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NEW TYPE EVANGELION

第弐拾話
特訓?


宇宙戦艦NERVが冥王星軌道上に達した頃・・・・

「貴方たち、呼ばれた理由は分かってる?」

呼んだ側の問いかけに対し、呼ばれた側の返事は、

「分かりません」
「分からないわよ」
「う〜ん・・・・わかんないなぁ」
「分かりまへんわ」

と、即答する。

「・・・・・・(怒)」

金髪黒眉の女性、赤木リツコは言い放ってしまった。

「貴方たちっ!この前こてんぱんに負けたの覚えてないのっ?!」

怒涛一発。
思いっきり逆鱗に触れていた。

「ま・・・まぁまぁ・・・・リツコ・・・」

額に青筋を浮かべている大学以来の友人に対し、ミサトはそれを宥める。
もっとも、今のリツコを宥める事の出来る人は居ないが・・・

「駄目よ、ミサト。あれだけ無様な負け方をしておいて何も咎めないなんて」
「そ・・・そういうもの・・・かしら?」
「そうよ。本来の戦争じゃあよくて禁固。悪くて銃殺刑物よ、前回の闘いは」
「は・・・ははは・・・」

もう堪忍袋の尾が切れて、宙を漂っているリツコには何も通じなかった。

「「「「・・・・・」」」」

そんなやり取りを聞いているチルドレンたちにはすでに言葉を発する勇気も出てこない。
彼らは確認した。
「リツコさんを怒らせるような戦いはしない事」
彼らの心にはっきりと刻まれてしまった。




「で、それはいいとして、具体的にどうするの?リツコ」
「あなた・・・作戦部長の癖にそんなことも分からないの?」
「へへへへ・・・」

テレ笑いを浮かべながらミサトは鼻の頭をかく。

「困った作戦部長ね・・・ま、いいわ。具体的にはあなたたちに宇宙に慣れてもらいます」
「・・・はぁ」

いきなり慣れるといっても、何をするのか皆目分からないチルドレンたち。
もっとも宇宙に出た事など先の戦闘以外無いのだから無理も無い。
果たしてこれから何が始まるのやら・・・









「具体的に宇宙に慣れるといってもすぐに宇宙に出るわけじゃないわ」
「どういうこと?」
「感覚よ。無重力の感覚を体で覚えない事には話にならないわ」
「そういう物なの?」
「そうよ。で、作ったのが、これ」

前世紀なら水の入ったプールで無重力を体験するだろう。
だが今は2015年。
そういった装置も進化しているのは当然である。

「これよ」

リツコがカーテンを開けたその先には・・・

でっかい水槽。

その中に入っている赤い、いやオレンジ色の液体。

水槽に取り付けられている様々なというより、なぞの機械。

そして一番目をひく・・・・猫印。

「あれは・・・猫印・・・・リツコブランドのマーク・・・・」

もう既に何も言葉を放つ事の出来ない周りに対して、当のリツコはしゃべり始める。

「これが私特製、宇宙空間体験マシン、名づけて”スペースリッちゃんMk−1”よ」

唖然としている周囲をよそに、冷静に説明をしている・・・と思いきや、
最後のセリフの所でわずかに頬を赤らめている赤木リツコ博士。
だったらそんな名前、つけなきゃ良いのに(笑)
彼女はこういったところが意外と可愛いのかもしれない(笑)

ま、それはさておき・・・・

「機能説明をするけど・・・良いかしら?」

フリーズ状態の周囲を溶かして、リツコは機能の説明にはいった。

「これは・・・見れば分かるけど水槽よ。中に入っている液体は見れば分かるわね」

こくこくとうなずく一同。

「中に入っている液体はLCL。粘性抵抗を極限まで減少した特別なLCLよ」

ふたたびこくこくとうなずく一同。

「さらに無重力に近づける為に水槽の周りにATフィールドを張り巡らせたわ」
「・・・・へ?」
「ATフィールドを張る事によって重力そのものを周りからシャットアウト。完全な無重力よ」

あきれる一同。
もはや言葉も無いとはこの事か。

「あの・・・・質問、良い?リツコ」
「何かしら?」
「ATフィールドって・・・なんで張れるの?」
「ふふ・・・良い所に気づいたわね、ミサト。実はこれはね・・・・」
「「「「「実は?」」」」」
「うふふ・・・・・・・科学者には聞いてはいけない事もあるのよ・・・・」

そう言って目の周りにシャドウを作るリツコ。
これは恐い。

「そんな事言わないでいったらどうなの?リツコ」
「良いの?聞いたら・・・・不幸になるわよ」
「・・・・・遠慮しておいた方がよさそうね・・・」

科学者には表と裏が有る。
赤木リツコ博士はそれを今、身をもって証明しただろう。

「ではさっそく訓練にかかるわよ、みんな、良い?」
「「「「はい」」」」

既に水着に着替えているチルドレンたち。
シンジはノーマルのトランクスタイプ、アスカは真っ赤なビキニ、
レイは白いワンピース、トウジは真っ黒なトランクスタイプをそれぞれはいている。
訓練にもかかわらず、アスカだけは場違いな感じがしていた。

「まずはレイ、やってみて」
「はぁい」

どぼんとLCLの中に入るレイ。
LCLなのでボンベなどは必要無い。

「がばばば・・・・・びんばーん・・・」
「?」

エントリープラグの中に居る時のように、会話は成り立たない。
所詮LCLは液体に過ぎない。

「びんばん、ばぼびーぼ!」

それでもレイはしゃべるのを止めなかった。




「リツコ・・・・いいの?これで・・・」
「いいわけないでしょ・・・・これは訓練なのよ・・・・」

そう、技術部主任と作戦部部長があきれている。
その原因を作っているのは・・・
言わずもがな。

「シンちゃん・・・はやくぅ・・・」
「シンジッ!早くしなさいよぉ」
「シンジ・・ほんまにのろいやっちゃなぁ・・・」
「し、仕方ないだろ?!僕は泳げないんだよ」

※注意。翻訳してあります(笑)

「・・・・無様ね・・・・」
「・・・・えぇ、まさしく無様だわ・・・・」

どうも最近この二人、青筋を立てる事が多いような気がする。

「もういいわ・・・・今からエヴァでの訓練に入るから準備してちょうだい」

業を煮やしたリツコは強攻策に出る。




「いい?エヴァは元々汎用機です。だから宇宙での戦闘も極力平気に作られているわ」
「そうなの?リツコ」
「えぇ。だけど宇宙専用とまでは出来ないわ。だから今回、エヴァには姿勢制御バーニアを各所に取り付けました」
「姿勢制御バーニアって・・・なんですか?リツコさん」

既にエヴァに搭乗しているシンジから質問が飛び交う。

「姿勢制御バーニアとは名前の通りよ。エヴァの姿勢を制御する為のバーニア。
 つまり軸線を調整する為のものね」
「そう言う事。通常戦闘はNERVの軌道をXY平面とします。この平面に合わせるバーニアってところかしら」
「バーニアは通常MAGIが管理しています。だからあなたたちはいじる必要はないわ。
 でも緊急事態の場合はマニュアルで操作してもらいますから今回はそれを覚えてもらうわ」

いきなり専門用語が飛び交ってしまったエヴァケイジ。
もちろんチルドレンたちの目には?マークが入っている。

「訳わかんないわよ。ミサト、リツコ」
「あら?そう?」
「あら、そう?じゃないわ。もう少しわかりやすく説明して」
「そう?じゃあ簡単に説明するわ。あなたたちは普段は何もしなくていいわ。MAGIがやってくれるから」
「普段は?」
「そう。普段はMAGIがやってくれる。でもそのMAGI自体が使えない時が出てきてしまったら・・・」
「つまり・・・母艦がねらわれている・・・」
「そうよ。その時はマニュアルで操作して頂戴。今回の訓練はマニュアルで行うわよ」
「・・・分かりました」

そして訓練が始まる・・・・




「そこっ!違うわっ!もっと早くっ!」

「なにやってるのっ!Z軸方向には移動しないでっ!」

「だめっ!傾いているわっ!やりなおしっ!」

「回るなっ!」

怒涛のように飛び交っている言葉の発生源はもちろん赤木リツコ女史である。
普段なら作戦部で行うような訓練なのだが、今回ばかりは技術部で切り盛りしている。
プライドを・・・というより、前回があまりにも無様すぎたのであろう。

「まだ遅いわよっ!」

「いっているでしょうっ!Z軸には移動しないっ!」

「まだ3度傾いているわよっ!」

「だから回るなぁぁっ!」

青筋どころか血管がぶちきれそうなリツコさん。
あぁ、彼女の安息の時はいつなのであろうか(笑)

それはおいといて、
一度宇宙空間に出したエヴァを回収しつつ、リツコはチルドレンたちをブリーフィングルームに呼び寄せた。




ブリーフィングルームでは不機嫌そうな顔をしてリツコが待っていた。

「・・・レイ」
「・・は、はい・・・・」
「あなた、何故Z軸方向に移動するの?」
「わ、わかりませぇん・・・・」

大汗たらたらの綾波レイ。

「アスカ」
「な、なによ!」
「あなたはまだマシね。動作が0.1秒遅れているだけだわ」
「そ、そう・・・」
「でもこれからの戦闘ではその0.1秒が命取りになるわ。まだまだね」
「は・・・はい・・・」

強気のアスカがこの状態。
今のリツコは見るまでもない。

「シンジ君もアスカと同じく問題ないわ。でもできるなら平面上を移動して頂戴」
「は、はい・・・」

シンジの方も顔面蒼白である。

「で、最後にトウジ君だけど・・・」
「はいっ!なんでっしゃろ?」

無意味に元気なトウジ。

「あなた・・・・・論外」
「は?」
「論外よ。回るなんて」

くすくすくす・・・・

レイとアスカから笑いがこぼれる。

「何で回る事が論外なんでっか?」
「ありえないもの。変な操作をしない限り」
「そないもんでっか?」
「だから・・・・あなたには私特製の特訓メニューを追加してあげるわ」

にぃっこり、と笑みを浮かべるリツコに対し、
当然のごとく周囲がフリーズしていたのは言うまでもない。
・・・トウジに合掌。









「リツコ、いいの?これだけハードな訓練して」
「肉体的、精神的負担を私は考慮してないと思ってる?」
「それもそうね・・・でも少しやりすぎじゃない?」
「・・・・そうかしら・・・・でも・・・あの子達が生き残る為には仕方の無い事なのよね」
「あの子達には謝っても謝りきれないものね・・・」
「なんかセンチになっちゃったかしら・・・いけないわね、私ともあろう人が」
「いいじゃない。センチな女性な方が男性にはもてるわよ」
「別にもてたくてやっているわけじゃないわ」
「ふふっ・・・・あなたもそろそろ見つけなきゃいけないじゃない?」
「・・・ほっておいて・・・」

NERVのカフェテラス。
テラスの名の通り、強化ガラスで宇宙空間が見える唯一の場所。
老若男女とわず、人気のある場所の一つ。
だが、この時ばかりはリツコとミサトがその空間を占有していた。
センチメンタルな気持ちを抱いて。









ビーッ!ビーッ!ビーッ!

警報が突如、NERV内に響き渡った。

「何事だっ!」
「強力なエネルギー場を感知っ!」
「前方1時方向にエネルギーの発生源を確認っ!」
「パターン照合・・・・パターン青っ!使徒ですっ!」
「パターン固有波長は第四使徒、第伍使徒をさしていますっ!」

遅れて作戦部長、葛城ミサトがやってくる。

「状況は?」

その問いに冷ややかにリツコは答えた。

「ふたたびの使徒量産型よ。まったく、凝りもせず・・・」
「で、今回はいけるんでしょうね?」
「あの子達が我を忘れなければ」
「分かったわ。エヴァ初号機改、ニュー・エヴァ弐号機を前衛にまわして。
 それぞれ武装はアクティブ・ソードとスマッシュ・ホーク2を持たせて。
 ニュー・エヴァ参号機とエヴァ参号機は後衛、
 それぞれポジトロン・ライフルとパレット・ライフルW、いいわね?」

『E−BITはどないするんでっか?』

エヴァ参号機からの通信。

「無しよ。まだ宇宙空間に慣れきっていないあなたには操作は無理だわ」

『さいでっか、ほな分かりました。』

ミサトは的確な指示をそれぞれに与える。
作戦立案にはあまり力を発揮できない彼女だが、こういった危機的状況からの打破
には定評がある。

「エヴァ各機発進。後、NERVは一斉援護射撃。味方にあてないでよ」
「了解、エヴァ各機発進スタンバイ」
「NERV陽電子砲、発射軸修正完了」

準備が整い、ミサトの怒涛一声。

「発進っ!」

再び戦いが始まる。









キューン、キューン・・・・

ズガガガ・・・・

ヒュンヒュン・・・・

ズシャッ!

NERVと使徒との間に閃光がほとばしる。

ガガァンッ!

「・・・くっ!右舷からの攻撃が手薄よっ!弾幕張ってっ!」

『なめんじゃないわよっ!!』

ズシャッ!

真紅の機体は烏賊状の敵を真っ二つに切り裂く。

『いっけぇぇぇっっ!!』

キューーーーンッッ!!

蒼の機体からは一乗の閃光、そして数箇所からの爆炎。

『でやぁぁっ!!』

ガガガガガガガガ・・・・

黒の機体からは劣化ウラン弾の嵐。
そして風穴の開いたキューブ状の敵。
・・・・かつ、爆発。

『はぁぁっっ!!』

ズシャッ!ズシャッ!ズシャッッ!!

紫の機体は迫り来る敵を次々と切り刻む。




「ちっ!やっぱりきりがないわね」
「ですが現状を把握するとこちら側が断然有利です」
「殲滅は・・・時間の問題・・・か」

初期配置では使徒が100体に対し、エヴァは4機。
だがエヴァ1機に対し、殲滅数はゆうに20体を超えていた。
使徒の全滅は時間の問題である。





「き、巨大なエネルギーを感知っ!二つありますっ!」
「えっ?!使徒?!」
「パターン青っ!波形パターン・・・第四、伍使徒ですっ!」
「どうなっているの・・・・」

『巨大なシャムシェルと・・・・・ラミエル?!』

「し、信じられません・・・・ATフィールドの発生を・・・確認・・・・」
「ATフィールドを?つまり・・・・」
「ただの雑魚ではないって事ね・・・」

オリジナル・シャムシェルとオリジナル・ラミエル。
攻撃方法などは同じだが、ATフィールドの威力がまるで違う。
エヴァでさえ中和がやっとのほどだ。

「・・・・レイ、今からポジトロン・スナイパー・ライフル2を射出するわ。受け取って」

『了解』

「シンジ君はアスカと共に第四使徒、お願い」

『分かりました』
『分かったわ』

「射出。いい?」
「いつでもいけます」
「射出っ!」

地球での闘いで使用されたポジトロン・スナイパー・ライフルをネルフ・・・赤木博士が回収。
改良に改良を重ねたリツコブランドの一部である。

ガシッ!

『到達完了。ヒューズチェックよし、ジェネレーターとの結合、完了』

レイはポジトロン・スナイパー・ライフル2を受け取ると、すばやく発射準備に取り掛かる。

『安全装置解除・・・・いっくよぉぉっ!シンちゃんっ!アスカッ!射線上から離れてっ!』
『分かったっ!』
『頼んだわよっ!レイっ!』








光が暗闇を走る。

その射線上には十字にかたどられた光があった。

宇宙空間だからであろう。
その十字の光は均一に広がっていった。


光が消えた後、残されているものは紫、赤、黒のエヴァと・・・・
白煙を上げている青のエヴァだけであった。



NEXT
ver.-1.00 
ご意見・ご感想は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!
次回予告

シンジを死の淵へと誘った使徒が再び現れる。
記憶を呼び覚ますシンジ。
使徒は容赦なくアスカとレイを・・・

次回、
NEW TYPE EVANGELION 第弐拾壱話 過酷な運命

次回は少しハードっ!

あとがき

いやぁ・・・・・なんだろ。
これをかいているのはぢつは仕事中だったりする(爆)
いけないねぇ・・・・俺(笑)
まぁ事実こういう状況の方がはかどる事には違いないんだが・・・

とまぁ状況はおいておいて・・・内容について・・・・
宇宙空間における考えなんかはまるっきりガンダムに依存しています(笑)
だから間違いがあっても、受け付けません(爆)
まぁそんなところでしょうか。
ちなみにオリジナル武器のリストは・・・・HTMLであるんで、欲しい人はメールで(いるか?)
おっといいそびれた。
今回、前回の予告と内容が違うのは・・・私が忘れていただけです(笑)
許して m(_ _)m

これでようやくシナリオの3分の2(笑)
後10話ものこっているとは・・・・(爆)




 Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第弐拾話、公開です。





 赤木博士の能力開発プログラムで


  すこーしずつ宇宙になれて、
  ちーっとずつ戦えるようになり、
  じわじわーっと戦力アップっっ

 ですよね(^^)


 いやいや・・・

 「すこし」どころか、「かなり」だ♪




 前回は大大大苦戦だった使徒軍団を
 今回は自分たちの力でっっ



 この調子☆





 さあ、訪問者の皆さん。
 給料泥棒(爆  クビにならないでね(^^;)Y-MICKさんに感想メールを送りましょう!






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