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加持は、それでも少しの間松代に行くことができた。

幸い、予定の日数分の滞在期間に調べなければならない事としていた物は他の人間に

調べさせ、あたかもそのために滞在していたかの様に見せる事はできる。

大手をふって、Gフォースの最近の動向を簡単にでも調べる事はできるだろう。

そう思って行動したものの、ゴジラ復活といいデストロイア復活、さらには正体不明の

怪獣も現われたという。

そのために、急にあわただしくなったGフォース施設にはなかなか探りを入れる事が

できない。

加持にとって、むなしく時間が過ぎていった。

 

 

「ぎゃあああ!、たすけてころされるぅっ!」

携帯に向かって八つ当たり丸出しで叫ぶアスカ。

ここ数日留守にしている、加持から自分へ連絡がないことにたいしての怒りの発散である。

「もう!、なんども留守電にいれてるのに!。」

ぶつぶつと、文句を言いながら携帯をポケットにしまう。

「あ、アスカよかった。」

ヒカリが、ほっとしたように言う。

「よかったって、なにが?。」

「実は、ちょっとたのまれちゃって…。」

「なにを?。」

まるで、悪事の相談のようにこそこそと話すヒカリに、ついつられて同じように

腰をかがめてぼそぼそと話すアスカ。

「と言う事になっちゃって、お願い、今度の日曜あいてるなら、」

「アタシがデートするの!?、その人と。」

ぼそぼそとひっくり返った声で叫んだつもりのアスカ。

「へー!。」

その時背後で、面白がるような声が聞こえた。

振り返ると、そこにチェシャ猫笑いを浮かべた霧島マナがたっていた。

「な、なによ!!、てんこうせい!。」

狼狽して叫ぶアスカに

「惣流さんって、碇くんとつきあってんじゃなかったの?」

好奇心旺盛な中学生といったふうに聞いた。

「ななな、なにいってんんのよ、あんなぼけぼけした奴と付き合う訳ないでしょっ!!」

「ふーん、じゃ、あたしがもらっちゃおうっと。」

顔を軽く見上げるようにして、アスカを見下ろすマナ。

「す、すきにすればいいじゃない、あんなののどこがいいんだかしんないけど、あたしに

断る事もないでしょ。」

顔を真っ赤にして反論するアスカにたいして、優越感たっぷりといった笑顔で

「じゃ、もらうわ。」

といって、歩き出した。

「い、いいの?、アスカ。」

ヒカリが事の成り行きを見ていて心配になったのか聞いた。

「な、なに言っちゃってるのよヒ、」

「あ、惣流さん、もしかしてキスまだ?。」

まだ、去りきっていないマナが振り返って言った。

「な、なにいってんのよこのインラン転校生!!!」

今度は怒りで顔を真っ赤にして学校中に響くような声で怒鳴っていた。

マナは、さりながら

「あはは、まぁ〜だバージンでしょ。」

といって、廊下をまがってきえていった。

 

 

三枝未希は、その女性のショック状態の強さからたとえテレパシーをつかっても何かを

感じ取る事は出来ない、と確信した。

事実、彼女から感じ取れるのは黒い物への恐怖だけであったし、それはテレパシーを

使わなくとも、うわ言から理解できる。

「もう一度、聞くわ、なにがあったの?。」

鎮静剤と、時折落ち着く時を見計らって三枝は女性に同じ質問を繰り返す。

年々衰えて行く自分のテレパシー能力を今回程恨めしく思った事はなかった。

「くろくて、くろくて、とかすの。」

そこで、女性はくくっとわらった。

薬の効果も衰えてきているようだった。

「くろくて、とかして、あかいめで、形が無くて…。」

病室に響く叫びで、事情聴取は終わった。

がっくりと、部屋を出る三枝と手塚ミドリ。

終始無言で廊下を歩く二人に一人近づいてくるかげがあった。

 

 

「うわあっ。」

突如背中に抱き着かれて、シンジは驚きの叫びを上げた。

「おどろいた?」

にこやかに微笑むマナの姿にあきれた顔を見せるシンジ以下2名。

「なんや、先生、早速転校生にも粉かけたんかい。」

トウジが脱力した声で第一声を発した。

「綾波といい、惣流といい。」

ケンスケが半分うらやましげにシンジ言う。

「そ、そんなんじゃないって。」

本心で否定するシンジ。

その様子を人好きのする笑顔で見ながらマナは、一瞬だがかわいいと

感じている自分を否定した。

「え?、惣流さんはシンジくんとはむかんけーだっていったし、綾波さんとの事なんて

別に、噂にもなってなかったけどなあ。」

内面の葛藤を気取られないようにしながらもうわついた声になってしまった返答をする。

「はぁ〜んん、転校生、われシンジにほれよったな?」

「またか。」

「…」

が、彼ら3人はマナにとって都合のよいように誤解をしたようだ。

どうやら、惚れっぽい転校生だと思ったのだ。

「べ、別にそぉんなことはないけどぉ。」

ここぞとばかり、軽い感じでほれっぽい少女を演じる。

「こいつと、惣流はよくいうけんかするほどってやつだよ。」

ケンスケが、笑いながら話す。

横でトウジがうんうんとうなづく。

困った顔になるシンジを尻目に3人は会話が盛り上がる。

(まず、馬から射よってね。)

屈託なく笑いながら、シンジの様子を伺うと顔を赤くして俯いていく。

「でも、惣流さんがかんけいないっていうんだから、わたしがつきあったって別に

問題ないんだよねぇ!。」

ここぞとばかりに、たたみかける。

赤い顔でそっぽを向きながらシンジは

「別に、アスカなんて関係ないってさっきからいってるじゃないか。」

と半ばふてくされたように答えた。

「じゃ、決まり!!。」

マナは、軽くシンジの腕をつかむと

「またあしたねえ!」

と、言ってかけていった。

あとには、つかれたようにため息をつくシンジとにたにたとわらっている2人の姿が夕日

に残っていた。

 

 

三枝達はつけてくる男に、病院をでて車に乗るときに気づいた。

別に、襲ってくる気配はないが、見張っているという雰囲気だった。

これから、また逸見にあおうと言うのにおまけ付きはよくない。

二人はそう判断すると、車を海の方向に向ける。

この病院からなら事件のあった大瀬崎にも近い。

「手塚さん、大瀬の人気のないところがいいわ。」

三枝の言葉に無言でうなづくと車をはしらせた。

密かに、バッグから二人分のスタンガンをとりだした。

あいてはきづいてかきづかずか、車に乗って後をつけてきている。

 

 

ミサトは、さすがに開いた口がふさがらないという顔をしていた。

実際、大口をあけているわけではないのだが、顎の関節がなくなったような気分だった。

「あの、司令、なんておっしゃいました。」

ミサトのその言葉を聞くとゲンドウはついと顔をあげ

「聞こえなかったのか?。」

と、ひとことだけ言った。

「聞こえました、ですが。」

「ならば、そのとおりだ。」

ミサトはこれ以上は会話の無駄と判断し、指令室を後にした。

それでも、納得がいかないのか首を

傾げていた。

「碇、いくらなんでも危険すぎるぞ。」

たまりかねて、冬月が聞いた。

それは至極、当然の事だった。

ラドン、いくらチルドレンになついているとはいえ、ラドンをジオフロント内で

飛行練習させるなど、とんでもなことだった。

いつ、怪獣として本能にそった行動をするかわからない。

「かまわんよ、冬月。

使徒に比べれば、大したものではあるまい。

それに、」

「それに?。」

「ねずみ退治には、もってこいだろう。」

そう言ってにやりと笑った。

だが、その笑い顔を見ても、いや見ているからこそ冬月は安心できなかった。

こいつは、なにを考えているんだ。

そんな疑念が心の奥にふつふつとわいてくるのをおさえることができなかった。

 

 

三枝と手塚は、人気のない海岸を選んで車を停めた。

案の定、追って来た車は海岸の中までは入ってこない。

車を降りると、最初から予定した事のように海岸でサンプルを探す。

もっとも、そのうちサンプル収集はやらなければと思っていたことだが、それはべつに

この二人がやらずとも、Gリサーチの回収班が行っている。

だが、追って来た者の正体を突き止めようという事から今ここでサンプルを探している。

「さすがに、はいってきませんね。」

手塚は、三枝に言った。

もっとも、相手の車はこの海岸が見渡せそうな防波堤の先端に移動していた。

夕方からのつりでもしようかというようなそぶりで車から降りる。

「そうね。」

そういった、三枝は目の前の5センチ程の黒いコロイド状の物体に目をむけた。

まるで、もれた原油が海水で固まったような、工場廃液の澱のような物体は不自然に

黒く、輝いている。

波打ち際の所為でもあるのだろう、とは思ったがそれにしては周囲には漂着物が少ない。

「あ。」

手塚ミドリは自身の持っていた、回収容器にいれようと大型のピンセットをその物体に

当てて、目を疑った。

ピンセットが触れた部分から腐食して無くなったのだ。

しかも、その物体はナメクジのようにもぞもぞと動くと海に向かって進んでいった。

前方に当る部分に赤く光る二つの球体を目の様に輝かせている。

実際、目のような役割をするのかもしれないが。

「黒くて、溶かして、紅い目。」

二人は、先ほどの女性の言った言葉の意味を理解した。

それは、海に入って行くと程なく姿を消した。

「カメラ、持ってくるべきでしたね。」

「そうね。」

二人が、車にもどろうとしたとき異常な波音が響いた。

 

 

防波堤に車を停め、男は自分がつりにきたんだと言うように車から釣竿等をだした。

釣竿と道具を入れておいたのは正解だったな。

等と考えながら、目標の二人に目をむけていく。

ここから、移動する事になったときの為に代りの要員が来ているはずだが姿は見えず

また、少しは不安な気持ちを感じていた。

だが、目標はそこで何かを探している。

なにか、見つけたようだが、そこで固まっている二人を見ると自分のポジションが少々

もどかしい。

かといって、双眼鏡なんぞを出すわけにもいかず黙ってつりをする。

当然、真似であるので連れる必要はないのだが、シーバス用のルアーなのでなんども

海に投げ入れては、引き戻すという作業を繰り返す。

ルアーの単調なリズムが海に魚の居ない事を物語っているのだが、そんなことはどうでも

いいことだった。

だが、突然ルアーの抵抗が無くなった。

竿が急に跳ね上がり、先の無くなった糸が海面から姿を現した。

「なんだ?。」

ふと、鼻を刺激する臭いに気づき振り返るとそこには海からはいあがってくる黒く巨大な

物が目に入った。

それは、まるでアメーバの様に自分に向かって流れてくるとずるずると巻き付いてきた。

「ぐふああっ」

叫びとも、息が漏れたともつかない叫びを上げる。

見ると、自分の腰のあたりから白い煙が出ている。

熱く、いたむその物体から逃れようとしたが彼は結局海に引きずり込まれた。

その彼が最後にみたのは、三枝達と同じ紅い光る目玉だった。

 

 

二人がそこにきたとき、もはや男の姿はなく、ただ刺激臭と黒っぽい粘液とそして

腐食した防波堤のコンクリートと海に浮かぶ粘性の高そうな白い泡であった。

「いったい、なんだったんでしょう?。」

手塚ミドリはさすがにおびえてきたようで少し震える声できいてきた。

「わからないわ。」

車の方に目を向ける三枝未希。

ふと見ると、散乱したつりの道具のほとんどがやはりとけてなくなったかのようだった。

上着だったと思しき布切れを持ち上げるとそこから、NERV調査部のIDカードが

こぼれ落ちた。

「調査部ですか?」

「なめられたものね。」

そう言った、三枝未希だが、手塚の後方を見たまま、動きを停めた。

妙に思い、振り返ると同じように手塚ミドリも動きを停めてしまった。

そこには、先ほどの黒い生物を数百倍にした大きさの物が浮かび上がり近づいてきていた。

 

 

ミサトは、アスカ達の所にいくと事の次第を話した。

「つまり、エヴァで側にいれば檻からだせるってこと?」

「まさに、その通りよ。」

自暴自棄気味にミサトが答える。

が、その返答を聞くとアスカはガッツポーズとともにはしゃぎだしていた。

(ストレス発散、ねぇ)

リツコではないが、この程度でストレス発散できるなら良しとすべきか。

と、考えたのだが、やはりこの過剰サービスは納得できるものではなかった。

今迄、使い捨て道具の様にして扱っていた、アスカやシンジに対するこの対応の変化は

やはり気になるものである。

「施設を破壊したり人をおそったら即刻処分するからね。」

と言ったが聞こえてるかどうか怪しい。

もう一度、明日にでも言っておかないとね。

そんな事を考えながら、残りの業務を終える為にドアを出て行こうとした。

「あ、シンジ君、あたし今日はおそくなるから。

先に食事すましちゃって。」

振り返って同居人の一人に伝える。

「アスカに襲われ無いようにねぇ。」

余計な一言も付け加えてみたのだが、今回はなんら返答はなく浮かれていることだけが

確認できただけだった。

 

 

防波堤にせまって来るその生物から逃れようと二人は急いで車にのるとバックで

急発進した。

だが、所詮バックギアのスピードではたかが知れている。

防波堤の先端から徐々に腐食させながら、その怪物は距離を狭めてくる。

「さ、三枝所長、あいつからもわずかに放射能が。」

手持ちの小型ガイガーカウンターからでる数値は微弱なものだった。

「この程度じゃ、ゴジラとは無縁な怪獣ね。」

後ろを見たまま、三枝は答える。

まるで、砂糖菓子のようにもろく崩れていく防波堤を絶望的にみている手塚ミドリの

前から、突如黒い怪物は吹き飛んだ。

車はそのまま陸地にもどると急激なターンをして海を背にした。

「ゴジラ…」

海の中から上半身を見せ、そこにはゴジラが悠然とたっていた。

手塚の持っている、ガイガーカウンターは瞬間的に高濃度の放射能を検地しいたせいで

外装のカーボンが焼けこげている。

ゴジラは、三枝達をまるで居ないかのように無視すると視線を吹き飛んだ黒い怪獣の方に

むけ、歩を進めた。

くぐもったカン高い唸り声のような声を発すると黒い怪獣は沖の方にむかって逃げて行く。

それに向かい、ゴジラは放射能熱線を吐き掛ける。

相手の体から火花が飛び散り、一瞬動きが止まるが再び起きに向かう。

沖に向かって行く怪獣とそれを追うゴジラ。

だが、ゴジラの発見の方をうけ航空自衛隊の迎撃部隊がその行く手を塞ぐ。

本格的な攻撃隊が来るまでの足止め程度の効果しかないが彼ら自衛隊は果敢にゴジラに

挑んで行く。

だが、ミサイルごときではゴジラを停める事は出来ない。

ただ、怒りに火を注ぐだけのことだった。

そして、ゴジラが天を仰いだ一瞬後、迎撃機は熱線の餌食となった。

本来の目標を見失ったゴジラは、一声雄叫びを上げると海に消えていった。

 

「ジュニア…」

「本当にジュニアですか?」

手塚の問いにうなづくと三枝未希は

「でも、もう昔のジュニアじゃない。」

と付け加えた。

 


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ver.-1.00 1999_07/15公開

ご意見・ご感想は国連G対策センターまで!!



ひさしぶりよね。

そうですねえ、なんせ4月以降かいてないし。

ゴジラミレニアムまでにおわるといいわ。

だけど、なにやってたの?。

鯖運動。

続きかいておくれ〜、ってやつです。

で、まあ自分が続きかいて完結させないと説得力ないな、とおもって。

でも、もはやエヴァじゃないわね。

むう、いいじゃん、大家さんが迷惑じゃなけりゃ。

今回、ゴジラの人たちしか活躍してないわ。

ふ、ちゃーんとマナちゃんが活躍ぶっこいてるでしょうに。

私はでてない。

まあ、そのうちに。

先はながそうね、ゴジラミレニアムは12月よ。

う、むうUSAゴジラ2までには

いつなの

しらない





 SOUさんの『怪獣聖書』伍、公開です。





 どろどろしていて
 黒くて
 じゅるじゅる迫ってきて
 赤い目で
 でっかくて

 包み込まれて
 溶かされて
 海に引き込まれて



 やーだ・・・

 めっちゃきもいっす〜



 ゴジラさん、
 やっちゃって下さい。

 すきっり
 さっぱり
 きれいに消却してやって下さいっす〜

 放射能汚染も許す(笑)



 


 さあ、訪問者の皆さん。
 完結に向かう!SOUさんに感想メールを送りましょう!





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