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RHAPSODY

―戦いの傷―





第二新東京市第一高校

「なんでシンジと一緒のクラスじゃないのよ!」

中庭のような所に貼り出された紙は、その少女を激怒させるのに十分だった。
碇シンジ10組 惣流アスカ7組

「しょうがないよアスカ、僕らを一つにかためておく必要はもうないんだから。」

「だってぇ・・・」

「それに委員長とは一緒だからいいじゃないか。」

「私はシンジと一緒がいいの!」

「アスカは私と一緒じゃ嫌なのね・・・」

うわ!委員長いつのまに?

「ヒ、ヒカリそういうわけじゃないのよ・・・」

「私はアスカと一緒でうれしかったのに・・・・」

「鈴原と一緒での間違いじゃないの?」

「そ、それは・・・」

「ほら、ヒカリだって人のこと言えないじゃない。」

「私とトウジはそんなんじゃ・・・」

「ニヤリ・・・いつのまにトウジなんて呼んでるの?」

ニヤリって口で言ってるし・・・

「え、そ、その・・・この間から・・・」

「ふーん、そうだったんだ・・・親友の私には一言もなしにねぇ・・・ふーん。」

「ア、アスカだっていつのまにか碇君とつきあってたじゃない!」

二人ともだんだん声が大きくなってきた。

「ふ、二人ともその辺に・・・」

「「碇君(シンジ)は黙ってて!」

「はい・・・」

ほっとくしかないか、情けないけど。
そこで僕は初めて周りを見た・・・

「う!」

みんながこっちを見てた。
こんな所で言いあってたら注目されるのも無理はない。
何とかしないと・・・・

「ね、ねえ、そろそろ入学式始まるよ・・・」

「え?もうそんな時間?」

「アスカ、この続きはまた後で。」

「そうね後でゆっくりとね。」

「ま、まだやるの?」

「「大事な事なの!」」

「は、はあ・・・」

「とりあえず行きましょう。」

「そうだね。」

「で、何処でやるの?」

「体育館だって書いてあったでしょうが!」

委員長のつっこみが激しい。

「か、確認しただけよ!」

あぁ、もう勘弁して・・・





・・・入学式も終わって
教室に向かう途中・・・

「ふう、けどよかった。ケンスケが一緒じゃなきゃ一人だったもんな。」

「俺はこのクラスになって結構うれしいよ、かなり美人が多いしね。
ああ、売り上げがたのしみだ!」

一人の方がよかったかも・・・・
あ、やっと着いた。

「なんで、一年が最上階なんだよ。上るの大変じゃないか・・・」

とケンスケが愚痴る。ちなみに僕たちの校舎は3階まである。

「ホントだね。」





教室に入ると僕達はとりあえず名簿順に席に座った。
しばらくすると、先生と思われる人が入ってきた。
入学式のときにも紹介はあったけど、前に人がいてよく見えなかったんだ。

「え〜と、私がこの10組の担任の藤田 マサヤです。
この一年よろしくお願いします。」

思っていたよりかなり若い、28ぐらいだろうか。

「それじゃあまず自己紹介からしようか。まず僕からだね・・・
藤田マサヤ 29歳独身 趣味はスポーツならなんでも 彼女募集中・・・とこんな所かな?
じゃあ次は男子の名簿の一番からだね。」

「一番、相田ケンスケ 第二新東京市第四中学 趣味は写真など 彼女は・・・うう・・・」

「い、いや無理して言う必要ないんだよ・・・・」

「うう・・・ずっと・・・募集中・・・うう・・・」

聞いちゃいない。

「そ、それじゃあ次いってみようか。」

僕の名簿は、けっこう最初の方だからすぐにまわってくる。
なにか考えないと・・・
ってもう僕の番じゃないか。

「あ、え〜と、碇シンジです、
四中から来ました、趣味は・・・料理とチェロかな。」

ふう、これぐらいしか言うことないぞ・・・

「碇君は彼女はいないんですか〜?」

「は?」

声のした方を見ると栗色の髪の女の子が、席を立ってこっちを見ていた。

「だから〜、シンジ君は彼女はいないんですか?」

何だこの子?

「何でそんなこと答えなくちゃいけないのさ?」

「みんな言ってるもん。」

「別に言わなくてもいいって言われただろ。」

「そんなこと言ったって、聞きたいんだもんしょうがないじゃない。
それに私だけじゃなくて、みんなも知りたいと思うよ。ね〜」

「「「「「ね〜!!」」」」」 やたらと黄色い声が聞こえた。

「何でこんな事・・・、わかったよ言うよ、彼女は募集してません。はい、これでいいだろ。」

「え〜、シンジ君彼女いるのぉ?」

「何で君に、シンジ君なんて呼ばれなきゃならないんだよ。」

「だってぇ、シンジ君はシンジ君でしょ。」

「はあ・・・もういいよ、次いってください。」

「あはははは、いきなり大変だな碇は、まあ頑張れよ。
それじゃあ次、いってみようか。」

はあ変な子、結構可愛いのになぁ。
・・・ん?
なんか視線を感じるな・・・

「げ!」

ほぼ全部の男子に睨まれてる。
うっ!ケンスケまで・・・男なんてこんなもんか・・・

しばらくすると男子の自己紹介が終わって、女子の自己紹介がはじまった。
あっ、さっきの子だ。

「霧島マナです!中学は京都の中学で最近こっちに引っ越してきました。
趣味は、音楽鑑賞かな。彼氏は募集中で〜す。」

「「「「「「うおおおおお!」」」」」」

男子から歓声が上がる。
しかもケンスケなんか立ち上がって喜んでる。君って奴は・・・

「好みは・・・・シンジ君みたいな人!」

こ、こいつは・・・・
ああ、刺すような視線が!!

「ん、ふふふふふふ、シンジ君、君とは後でゆっくり話がしたいなぁ。」

「ケ、ケンスケ落ち着いて!」

「これが落ち着いていられるか!」

「「「「「「そうだ〜」」」」」」

ほとんどの男子がいっせいに声を上げる。

「み、みんなまで・・・」

「とりあえずこの事は惣流に報告させてもらうからな。」

「アスカは関係ないだろ!」

「悪いねシンジ、惣流と契約したんだ。
シンジのこのクラスでの様子を、詳しく正確に惣流に報告する。
本当は嫌だったんだけど、惣流の写真の独占権をちらつかされちゃあね。
それに今のことで良心も痛まなくなったよ。」

「ぼ、僕を売ったのか!?」

「そういう事さ、お前ばっかりにいい思いはさせないよ。」

「くっ!男なんて・・・・」

「もてない男の気持ちは一生シンジには分からないよ。」

「あのぉ・・・・進めてもいいかな?」

「「どうぞ!!」」

・・・・
・・・
・・

「きり〜つ、れい。」

さっき決まったばかりのクラス委員が号令をかける。(名前は門谷さん。)

「今日はこれで終わり、みんな帰っていいよ。」

みんなが、わいわいと教室から出て行く。
僕も帰る準備をしてたら霧島さんが近づいてきた。

「碇君ってどこに住んでるの?」

「三丁目の辺だけど・・・」

「ホント!?じゃあすっごく近いじゃない。」

「そうなの?」

「うん、だって家も三丁目だもん。」

「ふーん。」

「ふーんって、普通これぐらい言ったらわかるでしょ。一緒に帰ろうって言ってるのんじゃないのぉ。」

「なんで?」

「さっき言ってたじゃない、最近こっちに引っ越してきたからあんまり道も知らないし、
ほかの女の子は近くには住んでないしね。」

「そう・・・別にいいけど、アスカも一緒だよ。」

「アスカって・・・・彼女のこと?」

「そうだよ。」

「・・・いいよ別に、それにシンジ君の彼女も見てみたいしね。」

「じゃあちょっとまってて、ケンスケと話してくるから。」

「うん。」



ケンスケをどうにかして黙らせなきゃ、なにか手は・・・・・
あっあの手があったか。

「ようシンジ、のこのこと何しに来たんだ?」

「さっきのことなんだけど・・・考え直せない?」

「無理だね。」

「女の子紹介するけど?」

「・・・・・・は?」

「だから、女の子紹介するけどって言ったんだよ。」

「ほんと?」

「うん、女友達に頼んでケンスケが気に入るような女の子を探すからさ。」

「シンジ・・・・」

「どう?」

「お前って奴は・・・・・なんていい奴なんだ!
やっぱ持つべき物は友達だよなぁ。」

よく言うよ・・・・・・

「それじゃあいいんだね?」

「いいも何もないよ、頭下げてこっちから頼みたいよ。」

「それじゃあ、今日帰ったら頼んどくよ。」

「ほんとか!?くぅ〜やっと俺にも春がやってきた。
シンジこれからは写真ただでやるよ。
うははははははははは・・・・・・」

なんて単純な・・・・



「シンジ君、話終わったの?」

「終わったよ。」

「それじゃ帰ろうよ。」

「そうだね、あんまりアスカを待たせても悪いしね。」

「・・・・・・」




「おっそ〜い、シンジ何してたのよ!」

「ごめんごめん、ちょっと手間取っちゃって・・・」

「それよりその後ろにいる女は何なのよ?」

「家近いから一緒に帰ろうって・・・・」

「始めまして、霧島マナって言います。マナって呼んでね。」

「惣流アスカよ、アスカでいいわ。」

「よろしく。」

「じゃなくてぇ、なんでシンジと一緒に帰るのよ?」

「家が近いから。」

「ってそれだけ?」

「あと、この辺に引っ越してきたばかりだから一緒に帰る人がいないの。
道もあんまり知らないし。」

「そういう事らしいよ。」

「ふーん、怪しいわねぇ。 けどまあそういう事ならしょうがないわね、それじゃ帰りましょ。」

「そうだね帰ろうか。」


帰り道


「アスカ昼なに食べたい?」

「簡単な物でいいわよ。」

「何でシンジ君がアスカさんに何食べたいか聞くの?」

「そ、それは・・・・」

「隣に住んでて、アスカは料理あんまり出来ないから。」

「シンジ!」

「だってホントの事だろ。」

「隣に住んでるだけなのに、なんでシンジ君が料理作らなきゃいけないわけ?」

「それは・・・」

「・・・僕たち一人暮らしだから・・・」

「そうなの!?・・・私と一緒ね。」

「えっ、霧島さんも一人暮らしなの?」

「そうよ。」

「まさか同じマンションなんてことはないわよねぇ。」

「はははは、まさかぁ。」

「そうだよ、そんなベタベタな話あるわけないよ。」

「そうよねぇ。」

・・・
・・

「何でここでとまるの?」

「私の家だから。」

「そう・・・私たちの家もここなの。」

「と、言うことは・・・・」

「「「同じマンション?」」」

「・・・・・・・」

「と、とりあえず入ろうか・・・・」

「そ、そうね。」

「は、入りましょうか。」

・・・
・・

エレベーターに乗り込み5階のボタンを押す。

「何であんた何階か押さないの?」

「私も5階だから。」

「そ、そう・・・」

・・・
・・

「じゃあ私たちはここだから、なんかあったらいってよね。」

「う、うん、けどここの隣だから・・・・」

「ふう、そんなことだろうと思った、もう驚かないわよ。」

「そういえば、この間引っ越し業者来てたよね。」

「そういえばそうね。」

「うん、三日前だもんここ来たの。」

「ふーん。」

「霧島さん、昼ご飯はどうするの、よかったらうちで食べない?」

「ホント?うれし〜な、シンジ君に誘われちゃったぁ。」

「シンジ!何でこんな子呼ぶのよ!?」

「だって一人の食事なんて、面白くないじゃないか。」

「シンジ君・・・」

「もう、仕方ないわね。」

「じゃあ、作っとくから着替えてきてよ。」

「わかったわ。」

「それじゃ!」



ふう・・・・まさか隣の家だったなんてなぁ。
偶然って恐ろしい・・・
けどアスカがそんなに怒らなくてよかった、最近ちょっと優しくなってきたかな。

「さて、何を作ろうかな?」

冷蔵庫の中を覗いてみると、たいした物は置いていない。

「後で買い物いかなくちゃ。」

オムライスでも作ろうかな。

「よしっ、さっさと作りますかぁ。」




がちゃ

「シンジ、できた?」

「できたよ〜」

「オジャマしま〜す。」

「どうぞ遠慮せずに入って。」

「ありがとう。」

「じゃあ椅子に座って待っててよ、すぐに持ってくるから。」

そう言って僕は台所においてある料理を取りにいった。

「本当にシンジ君が作ってるんだ。」

「信じてなかったの?シンジの料理はすごく美味しいんだから。」

二人のしゃべり声が聞こえてくる。

「いや、ただアスカさんは作らないのかなと思って。」

「わ、私はその・・・ちょっと事情があって・・・」

「ふ〜んそうなの?苦手だからってシンジ君に作らせてるなんてわけじゃないのね。」

きっついなぁ・・・・
喧嘩になるんじゃないか?

「そ、 「アスカさん、いま作れないんなら今度作ってね。私アスカさんの作った料理も食べたいなぁ。」

「それは止めといた方がいいよ。」

「あっ!シンジ君」

「シンジ〜今のはどういう意味かしら?」

「そのまま。」

「そのままってあんたねぇ!」

「だって本当に苦手だろ、嘘ついても仕方ないよ。」

「そ、そりゃまぁ・・・」

「そうでしょ。」

「う、うるさいわねぇ!あ〜もう、そんなこと言ってるマナはどうなのよ!?」

「・・・・じつは・・・」

「ほらもう、あんたも人の事いえないじゃないのよ。」

「・・・得意なの・・・すっごく・・・」

「ね!得意なのよ・・・・って得意なの?」

「そう。」

「あんたねぇ、はっきり言いなさいよね勘違いしちゃったじゃないの。」

「ふ〜ん、料理得意なんだぁ今度食べさしてよ。」

「シンジ君の頼みなら喜んで。」

「あ〜もう、うっとしいわね!さっさと食べちゃいましょうよ。」

「そうだね、冷えちゃったら美味しくないからね。」

「うわ〜オムライスだ〜」

テーブルの上には、オムライスとサラダが置いてある。

「さすがシンジね、私の食べたい物を見抜いてるわね。」

適当なのに・・・

「ま、とりあえず食べて。」

「「いただきま〜す」」

この二人気が合うのかな?

「はいどうぞ。」

そして、しばし無言。

もぐもぐ

もぐもぐ

「どう?」

もぐもぐ

「「・・・・・」」

「おいしい?」

「「うん!」」

うん、やっぱ気が合うんだこの二人。

「そう、よかった・・・」

「シンジ、あんたもっと自信持ちなさいよ、こんなに美味しいんだからさ。」

「ホントすごく美味しいよ。誰に習ったの、お母さん?」

「・・・本を見て自分で覚えたんだ。」

「「ふーん」」

「誰も教えてくれる人いなかったからね。」

「・・・・」

「自分で作らなきゃいけなかったからしょうがなくだし。」

「そうなんだ・・・・」

「私も料理勉強しよっかな。」

「できればしてくれないかな。」

「ぶぅーーー」

「「あははははは」」

こんな感じもいいかな。




食べ終わって、すこし休んでいるとき。

「そういえばさ、二人はなんで一人暮らししてるの?」

「・・・二人とも家族いないんだ。」

「ごめん・・・」

「いいわよ別に、それに今はシンジもいるしね。」

「あ、アスカ!」

顔が真っ赤になるのがわかる。

「お熱いわねぇ・・・・」

「そっちこそなんで一人暮らししてるの?」

「ちょっと事情があって一人で暮らさなきゃいけなくなったの。」

「ふ〜ん。」

「そういえば京都から来たっていってたよね。」

「うん、それが?」

「いや、京都ってどんな所かなと思って・・・」

「そうねぇ、いい所よとっても、落ち着くしね。」

「お寺とか多いんでしょ?」

「うん、けど私はあんまり知らないなぁ、住んでたの長くなかったし。」

「じゃあその前は何処に住んでたの?」

「・・・第三新東京市・・・・」

「あ・・・・」

「二年ほど前まで住んでたんだけど、変な怪物が襲ってくるようになって京都の親戚の家に私だけ引っ越したの。」

「僕たちも昔住んでたんだ第三新東京市に・・・」

「そうなの!? じゃあ、いつごろこっちに来たの?」

「あの街がなくなるまでよ・・・」

「・・・・それって・・・・・」

「そう・・・正式に第三新東京市がなくなるまで。」

「・・・・どうしてそんな時期まで?」

「それは・・・」

「シンジ、私が言うわ・・・
私たちはネルフに所属してたの・・・今もだけどね・・・それで私たちは戦ってたのよあの街で使徒と・・・エヴァに乗って・・・」

「・・・・・・」

「使徒はあの怪物、そしてエヴァは僕たちの乗ってるロボットだよ。」

「あれに乗ってあなた達が戦ってたの?」

「そうよ。」

「・・・・どうして?」

「え?」

「どうして、お父さんとお母さんを守ってくれなかったの!!」

「だってさっき京都に疎開したって・・・」

「ネルフに勤めてたから二人とも最後まで残ってたのよ!!
もうすぐここは戦場になるからお前だけでも逃げろって言って・・・・・
それで最後には二人とも私にメールを送ってきて・・・・もう会えないって・・・」

「そんな・・・・こと言っても・・・しょうがないじゃない・・・」

「しょうがないって何よ!!あなた達が守ってれば二人とも死なずにすんだのに・・・・」

「ごめん、僕がしっかりしてたら・・・」

「シンジ・・・」

「僕にできることなら何でもするから・・・」

「お父さんとお母さんを返してよぅ・・・おねがい・・・返して・・・」

「霧島さん・・・・」

「マナ・・・」

「もう私の前に出てこないで!!」

そう言って霧島さんは僕の部屋を出ていってしまった。

「霧島さん・・・」

「シンジ・・・・」






「ふう・・・・」

何もやる気にならない。
アスカはあの後すぐ部屋に帰ってしまった。
こんなことになるなんて・・・・・
もう外は真っ暗だ。
食欲もわかない。
アスカは夕飯どうするんだろう?

ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ・・・



プルルルル

プルルルル

プルルルル

プルルル

ガチャ

「もしもし、アスカ?」

『シンジ?』

「うん。」

『どうしたの?』

「夕飯どうする?」

『要らないわ、食べる気にならない。』

「アスカ・・・元気出して・・・」

『アンタにいわれたくないわよ。
で、それだけ?』

「うん。」

『それじゃ切るわよ・・・・』

「うん。」

『シンジ・・・ありがと・・・』

「アスカ、おやすみ・・・」

ガチャ

ツーツーツーツーツー


ふう・・・・・
ふと時計を見る、もう8時を過ぎてる。




ピンポーン

アスカかな?
僕はドアを開けるため玄関に向かった。

ガチャ

「アスカ?」

「・・・シンジ君・・・」

この声は!!

「霧島さん?」

「うん・・・」 僕は慌ててドアを開ける。
そこには目を真っ赤にはらした霧島さんが立っていた。

「どうしたの?」

「入っていい?」

「いいけど、どうしたのさ?」

「・・・中で話すから・・・」

「どうぞ・・・入って・・・」

「ありがと・・・」

僕たちは部屋に入るとソファに座った。

「なんか持ってくるけどなにがいい?」

「・・・紅茶・・・・」

「わかった、ちょっと待っててね。」

「うん・・・」

僕は、そういって台所に入り紅茶の準備をする。
それにしてもどうしたんだろ?



「紅茶、出来たよ・・・」

「うん・・・」

僕は霧島さんの横に座り紅茶を前のテーブルに置く。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

どう切り出していいか分からないけど、
とりあえずどうしたのか聞いてみよう。

「どうしたの?」

「・・・・・・・」

「無理に話さなくてもいいんだけどね。」

「・・・あれからずっと泣いたの・・・」

やっぱり泣いてたんだ・・・

「・・・それでちょっと落ち着いてきたら言いすぎたんじゃないかって思って・・・・
どうしようもないことなのに・・・シンジ君達のせいじゃないのに・・・
謝らないとって思って・・・
それで・・・・」

「霧島さんが謝ることなんてないよ・・・・」

「でも!」

「あの時、僕がもっとしっかりしてれば・・・こんな事にはならなかったんだから・・・」

「・・・・・・・・・・」

「いつも逃げてばかりだった、僕が引き起こしたことなんだ・・・・」

「ねえ・・・ネルフでの話、聞かせてくれない?」

「・・・・長くなるよ・・・」

「いいよ・・・」

「それじゃ・・・」

そうして僕は、これまであった事を全部、霧島さんに話した。



ネルフに呼ばれたときのこと・・・

使徒との戦い・・・・

みんなのこと・・・

そして、父さんやゼーレのシナリオのこと・・・・・

霧島さんはずっと真剣に聞いていた。



「これで最後だよ・・・・」

見ると霧島さんは泣いていた。

「霧島さん?」

「・・・・ごめん・・・・」

「?」

「シンジ君・・・何にも知らないのにあんな事いって・・・・」

「霧島さん・・・・」

「シンジ君、精一杯やってるじゃない・・・」

「・・・・・・」

「普通なら本当に逃げ出すよ・・・・
私なら逃げ出すと思う・・・・」

違う!!

「違うよ、僕は逃げ出すのも恐かったんだ!
エヴァに乗ることだけが、僕の生きていていい理由だったんだ。
乗るしか僕にはなかったんだ・・・・」

「・・・・・・」

言葉が止まらない。

「だから僕なんか本当は生きてちゃいけないんだ・・・・」

「そんな・・・・」

「殺して・・・・・」

「シンジ君!!」

「僕はこの手で好きだっていってくれた それに霧島さんのお父さんやお母さんまで・・・・」

「お願いもう止めて!!」

「だって・・・僕は・・・」

「お願いだから・・・もう止めて・・・・」

「殺して・・・」

殺してくれ・・・

「シンジ君!!」

そういって霧島さんは僕を抱きしめた。

「そんなこと言わないで、あなたのせいじゃないの・・・・
みんなが許してくれなくても、私が許してあげるから・・・・
だからそんなこと言わないで・・・お願い・・・」

「殺して・・・・」

「シンジ君・・・・」

「殺してよ・・・」

不意に僕の口が霧島さんの唇でふさがれる。

「ん・・うう・・・・」

「・・・・・・・・」







「ごめん・・・取り乱しちゃって・・・」

「ううん、いいよ別に・・・」

「はは、ホントに情けないなぁ。」

「・・・・・」

「・・・・・・」

「アスカさんは、どうしてるの?」

「僕がいって見てくるよ・・・・」

「そう・・・ごめんなさいって伝えといて・・・」

「ありがとう霧島さん。」

「それを言うのはこっちの方よ、シンジ君達が戦ってなかったら今ごろ私も死んでたんだしね。」

「・・・」

「そういえば何でもするって言ってたじゃない。
もちろんしてくれるわよね?」

「え!?」

「それじゃあね〜
マナって呼んでちょうだい、霧島さんじゃちょっとね・・・」

「う・・・・うん・・・・」

「シンジ君これからよろしくね。」

「こちらこそ。」

「私がシンジ君を守ってあげるからね・・・」

「え?」

「なんでもないよ〜だ。それじゃあもう遅いからオヤスミ、シンジ君。」

「え、あ、おやすみ、きり・・」

「だ〜め、マナって呼んでって言ったでしょ。」

「う、うん、おやすみマ、マナ・・・」

「それでよ〜し、それじゃあね!」

「うん。」

「あ!さっきの事アスカさんにはないしょね。」

そう言って霧島・・・じゃなくてマナは自分の家に帰っていった。

「言えるわけ無いじゃないか・・・・」

さてアスカの部屋にいかなきゃ。




ピンポーン

「・・・・・・・」

寝てるのかな?

「しょうがない、合鍵で・・・」

僕はいちようアスカの部屋の合鍵を持っている。
使うことはあまり無いが・・・・

「入るよ・・・」

部屋の中は真っ暗だ。

「アスカ、どこ?」

僕は部屋の電気のスイッチを入れた。
部屋の構造は一緒なのですぐに分かった。

「アスカ!」

「シンジ?」

部屋が明るくなると、すぐに部屋の隅で丸くなっているアスカが見つかった。

「アスカ、マナがごめんって言っといてって。」

「許してくれたの?」

「そうだよ、僕のことも許してくれた。」

「よかった・・・」

「うん、そうだね。」

そういって僕は、アスカの横に腰掛ける。

「ごめんねアスカ一人にしちゃって、僕が一緒にいなくちゃいけなかったのに・・・・」

「いいのよそんなこと言ってられる状態じゃなかったから・・・」

「ごめん・・・」

「何で謝るの?」

「いろいろあって・・・」

「?????」

「気にしない方がいいよ。」

「・・・そういえばさっきマナって呼んでなかった?」

「う・・・・呼んでた・・・」

「どういう事?」

「なにかするって言ったら名前で呼べっていわれたんだ。」

「他には?」 「な、何も無いよ・・・」 「・・・シンジはわたさないから。」

「・・・・・・・・・」

僕は物か?
声に出せない自分がちょっと情けない・・・

「明日も学校あるんだからもう寝ましょ。」

「そうだね、ネルフにも行く日だしね。」

「そうだったわね・・・・」

「じゃあ僕は部屋に帰るよ。」

「うん、おやすみ。」

「おやすみ。」

そういって僕は部屋を出る。







そうしてまた一日がはじまる・・・





to be continued


NEXT
ver.-1.00 1997-11/04公開
ご意見・感想・誤字情報などは masa01@big.or.jp まで。


暴走中
とりあえず、第二話完成。
テスト終わって暴走気味です。・・・・・・かなり。
マユミも出せなかったし・・・・
だらだらしてるし・・・
途中でほっといたからつなぎめ変だし・・・
ああ、だめだぁ・・・
メールも もうやめろとか、なんでもいいからメールがほしい・・・(泣)
新連載はじめよっかな?
中免も取りに行かなきゃ・・・

 中田さんの『RHAPSODY』第2話、公開です。
 

 重い過去・・

 沢山の人の死・・

 そこで戦っていたシンジ達には
 その沢山の死がのし掛かって来るんですよね。
 

 アスカとシンジ、
 二人幸せになっても、
 心の片隅どこかでずっと・・
 

 マナの言葉と存在は
 大いにシンジを慰め、慰めて行くでしょう。

 それだけにアスカには大きな敵になるかも(^^;

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 メールを待ちわびる中田さんに、ぜひ!


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