TOP 】 / 【 めぞん 】 / [SOU]の部屋に戻る/ NEXT


ミサトは、その改良されたというエントリープラグをみても、どうもピンとこなかった。
見た目は、今までのエントリープラグとなんら大差はない。
「改良って、なにを改良したのよ、リツコ。」
どこが変わったのかが判らず、たまりかねて傍らの赤木リツコに聞く。
「とくに、大きな改良を施したわけじゃないのよ。」
その答えを聞き、ミサトは眉をよせる。
「ゴジラの吐く熱戦、それによって生じる電磁波パルスにもパイロットと、機器が影響を
受けないようにする、それが今回の改良よ。」
たしかに、パイロットの安全を考えてくれるのはうれしいことだ。
「それって、直撃でも大丈夫ってこと?」
「プラグに直撃したら、おしまいよ。」
エヴァに乗っていれば、直撃もATフィールドで跳ね返すことができるかもしれない。
特殊装甲ももつだろう。
電源さえ確保しておけば、だが。
そんなことを思いながら、シンクロ率を表示するグラフに目を向ける。
「それにしてもシンジ君、すごいわねえ。」
シンジのシンクログラフをみて感嘆の声をあげるリツコ。
「これが、自信につながってくれるといいんだけどね。」
リツコとは裏腹に、心もとなさそうな声で答えるミサト。
だが、リツコもアスカのシンクログラフをみて声のトーンを一段さげる。
「アスカ、芳しくないわね、なにかあったの?」
ミサトにむかって聞く。
「体の調子がわるいのよ、二日目だから。」
「体の善し悪しは、シンクロ率に関係無いわ。
心理的なものじゃないの?」
そう言いながらリツコはペットによるストレス解消が役立ってないのかとの
思いが湧き上がった。
「シンジ君のレベルをすこし下げてみましょう。」

「レベルを少し下げてみたんだがなあ。」
屈託なさそうに、西田は逸見以下、数十名のクルーを前に困ったような声をだした。
言うまでもなく轟天の説明、というか勉強会である。
もはや、半世紀以上前のエンジン関係の表記、さらに武器類の説明にはさしものGフォースの
クルーも理解できなかった。
「レベル云々というか、これは考古学の世界だぞ。」
逸見が、あきれ声で西田に答える。
「古典物理の問題もあるんじゃないですかねえ。」
クルーの誰かがぼそっとつぶやく。
周囲にどよめきのような低い笑い声が充満した。
旧い表記を現代式の表記に書き換えておいてくれれば問題もなかったのだろうが使徒問題をも
抱えている現在の状況を考えると、そこまで手が回らなかったのだろう。
それが、クルーに困惑を一時的にまねいているのだった。
「すまんな、なにぶん極秘なもんでな。」
角にすわっていた黒木が苦笑まじりに言う。
事実、セカンドインパクト以降ゴジラが現れることはなかった。
無論、脅威となる巨大生物が完全にいなくなったというわけでないだろう。
だが世間や、国連、軍も使徒とサードインパクトに関心が移った。
そこには、使徒によるサードインパクトの脅威が巧みに宣伝されたことにもよるのだが。
「それで、こんな遺物をひっぱりだしたんですか?」
逸見の問いかけに黒木はこたえなかった。

「ゆぅあーなんばーわぁ〜んっ!」
ミサトは、シンジの質問に大げさに答えた。
こうすることで、すこしでも自分に自信をもってもらえたら、とおもってしたことなのだが
「よぅかったわねえ、なんかいいなさいよ!」
「そんな、偶然だよ」
シンジのその答えにアスカはさらに、機嫌をわるくした。
(なによ、かっこつけて!、自慢したけりゃすればいいのに!)

「ああ、もう負けてらんないってかんじよね、さすが、さすがだわ無敵のシンジさまぁ!
かれさえいれば、大丈夫、すごいすごすぎ!!」
ロッカールームではしゃぐように見せているアスカだが、その目は実際にはわらってもいなければ
喜んでもいない。
「さよなら。」
そんなアスカを尻目に、レイは一人着替え終わるとさっさと帰路についた。
がんっと、レイが外にでた直後にアスカはロッカーに怒りをぶつけた。

夜になっても、別に眠る事を必要としないのかラドンは檻の中で退屈そうに翼を閉じたり開いたりを繰り返し
時々、小さな雄叫びをあげていた。
「まったく、バカシンジのくせにちょっと成績がよかったからって調子のって
何様のつもりよ!
聞いてる?ファフ!!。」
その檻の前でアスカは一人怪気炎をあげていた。
別に、ラドンが聞いてるかどうかはもはや関係はないだろう。
「要は実戦よね!、実戦!!」
うなづくようなそぶりを見せるラドンに、アスカは我が意を得たりとばかりに
「やっぱ、おまえならわかるのよね!!」
と、喜びスキップをしながら帰っていった。
「か、怪獣相手になにやってんのかしら…。」
隠れて様子をうかがっていたマナは、アスカが一人どこかに行くのを確認するためについてきたことを
少し悔やんだ。
だが、まあだれが見ているわけではないし、いいかと、足取り強く帰路につく。
「また明日もくるからね!」
まあ、ちょっとした気晴らしよ、と自分に言い聞かせるようにぼそっと小さくつぶやいたのではあるが。
当然人に見られているとは思っていなかったが、見ているものはいた。
「こんなものかうなんて、なにかんがえてるのかしら?。」
マナは、物陰から姿をあらわすとラドンの前に来て呆れ顔に眺めた。
戦略自衛隊に所属するマナにしてみれば、使徒並みかそれ以上に危険な存在とおもえなくもないのだが
監視カメラすらつけていないところを見ると、思ったほどではないのかもしれない。
ふと、ラドンと目が合う。
その途端、ラドンは威嚇の叫び声をあげた。
「く、前言撤回!」
暗闇に紛れこみながらマナは悪態をついた。
 

「前言撤回?」
にやっと笑いながら黒木は逸見をみた。
「そうですよ。」
もはや言うことはないというように、逸見は黒木と西田の二人をみた。
最後の説明ということで、なぜか機関室よりも下の階層に連れてこられた逸見たちクルーは、その目の前に
存在するそれに全員が圧倒されてしまった。
「今更、80cm列車砲ですか?」
轟天の艦底に仕掛けられたその物を眺めつつ
「遺物というよりは、化石だな。」
と、逸見はそう続けた。

翌日もアスカの不機嫌はそれなりに収まりつつも、いまだに続いていた。
目立って不機嫌というほどでもないが、教室内でもちょっと近寄りがたい雰囲気がなくもない。
「おっはよう!、惣流さん、シンジ君は?。」
無謀にも声をかけている。
誰の目にもそう見えるようなマナの行動にトウジ、ケンスケの二人は冷や汗を滴らす。
「なによ、転校生!」
ぶすっとした低い声で返すアスカ。
「なに、怪獣みたいに不機嫌なのよ、朝からやーねぇ。」
昨晩の光景をダブらせながらマナは、そういう。
「あんただって、怪獣並みに朝から元気よね。」
険悪な雰囲気が漂う。
マナにしてみれば、かまをかけただけだが思ったよりも不機嫌な反応にちょっと不安になる。
このまま、なにか聞き出せるとはおもえないが、やるだけやってみようとした。
「あかん、怪獣大戦争になる。」
トウジの不用意な発言は、強力な一撃で己の身にと返ってきた。
 

その、同じ頃逸見は西田と轟天の列車砲について話していた。
「あんな物、どうやって撃つつもりなんだ?」
その反動は否応なく、轟天のバランスを崩すだろう。
それだけではなく、艦全体が崩壊しかねない。
「第2次大戦時ならわかりませんが、最新の合金技術や補強用のフレームなどもあります。」
そんなことを言われてはいそうですか、と頷くわけにもいかない。
実戦で、いざ発射というときに分解されてはたまったものではない。
「本当に大丈夫なんだろうな。」
念を押すように、逸見は聞いた。
「そういう風に作ってます。」
 

朝、まだアスカの不機嫌が収まらないうちにその使徒は現れた。
レーダーにも感知されることなく、使徒は忽然とその姿を第三新東京市の上空に現れたのだった。
「レーダーの故障じゃないのね?」
ミサトは念を押すように、オペレーター日向マコトに聞いた。
「はい、なんの前触れもなくあらわれました。
しかも、上空の物体はレーダーに反応しません。」
たしかにスクリーンにはその物体の反応はない。
「ですが、パターンは検出されてます。」
青葉シゲルの言葉には、なにか別の意味も感じられたことから
「なにか、問題でもあるの?」
とリツコが続きを即す。
「はい、パターンは青なんですが、微弱な上に、上空の使徒とは位置が微妙にずれています。」
「おそらく、レーダーに映らないのも位置がずれているのも何らかの妨害方法を持っている、
ということかもしれないわ。」
リツコはすぐにそう推測した。
無論、それが当たっているとは限らない。
だが、当面の対処を決定する役にはたつはずである。
「パイロットに招集をかけるわ、必要ならどんな移動手段をとってもかまわないわ。」
ミサトはそう発令した。
「リツコ、エヴァの準備、整えてあるわね?」
「当然よ。」
その言葉を聴くと、ミサトは正面に向かう。
「第一級非常配置。」
ネルフ本部は泡ただしく動き始めた。

「やれやれ、葛城のやつ、はりきってるな。」
加持は、ぼうっと水を畑にまきながら困ったようにつぶやいた。
だが、こうなってはもうひとつの仕事のほうが忙しくなる。
じょうろの水を手早く撒き終えると、加持は本部の方に向かい走っていった。
今からしばらくは日本政府内務省調査室の加持リョウジである。
 

マナは、避難の始まった校内で、シンジ達パイロットを見失ってしまった。
緊急時への対応と校内からの対応通路の捜索を行うことがこれではできない。
「まずいわね。」
こういうチャンスは次にいつくるか判らない。
その分、貴重ではあるが、自分はそのチャンスを逃してしまった。
そう思うと、心の奥底から焦りが湧いてくる。
だが、おちつついてしらべればいい。
自分は、ここに転校してまだ日が浅いのだから迷ったといえばごまかせるだろう。
廊下をうろうろと探し回っていると
「なにしてるの?」
という、一見無感情な声が聞こえてきた。
「あ、あやなみさんこそなにしてるの?」
チャンスとはいえ、急に後ろから気配も感じせずに声をかけらたのではさすがに訓練をうけているとは
いえ、まだ14歳の少女である。
うろたえるな、というほうが無理であろう。
「あ、あの、迷っちゃって。」
少し声が上ずっている。
だが、ちょっと小首をかしげただけで
「シェルターなら反対がわよ。」
と、マナが来た方向を指差す。
「あ、ありがとう、あなたは?」
マナは、レイが外に向かって行くのを見て聞く。
これで、非常時の対応の一つがわかるというものだ。
「私は、そこには行かない。」
振り返って答えると顔をまた正面に向けて歩きながら
「やることがあるから。」
と答えた。
マナは、そうというとシェルターに向かう振りをしてから、レイの後をつけた。
シンジ達と別行動をしている理由を探るつもりだった。
 

「上空の様子は?」
ミサトは状況の進行具合と相手の様子を逐一見比べて、対応を決めていった。
無論、エヴァが発進して以降の作戦は立てている。
だが、それもパイロットがこなければどうにもならない。
パイロットの移送に際し、使徒が攻撃にでるようならば、兵装ビルによる援護が必要になる。
「使徒の移動予想エリアの兵装ビルはすべてロックを解除。
いつでも攻撃できるようにして。」
各オペレーターが指示を出すのを確認してから
「リツコ、バルーンダミーも出せるようにしておいて、念のため。」
視線を移しただけで、リツコに言う。
リツコも頷くだけで、マヤに指示を出す。
「バルーンダミー、準備よし。」
マヤの報告を聞き流しながら、ミサトは
「使徒後方の兵装ビル、射撃準備。」
と、指示する。
いよいよ、パイロットの移送を開始される。
 

時田は、ジェットアローンの改装現場で使徒の襲撃を知った。
だが、今この状態のまま出撃させることは不可能だった。
「時田君、いったいなぜ出撃できない状況になんかなってるんだ!!」
戦略自衛隊の幹部が(無論この計画にかんでいる)苛立って連絡してきたときも、別に慌てるふうでもなく
「あなたがたの、ガルーダタイプの到着が遅かったからですよ。」
と、しれっとした顔で答えた。
ネルフが危機におちるならば、かってにおちればいい。
そんな子供じみた感情もないわけではなかったが、結局は改装作業におくれがでたことが原因だった。
そして、その原因が自分でないことから、そんなものに責任をとるつもりもなかった。
「あなたたちが、このガルーダタイプの改造機、ああ失礼、レッドジャガーでしたな、をもっと早く届けてくだされば
こんな事態にならずにすんだのですが。」
と、しれっとした顔で続けた。
「むう、もうよい、早くしあげてくれれば問題はない。」
と、やけくそのように、通信を打ち切った姿を内心笑いながらみていた。
まあ、これくらいの復讐はゆるされるだろう。
そんなことも考えながら。
 

レイが、到着したときにはすでに、アスカもシンジもシートにすわっていた。
校庭のど真ん中に着陸した、VITOL機の入り口に姿をあらわしたレイに
「珍しいわねえ、優等生が遅刻なんて。
なにやってたのかしら。」
と、アスカが言う。
レイはそれには、答えずにシートにつくとハーネスを締め始めた。
「ちょっと、遅刻したからって無視してごまかそうっていうの?」
アスカは、さらにつっかかる。
「トイレよ。」
ぼそっと、レイが答えたのを聞き逃しかけたがなんとか聞くことができたアスカ。
さらに、レイが
「それに、集合時刻には遅れていないわ、あなたたちが早くきただけよ。」
と、続けた。
たしかに、時間には遅れてはいない。
自分が、早めにきていたのもまた事実ではある。
が、こうあっさり言われると、余計に腹にすえかねるものである。
理由もなく。
なにか、言おうとしたのだが、その瞬間、VITOL機は発進し、その時のGでシートに押し付けられて
言葉がでなかった。
が、アスカは自業自得とはいえ、苛立ちを抱えたまま本部施設にむかって行った。

「VITOL?」
マナは、そんな物で校庭に迎えに来ていたのかと思うと、その予算の潤沢さに驚いた。
いくら、緊急時でも戦略自衛隊では、そんなサービスはないだろう。
「結局、綾波さんはなにしてたのかしら。」
マナは教室の窓から飛び立つVITOLを見送りながら、一人誰にいうともなく言った。

「パイロット、移送開始、各セクション緊急時に対して警戒態勢維持。」
マコトの報告にミサトは、表情をゆるめることはなかった。
移動速度重視とはいえ、地上を走る車にしなかったのは、もしものとき避ける位置がかぎられてしまい
逆に危険と判断したからにほかならない。
が、だからと言って、空が安全というわけでもない。
相手に、飛び道具があったらおしまいである。
パイロットがつくまで、気が抜けない。
「どの、回収口もすぐに使えるようにしておいて。」
ミサトは、正面スクリーンを見ながらマコトに指示をだした。


NEXT

ver.-1.00 2000/02/16公開

ご意見・ご感想は国連G対策センターまで!!



あんたって、さいてー。
う、なんかいきなしひどいことを。
でも、事実よ。
自分では、続き中々かいてもいないのに、鯖をいじめてたわ。
あ、あれは、愛。(きっぱり)
彼は、ほら、全部今ほっぽりだしてるし、わし、一応やってるし。
なにを?
・・・、さあ。
私の出番もすくないし。
でも、でたしぃ。
ギャグメーカーだわ。
ま、いいんでない。
それにほら、次回は多分、いろいろ戦わんといかんし。
がんばってね。
・・・。
・・・。
・・・、やっぱりさいてーね。




 SOUさんの『怪獣聖書』八、公開です。






 あぁ・・・・

 時田さんの出番はないのかしら・・・・



 戦略自衛隊が敗退し
 豪天があっさり沈み
 兵装ビルはやっぱり役に立たず

 そして
 エヴァは奮戦及ばず電池切れ−


 そこに颯爽と現るJA!



 ですね?ですね? ですねですねですね?



 そして一撃で−−死る。それとも死られる。

 脇役の下克上なのだ〜



 そう。




 さあ、訪問者の皆さん。
 戦うSOUさんに感想メールを送りましょう!







TOP 】 / 【 めぞん 】 / [SOU]の部屋に戻る