ミサトは思わず報告を持ってきた相手に怒鳴ってしまった。
「あんた達なにやってたのよ!、大事なパイロットを見失うなんて!。」
諜報部、情報部、その外動かせる部署全てを動員しても3人は見つからなかった。
朝、何かがあってレイが学校を飛び出した。
二人がそれを追った。
そこまではいい。
だが、見知らぬ外国人のグループが現れてから行方が判らない。
そのグループも見当たらない。
となれば、そのグループが怪しいと見るのが妥当だろう。
「まぁ、いいわ、その外国人達を急いで探すのよ。」
すでに、ネルフは総動員で探している。
だからと言って、彼等に見つける事はできないだろう。
「先輩、シンジ君たちが行方不明なんです。」
やっと、老人たちから開放されて戻って来たと思ったらまた次の事件である。
まったく、あの人にささやかな復讐をする暇さえくれないわね。
リツコはそう思ったが口にはださない。
その点では、ゲンドウはついているだろう。
「いいわ、マヤ、とりあえずMAGIに市内全域を再探査させて。」
第三新東京市内の全センサー関係をMAGI直結で調べようとゆうのだ。
「あとは、宇宙船の中を調べる事ができればいいんだけど。」
「せんぱい、あの宇宙船が3人をさらって行ったと思ってるんですか?。」
「可能性はあるわね。」
「そんなぁ。」
赤木博士、あたらずとも遠からずである。
「どうする?、碇。」
冬月の質問に答える事のできないゲンドウ。
過去こんな事はなかった。
今は、3人がゼーレの手に落ちていない事を祈るしかなかった。
デイタはすでに、艦内という事もあり顔にも腕にも包帯はまいていない。
が、その隣に一緒になって歩いている色の白い少女のせいで注目を浴びる事に
なった。
なぜならあのデイタが質問攻めにあっているからだ。
その原因たる綾波レイは、ピカード達との話しを終えた後、すぐにデイタに
会いたがった。
シンジやアスカは、誰か信頼出来る大人に紹介しようと言う事でレイも交えて相談を
しようとしたのだが、レイは周りの大人のことはよく知らないと言う事で二人に全て
任せてしまったのだ。
そして、ラウンジからすぐに外にでるとデイタを探して艦内を迷う事になったのだ。
幸い、あわてて後を追って来たディアナのおかげで迷子にならずにすみ、つつがなく
デイタに会う事ができた、が、しかし。
「デイタ少佐、聞きたい事があるんです。」
その質問にもっとも驚いたのはデイタ本人であった。
「私にですか?。」
デイタは本心から驚いていた。
アスカとシンジは結局と言うか、やはりともいうべきかミサトに会ってもらうことに
決めた。
他に適当な人物がいないからだ。
司令であり、父でもあるゲンドウは論外であったし冬月も信頼と言うことでは違った。
「リツコさんはどうかな?。」
「あんた、リツコがどうゆう人間かわかってるの?。」
「う、じゃあ、アスカはどうなのさ?。」
「あたしが知ってるわけないじゃない!。」
と、ゆうことでリツコも外された。
「加持さんはどうかな?。」
シンジは心元なげにアスカに聞いた。
アスカは、加持の名が出たとき複雑な気持ちになった。
このところ姿を見ない、憧れの男性。
でも、目の前にいるシンジにはまた別の気持ちを今は感じる。
もしかしたら前から感じていたのかもしれない。
「だめよ、加持さん最近ぜんぜん捕まらないもの。」
「そう…。」
そう、残念そうに言うアスカに対してシンジは少し気持ちが暗くなった。
別にシンジは加持が嫌いではないが、アスカの口から加持の名を聞くのには抵抗が
少なからずあった。
「しかたないわね、ミサトでガマンしましょう!。」
それでも、こうして2者会談はものの15分ほどで終了した。
「私に感情の事を教えて欲しいのですか!?。」
これには、デイタだけでなく機関室にいたほぼ全員が目を見開いた。
レイは、紅い瞳をそらすことなく頷いた。
その場にいた全員がレイのその様子から何かを感じたのだろう。
デイタとレイは、二人して機関室を後にした。
そして、レイはデイタに次々と質問を浴びせる事となった。
「なぁ、いいんちょ。」
「な、なに?、鈴原。」
すでに地上では、昼休みの時間であった。
「あいつら、どうしたんやろな。」
「大丈夫よ、碇くんもアスカもちゃんと綾波さんと一緒にいるわよ。」
そうよ、あの二人が綾波さんを元気付けてるわよ。
洞木ヒカリは、強くしんじていた。
「そやな。」
鈴原トウジもまた、二人を信じてまっていた。
そこに、相田ケンスケが意気揚々と帰ってきた。
どうやら商売がうまくいったらしい。
「トウジ、どうしたんだ?。」
見ればわかるだろうにわざわざ声をかけてみたのだ。
「なんや、また写真売ってきたんかいな。」
「そうだよ。」
どうやら商品は完売のようである。
空の袋を手に喜色満面である。
「相田、また変な隠し撮りじゃないでしょうね。」
ヒカリが軽く睨み付ける。
「違うよ、いいんちょう。ほら、一つはこれさ。」
得意げに見せるそれは、アスカとシンジの前回の戦いの後の写真である。
多分、ネルフの救護班のビデオからの写しであろうそれはヒカリの乙女心に訴える
ものがあった。
「これは、いいんちょうの分さ。」
そういって、ヒカリにわたすケンスケ。
「なんや、も一つあるんやろ。」
トウジの突っ込みににやりと笑いもう一枚だす。
「当然!、今、町で噂の占い師さ。」
そこには、黒井ミサの振り返った顔の写真があった。
「リツコ、今はただ一つの事だけ教えて。」
「なによ、ミサト、血相変えて。」
「シンジ君たちはどこ?。」
「ミサト、悪いけど知らないわ。」
だが、ミサトはリツコの前にさらに詰めよると拳銃を腹部に押し付けてさらに続けた。
「いい、あんた達がなにをしようが私はなにも言わない。
でも、あの子達をこれ以上苦しめるような事はさせない。」
リツコはそのミサトの表情から本気で言ってるのだと判った。
だが、わからないことに答えようはない。
静かに拳銃を押しもどすとミサトの目を覗き込むようにして言う。
「私も本当にしらないわ。
でも、あの子達をこれ以上苦しめる気はわたしにもないわ。」
その表情と雰囲気に押されミサトは銃をしまう。
「ミサト、一つ教えて。」
「なにかしら?、赤木博士。」
「それは、復讐の為?。
それとも、…」
「自分への断罪よ。」
ミサトは答えると、踵を返しリツコのところから去っていった。
ピカードの元にアスカとシンジがきたのは大分経ってからであった。
「入れ。」
呼び出しに答えると二人が緊張した面持ちで入ってきた。
「どうしたのかね?。」
二人に席を勧め、レプリケーターに向かう。
「アールグレイをホットで、君達は何にする?」
「あ、ぼくは紅茶で。」
「ばかね、紅茶っていっても色々あるでしょう!、わたしはアップルティ、
シンジは、ダージリン。」
「わかった。」
程なく出てきたものを二人に渡し、ピカードはゆっくりと椅子に腰掛けた。
「ピカードさん、会ってもらいたい人が一人います。」
シンジが一生懸命に言うのに対して、アスカは立て板に水といった感じに話す。
「その人は、ズボラでだらしなくって年中酒ばかりのんでるような女だけど、でも、今
あたしたちが唯一信用できるのもその女なんです。」
もしかしてミサトと言う指揮官の事か?、ピカードはそこまで言われる人物が
少々気の毒になった。
「その女性の名前は?。」
「葛城ミサト、です。」
大当たりか、と思いながらもミサトに同情を感じるピカード。
だが、前回の戦いの作戦はまずかったな。
とも、考えた。
「わかった、君たちの推薦する人物に今日にでも会いに行くとしよう。」
そうにこやかに答えて、二人の肩を軽くたたく。
「え、そんなにはやいんですか?。」
「早いほうがいいだろう?。」
そう答える顔に二人は、一安心して出て行こうとした。
が、シンジが立ち止まって振り返った。
「デイタさん、感情を持ったときくるしくなかったの?。」
「苦しいときもありました。
ですが、そのとき艦長に言われたのです。
感情と戦うには勇気が必要だ、そして勇気も感情の一つなのだ、と。」
「ゆうき…。」
「そうです。
あなたも、持っているじゃないですか。」
「わたしが?。」
「そうでしょう?、仲間を助けるために死をも覚悟したのですから。」
「そんなのじゃないわ、ただ…。」
「ただ?。」
「碇くんをたすけたかったの…。」
「そうですか。
でもそれは、愛情と勇気ではないのですか?。」
「あいじょうとゆうき…。」
レイはその言葉をかみ締めるようにゆっくりとくりかえした。
「でも、私が死んでも替わりがいるから…。」
その言葉を聴き今度はデイタが質問をした。
「その、替わりという者はまるっきりあなたなのでしょうか?。
それとも、あなたの記憶を受け継いでるだけなのでしょうか?。
もしくは、代わりの人物がいるというだけの事ですか?。」
レイはその質問に答える事が中々できなかった。
「私には、代わりになる者もいません。
多分壊れたらそれっきりでしょう。
それを、考えると恐怖をかんじるようにもなりました。
それが、元で友人を危機に落とした事もありました。」
デイタはソランのディスラプター(破壊銃)に怯えラ・フォージュをデュラス姉妹に
人質に盗られた時の事を思い出しながら語った。
レイはデイタを見た。
「ですが、その分その時その時を大切にすることの大事さも判ったつもりです。」
レイの視線に答えるかのようにデイタは話す。
「その時、その時を…。」
「そうです。」
レイは、なにかを決意するとデイタに向かい微笑みを浮かべていた。
「ありがとう、デイタさん。
また、いろいろ教わるかもしれないわ。」
「どういたしまして、お役にたてたならよかった。」
そうして、レイは駆けていった。
「そういえば、私の質問には答えてもらえなかったな。」
これでデイタにはまた、謎が増えた。
でも、それでも彼女がなにか決意する手助けになったのなら良しと考えて再び機関室に
戻っていった。
エンタープライズEの艦内時間は第三新東京市とは微妙にずれている。
地上はまだ、3時頃なのだが艦内はすでに夕暮れの時刻である。
アスカとシンジは二人して艦内を歩いていた。
レイを探しているのだがこう広くてはとても見つからない。
ピカードと話て6時にミサトの家で会うことにしたのはいいが、レイにはその事は
まだ伝わってないはずである。
そのためこうやって艦内を探しているのだが未だに見つからない。
「もう、こんなに広い宇宙船なんだからすぐに分かるような仕掛けをしといて
くれてもいいじゃない。」
「そんな事いったって、説明してもらわなかったのがわるいんじゃないか。」
「う、うるさい!、コンピューターが教えてくれてもいいじゃない!。」
『検索条項はなんでしょう?。』
アスカの悪態に、端末が答えた。
「うわ!。」
「おどかさないでよ!、そ、そうね。
ファーストの居場所はどこ?。」
『ファーストオフィサーでしょうか?。』
「なによそれ?、ちがうわよ、綾波レイよ、綾波レイ。」
「そんなのでわかるの?、アスカ。」
シンジが訝しげに聞く。
「さぁ?、わかるんじゃない?。」
いくらなんでもこれでは不安であった。
『綾波レイは現在Cデッキを移動中です。』。
どうやら同じく迷子になっているらしい。
壁の端末パネルに行き先を示す案内が現れた。
そして、時間も間近に迫って、転送室に今回上陸するメンバーが顔をそろえた。
エンタープライズからはピカード、ビバリー、ディアナ、そして今回はライカーの
4名である。
「艦長、こんなもの本当に必要なんですか?。」
「ああ、そうだ。」
ライカーの質問にピカードは涼しい顔で答えた。
7名が転送台にのり、地上のコンフォートマンションへと転送降下していった。
黒井ミサは、もういい加減にして立ち去ろうとした時一人の女性が駆けよってきた。
「もう、今日はおしまいよ?。」
そう、答えるミサに対しその女性は必死の顔をしてたずねようとした。
が、ミサは一言いった。
「貴女の考えてる事にはなってないわ。」
「え?。」
訳がわからないが、だが伊吹マヤはその一言に少し勇気付けられた。
結局その日、3人は見つからなかった。
ネルフ全体が不安に包まれる中、ミサトは自宅に向かって愛車を走らせた。
「みんな、どこに消えたの?。」
不安が募る。
もうすぐ、自分の部屋である。
だが、もし誰もいなかったら…。
「もし、そんな事になったら私は鬼神になる。」
思わず口を衝いて出た言葉は、ミサトの本心であった。
「ただいま。」
幸い、電気はついていた。
「おかえりなさい。」
期待した声の一つは聞こえた、がもう一つは?。
「ミサトなの?。」
よかった。
「そうよ!、なによアスカ元気そうじゃない!。」
そう、応えたミサトの前に元気そのものというアスカが出てきた。
しかも、歩いて。
「アスカ?!、あんた、骨折は?、いえ、それ以前にどうして?、なんで?。」
少しパニック気味なミサトに
「ミサトさん、どうしてもあってもらいたい人達がいます。」
シンジが、有無を言わさぬ力強さで話し掛けた。
過去こんなシンジは数える程も見ていないミサトは、それだけで気おされた。
「いいけど、誰?。」
「とにかくこっちに来て!。」
アスカに言われて、奥の方へすすむとまず綾波レイの姿が目に入ってきた。
だが、レイの筈はないと思ったその時くだんの見知らぬ外国人グループがいた。
ミサトは持っていた拳銃を瞬時に取り出すと、一挙に間合いをつめてピカードの
胸元に突きつけた。
だが、別に相手は動じた様子もない。
「あなた達は何者?。」
「その質問に答える前に、その銃を下げてくれないかな?。」
平然と言うピカードを睨み付けたまま、ミサトは一応銃は下げた。
「このちょうしだと、そのうち全員ここで死ぬな。」
ライカーが軽口を言う。
「ミサトこの人達は敵じゃないわ!。」
アスカがミサトに近づきながら言う。
「でも、アスカこの人たちどこから…。」
そこまで言ってミサトは思い当たるものがあった。
レイがここにいるのも納得がいく。
周囲を見回しながら、
「まさか。」
「そのまさかですよ、葛城さん。
私たちは、上空の航宙艦、いえ宇宙船からきました。」
ディアナが答えると、ミサトは慌てて全員を制した。
部屋の中はプライバシーがある程度保たれているとはいえ、監視されている。
すばやく窓の外を確認して戻ってくる。
「室内の監視装置なら、我々が来た時になぜか壊れてしまったなぁ。」
ライカーは笑いながら話す。
「そう、で、私になんの用?。」
警戒をまだ解かないミサトにピカードは困ったものだと言う顔をした。
「私たちに、力を貸して頂きたい。」
「力を?、無敵の宇宙戦艦の皆様が私に?。」
意味が判らないわ、というジェスチャーを交えてミサトが聞く。
「第一、まだ貴方たちの自己紹介がすんでないわよ。」
「自己紹介しようとしたら、銃を突きつけられたからなぁ。」
ライカーがまぜっかえす。
「そうですな、まず紹介からはじめましょう。
私は、ジャン・ルーク・ピカード、宇宙艦隊エンタープライズ号の艦長です。
彼は、副長のウイリアム・ライカー、そしてドクタービバリー・クラッシャー、
カウンセラーディアナ・トロイ。」
ピカードは全員の紹介を終えて改めて
「はじめまして。」
と挨拶をした。
「はぁ、こちらこそ。」
ミサトは、パニックもおさまったのか、はたまた別のパニックになたのか思わずピカード
と握手を交わしていた。
「葛城ミサトです。」
椅子に腰掛けると銃のセイフティをかけ、ホルスターにしまった。
「でも、えんたーぷらいずって事はこの地球の産物よね?。」
「地球だけの産物という訳ではないのですが。」
ピカードは、そう言って説明をした。
「なに?、それじゃそのボーグ?とか言うのを追ってきて帰る時にこの世界に
来てしまったって事なの?、にわかには信じがたい話しね。」
とはいえ、信じない根拠もない。
彼等が帰るためにこの世界に干渉しなければならないと言うなら仕方がないのだろう。
「そのおかげで、二人とも、いえ、三人ね、が助かったのだからね。」
ミサトは三人の子ども達をみながら呟いた。
顔をあげると、ピカード達をみて
「いいわ、あなた達を信じます。」
と、決断をした。
「そうですか、ではウィル。」
「了解、艦長。
エンタープライズ、転送開始。」
そこには、ミサトの好物が突如現れた。
「シンジくんとアスカさんにいわれましてね、ビールがすきだからきっと心のそこから
信じてくれるだろう、と言う事で。」
別に、ビールごときで懐柔しようなどと思っていたわけではないがなにか土産物を持って
来た方がよいだろうと言う事と、シンジのなにか目の前に証拠を出さないと信じてもらえ
ないかもしれない、と言う意見からミサトの好きな物を合成して転送してきたわけだ。
「あんた達、いったいあたしの事どう話したわけ?。」
ピカードの言葉に二人の方に顔を向けるミサト。
あながち間違いではないかもしれないが、さすがにエビチュをもらった位で人を簡単には
信じたりはしないだろう。
だが、突如目の前ビールが現れたのだから彼等の話しを心の底から信じる気にはなった。
「だって、いっつも呑んでばっかりじゃない。
そう、思われてもしかたないわよ。」
「アスカ、あんたねー。」
「艦長、足りなかったようですねぇ。」
「うむ、そうだな副長、もっと転送してもらうか?。」
「え?、いえなにも足りないとかいううのではなくて。」
もっとも、3ダース程度じゃたりないだろう。
同居人二人がそう思っている事は明白である。
「ジャン・ルーク、あまり飲みすぎると身体に害がでるかもしれないわ。」
医療用のトリコーダーで軽くミサトをスキャンするビバリー。
結果は推して知るべし。
完全に健康体であった。
「話しに聞くと結構呑んでる筈なのに。」
この時代にシンセホル(一種の合成アルコール)があるわけではないのだから
この表示値は驚異である。
「では、転送させます。」
ライカーの声とともに、葛城家のリビングは大量のエビチュであふれかえった。
が、突如呼び鈴の音に皆警戒する。
監視装置が作動してなければ、いつネルフから人がきてもおかしくない。
ミサトは、急ぎ玄関に向かっていった。
ここで今リツコや司令に知られるわけにはいかない。
「だれ?。」
ドアを開けると、目の前に加持リョウジが立っていた。
「よ、葛城、しばらくぶりだな。」
「あ、あんた、死んだんじゃなかったの?。」
「いや、片目を落としたが、命までは落さなかったよ。」
よく見れば、右の瞼はとじたままだった。
「このばか!。」
ミサトは加持の顔を思いっきり殴った。
「人にさんざん迷惑かけて、心配させて、生きてるんならすぐにでてきなさいよ!。」
「すまん。」
顔をさすりながら、立ち上がる加持。
「ほんとは、もっと死んでる事にするつもりだったんだが、急な事でな。
シンジ君やアスカちゃん達は無事か?。」
「加持さん?!。」
アスカとシンジの声がユニゾンで聞こえる。
こっちに向かってくる二人。
「アスカ?、足はもういいのか?。」
今朝まで知ってるアスカは車椅子がないと動けない筈なんだがな、と
思いながら、家の中に入る加持。
「加持、いったいなんで?。」
加持は手短にいきさつを話した。
三重スパイであったこと。
ある程度真実をしったら、死んだ事にして個人で活動する事にした事、等。
「じゃあ、この人達にあっても平気ね。」
そして、加持はピカード達と対面した。
「そうか、あなた方がアスカやシンジくんを助けてくれたのか。」
加持は、自分のいきさつをはなした。
「あなたに聞きたい事があるわ。」
ビバリーはきつい調子で言った。
例の残留していた薬物の事である。
ビバリーとピカードは、加持とともに玄関の外にでて話しをする事にした。
外にでると、まるでヴァルカン星の夜のように熱かった。
「で、俺に聞きたい事って?。」
「アスカさんに使われた薬物となんの目的で使ったかよ。」
ビバリーの質問に、加持は
「幾つかの精神安定剤ですよ。」
「誤魔化さないで。」
「加持くん、なにも私たちは貴方を攻めるつもりはない。
ただ、子ども達にあんなことをする目的が知りたいのだ。」
ピカードと、ビバリーの二人にいわれて加持は知っている事を話した。
「アスカには幾つかの暗示がかけられたんですよ。
一つは、母親の死んだ時に、一つは大学に入った時に、そして最後の一つは
日本に来る前に。」
その暗示は巧妙にしかけられ、本人も周りの人間も知っていなければ気づかない様に
しくまれていた。
強くいきていかないと、一人になる。
一番でないと、誰も愛してくれない。
そして、人に負ける事があると自分に価値がない。
それら、基本的には誰もが持っている部分を誇張し歪めるような暗示をかけられて
いたアスカに、その暗示を強くするための薬物を少しづつ減らしていたのは加持で
あった。
そのため、アスカが葛城家にいる事に彼は賛成したのだ
最も、ミサトにはそのことは話してはいない。
まだ
「いいわ、とにかく薬の影響は取っておいたわ。
徐々に効果も薄れるわね。」
そして、三人は家の中に戻っていった。
「ライカーさんって料理が得意だったんですね。」
葛城家のキッチンでは加持たちが出て行くと、ミサトが記念に料理をすると言い出したの
でシンジ達が慌てて制した。
シンジが腕によりをかけて作ると言うことでミサトは収まり、それにライカーが加わる事
となった。
「まぁ、母親が早くに死んでね、オヤジが艦隊勤務だから結構小さい内から一人で暮らし
ていたからな。
それに、趣味でもあるんだ。」
「そうですか、その、お父さんとはうまくいってるんですか?。」
「30近くまでは、うまく行ってなかったな。
なんせ、大嫌いだったからな。」
「どうやって、わかりあえたんですか?。」
「言いたい事を言ったまでさ。
なんだ、君も父親とうまくいってないのか?。」
「ええ、僕は父さんに捨てられたと思ってました。」
「いまは?。」
「良く分からないんです。
でも、父さんは僕の事をいらないと思ってるかもしれないし…。」
「思ってないかもしれない。
そのうち、話しあってみるといいんじゃないか?。」
シンジはなんとなくライカーは加持ににてるな、と思った。
三人が戻ってきてすぐに、食事になった。
その席上で、子供たち三人をエンタープライズEにしばらく滞在させる事になった。
理由は、ゼーレや日本政府が狙っている事があげられた。
だが、ネルフ自体も危険な存在である。
決して一枚岩の組織では無い。
したがって、いつ子ども達の身に危険が舞い下りるかわからない。
むろん、この事が知られては困るので学校や、ネルフには普段通りに通うことになる。
「では、艦長私は先に戻っています。」
「頼む、副長。」
ライカーは、三人の携帯電話をもっていった。
エンタープライズEと通信出来るように改造するためであった。
当然、普通の携帯電話として機能しなくてはならない。
だが、ラ・フォージュとデイタならすぐに作るあげる事が出来るだろう。
ピカードと、ビバリーが残っていた戻る時に三人を一緒に連れて帰らなければならない。
ライカーとトロイが帰還すると、またも呼び鈴がなった。
今度はミサトも出ない。
すでにできあがっている。
しかたなく、シンジが出る事になった。
ネルフの関係者だとまだアスカの怪我が治った事は伏せておきたい。
だが、危険でもあるので影からピカードがフェイザーを持って見守る事にした。
ドアを開けると、そこには黒井ミサがいた。
「こんばんわ。」
「あ、こんばんわ、どうぞ。」
「ありがと。」
ミサは、影に隠れているピカードに対して
「大丈夫、敵ではないわ。」
と、告げた。
ピカードは、少しばかり驚いた。
こんな少女が何故きづいたのか。
この世界でのQのような存在なのであろうか。
そう考えつつ、姿をあらわした。
「よくわかりましたね。」
シンジの問いかけににっこりと笑うと
「だって、占い師ですもの。」
と言った。
が、昼間のあの状態を知っていたらとても説得力はないだろう。
「そういうもんですか?。」
「そうよ。」
「うわぁー。」
ミサは思わず大声をだした。
部屋中ビールだらけなのだ。
しかも。
かなりの量が消費されている。
「占ってなかったのかね?。」
ピカードが聞くと、
「ここまでとは…。」
と、小さい声で答える。
ミサは部屋の中で三人の子どもと三人の大人にいった。
ミサトはすでに夢の中である。
「人類補完計画は危険よ。」
「それはなに?。」
ビバリーはミサに聞いた。
ミサ自信その計画を知ってるわけではなかった。
ただ、自らが蘇るために新たな身体を求めているものがいる事。
そして、それはその計画を利用しようとしている事をはなした。
「そいつは、最初アスカさんの身体に乗り移るつもりだったの。
でも、アスカさんの精神を殺す事もできなくなったの。
だけど、そいつは諦めていないわ。」
「なんで、アタシなのよ。」
「正確には、あなたがた三人よ。」
「え?、私も?。」
レイが驚いてたずねる。
「そう、あなたも。」
「だが、もうなにもできないんじゃなか?。」
加持の発言にミサは
「ネットワークの発達した世界では何処にいても無理よ。」
そう、断言した。
「だが、空の上ならどうかな?。」
「そら?。」
ピカードの言葉に驚くミサ。
「彼等、三人は当分の間、エンタープライズEで保護する。
地上にいても、しっかりと援護しよう。」
「そう、なら多分大丈夫。」
そう言って、ミサは帰る事にした。
「いやはや、かなり変わった世界にきてしまたな、ビバリー。」
「そうね、基本的に変わらない世界だと思うけど。」
ピカードにしてみれば、この世界でのQに出会った程度の驚きでしかなかったが。
ミサは帰り際にシンジに
「なにがおきても、アスカさんや綾波さんを信じてね。」
と告げてさっていった。
その夜から、ネルフはパイロットの所在を掴む事ができなくなった。
なんか、ライカー副長影薄いな。
どうしてこうゆう展開になってるんだろう?。
あれ?、気が付いたらLASな要素がはいってるのかこれって?。
なにかまずいの?
黒井さんですか、今日は。
そうだけど、なにかまずいの?。
いや、なんかLASなエレメントが入って来ちゃってるような気がすんですけど。
そうねぇ、でも意図してたんじゃないの?。
それとも、偶然?。
いやどっちかな。
まったく自分でなにも考えてないんだから。
そんなだから、バイクで事故にあうのよ。
それはちっと違う気がするんだけど。
でも、本当はどうしたいの?。
いやー、どうしましょう?。
占うの?
えー、いやー、占ってくれたらうれしいなー。
でたわ。
どれどれ?。
あなたの望みはかないません。
ええー!。
レイさんが結構アクティブね。
あう、あう。
ところで、あなたどのキャラがすきなの?。
え?、ああそれね、イリア。
あれ、なんで逃げるの黒井さん?。
ぎゃ!
このばか中年!!!。
SOUさんの『FIRST CONTACT』第3章PartV、公開です。
ミサトの酒豪ぶりは、
これで宇宙中に響き渡ることに!?
無茶苦茶な酒量の彼女ですが、
トリコーダでも異常は発見できませんでした・・・
あの機械で”健康体”と判断されたのですから−−
次元を超えたミサトの肝臓!
ですね(^^;
なぜここまで凄いモノを
リツコは研究対象にしないのでしょうか?!
: あっ!
: SSのネタが生まれた(^^;
: 著作権フリーにしますので、誰でも使っていいよ(^^)
: すでにどこかで使われていたりして・・・
さあ、訪問者の皆さん。
SOUさんに感想メールを送りましょう!