・・・シンジは今トイレに入っている。
無論、察しの通りである。
そんな中アスカちゃんが「いつもの」とねだってきた。
そんな状況である。

「良いじゃない、減るもんじゃあるまいし」
「良くないよっ!早く出てよっ!」
「仕方ないわねぇ・・・」

そう言ってトイレからアスカちゃんを追い出すシンジ・・・(をいをい)

数分後・・・・

「ふぅ・・・・・」
「シンジ、いつものっ!」
「・・・・・やだよ」
「・・・え?・・・・今なんて言ったの・・・」
「いやだっていったんだ・・・もういやなんだよっ!」
「酷い・・・約束を忘れたって言うの・・・」
「一体その約束って何だよ・・・」
「酷い・・アタシが「1時間ごとにキスして」って言ったらシンジ「うん」って言ったじゃないっ!」
「いったい何の話だよっ!」

これも状況を説明すると、宇宙に行く前の出来事になる。
そのとき、シンジは少々風邪を引いて、熱があった。

「ねぇ・・・・」
「何?」
「アタシ達って・・・・」
「・・・」
「恋人同士・・・なのかな・・・・」

幾ばくかの沈黙。

「・・・・分からないよ・・・でも・・・僕は・・・アスカが・・・・」

熱のせいで柄にもないことを言ってしまうシンジ。
もちろん、こんな事を言ったことなど微塵も覚えていなかった。

「だったら・・・・・い・・・1時間ごとにキスして・・・・証拠として・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

覚えていなかった。

「と言う事よ」
「・・・覚えてないよ・・・」
「酷い・・・・酷いよ・・・シンジ・・・・」
「そんなに言うなら・・・・アスカなんて知らないよ・・・・」
「ちょっと、シンジ。今のどういうこと?」









そして・・・・・・・




「シンジったら・・・・」
「ふっ・・・・・問題ない。あの年頃はしょっちゅうあのような物だ」
「そうかしら?」
「そう言う物だ。自然に収まる」
「そうね・・・・そうなって欲しいわ」
「私たちの息子を見守ろうじゃないか。なぁ、ユイ」
「見守り続けて、来年には孫が出来たりして」
「・・・・・・勘弁してくれ、ユイ」




結局、単なるいつもの喧嘩である。


NEXT
ver.-1.00 1999_03/05
ご意見・ご感想は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!
次回予告

無重力間での戦いに苦戦したシンジ達。
彼らは無重力間での訓練をすることにする。
その訓練はシンジを巡る争いへと進化する。

次回、
NEW TYPE EVANGELION 第弐拾話 特訓?

次回からシンジ達が戦闘で活躍っ!


あとがき

当初の計画ではすでに参拾話完結しているはず・・・・
何処からとちくるったのだろう・・・・

そう、あれは12月末日、仕事の御用納めの翌日・・・
「・・・・暇だな・・・年末調整で金が少しはいったし・・・・PlayStationでも買おうかな・・・」
結局・・・・・買った(笑)
えぇ、買いましたとも。
GUNDAM G-GANELATION でサザビー撃破に燃えたり・・・
TAILS OF PHANTASIA で打倒ダオスに燃えたり・・・・・・・・・
FAINAL FANTASY 8 にかかりっきりになったり・・・・・・・・・・・・

でも結局は仕事が忙しかった、と言うことにしておきましょうか(爆)
ま、とりあえずPSは一段落ついたんで、何とか今年中(^^;には参拾話書きたいですね。
とゆーか・・・・・何とかこれだけでも目処をつけたい・・・・(笑)

さて・・・今回について・・・時系列を乱しました。
ネタは・・・某ナデシコと言っておきましょうか(木亥火暴)
乱れまくっているわけじゃないんで、ま、分かるでしょう(願望)
さて・・・次で・・・ようやく20だな・・・・



 Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第拾九話、公開です。





 犬も食わない
 猫も食わない

   リツコさんの猫なら食うかもしれないけど。
     そりゃもう上手そうに喜々としてパクパクと
       ってなんでやねん。

 喧嘩でした(^^)



 こういう物って、あれだよね、
 理由があほらしい物ほどはた迷惑だよね(笑)



 まあ、
 無事に解決したようだし、
 大きな被害もでなかったようだし、


 めでたしめでたし(^^)   かな?



 保護者の皆さん頑張れお疲れさまでした〜






 さあ、訪問者の皆さん。
 仕事が忙しい(爆)Y-MICKさんに感想メールを送りましょう!




TOP 】 / 【 めぞん 】 / [Y-MICK]の部屋に戻る