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「ガァァァァァッッッ!!!」

『くっ!!これがエヴァかっ!!』

3rdはエヴァの放つ打撃に身じろぐ。

『だがこれならどうだっ!エヴァっ!』

キィィィィィィンッッ!!

ATフィールド。

「ガァァ・・・・・・ガアッッ!!」

キィィ・・・・キィィィィィィンッッッ!!!!

『馬鹿なっ!!1stにこれだけのATフィールドは無理なはずっ!
 これもエヴァだと言うのかっ!』

「ガアッ!ガァッ!ガァァァァァッッッ!!!」

『ぐわぁぁっっ!!か・・・・がぁっ!』

ほとばしる青い液体。
千切れる3rdの腕。

エヴァは3rdを蹂躪していた。

殴る。
蹴る。
叩き付ける。

そして・・・・・

『がはっ・・・はぁはぁ・・・・くっ・・・エヴァが・・・これほどだとは・・・・・
 見誤ったと言うのか・・・俺が・・・』

青い血を吐き、
3rdはそのまま、息を閉ざした。

パシャァァン!

3rdの命が燃え尽きると、3rdの肉体は黄色い液体−−LCLへと姿を変えた。
人間以上の力を持ったゆえの、悲しい最後である。

「ガァガァガァ・・・・・」

エヴァ=シンジは3rdがLCLに変わるのを見届けると、そのままアスカの傍らに座った。
そしてシンジは普段の顔に戻り、安らかな寝息を立て始めた。



Neon Genesis Evangelion
Angels Battle Story


第2話 力を持つ少年




「ここよ」

俺はアスカと言う少女に連れられて、再び碇家に舞い戻った。
何故かこの少女には逆らえない気がする。

それに俺がどこに居ても奴等は追ってこれるようだ。
ならば俺がこの家に世話になっても、多少の迷惑しかかからないだろう。
そう決めた俺は、世話になることを決心した。

「邪魔をする」

碇家の玄関で、俺を待っていたらしい。
ユイ・・・とか言う女。
その女の笑み・・・俺は懐かしさを覚えた気がする。

「さ、こっちにきて」
「あぁ」

ユイは俺を居間に通した。

そこには髭面の、いけ好かない男が居た。

「まず座って。・・・紹介するわ、私の夫、碇ゲンドウよ」
「ふっ・・・問題ない」
「??」

意味不明。

「ごめんね、家の旦那、いつもこうなのよ」
「かまわん」

俺も一矢報いたい気分になってきた。

「で、あなた。この子がシンジ君よ」

俺はかまわず正式名称を答える。

「SAMPLE_01-EVANGELION-SHINJI だ」
「ふっ・・・出撃・・・」

・・・このおっさんには勝てそうに無い。
ま、このおやじに関しては、良いだろう。

「聞きたいことがある。なぜ俺を・・・見ず知らずの俺をここに招き入れた」
「そうねぇ・・・強いて言うなら・・・アスカちゃんのお婿さん候補だから・・・かしら」
「ち・・・ちょっとユイさんっ!」

婿・・・確か結婚式のときの男の方の呼び方だったな。
俺がそれの候補?
ふん、ばかばかしい。

「で、アスカちゃんからのたっての願いで、この家に招き入れたいんだって」
「そうなの。居て・・・くれないかしら・・・」

どうするか・・・
俺は追われる身。
逃げている身。
こんな安易に優しさとか言うものを受け入れて良いものだろうか。

「考えさせてもらえるか?少しだけ」
「えぇ、かまわないわ」

俺は思案する。
確かに奴等から完全に逃げるのは無理だろう。
そうなると自然と追手と戦うことになる。
そうなるとこの家にも迷惑がかかるだろう。
それらを考えると・・・やはり俺はここにはいられないのではないだろうか。

それに俺は孤独が似合っている。
忌みしくも、1stの意味と同じ、独りが。

「聞きたいことがある」
「何かしら」
「俺は事情があって何かから追われている。それでも俺がここに居て良いのか?」
「その事情・・・は話せないわね」
「あぁ、聞いただけでおまえ達も俺と同様に危険な目に・・・命の危険にあう」
「命の危険・・・ね。それなら平気だわ。アタシ達も同じようなものだし」
「貴様達も同じ?どういう事だ?」
「それが知りたかったら、あなたのことも教えてくれないと不公平だわ」

俺のこと・・・か。
時機が早いと言う奴だな。
そう焦ってこいつらを怖がらせるわけにはいかないだろう。
組織のことは、当分は秘密・・・だな。
こいつらの事情を知っておきたいところだが、それも良いだろう。
どの道たいした事情ではないはずだ、俺より。

「俺のことは話せないな」
「そう、ならアタシ達のことも話せないわよ」
「かまわん」
「そ、ならいいわ」

案外さばさばしていたな。

「で、あなたはここに居てくれるの?居てくれないの?」

それが問題だ。
心地良いと言う奴には違いない。
だが・・・いや、良いだろう。
あいつもいっていたな・・・『優しさを知るべきよ』・・・か。
ここに居れば知ることも出来るかも知れん。
なら・・・

「あぁ、厄介になる」
「そう言うと思ったわ。あなたは今日、今から碇シンジ、私たちの息子よ」
「ふっ・・・久しぶりだな、シンジ」

俺は名字と言うものを与えられた。
碇性。
碇シンジ・・・悪くない。

俺はその後、ユイさん(こう呼ぶことにした)から握手を求められた。
俺は躊躇無く返す。

ユイさんの手は・・・・暖かかった。










新世紀エヴァンゲリオン
天使戦記

No.02 Boy has Power










「アンタ良いっ?!ちゃんと学校に来なさいよっ!」
「分かっている」

俺は学校とか言うところに行く事になった。
俺の年齢は14歳。
普通なら学校に行く年だと言う。
無駄だと分かりきっているが・・・些細なカモフラージュにはなるだろう。

それと・・・俺がここに住み出してから、少しばかりアスカの態度が大きくなった。
理由は分からない。
俺の知った事でもないしな。

「さて・・・ゆっくりとしてしまったな。今日から学校か」
「あらシンジ君、行ってらっしゃい」
「あぁ、行ってくる」

俺はゆっくりと、それで遅れないように学校へと行く事にした。








「喜べ女子ぃ!今日は噂の転校生を紹介する。入ってきて」

ガラガラガラ

「碇シンジだ」

俺が名乗ると、辺りからさまざまな声が聞こえてくる。

「へぇ、碇君って言うんだ・・・かっこいいね」
「なんかクールって感じがして・・・良いわぁ」
「ヤダあたし・・・顔が赤くなっちゃってる・・・」

こういった声も聞こえてきたな。

「ちっ・・・いけすかん奴だ」
「何だよ、かっこつけちゃってさ」
「・・・気に入らん」

これが”人間”と言うものか・・・面白いな。

「じゃ、シンジ君の席だけど・・・」

担任とか言う、葛城ミサトと言う女が俺の席を探していると、
一人の見知った女が立ちあがった。

「ミサト、席ならアタシの横に一つあいているわ」
「そ、じゃあアスカの横に座ってくれる?」
「了解した」

俺は黙ってアスカの横の席に座る。

「シンジ・・・アタシうれしい・・・同じクラスになれて・・・」
「どういう事だ?」
「だって・・・一番好きな人の側に居られるって言うことは・・・うれしいことだもの」

「な、なにぃぃぃ!!」×多数

「アスカ・・・あなた・・・」
「いや〜んな感じ」
「不潔っ!不潔よぉ!」

等という言葉が飛び交ったらしい。

その後、終始俺は格好の的となってしまった。
休み時間でも、授業中といえども。




そして体育とか言う時間になって、一人の男が声をかけてきた。

「おい、碇」
「何だ」
「おまえ・・・惣流から手を引け」
「??・・・何の事だ」
「惣流は俺が前から目をつけていたんだ。だからおまえは手を引け、いいな」
「命令は受けん。第一貴様は信用できん人物だ」
「な、なんだとっ!!」

男はいきなり俺に殴り掛かってきた。

「あぁ、碇の奴・・・・怒らせちゃったよ・・・」
「またか・・・あいつ、惣流をねらっている奴が居ると知るとああだからな」
「まったく・・・碇も可哀相に」

遠くでそんな会話が俺の耳に入ってきた。
なぜ聞いていられるかって?
俺はそのくらい余裕があるということさ。
さて、こいつの相手をしてやらなきゃな。
力は・・・5%も出せば十分だろう。

ブゥン!!

相手の攻撃は、当然空を切る。
何度も殴りかってきているようだが、そんなもの俺に当たるわけが無い。

そして俺は反撃に出る。

トン

俺は軽く、本当に軽くあいての腹にこぶしを入れる。

すると・・・

ドサッ!

奴は簡単に気絶してしまった。

「他愛ない・・・」

俺が言葉を発すると、辺りに冷たい空気が流れた。

恐怖。

たった一撃で人間を気絶させるほどの力を持つ人間。
普通の14歳なら、恐怖を感じてもおかしくないだろう。
もっとも、俺自身、人間ではないのだがな、厳密に言えば。




「アンタ何やったのよっ!!」

俺は人間を一人気絶させたということで、何人かの大人達による、
「説教」という奴を聞いた。
はっきり言って・・・うざったい。

しばらくして、それから開放されたとき、すぐ側にアスカが寄ってきた。
なんだか怒っているような雰囲気でもあったな。

「アンタ一般常識って言うものを知らないの?!」
「貴様はしとやかさと慎み深さを知らないな」
「なぁんですってぇっ!!!」

俺とアスカの口喧嘩はしばらく続いた。
その間、アスカが何度か俺の頬をはたこうとしてきたが、
俺だってむざむざやられるのはいやなので、難なくかわしつづけていた。
もっとも、それにより更にアスカの怒髪点は高まっていった様だが。

「いいっ!?今度あんなことしたらただじゃおかないからねっ!!
 それに馬鹿な男達っ!アタシはシンジの恋人なの、あきらめて頂戴」
「誰がおまえの恋人だ?」
「シンジは黙っていなさい」
「わかったよ」
「いいわねっ!今度シンジにちょっかい出したらアタシはその人のこと・・・
 一生うらむから」

アスカの迫力の一言により、何とかその場は収拾がついたようだ。
しかし・・・誰がアスカの恋人だって言うんだ・・・・
まったく、迷惑な・・・

「何かな・・・この感じは・・・安らぐ」

アスカの爆弾発言の後、側に駆け寄ってきた友人達と話しているのを見て、
俺は不思議な感覚に襲われた。

心が温かく感じる。

何故か・・・あの頃から冷たい心を持ってしまった俺にとって、
それは不思議でいて・・・何か良い感じのする光景だったと思われる。




そして放課後。

「シンジ、一緒に帰ろ」
「別段何する用事も無い、まぁ構わないか」
「ならオッケーね。ちょっと寄り道するけどいい?」
「お前に合わせる」
「らっきー」

俺はこの女−−アスカから離れられなくなってしまったのか・・・
この女と一緒にいると落ち着くことは確かだ。
それが心地いいことも分かってきた。
だが・・・




「シンジ、これなんかどうかなぁ」
「分からん」

俺はアスカに洋服屋(アスカはブティックという)に連れてこられた。
そして今・・・見定めとかいうものをやらされている。
当然、俺にそういうものを理解することは出来ない。

「なら・・・これならどう?」
「分からん」

現在15着目。

「これはどうかな?」
「分からん」

そして30着目。

「これならどう?いいでしょ?」
「分からん」
「もぅ、分からんだけじゃ意味無いじゃない」
「そういわれても困る。俺はそういう感覚は認識していないからな」
「ならアンタの直感でいいからいいなさいよ。どうなの?」
「さぁな」
「い・い・な・さ・い・!」

まったく・・・面倒くさい・・・

「仕方ないな・・・・いいと思う・・・・これでいいんだろ?」
「よろしい。ならこれ買ってくるね」

アスカはいうなり着替えてレジへとかけていった。
なぜ・・・俺をこんなところに連れてきたのだろう・・・
まったくもって分からん。




俺はアスカの買ったものを持たされながら、家へと帰っている。
その帰り道、アスカが俺に話し掛けてきた。

「シンジ・・・ちょっと聞いていいかなぁ・・・」
「何だ」
「あの時・・・シンジが戦ったとき・・・・あの時の相手って・・・・誰なの?」

俺はしばらく考えた。
話すべきか・・・話さないべきか・・・
話すにしろ、時期というものがあるだろう。

「そうだな・・・今は話せないとしておこう」
「そう・・・話せないの・・・」
「あぁ、すまないな」

すまない?
何に対して俺は誤っているのだろう。
この女というと俺は人間に近くなってしまう。
それも弱い・・・普通の人間に・・・

「い、いいの。シンジが話せないなら何か理由があると分かるから・・・いいの」
「そうか・・・」
「それより早く帰りましょ。ユイさんが待っているわ」
「そうだな」








「あら、おかえりなさい」
「今帰った」
「ただいま、ユイさん」

俺は自分の家・・・俺の家となっているところに帰ってきた。
暖かい雰囲気のする家に。

「あら、アスカちゃん、服を買ってきたの?」
「うん、シンジが選んでくれた服なの」
「へぇ、シンジ君がねぇ・・・」
「そうなの・・・」
「あら、アスカちゃん、顔が赤いわよ」
「ううう・・うそ・・・」
「ほんとよ、よっぽどうれしかったのね」
「うん・・・うれしかった・・・シンジが選んでくれたもの・・・」

俺は雰囲気の外からその光景を目にしていた。
アスカがうれしいといったとき、俺の中に見知らぬ感覚が生まれた。

いや、俺はこの感覚を知っている・・・
知っていた・・・・そして・・・・・封印した感覚・・・・

多分・・・・それが出てき始めたのかもしれない・・・・・

しかし・・・俺にその感覚を有する資格があるのか・・・・
彼女・・・・・・・・・に対して持っていた感覚を・・・・
アスカのために使ってしまっていいのだろうか・・・・・

どうなんだ・・・・・・・よ。




「さ、そろそろ夕飯にしましょ」
「はぁい、あ、アタシ手伝いますわ」
「あら、ありがと、アスカちゃん」

ユイさんとアスカが食事の支度を始めた・・・

しかし・・・いいのか・・・・俺がさまざまな感覚を取り戻して・・・人間としての・・・・
再び奴等はやってくる。
戦いに不必要な感覚・・・・有していいのだろうか・・・・
迷う・・・・

逃げ出したくなる・・・・・


NEXT
ver.-1.00 1998-08/07
ご意見・ご感想・「止める気はないのかい?」等は
y-mick@japan-net.ne.jpまで!!

次回予告

アスカに対する感情を出してきたシンジ。
だがそれを無視するかのように敵が迫る。
組織はシンジを追いつづける。

次回
Neon Genesis Evangelion Angels Battle Story
第3話 彼女を想う少年


あとがき

ども、Y-MICKです。

第2話、お送りします。

この話、シンジの一人称だということにお気づきでしょうか。
一人称って・・・書きやすいですね。
最近では一人称ばかり書いている気がするくらいです。
もう一つの連載の方は、多人称なんで、結構書きづらいんです、最近。
だから遅れていたりします(笑)
別に得意不得意があるわけじゃないと思っていたのに・・・結構あるんですねぇ・・・

さて・・・次回はシャムシエル戦ですね。
何とか戦いばかりでなく、LASも入れていきたいところなんですが・・・
どうなりますやら(爆)

ということでお待ちくださいね。 そりではっ!(^^)/~~







 Y-MICKさんの『Neon Genesis Evangelion Angels Battle Story』第2話、公開です。




 うん、そうかそうか・・・

 碇家にも秘密があったのか。


 そうじゃないとこんな怪しい奴引き取ったりしないよね(爆)



 でも、どんな秘密だろう。


 何かに狙われているのかな?


 もの凄く強大な、
 今更トラブルの種がひとつふたつ増えてもどーちゅうこと無いくらいの敵とか・・

 それとも、毒を盛って毒を制すの発想とかとか。。






 さあ、訪問者の皆さん。
 新連載を進むY-MICKさんに感想メールを送りましょう!



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