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「わ〜〜〜!かっっわい〜〜〜!!」
「アスカ、あんまり見ないでよ」
ヒカリの部屋。
そこで、アスカはヒカリの子供の時のアルバムを見ていた。
「いいじゃない、可愛いから。もっと見せてよ!」
「いいの!もうたくさん見たでしょう?」
顔を真っ赤にして照れているヒカリ。
今アスカから取り上げた自分のアルバムを、胸に抱え込んでいる。
「それより、アスカのアルバムも見せてよ」
「え?」
「アスカの子供の時のアルバムよ!あるんでしょう?」
「‥‥‥」
「アスカの可愛い子供の頃の‥‥アスカ?」
「‥‥ごめん、ダメなんだ」
「は?なんで?」
「その‥‥‥ドイツの家、火事があってね‥‥その時に‥‥」
「‥‥そう、ごめん」
そう言って、シュンとするヒカリ。
(謝ること、ないのに‥‥)
(謝るのは‥‥‥‥アタシ)
(ウソ)
(ゴメンネ、ヒカリ‥‥‥ウソついて)
(ゴメンネ)
(ウソついて‥‥ゴメンネ)
アルバム(前編)
ミサト邸、アスカの部屋。
ヒカリの家から帰ってきたアスカは、今ベットの上にいる。
横になって、天井を見上げている。
今は一人。シンジも今日はトウジ達と遊びに行ってしまった。
だからアスカもヒカリの家に遊びに行ったのだが。
帰ってきても家には誰もいなかった。
いつもなら、そろそろシンジが夕飯の支度をする時間。
でも今はいない。静まり返った家の中は、何故か不気味に感じた。
(写真‥‥‥か)
子供の頃の写真。
アスカは1枚も持っていないかった。
何年か前、見つけた時に破いて捨てたから。
(だって‥‥‥笑ってなかったもの‥‥)
(‥‥‥見たくなかった‥‥)
(過去のアタシは‥‥もう見たくないから‥‥)
頭に浮かぶのは記憶。思い出したくない記憶。
母親の死。面白くもない勉強の連続。
チルドレンとしての、永遠に続くかと思われた訓練と実験。
どれも笑った記憶がない。
だから、忘れる。忘れたつもりでいる。
でも、時々思い出す。ふと浮かび上がる。
自分が一人だということを、意識する時に。
そして。
涙を流しそうになる。
ゆっくりとアスカは手を目に当てる。
(また‥‥)
流れそうになった涙が、悲しかった。
「‥‥‥!‥‥そういえば‥‥」
アスカは起き上がり、机に近付いた。
そして机の引き出しから分厚い封筒を取り出す。
封筒の中身は、写真の束。ほとんどケンスケが撮ったものだ。
アスカは、ベットの上に座り込んだ。
その中から写真を取り出して、1枚1枚眺めていく。
そして自分の前に少しずつ置いていく。
写真は、アスカが日本に来た頃から。
制服や水着を着て、ポーズをとるアスカ。
その他、様々な場面が写真に写っている。
それぞれに何か思い出がある。
笑った思い出。怒った思い出。辛い思い出。
その全てが、写真と共に心に写る。
(シンジとの写真が‥‥やっぱり多いな)
シンジと二人で学校の校庭でツーショット。
写真の中。シンジは真っ赤になって、アスカはにっこりと笑って。
シンジの涙を流す顔。
悲しいからではない。アスカがビンタをしたから。
その瞬間をとらえた写真も何枚かある。
日本に来て、シンジと出会う。
一緒に生活することになり、一緒に時間をすごす。
そして、いつの間にか魅かれていた。
(何で‥‥‥‥でも、シンジだから‥‥かな)
「シンジ‥‥」
写真でベットの半分はうまってしまった。
アスカは、ベットの残りの半分を使って身体を横にする。
1枚の写真を手にする。
シンジと、湖の側で撮った写真。
初めてシンジと二人で旅行した時の写真。
使徒がいなくなり。世界は平和になり。
もうエヴァに乗る必要がなくなった。
平和な世界を感じるために、二人でちょっとした旅行へ。
その時の写真。
二人の顔に浮かぶ笑顔。
自然な笑顔。幸福な笑顔。
腰にまわされたシンジの腕。
そのシンジに寄りそうアスカ。
「シンジ‥‥」
忍び寄る睡魔。
アスカはいつの間にか、眠ってしまった。
胸に、シンジとの写真を押し当てるように。
少し、寂しそうに。
おち・まおさんの『アルバム』前編公開です。
アルバムの中のアスカ。
写真に写るアスカ。
子供の頃のはイヤな顔ばかりだったかもしれませんが、
シンジと居る今のものはきっと−−−(^^)
寂しげに眠るアスカちゃん。
起きたときにそばにいてあげて欲しいですね、彼が・・。
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