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Childhood

〜子供の時の記憶〜



時は2015年。この世界にはセカンド・インパクトもなく、平和に流れてきた時代。
少年と少女は幼なじみである仲という状況を変化させてきた頃。
二人は夜、ベランダで語り明かすということをし続けていた。
もっとも、二人は幼なじみであるのでそう話題がでるわけではない。
話はもっぱら自分の気持ちをいうだけになっていた。

「風が・・・気持ちいいね。アスカ」
「うん・・・こうしていると・・・時間を忘れるってホントの事ね」
「僕もそれを感じていたよ」
「ねぇ・・・覚えてる?」
「何を?」
「ほら・・・シンジとアタシが初めてあったときの事よ」
「もちろん覚えているよ。・・・もっともあのときはこうなるとは思わなかったけどね」
「アタシは・・・・・・感じてたんだけどな・・・」









ピンポーン

「はいはいはいはい・・・ちょっと待って下さいねぇ。・・・どちらさまですかぁ?」

『あ、はじめまして・・・隣に引っ越してきた惣流ともうします』

「あら、ちょっとお待ち下さい」

ガチャリ

「はじめまして、隣に越してきた惣流ともうします」
「こちらこそはじめまして碇ですわ」
「あ、これおそばやさんの食事券です」
「あら、どうもこれはご丁寧に・・・」
「これからどうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いしますね」
「ほら・・・アスカもご挨拶しなさい」
「はじめまして、そうりゅうあすかです。おばさん、よろしくおねがいします」
「あらあら、家のシンジと同じくらいのお子さんがいらっしゃるんですね。
 ・・・それならシンジ!ちょっとこっちにいらっしゃい」
「なぁに?おかあさん」
「ほら、隣に引っ越してきた惣流さんよ、ご挨拶なさい」
「はじめまして、いかりしんじです」
「はじめまして、シンジ君。ほら、アスカも」
「はじめまして、そうりゅうあすかです。よろしくね、しんじくん」
「う、うん・・・はじめまして、あすかちゃん」

時代は12,3年前になるだろう。
碇家の隣に惣流家が引っ越してきた。
そこでシンジとアスカは初めて会うことになった。
シンジにとってこの日は忘れることのできない日となったわけである。
シンジが・・・初めて女の子を好きと感じた日でもあったからである。









「へぇ、あのときなんだ。シンジの初恋って」
「うん、今でははっきり感じ取ることができるよ」
「なんか・・・嬉しいな」
「どうして?」
「シンジの初恋の相手っていうのがアタシだって事」
「そう言うアスカはどうなんだい?」
「アタシ?・・・アタシは・・・あのときね、シンジが好きって感じられたときは」
「いつのことなの?」
「ほらぁ、あの時よ。忘れたの?あのときのことを」

場面は再び過去へと移る。
二人は今、過去の事象を確認している。
このことは他人にとっては不必要なことかもしれない。
だが、二人にとって、このことは必要不可欠なことになっていった。









「しんじくん、早くいこ」
「まってよ、あすかちゃん」

幼少時代の二人はこのような感じでよく、一緒に遊んでいた。

「しんじくん、きょうはどこにいく?」
「うぅんとね・・・こうえんにいこうよ」
「またこうえんなの?ほかのばしょしらないの?しんじくん」
「ごめん・・・ぼくもあまりしらないんだ・・・」
「それならいろいろとたんけんしてみましょうよ」
「あすかちゃんがいいなら・・・ぼくもいいよ」

アスカの提案により、シンジは新しい遊び場を開発すべく、遠出をすることとなる。
もっとも、遠出といっても子どもである彼らにとっては、
隣町へ行くのが精いっぱいではあるのだが。




ブロロロロロ・・・・

「きちゃったね・・・」
「うん・・・」

彼らは隣町まで遠出をするという計画を立てた後、
その計画を実行すべく二人の全財産、あわせて420円を持って
市営のバスを使って隣町まで来ていた。

「さ、いこうよしんじくん」
「うん、どんなところがあるのかたのしみだね、あすかちゃん」

バスを降りた後、目的の新しい遊び場を探すために彼らは
その小さな手をつないで隣町を闊歩していた。




1時間ほどした後、シンジとアスカは・・・・

迷っていた。

「どこだろう・・・ここ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

彼らが来ているのは他でもない。
隣町のオフィスビルが立ち並ぶ場所の裏路地であった。
裏路地というものは暗いと相場が決まっている。
彼らが来ているその場所も、普段見ている風景とは違ったものを醸し出していた。
当然、そういった場所にいる人間も自ずと分かってくる。

「あれぇ?何でこんなガキがここにいるんだぁ?」
「んなもん知るかぁ。それよりもこいつらの服、見てみろよ」
「なんか良いもん着てるじゃねぇか。もしかしていいとこの坊っちゃん嬢ちゃんかぁ?」
「だろうなぁ・・・そうだ!こいつらを誘拐ってのはどうだぁ?」
「いいんじゃねぇか?そろそろ金も尽きてたことだしな」
「きぃまりぃ・・・ほら、てめぇらこっちにきな」

シンジとアスカは囲まれたいた。
カラフルな服や髪を纏ったいかつい奴等に。

「し・・・しんじくん・・・こわい・・・」
「ぼくも・・・こわい・・・けどあすかちゃんは・・・ぼくがまもる」

シンジも一応男である。
普段から父親であるゲンドウからこういったことは叩き込まれていた。

「へぇ・・・ナイト気取りか・・・おもしれぇ!おい、嬢ちゃんよ、こっちにきなぁ!」
「いや!!!!」

アスカがいかつい男に捕まれそうになると・・・

「は・・・はなせぇ!!!あすかちゃんをはなせぇぇぇ!!!!」

ガブリッ!!

子どもの最大の武器である”噛みつき”を男に放った。

「ってぇぇ!!!!このガキぃぃ!!!!」

ブワン!!!

男は噛み付かれて思わずその手を振り解いた。
そして子どもであるシンジはその勢いのために飛んでいってしまった。

ドサッ!!!!

その刹那・・・・・・

グサッ・・・

放り投げられたシンジの下から・・・赤いものが染み出てきた。
シンジは放り投げられた後、ゴミが集積しているところまで飛ばされた。
そのゴミの中に、運悪くガラスのような鋭利なものが入っていたのである。

「し・・・シンジ・・・」
「一足遅かったか・・・」

偶然といってよいのであろうか、そこに一組の男女が現れた。

「ち・・・散れっ!」

リーダー各の男がそう言うと、仲間と思しき連中はそれぞれ四方八方に散っていった。
男女が大人だったからである。

「シンジ・・・」

そこに現れた男女はゲンドウとユイであった。
シンジとアスカには発信機がつけられている。
もちろん、迷子防止のためである。
今回、シンジとアスカが町内から抜け出して、隣町に入ったため、
センサーが働き、それを見たユイがシンジたちを探しに来て見つけた結果がこれである。

「あなた・・・」
「大丈夫だ。救急車を呼んだ。それに見たところ命に関わるような傷ではないはずだ」

シンジの下には血溜りが出来ていた。
一見すると重傷のように見えるが命に関わる訳ではない。
だが・・・

「おじさんおばさん!しんじくんがしんじくんがぁぁぁ!!!」

アスカにいたっては泣きじゃくる以外しようが無かった。

「しんじくん!めをあけてよ!あたしなんでもするからめをあけてよ!
 しんじくんのおよめさんにでもなんでもなってあげるからめをあけてよ!」

泣きじゃくるアスカを、ただ見守っているだけしかできない碇夫妻であった。
遠くにサイレンの音を聞きながら。









「シンジ、あれ、見せてくれる?」
「・・・いいよ」

シンジはそう言うとおもむろに上着を脱ぎ出す。
脱いだ後には、一つの傷が現れる。
アスカはそれを見ると自分の頬をその傷のある所に触れさせた。

「アタシね、前はこの傷が嫌いだった。ううん、疎ましかったのかもしれない」
「・・・なんで?」
「前はね、『この傷はアタシがつけたんだ。
 アタシはこの傷と同じものを持っていなくちゃいけないんだ』ってね・・・思っていたんだ」
「そう・・・だったんだ・・・」
「うん、だからアタシはシンジを見るたびにこの傷のことを思い出し、それが苦痛になっていた」
「前は・・・だろ?」
「・・・そう、今は・・・この傷が・・・アタシとシンジの・・・つながりでもあるのね・・・」
「だからアスカはこの傷を苦痛に思わなくていい。
 僕はこの傷はアスカを守り切った勲章だとおもっているからね」
「シンジ・・・」
「僕はアスカを守れるからね・・・」




二人は影を重ねた後、その場を後にした。
その場にシンジをアスカの空気を残して。

FIN



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ver.-1.00 1998-05/12公開
ご意見・ご感想は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!
あとがき

・・・(^^;;;)
Y-MICK・・・です・・・(^^;;)
なんか・・・やっちまったというものしか残っていません・・・
しかもこれ・・・どっかでみたかもしれないんですよねぇ・・・
なぜ・・・私はこれを書いてしまったのでしょう。
部屋20000HIT記念小説として・・・
ま、やっちまったものは仕方ないですね。

この小説なんですが、ぢつは部屋15000HIT記念として出品する予定だったんです。
でも気づいたら部屋のカウンタが17000くらいになってたんで、
「こんな数のときにだしても意味無いなぁ・・・ま、20000になったら出すか」
ということで、20000HIT記念ということになったんです。
それまでに連載を一本だして、なおかつHPまで公開しているんですがね(笑)

そゆことで次はめざせ30000HITだっ!(ホントに出来るんかいなぁ・・・)





 Y-MICKさんの「お部屋20000HIT記念」『Childhood』公開です。




 傷の意味が変わってきたところに
 二人の関係の変化が見えますよね(^^)



 見るどころか、
 シンジ自体さえ疎ましく感じることになもなっていた「傷」。


 それが今は、キ・ズ・ナ(*^^*)



 歴史がある♪

 この先に続く、ね。





 さあ、訪問者の皆さん。
 20000を記録したY-MICKさんに感想&お祝いメールを送りましょう!




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