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「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

逃げる・・・逃げる・・・逃げる・・・

何から?

奴等・・・いや、すべてから逃げる・・・

でも君は逃げられない。

いや、逃げてみせる。
そして・・・その影を払ってやるっ!
貴様ら15体の影をっ!

でも無駄さ、おれたちからは逃げられない。
おれたちを払うことはできないのさ。
貴様に埋め込まれた・・・・・・・の力がある限りな。


力・・・・俺が俺で居られなくなる力・・・
あの娘のためにも・・・俺は力を・・・・忌まわしき力を取り除いてみせるっ!
見ていてくれ・・・・・・・・ぁっ!・・・・



Neon Genesis Evangelion
Angels Battle Story


第1話 逃げ出してきた少年




がばっ!

夢・・・・そう、夢だ。
忌々しい・・・俺は完全に逃げられたはずだ。
だが・・・・なぜ夢として奴等が出てきたのだ?
それより・・・・

「・・・どこだ?ここは」

「アスカちゃ〜ん。目が覚めたみたいよぉ〜」

『はぁい、今行くわ』

見慣れぬ光景。
だが・・・暖かい。

「大丈夫?あなた家の外で倒れていたのよ」
「・・・」

髪の短い女が俺を覗き込む。
しかし・・・なんだ?この感触・・・

「あら、やっと気づいたみたいね」

今度は髪の長い女が俺を見た。

分からない。
どこだ?ここは
俺はいつしか辺りをきょろきょろと見てしまっていたようだ。

「あ、心配しなくても良いわよ。ここは私の家。別に警察とかじゃないから心配しないで」

この髪の短い女。
俺が心配していると思っている。
俺は不安なだけなのだが・・・
しかも、誰なんだ?こいつは。

「あ、私の事言い忘れていたわね。私は碇ユイ。この家で主婦をしているわ」
「アタシは惣流アスカ。アスカって呼んで。それよりアンタ、誰なの?」
「・・・」

俺は聞かれた事には答えられない。
そう訓練さえている。

「あら、名前も分からないんじゃどうしようもないじゃない。名前くらい良いんじゃないの?」

髪の短い女−−ユイはそう言った。
仕方が無い。
名前だけは教えておくとしようか。

「俺は・・・エヴァ。エヴァンゲリオン。そう呼ばれていた。人間名ではシンジと認識されていたらしい」

二人は瞬きしないで俺の方を見ている。
俺としては別に変な事を言った覚えはない。

「エヴァ・・・シンジ?変な名前ねぇ・・・」
「正式名称は SAMPLE_01-EVANGELION-SHINJI だ」

再び二人とも瞬きしないで俺を見ている。
ひょっとして・・・驚いたのか?

「あなた・・・本当に人間?」

ユイ・・・変な事を思う奴だな。

「あぁ、一応な」
「一応って・・・アンタ・・・」
「俺の詮索は良いだろう、それよりここはどこだ?」
「あ、あぁ、そうね。さっきも言った通り、ここは私の家。正確には私と夫の家。
 で、このアスカちゃんはお隣に住んでいたんだけど、両親の都合で今はここで預かっているの」
「そういうこと」
「そうか、詳しい住所を教えてくれるか?」
「住所?それなら第三新東京市○○町**−**よ」

第三新東京市・・・確か日本だったな。
とりあえず・・・逃げおおせたと言う事か・・・

「そうか、すまないが俺はここで別れさせてもらう」
「ちょ、どういうこと?」
「俺には俺の都合がある。助けてもらった恩は忘れません、では」

ばっ!
俺は手元においてあった荷物をふんだくると、側の窓から飛び出した。
二人は呆気に取られている。
そうか、俺は11階から飛び降りた事になるのか、なら驚くだろう。
ちなみに俺はそんな事はできて当然。
理由は・・・追々話す事にしよう。
今は安全なところと、さまざまなものを手にするのが先。
ここがいくら日本とはいえ、いつ奴等が追ってくるか分からない。
その時のためにも色々と準備をしておかねば・・・









「・・・なんだったのかしら・・・あの子・・・」
「・・・さあ?・・・」

二人とも、彼の行動に目を奪われたままになっている。
無理も無い。
人間以上の事をしたのだから。

「彼・・・エヴァとか言っていたわね・・・」
「えぇ、エヴァンゲリオン・・・確か福音をもたらす者と言う意味じゃなかったかしら?」
「たしかキリスト教ね。でも彼・・・ちょっと・・・(ぽっ)
「あらアスカちゃん、一目ぼれ?」
「・・・うん・・・・たぶんそうかもしれない」

惣流アスカ。
彼女はまだ恋も知らない14歳の女の子である。
そんな彼女が急に現れた男の子に興味を持つ。
別に不思議ではないことであった。









そのころ、彼−−シンジはねぐらを見つけ、そこで休んでいた。

「力・・・エンジェルの力は健在か・・・よもやこれに頼らなければならなくなるとはな」

エンジェルの力・・・エヴァの力に比べれば可愛いものだが・・・
それでも力の使い方を誤れば・・・・・になってしまう・・・
できれば使いたくない・・・・・・と、・・・・の力・・・そして・・・・エヴァの力は。

「俺に・・・出来るだろうか・・・逃げおおすことが・・・」

出来れば死んで逃げたい・・・でも俺はそれが出来ない・・・どうすれば良い・・・・
・・・・・・、俺はどうすれば良い・・・・

シンジは今までに一番愛した女、・・・・を思って就寝した。








チュン・・・・チュン・・・

朝・・・・か。
久しぶりにぐっすり寝てしまったな・・・

「ん・・・・」

「そうなのよ・・・・アタシ・・・・なの」
「えぇっ!・・・が?」
「なによ、アタシが・・・・いけないの?」
「そういうことじゃないわ、ただ・・・だったなって」
「なによぉ、そんなこと言わないでよぉ・・・・・」


こっちに近づいている・・・・そうか、俺が今居るところは学校。
この時間に誰かきてもおかしくはないな。
しかし・・・まずいな・・・・

カラカラ・・・・

ちっ!考える時間も与えちゃくれないのか!

「うん、でさぁ・・・・・・・・・きゃぁぁぁっっっ!!!」
「へぇ・・・・・・・・・きゃぁぁぁっっ!!!誰か居るっっっ!!」

まずい・・・・俺が逃げるためには・・・・殺すしかないのか・・・・

俺はすばやく二人の女の背後に回る。
そして昨日買ったばかりのナイフを長い髪の女の方の首に近づける。
そして俺は言った。

「おとなしくしろ」
「・・・(こくこく)・・・」

途端に女はおとなしくなった。
もう一人の女もおとなしく・・・と言うより腰が抜けたみたいだった。

「悪いがおまえを殺させてもらう。恨みはないが俺が逃げるためだ。許せ」
「あなた・・・・・・・・そのこえ・・・・聞き覚えがあるわ・・・・」
「何っ!!」

まさか・・・・刺客っ?!

「シンジ・・・確かシンジ・・・・そうでしょ?シンジでしょ?アタシよ、アスカ。昨日の」

昨日の・・・・アスカ・・・・そうかっ!
昨日厄介になった女の家で居たな、そんな女が。

「あの時の女か・・・恩があるからと言ってもおまえを逃がすわけにはいかん。
 俺の痕跡を残してはおけんのだ、すまない」
「あんた・・・追われているの?なら大丈夫よ、アタシはあんたのことをしゃべったりはしない」
「信用できかねる」
「信用して・・・お願い・・・・」

ぽたり

俺の締め上げている腕に暖かいものがかかる。
何だ?
これは・・・・・・・水?
女が目から水を流している・・・・

俺はその水を感じると、途端に力が入らなくなった。
何だ?あの水は・・・・・・温かく・・・そして悲しい感じがする。
俺の知らない成分の水なのか?

「ありがとう、アタシを助けてくれるのね」
「・・・・・・ちっ!」
「ねぇ・・・・昨日から考えて、ユイさんも納得してくれたんだけど・・・
 あなた、帰るところも行くところも無いのよね。なら・・・・アタシ達のうちにこない?」

急な話だな。
しかも俺がおまえ達のうちに行く?
追われている俺にそんなことできるわけが無い。
俺は断ろうとした・・・・が、途端に・・・・俺の愛した女の顔が浮かんだ。




『私はあなたの心に居るわ・・・・だから・・・・私のためにも逃げないで・・・』
『おいっ!しっかりしろっ!しぬなっ!』
『良い?シンジ。あなたを優しくしてくれる人がまた現れるわ。あなたはもっと優しさを知るべきよ。
 知って・・・・お願い・・・・・・・・・・』
『おい・・・おい・・・・・・・・・ぁっっっっ!!!!』




俺は・・・・思い出した。
そして・・・・
その答えを出そうとした。
その時だった。

カッ!・・・・ズガァァッッンッ!!










新世紀エヴァンゲリオン
天使戦記

No.01 Escape Boy










ズガァァッッンッ!!

この爆発・・・もう奴等が来たのかっ!!

『そう、君は逃げることは出来ないのさ』

「その声・・・・確か3rdだったな」

『ご名答、さすがだね、1st、いや、エヴァンゲリオン』

「ちょっと・・・・シンジ、何を・・・何を話しているの?何が起こっているの?」

俺と3rdの話は誰にも聞こえない。
特定の周波数により、普通の人間には会話しているようには見えない。
それに・・・俺は今はアスカにかまっている暇はなかった。

「逃げていろ、アスカ」

俺の一言により、アスカは言うことを素直に聞いてくれた。
さて・・・3rdをどうやって片づけるか・・・・だな、問題は。

『ほう、君はもう彼女を作っているのかい?よもや2ndをもう忘れるとは思わなかったよ」

「それを・・・・その名前を出すなぁぁっっ!!」

俺は少し切れた。
2nd。
俺の中での禁句だ。
俺はそれを行った3rdにこぶしを振り上げた。

キィィィィンッ!!!

『無駄だよ、君の通常攻撃は効くわけが無いからね』

「ATフィールド・・・・か」

ATフィールド。
俺はまだ微小なものしか生成できない。
原因は不明。
フィールドの大きさから言えば、俺は中でも最低の部類に入った。

『君は昔からフィールドだけは下手だったからね。そのくせ能力の数は多い。
 だから君をほっておくことは出来ないんだよ』

「ちっ!」

俺はそれでもかまわずに、こぶしを叩き付ける。
無駄だと分かっても。

『無駄だと言っているだろ?』

仕方ない。
使いたくはないが、エンジェルの力を使うしかない。

「仕方ない。『サキエル』を使う・・・」

『僕と同じ属性で挑んでくるとは・・・馬鹿かい?』

『サキエル』・・・光のパイルによる槍攻撃。
俺が・・・そして3rdが持つ能力。

『なぜ僕と同じ能力で戦うのかな?君なら『ゼルエル』を出せば僕なんて楽勝だろうに』

「おまえを・・・・倒すにはこれで十分だからだ」

はったりだ。
俺の今の力ではエンジェルの力を使うことさえ危うい。
力の総量が少ないからだ。
逃げるのにかなりの力を使ってしまった。
だから今は一番力が少なくてすむ『サキエル』を使う。

『僕を倒すのにねぇ・・・・良いよ、勝負しようじゃないか』

そして俺と3rdの戦いが始まる。

キィンッ!
キィンッ!
キィンッ!

俺は全力で光のパイルを3rdにぶつける。
だが、奴・・・3rdはそれを簡単にかわす。
無謀だったか・・・・俺より強い『サキエル』を宿す3rdに同じ物で挑むのは・・・

「くっ!」

『どうしたんだい?そんなんじゃ僕は倒せないよ。ほら、君の頭を捕まえた』

俺は簡単に3rdに頭を捕まれた。
弱っている俺と、全快の差。
まずい。
このまま光のパイルを打ち込まれると・・・・俺はやばい。

『やっぱり・・・君は2ndが居ないと駄目なんだねぇ・・・そう言う君は・・・・殺すよ』

ガァンッ!!ガァンッ!!ガァンッ!!

『ほらほら、そろそろ君の頭蓋骨を突き抜けるよ』

ガァンッ!!ガァンッ!!ズシャァァァンッッ!!

右目が・・・・喪失した・・・・
いや、右脳が・・・・・壊れただろう・・・・
俺は今気を失っているらしい。
なんだか遠くで3rdの声が聞こえる・・・

『もう終わりかい?つまんないなぁ・・・エヴァってこんなもんなんだ』

遠くで3rdの声が聞こえる。
そして・・・・近くでも何か声が聞こえる。

「シンジっ!起きてよシンジっ!死んじゃやだよっ!せっかく出会ったのにいきなりお別れなんていやだよっ!」

確か・・・・アスカだったな。
逃げた方が良いぞ、こいつらは強いから。
逃げろよ・・・・アスカ。
にげろってば・・・・・俺はほっておいて。

「うぐっ・・・・えぐっ・・・・シンジぃ・・・アタシまだアンタに告白してないのに・・・・ぐすっ・・・
 アタシアンタに一目ぼれしたのに・・・・・思いを伝えられないなんて・・・いやだよぉ・・・」

逃げろよ・・・・・そんなことはどうでも良い・・・・逃げろ。
俺はおまえの気持ちに答えることが出来ない男だ・・・・
だから俺を捨てて逃げろ・・・・

「ぐすっ・・・えぐっ・・・・」

『一人余計なのが居るなぁ・・・ま、いいだろ。まとめて灰にしてやるよ』

3rdが・・・眼前に力を集める・・・・
光線を発射する気だな・・・・・だが俺にATフィールドを張る力も無い。
逃げなかったおまえが悪いんだからな・・・・アスカ。

シュゥゥゥゥゥゥ・・・

『エネルギー収束率80%・・・・後少しだよ、君たちの灰が出来上がるまでね』

「ぐずっ・・・・えぐっ・・・・・ぐす・・・・」

アスカはまだ泣いているのか・・・・
泣くなよ・・・・おれたちはもうすぐ死ぬんだ・・・・・
泣きながら死ぬもんじゃないぞ・・・

ぽたっ・・・ぽたっ・・・

水・・・・・か。
水?
アスカの目から出てくる水?
さっきも感じたな・・・・水。
良い感じのする水だ・・・・死ぬ前にこれを感じれるとは・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・

「ガ・・・・・・・・・」

『エネルギ・・・・ん?』

「ガガ・・・・ガガガ・・・・ガ・・・・ガァ・・・・・ガァァァ・・・・」

『馬鹿なっ!奴の生体反応はないはずっ!まさか・・・・・・これがエヴァかっ?!』

「ガアアァァァッッッッ!!!」









はっきりと記憶はしていない。
俺が意識を取り戻したとき、側には泣きつかれて眠っているアスカと、
黄色い液体、LCLがあっただけだった。
そして周りは静けさに囲まれていた。

俺の体も何とも無かった。
3rdに貫かれたはずの右目も、元どおりになっていた。
俺は結論を出した。

「エヴァが・・・発動した・・・」

エヴァ・・・俺も分からないもの・・・・
エンジェルの力は何とか把握できる。
だが・・・エヴァだけは分からない。
エヴァ・・・・本当に福音となりうるものとなるのか・・・

「ん・・・・・」

アスカが俺の方に体を預けてきた。
確か俺に一目ぼれしたとか言っていたな・・・
この少女・・・もしかしたらエヴァと何か関係が・・・・・
違うな。
だが・・・この少女・・・アスカになら・・・・


NEXT
ver.-1.01 1998-08/06 誤字修正
ver.-1.00 1998-08/02 初版公開
ご意見・ご感想・「をひコラ」等は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!

次回予告

エヴァと名乗られた少年。
そしてエンジェルと呼ばれる力。
シンジの口から話される言葉とは・・・

次回
Neon Genesis Evangelion Angels Battle Story
第2話 力を持つ少年


あとがき

すまん m(_ _)m

NEW TYPE EVANGELIONをほっぽっといて、
新しく連載をする・・・・・・・阿呆です(爆)
思い付きでやってるもんですから(笑)
どーかゆるしてね(はぁと)

ま、それはおいといて、この小説はLASです。
レイちゃんは・・・・登場未定です(爆)

それとこの小説、まだ伏せ字が結構あります。
推測するもよし、「おせーて」と私にメールするのも良しです(笑)
また、設定に関してTossy-2さんの所にある小説とだぶっているところがありますが、
一応了承を得ているのでご心配なく(何をだ?)

まだまだどうなるか分かりませんが、長が〜い目で見てやってください。
では今回はこの辺にて。
そりではっ!(^^)/~~







 Y-MICKさんの『Neon Genesis Evangelion Angels Battle Story』第1話、公開です。



 あ、オリキャラ主人公か?!

 と、思っちゃいました(^^;

 プロローグを読んだとき。


 一人称が”俺”だと、
 シンジだとピンと来ないものがあるな・・




 あ、でも、”シンジ”なのね。
 ちょっと””安心””(^^;




 でも、”名前はシンジ”的・・

 うい、よかよか・・





 さあ、訪問者の皆さん。
 伏せ字爆発の Y-MICK さんに感想&おせーてメールを送りましょう!




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