TOP 】 / 【 めぞん 】 / / [砂漠谷 麗馬]の部屋に戻る / NEXT

辺りは、一面の白い霧。どこまでも、どこまでも…足下まで、乳白色に包まれた中に、レイは立っている。ひとり…

「…ここは、どこ?…だれもいないの?」

何時もの、心細さとは違う。もっと、もっと深い、心の奥の方…そう、寂しい、寂しいのね、わたし…

「先生!加持さん!…みんな…ママ…だれもいないの?ひとりなの、わたし…」

…レイ…

「だれ?だれか、いるの?」

何処まで続くのかも解らない、白い、闇…遠く、微かな、何処か懐かしい、声…

「…パパ…パパなの?」

…レイ、此所だよ…少しずつ近づいてくる、懐かしい筈の、声…少しづつ、霧の中に浮かび上がる、その影…こらえ切れない、寂しさ、懐かしさ、嬉しさ…その胸に飛び込んで行く、レイ…抱きとめられた腕の中で、顔を上げ…

「パパ!…!?…違う、あなた、だれ!?」

微笑んでいる、少年?…遠い、幼い記憶のなかの父の姿とは、まるで違う…白い髪、自分と同じ紅い瞳…何処かで逢ったような…何故、懐かしいの?あなた、だれ?

「!?…」

左腕に感じる違和感…湿った、粘液質の音を立て、突然抜け落ちる、レイの腕…白く粘液の糸を引き、足下に落ちる…壊死し、変色し、半ば腐敗を始めている、さっきまで逢った筈の、腕…

「…あたしの、腕…!!いやあぁぁぁぁっ!!どうして?なんで?いたくないのに!」

白い骨がむき出しになった左肘を目の前にして、震える…汗、震え…瞳から溢れる涙…?何故、泣きそうなのに、涙が出ない…

…ソレハ、君ガニンゲンデハナイカラダヨ…

「うそよ!!髪の色がちがったって!眼が紅くったって!あたしは人間だもん!!…なんで?どうしてそんな事いうの!?」

…ミテゴラン、れい。キミノウデヲ、カラダヲ…ソレハ、ニンゲンノモノナノカイ?…

…!、肘の先、泡立つように膨らむ、乳白色の肉塊…無数にその表面に生えているのは、小さな、人の、手足!?…身体、着ていた筈の服、松本で通っていた学校の制服が、何時の間にか消えている…肌の上に湧き出してくる…顔!?あたしの、顔だ!!哄っている、歪んでいるもの、横に広がっているもの、虚ろな、紅い双眸…

「いや…いや、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

堪らず、両手、いや、最期の手で顔を覆う…ぬめるような感触…何!?剥がれ落ちる、顔の、右半分の、肉…

「なんで!?なんで、こんな事するの!?あなたは、だれ!?」

…ボクハ…

聞き取れない言葉…その瞬間、レイの背で開く、真っ白な翼…

「いやあっ、もう、もうやめて!、お願い…」

眼を開き、辺りを見回す…白い壁、差し込む淡い日差し、ベッド…病室?ここは…レイが目覚めたのは、病院、NERV本部施設内にある、脳神経科病棟の個室だった。上体を起こして、虚ろな瞳を壁に向ける。何か、とても怖い夢を見ていた様な気がする…どうしたんだろう、あたし…確か、あのロボットに乗って…あれ?よく、思い出せない…ベッド脇のキャビネットロッカーの上に眼を止める。そっと置いてある、古びた、ひび割れた眼鏡、レイの大切なお守り…手に取り、そっと握り締める。

「パパ…」

パジャマの背中、一面に汗が染みている…どのくらい寝てたんだろう、くらくらする。ぽつりと、小さく呟く…

「…お腹すいた…」

 

ACT−4 「疑惑、或いはレイちゃんの御引越し」

「…早急に、加持を指揮中枢からパージすべきです。奴に『ゼロ』の存在を知られた時点で、計画の進行スケジュールそのものに修正を入れる必要が…」

かなりの面積を持つ空間の筈だが、巧みに配置された観葉植物、抽象彫刻の群れが感覚を狂わせる。騙し絵を思わせる空間。それでいて、極めて機能的…部屋は持ち主を表すと言うが…

「何をおびえているの、冬月君…今の彼に一人で何が出来ると思っているの?諸刃の剣…加持リョウジ、所有しているだけで有効なカードになるわ。それとも…嫉妬?」

部屋…本部施設地下、NERV司令執務室。中央のデスクについた女と、その前に立つ30代半ばの男…冬月コウゾウは、彼女、綾波ユイの言葉に、我知らず余人には見せない反応を見せかける。彼女の静かで不可解な、その微笑み…

「ユイさん!俺は…失礼しました、司令…貴女は、奴が如何に危険な男か御存知無いのです。一度食いついた獲物を放す様な男ではありません、加持は…」

「その時は、手を打つわ。それで、問題はないわね。」

何時ものその優雅な物腰には何の変化も見られない。事務上の手続きを行うかの如く、それを口にするユイ。ほんの一瞬、硬直する冬月の表情…やがて、口を開く。

「…了解です。」

一礼し、執務室を去ろうとする冬月に対し、ユイは言葉を続ける。

「それから…ファースト・チルドレンの保護者、加持君が申し出ているわ。」

「!…まさか、了承されたのですか!?」

「あなたの言葉どうり、あれを見られた以上は、返って都合が良いのではないかしら。彼に対する足枷としての効果は少なくない筈。隠すより手元に与える方が、より安全な場合も在ると言う事ね…」

「…解りました。それで対応します…失礼します。」

ドアをあけ、執務室から歩み去る冬月…加持、深入りはするなといった筈だぞ…

「男の友情、と言う所かしら…若いって言う事は、美しいものね…」

「あら、いたのね、ナオコ…羨ましいのね。」

何時から其処にいたのか…ユイの右後方、彫刻の影から、赤木ナオコは姿を見せる。別段驚いた風も無く、ユイはティーカップを口に運ぶ。ナオコはこめかみに手を当てる…

「…彼等が?それともあなたが?…最初から知っていたくせに…」

「今更、貴女に隠し事をしても、始まらないわ…今日は御姉様の生活指導はないのね…」

「…火遊びは、程々にしなさい…言い飽きたわよ、もう…」

まるで、悪びれた様子の無いユイを尻目に、青いアラベスクの描かれたティーポットを取ると、自分のカップに注ぐ。言って懲りるような相手では無い事は、百も承知なのだ。

「…本当に良いのね、あの娘の事…」

「ええ。問題はないわ。」

何時もと何も変わらないトーンの答え…それが当たり前なのね、貴方達には…カップを口に運ぶ。鼻腔をくすぐる、アールグレイの何処か東洋的な香り…上は、晴れているのかしらね…取り止めも無く、ふと、そう思った…

 

一点の曇りもない、青い空…容赦無い夏の日差し。暑い…引越し日和、と言って良いのか?これ…軽トラのドアを開けたとたんに襲いかかる熱気に、加持は閉口する。これ、官費で買い取ったのは正解だったな…どうせ、あのビートルも、本来なら半年前に「落ちて」いる筈の代物だったのだ。状態の良い車が手に入っただけで、もう丸儲けと言うべきだろう。冬月には、納税者の敵、と言われはしたが…マンション、加持のねぐらのある「コンフォート・17」。六階まで荷物を抱えて上がるのは、エレベーターを使っても一苦労である。ここは、増援を頼んだオペレーター3人組み、と言っても男手は青葉一人なのだが…彼等が到着するのを待った方が良いだろう。レイは、伊吹、山岸の両名と「女の子の買い物」とやらに出かけている。取りあえず、活力を回復するべく助手席のクーラーボックスから缶チューハイを取り出して、タグを起こす。一気に喉に流し込むと、幾分かは生き返った心地になって来る…

「ゼロ…か。」

あの事だけは、決してレイには話すまい、いや、話せるわけがない…掌が微かに痛む…何時の間にか、空缶が、握り潰されていた…

 

「うわぁ…すごいねぇ、加持さんも。」

加持のマンション、これからは自分の家となる部屋のドアを開けたレイの第一声が、これだった。

「…不潔…」

伊吹マヤの言葉の意味は、壁に張られた半裸の女性のポスターの事なのだが、同時に全てを表してもいた。荷物を両手に抱えた青葉シゲル、山岸マユミの両名も、引きつった笑いを浮かべたまま、何処から「上陸」したものかと思案しているらしい。積み上げた雑誌類の山、散乱する空き瓶、空缶、良く分からないガラクタの数々…何故か玄関脇に積み上げてある赤玉土、鹿沼土、水蘚などの袋…

「…も?ってなに、レイちゃん。」

ロングストレートの黒髪にメガネの良く似合う知的な美女、作戦部オペレーター主任であるマユミは、何時もながらの冷静沈着さで、最も早く我に返ったらしい。少しだけ上の方を見上げた後、レイに尋ねる。レイは、えへへ、と笑う。

「ちらかす事なら、まけないもん。先生の所も、凄かったんだよ。」

加持の脳裏に、レイの育ての親の生活の様子が浮かぶ…相変わらずのサボテン女なのか。昔から、研究に没頭すると、他の事全部忘れるんだもんなぁ…レイの教育上、多大な問題が在った事に疑いの余地はない。預ける相手って物を選ぶべきだな…

「とっ、とりあえず、レイちゃんの部屋まで運びますから。いいっスか、加持さん。」意を決した青葉が先ず上陸を果たす。続いてマユミもその後へ…マヤは…

「靴、脱がなくていいから。そのまま上がってくれれば…」

「…はい。」

ぽりぽりと、頭を掻いている加持の眼前を、心底嫌そうにつま先立ちで歩くマヤ。

「きゃーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

急な進入者に驚いたらしいゴキブリが、マヤの足下から舞い上がる…後はもう…阿鼻叫喚であった事は言うまでもない。

 

マヤの号令一過、加持、青葉両名は大々的な清掃、ごみ出し等に没頭している。激怒したマヤは「こんな所に、女の子を住まわせる訳にはいかない」と強硬に主張し、大掃除および加持の生活態度の改善を要求したのだった…

「んきゃー!」

がらがらとダンボール箱の崩れる音とともに、隣の部屋からレイの悲鳴が聞こえる。これで既に14回目か…引越しが終わるまでに、あと十回以上は聞く事になるだろう。レイ達は、新しい部屋の模様替え…壁紙を張ったり、小物を飾ったり等いそがしい。こればかりは、男に勤まるものではなかった…

「はあ…」

今更ながら、軽はずみな事を言ってしまったと思う。14歳の女の子を預かるのが、如何に大変な事なのか…想像の範囲を超えていた。後悔先に立たず…少なくとも、加持の良く知る女性達は、加持と似たりよったりの生活環境に適合していたのだが…少し特殊すぎたのだ、彼女達は…青葉と顔を見合わせる。肩を竦め、軽く首を振っている。その眼が…御愁傷様です…と語っている。溜め息がとどまる事はなかった…

 

「こんな所かしらね。どう?レイちゃん。」

「うん!とっても素敵。マヤさん、マユミさん、ありがとうございましたっ。」

ぺこりん、とレイがお辞儀をする。明るいパステル調の壁、レースのカーテン、小さな鏡台、小物をしまう箪笥、本棚。側のダンボールの中には、レイのお気に入りの品々が入っている。机の上には、一番の宝物、パパの眼鏡…

「ベランダがあるんだね。どれどれっ…!?」

サッシをあけ、ひょいと顔を覗かせたレイの視界に飛び込んできたもの、それは…

「どうしたの?…これは…西瓜…何故…?」

続けて覗いたマユミも言葉を失う。広めのベランダから、室内に続く、畑?…並ぶ大型のプランター、天井にぶら下っているのは、太陽灯だろうか。一面にビニールシートがひかれている。その合間を縫って這うスプリンクラー。植わっている、胡瓜、茄子、トマト、セロリ…とりわけ目立つ、見事な西瓜…「家庭菜園」などと言う域のこり様では無い。これはもう「農園」としか言いようが無い。良く見ればベランダのひさしも改造されており、晴れた日にはなるべく天然の日光が差し込む様にしてあるらしい。他にも、ビニールハウス用の骨組みやカバー、センサー付きの湿度調整器…

「どうだい、加持農園の感想は?」

「趣味…なんですか?」

加持が畑の向こう側の部屋からベランダに顔を出す。引きつりながら尋ねるマユミ…

「ささやかな、ね。この太陽灯、屋上で集光した奴を光ファイバーでここまで引いてるんだぜ。スプリンクラーも専用の貯水タンクを使ってるんだ。流石に、化学肥料抜きって訳には行かないが、農薬は一切使ってない。湿度管理システムは、冬月先輩に設計してもらったんだ。どうだい、少し、持って帰るかい?」

…部屋の中で有機肥料や農薬を使われた日には、たまった物じゃないわね…その心の呟きなど知る由も無い加持は、硬直したマユミの反応を、感動している、と勝手に解釈して悦にいっている…実際、レイは感心しているらしく、「農園」専用らしいサンダルを履くと、ととと、と農園に入って、プランターに差してある小さい札を見て回っている。…セイヨウニンジン…へえ、トマトってあんですさんみゃくから来たんだねえ…このすいかは…?

「加持さん。」

「いいぜ、レイちゃん。何でも聞いてくれ。」

上半身シャツ一枚になり、首にタオルなぞ掛けて、缶チューハイ片手にその気になっている加持だが…

「ミサトって、なに?」

その単語と同時に加持が吹き出す…次の瞬間には西瓜の所へ…はっ、疾い…西瓜のネームプレートをくるっと裏返す。不思議でならない、といった風なレイは、更に追求する。

「どうしてこのすいかは、『ミサト』なの?」

「そっ、それはだな…ニックネーム、愛称ってやつさ。西瓜だって、名前で呼ばれた方が嬉しいんじゃないかって思わないかい?レイちゃん…」

へらへらと笑いながらの、果てしなく苦しい言い訳…レイは、暫くじーっと加持の顔を黙って見詰めていたが…

「…そうかなあ…うん、そうだね。そのほうがきっと、うれしいよね。」

にっこりと、楽しそうに微笑む。光の中…少し驚く加持…こんな風に笑うのか、この娘は…少年の日の記憶、既に失われた季節。柔らかな、「春」の日差し…訳も無く、そんな事を思う。納得したらしいレイは、今度は茄子の前にしゃがんで、こんな事を言い出す。

「でも、どうしてトマトやきゅうりには名前がないの?…だめだよ。みんなにも付けてあげないと…」

「…そ、そうだな。思いつかなくてね…レイちゃん、考えてくれるかい?」

レイは楽しそうに大きなトマトの実をなでている。マユミの視線が、痛い…噂が広がる前に、何とか手を打たなければ…

「そうだ!折角来てもらった事だし、晩飯でも食ってってくれるかな…レイちゃんの引越し祝いって事で、先輩も呼んで、パーッと…その、良かったら…」

「…食べ物で口封じを図る…セカンド・インパクト世代らしい発想ですね。御馳走になります。その『ミサト』さんについても、興味がありますから。…マヤはどうするの?」

薮蛇だったか?…どうやら、マヤも青葉も特に予定はないらしい。ま、いいか…たまには大勢で飯にするのも悪くない。気のせいか、マユミまで楽しそうだ…でも、何で西瓜を睨んでるんだ?彼女は…

「リクエストはあるかい?出来る限り、ご要望には答えるぜ。」

ポケットの中、車のキーを確認する。取りあえずは、買い出しだな…楽しいよな、確かに。誰かのために飯を作るなんて、久しぶりだな…西瓜の方に視線を投げた…

 

縦横に走る四車線道路を行き交う、黄色と黒の作業車両。倒壊家屋の撤去作業の合間の小休止か、汗だくであろう、作業服の上着を脱いで、瓦礫の上で煙草をふかす国連軍の兵士達、トラックやリアカーで、辛うじて無事な家財道具を回収する人々。そして…戦火に巻込まれた人々の、遺体。容赦無く、暑い…

「…今回の第三新東京市における大規模テロの背後関係について、内務省は、反バレンタイン体制を掲げる一部急進的政治勢力の関与を示唆しており…」

…又も事実は闇の中、か。液晶ディスプレイのスイッチを切る。ダッシュボードの上から、冷えた缶コーヒーを取り、一気に飲み干す。相変わらず、御見事な手際だよ…責任の全ては敵対勢力へ巧みに転嫁される…日本政府にとっても都合が良いから、恩も売れる。一石二鳥ってわけだ…恐らく、今回の隠蔽工作、戦没者以外にも何人かは「消えて」いるだろうな…道路の左手の高層建築、兵装ビルを見上げる。白亜の斜面、飛沫のように斜めに走り、こびりついている、青紫色の「体液」…広報部の言う「テロリスト」とやらの、隠し様の無い爪痕。何時までも隠し切れるもんじゃ無い。追いつめられて、素顔をむき出しにした時、其処が…交通整理のMPが手を振っている。ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。取りあえずは、スーパーから、かな。ディスカウントショップは帰りに寄りゃあいいよな…レイちゃん、気に入ってくれるといいが…

平日の午後、買い物カゴを手に棚を覗く子連れの主婦、氷を満たしたトロ箱に魚を入れ、それをカートの上に積み重ねている若い店員。満ちている、野菜、魚、油で揚げたばかりの惣菜の匂い…日用品の買い物は、加持が気に入っている時間の一つだ。ここには、人の生活の匂いがある、そんな気がするから…人々はタフだ。ほんの数日前の、あの災厄になど、流されてはいられない…早々に商売を始める店、日々の暮らしを紡ぐために、或いは、次なる災いに備えて、貪欲に生きる。生き物としての正しい姿だと、加持は思う。そう、泣き言を言っている暇なんか無いよな。自分にまで、活気がうつってくる、この感じが、好きなのだ。

「しかし…魚介類がOKなのは、助かったな…」

出かける前に、西瓜に肥料をやるのを思い出し、作業を済ませて出発しようとすると、何故かマユミの機嫌が悪くなっていた…不機嫌にまかせて過激な献立を要求する彼女と、ここぞとばかりに栄養を貯えようと目論む独り者、青葉に追いつめられた加持を救ったのは、レイの「肉、食べられない…」の一言だったのだ。アレルギー体質…或る種のアミノ酸に対する過剰な免疫反応。生物を形作る蛋白質には膨大な種類があり、比較的、人に近い脊椎動物、哺乳類、鳥類などはお互いにその組成に似通った部分をもつと言う。これが原因で、肉類を口に出来ない体質を持つ人は意外と多いらしい。レイはその反応が極めて強いらしく、幼い頃から肉類を口にする事は止められていた、と言うことだった…微かに、警告する勘、何か在る…過去の「実験」に関する…頭をもたげる、加持の「第二の本能」を押さえつける。今考えても始まらないさ…今は余計であるそれを、身体の奥深く仕舞い込んだ。そう、とりあえずは晩飯だ。魚は大丈夫と言う事らしいので、メインデイッシュはその辺りで行くとして…これからの日々の献立にも関わってくるか…魚屋のショーケースを覗く。

「おじさん、久しぶり。いい鮭だね?」

「おう、無精髭の兄ちゃんじゃねえか。ここんとこ御無沙汰だったねえ。」

顔見知りの魚屋の店主に声を掛ける。しばし世間話をして…ほとんどは先日の「怪物」と「政府が隠しているらしい巨大ロボット」に関する街の噂だったが…世間では、「一介の木っ端役人」で通している加持も当たり障りの無い会話をする。

「庶民を馬鹿にしてるよなぁ、本当によ。あれが過激派の仕業だってのかよ。あんな化け物ぁ、ドイツや中国だって持っちゃいねえよ…テレビも新聞も皆嘘八百並べ立てやがって…一遍ここへ来て自分で見てみろってんだ!」

「市民の血税で食ってる俺としちゃ、耳が痛いよ…」

憤懣遣る方無い、と言った様子の主の言葉…実際、耳が痛い。御免よ、おじさん。あれやったの、実はうちの役所なんだ…って訳にも行かないしな…

「うかばれねぇよな、巻き添え食って死んじまった連中がよ…」

…全くだ…いずれ、責任は取る事になるだろう、俺も含めて…つくづく因果な商売だな…そう、何れは、誰かが真相を究明しなければならない。

「このムール貝と、あさり、海老は頭の無い奴でいいよ。」

「鮭はどうする?自分でさばくかい?」

「とりあえず、鱗と内臓だけとっといてよ。卸すのは、こっちでやるから。あとはこの…」

一通り仕込みを済ませる。魚屋を後にする時、親父は笑いながらこう言った。

「随分と大所帯みてえだな。嬉しそうだぜ、兄ちゃん。嫁さんでももらったのかい?」

…そんな風に見えるかね…まあ…答えるとすれば…少し、照れた笑い。

「近いけど、一寸違うな…家族が出来た。…そんなとこかな」

親父は、良く分からんな、と言う顔をしていた…

 

流し台のラックから愛用の牛刀を引き抜く。顔の利く金物屋に頼んで、グリップをウォールナット材に替え、加持の手に合わせて削り込んでもらった特注品だ。人差し指に引っかけ、くるりと一回転させる。

「さて、始めるか。」

言語道断なカオス状態を極める他の部屋とは異なり、「畑」と此所、厨房だけは常に綺麗に整理されている…棚に並ぶステンレスの鍋、バット、壁にかかったフライパン、食器棚の中の豊富な調味料のストック…一目でその凝り様が解るという眺めである。床の四隅さえ、塵一つ無く清掃されている…流しの上、ざるの中には収穫したばかりの胡瓜、人参…

「サラダの分は一本あれば良いか…後は、ブイヤベースにほうりこんで、と。」

手早く皮を剥き、ヘタを落とす。一本は斜めにスライスした後千切りにし、胡瓜と合わせて塩で和えてボールの中へ、残りは…

「あ、先生?レイだよ。うん…うん。加持さん?元気だよ。えへへ、あたしは平気。ルナとアルも元気?」

隣の部屋から聞こえてくる、電話の声。相手はレイの保護者、加持の昔馴染みのようである…あれだけの目に会ったと言うのに、帰りたいとも、泣き言の一つも言わない…どんなに心細かったか、恐ろしかった事か。それでも、彼女に心配を掛けまいとしているのか?…思い当たる理由は、ある。しかし、だとすれば…

「おっ?いかんいかん…」

スパゲティの鍋が沸騰している。塩を放り込んで沸点を上げてあるため、火の通りは随分とよくなっている。一旦火を止めて、味見をする。微かに芯の残る歯ごたえ…熱湯ごとザルにあけ、冷水を浴びせる。次は、鮭か…包丁を中骨に沿わせ、軽くリズムを付けて削いでいく。鮭の脊椎は堅いので、下手に勢いを付ければ包丁の刃が跳ねる…三枚に卸したあと、六人分に切り分ける。面倒なので小骨は身ごとV字型に溝を切って外してしまう。中骨は出刃でぶつ切りにして、小骨と一緒にバターを溶かした鍋の中へ…軽くいためて臭みをとり、ブイヤベースのダシに、と…軽くステップを踏む。料理はリズムとタイミングだ。包丁や火、水の使い方、調味料や材料をぶち込む時期…何時の間にか口笛も出る。ハンディの「セントルイス・ブルース」。お気に入りのスタンダード・ナンバー…

「…やれやれ…あの頃も、こんな顔してたのか?俺…」

磨き上げたステンレスに、30前の不精髭のにやけた顔が映っていた…

 

「おいしかったねぇ、加持さんのごはん。もうおなかいっぱい。」

沈黙する一同…

「…泣くなよ、青葉君。食いたければ、又作ってもらえばよかろう?」

呆然とし、今だ立ち直らない青葉を慰める冬月。頭数で割り切れる物にすれば良かったか。にしても、これは、余りに計算外だ…

「い、いつもこんな感じ?…太ったりしないの、レイちゃん…」

やや引きながら、レイの横に座ったマヤが尋ねる。小首をかしげて、少し考えるレイ。

「うんとねえ…あんまりおいしいから、少したべすぎちゃったかな?いつもはもうすこし少ないんだよ。はら八ぶんめ、っていうもんね。」

…八分目でも、十分家計を圧迫するわね…ああ、なんて羨ましい体質…実際、このか細く小さな身体の何処にあれだけの食料が消えるのか…あさりと茄子のトマト炒め、ブイヤベース、スパゲティ・サラダ…余裕を見て、優に8人分はあった筈だ。綺麗に鍋や皿は空になっているが…その上、頭数に合わせてあった、鮭のステーキも、余り1枚とマヤにもらったものを合わせて、3人前は一人で平らげている。大皿や鍋の分など余りのスピードに、ついていける者は誰一人としていなかった…未練がましく鍋を覗く青葉。無駄な事だ。中身は既にレイの小さなお腹の中に納まってしまったのだから…悪気の欠片もないレイは、これ以上の幸せはない、と言う笑顔で、なにか考えている様だが…

「そうだ!コーヒー入れるね。えっと、カップとかはどこかなぁ…」

ととっ、と席を立ち、棚の方へ向かう。

「そうか、彼女、コーヒー党だったな…」

ふっ、と冬月が呟く。

「ああ。あと、煙草はメンソールしか吸わなかったんだよな…」

こまねずみのようにぱたぱたとキッチンを動き回るレイの後ろ姿を見詰めたまま、加持が答える。視線はそのままに…言葉を続ける。

「…先輩、その事と、『ゼロ』、関係があるのか…」

冬月のみならず、他の三人の間にも緊張が走る…

「…何を馬鹿な…彼女は一介の民間研究者だ。NERVとは、何の関係も無い。」

否定する冬月。加持は尚も食い下がる…

「しかし、彼女は副司令の…」

レイがコーヒーカップの乗った盆を持って帰ってくる。口をつぐむ加持。レイがカップを加持と、冬月の前にそっと置く。恐らくは、何も知らない、邪気の欠片も無い微笑み…

「有難う…上手いな。うん…」

「まいにち入れてたから…先生、いつも御仕事が終わるとコーヒーなんだもん。」

そう言って笑ったレイは、どこか寂しげに見えた…

 

最期の一枚の皿を水切り用のカゴに重ねる。蛇口を捻ると手を拭い、ダイニングへ向かう。冬月と三人組は先ほど家路に就いた所だ。静かだな…さっきまでの賑わいが嘘のようだ…時刻も十一時を回り、レイはもう、部屋に引き上げて床に就いている。明日は学校の転入手続きがある。ただでさえ、つかれている筈だ…天真爛漫に振る舞いながら、何時も人に気を遣って…テーブルに付き、グラスに焼酎を注ぐ。ストレートのまま口に運び、傾ける。あれが、あの娘の生き方なのか…いわれの無い迫害を受けても、他人のしわ寄せを一身に受けて、辛い目にあっても、文句一つ言わずに耐えて…誰にも心配を掛けまいと、明るく振る舞って…テーブルの上に数冊のファイルを置く。「ファースト・チルドレン 綾波レイに関する報告書」私生活の細部に渡るまでの、時に、報告者の品性を疑わざるを得ない資料。…余りに白い肌、類を見ない身体的特徴…異分子と見なした者に対する社会の仕打ち。こんな物を見るたび、人に生き延びる意味など無いのではないか?と言う、何時もの問いが頭をもたげる。救い様の無い下衆共など、いっそ焼き滅ぼしてしまえ、と言う衝動に駆られもする…しかし、あの娘は人を怨もうとしない。善意で接していれば、何時かは仲良くなれる、そう信じているかの様に…

…先生ね、結婚するんだよ。えいがかんとくの人なんだって。ひげを生やした、怖いかおの人だったけど、でも、毎日たのしそうなんだよ、とっても。…

レイは笑いながらそう言った。それが、自分の居場所を失う事であると知りながら…ファイルを机の上に放り出す。かわりに、ソファーの上のアルバム、さっきまでレイがマユミとマヤに見せていたものを手に取り、ページを捲る。

…某年、三月三日、レイ、雛祭り…

写真に写っている、赤い子供服を着たレイ。七歳位の頃か。ひな壇の横で楽しそうに猫を抱いている。横に映る泣き黒子の、まだ若い女性。足下には数匹の猫。書き込みは彼女の筆跡である事を加持は知っている。

…某年、×月×日、レイ、焚き火をする…

どうやら彼女の家らしい一戸建ての庭で、集めた枯れ草に火を点し、猫と並んでそれを木の枝で突ついているレイ。芋でも焼いているのか?一年中暑いと言うのに、焚き火とは…

…5分後、レイ、引火する。事後消火…

子供服の端に火が点いたらしいレイが、木の枝片手に走り回っている…枝の先端には、炭化した芋らしきものが…克明に記録している辺りが、撮影者の性格を表している。

「…変わらないな、りっちゃん…」

…某年、×月×日、レイ、髪を染めると言うので、染料を貸す。同日脱色。二度とやらないと宣言…

12歳位のレイ。ワンピースを着て、ランドセルを背負っている。両側にいるのはクラスメートの女の子達らしい。ただし、髪は金色をしているが…半べそをかいているレイ。

「…引っ越したのは、正解かもしれんな…」

…2014年、4月7日、レイ、中学校入学。…

ここへ来る時着ていた、松本の中学校の制服を着たレイ。側に立つ、スーツを着た先ほどの女性。家の庭で撮った物か…微笑んでいる。二人とも、とても柔らかな笑み…

「…信じて、いいのか…いや、信じたいんだな。多分…」

更にグラスをあおる…アルコールが喉を焼け付かせる。アイスペールの中の氷が、音を立てて溶け崩れた…

 

 

辺りは、漆黒の闇。浮かんでいる、頭巾を目深に被り、その闇と同じ色調のローブを纏う、五体の「人影」…下座に立つ彼女、綾波ユイの左右にそれぞれ二体、正面の上座に、一体。

「…我等の待ち望んだ約束の刻…この緊要な時に、随分とおかしな振る舞いをしている様ですね、姉妹ユイ…」

人影、何処からか転送されるホログラム。その声は凛として張りがある、が、其処から年齢、素性等を窺い知る事は出来そうに無い…一体、彼女達はどれほどの星霜を経て来たのだろうか…

「十五年の歳月…努々疎かにしては為らぬ。解っておろうな…それとも、そなた、『ロッジ』に対し申し開きの出来ぬ真似でもしておるのか?」

半ば恫喝を含んだ彼女達…「委員会」の尋問に際してさえ、彼女は何時もの微笑を絶やす事は無い。

「盟約に懸けて、決して…全ては定めのままに。」

「ふむ…来るべきミレニアムの扉が開かれんとするこの刻に、何時まであのゴーレムを弄んでおるつもりか?…そなた、己の使命を弁えよ。」

時折、彼女の表情に微かに浮かぶ、常とは異なる笑み…もしかしたら、それは嘲笑なのかも知れない…それまで、言葉を発する事の無かった上座の人物が動く…背後の闇と同化しているかのような、そのローブの頭巾を払う…金色の流れがローブの上、辺りの空間を伝い落ちる…足下より、更に長く…何処まであるのかも分からない金髪、底の無い、碧色の双眸…額に銀の細い鎖で掛けられた宝珠。美しい、確かに…この世ならぬ物を纏い、どれほどの年月を生きて来たのかは解らないが…

「…ご苦労でしたね、姉妹ユイ。そなたの功績、無碍にはしませんよ。此れより先は委員会の領域。皆も、異存はありませんね。」

「…全ては、グラン・マの御心の侭に。」

「では、此れにて閉会。」

その言葉と共に、左右に浮かんだ人影が、一つ、又一つと消失して行く…最期に残る、正面の人影…対峙するユイ。

「…解っていますね、後戻りは出来ないのですよ。」

「…はい。マザー・ローレンツの御心の侭に。」

「期待していますよ。」

その言葉とともに消える、最期の人影…議長、ローザ・ローレンツ。完全に闇に閉ざされた中、一人立つユイ…微かな、含み笑い…誰も聞いた事の無い、彼女の笑い声…やがてそれは哄笑に変わって行く。

「ふふ、っ…ふふふ、はは、あは、は…あははははははっ!」

可笑しくて、仕方が無い…笑う事を、止めようが無いかのように笑いつづけるユイ。楽しくて、仕方が無いと言わんばかりに…暗闇の中、彼女の哄笑だけが、響きつづける…

 

 

グラスに、ボトルの底に残る最後の一杯を注ぐ。かなり、残っていた筈なんだが…少し飲みすぎたか?何時の間にか時計の針は午前0時を回っていた。テーブルを立ち、ダイニングを出る…廊下、一部屋の襖の前に立ち止まる、下がっている猫の形をしたプレート…「れいのへや・おやすみ中」の文字。一瞬躊躇した後、少しだけ襖を開けて、様子を見る…眠っている。すやすやと寝息を立てて。何故か少し安心する。

「おやすみ、レイちゃん…」

襖を静かに閉めて、一旦自室に入り、ここだけは散らかった侭のデスクの上から、ノートパソコンを取り、ダイニングへ戻る…腰を下ろし、焼酎を口に含むと、一枚のディスクを挿入した…起動。方々、動き回った甲斐があったか、少しは…此れにアクセスするために少々やばい橋を渡ってしまったが…表示される画面、報告書。その表題…

…第一次直上会戦における、ファースト・チルドレンの第二人格『ゼロ』の発現と戦果獲得に関する効果について…

「ゼロ、松代…委員会。随分やばいもんにぶち当たっちまったな…」

半分になったグラスの中身を、一気に飲み干した…

 


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ver.-1.00 1997-12/17公開
ご意見・感想・誤字情報などは hemmi6@land.hokuriku.ne.jp まで。

 

あとがき

アスカ(以下、ア)あっ、シンジ!鯖はどこっ!

シンジ(以下、シ)どうしたの、アスカ?凄い顔だよ。

ア あんですってー!!誰が酷い顔よっ!?

シ たっ、だからそうじゃなくて…凄い剣幕だなって思ったから…

ア あの生き腐れ野郎!このあたしを悪役にした上、この美しい顔に傷までつけたのよっっ!…いないみたいね。いい、シンジ。見つけたら直ぐに知らせんのよ!

シ あ、アスカ?…行っちゃった。やれやれ…

レイ 碇君…

シ あれ、綾波もどうしたの?

レイ 鯖、みなかった?

シ 綾波も捜してるの?

レイ わたし、人の姿をしていないの…

シ え???どう言う事?

レイ 動物なの、わたし…碇君が、獣姦マニアになってしまう…鯖、許さない…

シ えええっ!?僕が?何で?あ…いっちゃった…どういう事です?これ。

砂漠谷(以下、鯖)た、助かった…感謝するで、シンちゃん。どうも誤解がある様やな…ほら、こないだの読み切り…

レイ そう、ここにいたのね…

鯖 どわああああっ!こっ、こんばんは、レイちゃん(汗)

レイ あれは、なに?どうしてわたし、動物なの?

鯖 それは、話せば長いことですから…でも、ほら、獣姦の心配は無いんですよ、ね?

レイ (ぽっ…)わたし、碇君とひとつになるのね…なら、いいわ。これ、気に入ったから…

ア あーっ!!見つけたわよ、腐れ鯖!こんのおぉぉぉっ!

鯖 ちっ、一難さってまた…

突如、周囲にATフィールド展開

ア ちょっと、ファースト!あんたなんで邪魔すんのよ!?

レイ だめ。させない…鯖は「白銀」の後編をかかなければいけないの…

ア あんた…シンジとのラブシーンにつられて寝返ったわね…いっとくけど、こいつにアクション以外の場面がまともに書けると思ったら大間違いよっ!撃ち合い取ったらなんにも残んないんだから、こいつの書く話は!

鯖 そこまで言うか…

シ 言い過ぎだよ、アスカ…僕が主役の「a little mermaid」は、「一発の銃声もしない、一人も死なない」話なんですよね。

ア あんた…まだ、あれがどう言う話か理解出来てないようね…

レイ 碇君、かわいそう…

ア 元はと言えば、あんたが原因でしょっ!!ヒカリまで、怪しい獣道に引っ張りこんで…

鯖 あー、性的少数者に対する偏見やな、それは。すでに同性愛は、正常な性志向として社会的認知を得つつあるのに…ねえ。

レイ 洞木さん、やさしいの…(ぽっ

シ 綾波…(涙)そうだ!どうなってるんですか!次は公開出来るとか言いながら、全然じゃないですか!

鯖 何故か何時も気分転換の方が先に完成するんよな…それと…やっぱり、一人の死人も、って訳には…

シ ええっ!?日常ドラマなんでしょ、アクションもSF設定も無い。アメリカ製の連続青春テレビドラマみたいで恰好良い、流石師匠!とか言ってたじゃないですか!あと、山本直…

鯖 わーっ!わーっ!!言うたらあかん、その単語はっ!森山…とかもっ!人によって受け取る印象が違うんやから!何となく感じが似とるなー、って思っただけやし。あくまで、師匠の本編の話よ、それは。俺にそんな高度な真似が出来ると思うか?出来つつあるのは「クイアSF」やな…

シ 何ですか、それ?でも、アクションはないんでしょ?

鯖 アクションは無くても死人がでる話もあるやろ…シリアスな奴は。

レイ 碇君、予告編は良く読んだ方がいいと思うわ…

シ えっ?…こ、これ…嘘でしょ…そんな、何で僕が!助け、うっ!

ガス圧式注射器を手にリツコ博士登場

リツコ(以下、リ)手際が悪いわよ、砂漠谷君。逃げられたらどうするつもりだったの?

鯖 どーも、お手数をお掛けしまして…ちなみに、リツコさん、そのアンプルの中身は…

リ 貴方の注文通りのステロイド製剤よ。目が覚めた時にはもう…

鯖 くっくっく…あー、楽しみやなぁ。

リ (やはり変態ね…)マヤが期待してるのよ、早く見たいって…あの娘、アレでアレだから…それより、本当に私の出番、増えるんでしょうね?

鯖 それはもう!実は私、密かにリツコさんのファンでして…

リ レイが怒るわよ…あれで、プライド高いのよ、あの娘。

レイ ……(わたしとばーさんを同列にあつかうのね…鯖、殺すわ…)

鯖 そうそう、レイちゃん!今まで密かにやっとったバイトなんやけど…

レイ あなたがやっている、あやしげな武器密売の事ね…

鯖 そんな、人聞きの悪い…プロップ屋ですがな。映画の特殊効果とかに使う、撮影用の銃の改造とか、役者さんの射撃指導とか…あれのSS版。一部、メールのやり取りをさせて頂いとる皆さんの間で、会員制ガンスミスとしてやっとるんやけど…なんと、あの綾波光さんが、ご来店下さったんやで!上手くすれば、我が「ガンスミスFISH BULE」もIHKS御用達に!光さん、ご来店有難う御座いました!又、飛び道具等ご用命の際は、是非!一遍利用してみようと思われるSS作家の皆様も、是非メール下さい。「N2兵器、ロンギヌスの槍から石火矢、打製石器に至るまで」がモットーですので。アフターケアも万全にやらせていただきます!

レイ 光さん、こんな鯖に関わってはいけないわ…変態がうつってしまう…

鯖 …レイちゃん…(怒っとるんやね、まだ…)そ、そんなら、次回予告いこか(涙)かくされたレイの記憶、最高機密「ゼロ」とは?第三使徒との戦闘の最中、一体何がおこったのか…次回、エヴァンゲリオン・リヴァース第5話、「ZERO−第一次直上会戦」ご期待ください!では、ごきげんよう。

レイ 碇君、かわいそう…


 砂漠谷 麗馬さんの『エヴァンゲリオン・リヴァース』ACTー4、公開です。

 

 

 加持さんのこだわりが見えますね。

  加持農園
   と
  加持厨房

 殺伐とした世界に生きる彼のこだわり。
 

 すいかのネームプレートの”ミサト”、
 それを見たときのレイとマユミの反応(^^)
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
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