『………夢？………違うな……アスカは……死んだんだ………アスカ……

　……ここは？…病室？

　………誰？…アスカ………苦しくなかった？痛くなかった？寂しくなかった？

　……もう…いいや………

　……………………………

　………えっ……い、生きてる…アスカが生きてる！！アスカ！！アスカ！！アスカ！！アスカ！！

　……僕がいてあげる…アスカが立てるまで、僕がいてあげる……

　……僕が嫌われてるのは…知ってる。憎まれているのも、知ってる。

　だから、元気になったら、僕は消えるよ。

　それまでは、アスカのそばにいていいよね？

　アスカ…』

『……あたし…生きてるの？…どうして？……

　……死ぬことも出来ないの？……

　……あたしなんて、何の価値もない……

　…ママ…

　ママ、どこに行ったの？

　ママ、あたし、どうすればいいの？

　…ママ…

　………誰がいるの？…シンジか……

　なぜ、シンジがここにいるの？

　ママ…教えてよ…』

『私は、なぜ存在してるの。

　私の役目は、終わったはず。

　なぜなの。

　私がここにいる意味は、なに。

　私は、人間ではないのに。

　それとも、人間になれるの。

　分からない。

　碇君、あなたなら分かるの。

　碇君。』

『……私……生きてる……

　……加持君…私、まだ生きてるみたい……

　…私は、シンジ君や、アスカ、レイを道具として使ってただけなのね…

　…加持君…私、生きるわ。

　今度は、あの子達のために。

　シンジ君、アスカ、レイ、無事なのかな。』

『……ん……俺は、生きてるのか？

　…確か…死んだと思ったんだが…

　………………………………………

　…何があったんだ。』

『……私…死んでなかったの…

　母さんに裏切られて…

　あの人に撃たれて…

　無様ね。

　私は、何のために生きてたのかしら。

　子供達を、傷つけるだけ、傷つけて。

　醜い女ね…

　ほんと…無様だわ…』

『…私が、生きていると言うことは、補完計画は失敗に終わったか…

　…ユイ…これで良かったのか。

　君の願いは、シンジを守ることだったな……

　フッ…最後に、シンジに負けるとはな。

　シンジ達に、未来を託すか…

　それでも、いいかもしれん。

　そのためには、老人達から、子供達へ未来を取り返さねばなるまい。

　死ぬのは、それからでも遅くはあるまい。』

『…人類補完計画は、失敗に終わったか…

　これで、いいかもしれん。

　…碇、お前はユイ君に逢えたのか…』

『……先輩………私………

　…えっ……先輩、どこに行ったのかしら…』

『……ミ、ミサトさん……

　…あれっ…夢…かな…』

『…レイがいっぱい、レイがいっぱい、レイがいっぱい、レイがいっぱい…

　…い、今のは、何だったんだ。』

『……いいんちょ……

　なんや、夢かいな。

　わし、どないしたんやろ。いいんちょの夢見るやなんて…』

『……あ、綾波があ…綾波があ……

　ゆ、夢か……』

『……静原……

　…鈴原の夢見ちゃった。

　鈴原、大丈夫かな…

　アスカや碇君も、無事かな…』

『……シンジ……夢？……

　…シンジの夢、見たんだ。

　…シンジ、私のこと死んだと思ってるだろうな……

　…シンジ…逢いたいな…』

『…神には、なれなかったか…

　この修正、容易では無いな。』

真相を知るごく僅かな人々以外は、自分の愛しい人の夢を、見たとしか思わなかった。

それにより人々は、少しだけ幸せな気分になった。

人の心は、僅かに補完された。

街も、元どおりになり、悪夢の爪痕は見あたらなかった。

そして、ジオフロント内ネルフ本部のケージには、二体の作られし神が眠っていた。