僕が気持ちよーく眠っているところに聞き慣れた幼なじみの声が僕をかすかに目覚めさせた。
その幼なじみの声の主は惣流アスカ。
僕、碇シンジの天敵の1人である。
「ようやくお目覚めね、ばかシンジ」
「何だ、アスカか・・・」
「何だとは何よ!こうして毎朝遅刻しないように起こしに来てやっているというのに!
それが幼なじみに捧げる感謝の言葉ぁ?」
そう、アスカは毎日起こしに来てくれているのだ。
そのことに関しては感謝しているのだ。
起こし方以外に関しては・・・。
「ああ、ありがとう・・・。だからもう少し寝かせて・・・」
「何甘えてんの!もぉ、さっさと起きなさいよっ!」
そう言ってアスカがすごい勢いで僕の布団をひっぺがすと・・・・。
「・・・!」
ばちぃぃぃぃん!
「きゃぁぁぁ!エッチばか変態っ信じられないっ!」
そう言ってアスカは僕の頬にきれいな”もみじ”を作ってくれた。
「しっ、しかたないだろ!朝なんだから」
男なら誰しも経験があるだろう。
つまり”朝の膨張現象”である。
夜にどんな夢を見ても、たとえ変な夢でなくても元気な男なら朝はこうなってしまうものである。
だが、この膨張現象を女性に見られると結構恥ずかしいものである。
「シンジったら・・。せっかくアスカちゃんが迎えに来てくれてるっていうのに。しょうのない子ねえ」
この声の主は碇ユイ。
つまりシンジの母親であるのだが、これがまた若く見えること見えること。
シンジの年の離れた姉と言われても不思議はない(ちょっちオーバーかな?)
「ああ」
曖昧な返事をしたのは碇ゲンドウ。
いかにも髭のおっさんという感じのシンジの父親である。
「あなたも新聞ばかり読んでないで、さっさと支度してください」
「ああ」
「もうっ、いい年してシンジと変わらないんだから」
いい加減あきれているユイさんである。
「君の支度はいいのか?」
「はい、いつでも。会議に遅れて冬月先生にお小言いわれるの私なんですよ」
「君はもてるからな」
ゲンドウのこの言葉に対してユイは誰でも分かる(?)様な照れを見せた。
「ばかいってないでさっさと着替えて下さいっ」
「ああ、分かってるよ。ユイ」
「ほら、さっさとしなさいよっ」
「分かってるよ。ほんとにうるさいんだから、アスカは・・」
「なぁんですってぇ!」
ばちぃぃぃぃん!
今日2回目である。
そして数分後・・・。
「じゃあおばさま、行って来ます」
アスカはそう母さんに挨拶をし、またきれいな”もみじ”を作ってあげたシンジを押して出ていった。
「行って来ます・・・」
「はい、行ってらっしゃい」
そう言った具合にして僕は家を出た。
「ほらもう、あなた、いつまで読んでいるんですか?」
「ああ、分かってるよ。ユイ」
ゲンドウはまだ新聞を読んでいた。
僕たちは走っていた。
いつものことである。
まあ僕が寝坊だからいけないのだが・・・。
「今日も転校生が来るんだってね」
僕は走りながらアスカに話した。
「まぁね。ここも来年は遷都されて新たな【首都】になるんですもの。どんどん人は増えていくわよ」
「そうだね。・・どんなコかなぁ。かわいいコだったらいいなぁ」
僕がそう言うと、アスカは明らかにいやそうな顔をした。
「ハァハァ。・・ああっ遅刻遅刻ぅ。初日から遅効じゃぁかなりやばいって感じだよね」
トーストをくわえながら走っている少女がいた。
どーでもいいがどーやってしゃべっているんだ。君は?
僕たちある曲がり角まで来たそのとき・・・。
「むあぁっ!」
「うあぁ!」
ごっちぃぃん!
僕はものの見事に誰かとぶつかってしまったのである。
「っつー、痛ったぁ」
僕が頭をさすりながら誰だろうと見てみると、それは見たことのない制服を着た女の子だった。
「あいたたたた」
そのとき僕は一瞬(ををっ!)と言いそうになるような景色を見ていた。
「んっ!」
女の子は自分の状態に気づいてあわててスカートを押さえ込んだ。
「えへへ。ごめんねぇー。マジで急いでたんだ。ホントごめんねー」
そう言うと女の子は足早に去っていった。
「はぁ・・・」
僕は走り去っていく女の子をただ呆然と見ていた。後ろでむっとしているアスカには気づかずに。
僕の机には落書きがある。ただの落書きならいいのだが、それがなんと僕とアスカの相合い傘なんだ。
アスカがそれを見つけたときのぐちゃぐちゃに消してそのあとに「あんたバカァ!」の落書きを残していったのだからたまったものではない。
相合い傘を書いた犯人は分かっている。
鈴原トウジという関西弁の男で僕の友達の一人だ。
「ぬわにぃぃ!で、見たんか?その女のパンツ」
そのトウジに登校時の出来事を話した所こんな返事が返ってきた。
「別に、見たって訳じゃ。・・・チラッとだけ」
僕はチラッとというのを手で表現した。
「かーっ!朝っぱらから運のええやっちゃなぁ」
トウジは(ええなぁ、ワシもみたかったなぁ。)と言った感じだ。
そのとき、トウジの耳が突然引っ張られた。
「いて、いてててて、いきなし何すんや。もぉ、イインチョ」
「鈴原こそ、朝っぱらから何ばかなこといってんのよ!」
声の主はクラス委員長の洞木ヒカリ。
何かにつけて鈴原にちょっかい(?)を出してくるところというと委員長はもしかして・・・。
「ほら!さっさと花瓶のお水変えてきて!週番でしょ!」
「ほんまうるさいやっちゃなぁ」
そんな委員長の心にトウジは全く気づいていない。
「何ですってぇ!」
どうのこうのいってもトウジはしかたなさそうに委員長のいうことはほとんど聞いている。
「尻に敷かれるタイプだな、トウジって」
僕は隣に座っていた友達の一人、相田ケンスケにそっとつぶやいた。
「あんたもでしょ!」
間も入れずにアスカがつっこみを入れてきた。
「何で僕が尻に敷かれるタイプなんだよ!」
僕もすぐ反論する。
「何よ!、ホントのこといったまでじゃないの!」
「なんでだよ!」
「見たまんまじゃない!」
「アスカがいつもそうやってぽんぽんぽんぽん殴るからだろ!」
「あーっ!うるさいわねぇ!ばかシンジ!」
僕たちが、周りがいうところの「夫婦喧嘩」をしているところ、
「平和だねぇ」
ケンスケが本当に平和そうな顔でつぶやいていた。
するといきなり外に爆音が飛び交ってきた。
僕はすぐに窓際まで駆け寄ると、トウジも、ケンスケにいたっては愛用のビデオカメラを回しつつ駆け寄った。
すごいブレーキ音とともに駐車場に細分の狂いもなくぴたりと車を納める。
ちなみに私(作者)は免許を持っているにも関わらず、車庫入れが”ど”下手です。
まぁ、それはおいといて・・・。
「ををっ!ミサト先生や!」
真っ赤な車からは一人の女性が姿を現した。
彼女は葛城ミサト先生。僕の担任の先生だ。
先生が僕らを見つけVサインを送った。当然のことながら僕らはそれに答えた。
「をををーっ!やっぱええなぁ、ミサト先生は」
トウジがそう言うと、
「何よ!3バカトリオが。バッカみたい」
3バカトリオとは、僕、トウジ、ケンスケのことである。
いくらなんでもこれはうれしくない。うれしい奴はいないはずだ。
キーン コーン カーン コーン
「きりーつ、れいっ、ちゃくせき!」
委員長が号令をかけ、ホームルームが始まる。
「喜べ男子!今日は噂の転校生を紹介する!」
ミサト先生がそう言い放つと女の子が入ってきた。
「綾波レイです。よろしく」
ん?どこかで見たぞ。あれは・・・。
「あぁーっ!あっ、あんた今朝のパンツ覗き魔!」
そうだ、今朝ぶつかった女の子だ。
でもパンツ覗き魔はちょっとひどい、僕が反論しようとすると、
「ちょっと!言いがかりはやめてよ!あんたがシンジに勝手に見せたんじゃない!」
アスカが僕が反論するより速く反論した。
「あんたこそ何?すぐにこの子かばっちゃってさぁ。何?できてるわけ、二人?」
「ぅ・・・、た、ただの幼なじみよっ!うっさいわねっ!」
アスカが珍しくたじろいた。それに何か赤くなってる。何でだろう?
そう思っていると委員長が会話に割って入ってきた。
「ちょっと!授業中よ。静かにしてくださいっ!」
「あらぁ、楽しそうじゃない。あたしも興味あるわぁ。続けて頂戴」
ミサト先生がそう言うと、教室中がどっと笑った。
この時からシンジは自分の運命が思いっきしくるい始めたことに気づくわけはなかった。
いきなりつれてこられた見知らぬ場所。そして・・・。
次回、
NEW TYPE EVANGELION 第弐話 動き始めた運命の時計
次回も、さーびす、さーびすぅ。
はじめまして、Y-MICK といいます。
私のこのような駄文を読んでいただいてありがとうございます。
まずお詫びなんですが、第壱話は弐拾六話のあの世界そのままになってしまいました。
第弐話は私のオリジナルになります。(たぶん)
まぁこんなかんじで書いていきますのでよろしくお願いいたします。
Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第壱話、公開です。
ケンスケ曰くの平和な平和な学園EVAの世界(^^)
しか〜し!
あのプロローグを忘れてはいけない。
あのシリアス伏線張りのプロローグを!
ここで裏をかいてほのぼの路線と言うことは?!(^^;
あとがきを見るからには
そう言うことは無さそうですが・・
これもミスリードとか・・・
うっ
何だか疑り深くなっているな(^^;
反省(^^;;;;;;
さあ、訪問者の皆さん。
鈍感でないシンジを描くY-MICKさんに感想メールを送りましょう!