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ユニゾン、そして
第一話 魂のいれもの
ドゴオォォォォォォオォォン……
爆発音があたりに響き渡る。使徒のコアをシンジとアスカのユニゾンによる二点同時過重攻撃した結果だ。爆発の映像がモニターに映し出され、しだいに煙もおさまると爆心地に折り重なるエヴァ両機が確認される。
「使徒の反応はありません」
「エヴァ両機確認しました」
「あっちゃー」
「ぶざまね…」
リーンリーン
エヴァ内蔵の無線が鳴る。シンジが受話器を取るといきなりアスカの怒鳴り声が耳をついた。
「ちょっと、アタシの弐号機に何すんのよっ!」
「そんな、そっちがつっかかってきたんじゃないか!」
自分の弐号機を傷つけられて御立腹のアスカ様。さっきまでの息の合わせようはどこへ行ったのやら、言い合いを始める二人。司令室につつぬけだという事も忘れて..
「最後にタイミング外したの、そっちでしょ。普段からボケボケっとしてるからよ!昨日の夜だって寝ないで何してたのっ?」
シンジの脳裏に昨日の事がよみがえってくる。アスカの寝顔、アスカの唇、そしてアスカの……思わず顔が赤くなる。
「あ‥きょ、今日のイメージトレーニングだよ」
「嘘ばっかし!寝てるスキに私の唇奪おうとしたくせにっ」
「!!」
今度は顔が青くなる。まったく忙しい事だ。
「ず、ずるいよっ。起きてたなんて!」
「ひっどーい!冗談で言っただけなのに本当だったのね?キスしたのねっ?」
「し、してないよ…途中で止めたんだよっ」
まんまとアスカにはめられたシンジだが、なんとか誤解を解こうと必死だ。
「エッチ!チカン!ヘンタイ!信じらんない!!」
ポカッ
「そ、そっちこそ、寝言と寝相が悪いのがいけないんじゃないか!大体、いきなり僕のふとんに入って来たのはそっちだろ!」
「そ、それは寝ぼけてただけよ。寝ている間に変な事しようとする方がいけないのよ!」
ハハハハハ
作戦司令室に笑い声が響く。
「また、恥をかかせおって…」
その頃、日向マコトは笑いをこらえながらモニターを見ていた。
「くくくっ....ん?あれ、何か変だな…」
日向はモニターに映るシンジとアスカを見てどこかが『変だ』とは思ったが、それが何かまでは分からなかった。
「あ、ちょっと葛城さん。何かコレおかしくないですか?」
「ぷくくく...え、なーに日向君。どこが?」
「シンジ君とアスカちゃんなんですけど、ちょっとモニターを見て下さい」
日向に言われてミサトはモニターを覗きこむ。見たところおかしな所はないが、なにか違和感を感じている。
「ん、あれ?どこか変ねえ。なにかしら・・・」
「でしょう。でもどこか変なんですよねえ」
「ちょっと、そっちに行くから待ってなさいよね!」
「望むところだよっ」
こうなったら直接言ってやろうと思ったのか、そう言ってシンジの所に向おうとするアスカだが何かいつもと違う事に気づき辺りを見回す。そこにはいつも見慣れた赤い機体ではなく、紫色をしたエヴァがあった。
「よいしょっと・・・え、そういえばなんでアタシが初号機に乗ってるのよ?」
「あれ。なんで僕、弐号機に乗ってるんだろう?」
そして、二人がゆっくりと自分の身体を見ていくと……
「いやーーーっ。私の身体があぁぁぁぁ!」
「うわーーーっ。僕の身体があぁぁぁぁ!」
・
・
・
「どういう事、リツコ?」
まったく状況が理解できないミサト。
「うーん。どうやらユニゾンした時にシンジ君とアスカの魂が入れ替わってしまったみたいね」
「はぁ!?」
「つまり今シンジ君の魂はアスカの身体にいて、アスカはシンジ君の身体にいるの。魂のいれものが変わったというだけよ」
「そんな…マンガみたいな事あるわけ……」
「この世にはまだまだ現代科学では説明がつかない事は沢山あるのよ」
「へえー、リツコの口からそんな言葉が出るとはねー。単に説明するのが面倒くさいってだけだったりして」
じとー、っとリツコの方を見るミサト。
「‥あっ、ネコちゃんに御飯をあげなくちゃ。じゃあねーミサト、あとよろしくー」
スタタタタ・・・・
欽ちゃん走りをしながら逃げるリツコ。
「……図星か。逃げたわね」
その後あらゆる検査をうけた二人だが、これといって異常は検出されず家に帰された。ミサト曰く『まっ、身体に異常がなくてよかったじゃない』
それですむ問題か?
その後、いかにも怪しい人物が二人いるだだっ広い部屋にて。
「どうする碇。シナリオにはない事態だぞ」
「ふっ、問題ない」
タラリ...
「そうか。ん?碇、汗が..」
「………」
場所は変わって葛城邸。検査も無事終了し、三人は自宅へ戻ってきた。夕食も終わり、一段落ついてくつろぐミサト達。
「ふーん。それにしても変な感じねー。アスカが洗い物をしてるなんて」
ジャーーーーー。
台所で夕食の後かたづけをしているアスカを、いやアスカの姿をしたシンジを見てミサトが言う。
当然シンジの姿をしたアスカは手伝うワケもなく、居間でお茶をすすりながらくつろいでいる。
「いいお嫁さんになれるわよ♪」
「茶化さないでくださいよー」
シンジは照れながらも洗い物を済ませていく。
なぜ照れる!?
「ごきゅっごきゅっ、ぷはぁーーーーっっ。まっ、よかったじゃない。身体には異常はないんだから」
ビールを飲みながら軽く言うミサト。ミサトはこの事態を楽しんでいるだけのようにしか見えない。
ドンッッ!
突然の大きな音に降り返るシンジとミサト。
「なーにほのぼのやって、全然よくないわよっ。どーしてくれんのよ、もう!」
アスカは湯飲みをテーブルに叩き付けてミサトに抗議する。
「食後のビールも、これまたうまい!!」
人の話を全然聞いていない。
「もうっ。シンジもなんとか言いなさいよ!」
ミサトでは話しにならないと思ったのか今度はシンジに詰め寄るアスカ。いきなり自分に振られたシンジは、しどろもどろになる。
「え、えっと……」
「もうっ、はっきりしなさいよ!」
「まぁまぁ。リツコも全力を挙げて元に戻る方法を探しているんだから、安心しなさいって。」
「そ、そうだよアスカ。リツコさんもがんばってるんだから、そのうち元にもどれるよ」
シンジが困っているのを見かねてか、ミサトが救いの手をだす。
「そーよー。それに、めったに体験できない事よ。いいじゃない、楽しーいんだから」
「楽しいのはミサト、ミサトだけでしょっ!」
やっぱりミサトはこの事態を楽しんでいるだけのようだ。
「もういいわよ!あーあ、なんか疲れちゃった。シャワーでも浴びてこよっと」
何を言っても無駄だと悟ったのか、風呂場へと向うアスカ。
「「えっ、シャワー!?ちょっ、ちょっとまっ...」」
二人が止めようとするが、すでに遅し。アスカは風呂場へと入っていった。
そして案の定・・・
「きゃーーーーーーーーーー!!!」
ドタドタドタ
アスカがから風呂場から飛び出してくる。当然といえば、当然なのだが、今アスカはシンジの身体を使っているわけで、つまりシンジのアレをもろに目撃してしまったと..
「何なのよっ、コレ!いやー、変なモノ見ちゃったー。もうお嫁に行けないー」
ぐすぐすと泣きわめくアスカ。
「へ、変なモノって…しょうがないじゃないか。今アスカは僕の身体を使ってるんだから。それとアスカ、前くらい‥その、隠してよ」
「え?」
言われて視線が下へいく。そう、アスカは服を脱いだままだったのだ。
「きゃーーーーーーっ。くぉーのバカシンジっ、また見ちゃったじゃない!もういやっ」
またドタドタと風呂場へと駆け込み、タオルを巻いて戻ってくる。だが少し落ち着いて冷静になってみると、重大な事に気づくアスカ。
「ん?ちょっと待ってよ。じゃあシンジはお風呂に入る時、アタシの身体を見る事になるワケぇ?」
「あっ‥」
その言葉にシンジも自分の立場に気づき赤面する。
「駄目よ駄目、ぜぇーーーーったい駄目!あんたはお風呂入っちゃ駄目!!」
「そんな事できるわけないじゃないか」
アスカの無茶な注文にさすがにシンジも言い返す。
「うーん。それもそうね。私の体が汚れたままってのもイヤだし‥そうだ!シンジ、私が洗ってあげる。」
またしても無茶な注文を出すアスカ。シンジの顔は熟れたトマトのように真っ赤だ。ミサトはただニコニコと成り行きを見守るだけである。
「えっ、そんな。恥ずかしいよ…」
「何が恥ずかしいのよ。それは元々私の身体でしょ。それに、あんたはちゃんと目隠しするのよ」
「あ、なんだ。目隠しするのか」
「当たり前でしょ。バカシンジ!」
ポカッ
「イテテ。まったく、すぐ殴るんだからアスカは。じゃあさ、アスカは僕が洗うわけ?」
たんこぶをさすりながら、ふと浮かんだしごく当然な質問をするシンジ。
「なーに言ってんのよ。あんたに洗ってもらうなんて、できるわけないでしょ」
「じゃあ、どうすんのさ。僕だって自分の身体が汚れたままなのはいやだよ」
「私だってイヤよ。実際、今この身体はアタシのなんだからね。目つむって自分で洗うわよ」
とことんワガママなアスカである。
「...なんか不公平なような気がするのは、気のせい??」
「なによっ、私に洗ってもらうのが不満なわけ!」
「いやっ、そ・・そんな事ないよ」
これ以上アスカには逆らわない方がいいと思ったシンジは、素直に返事をする。
「なら文句言わない!さあっシンジ、お風呂に入るわよ。目隠し持ってついてきなさいっ」
「わ、わかったよ、もう」
「ほらっ、はやくー」
シンジを半ばむりやり引きずって風呂場へと連れて行くアスカ。
(あらあらー、なんだか面白くなってきそうねー。もう一本あけちゃおっと。ごきゅっ)
(まったく、バカシンジは!‥でもシンジになら見せてもいいかな…ポッ)
(強引だなあアスカは。はあぁ、先が思いやられるよ……)
いや、シンジ君。それはそれで、幸せな事だと思うぞ(笑)
- そして風呂場 -
「ほら、シンジ。こっち向きなさいよ」
「ちょ、くすぐったいよ。アスカー」
「ガマンしなさい。ほら、腕上げて…」
かぽーん……
こうして慌ただしい夜がふけていったのだった。
- 続く -
ver.-1.00 1997-08/16公開
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[作者のコメント]
BPM:「ども、はじめまして!BPMです。第一話、いかがだったでしょうか?SSを書くのは初めてなものでいろいろご指摘をいただけたら幸いです」
アスカ:「ちょっとー、なによコレ!なんでアタシとシンジの身体が入れ替わらなきゃいけないのよ!」
BPM:「あれ?アスカさんじゃないですか。まあまあ、落ち着いて。そんなにシンジ君の身体にいるのがいやですか?」
アスカ:「(えっ・・・でも、シンジとだったら・・)はっっ、私なに考えてるのよ!?」
BPM:「じゃ、設定を変えてアスカさんがトウジかゲンドウと入れ替わる事にしましょうか」
アスカ:「いやーーーっ!それだけは絶対いやーー!お願いだからそれだけは許してえ!」
BPM:「そうですか?大阪弁を喋るアスカ、机に座りながらゲンドウスタイルで『ふっ、問題ない』と言うアスカ。なかなか面白いと思うんですけどねぇ(笑)」
アスカ:「シンジでいいです・・・」
BPM:「ま、書き直すのもめんどいし、このままでいきましょう」
アスカ:「ほっ・・・」
次回予告
「なんや惣流。今日はえらいしおらしいやないか」
「え!?そ、そう?」
翌日学校に行くシンジとアスカ。二人はこの秘密を隠し通そうとするが‥
はたして隠し通せるものなのか!?
…って、ばればれですね。
次回をまてぇい!
EVA館の住人もいつの間にやら60人!
暗い色の参号館、3人目の御入居者、
BPMさん、ようこそめぞんEVAへ(^^)
空き部屋は8つ。
住宅公団に見せつけてやろうかとも思える空き部屋率ですね(^^;
残りの部屋もすぐに埋まりそうな気配です。
最初の作品『ユニゾン、そして』第一話、公開です。
【転校生】の様に入れ替わってしまったアスカとシンジ・・
大変な事態なんですけど、羨ましくもあり(^^;
アスカちゃんに身体を洗って貰えるなんて・・ウププ(爆)
さあ、訪問者の皆さん。
暗い参号館で明るいLASを書くBPMさんに励ましのお便りを!