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First Child
第壱話「最初の適任者?」
ここは、第3新東京市にあるマンションの一室。
そこへ三人の男女が帰ってくる。
その三人のうちの二人は、エヴァ初号機と弐号機のパイロットである、碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーである。
そしてもう一人はここの住人であり、二人の監督係 兼、保護者である葛城ミサトである。
「ペンペン、ただいまー。」
「ただいま。」
「ただいま。」
「ごめんね、ペンペン。遅くなって。今、シンちゃんが何か作ってくれるからね。」
勝手なことを言っているミサトだったが、特に気にした様子もなく、シンジは言った。
「ミサトさんはビールでいいですよね?」
「うん、悪いわね。」
「アスカも何か飲む?」
「あたしはいいわ。それより、お風呂にお湯いれといて。」
それだけを言い、アスカは自分の部屋に行く。
シンジは両手に缶ビールを持ち、それをミサトの渡してお風呂にお湯を入れに行く。
家事をすべて任されているシンジだったが、愚痴一つこぼさずに働いていた。
シンジはキッチンに戻ると、ペンペンの食事とミサトのつまみを作り始めた。
その手際のよさはとても14歳の少年とは思わせないものがあった。
シンジは二人(一人と一羽かな?)の料理をもってリビングにいくと、いつの間にかアスカが戻って来ていた。
シンジの作ったつまみを食べながらミサトはシンジに言った。
「やっぱ、シンちゃんの作った料理はおいしいわ。でも、今日食べに行ったラーメンは美味しかったわね。またいこうね。」
「そうですね。」
「まったく、あんなすごい使徒を倒したっていうのに・・・・。」
愚痴をこぼそうとしたアスカだったが、自分で選んだと言うこともあって、その先を言うのをやめた。
「ねえ、ミサトー」
「な〜に〜?」
アスカは、程良くできあがってきたミサトに話かける。
「あたしたちって、7体の使徒を倒したんだよね。使徒ってあと何体いるわけ?」
「私も、知らないんだ。でも、シンジくんが最初に倒した使徒は3体目だから、私たちは、9体の使徒を倒したことになるわよ。」
「えっ、そうだったんですか? じゃあ、最初の2体はどうやって倒したんですか?」
「う〜ん、私もよくは知らないんだ。最初の2体はセカンドインパクトの時だったらしいから。もし、私の父親が生きていたら何か分かるかもしれないけど・・・・。」
「ご、ごめんなさい。いやなこと思い出させちゃって。」
シンジはミサトの言葉に、自分の言ったことを後悔した。
「あっ、いいのよー、もう気にしてないから。」
明るくそう言ったミサトだったが、さっきまでの明るさは無くなっていた。
それに気づいてか、それとも気づかなかったのかはわからないが、アスカはお構いなしに話を続ける。
「セカンドインパクト後の15年もの間、一度も使徒は現れなかったわけ?」
「そうね、一度も現れなかったわ。」
「もしかして、シンジが原因なんじゃないの〜?」
「そんなあ〜。」
シンジは思い当たるところがあったのでうつむいてしまう。
アスカも気まずくなってしまい、話を変えようとする。
「じょ、冗談よ。あ、あのさあ、ネルフの人たちは15年もの間なにしてたのよ。」
「いろいろよ。」
「いろいろねえ。そうだ、この間日向さんから聞いたんだけど、3年前に一度エヴァを動かしたんでしょ。」
「3年前? ああ、あの事件ね。」
「何があったんですか?」
「自動操縦型の人型ロボットが襲ってきたのよ。」
「それって使徒じゃないの?」
「ええ。私たちも最初は使徒だと思ったんだけど、MAGIシステムの分析によると、パターンは青じゃなかったのよ。」
「じゃあ、なんだったのよ、そのロボットは?」
「それがわかってないのよ。どこかの国で造ったのが暴走したんだってことになってるけど、それならどこで造ったのかぐらいわかるはずなんだけど、それすら不明なのよ。」
「どうしてなんですか?」
「あんた、バカァ? そんなの造った国が裏工作をして、責任をのがれようとしてるからにきまってるでしょ。」
「そ、そうか・・・・。」
「うん、アスカのいう線が一番強いんだけど・・・・。」
「だけど?」
「これはあくまで推測に過ぎないんだけど、もしかしたらあれは、使徒になりきれなかった使徒だったんじゃないかって思ってるのよ。」
「使徒になりきれなかった使徒?」
「そう。この前、アスカはマグマの中で使徒のさなぎのような状態を見たわよね。あの時は一気に羽化して、ちゃんとした使徒になったでしょ。」
「ええ、覚えてるわよ。あの時はもう駄目かと思ったもの。」
アスカはそう言うと、自分の顔が紅くなっているのに気づいた。
シンジにそのことを気づかれていないかシンジの顔を見るが、シンジは全然気づいた様子はなかった。
「あの使徒を見て、もし成長の途中かなにかでアクシデントが起こった場合、使徒はどうなるんだろうと思って・・・・。」
その疑問に答えられる者はいなかった。
しばらくの間沈黙が続いた。
沈黙を破ったのはシンジだった。
「そのロボットの解析とか、しなかったんですか?」
「ええ。でも、しなかったんじゃなくて、できなかったのよ。エヴァ初号機によって消滅させちゃったから。」
「消滅・・・・?」
「まったく何考えてるのよ、そのパイロットは。後の事を考えて行動して欲しいものね。で、誰なの? そのおバカさんは。少なくとも私やシンジじゃないし。もしかしてファースト?」
「レイじゃないわ。あなた達は知らない奴。」
「誰なんですか? その人って。」
「吹雪リョウって言って、最初の適任者よ。」
「最初のって、綾波じゃないんですか?」
「その呼び方は同じ年代の間での言い方ならしくて、リョウは3年前の最初の適任者なの。年はシンジ君達よりも3つ年上よ。」
「へぇー、僕たち以外にもエヴァのパイロットがいたんですね。他にもいるんですか?」
「今いる三人とリョウ以外にはいないわ。」
「今、そいつはどうしてるの? こんなに使徒が攻めてきているっていうのに・・・・。」
「さあ? 私もリョウのことは詳しく聞かされてないの。最初は静養のために来てないんだと思ってたんだけど、実際は碇司令からなにか司令を受けてたらしいわ。だから近いうちに戻って来ると思うけど。」
「ふ〜ん。どんなやつなのリョウって?」
「ほとんど自分から話すことのない奴だったわ。」
「まっ、男で無口なのは許せるわ。クールでいいじゃない。で、他には?」
「クールって言えるかどうか? あまり性格よくなかったわよ、アイツ。」
そのあとアスカは堰を切ったように質問を浴びせた。
「じゃあ、ルックスは? 背は高かったの?」
「ルックスは・・・・、まあ普通じゃない? 背は3年前の時私と同じぐらいだったから、今じゃ越されてるかもね。」
「じゃあ、加持さんと同じぐらいかな? 運動神経は?」
「ああ、アイツ、運動神経はよかったわよ。喧嘩強かったし。そういえば、リョウに初めて出会ったのって、私が不良どもにからまれた時だったの。」
「何があったんですか?」
「ほら、よくあるじゃない。ピンチの時にいきなり現れて悪者どもを倒していくってやつ。そんな出会いだったの、リョウとは。」
「かっこいい〜。」
アスカの言葉に少し嫉妬のようなものをシンジは感じていた。
シンジの気持ちに気づいたミサトは少しかばうような感じで言った。
「あまりかっこよくなかったわよ。なんかマンガみたいにくさい事言ってたから、助けられといて悪いとは思ったんだけど、私思いっきり笑っちゃたもの。」
「ふ〜ん・・・・。」
まだ何か聞きたそうにしているアスカから、何とか逃げる口実を考えていたミサトは、あることを思い出した。
「そうだ。ねぇ〜シンちゃん。お風呂は?」
「あっ、忘れてた。」
「もう、何やってるのよ、バカシンジ。あれから30分以上もたつじゃない。」
「ごめん。話に夢中になってて。」
そう言うとシンジはお風呂場に急いだ。
アスカとシンジがそんなやりとりをしている間にミサトは自分の部屋へ逃げて行った。
3日前。
ここはネルフの本部。
だだっ広い部屋に机が一つ置かれていた。
そこには二人の男がいた。
一人はふちのあるメガネをかけていた。
総司令と呼ばれているこの男の名は碇ゲンドウ。
もう一人の白髪の男は、副司令の冬月コウゾウである。
この時、碇ゲンドウは電話を受けていた。
「私だ、・・・・・で、例の物はみつかったか?・・・・・そうか、わかった。場所は?・・・・・では、すぐに取りに行く。」
電話を切ると横にいた冬月が話しかけてきた。
「どうしたのだ?」
「ロンギヌスの槍が見つかった。」
「では、吹雪の奴が。」
「そうだ。すぐ出発の準備をしろ。」
「場所は?」
「南極・・・・。」
それだけを言うと二人は部屋を出ていった。
連絡を受けてから三日後、南極に着いた碇ゲンドウと冬月は吹雪リョウと言う男に会っていた。
「久しぶりだな、ファーストチャイルド。」
「お久しぶりです、碇司令。もう、その呼び方はやめませんか?」
「フッ・・・・、ずいぶんと時間がかかったようだな。」
「申し訳ありません。あまりこの地には足を踏み入れたくなくて、他の場所から探していたせいと、海底に沈んでいたため探索が困難だったので。」
「まあ、いい。で、今後はどうするつもりだ?」
「一応、ここの後処理を済ませしだい、ネルフの本部に戻ります。」
「そうか。吹雪、これからお前には使徒撃退にあたってもらう。」
「わかりました。一週間以内には戻れると思います。場所は第3新東京市ですよね。」
「そうだ。私たちは先に戻っている。」
そう言ってネルフ本部への地図を渡すと、碇ゲンドウと冬月は船へと戻っていった。
リョウは一礼をして仕事に戻った。
船に戻った冬月は碇ゲンドウに話しかけた。
「あれがファーストチャイルドか? ずいぶんと変わったな。」
「ああ、何か吹っ切れたのだろう。」
「よかったじゃないか。」
「エヴァの操縦に差し支えがなければな。」
碇ゲンドウは疑惑に満ちた笑みをこぼしていた。
そして船は出航した。
ロンギヌスの槍を乗せて。
それから五日後、吹雪リョウは第3新東京市に来ていた。
RYO「はじめまして、RYOです。第1話、最後まで読んでいただきありがとうございます。
ちょっと短すぎた気がしたんですけど、これ以上書くと、だらだらと長くなってしまい
そうだったので、ここでやめました。第2話からはもっとちゃんとした話になると思う
ので、この後もよろしくお願いします。」
アスカ「ったく、なに見えない相手にへこへこしてるのよ。それになんなのよ、この吹雪って奴。
本編に出てこないキャラなのに、こいつの話だけで1話終わっちゃたじゃない。」
RYO「まあまあ、アスカちゃん。本編に出てこないキャラだからある程度の説明が必要なんだ
よ。それに、アスカちゃんはまだいい方だぞ、セリフがあって。綾波のレイちゃんなん
か、一度出てきてないんだから。」
アスカ「まあ、そうだけど・・・・。で、どう言った話なの?」
RYO「本編のストーリーが好きだから、出来るだけ本編を傷つけないようにしてつくった、お
まけのような話。デビュー作はアスカのラブコメを書こうと思ったんだけど、未だそう
言った経験が無いんで、どう書いていいのかわからなくてやめました。だから今後もあ
まりそう言った話は期待しないで下さい。」
アスカ「ええー、じゃあ、あんたその年で一度も付き合ったことないわけ〜?」
RYO「その年でって言うなー、泣きたくなる。あーあ、どっかにアスカちゃんみたいな子はい
ないかな〜。」
アスカ「ばか・・・・。」
少し顔を紅くするアスカ。
RYO「あっ、ミサトさんみたいな人でもいいなあ〜。それとも・・・・。」
バキッ。
アスカの拳が炸裂。
RYOはあっけなくダウン。
アスカ「このように根性の腐った奴ですが、ちょとした言葉が今後の色々なことに対する励みと
なるので、意見、感想、指摘など一言でいいんでお願いします。」
アスカは軽くおじぎをして走り去る。
途中、RYOを踏みつけて・・・・
59人目の新住人、こじんまりとした参号館2人目の御入居者。
RYOさん、こんにちわ(^^)
第1作『First Child』第壱話、公開です。
本編「奇跡の価値は」後の話ですね。
3年前に謎の[ロボット]を倒した後、
世界中を回って[ロンギヌスの槍]を探していたリョウ・・・
一気に謎が出てきましたね。
彼のこれからの動きは? 要注目です。
さあ、訪問者の皆さん。
新住人のRYOさんにようこそメールを!
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