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「月も、輝きだしたわ。」

遠くから、救護班に抱えられるようにして救急ヘリに乗る綾波レイを

見ていた黒井ミサは、空を見上げて呟いた。

「守護天使も動くわね。」

 

「艦長!。」

「わかっている、ドクター。」

すでに、青い零号機と呼ばれている機体のパイロットは救われたとはいえ

依然、子ども達の危機は去っていない。

 

「シンジ君、なんとかアスカを後方に連れてきて!。」

ミサトの指示に何度も接近を繰り返す初号機だが、光の鞭とATフィールドに

阻まれ、思うにまかせない。

 

 

「私は、子ども達を助ける事にしようと思う。」

ピカードはブリッジのビュースクリーンの前に立ち、クルーにそう告げた。

「艦隊の規約に反するので、なにか意見の有るものはいいたまえ。

記録しておく。」

 

 

「今度こそ!。」

アスカは、使徒のコアが今は零号機のコアと同じだろうとあたりをつけて

武器を振り下ろした。

装甲を引き裂き現れたのは侵食された、エヴァのボディとコア。

再び武器を振り下ろす。

 

「艦長、待ちくたびれました。」

デイタの声に続き

「もし、首になった時はご実家で働かさせてもらいます。」

ライカーの冗談交じりの返答に、

「ぶどう畑の監督なら、口があるぞ。」

にやっと笑いながら答えた。

 

「ぐっ!。」

使徒の首を押さえていた左手に使徒が侵入してきた。

激痛が走る。

「ぐぅ、う、あああぁっ。」

アスカの叫びが通信機を通して、初号機、発令所そしてエンタープライズEに響く。

 

 



第2章死と乙女 PARTV

 

 

「アスカ!。」

シンジは弐号機に近づいていった。

地上の武器の援護射撃や、弐号機の抵抗のおかげで今度は鞭に邪魔されることもなく、

ATフィールドも問題無く中和出来た。

すばやく、近づくとすでに半分近く侵食された左腕をプログナイフで切り離した。

「アスカ、ごめん。」

 

「2号機、救出されました。」

戦術オペレータの報告に、安堵の息がもれるエンタープライズEのブリッジ。

 

「邪魔をしないで!。」

初号機を突き放し再び使徒に向かうアスカ。

 

「ジョーディ、有効な武器は?。」

ピカードはラ・フォージュに聞く。

「相手のシールドはフェイザーでは簡単には破壊出来ません。」

かといって、光子魚雷や量子魚雷では地表への影響が大きすぎるしパイロットの身が

危ない。

 

追う、初号機。

だが、今度は使徒のATフィールドは強力だった。

いや、使徒だけではなかった。

アスカが初号機を近づけないようにもしているのだった。

無論シンジには、そんなこと伺い知るよしもないが…。

 

「あのシールドの相転移空間の波長に合わせたフェイザーで穴を開ければ…。」

 

「初号機を、回収させろ。」

碇ゲンドウの理不尽かつ、非人道的な指示が出された。

「何ですって?。」

ミサトは聞き返した。

「アスカちゃん、いえ弐号機パイロットを見捨てるんですか?司令。」

マヤが悲痛な声でさけんだ。

彼女の精一杯の抗議である。

「初号機を引かせた後にN2爆雷を使う。」

それは、まさに弐号機を見捨てると言ってるに他ならない。

「司令、それではアスカが、いえ弐号機パイロットの生命が保証されません。」

エヴァの中なら核爆発にも耐えられる。

だが、これではアスカの心と引き換えに使徒を倒すことになる。

「葛城三佐、なにをしている。

早く初号機パイロットにつたえろ。」

 

 

「そんな、それじゃアスカは!?。」

「わかってるわ、でももうどうしようもないの。」

ミサトの声にあきらめと悔しさの色が伺いしれるが、シンジにとって

今は関係の無いことだった。

「ミサトさんにとって、アスカはなんだったんですか!?。」

「アスカは大事な家族よ!、でももう無理なのよ。」

なぜどうしようもないのか、なにが無理なのか、シンジには理解できなかった。

「アスカ、聞いてよ、アスカ!、アスカ!、」

 

「聞いてるわよ、ばかシンジ…。」

力の感じられない声で、アスカの返事が帰ってきた。

「どうせ、エヴァに乗っても敵に勝てないパイロットは用済みなのよ。」

「アスカ、そんなことないよっ!。」

だが、シンジの声はアスカに届かない。

 

「所詮、強くなきゃ誰も必要としてくんないのよ。」

(ホウントウニ?)

「一番でなきゃ、いつも最高でなかったら、だれもわたしを愛してくれない。」

(ソウダッタカシラ?)

「弱いわたしなんて、よわいわたしなんて」

 

「こんっちくしょうー!」

アスカは、自殺行為そのままに、弐号機で突進していった。

 

シンジは、その姿を追いながらふと天を仰いだ。

見えないが、宇宙戦艦は空にいる。

 

「上にいるひとたち!、きこえてるんだったらアスカをたすけてよ!!。

空の上でみてないで、僕たちを、アスカをたすけてよ。

ぼくのことはどうでもいいから、

みんなをたすけてよ。

アスカをたすけてよ、たすけて…。」

最後のほうは、泣いていた。

シンジは自分の無力さが悲しかった、情けなかった。

 

 

「正式な救援要請とみていいかな?、ナンバーワン。」

「ですね、艦長。」

「ジョーディ、準備はどうだ。」

「できています、艦長。

これで、相手の相転移した空間を中和できます。」

「よし、ウォーフ第1フェイザー発射!。」

 

 

発令所では、上空の宇宙船がシンジの呼びかけに答えた事で混乱が生じた。

「上空宇宙船、エネルギー兵器で使徒を攻撃!。」

モニターには、頭部付近を攻撃されている使徒が映っていた。

「ですが、ATフィールドに阻止されてます。」

「いえ、これは!、ATフィールドの作り出した相転移空間を反転中和させています。」

 

「ウォーフ、第2フェイザー準備!。」

 

「なによ、これ?。」

アスカは、信じられなかった。

ネルフにはすでに、捨て駒にされたのにシンジの呼びかけに応えたかのように

攻撃が開始されたのだ。

「なんで、あたしなんかたすけるのよ。」

(大事に思ってくれる人がいる?。)

「ネルフはあたしをすてたのに。」

(シンジは、アタシをたすけようとしたよ。)

心の奥から聞こえる声を振り払い、再度使徒に対峙する。

 

 

「先輩、葛城さん、上の宇宙船は味方です!。」

「今の所はね。」

ミサトの冷たい返事に、

「でも、シンジ君の呼びかけに応えてアスカちゃんを助けようと…。」

「マヤ、それはあなたの希望的観測よ。」

「せんぱい…。」

大人になるという事は、信じない事?。

 

「アスカ、今のうちにこっちに!。」

「くっ、ふざけないでよ!、ばかシンジ!。

いまさらおめおめと生き恥さらせってーの!。」

 

「生命体のシールド、照射中心部はすでに無力化。

攻撃可能です。」

「よし、ウォーフ第2フェイザー発射。」

デイタの報告をうけ、ピカードはすかさず攻撃を指示した。

かなりのエネルギー量をほこる生物のようだが、動きを止めれば爆発はしまい。

そう踏んでいた。

 

アスカは、使徒のコアにめがけスマッシュホークをたたきつけた。

「なんで、こんなに固いのよ。」

光の鞭が3方向から弐号機を襲おうとした瞬間、使徒の頭部が蒸発した。

鞭は動きを止めた。

 

「生命体頭部蒸発。」

 

「ATフィールド、完全に中和!。

使徒、頭部消滅!。」

 

「碇、弐号機も失わなくて済みそうだな。」

「ああ。」

 

「生命体、活動停止しません。」

「なんだって?。」

 

鈍い衝撃とともに、スマッシュホークの刃が使徒に食い込んだ。

「やった!。」

瞬間喜んだのもつかの間、アスカはシートに思いっきり押し付けられた。

 

「使徒、急上昇!。

上空の宇宙船に向かって飛んでいきます。」

弐号機が取り付いたままで。

 

「アスカ!、聞こえてるの?、アスカッ!。」

シンジは目の前の光景に一瞬我を忘れた。

使徒は突然、3本の鞭を羽状に変化させると目にも停まらぬ速さで上昇していた。

だが、弐号機が組み付いたままの状態である事に気づくと呼びかけると同時に

取り押さえようと行動したが、間に合わなかった。

 

「使徒、第一宇宙速度突破!。」

 

「生命体、当艦に向かって飛行中。

紅い機体、2号機が取り付いたままです。」

 

使徒は、弐号機よりもエンタープライズEに対して攻撃を優先させた。

自らの生命の危機もあるのだろう。

 

「!。」

アスカは急上昇の為に意識を失っていたが、警報音にめがさめた。

「しまった!。」

重力が感じられ無い。

しかも、外部電源ケーブルは途中で切れている。

あと、数分しかもたない。

目の前は漆黒の宇宙である。

 

「生命体、本艦前方5Kmで停止。」

「デイタ、攻撃可能か?。」

「やめたほうがよいでしょう。

生命体は、撃破できますがパイロットの身に危険がかかる可能性があります。」

 

「ふふ、空の上で死ぬのか…。」

使徒は、宇宙船に対して攻撃を開始した。

しかし、使徒の攻撃は宇宙船のシールドに阻止されている。

「借りは返すわよ。」

アスカは、使徒に対してニードルガンを撃った。

同時に使徒から離れる弐号機。

 

「撃て。」

エンタープライズEは量子魚雷を、使徒に向けて放った。

使徒は、ATフィールドを張ったが突き破られ爆発、四散した。

「艦長、爆発の余波で弐号機が地表に向かって落下します。」

量子魚雷を爆発させず貫通させて倒せばよいだろう。

す考えたのだが、その考えは甘かった。

使徒は自爆を敢行したのだ。

 

アスカは、目の前の使徒が爆発する姿をみた。

だが、次の瞬間激しい衝撃でシートから投げ出されプラグ内の天井部に激しく

たたきつけられてしまった。

すぐに気がついたが、左足がしびれて動かない。

脹脛のあたりから、変な方向に曲がっている。

左のわきあたりにも鈍い痛みが走っている。

「そうか、私ここで死んじゃうんだ…。」

「強く生きていこうとして、死んじゃうんだから本望よね。」

(本当にそう思ってるの?。)

「そうよ!。」

(うそよ。)

「強く生きてく、一人で生きるって決めたじゃない。」

(でも、ほんとうは一人がいやで、人が離れていくのがいやで。)

「強くなって、人を引き付けておこうと思っただけよ!。」

「弱い私なんて、だれも見向きもしないって勝手にきめて。」

(ほんとうは、人に甘えたかったんでしょう?。)

「ちがう!。」

「泣きたかったんじゃないの?。」

(チガウ…。)

「弱い自分を人に知られるのが嫌なだけよ!。」

「ママみたいに死ぬのがいやなだけよ。」

ATフィールドをはるために必要なパワーが今、切れた。

 

「転送室!。」

ピカードは全転送室に呼びかけた。

「こちら、第3転送室。」

「パイロットを転送できるか?。」

「やってみます。」

「艦長、2号機のシールドが消失しました。」

「まずいな。」

助けるつもりが、命を奪う事になってしまうのか?。

ピカードは焦った。

火災で死んだ甥の顔が脳裏に浮かぶ。

「死なせはしない。」

未来に希望がある子どもを炎の中で死なせるものか。

 

 

「弐号機、大気圏に突入!。」

「パイロットの生存確認できません。」

 

「アスカ!。」

シンジの呟きに応えるかのように、初号機は上をむいた。

「アスカを助けなくっちゃ。」

だが、なにができるとゆうのか?。

 

「第3転送室です。」

「どうだ?。」

「目標の周囲に電荷してると思しき物体があります。

液体か、気体かの区別もつかない状況で転送ビームがロックできません。

もう少し、時間があれば…。」

「時間がないんだ、マーカス!。」

ライカーが怒鳴る。

 

「ふふ、人より上を目指したあたしが空で死ぬなんて、さいこうね。」

(死んじゃっていいの?)

「いいわよ、1番になれなかったんだもん。」

「1番てなによ?。」

「人より優れてることよ。」

「たとえば?。」

「エヴァにのってるじゃない、使徒とたたかってるじゃない!。」

「それだけ?。」

「アタシ、他になにがあるのよ。」

「いろいろあるわよ!。」

 

「ジョーディ、トラクタービームで引き上げられるか?。」

「やってみます。」

 

「わたし、シンジにも負けたんだよ。」

「なんで、負けたって思うの?。」

(あいつは、使徒を倒してる。)

「じゃあ、あたしは?。」

「一人でなんか、倒してないわよ!。」

「シンジは?。」

「あいつだって、全部が全部一人ってわけじゃないけど。」

また、プラグ内に強い振動が走った。

 

「艦長、危険です。

2号機の装甲は、かなりもろくなっています。

トラクタービームで引き上げようとすると、部分的に剥離したり崩壊して

かえって危険です。」

「速度を落とす程度には出来るか?。」

「調整しながらでしたら可能です。」

「やってくれ。」

 

「宇宙船、弐号機を引き上げようとしています。」

「重力波のビームね。」

「何とかならないんですか?、先輩。」

「いい手があったら言って頂戴。」

ミサトがかわりに司令席を睨みながら言った。

 

 

「だから、死んじゃってもいいんだ。」

「本当に、しぬきなの?。」

(ほんとうよ。)

「そう。」

「そうよっ!。」

 

 

 

 

 

 

「そんな事、在る訳ないじゃない。」

人にまけるのは嫌、一番じゃない自分は嫌、ママのようになるのも嫌、

優秀じゃない自分はいや、でも人に必要とされないのはもっと嫌、

しぬのはもっともっと嫌。

でも、一人も自分を必要としてくれないのはもっともっともっと嫌。

 

「ママ、わたし死にたくないよ。」

涙があふれる。

 

 

(もっと、楽にいきてもいいんじゃない?。)

「強いって事の意味がもうワカラナイ。」

 

「たすけて、加持さん。」

顔が浮かぶ。

でも、その顔は…。

 

 

「艦長これ以上引きつけておけません。」

「ぎりぎりまで、高度を下げろ。」

船外温度が上がる。

 

 

困った顔、笑った顔、微笑んだ顔。

楽しそうに料理する顔。

「なんで、あいつが…?。」

 

 

「ミサトさん、アスカの様子は?。」

シンジの問いかけは、答えにくいものだった。

「判らないわ。」

「何をしている、シンジ。」

碇ゲンドウが割ってはいる。

「アスカを助けます。」

「初号機では無理だ、戻れ。」

シンジはなにも答えない。

 

「宇宙船高度を下げています。」

 

「熱い…。」

プラグの内部の温度もさすがにあがってきた。

足を折っているため、シートにも戻れない。

「マグマに落ちるのが今になったみたいなものね…。」

あの時、初号機が助けに飛び込んで来てくれた。

「ばかのくせに無理しちゃって。」

 

 

「艦長、地表から高エネルギー反応接近中です。」

「ビューワーにうつせ。」

 

 

 

 

 

涙がとまらない。

「たすけてよ、シンジ。」

本当は、本当の気持ちは…。

 

また、衝撃が襲ってきた。

アスカは、意識を失った。

 

 

「艦長、これは初号機と呼ばれている機体です。」

見ると、確かに初号機である。

背中に、わずかに光るものが見える。

「シールドの応用なんでしょうか?、飛行能力があるようです。」

光の加減で時々見えるそれは、6対の羽にも見えなくもない。

 

 

地上では、エンタープライズEのクルー以上の驚きが広がっていた。

「しょ、初号機第1宇宙速度維持。」

「宇宙戦艦、高度維持。」

 

彼らは、見てしまったのだ。

シンジが通信に答えなくなってすぐ、初号機はまた暴走を始めたかに見えた。

だが、シンジからの返答で今までの暴走と違う事が分かった。

「ミサトさん、初号機が力を貸しくれるそうです。」

いつもと違う、力強い声。

「シ、シンジ君、大丈夫なの。」

「ええ、大丈夫です。」

 

そして、初号機は蜻蛉を思わせる光の羽を開いたかと思うと瞬時に空へと

舞い上がった。

 

 

「大地のカード、持ち主も出方も正しかったようね。」

ミサは、微笑みながら水晶を見ていた。

 

 

「デイタ、すぐに高度を戻せ。」

エンタープライズEは、高度を元の位置までもどした。

これ以上、下げたらエンタープライズの発するショックウェーブでエヴァ2機を

落としかねないからだった。

 

 

 

「まずいな、碇、初号機の本来の力がここで現れるなんて!。」

「ユイ…、なにを考えている?。」

この二人を見ている者がいたとしたら、珍しいものが見れたであろう。

あの碇ゲンドウが困惑した表情を隠せなかったのだから。

 

 

「アスカ、アスカ!聞こえてる?。

アスカーッ。」

呼びかけに答えないアスカに不安が募る。

早く下に降りたいが、下手な事をしてアスカの身になにか有ると大変だ。

ともすれば、パニックに陥りそうな自分を押さえてゆっくりと降下していく。

あと、少し、あと、すこしで第三新東京市だ。

 

 

発令所では、空電しか聞こえなくなった無線に誰もが絶望しかけていた。

 

 

空をうつしたモニターにはまだ、なにも見えない。

 

 

レーダーサイトからの報告にもなにもでない。

上空の宇宙戦艦の使った武器のせいで大気の状況も、電波の通りも

悪いようだ。

 

 

「見えました!。」

喜色満面でマヤがさけんだ。

そこには、弐号機を抱きゆっくりと降りてくる初号機の姿があった。

「えらいっ、シンちゃん!!。さっすがおっとこのこぉ。」

ミサトの思わず口走った言葉に、発令所の極一部の人間を除いて笑いが広がる。

 

 

初号機は、地上に降りると優しく、だがすばやく弐号機を地面に横たえた。

あとの行動は速かった。

ハッチを取り、プラグを引き抜く。

 

プラグを大地に置くと、シンジは急いで駆け寄る。

 

だいじょうぶ、アスカはいきている。

自分に言い聞かせて、プラグのハッチをまわす。

心なしか、綾波を助けた時より熱いような気がする。

 

開かない!。

 

全身の力を込めて、ハンドルをまわす。

 

動いた!。

 

開くハッチ。

熱くなったLCLがあふれる。

 

だいじょうぶ、これなら耐えられる!!。

アスカなら、大丈夫!。

 

 

プラグの中をみる。

シートにアスカの姿が無い!。

「アスカ!。」

叫びがもれる。

前の方に紅いスーツ。

 

なかに急いではいる。

入り口に頭をぶつけてしまったが、そんな事はどうでもいい。

 

近づくと、妙に色が白い。

唇も、生気がない白。

 

そんなことはない、アスカは死なない。

死なせたくない。

 

抱きかかえようとしたシンジの目に奇妙な形に曲がったアスカの左足が

飛び込んできた。

 

大丈夫、この程度なら、だいじょうぶ。

 

普段の彼からは思いもよらない力がでている。

軽々とアスカを抱きかかえると、外にでる。

 

日陰になっている所に運ぶと優しく寝かせる。

 

大丈夫、いきている。

息はしている。

心臓だってうごいてる。

 

 

 

「アスカ、起きてよ。」

「生きてるんでしょう?。」

「アスカ。」

 

「アスカ、死なないでよ、死んじゃ嫌だよ。

アスカ…。」

 

アスカの瞼が動いたように見える。

 

「アスカ。」

 

唇が開いた。

なにか言おうとしている。

「アスカ、アスカ。」

両手が動く。

 

 

「あんたなんかに助けられたくなかったわよ。」

言葉の内容とは裏腹に、うれしそうに言いアスカはシンジにしっかりと

抱き着いていた。

そして、シンジの胸に顔を埋めると

「気がきかないんだから。」

聞こえるか聞こえないかの様な声で呟く。

 

「ごめん。」

いったいなにが、気が利かないのか判らない。

が、いつものように謝ると、シンジは優しくアスカを抱きとめた。

 

 

アスカはシンジの胸の中で泣いていた。

 

 

 

「太陽はね、光を失うと大地に抱かれて眠るのよ。

そして、また力を取り戻して輝くの。

大地は、太陽の力でさまざまなものを育むわ。

だけど、太陽が休む時は太陽に力を与えるの。

そして、月。

月は大地と対で、太陽の対。」

遠くから眺めていたミサが、言い聞かせるように呟いていた。

 

 

 

 

 

 

二人は救護班が来ても、そのままでいた。



To Be NEXT

NEXT
ver.-1.00 1997-12/01公開
ご意見・ご感想・よくもアスカに怪我させたなとかは sou-1701@qc4.so-net.ne.jpまで!!

カウンセラー、一寸相談したい事があるんですけど。

どうぞ、なにかしら?。

いえ、実はこんな終わり方してるんで次回からの展開が不安なんです。

はあっ?。

まさか、こうなるとは思って無かったんです。

でも僕、恋愛物って苦手で。

あなた、自分で考えて書いてるんじゃないの?。

いえ、大宇宙の大いなる意志が書けって言うんです。

…。

詳しい内容は、亜空間を通って頭に直接きてるんですけど、

たしかに、きてるみたいだけど…。

もしかしたら、次は日常生活みたいなものになり兼ねないんです。

わたしたちも日常生活をするの?

いえ、わかんないです。

大いなる神の意志によるでしょう。

>(かなりあぶないわね。)で、どうしたいの?。

このさい、アスカさんを一旦退場さ…

がしゅっ

この、電波中年!もう一度言ってみなさいよ!!

アスカさん落ち着いて。

ディアナ、こんな奴庇う事ないわよ、ぬぁーにが一旦退場ですってぇ!?。

でも、おかしすぎないですか?。

たしかにそうね、シンジ君。

ドクターに見てもらいましょう。

ふん、命冥加なやつ。


で、ドクター結果は?。

電波を受けてるのはいつも通りだけど、見てここ。

あ、首の所に変なもんが、なにこれ?。

寄生生物ね、これによってよけいな電波を受けて変な事いいだしたのよ。

以前、連邦もこのような生物に侵略されかけたわ。

トリル人のような供生体なら問題ないんだけど。

これは腹中蟲よ、誰かが闇の力を使っているわ。

だれよミサ、まさかファースト…。

違うわ、このままだと困る人よ。

あの、それってなんか、多すぎませんか?。

そーよねぇ…。


 SOUさんの『FIRST CONTACT』第2章PartV、公開です。
 

 アスカちゃん怪我しちゃった。

 左足を折って、
 脇の痛みも。

  (;;)

 でもでも。

 心の傷は癒やされる方向に。

 (^^)
 

 
 太陽と大地の喩え、
 素晴らしかったですね。
 

 自分を必要としてくれるあたたかい場所で、
 太陽は力を甦らせる。
 

 いいな(^^)/
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 大いなる力に操られているSOUさんに感想メールを送りましょう!


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