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First Child
第弐話「共通点」
それから五日後、吹雪リョウは第3新東京市に来ていた。
・・・・・が、しかし、彼は道に迷っていた。
リョウは碇司令から渡された地図を見ながら嘆いていた。
「こんなのでわかるかー。」
リョウが渡された紙は、地図とは呼べる代物ではなかった。
そこには一言、こう書かれていた。
「 新箱根湯本駅より北北東に 1.2km 碇ゲンドウ 」
ただ、それだけだった。
知っている人間なら15分かそこらで行く距離をリョウは2時間もかかった。
「ふぅー、やっと着いた。第1関門突破と言ったところかな? 第2関門は碇司令を探すことか。まあ、中に入れば誰かしらに聞くことが出来るだろう。」
などと考えていたリョウだったが、第2関門は思ったより早く現れた。
リョウはセキュリティカードを持っていなかった。
「はぁー・・・・。」
思いっきりため息をこぼす。
そこへ、騒がしい人声が聞こえてきた。
「早くしなさいよ、バカシンジ。」
「だったら、自分の荷物ぐらい自分でもってよ。」
「な〜に言ってるのよ。私の荷物を持ってるなんて、至上の幸福だと思いなさいよね。」
リョウは声のする方に振り返ると、二人の制服を着た男女が痴話喧嘩をしているのが見えた。
その視線に気づいたシンジがアスカに声をかける。
「ねえ、アスカ。あそこに誰かいるよ。」
「え、ほんとだ。結構いい男じゃない。まあ、加持さんには劣るけど。」
「・・・・そう? 声かけてみる?」
いきなりアスカはリョウの前に走りよった。
「こんにちは。」
「えっ? ああ、こんにちは。もしかして、アスカさんかい?」
「ええ、そうよ。アスカでいいわ。」
「じゃあ、君が碇シンジくんだね。」
「ええ、そうですけど、どうして僕たちのことを?」
「まあ一応、これでもネルフの人間だからね。それに、ここにくる子供は、エヴァのパイロットぐらいだからね。おのずと想像はつくよ。」
「ネルフの人だったんですか? でも、こんなところで何してるんですか?」
「実は、碇司令と会う約束をしていたんだが・・・・。」
「父さんと?」
「んっ、あ、ああ、そうなんだけど、しばらく本部に戻っていなかったんで、セキュリティカードをもらってないんだ。だから、中に入れなくて。」
「結構間抜けね。」
「で、悪いんだけど、君たちのカードで一緒に中に入れてもらえないかな?」
「ええ、いいですよ。」
「ちょっと待ちなさいよ、シンジ。こんな得体の知れない人間を中に入れるのはどうかと思うわよ。もしかしたらスパイとかかもしれないじゃない。」
「でも、悪い人には見えないよ。」
「だからあんたはお人好しだって言われるのよ。人は見かけだけで判断しちゃいけないの。」
「でも・・・・。」
「アスカの言う通りだぞ、シンジくん。必要以上に人を疑うのはどうかと思うけど、ある程度は疑わないと、自分が損をするだけだぞ。」
「あんたは黙ってて。でも、こいつの言う通りよ。だから、こういう奴には、関わらない方がいいのよ。」
「うん、その通りなんだけど、俺も碇司令と会わなくちゃいけないから、中に入らなければいけないんだけど・・・・。どうしたら信じてくれる?」
「ねえ、アスカ。連れてってあげようよ。それで、父さんに会わせてみて、知らない人だったら捕まえてもらえばいいじゃない。」
「それじゃあ、手遅れになるかもしれないでしょ。でも、本当に知り合いだったら悪いから、いくつか質問させてもらうわ。それに答えられたら入れてあげる。」
「ああ、そうしてくれ。答えられる事には答えるから。」
「まず、あんたの名前は?」
「ああ、ごめん。まだ、名乗ってなかったな。俺は吹雪リョウ。リョウって呼んでほしい。」
「わかったわ。じゃあ、つぎはネルフの知っている人間の名前をあげて。」
「え〜と、碇司令に冬月副司令、葛城さんに赤木博士。・・・・・そのぐらいかな?」
「少ないわね。まあ、いいわ。じゃあ、ネルフに関係ない私情の質問をするわ。」
アスカの言葉に疑問を持ったシンジが声をかける。
「どうして?」
「バカねぇ。もし、スパイだったら、ある程度のこと調べてるに決まってるでしょ。だからあまり役に立たない質問をして、答えられたらネルフの人間だってわかるでしょ。」
「そうか・・・・。」
「ねえ、シンジ、何がいいかな?」
「そうだな?・・・・ミサトさんの彼氏の名前とかは?」
「う〜ん、そうね。そのぐらい調べてるかもしれないけど、他にも質問すればいいものね。じゃあ、葛城ミサトの元彼氏の名前は?」
「ミサトさんの? 近頃なら知らないけど、加持さんのこと?」
「あ、当たった。」
「じゃあ、加持さんの事で知っていることを教えて。そうしたら中に入れてあげる。」
「アスカ、私利私欲に走ってない?」
「う、うるさいわね。いいじゃない別に。」
「加持さんのことでか、そうだな・・・・・実は加持さんはホモなんだとかは?」
「え、そうなの・・・・?」
「ミサトさんが別れたのも、本当はそれが原因なんだ。シンジくんも気をつけた方がいいぞ。」
カチャ。
リョウの頭に後ろから銃を突き立てられる。
リョウは恐る恐る振り返る。
「ははは・・・・、加持さんお久しぶりです。」
「よぉ、久しぶりだな、リョウ。ずいぶんと面白い話をしているじゃないか。」
加持は内心怒っていたのだろうが、ここは大人な加持は子供の戯言と言った感じであしらい、顔には表さなかった。
「ね〜え加持さん、今の話本当なんですか?」
「そんなのこいつの嘘に決まってるだろ。どうしてくれるんだよ、アスカまで信じちまったじゃないか。」
「すいません。まさか、本気にするとは。」
「まあいい。で、こんなところで何してるんだ?」
「碇司令と会う約束をしていたんですが、セキュリティカードをもらうのを忘れしまって。それで、彼らと一緒に中に入れてもらおうと思って、尋問を受けていたところです。」
「尋問で嘘をつくと、自分の首を絞めることになるぞ。」
「そうですね。でも、加持さんの事で知っている事を言えと言われても、特に思いつく事がなかったんで。」
「まったく。碇司令のところには俺が連れていってやるよ。」
「すいません。」
「アスカたちも行くぞ。」
「は〜い。」
そう言うと、加持の腕にしがみつく。
「ちょ、ちょっと待ってよ。」
「大丈夫かい? なんだったら、荷物持ってやろうか?」
「あ、大丈夫ですよ。もう慣れてますから。」
「大変だな、今から尻に敷かれてるようじゃ。」
シンジは顔を紅くする。
「べ、べつに尻に敷かれるなんて・・・・。」
シンジとリョウがそんな会話をしているところへ、加持が声をかける。
「ずいぶんと変わったな、リョウ。」
「そうですか?」
「ああ、3年前からは想像もつかないぐらいいい顔してるよ。」
「そうですか? ありがとうございます。」
「もう、吹っ切れたのか?」
「ええ、だいたい。まだ、少し残っていますが。」
「そうか。でも、早く忘れた方がいいぞ。後ろばかり見ていたら前には進めないぞ。」
「ええ、わかってます。ですが・・・・。」
「ねえ、加持さん何の話?」
「あ、いや、何でもない。昔の話だ。」
「言いたくないんだ。」
「できたら、あまり聞かないで欲しい。」
「別にいいわよ。今日会ったばかりの人の嫌な過去なんて聞いてもつまんないし、だれにでも語りたくない過去の一つや二つ、有ってもおかしくないもん。」
「ありがと。」
「リョウってなんか、シンジに似てるね。」
「そう?」
「二人とも、引っ込み思案なのよ。それに何となく雰囲気も似てるわよ。」
「そう言えばそうだな。」
「俺が引っ込み思案? ミサトさんが聞いたら絶対に否定するだろうね。」
「そうだな、3年前のお前は引っ込み思案というより、ただの無口で無愛想な男だったもんな。」
「ひっどい言われようですね。」
などと話していた4人は発令所の入り口に着いた。
プシュー。
音をたてながら扉が開くと、中からミサトの元気な声が聞こえてきた。
「二人とも遅かったわね。もしかして、デート?」
「ち、違いますよ。入り口のところで、リョウって言う人に会って、話をしていたんで。」
「リョウ・・・・? ああー、リョウ。久しぶりね。」
「お久しぶりです、ミサトさん。ここでは敢えて葛城さんと呼んだ方がいいかな?」
「別にどっちでもいいわよ。」
「葛城は今、三佐にまで昇格したんだぜ。」
「へえー、三佐にまで。おめでとうございます。」
「ありがと。」
「でもまだ、独り身なんですか?」
「うるさいわね。」
「なんだったら、俺がもらってあげましょうか?」
「バ〜カ。・・・・・でも、リョウが、そんなこと言うなんてずいぶん変わったわね。」
「3年前の俺を知っている人はみんなそう言いますね。」
「それより、リョウはどうなのよ。彼女の一人や二人できたわけ? まっ、あんたの性格じゃあ、いるとは思えない・・・・・、ごめん、調子に乗りすぎた。あんたが彼女をつくらない訳、知ってるのに・・・・。」
「いえ、さっき加持さんにも言いましたけど、もう吹っ切れましたから。」
ミサトは無理に話を変えようとする。
「そうだ、シンジくんたちはプラグスーツに着替えてきて。」
「あの〜、ミサトさん。」
「なに?」
「リョウくんってネルフの人間なんですよね。ミサトさんたちと普通に話してるって事は、階級とかはやっぱり上の方なんですか?」
「何言ってるの、シンジくん。彼はエヴァのパイロットよ。」
「え、エヴァの?」
「この前話したじゃない。3年前にエヴァを初めて動かした奴。それがこいつよ。」
「ああ、そういえば言ってましたね。」
「そっか、どっかで聞いた名前だとは思ったんだよね。」
「あんたたちの記憶力って、私より無いんじゃないの?」
「ミサトさんより無いんじゃ、かなりやばいな。」
「なんですって!?」
みんなで笑い出す。
そこへ赤木博士が声をかける。
「リョウがそんなふうに笑ってるとこ初めて見たわ。」
「あっ、赤木博士、お久しぶりです。」
「お久しぶりね。ふ〜ん、結構いい男になったじゃない?」
「ははは、ありがとうございます。」
「で、またエヴァには乗るの?」
「そうですね。まだ、俺でも役に立てるなら。」
「そう。そうだ、紹介しとくわ。彼女がファーストチルドレンの綾波レイよ。」
「ん?」
リョウはレイの顔を見つめてしまう。
そこへミサトが冷やかしを入れる。
「どうしたの、リョウ。レイの顔なんか見つめちゃって。あれ、もしかして・・・・。」
「ちがいますよ。まったくそう言うところには敏感なんだから。・・・・・初めまして、レイさん。」
「・・・・レイ、でいいわ・・・・」
「じゃあ、俺もリョウって呼んで。ま、よろしく。」
「・・・・よろしく・・・・」
「う〜ん。」
リョウは変な顔をしてみるが、レイは顔色ひとつ変えない。
「やっぱり、ウケないか。たまには無邪気に笑ってみるのも楽しいかもよ。」
「うん、僕もそう思うよ。」
「・・・・どうして?・・・・」
「そのうちわかるよ。」
「・・・・わからないわ・・・・」
「自分で答えを見つける事も大切なことなんだよ。俺もあまり偉そうなこと言える立場じゃ無いんだけどね。」
ちょっとした話の間に、待っていたかのようにミサトが話しかける。
「ところで、リョウ。今日はこれからどうするの?」
「一応、今日は碇司令に到着の報告を。」
「じゃあ、明日の午後にでもシンクロテストを行うわ。それまでにプラグスーツを用意しておくけど、今、身長はどのくらい?」
「175ぐらいです。」
「じゃあ、ミサトより10センチ以上高いんだ。」
「そういえば、ずいぶんと差が付いたんですね。」
「3年前は同じぐらいだったのにね。」
「そう言えばそうだな。どうだ、その背なら飲みに行っても平気だろう。久しぶりに飲みに行くか?」
「何言ってるのよ、加持。リョウはまだ未成年なのよ。」
「よく言いますね。3年前はさんざん人に飲ませたくせに。」
「え、そうだっけ?」
「ほんと、記憶力ないですね。」
「う、うるさいわね。」
「じゃあ、加持さん。ちょっと碇司令に挨拶してきますのでその後で。」
「ああ、そこから上がるといい。」
リョウは碇司令に一言挨拶をした後、加持と飲みに出かけた。
同じ日の夜8時を過ぎたころ、シンジとミサトとアスカは帰ってきた。
「まったく、たかがシンクロテストにどうして3時間以上かかるのよ。」
「しょうがないじゃない。慎重には慎重を重ねないと。」
「もう、シンジ、早く食事作って。おなかペッコペコ。」
「うん、ちょっと待って、すぐ作るから。」
そう言って、シンジはキッチンへ急ぐ。
ミサトはテーブルに座るとシンジが出してきたビールを一気に飲み干す。
「ゴク、ゴク、ゴク、プハーーー。ん、どうしたのアスカ。」
「あーあ、私も加持さんと飲みに行きたかったな。」
「何言ってるの、アスカはまだ未成年じゃない。」
「リョウだって未成年じゃない。」
「アイツは別にいいのよ(実際は良くないです)。それにしてもリョウの奴、久しぶりに会ったのにさんざん人のことバカにしてくれたわね。」
「ははは、そうですね。でも、ミサトさん以外にはそんなこと無かったんですけどね。」
シンジは帰りにコンビニで買ってきた食事を温めながら話しかけた。
「アイツは、昔からそうなのよ。」
「でも、ミサトに聞いたのとはずいぶんとイメージちがかったわね。最初わからなかったの、そのせいだと思うもの。」
ただ単に忘れていただけじゃないかと思ったシンジだったが、敢えてそれは口にはせず、温めた食事を並べ、自分も席に着いた。
「そうね、私の知ってたアイツとはずいぶん変わってたわ。でも、あの嫌みな性格は全然変わってなかったわね。」
「そう? そんなに嫌な奴には思えなかったわよ。」
「会ったばかりだからそう思うのよ。あれ、もしかしてアスカ。今度はリョウに目を付けたの?」
「そ、そんなんじゃないわよ。」
アスカは予期せぬ攻撃に顔を紅くする。
「でも、アイツはやめておいた方がいいわよ。アイツ、悪知恵が働くから、何をされるかわからないわよ。」
「あれ、もしかしてミサトはリョウを取られたくないの? 彼もミサトにだけちょっかいを出すって事は気があるんじゃないの?」
さっきの仕返しとばかりにアスカがミサトをからかう。
「アイツにそんな感情はないわよ。」
「ねえ、あいつの過去に何があったの? 加持さんも知ってるようだったけど。」
「う〜ん、あいつ、人に自分の過去を知られるの嫌うからね。アスカもそうでしょ。だから、どうしても知りたければ直接本人に聞いて。それより食べよ。」
おなかが空いていたせいか3人とも黙々と食べ始めた。
3人とも食べ終わり、一番風呂に入ったアスカが出てくると、ドアの方から声が聞こえてきた。
「ここが、俺の家だ。」
「何言ってるんですか、ここはミサトさんの家じゃないですか。」
「葛城の家は俺の家だ。」
「何を訳の分からないことを。しょうがないな。」
ピンポーン。
「は〜い。」
こんな時間に来るのは加持ぐらいしかいないので、アスカが元気良く迎える。
「加持さ〜ん。・・・・・あれ、リョウ?」
ドアが開くとリョウに寄りかかった加持の姿があった。
「やあ、こんばんは。」
「あれ、リョウ。それに加持も。どうしたの?」
「すいません、ミサトさん。加持さん酔っぱらっちゃって、家につれて帰ろうとしたんですけど、加持さんの案内で来たらここに。」
「まったくしょうがないわね。二人ともあれからずっと飲んでたわけ?」
「え、ええ。なんか、今日の加持さん、やけにハイペースで。なんでも、昼間俺がミサトさんに言ったセリフは、加持さんへのライバル宣言に取られたみたいで。」
「ばかね、まったく・・・・。そういえば、リョウは酔ってないの?」
「俺はあまり飲んでませんから。それでも少し酔っていたんですが、加持さんをここにつれてくるまでに、酔いは冷めてしまいました。」
リョウとミサトとシンジで加持を寝室へ運ぶ。
加持を寝かせると、リョウは玄関に戻った。
「じゃあ、すいません。あと、よろしくお願いします。」
「あれ、リョウは泊まっていかないの?」
「ええ、これ以上迷惑はかけられませんから。」
「別にいいわよ。一人も二人もたいして変わらないし。」
「少し聞きたい事があるんで、泊まっていってもらえませんか?」
シンジがリョウに声をかける。
リョウは首を傾げるが自分を頼りにしてくれているのが分かったので、それに答える。
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
「どうぞ。」
「おじゃまします。・・・・って言うのも変か?」
履きかけた靴を脱いでいるリョウに、アスカが小声で話しかける。
「あのさあ、私も聞きたいことがあるんだけど。」
「なに?」
「加持さんを私のものにするにはどうしたらいいと思う?」
「ははは、そうだな。今の加持さんは何をしても起きないだろうから、加持さんの服を全部脱がせて、その横でアスカが裸になって寝てれば、責任とってくれるんじゃない?」
「なるほど、ありがと。」
「こら、リョウ。アスカに変な入れ知恵をするな。」
「はいはい。あ、ミサトさん、お風呂借りてもいいですか。昼間道に迷って、2時間ぐらい歩き回ってたんで気持ち悪くて。」
「ええ、いいわよ。そこを曲がったところよ。」
「すいません。」
それから、15分ぐらいたってリョウが風呂から出てくると、シンジはキッチンで明日の朝御飯の用意と、洗い物をしていた。
アスカはさっきリョウから教わったことを実行しようとしていたが、ミサトに部屋から追い出されていた。
「シンジくん、後は俺がやってやるから、君は風呂にでも入ってきなよ。」
「え、でも・・・・。」
「いいから、いいから。これでも独り暮らしは長いからね。ある程度の家事は出来るよ。」
「じゃあ、すいません。後は洗い物だけなんで。」
「ああ、わかったよ。ねえ、相変わらずミサトさんは家事とかしないわけ?」
「やるとは言ってくれてるんですけど、逆に後が大変なんで。」
「ははは、そうか。」
シンジがお風呂からあがってくると、リョウは布団を敷いた上でペンペンと遊んでいた。
シンジは前にアスカが洗い物の当番の時、キッチンがめちゃくちゃだったのを思い出し、キッチンを覗いてみるが、必要以上にきれいになっているのを見て、少しでもリョウを疑ってしまったことに罪悪感を感じた。
「こいつ、頭いいね。ねえ、ミサトさん。こいつ、俺にくれない?」
「ダメ。」
部屋から顔を出したミサトは、意地悪そうな顔をしてリョウに答えた。
「ちぇ、独り暮らしは結構寂しいのにな。」
「な〜に言ってんのよ。あんたはそんな男じゃないでしょ。それよりこれからお風呂入るけど、覗かないでよ。」
「まったく、自分の年を考えてから物事を言ってほしいね。」
「なんですって!」
リョウは食ってかかろうとするミサトに、何食わぬ顔で言葉を返す。
「でも、いつもシンジ君にそんなこと言ってるんですか?」
「あんたってほんとマイペースね。」
「そうですか?」
「そうよ。べつにシンジくんは覗きなんてしないもんねー。」
「それもそうか。相手がミサトさんじゃあな。アスカならわからないけど。」
「あんた、喧嘩うってるでしょ?」
二人の会話を見ていたシンジが笑い出す。
「ぷっ、あはははは。」
「シンジ君も笑ってないで何とか言ってやってよ。こいつ口達者だから・・・・。」
「いや、でも、何だか楽しそうだなって思って。」
「はぁ〜、もういいわ、お風呂入ってくる。」
ミサトは、疲れたように肩を落としてお風呂に入りに行く。
「僕なんか悪いこと言いました?」
「いいや。それより、俺に何か話があるんだろ?」
「あ、はい。・・・・・僕たちの共通点って何だと思います?」
「共通点?」
「・・・・・僕たちってエヴァのパイロットじゃないですか。だけど、僕たちにしか乗れないってことは・・・・・。」
「俺たちにしかない、何らかの共通点があるんじゃないかと。」
「はい。」
「ふ〜ん。でも、どうしてそんなことが気になるんだい?」
「どうして僕が乗らなくちゃいけないんだろうって。他の人じゃ、どうして駄目なんだろうって思って。」
「シンジ君はエヴァに乗るのがそんなに嫌なのかい?」
「この頃はそうでもなくなったんだけど・・・・・でも、初めはすごく嫌だったし、今でもときどき。だから、どうして僕じゃなくちゃいけないのか知りたくて。」
「なるほど。でも正直言って俺にもわからないよ。君たちには今日会ったばかりだしね。」
「そうですよね。すいません・・・・。」
「アスカにも聞いてみたのかい?」
「いえ。でも、何て言われるかだいたい想像がつくんで。」
「君のお父さん、碇司令なら知っているはずだよ。」
「そうですよね。」
「父親とは話にくいのかい?」
「ええ、どうしてもうまく話せなくて。」
「そうか、機会があったら聞いといてやるよ。」
「すいません。」
「もう寝よ。明日、二日酔いなんかで行ったら、赤木博士に怒られちゃうからな。」
「ははは、そうですね。」
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
「・・・・・なあ、シンジ君。君は自分の母親の顔を覚えているのかい?」
「いえ、覚えていないんです。でも、どうしてですか?」
「いや、何でもない。おやすみ。」
「・・・・・おやすみなさい。」
二人は静かに眠りについた。
RYO「第弐話も最後までお読みいただきありがとうございます。・・・・・しかし、どうして
こんなに長い話になってしまったのだろう?」
アスカ「ほんとだらだらと長かったわね。しかも、つまらない。最悪ね。」
RYO「くっ、何も言い返せない。」
アスカ「これじゃあ、ここまで読んでくれた読者も、この先は絶対読んでくれないでしょうね。」
RYO「うっ、そうかもしれない。」
アスカ「こんな話の進まない、つまらない話じゃ、感想を言えって言う方が無理よ。ほんと、大
家さんがかわいそう。」
RYO「本当にすいません。でも、次の話は戦いもあるし、ちゃんとした結末を用意しているの
で、長い目で見て下さい。」
アスカ「そんなこと言って、次の話もつまらなっかたらきっと追い出されるわよ。」
RYO「ひえー、お願いします。最後までは書きたいんで、それまでは大目に見て下さい。その
後は追い出すなり、存在を抹消するなりしてけっこうなんで。」
アスカ「で、何話で終わるの?」
RYO「え、一応6話前後で。」
アスカ「じゃあ、迷惑でしょうが最後までよろしくお願いします。」
RYO「お願いします。あと、加持さんのファンの方すいません。何だか別人になってしまった
気がします。出来るだけ忠実にしていくつもりなんで、今回は許して下さい。」
RYOさんの『First Child』第弐話、公開です。
モテモテリョウ・・・・
自分自身、もしくは自分の名前の付いたキャラを
作品出すと色々と難しいです。
どうしても格好良く書きすぎてしまう。
人のことを言える立場じゃないですが(^^;
初日にして出会う人々全てに好意を持って受け入れられたRYO。
「変わった」
「明るくなった」
この数年の間に彼に何が起こったのでしょうね。
そしてこの先。
彼の来第三新東京市が意味する物は?!
さあ、訪問者の皆さん。
貴方も感想メールを書いてみよう!
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