息を飲む逸見の前に現われたのは全長200メートルを越えようという巨大な、そして
武骨な威容を誇る戦艦であった。
「なんなんですか、これは?。」
その一種間の抜けた質問に司令官は振り向くと答えた。
「最初で最後の特型駆逐艦、ラ号。」
「その、生き残り轟天です。」
西田が後を引き継いだ。
「轟天ですか、しかし…。」
なんだって、船を山ん中なんぞに。
轟天を見上げながら、そのことばを逸見は飲み込んだ。
同時刻、太平洋上。
国連太平洋艦隊は、薄闇迫る中いよいよ目的地の日本に向かってすすんでいた。
「やれやれ、今回は何事もなくすんだな。」
あと、少しというところでの気の緩みか空母オーバー・ザ・レインボーの艦長は
前回の任務を思い返して、ほっとした表情を浮かべていた。
今回の積み荷はエヴァなんぞと言うものとは違う。
そのために道中何事も問題無く進んだのだろう。
そう思っていた。
が…。
時田は、その戦略自衛隊の幕僚にいささか腹を立てはじめていた。
「なにも私たちはあなた方をどうこうしようと言う訳ではない。」
苛立ちが現われた声で言う時田に
「だが、君たちの通称JAか?、あれは前回の失敗以降評判はわるいじゃないか」
「それとこれとは、関係ないでしょう!!。
今私が知りたい事の情報すら教えない訳を聞かせてくれませんかね!。」
「知ってどうするんだ?。
良いかね、時田君、君たちのJAを我々戦自に売り込む為の算段があるのだろうが
もはや、そんなものは必要ないんだよ。」
あからさまに馬鹿にしたような口調に変わる。
「どういう事だ、費用もメカゴジラ半分しかかかっていない。
性能は互角だ。」
「だが、こちらにはメカゴジラ1台分で3台は作れるというのがすでに有ってね。」
そこまで言ったとき、急に沈黙が訪れた。
「どうしたんです。」
先ほどから苛立ちを募らせてる時田は焦れて腹立たしげに電話に向かって怒鳴る。
「すまんな、時田君、また今度電話してくれたまえ。」
いかにも慌てた風に電話を切るその向こうではなにか急な事態が起きているらしい
喧騒がもれ聞こえてきていた。
「なんだというんだ、いったい。」
その同じ頃、再び国連艦隊。
「無事に航海を終えようというのに不機嫌そうですね、艦長。」
副長が、それとはなしに聞いてきた。
「ああ、日本人は我々国連艦隊を配送屋と思ってるのかと思うとな。」
「ですが、これらはFEDEXには運べないでしょう。」
「部品で運べばいい。」
そんな会話を遮るように、
「ソナーに反応!、後方より海中を高速で進んでくる物体があります。」
ソナー官からの報告が艦橋内に響いた。
「なんだ?、潜水艦か?。」
「いえ、生物のようです。」
一瞬、前回の輸送作戦時の事が脳裏をよぎる。
「まさか、使徒か?。」
「まだわかりません!。」
その報告が終わらない内に各艦艇に指示を出す。
「三隻の輸送船を前方中央にだせ、巡洋艦2隻を向かわせろ。」
艦隊が陣形を整えようとしている間にもその巨大生物は信じられない速度で迫っている。
2隻の巡洋艦、サラエボとボスニアが回頭しながら爆雷を散布する。
ただの足止め程度にしかすぎないが、それでも陣形が変わるまでの時間稼ぎにはなる。
だが、その海中を進む巨大生物は爆雷を物ともせずに突き進んでくる。
その潜航波がサラエボに向かっていく。
海面が盛り上がるように、泡立ちサラエボの中央をへし折って行く。
「あれは…。」
波の中から、低く野太い雄叫びが轟きわたった。
爆発の閃光の中、その巨大な姿が現われた。
同時刻、信州山中。
あっけにとられて最初は見ていた逸見だが、その説明を聞くにつれ興味がわいてきた。
「ですが、司令、こんな山の中で戦艦を作ってどうやって使うんですか?。
諏訪湖にでもうかべるんでしょうか?。」
少々、皮肉っぽく聞く。
「いやいや、そんなことはないですよ。
この戦艦は戦艦でも、通常の戦艦とは違います。」
変わりに西田が説明を始めた。
「この轟天自体の設計は第二次世界大戦時のものなんですが、かなり洗練された
発想の持ち主ですね。
これは、水、陸、空での同時使用を前提にしていたとしか思えない。」
その技術、発想に敬意を抱いている西田はひどく嬉しそうに話す。
変わった奴だな、と逸見は思いながら聞いていた。
もっとも技術的な事、専門的な事に至ってはさっぱり理解できないが。
「…ですが、今は主砲の一つを別のものに換装しています。」
「別のもの?。」
逸見の問いに西田は誇らしげに答える
「反陽子メーサーです。
これは、動力にしている融合炉から直接エネルギーを得て撃つんです。
一回の破壊力は、使徒を撃破に使われた陽電子砲より落ちますが一定の高出力で
最大2時間の連続照射が…、」
そこまで、話したときふいに司令官が話を遮った。
「西田博士、調子の良いときにすまないが緊急の事態だ。」
そういうと、逸見にむきなおって話し出した。
「国連艦隊からの連絡だ。」
「なんです?。」
「ゴジラが、でた。」
サラエボを軽く屠ったゴジラは、再び海中に没した。
だが、ゴジラがそこからいなくなった訳ではなかった。
この水深では、ゴジラの身長でも水面には届かなかったからだ。
「ゴジラ、さらに進行。
3番輸送船に向かっています。」
ボスニアの砲撃も、爆雷もまるで感じていないかのように再び海中に消えたゴジラが
今度は、輸送船を狙っている。
「やつめ、なにを狙って?。」
それでも、周囲の艦船は次々と海中のゴジラに攻撃を仕掛ける。
「まったく、極秘の輸送なんて任務はうけるんではなかったな。」
一言愚痴を言うと、艦長は3番輸送船に対し回避命令をだす。
だが。
一足早く、ゴジラはその輸送船に飛びかかっていった。
まるで、鯨のジャンプのように海面を割ってでたゴジラはそのまま輸送船にのしかかり
船の上甲板を引き裂いた。
その船倉の中に顔をつっこみ、派手な破壊音をたてている。
乗員の避難が終わっていないために、攻撃もできずに見ている事しかできない艦の乗員の
口惜しそうな顔を一身にうけてゴジラが振り返る。
「奴め、トライデントの原子炉が目当てか…。」
信州山中。
逸見はゴジラの名を聞き、さすがに驚愕した。
もっとも、表面上はそれを見せない。
「国連艦隊はなにかの極秘任務らしい、艦隊の数も少ない。
いってくれるな?。」
「それはかまいませんが、この轟天で?。」
「いや、轟天はまだ完成していない。
今の君の船、バウンティで行ってもらうのだが。」
「ここから車だと行くまでに、艦隊が全滅しますがね。」
「ヘリだってあるがな。」
「わかりました、黒木司令官。」
逸見は背筋を伸ばすと
「では、バウンティに発進準備が整いしだい出港するように連絡してください。
場所は、国連艦隊。」
といい、敬礼をしてから案内の士官について歩いていった。
「司令、彼に轟天を任すんですか。」
西田が不安げにきいた。
「不満か、西田博士。」
「彼は、理想家過ぎました。」
そのことばには答えず、黒木は笑って歩いていった。
ゴジラは、その原子炉をしばし口にくわえていた。
「ほ、放射線レベル、熱量、急速に消えて行きます。」
「なに?。」
「奴が、核エネルギーを吸収しきったんだ。」
それを裏付けるように、ゴジラの体に紅い閃光が走った。
その原子炉はすでに用済みとばかりに放り投げる。
無軌道に飛んでいったそれが、救助の為に近寄っていた駆逐艦の艦橋に直撃する。
「ゴジラの放射能レベル、上昇!。」
飛行甲板上では、艦載機が発艦していく。
だが、飛び立っても周囲に人が多くなかなか攻撃できないでいた。
輸送船に再び、一撃を加えとどめをさすとゴジラは次の獲物、他の輸送船に向かい始めた。
『トライデント、1番、2番、出ます。』
唐突に、入ったその通信に艦長はまた二の舞になってしまった事を悔やむも今、ゴジラを
抑える事ができるかもしれない唯一の兵器として、出撃を許可せざるを得なかった。
「まあ、戦自の奴等だ。
壊しても、文句は出まい。」
「勝てますかね?。」
「わからん。」
艦長自身、ゴジラと相対したことはなかった。
だが、その猛威は若い頃にニュースや被災地支援でよく知っている。
近代都市が、最強の兵器が僅一夜にして灰塵ときしてしまう。
「奴は、歩く核兵器だからな。」
とにかく、Gフォースの到着までもてばいい。
自分の机を、苛立たしげに指で叩く時田にその報告を持ってきた所員は最初こそ
怒鳴られたが、出るときにはにこやかに送られて少々困惑したようだった。
「ゴジラがでたか!。」
これで、先ほどの戦自の慌てぶりがわかる。
たぶん、輸送中の安物が襲われたのだろう。
メカゴジラ3分の1の実力、見せてもらおうか。
逸見が、バウンティに追いついたのはバウンティがそろそろ下田を越えようかと言うと
ところであった。
「遅くなったな、状況は?。」
「現在のスピードで、およそ1時間。
最大船速で30分です。」
「よし、MHDエアロリフター始動。」
「アイ・サー!。」
バウンティが高速航行モードに変更しているそのときに前方の海上に巨大な移動波が
発生しているのが確認できた。
「センサー部、確認!。」
その波が、出力を上げたバウンティに向かって進路を変えて迫ってきた。
輸送船、1番、2番から姿を現したトライデント。
『いいな、武装が最小限だ。
確実にやるぞ。』
『了解、最新型の威力を思い知らせてやりましょう。』
2機のトライデントは、船から飛び込みウォータージェットを最大出力でゴジラの反応が
出ている場所に向かっていった。
だが、センサーから突如ゴジラの姿が消えた。
『なんだ?、なぜ消えた!!。』
まだ命名されていないため、現在便宜上1番輸送船に乗っていたものが1番機になり
指揮をとっている。
『2番機、注意し…』
そのとたん、2番機に衝撃が走った。
ゴジラは、真下から襲ってきたのだ。
水深が300メートル近くあるため、巨大なゴジラもまた自在に移動していける。
肩部パイロンのロケットポッドを慌てて発射するが、照準もままならない為に命中しない。
『2番機、ここは地上ではない、いいか、ここは地上ではない。
センサーを水平探査から立体探査に変えろ。』
雑音と周囲の爆音に紛れて不明瞭ではあったが、通信は入った。
センサーを立体探査に変える。
ゴジラは…。
「なんだ!!?。」
空母上の艦載機が突然、傾いた為に次々海へと落ちて行く。
左に張り出している飛行甲板を吹き飛ばしゴジラが浮上してきた。
「お、お、」
全員が息をのみ、最後を意識したときトライデント2機が遅れて浮上しゴジラに
つかみかかり、再び海中に消える。
潜航して迫ってきたその巨大生物をかろうじてよけたバウンティだがその生物は
しつこく迫ってくる。
「しつこいな。」
相手の深度、速度、大きさの報告を聞き逸見は後部魚雷の発射を命じた。
「弾頭は、冷凍弾頭。」
「冷凍魚雷、発射。」
2発発射された魚雷は、追ってくるその生物に命中し周囲の水と共に巨大な氷の固まり
に変えた。
「よし、進路戻せ。」
バウンティが本来の進路に戻ろうと動き出した時、氷塊に亀裂が走った。
「まさか…。」
氷塊を突き崩した物。
「デストロイア、なにもこんな時に。」
「青島、そんな事をいってる暇はない。」
思わず、デストロイア集合体を見て呟いた操舵手にそう言いながら逸見は無線を手に
とった。
「我、デストロイアと遭遇、これより戦闘に入る。」
「なんだと!、デストロイアだと!!。」
その通信を受けて驚いたのはGフォースだけではなかった。
時田もその通信を聞き、驚くと同時にパイプ溶解事件の真相に思い当たり声を上げた。
「奴は、生きていたのか…。」
がっくりと椅子に腰掛けると、深くため息をついた。
NERVでもまた、その情報をうけ監視体制に入ったが使徒ではないと言う理由から
現段階では、チルドレンに対しての招集はかけられなかった。
「いいのか、碇。」
「ああ、かまわん。
奴等が暴れてくれる限りは我々にとっては都合がいい。」
「そうそう、うまく行くとは思えないが。」
「なに、いざとなればこちらにはエヴァがある。」
たかが怪獣ごときにエヴァのATフィールドが敗れるはずがなかろう。
ゲンドウは心の内でそう呟いた。
海底深くにまで降りてゴジラを押え込もうとしたトライデント2機。
だが、2機とも振り払われて海底に叩き付けられる。
そこに溜まっていた土砂が煙の様に舞いあがる中立ち上がるトライデント。
だが、外部モニターは役には立たなかった。
レーダーとソナーは辛うじて生きているが他のセンサーは格闘の影響で半分しか使用
できないでいた。
『ソナーに反応!、右後方…』
1番機の通信がまた途切れる。
外部マイクで拾う音のなかに破壊される1番機の音らしきものが入ってくる。
「1番機、応答してください、1番機、三ノ輪さん!!。」
だが通信にはなにも入ってこない。
外の音には引き千切られる金属の音とともに空気が大量に水の中に溢れ出す音が混じり
だしている。
突然、機体の安定が崩れた。
右脚部がなにかに引っ張られているらしい。
機体の破損警報のモニタによると、装甲が破損しているようである。
「なんで、急に??。」
まだ、外部マイクによれば1番機とゴジラは格闘しているようだ。
では、なにが?。
デストロイアは、オキシジェンデストロイヤーをはきつつバウンティに攻撃をかけて
きている。
バウンティも、反撃を繰り返すが接近されるたびに装甲が腐食していく。
微少酸素による、腐食はバウンティの強固な装甲も徐々に破壊していく。
だが、デストロイアは大したダメージもうけてはいなさそうだった。
「現状報告!。」
逸見は、その報告を聞くと渋い顔をした。
耐熱装甲のほとんどが破壊されている。
辛うじて、この場をのりきってももはやゴジラを相手にするだけの力は残っていない。
「デストロイアの正面に向けろ。」
バウンティと、デストロイアは直線上に向かい合い進んでいった。
「駿河湾全域に、パターン青!。
あ、いえ消えました。」
当直のオペレーター達は反応が出たり消えたりしている画面に戸惑いながらも
その事を報告した。
だが、その直後一切の反応が現われなくなったためセンサーの誤作動として処理された。
引きずられて土煙の中から出てきた2番機は、その足にまとわりついている物を確認した。
それは、黒っぽく不定形の不気味な生物だった。
大きさは、さほどはないがそれでもトライデントの半分くらいであろうか。
それが、触れているところがものすごい早さで溶けていく。
「な、まさかこれがデストロイア?。」
だが、写真などのデータで見るものとは大分違う。
ズームしようとしたときその生物に何かが落ちてきた。
それは、半壊したトライデント1番機だった。
原子炉は抜かれている。
衝撃から、離れた生物は立ち上がるとまがまがしく紅い目を輝かせるといずこかへと
泳ぎ去っていった。
「なんだ、あれは。」
だが、考えるまもなくぎしぎしという軋む音がコクピット内に響いてきた。
「く、しまった。」
「艦首、メーサー破砕機起動!。」
バウンティの艦首が青白く輝くと四つに別れた。
艦首をメーサーで包み込み、そのエネルギーと艦体の質量で相手を粉砕するための
兵器である。
デストロイアもまた飛行形態に近い形に変わっている。
1隻と1匹は激突した。
「どうだった?。」
空母オーバー・ザ・レインボーの艦橋では救助作業から戻ってきた副長に対し
艦長が様子を確認していた。
「生存者の救助は完了しました。
パイロットも無事の様です。」
「そうか…。」
そういって、だまった艦長を怪訝に思った副長は
「なにか、気になる事でもありますか?。」
と聞いた。
「いや、奴め手加減したのか?、と思ってなあ。」
「奴、ゴジラですか?。」
「ああ、熱線を使わなかっただろう。
なめられてるのか、手加減されたのか。」
「吐けないのでしょう。」
「いや、そんなことはあるまい。
奴は、核を吸収したのだからな。」
半壊して航行することもできなくなったバウンティは、もはや浮いているのが
奇跡だった。
「状況は?。」
「艦は、放棄するしかありません。
怪我人はいますが重傷者がいないのが幸いです。
死者はゼロです。」
死者がいないのだけでも、こっちの勝ちかもしれん。
逸見はそう考えていた。
バウンティとデストロイアは正面からぶつかった。
いかな装甲だろうと、たとえそれがエヴァンゲリオンの特殊装甲であろうとその
メーサー破砕機は粉砕することができるはずだった。
だが、デストロイアはそれに正面からぶつかり体の半分を失いながらも生き延びた。
「だが、轟天なら勝てるかもしれん。」
「は?。」
「いや、なんでもない副長。」
彼方に、救援のヘリコプターが見え始めていた。
同時刻、NERVジオフロント本部施設
「だから、なんでそおいう変な名前にしたいの!。」
アスカの怒鳴り声が響いていた。
「いけない?。」
静かに帰すレイ。
「やっぱ、よびやすい名前がいいと思うよ。」
シンジが困ったように言う。
「ラドンはラドンでいいじゃない。」
リツコとミサトが顔を見合わせて呟く。
子供達は未だその日の事件をしらなかった。
飛行甲板の大半を失いながらも、空母オーバー・ザ・レインボーは日本、房総半島に向け
残った艦隊とともに進んでいった。
「大丈夫か?。」
ココアを出しながら、三ノ輪は2番機のパイロットに聞いた。
「ええ、まあ。」
あいまいに笑いながらカップを受け取る。
「私の仕事が半分になっちゃいましたけど。」
そういうと一口飲んだ。
「これは、おせっかいな忠告と思ってくれてかまわないが…、」
顔を向ける。
「無理はするな、いざとなれば投降してしまってかまわん。」
「でも、」
抗議しようとする声を遮って三ノ輪は続ける。
「霧島、何故14歳のお前がこんなことになったかまではきかない。
だが、今時14歳の潜入スパイもなかろう、と思う。
上が何を考えてるか知らんが、生き残れ。」
「三ノ輪教官…。」
「いいな。」
それだけ言うと、三ノ輪は立ち去っていった。
同時刻、ニューヨーク。
「所長!。」
廊下を歩く30代後半から40代前半と思しき女性に話し掛ける20代後半の女性。
「なに?、手塚さん。」
呼び止められて、振り向くその女性。
「ゴジラの件なら聞いてるわ。」
若い方、手塚と呼ばれた女性は追いつくと
「その件ではありません、デストロイアも現われました。」
と報告した。
「デストロイアですって?。」
「はい、Gフォース所属のバウンティが戦闘を行いましたが撃破されたみたいです。」
「そう…、手塚さん、その情報をもっとあつめておいて。
それと思われる、事故がいつぐらいから出ていたかもね。」
「わかりました、三枝所長。」
手塚は、踵を帰すと走っていった。
「ジュニア、まさかデストロイアと戦うつもりなの?。」
国連巨大生物対策センター巨大生物情報探査研究所、通称Gリサーチ所長三枝未希は
その思いを胸の奥に秘め、対策会議の行われる会議室に向かった。
同日、深夜未明第3新東京市内
「で、今夜はどうするんだい?。」
加持は、車を運転する女性に向かって聞いた。
「俺としちゃ、このままホテルに行ってもかまわないんだがねえ。」
流れる景色を眺めながら、加持はさらに続けた。
「ホテルでもいいが、それだといろいろ困るんでは?。」
その固い口調に加持も真顔になる。
「なんか、あるのか?。」
こくりとうなづくその若い女性連絡員の強ばった顔をみて余程の事と察する。
「数日後に戦自はスパイを送り込む。
14歳の女の子よ。」
「14歳のスパイだと?。」
子供を利用するのはNERVだけではないらしい。
そう言いかけて、やめた。
「そう、それとゴジラが現われたわ。」
「それで?。」
「トライデントは歯が立たなかった。」
「だろうね。」
「こちらとしては、ATフィールドのことが知りたい。」
「俺は技術者じゃあない。」
「判ってる、マルドック機関の事を調べて欲しい。」
「京都か…。」
「京都だ。」
車は郊外で止まると、加持を降ろして走り去った。
「ふられたね。」
独り言の様に呟くが、周囲に見られているかもしれない。
京都か、どういう理由をつけるかな。
そんな事を考えながら歩く加持の耳に鈍く小さく衝撃音が聞こえてきた。
「ふられてたすかったな。」
今度はだれにも聞こえない呟きを口にした。
同時刻、コンフォート17マンション
「シュトルム・ファルケよ!。」
「言いづらいよ。」
名前が決まらず、未だ起きているアスカと付き合わされているシンジ、レイ。
「あんたたち、いい加減ねなさいよ。」
ビール片手にミサトはうんざりしたように言う。
「だめよ、きまるまでは!。」
「クロウ…。」
「からすじゃない!!。」
レイの名前に文句を大声で言うアスカ。
「でも、神の使いのからすと言う話もあるわ。」
「でもからすはだめ!!。」
「あたし、寝るからね。」
ミサトはいい加減あきてきて、自室にこもってしまった。
翌日、コンフォート17マンション
「あんたたち、一晩おきてたの?。」
あきれた顔でミサトが言う。
自然と大声になっている。
「ええ、なかなかいいのがでなくって。」
心底眠そうにシンジが答える。
すでにレイは、ソファで勝手に寝ているようである。
「で、決まったの?。」
「ええ、やっとね。」
目の下に隈を作ってアスカが力無く答える。
「なんて名前?。」
「ファフニール。」
「それって、神話の馬の名前じゃない!!。」
「ケツァルコアトル、ってのも出たんですけど長いから。」
シンジが付け足す。
「まぁだそっちのほうがあってるわよねえ。」
「いいのよ、ファフニールで!!。」
「はいはい、まあ、今日は3人とも学校は休みね。」
「そうします。」
シンジが大欠伸をしながら答える。
「レイも、ねちゃってるしね。」
とミサトが目を向けた時にレイが目を覚ました。
「ラドンがお腹減らしてるわ。」
「ファフニールよ!、ファースト!!。」
同時刻、太平洋上国連特別機。
「手塚さんは、日本は何ヶ月ぶり?。」
三枝未希は傍らの手塚ミドリに聞いた。
ちょうど、日が窓から差し込んできている。
「だいたい、半年ぐらいですね。」
「そう、両親には言ってあるの?。」
「いえ、父も母も相変わらずですから。」
三枝は、二人の事を思い出して顔をほころばせた。
だが、気を引き締めなければならない。
これからNERVに行き、共同行動の要請をしなければならないからだ。
「使徒の出現と、ゴジラ、デストロイアの出現には一切の関係はない。
したがって、NERVが情報を公開する義務はない。」
あれだけ可能性を示唆したのに、国連の会議の結果はその一言で終わった。
一切の使徒問題は、NERV以外には触れる事はできない。
そう言っているのであった。
「議長、ですがゴジラもデストロイアもその性質は未だ解明されきっていません。
もしゴジラが、使徒やエヴァンゲリオンを敵とみなした時の…。」
「三枝所長、すでに結論はでている。」
「しかし…、」
「これにて閉会する。」
国連もNERVも使徒に関するかぎり他の機関を近づけようとはしない。
だが、GフォースやGリサーチの行動を抑えるまではまだ来ていない。
三枝未希は、気を引き締めると眼下に見え始めた日本列島に目を落した。
ver.-1.00 1998+11/26公開
ご意見・ご感想は国連G対策センターまで!!
また、間があいたわね。
そうですねえ、いろいろ忙しくって。
仕事だけでないもんなあ、こまっちゃうよ。
そういう、言い訳をするのね。
それに、これ、また私たちの出番が少ない。
そうそう、これってよく考えたらエヴァのメインきゃらがほっとんど活躍してない。
霧島さんがでてるわね。
うーん、そうなんですけどね、よく知らないんですよわたし。
それでも出すのね。
うん、だしはちゃう、性格がリナレイだって噂だし、どーせ本来のキャラとは違うんだし
問題発言ね。
まね、いいんじゃない?。
そう、モスラ3までに間に合わなかったわね、完結。
う、が、がめら3までに完結する!!。