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「やはり3rdでは無理だったな」
「1stが目覚めたらかなうものなどいないぞ」
「目覚めねばよいのだ」
「左様、1stは目覚めなければ微弱な存在に過ぎないよ」
「1st・・・恐れるべきはその覚醒・・・」
「だが1stの様々な能力も無視は出来ないぞ」
「1stのエンジェル・・・今はまだ力が回復していないと見える・・・」
「今のうちに覚醒させずに奴を捕らえるかもしくは殺さねばな」
「なら適任がいる。・・・4th・・・このものなら1stに容易に接触できるだろう」
「その間に殺す・・・・こういう事だな」
「4thを出せ。この者による1stの追尾を任ぜよ」
「分かった」
「では又の機会に・・・」
「「我らこそに福音を・・・」」

サウンド・オンリーでの会議。
つまりその場にその人間はいない。
他人を恐れ、他人を信用しないばかりに、できてしまった会議法。
何の感情も存在しない場所である。






Neon Genesis Evangelion
Angels Battle Story


第3話 彼女を想う少年




「シャル=ルードヴィヒです。よろしくお願いします」

おおおおお・・・・・・

教室に木霊する男達の声。
今日、俺が通っている学校に転入生が来た。

「何よ、あの娘。外国人だからって・・・」
「あれで14歳ですって。なんか幼そうなのに」
「やな感じよねぇ・・・」

一方、女達の反応は反抗的だった。

「シャルさんはドイツから来られた留学生です。仲良くしてあげてくださいね。
 では席は・・・碇君の隣が空いていますね。そこに座ってください」
「分かりましたわ」

担任の教師の指示により、その転入生は俺の横に座った。
その結果、俺はアスカと転入生に挟まれる形になった。
そして何か異様な視線を感じたのも、その時だった。
男達による、嫉妬の視線。
こう分かるのにはもうしばらく時間がかかった。

「よろしく、碇さん」
「あぁ」

俺がその転入生と話すと、感じた。

刺客。

彼女は組織が送り出した刺客であることに俺は気づいた。

「確か・・・4thだったかな」

俺は誰にも分からない声で4thに話し掛ける

『良く分かったね。そうよ、私よ』

「なぜ攻撃して来ない」

『してもいいけど・・・なんかやなの。ここで戦うの』

「そうか、俺としてもその方がありがたい」

『そうだよね。お兄ちゃん』

4th=シャルと俺は兄弟みたく育った間柄だ。
もっとも、1年前から俺とシャルは別々になってしまったため、
その後どうなったのかは分からずじまいだった。

「しかしシャル・・・おまえ12歳じゃなかったか?なんで中学校に・・・」

『んとねぇ・・・・お兄ちゃんと一緒にいたかったから・・・かな』

こんな事言って、シャルはにぱっと笑う。
俺もこの笑顔には力が抜けてしまうのを感じる。

シャルはその後、俺に付きまとった。
そんなおれたちを周りはいい目をしなかった。
無論、アスカも例外ではなかった。

「何よあの娘・・・アタシのシンジを奪って・・・」

アスカは俺の後をついてきながら、終始俺達に非難の言葉をぶつけていった。
彼女なりの嫉妬だろう。




「ねぇ碇さん。お昼はどうするんですか?」
「昼はユイさんが作ってくれた弁当がある」
「そうなんですか、では私と一緒に食事にしましょう」
「あぁ、構わない」

シャルは通常は俺のことを『碇さん』という。
だが守秘会話では『お兄ちゃん』という。
何かギャップがあって反応しづらい。
出来ればどちらかに統一して欲しいな。

「碇さん、今度は私がお弁当を作ってきても構いませんか?」

突然、シャルは変なことを言い出した。

「別に俺としては構わない。それと俺のことを呼ぶのを統一してくれないか?シャル」
「分かったわ、お兄ちゃん」

シャルの言葉に突然、アスカが目を見開いて驚いた。
無理もないだろう、知り合いだと分かってしまったのだから。

「アンタ達・・・知り合いなの?」
「そうだ」
「そうよ」

そしてアスカは再び驚いた顔になった。
ふっ・・・こんな顔も・・・たまにはいいな・・・・

「俺達はいってみれば兄妹みたいなものだな。あるところにいた頃からこんな感じだったからな」
「そうね、お兄ちゃん。でも私はお兄ちゃんのことは好きだからね」
「分かってるよ。そんな顔でにらむな、シャル」

俺とシャル・・・組織内で育った人間・・・
この中に・・・あいつがいたら・・・・元の関係に戻れるのかな・・・

いや、止めよう・・・あいつは死んだ身・・・考えるだけ・・・無駄か・・・

「お兄ちゃん、何考えてるの?」
「いや、何でもないよ、シャル」
「そう?ならいいけど」

シャルは俺のことをいつも心配してくれている。
だがここにきて気がかりなのが一つ・・・シャルは刺客だということだ。
そう、シャルは俺を殺しに来た刺客の独りなのだ。
俺はあいつのためにも逃げ延びなければならない。
死んでいったあいつのためにも・・・・

そうなると自然とシャルを倒さなければならない。
出来るのか?俺に。
出来るのだろうか・・・・シャルを・・・妹を倒すことが・・・




「シンジ、帰りましょ」
「あぁ」

放課後になった。
シャルはそのまま俺の側を離れなかった。
何をしてくるでもない、前と同じように俺に接してきていた。

「シャル、お前はどこに住んでいるんだ?」
「私、今はホテルで一人暮らしだよ」
「そうか・・・大丈夫か?」

俺はシャルを心配する。

「大丈夫だって、お兄ちゃんみたいに不器用じゃないから」
「そうか・・・気をつけろよ」
「うん、お兄ちゃんもね」

俺はシャルと別れて、家路にと急いだ。
これから何が起こるとも・・・
俺が苦しむということも知らずに・・・・・・・

そう、これからなのだ。
俺の戦いは・・・










新世紀エヴァンゲリオン
天使戦記

No.03 Boy thinks Girl










逃げられやしないのだよ・・・君は

逃げ延びてみせるっ!!

無駄だ・・・お前がどこに逃げようが、我々には手に取るように分かるのだよ。

そんな事が・・・・出来るはずないっ!

それが出来るのだ・・・・我々にはどんなものをも見渡す「目」があるのだからな。

くっ・・・

あきらめろ・・・お前は逃げられやしないのだ。

いや・・・逃げ延びてみせる・・・・・逃げ延びなければならないのだっ!俺はっ!

あの娘のことだな・・・・くくく・・・・・今に真実を知ることになる・・・・くくく・・・・

みていてくれ・・・俺の・・・・・愛した人よ・・・・・俺は逃げ延びてみせる・・・




がばっ!

はぁはぁはぁ・・・

「また・・・・夢か・・・・くそっ!」

また夢をみた・・・・
俺が逃げているのにもかかわらず、必ず見つけられる夢。
どうあがいても逃げられない夢。

「本当に・・・・俺は逃げられないのか?」

時に俺はこんな事を思ってしまう。
逃げられない。

だが、俺がこれを思うと必ずあの娘の顔が浮かぶ。




『いい?あなたは逃げて。そして・・・・幸せになって・・・・』
『しかし・・・・・君をおいては・・・・・』
『いいの・・・私はもう駄目。あなただけでも・・・』
『・・・分かった・・・・・いつか・・・・・必ずお前の魂を・・・・開放してみせる・・・』
『がんばって・・・シンジ・・・・私はいつもみているわ・・・』
『くっ・・・・・・』
『さぁ、行って。私に構わずあなたは逃げて』
『・・・分かった・・・』




俺は心の奥に傷がある。
あの娘を死なせてしまったという傷が・・・

そして呪縛されている。
あの娘の魂によって・・・

俺は・・・・やって行けるのだろうか・・・




「シンジ、起きてる?」

俺が夢のせいで朦朧としていると、アスカが声をかけてきた。

「あぁ、起きている。少し待ってくれ」

再び現実の世界に戻ってきた俺。

「ふぅ・・・・」

俺はため息を吐く・・・そしてあの娘を思い浮かべる。
そして・・・・アスカとシャルを思い浮かべる・・・・

俺にとってかけがいの無い人物・・・
殺させる・・・・殺すわけにはいかないだろう・・・・
あの娘の願いの一つだからな・・・・




「おはよ、お兄ちゃん」

シャルは昨日と同じ笑顔で俺に接してくる。

「あぁ、おはよう、シャル」
「今日も一緒にいようね、お兄ちゃん」
「ふっ・・」

俺はシャルの笑顔につられて自然と笑顔が出てくる。
なんか・・・・いい感じだな・・・・

「なによぅ・・・・・・ぶぅ・・・・・・」

後ろで無骨な顔をしているアスカを、俺は気づきはしなかった。




授業は程なく終わった。
いつものように、退屈な授業。
大学までの講習を受けている俺にとって、
中学生の授業は退屈以外の何者でもなかった。

「お兄ちゃん、一緒に帰ろ」
「あぁ」

シャルも同様だ。
シャルは高校までだが、やはり中学の授業は退屈らしい。
そんなことで、俺に接してくる機会も多くなっていた。




「シャル・・・・お前は・・・・刺客なのか?」
「そうよ」
「なら・・・なぜ攻撃してこないんだ?」
「それはね・・・・今から攻撃するからよっ!!!」

ピシャンッ!!ピシャンッ!!

突如、シャルが攻撃してきた。

俺は不意をつかれたせいもあり、少しばかり傷を負ってしまった。

「なぜ今ごろ?!」

『簡単な話よ、不意打ち、これをやりたかったの、私』

シャルは俺達だけに分かる会話をしてきた。

今アスカはいない・・・・戦闘が・・・・開始する・・・・




ピシャン、ピシャン、ピシャンッ!!!
ズガァァン、ズガァァン!!!

シャルの武器・・・シャムシエルの能力、光の鞭。
その攻撃が無数にわたって俺を追いつめて行く。
切り刻まれた残骸と共に。

『どうしたの?攻撃してこないの?』

「・・・出来ん・・・・シャルに攻撃は出来ん・・・・」

『そう・・・・ならあなたを殺すわっ!!』

「ちっ!!」

シャルは容赦なく俺を攻撃してくる。
鞭の洗礼、まるで受けているかのようだ。

『どうしたどうしたぁぁっ!!!』

「えっ?!」

ビシャァァァッッ!!!

戸惑った。
そのせいで俺は背中にかなりの傷を負ってしまった。

『どうした?何か気になることでもあったか?』

「これは・・・・・・貴様、13th・・・・・だな」

『ほう・・・的中したな』

13th・・・他人を乗っ取る能力『バルディエル』をもつ男。
ということは・・・・シャルは乗っ取られて・・・いるということか・・・

「貴様・・・シャルを乗っ取ったな」

『そうだ。こいつはお前と仲が良かったからな。だからそれを利用しようとあのお方は考えた。
 だがこいつ・・・・4thはそれを断った。だから俺が出てきたという寸法さ』

「貴様・・・・・」

『と、いうことでお前には妹によって死んでもらうよ、覚悟するんだね』

ピシャンッ!ピシャンッ!!

再び繰り出される鞭の嵐。
シャルを木津ずつ蹴られない俺は、逃げるしかなかった。

どうすればいい・・・・どうすればシャルの中にいるあいつを追い出せる・・・

俺は今は攻撃の回避と、そのことで頭がいっぱいになっていた。




思い付かない・・・・シャルを助ける方法が思い付かない・・・

俺は考えた。
今ある力でシャルを助ける方法が無いかと。

奴と同じ「バルディエル」・・・・シャルのからだが崩壊してしまうだろう。

「イロウル」・・・・論外。

「レリエル」・・・・これも論外。

「アラエル」・・・俺の力がもたないかもしれない。

「アルミサエル」・・・これか・・・・これしかない・・・・のか・・・・

俺は考え抜き、「アルミサエル」の力を発動することにした。
「アルミサエル」・・・相手に接触することにより、相手の精神に入り込む力・・・
今はこれを頼るほかないだろう。
シャルの精神に入って、そこに巣くう13thを追い出す以外には・・・・

やるしかない・・・・・俺は結論した。




ゆっくりと近づく。

ピシャンッ!ピシャンッ!!

その間にも、光の鞭は容赦なく俺をたたきつける。
しかしそれに負けるわけにはいかない。
俺はATフィールドを出来るだけ使い、徐々に・・・徐々にではあるがシャルに近づく。

『俺を引き剥がそうというのか?でも無駄だ。俺は強いからな、誰よりも』

13thはシャルの顔を使い、不敵な笑みを浮かべる。

「御託は・・・・・いい・・・」

ザッ!!

俺はスピードをつけ、最大戦速でシャルに近づいた。

あと10m・・・5m・・・・3m・・・・1m・・・・

ガシッ!

俺はシャルの両肩をつかむ。
接触が確認されると同時に、「アルミサエル」の力を発動した。

『何っ!まさか・・・・「アルミサエル」だとっ?!』

「バルディエル」に勝てる唯一の力。
だがしかし、使用の際の反動は大きい。
下手をすると俺の命が無い・・・だろう。

だがそんなことを言っていることなど出来はしない。
俺は躊躇無く「アルミサエル」を使用した。








「ここが・・・シャルの心の中か・・・」

澄んでいた。
シャルの心の中は限りなく澄んでいた。
シャルの心が純粋である証拠である。

「組織にいたのに・・・・これだけ純粋だとはな・・・・」

組織は汚い。
金に汚れ、心に汚れている。
そんなところに居たのにもかかわらず、純粋なシャルの心に俺は感動を覚えた。

「さて・・・・13thを探さないとな」

俺は本来の目的に戻った。
シャルの心を見続けるのもいいものだが、そうは言っていられないからな。




カッカッカッ・・・・

俺は通路を歩いていた。
心の中なのに通路と言うのはおかしいが、その反面、イメージでなんとでもなる。
むやみやたら広い空間を探すよりか断然早い。
俺は13thを探して歩き回っていた。

「それにしても・・・・奇麗だな・・・・シャルの心は・・・」

見とれてしまうような奇麗さである。
俺の心を捉えて放さないような・・・そんな心を持っている。

歩きつづける俺に、一つの陰が見えた。
奇麗な心の中にある暗黒な部分。
見つけた・・・・・13th・・・・・

「見つけたぞ・・・・13th・・・・」

『・・・・・・・』

俺は13thを見つけるや否や、それの排除にかかった。

ぐちゃ・・・ぐちゃ・・・・ぐちゃ・・・・

おぞましい音を立てる。

「バルディエル」の能力は外からの攻撃などには強いが、
中・・・精神攻撃などにはてんで弱い。
俺は今それを実行しているというわけだ。

「ん・・・・ふぅ・・・排除完了・・・・あとは・・・」

跡はシャルの精神を検索して、13thが残っていないかどうか確かめるだけである。

「・・・・・いない・・・ようだな」

俺はシャルの精神が元に戻ったと確認すると、すぐさま外に戻った。




「ふぅ・・・何とか撃退できたな」

13thに乗っ取られていたシャルは無事であった。


NEXT
ver.-1.00 1998-08/14
ご意見・ご感想・「おーい、大丈夫か?」等は
y-mick@japan-net.ne.jpまで!!

次回予告

アスカがねらわれる。
シンジは火炎の中、アスカを助け出すことが出来るのであろうか。

次回
Neon Genesis Evangelion Angels Battle Story
第4話 炎の少年


あとがき

にゃ、Y-MICKれす(^^)
第3話 彼女を想う少年 公開です。

今回また・・・オリジナルキャラを作成してしまいました(^^;;;
外国人・・・・そしてシンジの妹的存在・・・
そんなキャラが欲しくて、かってに作ってしまったというわけです(笑)

いっときますが、「兄妹」だからといって、
某所の投稿した小説とは関係ないのでその辺は詮索しないでください(^^;;;
事実に基づいたものでも無いのでその辺はご理解を(説得力なし)

何なのか知りたいのであれば、安田トミヲさんにたずねて下さい(笑)

ということで、また次回お会いしましょう。
そりではっ!(^^)/~~







 Y-MICKさんの『Neon Genesis Evangelion Angels Battle Story』第3話、公開です。




 シンジ、強し〜

 今度は割と楽勝?


 楽勝とは言えないかな。。
 かなり打たれたみたいだし。。


 でも、中に入ってからは楽勝だよね(^^)



 こすい奴はうちに入られると弱いのかな



 新キャラの登場で
 この先の波乱の予感♪




 さあ、訪問者の皆さん。
 快調なペースで進むY-MICKさんに感想メールを送りましょう!




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