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バークレイは、最後の調整を終えた新設のセンサーをメインの回線に接続した。

これで、計算上は使徒のもつ生物波動をかなり小さなレベルまで観測できるはず

であるし、使徒のもつエネルギーパターンもかなり正確に計測できるはずである。

「バークレイよりブリッジ。」

コミュニケーターでブリッジを呼出す。

答えたのはデイタである。

どうやらピカードはまだ戻ってはいないようである。

「これより、増設したセンサーの試験作動を行います。」

「わかった、こちらでもその様子をモニターしよう。」

ブリッジとの連絡を終えると、バークレイはもう一度コミュニケーターに話かけた。

「ラ・フォージュ少佐、センサーの試験を行います。

もしよろしければ、こちらに来ていただけませんか?。」

ジョーディは二つ返事でやってきた。

 

 

シンジ達が、クラスメートを目撃してからすぐミサトの操る高速装甲車はジオフロントへ

向かうゲートをくぐった。

「なに?、この震動は?。」

カートレインに装甲車が固定されると同時にまるで地震のような震動が車内に響いた。

ミサトは、すぐに司令室に確認をとった。

「なにも反応が無いですって?。」

 

 

ピカードは、突如目前のディスプレイに現われた表示に少なからず驚きをあらわした。

「馬鹿な!。」

そこには、本来この世界では現われてはいないはず(仮に自分達の世界でも)の反応が

表示されていた。

「オメガ・インフォメーションだと?。」

新設のセンサーのテストが行われているはずだからその誤作動かもしれない。

「ピカードよりブリッジ、デイタ少佐。」

「デイタです、艦長、何でしょうか?。」

「至急私の部屋に、それと、増設したセンサーのテストは行ったのか?。」

「現在、テスト中です。」

「では、ラ・フォージュ少佐にも来るように伝えてくれ。」

「判りました。」

ピカードは会話を終えると、深々と椅子に腰掛けた。

「これは、大変な事になったな。」

そう言うと、にやっと笑って眼下の地球を見やった。

 

 

 

第6章 最後のシ者、最初の試練 PARTW

 

 

「まったく、少しは気をつけるんだな、ミサ。」

その包帯まみれでベッドに横たわるミサに、黒井サトルは言う。

「そんな事言っても、叔父さんだってあれは予測できないわよ。」

拗ねたようにベッドからミサが言う。

「ふん、確かにな。

だが、ミサ、お前がそこまで身を挺して行動する理由は予測がついている。」

黒井サトルは、手に持った眼球の模型をかちゃかちゃともてあそびながら話を続ける。

「アンリ、だろう。」

その言葉に、ミサは一瞬顔を背ける。

「死んだ妹の面影を、友の面影をあの子供達にみているのだろう?、ミサ。」

サトルは、ミサの顔を覗き込む様に言う。

「でなければ、あんな行動はとらなかっただろう。」

 

 

炎天下、睨み合った二人黒井ミサと天谷ミチコ。

天谷ミチコは、すでにヘカテによって魂を奪われたか封ぜられたか。

ミサはそう考えた。

ミチコの右手がゆっくりとあがる。

この娘を私が殺したと知ったらあの子達は、どう思うかな。

ふと、そんな事を考える。

だが、それでもスカートの下に隠された短剣を引き抜くと間合いを詰め右手を切り落とす。

それでも、ミチコは表情を変えない。

「やはり、魂は無くなってるのね。」

 

ミチコはその朝、ヘカテに出会った。

いやその瞬間は、ヘカテだとは思わなかった。

レイ、だと思ったのだ。

沸き上がる一瞬の嫉妬。

「お前は、その炎で誰を奪いたいのだ?。」

その声を聞き天谷ミチコは、それがレイでは無いことをしった。

だが、時はすでに遅かった。

「お前の望むようにしてやろうか?。」

低い、心を凍らせるような声でヘカテが言う。

「ええ?。」

自分の望み。

碇シンジと…。

そう考えた時、ミチコの魂はヘカテの髪と左目と同じ漆黒に閉ざされた。

ただ、レイとアスカへの嫉妬の焔を残して。

 

右手を切り落としたミサは、返す刀でミチコの体に切り付けた。

だが、瞬間黄色い閃光とともに刀が弾かれた。

ATフィールド、であった。

辛うじて彼女の服を切り裂くことのみできている。

だが、ミサは目を疑った。

ミチコの心臓のある所に赤く輝く光球が現われていた。

「まさか。」

目を凝らすと、使徒の形を模した光の影が見える。

「魂を封じただけではなかったのね!。」

ミチコの光逑が輝くと、急激に力を開放しはじめた。

「なんてことを!。」

ミサは、空間の扉を開く為の行動にでた。

 

 

僅かな爆発音と震動を残して、ミチコの開放されたエネルギーは狭間の空間に消えた。

だが、空間の扉が閉まるのがタイミングは遅くミサは自分の体を楯としてエネルギーの流

出を最小限に抑えた。

 

 

そして、そこには、なにもそれらしいものは残っていなかった。

倒れていたミサは立ち上がると、ふらふらと歩き出した。

だが、その体のほとんどにやけどと裂傷を負っていた。

 

 

 

その同時刻、エンタープライズではセンサーがそのエネルギー反応を捉えていた。

波形はオメガ・インフォメーションを起動させた。

 

サトルの覗き込むように見ている顔に再び目を向けるとミサは

「そうよ、あの子達に面影をみているわ。」

そう答えた。

「レイは、アンリに良く似ているのよ。」

さらにそう付け加える。

「だから、必要以上に接触するのか?。」

「それだけじゃ、ないわ。」

ミサはその後、黙っていた。

 

 

 

艦長室に、デイタとラ・フォージュがきていた。

「ジョーディ、センサーにおかしな所はないんだな?。」

ピカードは念を押すように何度も聞いた。

「ありません、誤作動を起こせばメインセンサーの観測結果をみてコンピューターが

訂正するはずです。

いったい、なにがあったんですか?、艦長。」

ラ・フォージュは聞いた。

「私も、疑問に思います、艦長。

いったい、なにがあったのですか?。」

デイタもやはり聞く。

少し考えるそぶりを見せてから、ピカードは話始めた。

「つい、先ほど私のディスプレイにオメガ・インフォメーションがでた。」

「オメガ・インフォメーション、ですか?。」

「そうだ。」

ラ・フォージュは始めて聞く言葉に首を傾げた。

だが、デイタも知っている様子ではない。

「君たちが知らなくても当然だ。

これは、艦長クラスかそれ以上にならないと知らないことだからな。」

そして、ピカードはオメガ・インフォメーションの事を説明しはじめた。

「およそ、100年程前に連邦の科学者が生成に成功したものらしいのだが、これは

酷く危険な分子なのだ。

分子一つでかなりの破壊力のある爆発を起こすものらしい。」

デイタが首を傾げながら話す。

「ですが、艦長、そのようなものでしらここまで秘密にしなくてもよいのでは?。」

「問題は、その威力と半径だよ、デイタ。

破壊力は、半径数光年に及ぶらしい。」

「ぶ、分子一つでですか?。」

ラ・フォージュが驚きの声を上げる。

「そうだ、そして、その爆発は半径数光年の亜空間も破壊する。」

亜空間が破壊されると、ワープフィールドが発生しないだけではない。

エンタープライズのような亜空間フィールドの助けを借りて通常航行する大型船もまた

動きが取れなくなるのだ。

「連邦は、もしこのオメガ分子を発見するか生成している惑星があれば基本条約を

無視してでも、これを破壊せねばならないよう定義している。」

「つまり、今回のケースであればこの地球の内政干渉になってでもと言うことですか?。」

デイタが、確認の為の質問をする。

「そうだ。

だが、まだこれがセンサーの故障でない保証もない。

そこで、君たちにセンサーが正常に作動しているむねの確認を急いでもらいたい。」

「わかりました。」

そう返答すると、二人はドアに向かった。

「判っていると思うが、まだ他言無用にな。」

余計な混乱を避ける為に、ピカードは念を押した。

「ブリッジ、ライカー副長に至急艦内に戻ってくるように伝えてくれ。」

二人が出るかでないかのうちにつぎの指示を出した。

 

 

 

ライカーは、エンタープライズとの通信を終えると、スァヴァックとタオとの会話を

仕方なく切り上げた。

「なにか、起きたようですね?。」

スァヴァックが眉を片方つり上げながら聞いてきた。

「そのようだが、まだそれほど危機的なものではないようだ。」

そう答えてから、ライカーは二人に確認をとった。

「話の途中ですまんが、役には立ちそうか?。」

「かなり役にたちます、ありがとうございました。」

スァヴァックの答えにライカーは笑いを浮かべるとエンタープライズへと戻っていった。

「大尉、ですがどうやってヘカテの精神と融合するつもりですか?。」

タオが聞く。

「いや、無理にこちらから手を出さなくてもよいだろう。

相手はあのパイロットを狙っているのだ、3人を狙って現われるまで待つ方が確実

だろうと、考えられる。」

タオも頷く意外良い考えは出てこなかった。

 

 

シンジ、レイ、アスカ、カヲルの4人を連れ、ミサトはゲンドウのいる司令執務室に

向かった。

場所が場所だけに、シンジは少し気乗りしないようだ。

ミサトがパイロット4名を連れて戻ってきたとどこからか聞いたのかゲンドウは4人を

司令執務室に連れてくるように命じた。

普段では考えられないことであった。

今までは、レイを除いて他のパイロットを直接呼んだりはしたことがない。

それが今回は、4人とも一度に、しかもミサトや加持もともに呼んでいる。

「入ります。」

ミサトが室内にむかって声をかける。

入ると、ゲンドウがいつものように手を組んで机に座っている。

「来たか。」

一言そういう。

「司令、テストの前に急に呼出されましたがいったいどういう訳でしょうか。」

急な呼出しに疑問を感じたミサトが間髪を入れずに質問した。

ゲンドウはいつもの姿勢を維持したままミサトの方を軽く見ると、おもむろに

言葉を切り出した。

「たいしたことではない、ただパイロット達と君たちに立場と状況と現実を

理解してもらおうと思ったまでのことだ。」

と、そう言うとシンジ、アスカ、レイの3人の顔を順番に見つめてにやっと

笑った。

直後、背後の扉が開いた。

5人は、そちらの方を振り返った。

そこには、何かを持って人が入って来ようとしているのが見えた。

 

 

「少佐、これを!。」

第三新東京市にしては古いあるビルの一室で、書類を持って慌てて入って来る女性の姿

があった。

「三笠大尉、ここでは支社長と呼べといっただろう。」

その一室に座る男は、皮肉っぽい笑みを浮かべるとその女性に対して言った。

「失礼しました、砂漠谷支社長。」

女性、三笠大尉と呼ばれた彼女は慇懃無礼を装って書類をその男性に手渡した。

「三笠大尉、これは事実か?。」

書類に目を通すと、男、砂漠谷は先ほどまでの退屈そうだった顔から急に真顔になり

三笠に聞いた。

「ここでは、私は係長かと思いましたが?。」

仕返しか、三笠ユウコはにやっと笑って言う。

「それは、今は関係ない。

これが事実なのか?、大尉。」

「事実です。」

ユウコは、同じく真顔になり砂漠谷に答えた。

「我々の仕掛けた、小型探査プローブがこの一角でのみこの異常な反応を

感知しました。

NERVのセンサーにはかからなかった模様です。」

ユウコの続けて言った報告に砂漠谷は、一瞬怪訝な顔をした。

「極一部でのみの反応です。

我々のプローブの近くでなければ、我々にも判らなかったでしょう。」

その様子から、理由を説明するユウコ。

「わかった、大尉。

探査、監視の強化を行うようにしろ、必要ならばUNも使え。

なにか質問はあるか?。」

ユウコにむかって、砂漠谷は聞いた。

「いえ、今は無いです。」

そう答えると、ユウコは部屋の外に出ていった。

 

 

デイタは、ピカードの元へ新たな情報を持って現われた。

「なにかあらたなことがわかったようだな?、少佐。」

ピカードはデイタが来た事で、進展があったことを確信した。

「はい、艦長。

先ほどのオメガ・インフォメーションが出ると同時刻に一部、本当に極一部のエリアで

空間湾曲が観測されました。」

「空間湾曲だと。」

ピカードはその言葉を繰り返した。

「はい、ですが、多きさは人一人分ほどでした。

場所は、第三新東京市、エネルギー量はシャトルの光子魚雷に匹敵します。」

その場にいたライカーが思わず口を挟む。

「まさか、NERVの施設内で事故か?。」

地上から戻るなり、オメガ分子の話を持ち出されたライカーは一瞬NERVでそのような

実験でもしていたのかと疑った。

「いえ、ごく普通の市内です。」

 

 

「係長、どうしたんですか?、難しい顔をして。」

部下の一人が聞いてきた。

「そうね、また捨て看板を撒く事になりそうね。」

ユウコが、その男の方を見て伝えた。

 

国連軍第6特務部隊、砂漠谷率いるこの部隊はNERVとも日本政府とも別に動き

その状況を観察、情報収集をおこなっていた。

 

 


NEXT
ver.-1.00 1998+7/24公開
ご意見・ご感想・まーたチルドレンの出番が少ないとかは スペースレンジャーズ本部まで!!

ふへう。

なに、つかれてんのよ。

いや、アスカさん聞いてくださいよ。

いいわよ、なにさ、言ってみなさいよ。

いやー、もうなんか仕事に疲れちゃって。

おまけに、コミュニケーションの勉強しろなんて言われてね。

もう、死ぬほど疲れて。

め、珍しいわね、あんたがアタシに泣き言言うなんて。

そうでしたっけ?、まあいいや、それで困ったのは仕事でプライベートの

時間がけずられるでしょ?。

まあ、そうね。

そうなると、自分の事できないんで会社で隙みてやってたら会社内でそういう事

するなって言われるわ、コミュニケーションだって事でやたら私の心の内まで

知りたがるわ、困ったもんだ。

アラエルに心犯された気持ちが良く分かる、うん。

なに、自己完結してんのよ、人に話し掛けておいて!。

そうそう、この自己完結も気に入られない原因みたい。

あんたって、存在そのものがはた迷惑なのね。

それは、言わないお約束でしょ。

まあ、そういうわけで更新は少し速度落ちるかも。

でも、こっちは次の映画がロードショーされる前に終わらせたいし、怪獣聖書は

モスラ3までに終わらせたいしねえ。

早く、ワイヤードにおいでよ。

い、今の何?。

さあ。




 SOUさんの『FIRST CONTACT』第6章PartW、公開です。




 分子一個で半径数光年ぶっとび

 怖すぎる・・



 そんな物がある可能性が少しでもあるんだったら
 星ごと消し去ってしまえーい。

 あ、そしてらみんな死んじゃうのか・・


 じゃ、じゃあさ、
 アスカレイシンジとかだけ連れていって・・


 酷い意見だ、我ながら(^^;



 ミサさんのオヤジがいい味




 さあ、訪問者の皆さん。
 なにやら追い詰められているようなSOUさんを感想メールで励ましましょう!




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