第三新東京市上空に現れた使徒は遺伝子を思わせる二重螺旋の円環を形作り
上空で回転していた。
「零号機と、弐号機をすぐに準備して。」
「初号機は、碇司令の命令でないと動かせないわ。」
「で、上の様子は?」
「そう、まだ動きを見せてないのね、対空監視2系統で。」
上空の宇宙戦艦の動き一つで戦局は大きく変わる。
愛車、ルノーの中から使徒を見上げてだれに聞かせるでもなく呟いた。
「使徒を肉眼で確認か。」
「パターン青からオレンジへ周期的に変化。」
「MAGIの判断は保留です。」
「軌道上の宇宙船動きなし。」
「遅いわミサト、なにやってたの。」
駆け込んできたミサトに対して苛立ちを募らせた声でいうリツコ。
「いいわけはしないわ、状況は。」
出撃準備の整ったケイジ内で、アスカは喧騒をよそに弐号機をみていた。
「いい、今日こそ雪辱をはらすのよ。
ばかシンジにも、ファーストにもついでにあの占い師にも目にもの見せてやるんだから。」
そう語り掛けてから、エントリープラグに乗り込んでいった。
「ミサト、アスカの様子はどうなの?。」
「情報部の報告だと、今は落ち着いているみたいよ。」
「それなら私もよんだわ。
でもねミサト、軽い躁鬱病みたいなものよ、今のアスカは。」
「シンクロ率も安定していませんし、危険ではないでしょうか?。」
マヤの言葉を受けて
「今度、精神にダメージうけたら本当に壊れてしまうわよ。」
リツコが続けた。
「でも、初号機が出れない今、アスカには頑張ってもらうしかないわ。」
重苦しい空気を吹きはらおうとするかのようにミサトは明るすぎるくらいの声で
指示を出した。
「いい、零号機および弐号機ででるわ。
先鋒はレイ、あなたよ。」
「ちょっ、なんでファーストなの!あたしが…」
「アスカ、前回使徒はあなたに狙いを定めていたわ。
だから、今回は様子を見てから臨機応変にいくの。いいわね。」
「そう、あたしは役にたたないってこと。」
「ちがうわ、今回の使徒が前回の情報をもっているかどうか不明だからよ。」
「だったら、無敵のシンジさまにでもでてもらえばいいじゃない!。
アタシたちよりずぅーっと役にたつわよっ!。」
「初号機は現在凍結中よ。」
「あら、残念ねぇ無敵のシンジさまの勇姿が見れないなんて。」
初号機のプラグ内で一応待機しているシンジに対して一瞥するとさっさと
通信を切ってしまった。
「エヴァンゲリオン、零号機、弐号機、発進!」
2機の巨人は戦場に向かった。
2機のエヴァはさほど離れていない所に出現した。
宇宙戦艦がどう出るか判らないからとミサトは説明したが、これで先鋒がでるとは
剣道の試合じゃないかとアスカが毒づいた。
「アスカ、陽電子ライフルをだすわ、受け取って。
レイ接近戦よ、パレットガンにして。」
「了解。」
レイがいつものように動きアスカが憮然として行動したその時、使徒が形を変えて
襲いかかってきた。
間一髪武器を手にして、よけた2機だが最初に立てたフォーメイションは役に立たない。
「アスカ、援護射撃!、レイ武器を変えて!、陽電子ライフルを出すわ。」
「だから、ミサトの作戦はあてにならないのよ!。」
弐号機の打つ陽電子の弾は使徒に命中するものの、決定打にはなっていない。
「ATフィールドを突き抜けるだけで精一杯ね。」
「ですが、このままでは埒があきません!。」
オペレータ達にも焦りが広がる。
零号機がライフルに持ち替えて戦線に復帰したとき、まるでそれを待っていたかのように
使徒の攻撃の矛先が零号機にむいた。
「な、なによあたしじゃ相手になんないとでも言うの!。」
アスカの声を肯定するかのように使徒は零号機に向かっていった。
「レイ、下がって!。」
だが、一瞬早く使徒は零号機を捕らえた。
「物理的に融合しようというのね!。」
「零号機、生体部品が侵食されはじめました。」
レイは、陽電子ライフルを使徒に打ち込んだがまるで効果がなかった。
ついに、零号機が抵抗をあきらめたかのように動かなくなった。
「ぐっ!。」
レイが息を呑んだ瞬間そこには今みていた光景が消えた。
「私?、エヴァの中の私…。」
「ちがう、もう一人いる」
そこには水面に下半身を沈めてこちらをみている自分自身がいた。
「貴方は、だれ?。」
一瞬の沈黙。
「使徒、使徒と私たちが呼んでいるもの。」
零号機が使徒に捕らえられたと確認すると、アスカは陽電子ライフルを捨て
プログソードを兵装ビルから取り使徒に向かって走り出した。
「アスカ!、待ちなさい、どうするつもりなの!。」
「きまってるじゃない、ファーストを助けるのよ!。」
そして、一方的に通信を切り上げた。
(虚栄と無力となります。)
一瞬あの占い師の言葉が意識をかすめたがそれをおい出して走り続けた。
「私と一つにならない?。」
「いえ、私はわたしだもの。」
「現時刻をもって初号機の凍結を解除!。」
碇ゲンドウの言葉に一瞬、眉をひそめるミサト。
「エヴァンゲリオン初号機、発進。」
「なによ、あたしの時は出そうともしなかったくせに。」
(ダレモワタシヲヒツヨウトシナイ…。)
瞬間、弐号機の動きが停まった。
「そう、でももうおそいわ。」
「ほら、わたしの心をわけてあげる。」
「アスカ!、よけて!」
シンジの呼びかけにかろうじてよける弐号機。
だが、プログソードは折られてしまった。
「情けなんていらないわよ!。」
(ワタシハツヨクイキルノ!。)
使徒は、弐号機をも同化しようと動いたのだが次に現れた初号機を確認すると
零号機の同化を先に終えることにしたようだ。
片方の先端で2機のエヴァを威嚇する。
「あの、巨人兵器には人がのっています。」
デイタの報告は、次の言葉でさらに驚きを増した。
「パイロットは、子どものようです。」
「なんだと、デイタこの地球は子どもが戦場に出なければならない程なのか?。」
「いえ、艦長この地球の人口も子どもが戦場に出なければならないようなひっ迫した
ものではありません。」
「艦長、アスカと言う子の精神は酷くもろくなっています。
前回我々が受けた攻撃を彼女は、一人で受けていたはずです。
さらにレイという子の精神には生命体が語り掛けています。
いえ取り込もうとしています。」
カウンセラーの言葉にピカードは疑問をかくせなかった。
「いったい、この地球ではなにがおきているんだ?。」
(子どもの犠牲が本当に必要なのか?)
ブリッジクルーの全員がそう思っていた。
「心がイタイでしょう?。」
「イタイ…。いえ、これは寂しい。」
「寂しい。」
「そう、寂しいのね。」
「アスカ、下がって。」
「いや。」
静かな暗い声、危険をはらむ声であった。
初号機は、中々使徒に近づけなかった。
「くそっ!。」
毒づいたからといって使徒がひるむ訳ではない。
「私たちは、いっぱいいるのにあなたは寂しいのね。」
水滴が、落ちた。
「なみだ…。」
「ないているの?。」
「泣いているのは、わたし。」
「そう、私、泣いているのね。」
「あやなみっ!。」
求めていた声。
「碇くん。」
「私、碇君と一つになりたいのね。」
瞬間意識をよぎる顔と記憶、そして幾多の思い。
「ダメッ。」
小さく叫ぶと、シートの後ろの自爆装置を起動させようとした。
「艦長、いつでも攻撃可能です。」
エンタープライズEはすでに、基幹ブリッジクルーが来た時点で戦闘体制に入っている。
「まて、迂闊に手を出せない。」
第一級優先事項のこともあるが、それだけではなかった。
下手をすると零号機をも巻き込む可能性があった。
人命は守らなければならない、だがこちらの攻撃で命を奪っては元も子もない。
「レイ、自爆する気?。」
「レイ!、脱出して。」
ミサトの懇願に近い叫びに耳を貸さない。
「私がいなくなると、ATフィールドが消えてしまう。」
「碇くんも死んでしまう!。」
「そうはいかないわよっ!、ファースト!。」
ATフィールドは初号機による中和と、自爆の為反転させたレイにより
完全に消滅していた。
アスカは、すでに片手にプログナイフを握り零号機に駆け寄ってきた。
すかさず、エントリープラグを引き出して後方へジャンプしてよけた。
「この間の借りは返したわよ!。」
「弐号機パイロット…。」
地面にプラグを置くと踵をかえして戦場へともどっていった。
レイはプラグの外に出ると今は遠くの戦場の方へと視線をうつした。
「アスカ、下がって!。」
「無敵のシンジさまの出番は今回はないのよっ。」
(コレガツヨイコトナノ?。)
レイは、使徒の攻撃から弐号機を庇う初号機を見ていた。
「碇くん…。」
使徒はすでに、零号機と完全に融合していた。
零号機は背中に光の鞭のような物を3つ出し、初号機と弐号機を攻撃している。
「いかりくんは…、」
弐号機は、新たにスマッシュホークを手に取ると今は使徒と化した零号機に向かう。
それを追う初号機。
手には、なにも持っていない。
「碇くんは、彼女が…。」
レイの目に再び涙が零れる。
「彼女のことが…。」
紅い瞳に映る風景が滲んでいく。
「とても、大切なのね…。」
アスカを引き戻そうとしたシンジを振り切ると弐号機は、使徒の懐に飛び込んでいった。
初号機は、光の鞭にその行く手を阻まれた。
「アスカァーっ。」
抑えきれない思い。
(私は、碇くんと一つになりたい…。)
感情の波。
(ヒトツニナリタカッタ…。)
苦しくて、切なくて、でも暖かいもの。
(ひとつになりたかったの…。)
そして駆けつけた救護班は、その光景に呆然とした。
そこには、彼方の戦場に向かい顔を手で覆い、激しく慟哭する綾波 レイの姿があった。
うぅぅ
なに泣いてるんですかSOUさん?
ああ、エキセントリック少年ボウイか。
碇 シンジです…。
実は、私勝てなかったんです。
今は、アスカさんの気持ちがよく分かるきがしますぅ。
あなたも私の苦しみがようやく理解できたのね。
あぁ、アスカさんほんとうに苦しかったのでしょう。
ま、まぁねぇ、でもなにに勝てなかったの?
はぁ、映画のクイズで多分大学生だと思うんですけどそれに…。
ガスゥっ
か、帰るわよばかシンジ!たかがクイズと私の苦しみを一緒にするなんて!。
まぁ、アスカ落ち着いて。
はい、これ包帯。
あ、どうも綾波さん
じゃ
うぅ、こやって見ると綾波もいいなー。
なにを、にやけてるのかね?。
あっ、か、艦長何だってこんなとこへ
このあと、どうするのかと思ってな。
我々が動けないではないか!。
眞の戦士たるもの、危機に落ちてる者を黙って見ている訳にはいきません。!
げ、ウォーフまで。
日本には、義を見てせざるは勇なきなりという言葉があると
ききましたが?。
いや、デイタ少佐それとこれとはちがうんでないっすか?。
だから、どうちがうの!。
子ども達が危機に陥ってるというのに、のうのうと!。
うぅ、ドクターまで…。
で、でも聞いてくださいよー。
ここまではエヴァ本編の状況にある程度、
だから、なんなんだ!
まぁ、落ち着けウォーフ。
最後まで聞いておこうではないか。
ありがとうございますぅ、艦長。
で、ですね、エンタープライズが現れて少しづつ状況の流れが変わっている訳で
で、次はどうなるんだ。
副長、クリンゴンスタイルで聞かないでください。
こわいです。
あの子達のうち誰かが死んだりするんじゃないでしょうね?。
さあ、どうなんでしょうか。
………。
あぁ、にらまれてるぅぅ。
SOUさんの『FIRST CONTACT』第2章PartU、公開です。
エンタープライズはなかなか何もしてくれない・・・?
いやいや、
出現したことで
少しずつ少しずつ、
変わってきていますよね。
レイは助かった。
アスカが助けた。
まだまだしこりは多いですが、
きっと皆の思いが交わるときが・・。
期待したいですね。
さあ、訪問者の皆さん。
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