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エンタープライズに帰還するとすぐ、アスカは医療室で早速右頬の治療を受けていた。

最初の頃は痣になったていどだが、戻るころには大分腫れて熱を持っていた。

「さ、もういいわ、まったく女の子の顔を殴るなんて見下げ果てた奴等ね。」

治療は相変わらずすばやくおわった。

ビバリーはアスカ達から事の顛末を聞きかなり憤慨していた。

それには、少なからずセントラルドグマでの事も関係しているだろう。

「でも、シンジやレイが倒してくれたし。」

そう言うとアスカは付き添ってきているレイの方をちらっと見た。

「あら、そういえばシンジ君は?。」

ビバリーは、シンジが付き添っていない、と言うか付き合わされていないことに

首をかしげた。

 

 

リツコは、その部屋でゲンドウと話していた。

「赤木博士、葛城三佐をなぜあの部屋に案内していたのだ?。」

リツコはゲンドウの方に顔を向けしっかりと目を見据えて話し出した。

「私の為に必要だったからです。」

「なぜだ?。」

「司令、猫が死んだんです。」

突然そんなことを言われて、ゲンドウは怪訝な顔をした。

「あの子には、ここ数年会っていませんでした。

でも、私のことを覚えていてくれました。

どんなに、離れていてもあの子は私のことを覚えていてくれたんです。」

リツコはゲンドウの方を少し伺ってから話を続けた。

「司令、猫を飼った事ありますか?。」

「いや。」

「猫は気高い生き物なんですよ。

死ぬときは、不様な姿を見せませんし、死ぬ時期も自分できめるんです。

そして、飼い主が一度でも裏切ると、その飼い主すら敵扱いするんです。」

ゲンドウはリツコの言っている意味がおぼろげながら理解できた。

「死ぬつもりだったのか?。」

「そんなつもりはありませんでしたし、今もありません。

ただ、あの子達に負けられなくなったんです、全てにおいて。」

リツコは、地下で見た子供達3人の姿を思い出して言った。

「わかった、下がってよい。」

リツコは部屋を出ていった。

 

 



第5章 光と影のラビリンス PARTT

 

 

『航星日誌補足 我々はネルフ総司令碇ゲンドウと接触し、現状において共同体制を

とる事にとりあえず同意をえた。

だが、それと同時に彼の口から明かされた事の一つに人工進化研究についての話が

あった。

人工進化、その言葉は我々の過去の優性戦争にもつながる言葉でもある。』

 

「では艦長、そのゲヒルンという組織があのネルフの前身だと言う事なのですね?。」

ライカーは念をおした。

「そうだ、どうやら今、人類補完計画とやらを画策しているのはその当時のメンバーが

多いのだろう。」

ピカードは現在までに得た情報と、レイについての説明の時にでたゲヒルンの事などから

予測してそう答えた。

「艦長、それでは我々は一歩間違うと優性人類の側についてしまう可能性があるのでは

ないでしょうか?。」

ラ・フォージュが聞いた。

彼だけでなく、この事を聞けばクルーの全員がそう思うだろう。

「ジョーディ、私もその事については考えてみた。

しかし、どうやらネルフ、と言うか総司令のゲンドウはどうも彼等委員会等とは別の

考えで行動しているようだ。」

地上においてゲンドウと対峙したとき、そして最深部に向かうまでの間の事からピカード

は、その事をなかば確信していた。

「他に何かあるかね?。」

全員に聞いた。

「あります、艦長。

実は、艦長たちが地上におりてしばらくしてからなんですがクロノ粒子の発生効率が

またわずかにあがりました。

ちょうど、警報がなった時くらいでしょうか。」

ラ・フォージュの報告は、現在までの行動に問題がさほどない可能性を示唆している。

ただし、自分達の元々の世界に戻る為に、ではあるが。

「わかった、ジョーディ。

では、解散。」

作戦室から、全員が出て各自の思う所へと移動していった。

 

 

「ウォーフ少佐!。」

ウォーフは、作戦室から自分の船室に戻る所を急に呼び止められた。

振り返ると碇シンジが真剣な顔でこちらに向かってくる。

「なにか?。」

保安上の問題の事でも聞きに来たのかと思ったが、それならば一人では来ないだろう。

訝しげにシンジの顔を見るウォーフ。

少々の間があく。

「ウォーフ少佐、僕に戦い方を教えてください。」

「なに!?。」

ウォーフは心底驚いてシンジの顔を覗き込んだ。

 

 

その頃、部屋ではアスカとレイがなにするでもなくぼうっとしていた。

船室のスクリーンは、日本だけでなくその他の国の番組も見ることができた。

傍受している通信波から民間用をこちらにバイパスしただけのことだが、デイタの

サービスらしい。

「ああ、もう、ばかシンジはどこにいってるのよ!。」

アスカが、不機嫌そうに隣のレイに話し掛けた。

「わからないわ、けど。」

レイの次の言葉を聞こうとレイの顔を覗き込む。

「けど?。」

先を促すアスカ。

「けど…。」

「…。」

次の言葉がでてこないレイであった。

 

 

「戦い方を教える?。」

ウォーフは、シンジに聞きかえしていた。

「はい、貴方の星の戦い方を教えてほしいんです。」

真剣な顔で言うシンジをまじまじとみながらウォーフは、答えに窮していた。

実際、地球人がクリンゴンの武術を覚えるのは生半可な事ではない。

エンタープライズでも、ライカーが少しかじった程度だ。

「なぜだ?、おまえの星の武術でもいいだろう?!。」

「駄目なんです!。」

諦めさせようとしてやっと言葉を出したウォーフにシンジは即座に答えた。

「地球の武術じゃ、だめなんです。

もう、もう、誰にもアスカや綾波を傷つけさせたくないんです。」

そう言うシンジの真剣な顔を見て、ウォーフは黙っていた。

たしかに、今日あのアスカという子は顔に怪我をしていた。

「誰にも負けない力が欲しいんです。」

だが、クリンゴンの武術を身につければいいというものではないだろう。

ウォーフは言葉には出さずにいた。

「おねがいします!。」

 

 

 

「ファ、じゃない、レイ、そういう時はねー、なんかおごらせるとか、せめて

口きいてやんないとか、そう言うもんよ。」

「そうなの?。」

「そうよ!。」

アスカは、さっきまでの不機嫌はどこへやら、レイにこういう時の手順を伝授しはじめた。

 

 

 

「わかった、ついてこい。」

「は、はい!。」

ウォーフはシンジが今、戦い、とりわけ強さの意味を見失ってしまった事に気づいた。

たしかに、目の前で自分の大切な仲間が、傷つけられた時になにも出来なかった無力感は

つらいだろう。

だが、そのためにただ力をつけるだけでは意味がない。

「地球人にはかなりつらいがかまわないのか?。」

ウォーフは念をおした。

だが、シンジの意志はかわらなかった。

「はい、かまいません。」

ただ、力がほしい。

だれにも、負けない力がほしい。

それだけが、今のシンジの願いであった。

 

 

 

ピカードは、艦長控え室の窓から外を眺めていた。

南極を欠いた、異質な地球をただじっと眺めていた。

この地球の人類は南極と共に、心の一部を失ったものが多い。

そう、考えていたとき来室を告げるアラームがなった。

「入れ。」

振り返ると、ライカーとデイタが入ってきた。

「どうした?。」

デイタは、皮膚が安定したようで顔も腕も元にもどっている。

「艦長、報告があります。」

ライカーの方をみるピカード。

「どんな報告だ?。」

「各国の動静があわただしくなっています。」

「どんな様子だ?。」

「まだよくわかりませんが、何かを移動させようとしています。

ただ、これは日本のネルフの指示ではなさそうです。」

「わかった、至急ネルフの方に確認をとってくれ、ナンバーワン。

直接、行って確認したほうがよいだろう。」

「わかりました。

あ、それと艦長、もう一つたいした事ではないのですが。」

「なんだ?。」

「ウォーフからの連絡で、碇シンジ君にクリンゴン式の戦士の鍛練を行うそうです。」

「ほう、どちらから言い出したのだ?。」

「ウォーフではないでしょう。」

そういうと、ライカーは部屋をでて行った。

「では、デイタ、君の用件は?。」

黙ってまっていたデイタはピカードに質問を持ってきていた。

 

 

 

ジムでは、ウォーフがシンジにクリンゴンの戦士としての鍛練の第一歩を教えていた。

ネルフでは当然格闘技の訓練もある。

そのため、基本的な体力などの問題はなかった。

「そうではない!、それではただの子供のけんか以下だ。」

基本の動きとともに精神的な面を教えるクリンゴンの方式は日本の武士道のそれに似た物

があるが、この時代のシンジ達はそれらの精神に触れる事などまずは無い。

すでに、数時間こうして同じ事をしている。

「まあいい、今日はここまでだ。」

「いえ、まだ大丈夫です。」

そうは言うものの、シンジの呼吸はかなり荒い。

「いや、今日はここまでだ。」

「でも…。」

「いいか、おまえの動きは基本的に問題ない。

だが、一朝一夕に物事はうまくゆかん。」

そう言うと、ウォーフはジムをでていった。

シンジはしばらく考えていたが、しかたなく船室へ戻って行った。

 

 

 

リツコは、セントラルドグマの内部で数名のチームを率いてレイの予備だった物の

破片を処理していた。

「変ね、一人分足りないわ。」

「こういう状況ですからね、大分飛び散ってしまったのではないですか?。」

「かもしれないわね。」

そう、リツコは答えたもののなにか釈然としない物をかんじていた。

 

 

「いや、私たちは何も指示はだしていないよ、ライカー副長。」

「そうですか、では用心した方が良いでしょう。」

ライカーは、傍受した通信の様子をゲンドウにたずねたがゲンドウ自信も知らなかった。

 

「老人達め、なにをやる気だ?。」

冬月の言葉にゲンドウは、いつもの様にだまっていた。

 

 

処理に来ていた他の者達が引き上げた後もしばらく残っていたリツコが帰ろうとした時

中央の巨大な機械の破片の影から急に人が現われた。

「誰?。」

その人影は、出口の側にいるリツコの方に近づいてきた。

 

 

 

「おそいわよ!、シンジ!!。」

部屋に戻って来たシンジにアスカは怒っているように話かけた。

「ごめん、アスカ、綾波、晩御飯はレプリケータだっけ?、で作って。」

そう、話すとシンジはそのままベッドに向かっていった。

「碇君、大丈夫?。」

レイも心配そうに近寄ってきた。

「ありがと、あやなみ、でも、少しつかれてるだけだから。」

そういうと、シンジはあえなくその場所で眠りこけてしまった。

「な、なによ、こいつ?。

どうすれば、こんなに疲れきる事ができるの?。」

「どうしよう、アスカ、ドクターを呼ぶ?。」

レイが所在なげにアスカに聞いた。

「呼んだって、ほんとに疲れてるだけなら恥ずかしいじゃない。」

そして、ふたりは左右からシンジを支えるとベッドルームに運んで行った。

「碇君って見た目より重いわね。」

「ん、まあ、一応、男だしねぇ。」

シンジをベッドに寝かせると二人は、夕食をとるために部屋から出て行った。

後には、安らかな寝息を立てるシンジが残っていた。

 

 

 

「そうか、碇司令がねぇ。」

加持はミサトから、本部での一件を聞き感心したような声をだしていた。

「で、あんたはどうするの?。」

ミサトの問いに加持は、少し考えてから答えた。

「そうだな、予定より早いがそろそろ生き返るか。」

「そう。」

「ああ。」

 

 

 

二人が眠る準備を始めた時もシンジはまだ眠ったままだった。

「ふん、幸せそうな顔しちゃって。」

アスカはそういいながら、自分も寝る準備を始めた。

レイは、黙ってその寝顔を見ていた。

「じゃね、レイ。」

「ええ、おやすみ。」

そうして二人は自分達のベッドルームに消えて行った。

 

 

 

 

が、1時間もしないうちに二人して青い顔をして部屋からでてくるとシンジのベッドに

潜りこんでいった。

 

 

 

 

 

そして、第三新東京市に紅い瞳の最後のシ者がくる。


NEXT
ver.-1.00 1998+02/11公開
ご意見・ご感想は 第135宇宙基地まで!!

いよいよ、前半の佳境にはいってまいりました。

なんとなく。

そろそろ、なんかオリジナルのキャラクターでも出してみようかななんて

無謀な事も考えてみたりしたりしてぇん。

あなた、また後先考えてない発言してるわね。

おおぅ、黒井さんじゃないですか!!。

おおげさよ。

いや、むかしから言われてるんですけどね、治りゃしない。

でも、ほんとにオリジナルキャラクターって出すの?。

いや、どうしましょう、それとも妹のアンリさんにしますか?。

アンリを?、なんで?。

いや、なんか、壮絶な姉妹げんかしてたじゃないですか!。

楽しそうだなーって、って黒井さん?。

アラトオル・レピタトオル・テンタトオル・ソムニヤトオル・ドオクトオル

わー、そんなんかけられたらまじで命がやばいじゃないですかー。

愚か者はきらいなの!!。

ぎゃーーーー。

SOU呪術により消滅



 SOUさんの『FIRST CONTACT』第5章 PARTT、公開です。



 クリンゴン式格闘を学ぶシンジ。

 アスカが傷つけれらたのを機に、
 仲間を守る力を求めて・・・。


 教官が名誉を重んじるクリンゴン人、
 その中でも特に精神がしっかりしているウォーフであるので−−

 シンジ、また一段階いい成長が期待できますね(^^)


 シンジの姿がチョットでも見えなくなった途端イライラしちゃうアスカちゃん、
 彼女はどんどん可愛くなっていきます〜♪



 綾波スペア、消えた一体分・・
 何が出るやら目が離せないっっっっっ


 さあ、訪問者の皆さん。
 釘付けにするSOUさんに感想メールを送りましょう!


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