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「アスカ、別れよう」
アタシはその言葉が理解できなかった
「なに、なんて言ったの、シンジ。もう一度言ってよ」
アタシは問いかける
シンジはアタシの方を見ると辛そうな表情をして目を逸らした
「君のほかに好きな人ができたんだ・・・」
アタシはその言葉が信じられなかった
「嘘よ、そんなの!アタシはシンジを愛してるし、シンジもアタシを愛してくれてる。そうでしょ!?」
あたしはシンジに言った
「・・・アスカはただの友達だよ・・・」
シンジはアタシの目を見ない
「でも、キスしてくれたじゃない!抱いてくれたじゃない!」
アタシは叫ぶ
「それは・・・」
シンジはアタシから目を逸らす
「アタシのこと愛してなかったの!?ただ女が抱きたかったからアタシのこと抱いたの!?」
アタシがいくら叫んでもシンジは何も言ってくれない
いつものように抱きしめてくれない
「・・・ごめん・・・」
そう言ってシンジは後ろを向いて歩いていく
シンジの腕にはアタシの知らない女がいる
・・・だめ、そこはアタシの場所なの、シンジを奪わないで・・・
アタシの心の叫びはシンジには届かない
「・・・殺してやる・・・」
アタシはシンジの後ろ姿を見つめ、呟いた
Are you happy?
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
アタシは自分の叫び声で目を覚ました
嫌な夢を見た
内容は憶えてないけれどそれだけはわかった
身体全体が汗で湿っている
気持ち悪い
シャワーを浴びよう
そう決めて部屋を出ようとしたらドアの向こうから足音がした
「アスカ、どうかしたの?大丈夫?」
シンジだ
アタシはドアを開けた
「おはようシンジ!」
アタシは精一杯の笑顔で言う
シンジにはいつも最高のアタシを見て欲しいから
でもシンジは何だか心配そうな顔をしている
「どうしたのよ、朝から辛気臭い顔して」
アタシの問いにシンジは答えた
「凄い声が聞こえたから、アスカに何かあったのかと思って・・・」
シンジが心配してくれてる
嬉しい
「何でも無いの。嫌な夢を見ただけ」
「どんな夢?」
「おぼえてないの・・・そんな事より、おはようのキスして!」
アタシは毎朝シンジにキスをねだる
愛されてると信じる為に
不安なのかもしれない
シンジは誰にでも優しいから
アタシにも優しくしてくれるけど、シンジが女の子と話してるのを見るとやっぱり不安になる
だからキスをねだる
「・・・アスカ・・・」
シンジはアタシの顔を見つめて、少し黙った
少し不安になる
次の瞬間、シンジの唇がアタシのそれを塞いだ
優しいキス
シンジの優しさが伝わってくる
アタシはシンジに愛されてる
自分にそう言い聞かせる
シンジが唇を離した
「もう朝御飯できてるよ。早く食べないとさめちゃうから」
「ゴメン、さきにシャワー浴びてくる」
「そう?じゃあ待ってるからなるべく早くしてよ」
シンジの声を聞きながら脱衣所に入る
シャツを脱ぎながら、シンジのことを考える
バスルームに入り、シャワーを浴びる
水滴が身体のラインに沿って流れ落ちた
だんだん頭が冴えてきた
身体中を洗い流し、シャワーを止める
身体を拭き、鏡を見た
身体のラインが目に入る
うん、大丈夫
これならシンジは愛してくれる
そう呟いて服を着る
脱衣所をでた
「あ、今日ははやかったね」
シンジが笑顔で言った
アタシはこの笑顔に弱い
なんだか恥ずかしくなる
「おなか空いてたから」
そう言って椅子に座った
「「いただきます」」
二人同時に言った
こんなどうでもいい事でアタシは嬉しくなる
シンジと心が繋がっている感じがする
テーブルに並ぶ朝食に箸をつけた
サラダを口に運ぶ
「おいしい」
「そうかな?」
「とってもおいしいわ」
「ありがと」
何気ない日常の会話
それをくり返し、朝食をすませる
毎朝くり返されるそれが、今日も愛されてると感じさせる
「シンジ、今から出かけない?」
朝食を済ませ、テレビを見ながらアタシは言った
「ごめん、今日は用事があるんだ」
シンジが着替えながら答えた
「どこ行くの?」
シンジに尋ねる
「ケンスケ達とちょっとね」
ちょっと何だろ?
アタシはそう思ったがシンジに尋ねたりしない
うるさい女なんて思われたくないから
「ごめんね、アスカ、この埋め合わせはきっとするから」
シンジがアタシに向かって手をあわせてる
「いいの、約束なんでしょ」
物分かりのいい女を演じる
ホントはとても嫌
いつも一緒にいて欲しい
でも前に一度そう言ったらシンジはとても困った顔をした
だから言わない
「ホントにごめん、じゃいってきます」
そう言ってシンジは出ていった
「・・・退屈だな・・・」
アタシは呟いた
シンジが居ないだけでこの部屋が寒々としたもののように感じる
「出かけよ」
自分の部屋に入って着替えた
Tシャツとジーパン
ラフな格好
シンジと一緒じゃないと思うと、服を選ぶ事にも気合いが入らない
財布をジーパンのポケットに入れ、家を出た
街を歩いていると色々な男が声を掛けてきた
うるさい
どっか行っちゃえ
アタシはシンジのものなの
いくら嫌がってもしつこくついてくる男には容赦無く手をあげた
気分を紛らわせようと街に出たのに、余計に嫌な気分になった
もう帰ろう
そう決めた時、見慣れた姿がジュエリーショップから出てくるのに気がついた
シンジだ
アタシは声を掛けようとした
けど
そのときシンジの横に誰かいる事に気がついた
レイだ
シンジとレイが何か話している
嫌な予感がした
「シン・・・」
アタシは改めてシンジに声を掛けようとした
その時
アタシの目の前でシンジの頬にレイがキスした
嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、
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嫌
アタシは走り出した
今朝見た夢の内容を唐突に思い出した
アタシは泣いた
自分の部屋に帰ってから、ベッドに顔を押し付けてずっと泣いた。
頭の中に浮かんでくるのはシンジの事
レイとキスするシンジ
レイと抱き合うシンジ
レイと寝るシンジ・・・
何も考えたくなかった
いつの間にか泣き疲れて眠っていた
「ただいま」
シンジの声で目が覚めた
シンジが帰ってきたんだ
「アスカ、居るの?」
シンジが呼んでる
でも答えない、答えたくない
「居ないのか・・・」
寂しそうなシンジの声
でも答えない
アタシを裏切ったから
レイとキスしたから
嫌い
シンジなんか嫌い
嫌い
嫌い
嫌い
嫌い
嫌い
嫌い
・・・
・・・
嘘
ホントは好き
大好き
どうしようもないくらい好き
でも
シンジは裏切った
アタシを裏切った
レイとキスした
苦しい
悲しい
胸が痛い
涙が流れる
シンジはアタシの事嫌いなんだ
アタシよりもレイの方がいいんだ
アタシがこんなにもシンジの事好きなのに
いつもシンジの事ばかり考えてるのに
シンジはアタシを捨てた
レイを選んだ
アタシはいらない
必要ない
必要ないんだ
そう思うと急におかしくなってきた
「あははははは」
笑いが込み上げる
止まらない
アタシは笑い続けた
「あ、アスカ、いたのなら返事してよ」
シンジがドアを開けてアタシの部屋に入ってきた
アタシはシンジの顔を見ながら笑い続ける
「どうかしたの?」
シンジがアタシに尋ねた
心が冷えた
笑いが急に止まる
「アスカ、何かあったの?」
シンジが尋ねる
アタシはそれを無視する
「シンジ、今日どこ行ってたの?」
「え、どこって?」
「レイと何してたの?」
「なんでその事を・・・」
「見たのよ!レイと二人ジュエリーショップからでてくる所を!レイにキスされる所を!」
「あれは・・・」
シンジが何か言おうとしてるけど関係無い
「アタシに嘘ついて何してたのよ!レイと二人で何してたのよ!」
感情に任せて叫ぶ
「アスカ・・・」
シンジがアタシに向かって手を伸ばす
「触らないで!!!」
シンジの手を払う
シンジが驚いたような顔をした
胸が痛む
「アタシのどこがいけなかったの?レイのどこがよかったの?ねえ、教えてよ、シンジ」
アタシはシンジに尋ねた
「僕がアスカのこと嫌いになるはず無いじゃないか」
シンジが答えた
「嘘!じゃあなんでアタシに嘘付ついてレイと出かけたりなんかしたのよ!?」
痛い
心が切り取られていくような感じがする
叫ぶたびに大切な何かを失っていく
そんな感じ
「アスカ、あれは・・・」
「聞きたくない!」
アタシはシンジに向かって枕を投げた
シンジの顔に当たる
「出てって!!!」
手に触れるもの全てをシンジに向かって投げつけた
時計
ぬいぐるみ
CDケース
雑誌
クッション
シンジはアタシの部屋からでていった
「アスカ、そのままでいいから聞いてよ」
シンジがドアの向こうで言った
「聞きたくない」
アタシは言う
だけどシンジはそれを無視した
「今日嘘ついて出掛けたことは謝るよ、でも綾波とはアスカが考えてるような事は絶対無いよ」
シンジが言った
けど信じられない
「嘘!」
「嘘じゃない!僕が好きなのはアスカだけだ!!!」
「信じられないわよ!!!」
あたしの声にシンジは少し黙った
「・・・信じられないのならそれでもいいよ、だからもう少しだけ僕の言うことも聞いてよ」
シンジの声にアタシは答えない
シンジは続けた
「今日僕が綾波と出掛けたのは、綾波に頼み事があったからなんだ」
「ちょっと買い物に付き合ってもらったんだ」
「それだけだよ」
「アスカに嘘ついたのはアスカには秘密にしておきたかったから」
「アスカにプレゼントしたいものがあったから」
シンジは少し黙った
アタシは少しそれが気になった
「・・・アスカ、結婚して欲しいんだ」
「えっ・・・」
声が出ない
「僕と結婚して欲しい」
シンジがもう一度、力強い声で言った
「・・・うそ」
アタシには信じられなかった
「嘘じゃない、結婚して欲しいんだ」
「でも・・・」
アタシは戸惑った
シンジの言葉が信じられなかった
「僕と結婚して欲しいんだ」
「でも、アタシシンジの事を信じる事ができなかった、つまらない事で嫉妬して怒って泣いて・・・」
最後の方は涙でハッキリ声が出なくなった
「僕もアスカが他の誰かにキスされたりしたら同じ事してたと思う、許せなかったと思う」
「シンジ・・・」
アタシは意味も無くシンジの名前を呟いた
シンジの名前を呼びたかったから
「アスカ、愛してる、結婚しよう」
シンジの声にアタシはまた涙が出た
さっきとはちがうあたたかい涙
アタシはドアを開けてシンジの胸に飛び込んだ
「シンジ、シンジぃ」
アタシの涙がシンジの胸を濡らす
シンジは優しく抱きしめてくれた
すこししてアタシが泣きやんだ時、シンジがポケットから箱のようなものを取り出した
「なに、これ?」
アタシの問いにシンジは笑うだけで答えない
「プレゼントだよ、開けてみて」
アタシはシンジの笑顔を不思議に思いながらその箱を開けた
シルバーのリング
アタシはシンジの顔を見た
「アスカ、受け取ってくれる?」
優しい笑顔
「・・・アタシでいいの?」
不安になる
この先ずっとシンジがアタシの事を愛してくれるのか
「アスカじゃなきゃダメなんだ、他の誰でもない、惣流・アスカ・ラングレーじゃなきゃダメなんだ!」
そう言ってシンジはアタシを抱きしめる
不器用だけどシンジの優しさが伝わってくる
あたたかい
「あたしも愛してる」
シンジの背中に手を回す
シンジがキスしてくる
幸せな気持ちが胸に広がる
あたしは強く、強くシンジを抱きしめた
「・・・アスカ、愛してる、そしてこれからもずっと愛し続けるよ・・・」
「・・・シンジ、アタシもよ・・・」
一ヶ月後、アタシは教会に居た
白いドレスが光を反射してちょっと眩しい
「アスカ、準備できた?」
レイの声
「もう行くわ」
「早くしないと遅れるわよ」
ヒカリの声
「言われなくてもわかってるわよ!」
そう言ってアタシはドアを開けた
眩しい光
「アスカ、きれいだよ」
シンジの声
「行こう」
「うん」
シンジの伸ばした手をアタシは掴んだ
光の中へと進む
シンジとアタシの新しい日々が、今、始まった
The end
あとがき
作者「はあ、慣れないものを書くと疲れるなあ」
?「ちょっとまった〜!!!」
作者「誰だ?って君は青葉シゲル君じゃないか。どうしたんだ?」
青葉「誰だ?じゃないですよ、作者さん。なぜこんなモノ書いたんですか?」
作者「前回言ってたじゃないか、次はLAS書くって」
青葉「だから何故『らぶりぃ青葉シゲル』じゃ無いんですか?」
作者「ああ、あれね。あれは元々冗談で言ったんだし、書こうにも君はデータが少なすぎるから書けないんだよ」
青葉「ひ、ひどい・・・」
作者「それに私はどっちかって言うと君よりもマコト君の方が好きだしね」
青葉「・・・」
作者「大体君みたいな脇役以下をメインで話が書ける訳が無いし」
青葉「・・・」
作者「大体君は華が無いんだよ、華が・・・ってちょっと待て、なんだそのハンマーは・・・」
青葉「俺だって好きで脇役じゃないのにー!!!」
げしっ、ばきっ、ぐしゃ、ごりごり
作者「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」
青葉「思い知ったか、脇役と呼ばれるキャラの恨み!!!」
青葉立ち去る
作者「脇役、恐るべし・・・がくっ」
画面暗転
はに丸さんの『Are you happy?』、公開です。
Are you happy?
year!
って感じでしょうか?(^^)
やきもちから暴走したアスカちゃんも
もちろんHAPPY!
それを受け止めたシンジくんも
一生の伴侶を得てHAPPY”
鏡で体型を見て
「大丈夫、これなら愛される」
シンジくんはきちんと中身をみているよ。
大丈夫。
アスカちゃん、ちょっと危ない?!
マレッジブルーには気を付けよう・・
さあ、訪問者の皆さん。
毎回あとがきでボロボロにされるはに丸さんを感想メールで慰めましょう!
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